JP4165271B2 - 車両のサイドエアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両のボディサイド部に対する他の車両の衝突(以下、単に側突という)により、車両のボディに所定値以上の衝撃が加わるか又はその衝撃が予測されたとき、車室内のシートに着座する乗員を衝撃から保護するための車両のサイドエアバッグ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のサイドエアバッグ装置としては、例えば特許文献1に開示された構成のものが知られている。このエアバッグ装置においては、車両の室内に配設されたシートの腰掛け部のサイドドア側の端縁に対しサイドエアバッグ装置が埋設されている。そして、車両の側突時に、インフレータから発生したガスによってエアバッグがシートに着座した乗員と、車両のボディサイド部との間に膨張展開されて、衝撃を吸収するようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特許第2933894号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のサイドエアバッグ装置においては、次のような問題があった。すなわち、乗員の腰部がサイドドア側に変位しているような場合には、サイドドアの内側面と乗員の腰部との隙間が小さくなっているため、エアバッグが正常に膨張展開され難いので、腰部の保護を適正に行うことができないという問題があった。
【0005】
又、乗員の肩部がサイトドアの内側面に接触されているような場合には、サイドドアの内側面と乗員の胸部との隙間が小さくなっているため、サイドドアと腰部の間にエアバッグが正常に膨張展開されたとしても、胸部に対するエアバッグの衝撃が大きくなって胸部の保護を適正に行うことができないという問題があった。
【0006】
さらに、従来のサイドエアバッグ装置においては、エアバッグが乗員の腰部と胸部との隙間に同時に、しかも同じ圧力で膨張展開されるので、エアバッグによって胸部が過大な衝撃を受ける恐れがあり、胸部の保護性能に不安がある。
【0007】
乗員の腰部は比較的傷害に対する耐性が高いのに対し、胸部は耐性が低いために胸部の保護に対してはさらにソフト感が求められていた。
この発明は、上記のソフト感の要求及び従来の技術に存在する着目点に基づいてなされたものである。その目的は、車両の側突時において、乗員の腰部と胸部をそれぞれ有効に保護することができる車両のサイドエアバッグ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両のボディサイド部に所定値以上の衝撃が作用するか又はその衝突が予測されたとき、車室内に配置されたシートの腰掛け部に内蔵された状態からボディサイド部とシートに着座する乗員との間に膨張展開するエアバッグと、そのエアバッグを膨張展開させるガス発生源とを備えた車両のサイドエアバッグ装置において、前記エアバッグは、膨張展開状態においてシートに着座する乗員の腰部に対応する腰部区画室と同乗員の胸部に対応する胸部区画室とを有するものであり、前記腰掛け部の内部における前記エアバッグの膨張展開の初期に、前記腰掛け部の座面の一部が前記腰部区画室の膨張展開により突き上げられることにともない同座面の臀部に対応する位置が乗員を車室内中央側に向けて傾けさせる態様で傾斜し、これによって乗員の前記ボディサイド部側の臀部が押し上げられ、その後にボディサイド部と乗員の腰部及び胸部との間にて前記エアバッグが膨張展開されるように構成したことを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両のサイドエアバッグ装置において、前記腰部区画室及び前記胸部区画室に、前記ガス発生源から供給されるガスによる前記腰部区画室の膨張の後に胸部区画室を膨張させる膨張遅延手段を設け、前記腰部区画室の内圧よりも胸部区画室の内圧が低くなるように調整する内圧調整手段を設けたことを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両のサイドエアバッグ装置において、前記エアバッグは互いに対向する一対の基布と、両基布の間に介在され、前記腰部区画室と胸部区画室を区画形成する区画布とからなり、前記ガス発生源の噴出口は前記腰部区画室に開口され、前記膨張遅延手段は、前記区画布と、該区画布に設けられ、かつ前記腰部区画室から胸部区画室へのガスの流入を制限する絞り通路とにより構成されていることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の車両のサイドエアバッグ装置において、前記エアバッグは互いに対向する一対の基布と、腰部区画室と胸部区画室を区画形成するように両基布を接合するシームとからなり、前記ガス発生源の噴出口は前記腰部区画室に開口され、前記膨張遅延手段は、前記シームを形成しない両基布の隙間によって形成され、かつ腰部区画室から胸部区画室へのガスの流入を制限する絞り通路であることを要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の車両のサイドエアバッグ装置において、前記内圧調整手段は、前記腰部区画室を形成する基布のガスの外部の漏洩量を胸部区画室を形成する基布のガスの外部への漏洩量よりも少なくすることにより構成されていることを要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のサイドエアバッグ装置において、前記腰部区画室を形成する基布を不透過布とし、胸部区画室を形成する基布を透過布としていることを要旨とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の車両のサイドエアバッグ装置において、前記腰部区画室及び胸部区画室を共に透過布の基布によって形成し、前記腰部区画室を形成する基布の表面又は裏面に不透過層を形成したことを要旨とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1及び図2には、車室内に配置された左側のフロントシート11が示され、このフロントシート11は腰掛け部11aと背もたれ部11bとを備えている。前記腰掛け部11aは一部のみ図示された金属製のフレーム13と、発泡合成樹脂又は発泡合成ゴム等よりなるクッション材14と、前記フレーム13及びクッション材14を包蔵するように被覆するカバー15とにより構成されている。フロントシート11の腰掛け部11aにおけるサイドドア12側の左側内部にはサイドエアバッグ装置21がケース22内に収容した状態で埋設配置されている。なお、図2においては、左側のフロントシート11のみを図示したが、右側のフロントシートの腰掛け部の右側内部にも同様なサイドエアバッグ装置が埋設配置されている。
【0016】
次に、前記サイドエアバッグ装置21の構成について説明する。
図1,2に示すように、前記サイドエアバッグ装置21のケース22は、チャンネル状に形成され、かつ前記フレーム13に対し車両の進行方向に指向するように固定されている。前記サイドエアバッグ装置21は、ケース22の内底部に車両の進行方向に指向するように固定されたガス発生源としてのインフレータ23と、そのインフレータ23を被覆するよう前記ケース22に装着された織布等からなる袋状のエアバッグ24とを備えている。インフレータ23の内部にはガス発生剤(図示しない)が内装され、インフレータ23の周面にはガス噴出口23aが腹数カ所(この実施形態では1カ所のみ図示)に形成されている。前記エアバッグ24は、通常は図2に示すようにケース22内に折り畳み状態で収納されている。
【0017】
前記インフレータ23の着火部(図示略)には、車両のボディサイド部(サイドドア12)に対する衝撃を検出するための検出センサ(図示略)が制御装置(図示略)を介して電気的に接続されている。そして、車両のボディサイド部に対する側突により、ボディサイド部に所定値以上の衝撃が加わったとき、検出センサ(図示略)から制御装置(図示略)を介してインフレータ23の着火部(図示略)に駆動電流が出力される。この駆動電流により、インフレータ23の前記ガス発生剤が着火されてガスが発生される。そして、このガスがガス噴出口23aからエアバッグ24内に噴出供給されて、そのエアバッグ24が折り畳み状態から膨張展開される。
【0018】
上記エアバッグ24の膨張展開動作の初期において、該エアバッグ24により腰掛け部11aの座面、すなわちカバー15の一部が下方から突き上げられて、サイドドア12側に向かって高くなるように傾斜される。この結果、図3に示すように、フロントシート11に着座している乗員Pが室内中央側へ傾くように姿勢変更されて、乗員Pとボディサイド部を構成するサイドドア12との間に拡大された所定の空間Sが形成される。
【0019】
前記腰掛け部11aを構成するカバー15の所定位置には、前記エアバッグ24が前記カバー15を突き破って上方に膨張展開されるように破断予定線15aが形成されている。
【0020】
次に、前記エアバッグ24について説明する。
前記エアバッグ24は、完全に膨張展開された状態を示す図5のように織布等からなる一対の基布24a,24bを袋状に縫着することによって形成され、通常は折り畳み状態でケース22内に収容されている。前記基布24a,24bの基端縁は前記ケース22の底面及び側面にそれぞれ接合されている。そして、インフレータ23が作動されたとき、図4に示すように、エアバッグ24が姿勢変更状態の乗員Pとサイドドア12との間の空間S内で膨張展開されて、乗員Pの腰部Ph及び胸部Pcを後述するように時間差をもって保護するようになっている。
【0021】
前記エアバッグ24の上下方向のほぼ中央には、前記両基布24a,24bを所定の間隔をもって互いに連結して、エアバッグ24の内部を上下2つの室に区画するための区画布としてのテザー25が縫製糸によって前記基布24a,24bの内面に縫着されている。このテザー25によりエアバッグ24の内部に腰部区画室26及び胸部区画室27が区画形成されるようにしている。前記腰部区画室26には前記インフレータ23のガス噴出口23aから噴出されたガスが直接供給され、前記胸部区画室27にはガスが直接供給されないようになっている。
【0022】
前記テザー25には絞り通路としての多数の小孔25aが形成され、これらの小孔25aにより、前記腰部区画室26の内部に供給されたガスが前記胸部区画室27に遅れて供給されるようになっている。この実施形態では、前記テザー25及び小孔25aが前記腰部区画室26の膨張展開動作よりも胸部区画室27の膨張展開動作を遅らせるための展開遅延手段を構成している。前記胸部区画室27の一部には、膨張後に内部のガスを排出するためのベント孔(図示略)が形成されている。
【0023】
前記エアバッグ24の腰部区画室26を構成する透過布よりなる基布24a,24bの裏面には、不透過層としてのシリコンのコーティング層28が形成され、腰部区画室26内部のガスが外部に漏れないようにしている。一方、前記胸部区画室27を構成する基布24a,24bの内外表面には前記コーティング層28が形成されておらず、胸部区画室27の内部のガスが基布24a,24bの無数の細隙を通して適度に外部に漏れるようになっている。これによって、胸部区画室27の内圧が腰部区画室26の内圧より低くなるように調整される。従って、前記コーティング層28が内圧調整手段を構成する。
【0024】
又、腰部区画室26及び胸部区画室27の内圧は、以下の範囲内となるように、インフレータ23からのガス圧やベント孔の大きさ等の各種条件が設定される。すなわち、腰部区画室26の内圧が、150〜200キロパスカル(kPa)、胸部区画室27の内圧が、50〜100キロパスカル(kPa)となるように、前記条件が設定される。この場合、胸部区画室27の内圧は、腰部区画室26の内圧の2分の1以下となるのが望ましい。なお、これらの腰部区画室26、胸部区画室27の前記内圧の値は、エアバッグ24に衝突等の外部荷重が作用していない条件下において、いわゆる静展開の条件下において設定される値である。
【0025】
次に、前記のように構成されたサイドエアバッグ装置21について動作を説明する。
さて、図2に示すフロントシート11の正常状態において、車両のボディサイド部に対する他の車両による側突により、ボディサイド部に所定値以上の衝撃が加わると、図示しないセンサがそれを検出し、その検出に基づいてインフレータ23からガス発生される。すると、図3に示すように、インフレータ23のガス噴出口23aからエアバッグ24の腰部区画室26に噴出供給される。これにより、腰掛け部11aの座面の臀部位置がボディサイド部側に向かって高くなるように傾斜される。このため、図3に示すようにフロントシート11に着座している乗員Pが室内中央側へ傾くように姿勢変更されて、乗員Pとサイドドア12との間に拡大された所定の空間Sが形成される。
【0026】
次に、前記腰部区画室26の膨張がさらに進行すると、膨張するエアバッグ24によってカバー15がその破断予定線15aに沿って破断され、腰部区画室26がカバー15の外部上方に向かって図4に示すように膨張展開される。これによって、前記サイドドア12と乗員Pの腰部Phとの間に腰部区画室26が適正に膨張して進入し、この腰部区画室26によって乗員Pの腰部Phが保護される。
【0027】
その後、腰部区画室26内のガスはテザー25に設けられた小孔25aから前記胸部区画室27内に供給され、胸部Pcに対応する胸部区画室27が図5に示すように前記サイドドア12と胸部Pcとの間で膨張展開され、胸部Pcの保護が図られる。図5では乗員Pが元の着座姿勢に戻っているが、エアバッグ24の膨張展開に支障はない。
【0028】
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) この車両のサイドエアバッグ装置においては、腰掛け部11aの内部にサイドエアバッグ装置21が埋設され、車両のボディに側突により所値定以上の衝撃が加わったときに作動され、乗員Pの臀部と対応するカバー15の座面を上方へ移動させて、乗員Pの姿勢を傾ける。そして、フロントシート11に着座する乗員Pとボディサイド部との間に拡大された空間Sを形成する。その後、エアバッグ24がカバー15の破断予定線15aを破断してボディサイド部と乗員Pとの間の拡大された前記空間S内において膨張展開されるようにした。このため、エアバッグ24の膨張展開の初期において、乗員Pに大きな身体的負担を負わせることなく、車室内中央側へ向かって傾くように姿勢変更させることができる。よって、エアバッグ24の完全な膨張展開に先立って、乗員Pとボディサイド部との間に拡大された所定の空間Sを有効に形成することができる。この結果、エアバッグ24の膨張展開動作を確実かつ適正に行い、乗員Pの腰部Ph及び胸部Pcに作用する衝撃を効果的に吸収することができて、乗員Pを有効かつ確実に保護することができる。
【0029】
(2) 前記実施形態では、エアバッグ24をテザー25によって腰部区画室26と胸部区画室27に区画形成形成した。又、側突によってボディに所定値以上の衝撃が加わったとき、インフレータ23から噴出されるガスを、まず腰部区画室26に供給して膨張展開させ、その後に胸部区画室27を膨張展開させるようにした。このため、衝撃に対して抗堪性を有する乗員Pの腰部Phを最初に迅速かつ確実に保護すことができる。
【0030】
(3) 前記実施形態では、胸部区画室27の内部の圧力が腰部区画室26の内部圧力よりも低くなるように設定した。このため、ソフト感を要求される乗員Pの胸部Pcの保護を適正に行うことができる。
【0031】
(4) 前記実施形態では、腰部区画室26と胸部区画室27の内部圧力を調整する手段として、腰部区画室26を構成する基布24a,24bの裏面にシリコンのコーティング層28を形成した。このため、内部圧力調整手段を容易に形成することができ、製造を容易に行いコストの低減を図ることができる。
【0032】
(5) 前記実施形態では、腰部区画室26と胸部区画室27を小孔25aを有するテザー25によって区画形成し、インフレータ23から噴出されるガスを最初に腰部区画室26に供給するようにした。このため、膨張遅延手段の構成を簡素化して製造を容易に行いコストを低減することができる。
【0033】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 図示しないが、前記エアバッグ24の腰部区画室26と胸部区画室27を、基布24a,24bをシームとしての縫製糸によって縫製することにより区画形成する。そして、縫製糸を省略した基布24a,24bの隙間に形成された絞り通路によって、腰部区画室26と胸部区画室27を互いに連通し、前記縫製糸及び絞り通路によって膨張遅延手段を構成するようにしてもよい。
【0034】
この別例においては、前記テザー25を用いる方法と比較して部品点数を低減して製造を容易に行いコストの低減を図ることができるが、その他の作用及び効果は前記実施形態と同様である。
【0035】
・ 前記腰部区画室26のみを不透過布によって構成するとともに、前記胸部区画室27を透過布により別体で構成し、後から基布を互いに縫着することにより連結するようにしてもよい。
【0036】
・ エアバッグ24の膨張展開時に、前記胸部区画室27の厚さが腰部区画室26の厚さよりも小さくなるようにしてもよい。
・ 前記実施形態において、エアバッグ24の基布24a,24bを、一対の基布24a,24bの縫着によることなく、例えば袋織りした1枚の織布で形成してもよい。
【0037】
・ 前記各実施形態において、エアバッグ24を、織布の他に例えば不織布、合成樹脂シート等の他の材料を用いて形成してもよい。
・ エアバッグ24の腰部区画室26と対応する部分の基布24a,24bを、胸部区画室27と対応する部分よりもガス漏洩性の小さい材料で形成してもよい。
【0038】
・ 前記腰部区画室26を構成する基布24a,24bの表面に対しコーティング層28を形成してもよい。
・ 前記エアバッグ24に対して乗員Pの肩部を保護する肩部区画室を区画形成したり、頭部を保護する頭部区画室を区画形成したりしてもよい。
【0039】
・ 予測センサにより車両のボディサイド部に対する他の車両の接近距離及び衝突逼迫度を検出して、サイドエアバッグ装置21に対して作動信号を出力するように構成してもよい。
【0040】
上記予測センサは超音波又は電波を発信するとともに、その超音波又は電波の反射波を受信する。制御装置は、予測センサからの受信信号の変化度合いに基づいて、他の車両の側突タイミングを予測し、適切なタイミングでサイドエアバッグ装置21を作動させる。
【0041】
・ 検出センサを省略し、予測センサのみを設けるようにしてもよい。
・ この発明をフロントシート以外のリヤシート等の他のシートにおいて具体化してもよい。
【0042】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1記載の発明においては、側突時において、乗員の腰部と胸部をそれぞれ有効に保護できるという優れた効果を発揮する。
【0043】
請求項2記載の発明においては、請求項1記載の発明の効果をさらに向上することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、膨張遅延手段の構成を簡素化して、製造を容易に行い、コストの低減を図ることができる。
【0044】
請求項4に記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、膨張遅延手段の構成をさらに簡素化して、製造をさらに容易に行い、コストの低減を図ることができる。
【0045】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、内圧調整手段の構成を簡素化して、製造を容易に行いコストの低減を図ることができる。
【0046】
請求項6に記載の発明は、請求項5記載の発明の効果に加えて、基布の種類を変更するのみで内圧調整手段を容易に形成することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項5記載の発明の効果に加えて、腰部区画室を形成する基布の表面又は内面に対して不透過層を形成するのみで、内圧調整手段を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の車両のサイドエアバッグ装置を示す側面図。
【図2】 図1の2−2線における部分拡大断面図。
【図3】 エアバッグの動作を説明するための断面図。
【図4】 エアバッグの動作を説明するための断面図。
【図5】 エアバッグの動作を説明するための断面図。
【符号の説明】
P…乗員、Pc…胸部、Ph…腰部、11a…腰掛け部、21…サイドエアバッグ装置、24…エアバッグ、24a,24b…基布、25a…絞り通路としての小孔、26…腰部区画室、27…胸部区画室。
Claims (7)
- 車両のボディサイド部に所定値以上の衝撃が作用するか又はその衝突が予測されたとき、車室内に配置されたシートの腰掛け部に内蔵された状態からボディサイド部とシートに着座する乗員との間に膨張展開するエアバッグと、そのエアバッグを膨張展開させるガス発生源とを備えた車両のサイドエアバッグ装置において、
前記エアバッグは、膨張展開状態においてシートに着座する乗員の腰部に対応する腰部区画室と同乗員の胸部に対応する胸部区画室とを有するものであり、
前記腰掛け部の内部における前記エアバッグの膨張展開の初期に、前記腰掛け部の座面の一部が前記腰部区画室の膨張展開により突き上げられることにともない同座面の臀部に対応する位置が乗員を車室内中央側に向けて傾けさせる態様で傾斜し、これによって乗員の前記ボディサイド部側の臀部が押し上げられ、その後にボディサイド部と乗員の腰部及び胸部との間にて前記エアバッグが膨張展開されるように構成した車両のサイドエアバッグ装置。 - 前記腰部区画室及び前記胸部区画室に、前記ガス発生源から供給されるガスによる前記腰部区画室の膨張の後に胸部区画室を膨張させる膨張遅延手段を設け、前記腰部区画室の内圧よりも胸部区画室の内圧が低くなるように調整する内圧調整手段を設けた請求項1に記載の車両のサイドエアバッグ装置。
- 前記エアバッグは互いに対向する一対の基布と、両基布の間に介在され、前記腰部区画室と胸部区画室を区画形成する区画布とからなり、前記ガス発生源の噴出口は前記腰部区画室に開口され、前記膨張遅延手段は、前記区画布と、該区画布に設けられ、かつ前記腰部区画室から胸部区画室へのガスの流入を制限する絞り通路とにより構成されている請求項2に記載の車両のサイドエアバッグ装置。
- 前記エアバッグは互いに対向する一対の基布と、腰部区画室と胸部区画室を区画形成するように両基布を接合するシームとからなり、前記ガス発生源の噴出口は前記腰部区画室に開口され、前記膨張遅延手段は、前記シームを形成しない両基布の隙間によって形成され、かつ腰部区画室から胸部区画室へのガスの流入を制限する絞り通路である請求項2に記載の車両のサイドエアバッグ装置。
- 前記内圧調整手段は、前記腰部区画室を形成する基布のガスの外部の漏洩量を胸部区画室を形成する基布のガスの外部への漏洩量よりも少なくすることにより構成されている請求項2〜4のいずれか一項に記載の車両のサイドエアバッグ装置。
- 前記腰部区画室を形成する基布を不透過布とし、胸部区画室を形成する基布を透過布としている請求項5に記載のサイドエアバッグ装置。
- 前記腰部区画室及び胸部区画室を共に透過布の基布によって形成し、前記腰部区画室を形成する基布の表面又は裏面に不透過層を形成した請求項5に記載の車両のサイドエアバッグ装置。
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