JP2003532378A - リンパ腫/黒色腫の発症に関与する新規Fc受容体型黒色腫をコードする5つの新規遺伝子の単離 - Google Patents

リンパ腫/黒色腫の発症に関与する新規Fc受容体型黒色腫をコードする5つの新規遺伝子の単離

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JP2003532378A
JP2003532378A JP2001540243A JP2001540243A JP2003532378A JP 2003532378 A JP2003532378 A JP 2003532378A JP 2001540243 A JP2001540243 A JP 2001540243A JP 2001540243 A JP2001540243 A JP 2001540243A JP 2003532378 A JP2003532378 A JP 2003532378A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転座関連(IRTA)タンパク質なる免疫グロブリン受容体をコードする単離された核酸分子を提供する。前記単離された核酸分子によってコードされるIRTAタンパク質(図18A、18B−1−18B−3、18C−1−18C−2、18D−1−18D−2、又は18E−1−18E−2の何れかに記載されたアミノ酸配列を有するIRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、又はIRTA5タンパク質)も提供される。前記単離された核酸分子のオリゴヌクレオチドが提供される。精製されたIRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、又はIRTA5タンパク質のエピトープに対して誘導された抗体、及びこのような抗体又はオリゴヌクレオチドを含む薬学的組成物も提供される。被験者から得たサンプル中のB細胞悪性腫瘍を検出する方法、患者から得たサンプル中のB細胞悪性腫瘍を診断する方法、サンプル中のヒトIRTAタンパク質を検出する方法、及びB細胞癌を有する被験者を治療する方法も提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本出願は、1999年11月29日に出願された同時係属米国仮出願第60/
168,151号の優先権を主張し、その内容は本出願に参考文献として援用さ
れる。
【0002】 本明細書に開示されている発明は、国立癌研究所のNCIグラント第CA44
029号の下での研究の過程で為された。従って、合衆国政府は本発明に一定の
権利を有する。
【0003】 本出願を通じて、様々な参考文献が括弧内に参照されている。本発明が属する
技術分野の技術水準をより完全に記載するために、これらの文献の開示内容全体
を本出願に参考文献として援用する。これらの参考文献の完全な書誌的事項の引
用は、特許請求の直前、本出願の末尾に記載されている。
【0004】
【発明の背景】
染色体1q21の異常は、B細胞リンパ腫及び骨髄腫を含むB細胞悪性腫瘍に
共通するが、これらの異常の標的となる遺伝子の大部分は不明である。骨髄腫細
胞株中のt(1;14)(q21;q32)染色体転座の限界点をクローニング
することによって、本発明者らは、Fc及び阻害的受容体ファミリーに対して相
同性を有する細胞表面受容体をコードする2つの新規遺伝子IRTA1及びIR
TA2を同定した。両遺伝子は、本来、成熟B細胞中で発現されるが、末梢リン
パ系臓器中での分布は異なっている。すなわち、IRTA1は周辺帯B細胞に発
現されているのに対して、IRTA2は胚中心の中心細胞及び免疫芽細胞中にも
発現されている。t(1;14)転座の結果、IRTA1シグナルペプチドは免
疫グロブリンCαドメインに融合され、キメラIRTA1/Ca融合タンパク質
を与える。1q21異常を有する多発性骨髄腫及びバーキットリンパ腫細胞株で
は、IRTA2の発現は調節解除されている。このように、IRTA1とIRT
A2は、B細胞の発育とリンパ腫の生成において、重要な役割を果たしている可
能性がある新規免疫受容体である。
【0005】 B細胞非ホジキンリンパ腫(B−NHL、B−cell Non−Hodgk
in’s Lymphoma)及び多発性骨髄腫(MM、Multiple M
yeloma)は、前胚中心(GC、Germinal Center)(マン
トル細胞)、GC(follicular, diffuse large c
ell, Burkitt’s)、又は後GC B細胞(MM)に対応する表現
型を有する成熟B細胞由来の多種多様な悪性腫瘍群から構成される(総説として
、Gaidano and Dalla−Favera,1997;Kuppe
rs et al.,1999)。これらの悪性腫瘍の病因についての洞察は、
特定の疾病サブタイプに特徴的な再発性クローン性染色体異常の同定によって得
られている。これらの転座の結果、対となる染色体中に位置する異種の転写制御
因子にそれらが隣接することによって、原癌遺伝子の転写脱制御が共通して起こ
る(Gaidano and Dalla−Favera,1997)。これら
の異種性転写制御因子は、免疫グロブリン(IG)遺伝子座又は他の対染色体座
に由来し得る。バーキットリンパ腫(BL)におけるt(8;14)(q24;
q32)中のMYC(Dalla−Favera et al.,1982;T
aub et al.,1982)、マントル細胞リンパ球(MCL、Mant
le cell lymphoma)(Rosenberg et al.,1
991)及び多発性骨髄腫(MM)(Ronchetti et al.,19
99)中のt(11;14)(q13;q32)によって調節解除されたCCN
D1遺伝子、濾胞性リンパ腫(FL、follicular lymphoma
)(Bakhshi et al.,1985)中のt(14;18)(q32
;q21)に含まれるBCL2、びまん性巨大B細胞リンパ腫(DLCL、di
ffuse large B−cell lymphoma)中のt(3;14
)(q27;q32)におけるBCL6(Ye et al.,1993)、t
(4;14)(p16;q32)におけるFGFR3(Chesi et al
.,1997)、t(14;16)(q32;q23)中のMAF(Chesi
et al.,1998)、多発性骨髄腫(MM)におけるt(6;14)(
p25;q32)中のMUM1/IRF4(Iida et al.,1997
)が例に含まれる。これらの癌遺伝子が同定されることによって、それらが対応
する悪性腫瘍の発病及び診断について価値ある洞察が得られた。
【0006】 バンド1q21〜q23に含まれる染色体異常は、B−HNLとMMの両者に
おいて最も高い頻度で見られる遺伝的病変の1つである。NHLサブタイプのう
ち、転座と重複を含む1q21〜q23での転座限界点は、多くの場合、単一の
染色体異常として、濾胞性及びびまん性巨大B細胞リンパ腫(DLCL)の17
〜20%、周辺帯B細胞リンパ腫の39%(Offit et al.,199
1;Whang−Peng et al.,1995;Cigudosa et
al.,1999)、及びバーキットリンパ腫の27〜38%で報告されてお
り、それらは、MYC癌原遺伝子が関与する転座後の細胞遺伝学的異常のうち2
番目に一般的なものである(Berger and Bernheim,198
5;Kornblau et al.,1991)。比較ゲノムハイブリダイゼ
ーション(CGH)によって、DLCL症例の10%で、1q21−q23は高
レベル増幅の再発部位としても同定されている(Rao et al.,199
8)。MMでは、1q21−q32領域のトリソミーが、症例の20〜31%で
報告されており(Sawyer et al.,1995)、80%の細胞株及
び40%の原発性腫瘍に、1q12−qter領域の増幅が見出され(Avet
−Loiseau et al.,1997)、異常な核型を有する患者の23
%に、隣接する1q21−22領域の多重重複を伴った、ランダムでない1qの
不均等な全腕転座が見出された(Sawyer et al.,1998)。
【0007】 B細胞悪性腫瘍に1q21の構造的な再編成(rearrangement)
が高い頻度で関与しているということは、この遺伝子座が、これらの疾病の発症
にとって必須の遺伝子を有しているかもしれないということを示唆している。前
B細胞急性リンパ芽性白血病細胞株中のt(1;14)(q21;q32)をク
ローニングすることによって、この症例でのみ調節解除され(Willis e
t al.,1998)、他の症例には関与していない新規遺伝子BCL9がこ
れまでに同定されている。最近の報告は、濾胞性リンパ腫(FL)細胞株中にt
(1;22)(q22;q11)を特定し、低親和性のIgG Fc受容体であ
るFCGRIIBをコードするFCGR2B遺伝子座がこの細胞株とさらに2つ
のFL症例で標的とされることが見出された(Callanan et al.
,2000)。最後に、NHL中のt(1;14)(q21;q32)の限界点
の近傍(Dyomin et al.,2000;Gilles et al.
,2000)にMUC1遺伝子座が同定され、1q21異常を有するNHLの6
%にMUC1遺伝子座の再編成が見出された(Dyomin et al.,2
000)。これらの変化の大部分には説明が与えられていないなので、これらの
結果は、1q21限界点の不均一性と該遺伝子座に位置する更なる候補癌遺伝子
を同定することの必要性を強調するものである。
【0008】 本研究の目的は、B細胞悪性腫瘍における1q21染色体再編成の構造をさら
に探究することであった。この目的のために、本発明者らは、骨髄腫細胞株FR
4の中に存在するt(1;14)(q21;q32)の分子クローニングアプロ
ーチを利用した。本発明者らは、1q21異常によって、それぞれ別々に標的と
される2つの新規遺伝子を同定した。これらの遺伝子は、免疫グロブリン受容体
ファミリーの5つの新規メンバーであるIRTA1、IRTA2、IRTA3、
IRTA4、及びIRTA5(mmunoglobulin superfa
mily eceptor ranslocation ssociat
ed genes1、2、3、4、及び5)をコードしており、これらは正常な
リンパ球の機能及びB細胞の悪性腫瘍にとって重要である可能性がある。
【0009】
【発明の概要】
本発明は、免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転座関連(IRTA)タ
ンパク質なる免疫グロブリン受容体をコードする単離された核酸分子を提供する
【0010】 本発明は、IRTAポリペプチド(タンパク質)を作製する方法であって、(
a)免疫グロブリン受容体(免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転座関連
(IRTA))タンパク質をコードする単離された核酸を備えたベクターを適切
な宿主細胞中に導入することと、(b)得られた細胞を培養して、前記ポリペプ
チドを産生させることとを備えた方法を提供する。
【0011】 本発明は、単離された核酸分子であって、IRTAタンパク質をコードする前
記単離された核酸分子の配列中に含まれるユニークな配列と特異的にハイブリダ
イズし得る少なくとも15の連続したヌクレオチドを含む単離された核酸分子を
提供する。ある態様では、前記IRTAタンパク質は、それぞれ図18A、18
B−1−18B−3、18C−1−18C−2、18D−1−18D−2、又は
18E−1−18E−2の何れかに記載されているアミノ酸配列を有するIRT
A1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、若しくはIRTA5タンパク質、
又はそれらの断片であり得る。
【0012】 本発明は、被験者から得たサンプル中のB細胞悪性腫瘍又は一種のB細胞悪性
腫瘍を検出する方法であって、前記B細胞悪性腫瘍は1q21染色体再編成を含
み、(a)前記被験者から得た前記サンプルからRNAを取得することと、(b
)ヒトIRTAタンパク質をコードする単離されたRNAの配列中に含まれるユ
ニークな配列と特異的にハイブリダイズすることができ、検出可能なマーカーで
標識された核酸分子に、工程(a)の前記RNAがハイブリダイズし得る条件下
で、ヒトIRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、及びIRTA5か
らなる群から選択されるヒトIRTAタンパク質をコードする単離されたRNA
の配列中に含まれるユニークな配列と特異的にハイブリダイズし得る少なくとも
15の連続したヌクレオチドの核酸分子に、工程(a)の前記RNAを接触させ
ることと、(c)工程(b)における何らかのハイブリダイゼーションを検出す
ることとを備え、ハイブリダイゼーションが検出されることが、前記サンプル中
にB細胞悪性腫瘍又は一種のB細胞悪性腫瘍が存在することの指標となる方法を
提供する。
【0013】 本発明は、ヒトIRTAタンパク質をコードするmRNA分子に特異的にハイ
ブリダイズして、前記mRNA分子の過剰発現を抑え得る配列を有するアンチセ
ンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0014】 本発明は、図18Aに示されたアミノ酸配列(配列番号1)を含む精製された
IRTA1タンパク質を提供する。
【0015】 本発明は、図18B−1−18B−3に示されたアミノ酸配列(配列番号3)
を含む精製されたIRTA2タンパク質を提供する。
【0016】 本発明は、図18C−1−18C−2に示されたアミノ酸配列(配列番号5)
を含む精製されたIRTA3タンパク質を提供する。
【0017】 本発明は、図18D−1−18D−2に示されたアミノ酸配列(配列番号7)
を含む精製されたIRTA4タンパク質を提供する。
【0018】 本発明は、図18E−1−18E−2に示されたアミノ酸配列(配列番号9)
を含む精製されたIRTA5タンパク質を提供する。
【0019】 本発明は、図18A、18B−1−18B−3、18C−1−18C−2、1
8D−1−18D−2、又は18E−1−18E−2の何れかに示されているア
ミノ酸配列を有する精製されたIRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA
4、若しくはIRTA5タンパク質、又はそれらの断片のエピトープに対して誘
導された1又は複数の抗体を提供する。
【0020】 本発明は、IRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、及びIRTA
5からなる群から選択される精製されたIRTAタンパク質に対して誘導された
抗体を提供する。
【0021】 本発明は、ヒトIRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、及びIR
TA5からなる群から選択されるIRTAタンパク質を発現している癌細胞に結
合して前記癌細胞の増殖を抑えるのに有効である、IRTAタンパク質に対して
誘導された一定量の抗体と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物を提
供する。
【0022】 本発明は、本明細書に記載されたIRTAタンパク質をコードする核酸分子の
オリゴヌクレオチドであって、ヒトIRTAタンパク質の過剰発現を抑えるのに
有効な一定量のオリゴヌクレオチドと、薬学的に許容される担体とを含む薬学的
組成物を提供する。
【0023】 本発明は、被験者から得たサンプル中の1q21染色体の再編成を備えたB細
胞悪性腫瘍を診断する方法であって、(a)前記被験者から前記サンプルを取得
することと、(b)精製されたIRTAタンパク質に対して誘導された抗体であ
って、ヒトIRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、及びIRTA5
IRTAタンパク質からなる群から選択されるヒトIRTAタンパク質と特異
的に結合し得る抗体に、検出可能なマーカーで標識された抗体が前記癌細胞の細
胞表面上に存在するヒトIRTAタンパク質に結合し得る条件下で、工程(a)
の前記サンプルを接触させることと、(c)工程(b)において何らかの結合を
検出することとを備え、結合の検出が、前記サンプル中にB細胞悪性腫瘍の診断
を示す方法を提供する。
【0024】 本発明は、サンプル中のヒトIRTAタンパク質を検出する方法であって、(
a)上記抗IRTA抗体の何れかに、該抗体と前記サンプル中の前記IRTAと
の間で複合体が形成され得る条件下で、前記サンプルを接触させることと、(b
)工程(a)で形成された前記複合体を検出することによって、前記サンプル中
にヒトIRTAが存在することを検出することとを備えた方法を提供する。
【0025】 本発明は、B細胞癌を有する患者を治療する方法であって、IRTAタンパク
質を発現している癌細胞に結合して、該癌細胞の増殖を抑えるのに有効な一定量
の抗IRTA抗体と薬学的に許容される担体とを前記患者に投与することによっ
て、前記患者を治療することを備えた方法を提供する。
【0026】 本発明は、B細胞癌を有する患者を治療する方法であって、ヒトIRTAタン
パク質をコードするmRNA分子に特異的にハイブリダイズして、前記ヒトIR
TAタンパク質の過剰発現を抑えて、1又は複数のIRTAタンパク質を発現し
ている癌細胞の細胞増殖を停止させ、又は細胞死を誘導させ得る配列を有する一
定量のアンチセンスオリゴヌクレオチドと、薬学的に許容される担体とを前記患
者に投与することにより前記患者を治療することを備えた方法を提供する。
【0027】 本発明は、本明細書に記載された有効量の何れかの前記オリゴヌクレオチドと
、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物も提供する。
【0028】 本発明は、本明細書に記載された何れかのIRTAタンパク質のエピトープに
対して誘導された有効量の抗体と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成
物も提供する。
【0029】
【発明の詳細な記述】
特定のヌクレオチドを表示するために、本明細書を通じて、以下の標準的な略
号、C=シトシン、A=アデノシン、T=チミジン、及びG=グアノシンを使用
する。
【0030】 本発明は、免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転座関連(IRTA)タ
ンパク質なる免疫グロブリン受容体をコードする単離された核酸分子を提供する
【0031】 本明細書において使用する「免疫グロブリン受容体転座関連」遺伝子、「IR
TA」とは、B細胞中の新規免疫グロブリンスーパーファミリー細胞表面受容体
をコードする核酸分子であって、B細胞の発育に重要であり、その異常な発現(
例えば、調節解除された発現)が細胞表面のB細胞の免疫応答を擾乱せしめるた
めに、リンパ腫形成を含むB細胞悪性腫瘍に関与する核酸分子である。
【0032】 第1の実験において「MUM−2」及び「MUM−3」タンパク質と表記され
るタンパク質をコードする核酸分子は、現在では、「IRTA−1」及び「IR
TA−2」遺伝子(すなわち、それぞれIRTA−1及びIRTA−2タンパク
質をコードする核酸分子)と称されている。IRTA−3、−4、及び−5タン
パク質は、IRTA−1及びIRTA−2タンパク質と同様に、同じ免疫グロブ
リン遺伝子スーパーファミリーの一員である。
【0033】 免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転座関連(IRTA)タンパク質な
る免疫グロブリン受容体をコードする上記の単離された核酸分子のある態様では
、コードされるIRTAタンパク質は、図18Aに記されているアミノ酸配列(
配列番号1)を含むIRTA1タンパク質である。
【0034】 上記の単離された核酸分子の別の態様では、コードされるIRTAタンパク質
は、図18B−1−18B−3に記されているアミノ酸配列(配列番号3)を含
むIRTA2タンパク質である。
【0035】 上記の単離された核酸分子のさらなる態様では、コードされるIRTAタンパ
ク質は、図18C−1−18C−2に記されているアミノ酸配列(配列番号5)
を含むIRTA3タンパク質である。
【0036】 上記の単離された核酸分子のさらに別の態様では、コードされるIRTAタン
パク質は、図18D−1−18D−2に記されているアミノ酸配列(配列番号7
)を含むIRTA4タンパク質である。
【0037】 上記の単離された核酸分子のさらに別の態様では、コードされるIRTAタン
パク質は、図18E−1−18E−2に記されているアミノ酸配列(配列番号9
)を含むIRTA5タンパク質である。
【0038】 上記全ての単離された核酸分子の別の態様では、前記核酸分子はDNAである
。さらなる態様では、前記DNAはcDNAである。別の態様では、前記DNA
はゲノムDNAである。さらに別の態様では、前記核酸分子はRNA分子である
。さらに別の態様では、前記DNA分子は、図18Aに記載されたヌクレオチド
配列(配列番号2)を有するcDNAである。別の態様では、前記DNA分子は
、図18Aに記載されたヌクレオチド配列(配列番号4)を有するcDNAであ
る。さらなる態様では、前記DNA分子は、図18Aに記載されたヌクレオチド
配列(配列番号6)を有するcDNAである。別の態様では、前記DNA分子は
、図18Aに記載されたヌクレオチド配列(配列番号8)を有するcDNAであ
る。ある態様では、前記DNA分子は、図18Aに記載されたヌクレオチド配列
(配列番号10)を有するcDNAである。前記単離された核酸分子の好ましい
態様では、前記核酸分子は、ヒトIRTA1、IRTA2、IRTA3、IRT
A4、又はIRTA5タンパク質をコードする。別の態様では、前記核酸分子は
哺乳類のIRTA1タンパク質をコードする。哺乳類のIRTA1タンパク質は
マウスのIRTA1タンパク質であり得る。別の好ましい態様では、前記単離さ
れた核酸分子は、DNA転写のプロモータ−に作用可能に連結されている。前記
単離された核酸分子のさらに別の好ましい態様では、前記プロモーターは、細菌
、酵母、昆虫、植物、又は哺乳類のプロモーターから構成される。
【0039】 本発明は、IRTAタンパク質(哺乳類のIRTAタンパク質が含まれ、ヒト
及びマウスのIRTAタンパク質が好ましいが、これらに限定されない)をコー
ドする上記単離された核酸分子の何れかを備えたベクターを提供する。ある態様
では、前記ベクターはプラスミドである。
【0040】 本発明は、IRTAタンパク質をコードする上記単離された核酸分子の何れか
を備えた上記ベクターを含む宿主細胞を提供する。好ましくは、このようなベク
ター中の前記単離された核酸分子は、DNA転写のプロモーターに作用可能に連
結されている。前記宿主細胞の別の態様では、前記細胞は、細菌細胞、植物細胞
、及び昆虫細胞、及び哺乳類細胞からなる群から選択される。
【0041】 本発明は、IRTAポリペプチド(タンパク質)を作製する方法であって、(
a)免疫グロブリン受容体(免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転座関連
(IRTA))タンパク質をコードする単離された核酸を備えたベクターを適切
な宿主細胞中に導入することと、(b)得られた細胞を培養して、前記ポリペプ
チドを産生させることとを備えた方法を提供する。さらなる態様では、上記方法
によって産生されるIRTAタンパク質は回収してもよく、さらなる態様では、
完全に、又は部分的に精製してもよい。ある態様では、前記IRTAタンパク質
は、IRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、又はIRTA5タンパ
ク質の何れかであり得る。さらなる態様では、前記IRTAタンパク質は何れも
、哺乳類のタンパク質であり得る。さらなる態様では、前記哺乳類のタンパク質
は、ヒト又はマウスのIRTAタンパク質であり得る。
【0042】 IRTA遺伝子(IRTAタンパク質(IRTA1、IRTA2、IRTA3
、IRTA4、及びIRTA5)をコードする核酸分子)は、これによってコー
ドされるIRTAタンパク質の作製に有用である。ITRAタンパク質は、抗体
の作製に有用である。このような抗体は、血液病理学におけるリンパ腫のサブタ
イプの識別診断用試薬として使用される。IRTAタンパク質に対して誘導され
、IRTAタンパク質に特異的に結合する抗体も、治療的な用途で、すなわち、
腫瘍細胞を特異的に標的とするために、「Rituximab」(FDAによっ
て、再発性のCD20陽性リンパ腫の治療用に承認された抗CD20抗体(Fo
on K.,Cancer J.6(5):273))と同じように使用し、投
与することができる。抗IRTA1、抗IRTA2、抗IRTA3、抗IRTA
4、及び抗IRTA5抗体は、正常なB細胞及び腫瘍B細胞の生物学の調査研究
において、B細胞の特定のサブセットを単離するための有用なマーカーでもある
。さらに、抗IRTA1、抗IRTA2、抗IRTA3、抗IRTA4、及び抗
IRTA5抗体は、正常なB細胞及び腫瘍B細胞中のシグナル伝達の生物学を実
験的に調べるための有用な研究試薬である。
【0043】 細胞中に核酸分子を導入する方法は、当業者に周知である。このような方法に
は、例えば、ウイルスベクターの使用、及びリン酸カルシウム共沈の使用が含ま
れる。従って、IRTAタンパク質(IRTA1、IRTA2、IRTA3、I
RTA4、及びIRTA5)をコードする核酸分子は、これらのIRTAタンパ
ク質を作製するために細胞中に導入し得る。
【0044】 本発明のタンパク質IRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、及び
IRTA5を発現させるためには、数多くのベクターを利用し得る。プラスミド
ベクター、コスミドベクター、バクテリオファージベクター、及びその他のウイ
ルスを含むこのようなベクターは、本分野において周知である。例えば、1つの
クラスのベクターは、ウシパピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウ
イルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス(RSV、M
MTV、又はMoMLV)、セムリキ森林ウイルス又はSV40ウイルスのよう
な動物ウイルス由来のDNA要素を使用する。さらに、染色体中に前記DNAが
安定に組込まれた細胞は、トランスフェクトされた宿主細胞の選択を可能とする
1以上のマーカーを導入することによって選択し得る。前記マーカーは、例えば
、栄養要求性宿主に原栄養性を与え、殺生物剤耐性又は銅のような重金属に対す
る耐性を与え得る。前記選択可能なマーカー遺伝子は、発現すべきDNA配列に
直接連結されるか、あるいは同時形質転換によって同じ細胞中に導入され得る。
【0045】 発現に必要な制御要素は、RNAポリメラーゼを結合するためのプロモーター
配列とリボゾームが結合するための転写開始配列とを含む。mRNAの合成を最
適化するためには、更なる要素が必要な場合もある。これらの更なる要素には、
スプライシングシグナル、エンハンサー、終結シグナルが含まれ得る。例えば、
細菌の発現ベクターは、lacプロモーターのようなプロモーター、転写開始の
ためのシャイン−ダルガルノ配列、及び開始コドンAUGを含む。同様に、真核
生物の発現ベクターは、RNAポリメラーゼIIのための異種又は同種のプロモ
ーター、下流のポリアデニル化シグナル、開始コドンAUG、及びリボゾームを
脱離させるための終始コドンを含む。このようなベクターは、市販のものを購入
してもよいし、あるいは本分野において周知の方法(例えば、前に概説したベク
ターを構築するための方法)によって、既述の配列から組み立ててもよい。
【0046】 これらのベクターは、本発明のタンパク質を生産するための宿主ベクター系を
作成するために、適切な宿主細胞中に導入してもよい。宿主ベクター系の作成法
は当業者に周知である。
【0047】 適切な宿主細胞には、細菌細胞(グラム陽性細胞を含む)、酵母細胞、真菌細
胞、昆虫細胞、及び動物細胞が含まれるが、これらに限定されない。適切な動物
細胞には、HeLa細胞、Cos細胞、CV1細胞、及び様々な哺乳類の初代細
胞が含まれるが、これらに限定されない。マウスの線維芽細胞、NIH−3T3
細胞、CHO細胞、HeLa細胞、Ltk細胞及びCOS細胞を含む多くの哺
乳類細胞を宿主として使用し得るが、これらに限定されない。哺乳類細胞は、リ
ン酸カルシウム沈澱、電気穿孔、及びマイクロインジェクションのような本分野
において周知の方法によってトランスフェクトし得る。
【0048】 本発明は、単離された核酸分子であって、IRTAタンパク質をコードする前
記単離された核酸分子の配列中に含まれるユニークな配列と特異的にハイブリダ
イズし得る少なくとも15の連続したヌクレオチドを含む核酸分子を提供する。
ある態様では、前記IRTAタンパク質は、それぞれ図18A、18B−1−1
8B−3、18C−1−18C−2、18D−1−18D−2、又は18E−1
−18E−2の何れかに記されているアミノ酸配列を有するIRTA1、IRT
A2、IRTA3、IRTA4、若しくはIRTA5タンパク質、又はそれらの
断片であり得る。別の態様では、前記単離された核酸分子は、検出可能なマーカ
ーで標識される。前記単離された核酸分子のさらに別の態様では、前記検出可能
なマーカーは、放射性同位元素、酵素、色素、ビオチン、蛍光標識、又は化学発
光標識からなる群から選択される。
【0049】 本発明は、被験者から得たサンプル中のB細胞悪性腫瘍又は一種のB細胞悪性
腫瘍を検出する方法であって、前記B細胞悪性腫瘍は1q21染色体再編成を含
み、(a)前記被験者から得た前記サンプルからRNAを取得することと、(b
)ヒトIRTAタンパク質をコードする単離されたRNAの配列中に含まれるユ
ニークな配列と特異的にハイブリダイズすることができ、検出可能なマーカーで
標識された核酸分子に、工程(a)の前記RNAがハイブリダイズし得る条件下
で、ヒトIRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、及びIRTA5か
らなる群から選択されるヒトIRTAタンパク質をコードする単離されたRNA
の配列中に含まれるユニークな配列と特異的にハイブリダイズし得る少なくとも
15の連続したヌクレオチドの核酸分子に、工程(a)の前記RNAを接触させ
ることと、(c)工程(b)における何らかのハイブリダイゼーションを検出す
ることとを備え、ハイブリダイゼーションが検出されることが、前記サンプル中
にB細胞悪性腫瘍又は一種のB細胞悪性腫瘍が存在することの指標となる方法を
提供する。
【0050】 IRTAタンパク質をコードするRNAのハイブリダイゼーションの検出は、
悪性腫瘍がB細胞悪性腫瘍であることの指標となるであろう。より具体的には、
ITRA1タンパク質をコードするRNAのハイブリダイゼーションの検出は、
B細胞悪性腫瘍が、粘膜関連リンパ組織(MALT、Mucosa−Assoc
iated−Lymphoid−tissue)B細胞リンパ腫であることを示
す。ITRA4及びITRA5タンパク質をコードするRNAのハイブリダイゼ
ーションの検出は、B細胞悪性腫瘍がマントル細胞リンパ腫であることを示す。
上記方法のある態様では、前記B細胞悪性腫瘍には1q21染色体再編成が含ま
れる。当業者であれば、悪性腫瘍、例えば腫瘍サンプルの病理を検出/診断する
リンパ腫の指標となり得る他の標準的な方法と組み合わせて、上記方法を診断の
補助として使用するであろう。次いで、上記方法は、B細胞リンパ腫、あるいは
上記のように、より具体的には、前記悪性腫瘍はMALT B細胞リンパ腫又は
マントル細胞リンパ腫に限定することができるであろう。
【0051】 当業者であれば、核酸オリゴヌクレオチド(すなわち診断法の対象とすべきタ
ンパク質をコードする核酸プローブ)への核酸分子のハイブリダイゼーションを
検出する公知の方法に習熟している。本発明のIRTAタンパク質をコードする
核酸分子は、B細胞悪性腫瘍を検出するのに有用である。当業者であれば、サン
プル中のB細胞悪性腫瘍を検出するための上記方法の変法には、前記サンプルか
ら得た核酸を制限酵素で消化し、このようにして得られた核酸分子の断片を、ハ
イブリダイゼーションの前にサイズ分画することによって分離することが含まれ
るが、これらに限定されるものではないことを理解し得るであろう。
【0052】 被験者から得たサンプル中にB細胞悪性腫瘍を検出するための上記方法のある
態様では、前記検出可能なマーカーは放射性同位元素、酵素、色素、ビオチン、
蛍光標識、又は化学発光標識である。好ましい態様では、前記B細胞悪性腫瘍は
、B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、バーキットリンパ腫、周辺帯リンパ腫、びま
ん性巨大細胞リンパ腫、及び濾胞性リンパ腫細胞からなる群から選択される。さ
らなる態様では、前記B細胞リンパ腫は、粘膜関連リンパ組織B細胞リンパ腫(
MALT)である。別の好ましい態様では、前記B細胞リンパ腫は、非ホジキン
リンパ腫である。
【0053】 本発明は、ヒトIRTAタンパク質をコードするmRNA分子に特異的にハイ
ブリダイズして、前記mRNA分子の過剰発現を抑え得る配列を有するアンチセ
ンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0054】 前記アンチセンスオリゴヌクレオチドの好ましい態様では、前記IRTAタン
パク質は、ヒトIRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、及びIRT
A5タンパク質からなる群から選択される。IRTA1、IRTA2、IRTA
3、IRTA4、及び/又はIRTA5タンパク質をコードする核酸分子の上記
何れかのオリゴヌクレオチドのさらなる態様では、前記核酸は、ゲノムDNA又
はcDNAであり得る。
【0055】 当業者であれば、オリゴヌクレオチドの核酸ハイブリダイゼーションのための
慣用技術、例えばAusubel,F.M.らのCurrent Protoc
ols in Molecular Biology,(John Wiley
& Sons,New York,1998)、例えば、上昇した塩濃度の存
在下での65℃のストリンジェントな条件に習熟している。このような条件は完
全に相補的な核酸のハイブリダイゼーションに使用されるのに対して、ストリン
ジェントでない条件は、完全には相補的でない核酸のハイブリダイゼーションに
使用される。
【0056】 本明細書で使用する「特異的にハイブリダイズする」という用語は、ある核酸
が自身に対して相補的である核酸配列を認識し、相補的な塩基対間での水素結合
を通じて二重螺旋セグメントを形成し得ることを意味する。本明細書で使用する
「ユニークな配列」とは、IRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、
及びIRTA5タンパク質をコードする核酸分子のみに特異的な配列である。核
酸プローブ技術は当業者に周知であり、当業者であれば、このようなプローブの
長さは大幅に代えることができ、プローブの検出を容易にするために放射性同位
体又は蛍光色素などの検出可能な標識で標識してもよいことを容易に理解できる
であろう。IRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、及び/又はIR
TA5タンパク質をコードする核酸分子の検出は、対応するIRTA1、IRT
A2、IRTA3、IRTA4、及び/又はIRTA5タンパク質の発現レベル
が変化する任意の疾病過程の診断検査として有用である。DNAプローブ分子は
、全て本分野で周知の方法を用いて、哺乳類のIRTA1、IRTA2、IRT
A3、IRTA4、及び/又はIRTA5タンパク質又はそれらの断片をコード
するDNA分子を、プラスミド又はバクテリオファージのような適切なベクター
中に挿入した後に適切な細菌宿主細胞中に挿入し、DNAプローブを複製して、
採取することによって作製される。例えば、フェノール及びエタノールを用いて
細胞可溶化液からDNAを抽出し、(本明細書中に論述されている)ベクター中
への前記DNAの挿入部位に対応する制限酵素で消化して、電気泳動し、得られ
たゲルから切り出す。オリゴヌクレオチドプローブは、「インサイチュ」ハイブ
リダイゼーションに有用であり、該IRTA遺伝子ファミリーを発現している組
織の位置を決定するために、及び様々な生物組織におけるこれらの遺伝子(IR
TA1〜IRTA5タンパク質の何れかをコードする核酸分子)及びそれらのm
RNAの存在についてのその他のハイブリダイゼーションに有用である。さらに
、(DNA合成装置によって作製された)IRTA1、IRTA2、IRTA3
、IRTA4、又はIRTA5タンパク質をコードするDNA分子の配列に対し
て相補的な合成オリゴヌクレオチドは、これらの遺伝子に対するプローブ、それ
らの関連mRNAに対するプローブ、又はゲノムライブラリー若しくはcDNA
ライブラリーの相同性スクリーニングによって、又はポリメラーゼ連鎖反応のよ
うな増幅技術の使用によって関連遺伝子を単離するためのプローブとして有用で
ある。
【0057】 本発明は、図18Aに記載されたアミノ酸配列(配列番号1)を含む精製され
たIRTA1タンパク質を提供する。該精製されたIRTA1タンパク質のある
態様では、前記IRTA1タンパク質はヒトIRTA1である。
【0058】 本発明は、図18B−1−18B−3に記載されたアミノ酸配列(配列番号3
)を含む精製されたIRTA2タンパク質を提供する。該精製されたIRTA2
タンパク質のある態様では、前記IRTA2タンパク質はヒトIRTA2である
【0059】 本発明は、図18C−1−18C−2に記載されたアミノ酸配列(配列番号5
)を含む精製されたIRTA3タンパク質を提供する。該精製されたIRTA3
タンパク質のある態様では、前記IRTA3タンパク質はヒトIRTA3である
【0060】 本発明は、図18D−1−18D−2に記載されたアミノ酸配列(配列番号7
)を含む精製されたIRTA4タンパク質を提供する。該精製されたIRTA4
タンパク質のある態様では、前記IRTA4タンパク質はヒトIRTA4である
【0061】 本発明は、図18E−1−18E−2に記載されたアミノ酸配列(配列番号9
)を含む精製されたIRTA5タンパク質を提供する。該精製されたIRTA5
タンパク質のある態様では、前記IRTA5タンパク質はヒトIRTA5である
【0062】 以下に記載されている実験の詳細の部についての理解を助けるために、頻繁に
出てくる方法及び/又は用語は、Sambrook, et al.(1989
) and Harlow & Lane,Antibodies:A Lab oratory Manual , Cold Spring Harbor L
aboratories,Cold Spring Harbor,NY:19
88に最も詳しく説明されている。
【0063】 本発明は、図18A、18B−1−18B−3、18C−1−18C−2、1
8D−1−18D−2、又は18E−1−18E−2の何れかに示されているア
ミノ酸配列を有する精製されたIRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA
4、若しくはIRTA5タンパク質、又はそれらの断片のエピトープに対して誘
導された1又は複数の抗体を提供する。
【0064】 本明細書で使用する「抗体」という用語には、天然に存在する抗体と天然には
存在しない抗体の両者が含まれるが、これらに限定されるものではない。具体的
には、「抗体」という用語には、ポリクローナル及びモノクローナル抗体、並び
にそれらの結合断片が含まれる。さらに、「抗体」という用語には、キメラ抗体
、完全な合成抗体、及びそれらの断片が含まれる。前記ポリクローナル及びモノ
クローナル抗体は「精製」してもよく、「精製」とは、前記ポリクローナル及び
モノクローナル抗体に他の抗体が何れも存在しなくなることを意味する。本明細
書において、部分精製された抗体とは、1又は複数の本発明のIRTAタンパク
質の何れかに特異的に結合する抗体を含み、該抗体を与えた血清に比べてタンパ
ク質不純物が少ない抗体組成物を意味する。タンパク質不純物とは、1又は複数
の本発明のIRTAタンパク質に特異的な抗体以外のタンパク質である。例えば
、部分的に精製された抗体は、IgG調製物であり得る。
【0065】 ポリクローナル抗体(抗IRTA抗体)は、ウサギ、ラット、ヤギ、マウス、
又はその他の動物等の宿主動物に、以下に記載されている1又は複数の本発明の
免疫原(例えば、精製されたヒトIRTA1、IRTA2、IRTA3、IRT
A4、又はIRTA5)を注射することによって作製し得る。前記宿主動物から
血清を抽出し、前記免疫原に対して特異的なポリクローナル抗体を得るためにス
クリーニングされる。ポリクローナル抗体のスクリーニング法は、Harlow
& Lane,Antibodies:A Laboratory Manu al ,(Cold Spring Harbor Laboratories,
Cold Spring Harbor,NY:1988)(その内容は、参考
文献として本明細書に援用される)に開示されているもののように、当業者に周
知である。
【0066】 本発明の抗IRTAモノクローナル抗体は、例えば、免疫原(本明細書に記載
されているIRTAポリペプチド又はそれらの断片)でマウスを免疫することに
よって作製し得る。前記マウスは、免疫原性を示し得る量の上記免疫原を腹腔内
に接種された後、同じような量の該免疫原で追加免疫される。最終追加免疫の数
日後に前記免疫されたマウスから、脾臓を回収し、融合に用いるために該脾臓か
ら細胞懸濁物を調製する。
【0067】 ハイブリドーマは、Kohler,B. and Milstein, C.
, Nature(1975) 256:495−497の一般的な体細胞ハイ
ブリダイゼーション技術を用いて、脾臓細胞及び相手方となるマウス腫瘍から調
製され得る。10801 University Blvd.、Manassa
s、VA 20110−2209、U.S.A.の米国菌培養収集所(ATCC
)から得られるもののような使用可能なマウスの骨髄腫株を、前記ハイブリダイ
ゼーションに使用し得る。基本的には、前記技術には、ポリエチレングリコール
などの融合誘導因子を用いて前記腫瘍細胞と脾臓細胞を融合させることが含まれ
る。融合後に、融合培地から前記細胞を分離し、HAT培地のような選択培地中
で成育させて、ハイブリダイズしなかった親細胞を除去する。ハイブリドーマは
増殖させることができ、所望であれば、免疫化物質を抗原として用いて、慣用的
なイムノアッセイ操作(例えば、放射線免疫アッセイ)によって上清をアッセイ
してもよい。本発明の抗体の基準を満たすかどうかを調べるために、さらに陽性
クローンの性質を決定してもよい。このような抗体を産生するハイブリドーマは
、公知の操作を用いてインビトロ又はインビボで増殖させ得る。モノクローナル
抗体は、所望であれば、場合により、硫安分画、ゲル電気泳動、透析、クロマト
グラフィー、及び限外濾過のような慣用的な免疫グロブリン精製操作によって培
地又は体液から単離し得る。
【0068】 本発明の実施に際しては、上記抗体は何れも、検出可能なマーカーで標識し得
る。ある態様では、前記標識された抗体は、精製された被標識抗体である。「抗
体」という用語には、例えば、天然に存在する抗体と天然には存在しない抗体の
両者が含まれるが、これらに限定されない。具体的には、「抗体」という用語に
は、ポリクローナル及びモノクローナル抗体、並びにそれらの断片が含まれる。
さらに、「抗体」という用語には、キメラ抗体、完全な合成抗体、及びそれらの
断片が含まれる。検出可能な標識として機能する「検出可能な部分」は、当業者
に周知であって、蛍光標識、放射性原子、常磁性イオン、ビオチン、化学発光標
識、又は二次酵素の段階若しくは結合の段階によって、検出され得る標識が含ま
れるが、これらに限定されない。前記二次酵素の段階若しくは結合の段階では、
ジゴキシゲニン、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−
ガラクトシダーゼ、フルオレセイン、又はストレプトアビジン/ビオチンの使用
が含まれ得る。抗体を標識する方法は、本分野において周知である。
【0069】 被験者から血清を回収する方法は、当業者に周知である。抗体を部分精製する
方法も当業者に周知であり、例えば、濾過、イオン交換クロマトグラフィー、及
び沈殿が含まれる。
【0070】 本発明のポリクローナル及びモノクローナル抗体は、検出可能なマーカーで標
識し得る。ある態様では、前記標識された抗体は精製された被標識抗体である。
前記検出可能なマーカーは、例えば、放射性又は蛍光マーカーであり得る。抗体
を標識する方法は、本分野において周知である。
【0071】 本発明のポリクローナル及びモノクローナル抗体が、IRTAタンパク質を発
現している細胞(例えば、癌細胞)に結合して、前記細胞の表面上に存在する本
明細書に記載されている1以上のIRTAタンパク質又はそれらの断片と複合体
を形成し得るかどうかの決定は、当業者に周知の方法に従って実施し得る。好ま
しい態様では、前記決定は、フローサイトメトリー法によって実施し得る。
【0072】 本発明の抗体は、アフィニティークロマトグラフィーで用いられるような不溶
性マトリックスに結合し得る。本発明で使用する前記固定化されたポリクローナ
ル抗体又はモノクローナル抗体と複合体を形成する、すなわち結合する細胞の単
離は、当業者に周知の標準的な方法によってなし得る。例えば、単離は、固定化
抗体を用いるアフィニティークロマトグラフィーを具備し得る。
【0073】 あるいは、前記抗体は、遊離の抗体であり得る。この場合、単離は、遊離の標
識された一次抗体又は二次抗体を用いた細胞分別(cell sorting)
を備え得る。このような細胞分別法は標準的なものであり、当業者に周知である
【0074】 本発明は、IRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、及びIRTA
5からなる群から選択される精製されたIRTAタンパク質に対して誘導された
抗体を提供する。抗IRTA抗体の好ましい態様では、前記IRTAタンパク質
はヒトのIRTAタンパク質である。前記IRTAタンパク質は、マウスのIR
TAタンパク質を含む任意の哺乳類のIRTAタンパク質であり得る。上記何れ
かの抗体のさらなる態様においては、前記抗体はモノクローナル抗体である。別
の態様では、前記モノクローナル抗体は、マウスのモノクローナル抗体又はヒト
化モノクローナル抗体である。本明細書で使用する「ヒト化」とは、ヒト抗体の
特性を有する抗体を意味し、このような抗体は天然に存在しないものであり、抗
原決定基(これはマウスのものである)を除いて抗体がヒトに由来するハイブリ
ドーマ技術を用いて作製される。さらに別の態様では、前記抗体はポリクローナ
ル抗体である。
【0075】 好ましい態様では、本発明の抗体は何れも、治療剤(therapeutic
agent)に抱合(conjugate)させ得る。さらに好ましい態様で
は、前記治療剤は、放射性同位体、毒素、トキソイド、又は化学療法剤である。
本発明の抱合抗体は、以下に示されている何れの方法においても、B細胞癌を有
する患者に投与し得る。
【0076】 本発明は、ヒトIRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、及びIR
TA5からなる群から選択されるIRTAタンパク質を発現している癌細胞に結
合して前記癌細胞の増殖を抑えるのに有効である、IRTAタンパク質に対して
誘導された一定量の抗体と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物を提
供する。前記抗IRTA抗体は、IRTA1、IRTA2、IRTA3、IRT
A4、及びIRTA5からなる群から選択されるIRTAタンパク質のエピトー
プに対して誘導され得る。前記IRTAタンパク質は、ヒト又はマウスIRTA
タンパク質であり得る。
【0077】 上記薬学的組成物の好ましい態様では、前記癌細胞は、B細胞リンパ腫、多発
性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、周辺帯リンパ腫、びま
ん性巨大細胞リンパ腫、及び濾胞性リンパ腫細胞からなる群から選択される。前
記薬学的組成物の別の好ましい態様では、前記B細胞リンパ腫細胞は、粘膜関連
リンパ組織B細胞リンパ腫(MALT)細胞である。前記薬学的組成物の別の好
ましい態様では、前記B細胞リンパ腫細胞は、非ホジキンリンパ腫細胞である。
【0078】 本発明は、ヒトIRTAタンパク質の過剰発現を抑えるのに有効な一定量の上
記オリゴヌクレオチドの何れかと、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成
物を提供する。薬学的組成物の好ましい態様では、前記オリゴヌクレオチドは、
IRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、及びIRTA5からなる群
から選択されるIRTAタンパク質をコードする核酸分子である。前記IRTA
タンパク質は、ヒト又はマウスのIRTAタンパク質であり得る。
【0079】 本明細書で使用する「悪性」とは、転移し得ることを意味する。本明細書で使
用する「腫瘍細胞」とは、腫瘍から発生する、すなわち異なる組織又は異常な組
織の新しい増殖から発生する細胞である。前記腫瘍細胞及び癌細胞は、腫瘍塊の
一部として、又はそれらが発生した腫瘍塊から剥離した浮遊細胞として存在し得
る。
【0080】 本明細書で使用する悪性細胞には、B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、バーキッ
トリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、周辺帯リンパ腫、びまん性巨大細胞リンパ
腫、及び濾胞性リンパ腫が含まれるが、これらに限定されるものではない。前記
B細胞リンパ腫は、粘膜関連リンパ組織(MALT)B細胞リンパ腫、又は非ホ
ジキンリンパ腫である。
【0081】 本明細書で使用する「被験者」は、任意の動物又は人工的に改変された動物で
ある。人工的に改変された動物には、ヒトの免疫系を有するSCIDマウスが含
まれるが、これに限定されない。好ましい態様では、前記被験者はヒトである。
【0082】 本発明は、被験者から得たサンプル中の1q21染色体の再編成を備えたB細
胞悪性腫瘍を診断する方法であって、(a)前記被験者から前記サンプルを取得
することと、(b)検出可能なマーカーで標識された抗体が癌細胞の細胞表面上
に存在するヒトIRTAタンパク質と結合し得る条件下で、精製されたIRTA
タンパク質に対して誘導された抗体であって、前記癌細胞の細胞表面上に存在す
るヒトIRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、及びIRTA5 I
RTAタンパク質からなる群から選択されるヒトIRTAタンパク質と特異的に
結合し得る抗体に、工程(a)の前記サンプルを接触させることと、(c)工程
(b)において何らかの結合を検出することとを備え、結合の検出が、前記サン
プル中にB細胞悪性腫瘍の診断を示す方法を提供する。
【0083】 B細胞悪性腫瘍を診断する上記方法のある態様では、前記IRTAタンパク質
は、IRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、及びIRTA5からな
る群から選択される。該方法の別の方法では、前記IRTAタンパク質はヒト又
はマウスのIRTAタンパク質である。さらなる態様では、IRTAタンパク質
は精製される。該方法の好ましい態様では、前記B細胞悪性腫瘍は、B細胞リン
パ腫、多発性骨髄腫、バーキットリンパ腫、周辺帯リンパ腫、びまん性巨大細胞
リンパ腫、及び濾胞性リンパ腫細胞からなる群から選択される。該方法のさらに
別の態様では、前記B細胞リンパ腫は、粘膜関連リンパ組織B細胞リンパ腫(M
ALT)である。該方法の別の好ましい態様では、前記B細胞リンパ腫は、非ホ
ジキンリンパ腫である。
【0084】 本発明は、サンプル中のヒトIRTAタンパク質を検出する方法であって、(
a)上記抗IRTA抗体の何れかに、該抗体と前記サンプル中の前記IRTAと
の間で複合体が形成され得る条件下で、前記サンプルを接触させることと、(b
)工程(a)で形成された前記複合体を検出することによって、前記サンプル中
にヒトIRTAが存在することを検出することとを備えた方法を提供する。ある
態様では、検出される前記IRTAタンパク質は、それぞれ図18A、18B−
1−18B−3、18C−1−18C−2、18D−1−18D−2、又は18
E−1−18E−2の何れかに記されているアミノ酸配列を有するIRTA1、
IRTA2、IRTA3、IRTA4、又はIRTA5であり得る。上述のよう
に、形成された複合体の検出は、検出可能なマーカーで標識された抗体を用い、
標識された複合体の存在を決定することによって実施し得る。被験者から得たサ
ンプル中にヒトIRTAタンパク質を検出することは、被験者のB細胞悪性腫瘍
を診断する別の方法である。該診断方法のある態様では、前記B細胞悪性腫瘍は
、B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、バーキットリンパ腫、周辺帯リンパ腫、びま
ん性巨大細胞リンパ腫、及び濾胞性リンパ腫細胞からなる群から選択される。該
方法のさらに別の態様では、前記B細胞リンパ腫は、粘膜関連リンパ組織B細胞
リンパ腫(MALT)である。該方法の別の好ましい態様では、前記B細胞リン
パ腫は、非ホジキンリンパ腫である。
【0085】 本発明は、B細胞癌を有する患者を治療する方法であって、IRTAタンパク
質を発現している癌細胞に結合して、該癌細胞の増殖を抑えるのに有効な一定量
の抗IRTA抗体と薬学的に許容される担体とを前記患者に投与することによっ
て、前記患者を治療することを備えた方法を提供する。癌細胞の成長と増殖がこ
れにより阻害され、癌細胞は死滅する。上記方法のある態様では、前記IRTA
タンパク質はヒトIRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、及びIR
TA5からなる群から選択される。B細胞癌を有する患者を治療する上記方法の
好ましい態様では、前記抗IRTA抗体はモノクローナル抗体である。該方法の
別の態様では、前記モノクローナル抗体は、マウスのモノクローナル抗体又はヒ
ト化モノクローナル抗体である。前記抗体はキメラ抗体であり得る。さらなる態
様では、前記抗IRTA抗体はポリクローナル抗体である。ある態様では、前記
ポリクローナル抗体は、マウス又はヒトのポリクローナル抗体であり得る。好ま
しい態様では、前記B細胞癌は、B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、バーキットリ
ンパ腫、マントル細胞リンパ腫周辺帯リンパ腫、びまん性巨大細胞リンパ腫、及
び濾胞性リンパ腫細胞からなる群から選択される。別の好ましい態様では、前記
B細胞リンパ腫は、粘膜関連リンパ組織B細胞リンパ腫(MALT)である。さ
らなる好ましい態様では、前記B細胞リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫である。
B細胞癌を有する患者を治療する上記方法の好ましい態様では、IRTAタンパ
ク質を発現している癌細胞に結合するのに有効な一定量の抗IRTA抗体の投与
は、静脈内、腹腔内、くも膜下腔内、リンパ管内、筋肉内、病変部内、非経口、
硬膜外、皮下、注入(infusion)、リポソームを介した送達、エアロゾ
ル送達、局所、経口、鼻腔、肛門、眼、又は耳からの送達である。上記方法の別
の好ましい態様では、前記抗IRTA抗体を治療剤に抱合させてもよい。さらな
る好ましい態様では、前記治療剤は放射性同位体、毒素、トキソイド、又は化学
療法剤である。
【0086】 本発明は、B細胞癌を有する患者を治療する方法であって、ヒトIRTAタン
パク質をコードするmRNA分子に特異的にハイブリダイズして、前記ヒトIR
TAタンパク質の過剰発現を抑えて、1又は複数のIRTAタンパク質を発現し
ている癌細胞の細胞増殖を停止させ、又は細胞死を誘導させ得る配列を有する一
定量のアンチセンスオリゴヌクレオチドと、薬学的に許容される担体とを前記患
者に投与することにより前記患者を治療することを備えた方法を提供する。B細
胞癌を有する患者を治療する上記方法のある態様では、前記IRTAタンパク質
はヒトIRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、及びIRTA5タン
パク質からなる群から選択される。好ましい態様では、前記B細胞癌は、B細胞
リンパ腫、多発性骨髄腫、バーキットリンパ腫、周辺帯リンパ腫、びまん性巨大
細胞リンパ腫、及び濾胞性リンパ腫細胞からなる群から選択される。別の好まし
い態様では、前記B細胞リンパ腫は、粘膜関連リンパ組織B細胞リンパ腫(MA
LT)である。さらに別の好ましい態様では、前記B細胞リンパ腫は、非ホジキ
ンリンパ腫である。IRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、及び/
又はIRTA5タンパク質をコードする核酸分子の上記オリゴヌクレオチドの何
れかの実施態様では、前記核酸はゲノムDNA又はcDNAであり得る。B細胞
癌を有する患者を治療する上記方法のさらなる好ましい態様では、ヒトIRTA
タンパク質の過剰発現を抑えるのに有効な量のオリゴヌクレオチドの投与は、静
脈内、腹腔内、くも膜下腔内、リンパ管内、筋肉内、病変部内、非経口、硬膜外
、皮下、注入、リポソームを介した送達、エアロゾル送達、局所、経口、鼻腔、
肛門、眼、又は耳からの送達である。上記方法の別の好ましい態様では、前記オ
リゴヌクレオチドを治療剤に抱合させてもよい。さらなる好ましい態様では、前
記治療剤は放射性同位体、毒素、トキソイド、又は化学療法剤である。
【0087】 本発明は、上記された有効量の前記オリゴヌクレオチド又は前記抗体のうちの
何れかと、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物も提供する。本発明に
おいて、本発明において、「有効量」とは、前記オリゴヌクレオチド又は抗体が
有効である疾病又は異常に罹患している患者に投与したときに有効であり、前記
疾病又は異常の減少、軽減、又は退行をもたらす任意の量のオリゴヌクレオチド
又は抗体である。本発明において、「薬学的に許容される担体」は、薬学的組成
物を調合するのに有用な当業者に公知である任意の生理的担体である。
【0088】 薬学的に許容される担体は当業者に周知であり、0.01〜0.1M、好まし
くは0.05Mのリン酸緩衝液、又は0.8%の生理的食塩水が含まれるが、こ
れらに限定されるものではない。さらに、このような薬学的に許容される担体は
水性又は非水性の溶液、懸濁液、及びエマルジョンであり得る。非水性溶媒の例
は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油
、及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。水性担体には、
生理的食塩水及び緩衝化された溶媒を含む水、アルコール/水溶液、エマルジョ
ン又は懸濁液が含まれる。非経口ビークルには、塩化ナトリウム容器、リンガー
のデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸加リンガー液、又
は不揮発性油が含まれる。静脈内ビークルには、流体及び栄養素補充液、リンガ
ーのデキストロースを基礎とするもののような電解質補充液などが含まれる。例
えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなどの防腐剤及び他の添加物
が存在してもよい。
【0089】 ある好ましい態様では、前記薬学的担体は液体であって、前記薬学的組成物は
溶液の形態であり得る。同様に好ましい別の様態では、前記薬学的に許容される
担体は固体であって、前記組成物は粉末又は錠剤の形態である。さらなる態様で
は、前記薬学的担体はゲルであって、前記組成物は坐剤又はクリームの形態であ
る。さらなる態様では、前記化合物は、薬学的に許容される経皮パッチの一部と
して調合され得る。
【0090】 固体の担体には、香料、潤滑剤、可溶化剤、懸濁剤、賦形剤、流動促進剤(g
lidant)、圧縮補助剤、結合剤、又は錠剤崩壊剤としても作用し得る1以
上の物質が含まれ得る。固体担体はカプセル化物質でもあり得る。粉末では、前
記担体は、細粉化された活性成分と混合されている細粉化された固体である。錠
剤では、前記活性成分は、必要な圧縮特性を有する担体と適切な比率で混合され
、所望の形状とサイズに圧縮される。好ましくは、前記粉末と前記錠剤は、前記
活性成分を99%まで含有する。適切な固体担体には、例えば、リン酸カルシウ
ム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、デン
プン、ゼラチン、セルロース、ポリビニルピロリジン、低融解ワックス、及びイ
オン交換樹脂が含まれる。
【0091】 液体担体は、溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エリクシル剤、及び加
圧された組成物を調製するために用いられる。前記活性成分は、水、有機溶媒、
若しくは両者の混合物、又は薬学的に許容されるオイル若しくは脂肪等の薬学的
に許容される液体担体中に、溶解又は懸濁し得る。前記液体担体は、可溶化剤、
乳化剤、緩衝液、防腐剤、甘味料、香料、懸濁剤、濃縮剤、色素、粘度調節剤、
安定剤、又は浸透圧調節剤のような他の適切な薬学的添加剤を含有し得る。経口
投与及び非経口投与用の液体担体の適切な例には、水(部分的に上記のような添
加物、例えばセルロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリ
ウム溶液を含有する)、アルコール(一価アルコール及び多価アルコール、例え
ばグリコールを含む)及びそれらの誘導体、並びにオイル(例えば、ヤシ油とピ
ーナッツ油)が含まれる。非経口投与の場合、前記担体は、オレイン酸エチル及
びミリスチン酸イソプロピルのような油状エステルでもあり得る。滅菌された液
体担体は、非経口投与用の滅菌された液体形態の組成物において有用である。加
圧された組成物用の液体担体は、ハロゲン化炭化水素又は他の薬学的に許容され
る噴射剤であり得る。
【0092】 滅菌溶液又は懸濁液である液体の薬学的組成物は、例えば、筋肉内、くも膜下
腔内、硬膜外、腹腔内又は皮下投与によって使用し得る。滅菌溶液は、静脈内に
も投与され得る。前記化合物は、滅菌固体組成物として調製することができ、投
与時に、滅菌水、滅菌生理食塩水、又は他の適切な注射可能な滅菌媒体を用いて
、溶解又は懸濁し得る。担体は、必要な不活性結合剤、懸濁剤、潤滑剤、香料、
甘味料、防腐剤、色素、及びコーティング剤を含み得る。
【0093】 前記オリゴヌクレオチド又は抗体を含む前記薬学的組成物は、他の溶質又は懸
濁剤(例えば、前記溶液を等張にするのに十分な量の生理食塩水又はグルコース
、胆汁塩、アカシア、ゼラチン、モノオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート8
0(エチレンオキサイドと共重合したソルビトールのオレイン酸エステルとその
無水物)等)を含有する滅菌溶液又は懸濁液の形態で、経口投与することができ
る。
【0094】 前記オリゴヌクレオチド又は前記抗体を含む薬学的組成物は、液体又は固体の
うち何れの形態の組成物としても、経口投与することが可能である。経口投与に
適した組成物には、丸薬、カプセル、顆粒、錠剤、及び粉末のような固体形態と
、溶液、シロップ、エリクシル剤、及び懸濁液のような液体形態とが含まれる。
非経口投与に有用な形態には、滅菌溶液、エマルジョン、及び懸濁液が含まれる
【0095】 投与すべき最適な用量は当業者によって決定することが可能であり、使用して
いる阻害剤、調製物の強度、投与方法、及び病状又は異常の進行度に応じて変化
し得る。患者の年齢、体重、性別、食事、投与時間を含む、治療を受けている当
該患者に応じた更なる要素によっても、用量を調節する必要性が生じるであろう
【0096】 本発明は、以下の実験の詳細を通じて、よりよく理解されるであろう。しかし
ながら、当業者であれば、論述されている具体的な方法及び結果は、この後に続
く特許請求の範囲により完全に記載されている本発明の例示に過ぎないことを容
易に理解し得るであろう。
【0097】
【実験の詳細】
第1シリーズの実験 多発性骨髄腫(MM)に関連した染色体転座の分子分析によって、この悪性腫
瘍の病因は多様であるかもしれず、BCL−1、MUM−1及びFGFR3を含
む数種の別個の癌遺伝子に関連していることが示された。染色体14q32との
転座を含む染色体1q21の構造異常は、多発性骨髄腫に関連した細胞遺伝学的
異常を表すことが多い。これらの転座に関連した遺伝子を同定するために、FR
4ヒト形質細胞腫細胞株で検出され得るt(1;14)(q21;q32)の両
派生物に対応した限界点領域をクローニングした。この限界点配列を分析したと
ころ、14q32上のイムノグロブリン重鎖(IgH)座と1q21上の未知の
配列との相互組換えが含まれていることが示された。転座に関連した1q21領
域に対応する正常な遺伝子座をクローニングして、限界点領域に隣接した遺伝子
をエキソントラップ法によって同定した。互いに20Kbの距離内に位置する2
種の遺伝子が、1q21上の限界点を含む領域に発見された。第1の遺伝子は、
MUM−2(多発性骨髄腫―2)と呼ばれ、脾臓及びリンパ節において検出可能
な2.5KbmRNA転写物として発現される。完全長MUM−2cDNAをク
ローニングし、配列決定すると、4種の細胞外Ig型ドメイン、膜貫通ドメイン
及び細胞質ドメインを含む515個のアミノ酸の細胞表面糖タンパク質であって
、最初の3個の細胞外ドメインはFcガンマ受容体Iと37%の同一性(51%
の相同性)を有していることが予測される。FR4細胞では、転座限界点はMU
M−2コーディングドメインを分断し、同じ転写方向にIgH座と並列させる。
結果として、構造が異常なFR4特異的MUM−2は、リンパ節及び脾臓におい
て転写され(3.0、5.2及び6.0Kb)、Fcガンマ及びIg型接着受容
体ファミリーのメンバーに相同な6種のIg型ドメインを含む細胞外ドメインを
有したタンパク質をコードする。MUM−2及びMUM−3遺伝子の構造及びM
M関連転座にそれらの遺伝子が直接関与しているということは、これらの遺伝子
が正常なリンパ球機能及びB細胞悪性腫瘍にとって重要な新規細胞表面受容体を
コードすることを示唆している。
【0098】 第2シリーズの実験 実験の手順 細胞株: 本研究に使用したMM細胞株(FR4、U266、JJN3、EJM、SKM
M1、RPMI−8226、XG1、XG2、XG4、XG6、XG7)につい
ては、既に報告されている(Tagawa et al.、1990)、(Je
rnberg et al.、1987)、(Hamilton et al.
、1990;Jackson et al.、1989)、(Eton et
al.、1989)、(Zhang et al.、1994)。FR4細胞株
は、本出願人のうちの一人(S.T.)の所属する研究室で確立されたものであ
る。U266、JJN3、及びEJM細胞株は、Dr.K.Nilsson(U
niversity of Uppsala、Uppsala、Sweden)
から恵与されたものであり、SKMM−1細胞株はA.N.Hougton(M
emorial Sloan Kettering Cancer Cente
r、New York、NY)から恵与された。5種のXG細胞株は、Dr.B
ernard Kleinから恵与されたものであり、既に記載されたように1
ng/mlのヒト組換えIL−6の存在下で培養した(Zhang et al
.、1994)。1q21異常を有するBL細胞株については、既に記載されて
おり(Polito et al.、1995)、(Magrath et a
l.、1980)、RPMI、10%FCS中で増殖させた。
【0099】 ゲノム及びcDNAライブラリーのスクリーニング及びDNA配列の分析: FR4ゲノムDNAをBamHIで完全消化するか、又はSau3AIで部分
消化して、その後ゲル精製画分をlDASH−IIファージベクター(Stra
tagene)に連結することによって2種のゲノムライブラリーを構築した。
Ca遺伝子座から得られた4.2kbのXhoI−BamHIプローブを用いて
BamHIライブラリーをスクリーニングし、既に記載した5′Saプローブを
用いてSau3AIライブラリーをスクリーニングした(Bergsagel
et al.、1996)。ヒト胎盤DNAライブラリー(Stratagen
e)をプローブ1.0EH(図8A〜8C)でスクリーニングすると、生殖系列
1q21遺伝子座が得られた。ライブラリーのスクリーニング及びプラーク単離
は、確立された方法によって実施した(Sambrook et al.、19
89)。IRTA1及びIRTA2 cDNAクローンは、正常なヒトの脾臓R
NAから構成されたオリゴ−dT/ランダムプライムcDNAライブラリー(C
lontech)から単離された。ライブラリーのスクリーニングに使用された
IRTA1 cDNAプローブは、エキソン1及び3に隣接したプライマーを用
いたヒト脾臓cDNAのRT−PCRから得られた。DNA配列決定は、ABI
373自動シークエンサー(Applied Biosystems)によっ
て実施した。配列相同性の検索は、国立生命工学情報センター(Bethesd
a、MD)のBLAST e−メールサーバーを通じて行った。
【0100】 PAC及びYAC単離及びエキソントラップ法: ヒトPACクローンは、ナイロン膜(Research Genetics)
にスポットしたヒトPACライブラリーを1.0EHプローブでスクリーニング
することによって得られた(図8A−8C)。英国ヒトゲノムマッピング情報セ
ンター(UK−HGMP)から得られたZeneca(以前は、ICI)ヒトY
ACライブラリー(Anand et al.、1990)を、PCRをベース
としたプール法を使用してスクリーニングした。エキソントラップ法は、エキソ
ントラップシステム(Gibco BRL)を使用して、製造元の指示に従って
実施した。
【0101】 PAC/YAC末端クローンの単離、パルスフィールドゲル電気泳動法(PF
GE)及び蛍光インサイチュハイブリダイゼーション法(FISH)による分析
: PAC DNAの抽出は、標準的アルカリ溶解法(Drakopoli et
al.、1996)によって実施した。既に記載されたように(Iida e
t al.、1996)、vectorette−PCR法を使用して、PAC
及びYAC末端プローブを単離した(Riley et al.、1990)。
PFGE分析は、CHEF Mapperシステム(BioRad、Hercu
les、CA)を使用して標準プロトコール(Drakopoli N et
al.、1996)に従って実施した。PAC DNAのビオチン標識、染色体
の調製及びFISHは、既に記載されたように実施した(Rao et al.
、1993)。
【0102】 サザンブロット及びノザンブロット分析、RACE及びRT−PCR: サザンブロット及びノザンブロット分析は、既に記載されたように実施した(
Meri et al.、1991)。ノザンブロット分析では、全RNAはチ
オシアン酸グアニジウム法を使用して調製し、ポリ(T)コーティングビーズ(
Quigen製のOligotexキット)を使用してポリ(A)RNAを選択
した。ノザンブロットでは、レーン毎に2mgのポリ(A)RNAを添加した。
複数組織用ノザンフィルターをClontechから入手した。RACEは、M
arathon cDNA増幅キット(Clontech)及びMaratho
n−Ready脾臓cDNAを使用して実施した。1本鎖cDNA合成は、Su
perscript RT−PCRシステム(Gibco BRL)を使用して
実施した。
【0103】 インサイチュハイブリダイゼーション: ジゴキシゲニンを含むアンチセンスcRNA及びセンスcRNAプローブは、
それぞれT3及びT7RNAポリメラーゼを用いて、cDNAのコーディング領
域(IRTA1の62〜1681のヌクレオチドとIRTA2の18〜2996
のヌクレオチド)を含む直鎖化したpBluescript KS+プラスミド
から転写された。Columbia Presbyterian Medica
l Center、小児科病院において、小児から外科的に切除されたヒト肥厚
扁桃組織を粉末ドライアイス中で急速冷凍した。処理の前に、−80℃で数日間
クリオスタット切片を保存した。非放射活性インサイチュハイブリダイゼーショ
ンは、パラホルムアルデヒド4%での固定時間を20分に増加し、プロテイナー
ゼK処理を省略する以外は、基本的に記載された通りに(Frank et a
l.、1999)実施した。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、
68℃、5xSSC、50%ホルムアルデヒドであった。アルカリホスファター
ゼ抱合抗ジゴキシゲニン抗体染色は、BCIP/NBT基質で発色させた。
【0104】 トランスフェクション、免疫沈殿及びウェスタンブロッティング: DMEM、10%FCS中で増殖させた293細胞(ATCC)に、標準的リ
ン酸カルシウム法によって、pMT2T及びpMT2T−IRTA1/Ca一過
性発現構築物を一過性にトランスフェクトした。後者の構造物は、IRTA1/
Ca RT−PCR生成物を使用して、MR4から作製した。細胞(2x10 の形質移入体と2x10の残りの細胞株)を、プロテアーゼ阻害剤カクテル(
Roche Biochemicals)の存在下で、トリトンX−100溶解
緩衝液(150mM NaCl、10mM Tris−HCl[pH7.4]、
1%Tx−100、0.1%BSA)で可溶化した。IgA膜ペプチドの細胞外
部分に対して作製した4mg/mlのモノクローナル抗体#117−332−1
(Yu et al.、1990)(Tanox Biosystems、In
c、Houston、Texas)とともに、4℃で2時間溶解物をインキュベ
ートした。10〜20%のTris−HCl勾配ゲル(BioRad)で電気泳
動を行う前に、タンパク質G−セファロース(Pharmacia)を用いて免
疫複合体を単離して、前記15mg/mlの#117−332−1抗体を使用し
てイムノブロッティングした。結果をECL(Amersham)で可視化した
【0105】 結果 t(1;14)(q21;q32)の分子クローニング: 「非正統的(illegitimate)」スイッチ組換え現象の結果、Ig
重鎖(IGH)遺伝子座を含む染色体転座は、IgHスイッチ領域内又は近傍で
起こることが多い(Dalla−Favera et al., 1983;
Chesi et al., 1996; Chesi et al., 19
98)。サザンブロットハイブリダイゼーションアッセイにより、IGH定常(
)領域配列がIGH接合(J)領域及び5’スイッチ領域(S)配列との
シンテニー相関を失った再編成された対立遺伝子として、組換えの限界点を検出
することができる(Dalla−Favera et al., 1983;N
eri et al., 1988;Neri et al., 1991;
Bergsagel et al., 1996)。該アッセイによって、B−
NHL及びMMにおけるIgH遺伝子座に対するいくつかの染色体パートナーが
同定されるに至った(Taub et al., 1982; Dalla−F
avera et al., 1983; Neri et al., 198
8; Neri et al., 1991; Ye et al., 199
3; Chesi et al., 1996; Richelda et a
l., 1997; Iida et al., 1997; Dyomin
et al., 1997; Dyomin et al., 2000)。F
R4(細胞遺伝学的解析によって、t(1;14)(q21;q32)を保有す
ることが判明している骨髄腫細胞株)(Tagawa et al., 199
0; Taniwaki M, 未発表結果)における前記1q21限界点をク
ローニングするために、本発明者は前記方法と同じ方法を採用した。サザンブロ
ットハイブリダイゼーション解析により、FR4中のCα重鎖遺伝子座内部に2
つの「非正統的」に再編成された断片を同定し(データは示さず)、FR4ゲノ
ムDNAから構築されたファージライブラリーからクローニングした。制限酵素
マッピング、サザンブロットハイブリダイゼーション及び2つのゲノムファージ
(クローンλFR4B−5及びλFR4S−a、図8A)のヌクレオチドを部分
的に配列決定することによって、該組換え断片は14q32上のCα座と非I
GH配列との間での相互均等転座の染色体限界点を含んでいることが示された。
次いで、ファージ、P1人工染色体(PAC)、及び酵母人工染色体(YAC)
ヒトゲノムライブラリーから対応する正常なゲノム遺伝子座をクローニングする
ためにこれらの非IGH配列を示すプローブ(1.0EH)(図8A)を用いた
。前記限界点領域にわたる100−kbの非キメラPACクローン49A16(
下記参照、図13)を用いた正常なヒトの中期スプレッドの蛍光インサイチュハ
イブリダイゼーション(FISH)解析によって、相手方の染色体遺伝子座がバ
ンド1q21に由来することが同定された(図8C)。1番染色体内の単一遺伝
子座へのマッピングは、個々のヒト染色体の代表的な体細胞ハイブリッドパネル
から得られたDNAに対する2つの非反復配列プローブのハイブリダイゼーショ
ンによって確認した(データは示していない)。これらの結果はFR4における
t(1;14)(q21;q32)を包含する配列の前記クローニングと一致し
た。
【0106】 派生した染色体上の限界点領域の配列解析、及び生殖細胞系列の14q32及
び1q21遺伝子座とのアラインメントによって、14番染色体上のCH3とC
αの膜貫通エキソン間で、イントロン中に限界点が生じていることが明らかと
なった。限界点領域には組換えシグナル配列(RSS)又はスイッチシグナル配
列(Kuppers et al., 1999)が欠損していたが、生殖細胞
系列の14番染色体及び1番染色体の両方の限界点接合部には配列CTTAAC
(図8Bでは下線が付されている)が存在していた。派生した各染色体には、d
er(1)コピー中に僅かな変化を伴う(最後のヌクレオチド中の点突然変異:
CからG)該配列が1コピー存在した。1番染色体上のCTTAACに先行する
ヌクレオチドATも派生した両染色体中に存在した(図8B)。転座によって1
番染色体配列の欠失は起こらなかった。これに対して、本発明者らは、der(
1)の14番染色体の部分には、限界点接合の上流に2つの欠失、すなわち、1
6ヌクレオチドの欠失(GGCACCTCCCCTTAAC)及び6ヌクレオチ
ド上流の4ヌクレオチド欠失(TGCA)を観察した(図8B)。これらの観察
は、FR4細胞中のt(1;14)(q21:q32)がおそらく両染色体上の
相同な配列(CTTAAC)の存在によって促進された均等な相互転座であるこ
とを示している。
【0107】 1q21限界点領域は免疫グロブリン受容体スーパーファミリーの新規メンバ
ーをコードする遺伝子を含有する: 次に、本発明者らは、FR4中の転座限界点を包含する染色体1q21の領域
が転写ユニットを含むかどうかを調べた。部分的にオーバーラップするPACク
ローン49A16と210K22(図13)から得たDNAをプラスミド中に「
ショットガン」クローニングし、配列を決定し、ヒトゲノムデータベースにおけ
る既知の遺伝子との相同性に関する解析を行った。平行して、エキソントラッピ
ング法(Church et al., 1994)により49A16PAC上
の候補遺伝子を探索した。
【0108】 1q21ゲノムクローンへの候補エキソンのマッピングによりFR4限界点は
捕捉された2つのエキソンの間で(両エキソンは脾臓RNAを用いたRT−PC
Rによって連結され得るので、同一の転写産物上に存在する)(下記参照、図1
3)起こっていることが明らかとなった。次いで、該転写産物に相当する完全長
クローンを単離するために脾臓cDNAライブラリーをスクリーニングするため
のプローブとして該RT−PCR産物を用いた。2セットのcDNAクローンが
同定され、両者は2つの異なる転写産物であり、443bpプローブ領域内にお
いて76%のmRNA配列の相同性を示した。5’及び3’伸長産物を生成する
ヒト脾臓cDNAに対するRACEによって、両転写産物の完全長cDNAクロ
ーンを得た。
【0109】 最初の転写物に相当するcDNAの模式図を図9Aに図示した。3’非翻訳領
域内のポリアデニル化部位と思われる3つの部位を交互に用いることによって、
同じ推定515アミノ酸のタンパク質をコードする2.6、2.7、3.5kb
の3つのmRNA種が生じる(図9A)。該タンパク質の予想される特徴は、[
−3, −1]ルールに従う(von Heijne, 1986)シグナルペ
プチド、3つのアスパラギン(N)結合グリコシル化候補部位を有する4つの細
胞外Ig型領域(図9A)、3つのコンセンサスSrc−相同性 2(SH2)
−結合ドメインの候補(Unkeless and Jin, 1997)を伴
う16アミノ酸の膜貫通ドメインと106アミノ酸の細胞質ドメインを含む(図
10B)。これらの(SH2)−結合ドメインは、ITAM(mmune−r
eceptor yrosine−based ctivation
tif−D/EX/EXYXXL/IX6−8YXXL/I;Xは非保存的
な残基を表す)(Reth, 1989)とITIMモチーフ(mmune−
receptor yrosine−based nhibition otif−S/V/L/IYXXL/V、Xは非保存的な残基を示す)(Unk
eless and Jin, 1997)特徴をともに示す。図10Bに示さ
れているように、最初の2つのSH2−結合ドメインは8アミノ酸離れており、
コンセンサスITAMモチーフと一致する。前記コンセンサスから派生して、グ
ルタミン酸残基(E)が最初のチロシン残基(Y)の2アミノ酸はなく、4アミ
ノ酸前に位置し(図10B)、チロシン(Y)から+3位はロイシン(L)又は
イソロイシン(I)ではなくバリン(V)によって占められている(Cambi
er, 1995)。3つ全てのドメインがITIMコンセンサスに一致し、I
TIMの場合、各々が別個のエキソンでコードされる。従って、それらの編成は
3つのITIMか、又は1つのITAMと1つのITIMを生じ得る。該タンパ
ク質の全体的構造から、該タンパク質はIgスーパーファミリーの新規膜貫通型
受容体であることが示唆され、このためIRTA1(mmune ecep
tor ranslocation ssociated gene 1)
と名付けられた。
【0110】 第2のcDNAはIRTA1と相同性を示し(細胞外ドメインをコードするI
RTA1メッセージの長さに対して68%のヌクレオチド同一性)、IRTA2
と名付けられた。IRTA2遺伝子座はIRTA1よりも複雑であり、異なる分
子量(それぞれ、2.8、4.7、及び5.4kb)を有する3つの主要なmR
NAイソフォーム(IRTA2a、IRTA2b、IRTA2c)へと転写され
、それぞれ固有の3’非翻訳領域を有する(図9B)。さらに、IRTA2の5
36番目のヌクレオチドの早期ポリアデニル化シグナルを用いて、0.6kbの
転写産物(図12A)が生じる。該転写産物によってコードされる前記3つの予
想されるIRTA2タンパク質のイソフォームは560残基まではアミノ酸配列
が共通しており、共通のシグナルペプチド及び6個の細胞外Ig型ドメインを有
する(図9B)。IRTA2aはC末端に13個の主として極性のユニークなア
ミノ酸が続く8つのIg−型ドメインを有する759アミノ酸の分泌型糖タンパ
ク質をコードする。IRTA2bは、560番目のアミノ酸残基においてIRT
A2aから派生し、32の短いアミノ酸残基がさらに付加されており、その疎水
性はGPI−アンカーを介した細胞膜へのドッキングに適している(Fergu
nson and Williams, 1988)。IRTA2cは、IRT
A2aの746番アミノ酸から分かれた配列を有する最も長いイソフォームであ
る。IRTA2cは、Nグリコシル化部位となり得る8個の部位を有する9個の
細胞外Ig−型ドメインと、23アミノ酸膜貫通ドメインと、3つのコンセンサ
スSH2−結合モチーフを伴う104アミノ酸の細胞質ドメインとを有するI型
膜貫通型糖タンパク質をコードする(図10B)。IRTA2c内の各SH2−
結合部位は、ITIMコンセンサスと一致し(図10B)、別個のエキソンによ
ってコードされる。これらの特徴は、IRTA2cが分泌型及びGPI−結合型
イソフォームを有するIgスーパーファミリーに属する新規膜貫通型受容体であ
ることを示唆している。
【0111】 IRTAタンパク質と免疫グロブリンスーパーファミリー受容体の相同性: IRTA1及びIRTA2の細胞外ドメイン全体のアミノ酸を互いに、又は他
のIgスーパーファミリーのメンバーと並列させるとそれらの間で顕著な相同性
があり(47%の同一性、51%の類似性)、これよりは低いがFcガンマ受容
体ファミリーのタンパク質とも高い相同性を示すことが明らかとなった。Fc受
容体の異なるクラス間で保存されているアミノ酸の部位では、この相同性はさら
に高かった。Fc受容体の中でも、高親和性IgG受容体FCGRI(CD64
)は、IRTA1及びIRTA2の全細胞外部分にわたって、最初の3つのIg
−ドメインと最も高レベルの相同性を示した(37%の同一性、50%の類似性
)(図10A)。IRTAタンパク質、及びヒト血小板内皮細胞接着分子(PE
CAM1)、B−リンパ球細胞接着分子(CD22)、及び胆管糖タンパク質1
(BGP1)を含む他の細胞表面分子の細胞外ドメインとの間では更に低いレベ
ルの相同性が観察された(22−25%同一性、38−41%相同性)。
【0112】 細胞質ドメインには、IRTAとFc受容体ファミリーのメンバーとの間に相
同性は全く見られない。これに対して、IRTA1とPECAM1の間(31%
のアミノ酸同一性、45%の相同性)、IRTA2cとBGP1の間(30%の
同一性、35%の相同性)、IRTA2cとPECAM1の間(28%の同一性
、50%の相同性)ではかなりのアミノ酸相同性が存在する(図10B)。これ
らの相同性は、これらの異なるタンパク質によって類似した下流の信号伝達経路
が利用されていることを示唆している。
【0113】 IRTA1及びIRTA2は、通常B細胞の特定の亜集団中で発現される: まず、様々な正常なヒトの組織に由来するRNA、並びに様々な造血系列及び
様々なB細胞発生段階に相当するヒト細胞株に由来するRNAのノザンブロット
ハイブリダイゼーションによってIRTA1及びIRTA2のmRNAの正常な
発現パターンを解析した。
【0114】 IRTA1の発現は、ヒト脾臓及びリンパ節RNAでは、非常に低レベルで検
出され(図11A、左図)、胎児肝臓、骨髄、肺、胎盤、小腸、腎臓、肝臓、大
腸、骨格筋、心臓及び脳を含む解析した他の全てのヒト組織には検出されなかっ
た(データは示していない)。B細胞株の中では、前B及び胚中心B細胞、形質
細胞、及び赤血球細胞、T細胞及び骨髄由来に相当する細胞株には、IRTA1
の発現は存在しなかった(データは示していない、材料と方法参照)。EBVで
不死化したリンパ芽球細胞株(LCL)(B細胞の分化における胚中心B細胞の
下流に位置する亜集団(免疫芽球)を表す)中に、低レベルで発現が検出される
にすぎなかった。しかしながら、エストロゲンを欠失させたER/EB細胞(E
BNA2遺伝子をエストロゲン受容体に融合させ、エストロゲンを除去してG /G期で停止されている間にエストロゲンの存在下で増殖する組換えEBVゲ
ノムによって不死化されている)において発現が誘導された(Kempkes
et al., 1995)。エストロゲンの存在下では、これらの細胞中にI
RTA1の発現は僅かに検出されたが、エストロゲンを除去して、G/G
を停止させると誘導された(10倍)(図11A、右図)。総合すると、これら
の結果は、IRTA1が脾臓及びリンパ節に存在するリンパ球系亜集団において
発現され、おそらく休止期のB細胞によって提示されることが示唆される。
【0115】 IRTA1を発現する細胞の表現型及び組織分布をさらに調べるために、本発
明者らはIRTA1アンチセンスcDNAプローブを用いてヒト扁桃組織に対す
るインサイチュハイブリダイゼーションを行った(図11B)。対照センスcD
NAプローブ(図11B中のパネル#1)、アンチセンスcDNAプローブ(パ
ネル#2)を用いたインサイチュハイブリダイゼーション、及びリンパ球組織の
構造の輪郭を明らかにするためのヘマトキシリンとエオシン(H&E)染色のた
めに連続切片を処理した。胚中心及びリンパ小節のマントルゾーンには前記IR
TA1ハイブリダイゼーションシグナルはなく、上皮内領域中への浸潤を伴って
、リンパ小節近傍のゾーンに特徴的に集中していた(図11B−2、11B−4
)。文献に報告されているように、該領域では、B細胞のみがB細胞特異的なマ
ーカーを用いた染色(IgD、示していない)によって、及び抗IRTA1抗体
、抗B抗体(CD20、PAX5)、抗T抗体(CD−3)、及び抗単球抗体(
CD68)を用いた免疫組織化学的解析によって(図示せず;G. Catto
retti et al., 投稿準備中)B細胞のみが陽性であった。該リン
パ小節近傍領域は扁桃腺の「周辺帯」に相当するものであり、大部分はメモリー
B細胞及び単球B細胞を含有する機能的に異なるB細胞コンパートメントである
(de Wolf−Peeters et al., 1997)。正常組織及
び細胞株のノザンブロット解析と合わせると、これらの結果は、リンパ小節近傍
及び上皮内領域(メモリーB細胞が豊富な部位)に形態的に位置する休止期の成
熟B細胞の亜集団中にIRTA1が発現していることを示している。
【0116】 IRTA2の場合には、ノザンブロット解析によりヒトリンパ節、脾臓、骨髄
及び小腸mRNA中に、全ての選択的スプライシング種が検出され、IRTA2
aイソフォームが比較的多量であった(図12A、左図)。テストしたリンパ球
及び非リンパ球由来の造血系細胞株の中では、IRTA2の発現は免疫芽、胚中
心後の表現型を有するB細胞株に限定されていた(図12A、右図)。IRTA
1と同様に、前B細胞、胚中心の胚中心細胞、形質細胞、T細胞、赤血球細胞、
骨髄細胞由来の細胞株ではIRTA2の発現はなかった(図12A、右図)。
【0117】 IRTA2cのcDNAをプローブとして用いたヒト扁桃組織のインサイチュ
ハイブリダイゼーション解析はノザンブロット解析の結果と一致した。少数の陽
性細胞を除き、IRTA2のmRNAは胚中心のマントルゾーンではほとんど見
られなかった(図12B−2、12B4)。胚中心の中では、胚中心細胞に代表
される暗部帯はIRTA2陰性であるのに対して、中心細胞が豊富である明帯は
強く陽性であった(図12B−2、12B−4)。最後に、胚中心濾胞外の均等
な領域である「周辺帯」中と、扁桃腺の上皮内及びリンパ小胞間領域中にIRT
A2 mRNAが検出された。該パターンは中心細胞及び後胚中心B細胞におけ
るIRTA2の特異性と一致する。該発現パターンを比較して、IRTA1とI
RTA2は何れも成熟B細胞に特異的であるが、IRTA2は中心細胞及びリン
パ小胞間のB細胞を含むさらに広い発現パターンを示すのに対して、IRTA1
は周辺帯B細胞(おそらくはメモリー細胞)に限定されると本発明者らは結論す
る。
【0118】 IRTA1及びIRTA2遺伝子のゲノム構造: IRTA1及びIRTA2遺伝子の構造と発現に対する1q21異常の結果を
理解するために、本発明者らは、まずそれらのゲノム遺伝子座の構成を決定した
。IRTA1遺伝子は、11個のエキソンを含み、24.5kbの総ゲノムサイ
ズを有する(図13)。IRTA2遺伝子座は約40kbのゲノム領域にわたる
ことが判明した(図13)。3つのIRTA2の選択的スプライシング産物は、
最初の8個のエキソンを共有しており、この地点でIRTA2bは次のスプライ
シング部位を利用せず、その3’UTR領域に入ることによって終結する。IR
TA2aと2cイソフォームはエキソン9の中にスプライスし、IRTA2aは
エキソン11の後に3’UTRに入り、IRTA2cはエキソン12に入って、
エキソン18まで伸長する(図13)。
【0119】 配列データを元に、本発明者らは、IRTA1とIRTA2遺伝子が互いに2
1kb離れて存在しており、テロメア(5’)からセントロメア(3’)に向か
って伸びる同じ転写方向で並列していることを決定した(図13)。1q21座
において、これらの遺伝子は互いに強く連鎖しているとともに、本発明者らがI
RTAとの相同性に基づいて最近クローニングした3つの更なる遺伝子とも強く
連鎖している(I.M, 投稿準備中)。5つの遺伝子は全て近接しており、1
q21遺伝子座の〜300kbをカバーしている。該領域は以前に報告された1
q21限界点の間に存在する。前記各遺伝子を保有するゲノムクローン間のWh
itehead Institute Radiation Hybridマッ
プ上での距離に基づくと、IRTA1−2遺伝子座はMUC1遺伝子座からテロ
メア方向に約0.8Mb離れていると推定され(N.P, 未発表データ;Dy
omin et al., 2000;Gilles et al., 200
0)、FCGRIIB遺伝子座からはセントロメア方向に7Mb以下離れている
(N.P.,未発表データ)。
【0120】 t(1;14)(q21;q32)転座によって、FR4骨髄腫細胞株中にI
RTA1/Ca融合タンパク質が生じる: 生殖細胞系列とCa及びIRTA1遺伝子座由来の再編成された配列との比
較制限酵素解析及びヌクレオチド配列解析によって、前記転座はIRTA1遺伝
子のイントロン2内の配列をCH3とCaの膜貫通エキソン間のイントロン配
列に同じ転写方向で融合することが示された(図14A)。このことは、もしI
RTA1配列が転座した遺伝子座に発現するのであれば、IRTA1エキソンの
3’境界に位置する元の状態の供与部位とCaの5’に位置する元の状態の受
容部位とを融合IRTA1/CamRNA、及びおそらくはIRTA1/Ca 融合タンパク質を作製するために使用できることを示唆した。
【0121】 この予測をテストするために、本発明者らは、エキソン1由来のIRTA1c
DNAプローブを用いたノザンブロット解析によって、FR4におけるIRTA
1のmRNAの発現を解析した(図14A)。該プローブによって、他のB細胞
株には存在せず、ER/EB細胞中に検出される正常な2.5kbのメッセージ
よりも短い0.8kbのメッセ−ジがFR4中に検出された(図14B)。本発
明者らは、IRTA1エキソン1の5’境界に位置する配列とCα細胞内エキソ
ンの3’境界に位置する配列由来のプライマーを用いたFR4 mRNAのRT
−PCRによって、該転写産物をクローニングした(図14A)。FR4からR
T−PCR産物が得られたが、野生型の表面IgAを発現するDAKIKI細胞
株又はt(1;14)転座を欠く他の細胞株からは得られなかった(データは示
していない)。PCR産物を直接配列決定分析にかけることによって、正準的な
スプライシング部位において、スプライシングがIRTA1とCaを連鎖させ
ることが示され、融合転写産物が820bpの長さであることが決定された。
【0122】 予想タンパク質産物の解析によって、IRTA1/Cαスプライシングによ
り、IRTA1シグナルペプチドと最初の2つの細胞外アミノ酸の間に、膜Ig
(mIgA)受容体の32アミノ酸の細胞外スペーサー、膜貫通領域、及
び細胞内尾部を伴う融合が生じることが示された(図14C)。FR4タンパク
質抽出物中での該融合タンパク質の発現をアッセイするために、本発明者らは、
免疫沈降と続くウェスタンブロッティング用に、Cαの膜貫通イソフォームに
対して特異的な細胞外アミノ酸残基に対して誘導された抗体(Yu et al
., 1990)を用いた。FR4細胞はIRTA1/Cα融合タンパク質の
予想サイズと一致する9.8kDaのタンパク質を発現するが、野生型表面Ig
Aを発現する対照細胞株(DAKIKI)は該タンパク質を発現していないこと
が、晴我々の結果によって実証された(図14D)。これらの結果は、シグナル
ペプチドと、膜貫通ドメイン及び細胞質ドメイン(71アミノ酸)をコードする
Cαに融合されたIRTA1の最初の2つの細胞外残基(17アミノ酸)とか
ら構成される転座した対立遺伝子が融合タンパク質をコードしていることが示さ
れた。der(14)でのIRTA1/Caの過剰発現とは対照的に、FR4
では、相互Ca/IRTA1転写産物又はder(1)上に存在する元の状態
のIRTA2遺伝子の発現は全く検出されなかった。
【0123】 FR4を除いて、染色体バンド1q21の状態に関わらず、他の何れの骨髄腫
又はリンパ腫細胞株でも、IRTA1のmRNAの発現は見られなかった(デー
タは示していない)。従って、IRTA1/Ca融合は、1q21異常ではまれ
な現象といえる。
【0124】 1q21異常を保有する細胞株におけるIRTA2の発現の高頻度調節解除: 他の1q21限界点とIRTA1/2遺伝子座の間の物理的な関係を確定する
ために、本発明者らは、本発明者らのBL及びMM細胞株群に対してPAC 4
9A16を用いたFISH解析を行った。解析した10個のBL細胞株のうち、
7つはdup(1)(q21q32)を有し、3つは1q21転座(AS283
A、BL104、BL136)を有しており、本発明者らは、前者の7つに、後
者の2つにIRTA1/IRTA2遺伝子座に相当する3つのシグナルを検出し
、第1のケースではdup(1)(q21q32)と一致し、第2のケースでは
1q21に転座限界点が続くdup(1)(q21q32)と一致していた(表
1)。IRTA遺伝子座を包含するプローブを使用し、隣接するゲノムクローン
を用いるAS283A及びBL136のFISH解析によって、両細胞株ともに
、派生した染色体の限界点はIRTA遺伝子座の外側に存在することが決定され
、AS283ではセントロメアの方向に800kbより離れた距離に、BL13
6ではテロメア方向に800kbより離れた距離に位置していた(N.P, 未
発表結果)。かかる知見と一致して、300kbのYAC 23GC4を用い、
間期にFISHを行って、30症例のMM原発性腫瘍を解析することにより、1
5症例(解析を行った総症例の50%)は、2より多い間期のFISHシグナル
を有しており(データは示していない)、YACセントロメア及びテロメア境界
に隣接する2つのPACクローンを用いた二重染色FISHでは、これら2つの
プローブの分裂は何れの症例においても検出されなかった。これらの結果は、F
R4を除き、BL又はMM中の1q21異常の限界点がIRTA1とIRTA2
によって規定されるゲノム領域の内部、又はその近傍には存在しないことを示し
ている。しかしながら、不均等転座(表1中のAS283A、BL136、XG
2、XG7)が後ろに続いているdup(1)(q21q32)(表1参照)又
はdup(1)(q21q32)では、IRTA遺伝子を含有する1q21の部
分的なトリソミー又はテトラソミーという一貫した結果が得られている。
【0125】
【表1】 次に、本発明者らは、これらの異常がIRTA2のmRNAの発現に対して影
響を有するかどうかを調べた。この目的のため、本発明者らは、1q21染色体
異常を喪失又は表現する一群のB−NHL及びMM細胞株を用いてノザンブロッ
トをスクリーニングするために、IRTA2の5’非翻訳領域に相当するcDN
Aプローブを使用した。正常な1q21染色体を有する多くのBL株(10/1
2)では、IRTA2の発現が実質的に欠如していることを結果は示しており、
通常はIRTA2が発現していないGC中心細胞にBLが由来するという事実と
一致している(図15A、左図)。これに対して、1q21異常を保有する大部
分のBL株では(10/12)、正常な1q21を有するBLで検出された基底
値の2〜50倍のレベルにわたるIRTA2 mRNAのアップレギュレーショ
ンが明確に示された(図15A、右図)。骨髄腫細胞株の中では、IRTA2は
1q21異常(XG2)示す3つの株のうち1つの株において過剰発現されてい
たのに対して、正常な1q21を有する7つの株では全く発現していなかった(
図15B)。
【0126】 これらの結果は、1q21染色体異常の存在とBLにおけるIRTA2 mR
NA発現の調節解除との間に強い相関が存在することを示しており、IRTA2
遺伝子座のトリソミーが、該リンパ腫サブタイプの中でそれ自身の発現を調節解
除し得ることを示している。
【0127】 考察 本明細書に記載されているように、多発性骨髄腫及びB細胞リンパ腫において
バンド1q21に影響を与える染色体異常に関与する遺伝子を同定する努力によ
って、IRTA1及びIRTA2が発見された。両者は免疫受容体ファミリーに
属する関連受容体の新規サブファミリーの最初のメンバーであって、IRTA1
及びIRTA2タンパク質をコードする完全長の核酸配列が本明細書に記載され
ており、コードされているIRTA1とIRTA2タンパク質のアミノ酸配列が
同様に記載されている。続いて、関連する受容体の該サブファミリーのメンバー
として、3つの遺伝子IRTA3、IRTA4、IRTA5がさらに単離され、
その全長核酸配列と、IRTA3、IRTA4、IRTA5タンパク質をコード
するアミノ酸配列が本明細書に記載されている。これらの結果はB細胞の正常な
生物学及びリンパ腫生成における1q21異常の役割に関する示唆を与える。
【0128】 IRTA1及びIRTA2はIgスーパーファミリーにおける新規サブファミ
リーの最初のメンバーである: 2つのIRTA遺伝子間及び該遺伝子がコードするタンパク質間で共通する幾
つかの特徴は、これらの遺伝子が免疫受容体スーパーファミリー内の新規サブフ
ァミリーを形成することを示唆している。第1に、これらの遺伝子の細胞外ドメ
インは、他のスーパーファミリーのメンバーと比べて、mRNA配列(68%同
一性)とタンパク質配列(47%同一性)の両者が互いに高度の相同性を有して
いる。第2に、これらの遺伝子の細胞質ドメインが相同性を示し、相同性のある
アミノ酸配列に関して、ITAM様及びITIMシグナルモチーフが存在すると
いう特徴を有する。第3に、より高いファミリー内相同性を示し、1q21にお
いて〜300kb領域中に緊密なクラスターを成すさらに大きな5つの遺伝子の
ファミリーに、IRTA1及びIRTA2は属する(I.M. et al.,
投稿準備中)。Fc受容体ファミリーに関して提唱されているメカニズムと同様
に(Qiu et al., 1990)、遺伝子重複と配列の多様化というプ
ロセスによって、共通の祖先遺伝子がこのサブファミリーを生じさせた可能性が
あることをこれらの遺伝子のゲノム構造は示唆している。
【0129】 とりわけ高親和性のFCGRI受容体と高度のアミノ酸相同性を有することに
基づくと(37−45%のアミノ酸同一性)、IRTAタンパク質は、細胞外ド
メインがFc受容体サブファミリーと極めて近縁である。1q21上のFCGR
I遺伝子座と1q21−q23上のFCERI及びFCGRII−III遺伝子
座との間に、IRTAファミリーの遺伝子座が位置するということは、Fc受容
体と進化的な起源が共通することも示唆している。最後に、IRTA及びFCR
遺伝子は、シグナルペプチドをコードする遺伝子部位のエキソン/イントロン構
造が類似しており、とりわけ2つ目の21bpのエキソン内に位置するシグナル
ペプチド部位をコードする配列を有する2つの5’リーダーエキソンが類似して
いる。
【0130】 細胞内ITIM様モチーフに基づくと、IRTAタンパク質は阻害的受容体ス
ーパーファミリー(IRS)(免疫系の多くの細胞種の活性化を遮断する受容体
群)のメンバー(Lanier, 1998)であると考えることができる。こ
のようなメンバーには、ヒトではFCGRIIBとCD22(DeLisser
et al., 1994)が、マウスではPIR−B(Kubagawa
et al., 1997)を含まれる。IRSメンバーと同様に、IRTA1
とIRTA2のITIMは個々のエキソンにコードされる。多くのIRSメンバ
ーが共有する特徴は、その細胞質ドメインにITIMが欠如している対応する活
性化受容体イソフォームが存在ということである(総説、Ravetch an
d Lanier, 1998)。ITIM様モチーフを欠如するIRTA2の
分泌型イソフォームは、膜貫通型イソフォームの効果を打ち消すことによって類
似した役割を実行する可能性がある。
【0131】 IRTA1及びIRTA2タンパク質、並びに細胞接着分子(CAM)サブフ
ァミリーメンバーのPECAM1、CD22及びBGP1の間には、細胞外部分
の配列と全体的な構造に高い相同性が存在する。さらに、異なるスプライシング
によって細胞内の局在が異なる(膜貫通、GPI結合型、又は分泌型タンパク質
)3つのタンパク質イソフォームを産生するIRTA2の能力を、NCAM(C
AMスーパーファミリーの別のメンバー)も有している(Dickson et
al., 1987; Gower et al., 1988)。従って、
PECAM1(CAM、 IRSファミリー)と相同性を有するが故に、Fc受
容体ファミリー(マウスFCGRII)のメンバーであるとこれまでに示唆され
たように、IRTAファミリーもCAMファミリーと関連している(Daero
n, 1991;Newman et al., 1990;Stocking
er et al., 1990)。
【0132】 結論として、IRTAファミリーはFc、IRS及びCAMファミリーの共通
部分である可能性があり、3つの特徴を全て兼ね備えている。従って、IRTA
タンパク質は免疫反応の際のシグナル伝達の調節(Fc受容体のように)、細胞
間コミュニケーション(IRS及びCAMファミリーのメンバーのように)、及
び細胞移動(CAMファミリーメンバーのように)において役割を有しているか
もしれない(DeLisser et al., 1994; Ravetch
and Lanier, 2000)。初期の実験によって、IRTA1は熱
で凝集したIgAと弱く結合し得るのに対して、IRTA2cは熱で凝集したヒ
ト血清IgGと特異的に結合し得るが(IgG及びIgGに対して、より高
い親和性を有する)、単量体のヒトIgG、IgA、IgM及びIgEとは結合
しないが示されている(データは示していない)。これらの初期のデータは、I
RTAとFc受容体ファミリーの間に機能的な相関が存在することを裏付けるが
、IRTAタンパク質の他のリガンドに依存する機能を排除するものではない。
【0133】 成熟B細胞におけるIRTA遺伝子の発現の様々なパターン: IRTA遺伝子は、正常なB細胞の様々なコンパートメントにおいて特異的な
発現パターンを示す。IRTA1は、空間的には、元来脾臓において周辺帯と名
付けられたリンパ小節近傍領域内のB細胞に限局しているが、多くのリンパ器官
でも検出することができる(de Wolf−Peeters et al.,
1997)。周辺帯B細胞の中で、及びNHLのうちでは周辺帯リンパ腫(こ
れらの細胞に由来する腫瘍)の中でIRTA1タンパク質が選択的に発現されて
いることを示す抗IRTA1抗体を用いた免疫組織化学的解析によって、本明細
書に示したインサイチュハイブリダイゼーションのデータが確認された(G.
Cattoretti et al., 投稿準備中)。一方、IRTA2は、
GC中心細胞と、広範なリンパ小節近傍細胞(免疫芽細胞及びメモリー細胞が含
まれ得る)とを含むさらに広い発現パターンを有する。IRTA3の発現パター
ンはIRTA2と類似しているのに対して、IRTA4とIRTA5はマントル
ゾーンB細胞(I. Miller et al., 投稿準備中)及び成熟B
細胞の前GCコンパートメント(MacLennan, I. C., 199
4)中に選択的に発現されることを、初期のデータは示唆している。IRTA遺
伝子の発現がこのようにリンパ系器官に限定されているということは、特定の機
能的B細胞コンパートメントの中での様々なB細胞小集団の移動又は活性におい
て、IRTA分子が役割を果たしている可能性があることを示唆している。さら
に、IRTA(特に周辺帯リンパ腫の診断におけるIRTA1)の発現は、様々
なB細胞コンパートメント由来のNHLサブタイプを識別する診断において有用
であるはずである。
【0134】 IRTA1遺伝子座及びMMにおける1q21異常: FR4細胞株では、t(1;14)転座の結果、IRTA1/Cα融合遺伝
子が形成される。該遺伝子がIRTA1プロモーター領域(形質細胞では通常は
非活性化されている)により駆動されるという事実にも関わらず、FR4ではそ
の発現は高いが、これは、おそらくCα遺伝子座の下流に保持されているCα 3’LCRの影響によるものであろう。前記融合遺伝子は、シグナルペプチド
、及び膜表面のIgA受容体に連結されたIRTA1の最初の2アミノ酸のみを
含有するIRTA1/Cα融合タンパク質をコードする。後者は、ほぼ完全に
その細胞外ドメインを失っているが、その膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインは
全て保持している。かかる構造は、IRTA1/Cα融合タンパク質がおそら
くは何れのリガンドも結合することができないが、2量体化及びシグナル伝達能
は保持しているかもしれないということを示している。特に、膜(m)IgA由
来の細胞外部分はシステイン残基を含有しており、2つのα−鎖の間でのジスル
フィド結合、又はa−鎖と関連タンパク質(補助表面受容体CD19などの)間
でのジスルフィド結合に関わっている可能性がある(Leduc et al.
, 1997)。融合タンパク質も変化を受けていない14アミノ酸mIgA細
胞内ドメインを保持し、進化の過程で非常に良く保存されているので(Reth
, 1992)、mIgG及びmIgEの役割と同様に、成熟B細胞の増殖、生
存、及び分化において不可欠な役割を果たしている可能性がある(Kaisho
et al., 1997)。従って、FR4の中にIRTA1/Caタン
パク質が出現すると、BCR経路のリガンド(抗原)非依存的な活性化を通じて
、腫瘍が発育している際に、前記細胞は増殖及び生存における優位性を獲得する
かもしれない。しかしながら、これまでのところ、本発明者らはFR4細胞以外
では該タンパク質を検出できなかったので、かかる融合現象はB細胞悪性腫瘍で
は稀なようである。
【0135】 IRTA2遺伝子座並びにMM及びBLにおける1q21異常: 1q21異常の結果、IRTA2の異常な発現が頻繁に起こる。該遺伝子は、
胚中心細胞(BLの正常な対応物と推定される)(Kuppers et al
., 1999)、及び正常な1q21を有するBLにおいては、通常は発現さ
れないが、1q21異常を伴うBL細胞株では、そのレベルは総じて10倍アッ
プレギュレートされる。1q21上で300kb以内に存在するこれ以外の4つ
のIRTA遺伝子は全てBL中で発現されないか(IRTA1)、又は発現パタ
ーンが1q21異常の存在と相関しない(IRTA3、4、5、図示せず)ので
、この調節解除はIRTA2に特異的であるようである。IRTA2遺伝子の内
部に、又はIRTA2遺伝子の隣接部に構造的な障害が存在しない状態で、かか
る調節解除が起きるメカニズムを確かめるのは困難である。1q21に影響を与
える異種の異常は全てIRTA遺伝子座のコピー数の過剰を引き起こすので、F
L欠損(14;18)転座におけるBCL2の低レベル増幅(Monni et
al., 1997)、びまん性巨大細胞リンパ腫(Houldsworth
et al., 1996; Rao et al., 1998)、及びト
リソミー11を伴ういくつかのMM症例でのサイクリンD1の調節解除(Pru
neri et al., 2000)の場合と同様に、このことによって制御
が妨害されるのかもしれない。一方、転座及び重複を含む1q21異常はIRT
A遺伝子座のゲノムにおける意義を変化させ、風土性BL(Pelicci e
t al., 1986)、及びMM(Shou et al., 2000)
におけるMYC、及びマントル細胞リンパ腫(Bosch et al., 1
994; Swerdlow et al., 1995)、及びMM(Pru
neri et al., 2000)におけるCCND1と同様に、そのプロ
モーターに作用する、離れたシス作用エンハンサークロマチン制御エレメントに
よってIRTA2の調節解除を導くのかもしれない。
【0136】 調節解除されたIRTA2の発現の生物学的な重要性は、現段階では予測し難
い。IRTA2がCAM接着受容体と相同性があるという観察は、GCが明帯に
特異的に分散していることと相俟って、胚中心細胞中での異所的な発現によって
GCの発生及び構造の崩壊が引き起こされるかもしれないということを示唆する
。一方で、IRTA2は真正なFc受容体と同等にIgG免疫複合体を結合する
ことができるという本発明者ら初期の観察は、その不適当な発現がB細胞の免疫
学的応答の細胞表面における制御の動態を乱し、おそらくはクローンの増殖を引
き起こし得るであろうということを示唆している。濾胞性リンパ腫におけるt(
1;14)(q21;q32)のために調節解除されたFCGR2Bの発現は、
Fc結合及び腫瘍特異的なIgGの不活性化を通じて腫瘍細胞が抗腫瘍免疫監視
機構を逃れることを含むメカニズムによって、該腫瘍種におけるリンパ腫形成の
成因となることが提唱されている(Callanan et al., 200
0)。IRTA2調節解除の役割は、GC中で常にIRTA2を発現する「機能
獲得」トランスジェニックマウスにおいて検査する必要がある。
【0137】 <第2シリーズの実験についての参考文献>
【0138】
【参考文献】 第3シリーズの実験 染色体1q21は、多発性骨髄腫、バーキットリンパ腫、周辺帯リンパ腫、及
び濾胞性リンパ腫を含む幾つかの種類のB細胞悪性腫瘍中で、転座及び重複によ
って頻繁に変化を受ける。これらの異常に関与する遺伝子を同定するために、骨
髄腫細胞株FR4におけるt(1;14)(q21;32)の染色体限界点をク
ローニングした。前記限界点を包含する300kb領域は、免疫グロブリン遺伝
子スーパーファミリーのメンバーである表面受容体分子をコードする極めて近縁
の遺伝子を少なくとも5つ含有するため、IRTA(Immunoglobul
in Receptor Translocation Associated
)と呼ばれる。前記様々なIRTA分子は、3〜9個の細胞外免疫グロブリンス
ーパーファミリードメインを有し、Fcガンマ受容体と関連がある。これらの分
子は、ITIM様及びITAM様(ITRA−1、 IRTA−3、 IRTA
4)シグナルモチーフを含む膜貫通ドメインと細胞内ドメインを有する。インサ
イチュハイブリダイゼーション実験によって、全てのIRTA遺伝子は、発育段
階に特異的なパターンを伴ってB細胞系列中で発現することが示されている。す
なわち、IRTA−1は周辺B細胞パターンで発現される。IRTA−2は、中
心細胞とこれより成熟したB細胞中で発現される。FR4における転座の結果、
IRTA−1は破壊され、免疫グロブリン遺伝子座との融合転写産物を産生する
。胚中心細胞中では通常不活性化されているIRTA−2遺伝子は、1q21異
常を保有する多発性骨髄腫及びバーキットリンパ腫細胞株中で過剰発現される。
本明細書のデータは、IRTA遺伝子がリンパ腫生成における役割も有する可能
性がある新規B細胞調節分子であることが示唆される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 FR4多発性骨髄腫細胞株における転座t(1;14)(q21:q32)の
分子クローニング。図1A) der(14)及びder(1)限界点を示すλ
FR4B−5及びλFR4S−aクローン、並びに生殖系列IgH及び1q21
座の模式図。図1B) 限界点接合部のヌクレオチド配列及び対応する染色体1
4の生殖系列領域の配列。Sα、IgAスイッチ領域。LCR:3′IgH座制
御領域。B、BamHI。H、HindIII。X、XhoI。
【図2】 FR4限界点周辺における1q21座のゲノム地図。 図2A): 制限エンドヌクレアーゼ地図及びゲノムクローン、すなわち、バ
クテリオファージ(1)、P1人工染色体(PACs)(2)、及び酵母人工染
色体(YAC)(3)の模式図であり、FR4限界点領域(矢印)に位置する生
殖系列1q21座を包含する。各クローンの名称は各表示のすぐ上にある。PA
C及びYAC挿入部分から得られた末端断片を、SP6/T7ベクター方向(P
AC)又は左/右腕ベクター方向(YAC)の何れかで、円として図示している
。図1Aの上図は、FR4限界点を取り巻く2つの遺伝子のゲノムにおける構成
を示している。この2つの遺伝子をPAC 49A16のエキソントラップ法に
よって同定した。これらはゲノム内で互いに30Kb以内の近接した位置にあり
MUM2及びUM3(多発性骨髄腫−2及び3、ultiple ye
loma−2 and 3)と称される。ゲノム遺伝子座の図では、黒い四角は
コーディングエキソンを示しており、白抜きの四角及び薄い灰色又は中程度の灰
色の四角は非コーディングエキソンを示している。これらをつなぐイントロンは
線で表されている。MUM3(左)からは選択的スプライスによって生じた3種
のmRNAが得られ、何れも共通の5′非翻訳領域(UTR)を有するが、(異
なる影で示した)3′UTRは多様である。四角の下の数字は、cDNA中での
エキソンの順番を表している。100bp未満のエキソンは、細い縦線で示され
ている。各エキソンの位置及び大きさは、ゲノムPACとファージクローンの配
列決定によって、及びエンドヌクレアーゼで消化されたクローンDNAに対する
cDNAプローブのハイブリダイゼーションによって決定された。PAC及びY
ACのマッピングは、希な切断酵素によって部分消化した後、パルスフィールド
ゲル電気泳動法並びに内部及び末端由来のプローブとのハイブリダイゼーション
を行って実施した。破線は、重複領域を揃えたものである。S、SacI。H、
HindIII。S、SwaI。Pc、PacI。P、PmeI。 図2B) MUM2/MUM3座の領域中の1q21のジェネトン遺伝連鎖地
図。配列タグ部位(STS)は、Dib、C.、et al.(1996)Na
ture、380:162〜164によって既に決定された距離の近くに置かれ
ている。STS WI−5435(太字)はYAC 23GC4及びPAC 4
9A16に含まれている。平行な縦線は、中断したセグメントを表しており、お
よその大きさをメガ塩基(MB)で上部に示している。大きさは、2個のマーカ
ーの間の非キメラYACコンティグ配列の大きさによって推定した。セントロメ
アのBCL9遺伝子は、Willis T.G.et al.、(1998)
Blood 91、6:1873〜1881によって、異なるt(1;14)(
q21;q32)限界点からクローニングした。FcGRIIA遺伝子は、1q
21〜q22染色体バンド境界領域にある。
【図3】 MUM2 mRNAの構造及び発現パターン。 図3A) MUM2 mRNAの模式図。模様付きの大きい四角は、コーディ
ングドメインを表し、小さな白抜きの四角は非翻訳領域を表している。SP、シ
グナルペプチド。EC、細胞外ドメイン。TM、膜貫通ドメイン。CYT、細胞
質ドメイン。A(n)、ポリAテール。細胞外領域は、図示されているように4
個の免疫グロブリン様ドメインから構成される。選択的なポリアデニル化シグナ
ル(矢印)によって、長さの範囲が2.6〜3.5(Kb)である3種のMUM
2 mRNA種(a、b、c)が生じる。 図3B) 免疫系のヒト組織におけるMUM2 mRNA発現のノザンブロッ
ト分析。分析に使用したcDNAプローブは、図3A)のmRNA図の下に実線
で示されている。各レーンは対応する組織のmRNA2μgを含む。ブロットの
右側には、RNA分子量マーカーの位置が図示されている。MUM2及びGAP
DH mRNA転写物の位置は矢印で示されている。(GAPDHプローブは、
内部対照としてハイブリダイゼーションに含めた。標識プローブ0.15ng+
非標識プローブ50ng)。この分析の結果から、リンパ節及び脾臓においてM
UM2は弱く発現していることが示された。MUM2の発現は、その他の種々の
ヒト組織では検出されなかった(データは示していない)。 図3C) EREB、条件的EBV形質転換Bリンパ芽球細胞株から得られた
全RNAにおけるMUM2発現のノザンブロット分析。EREBは、EBNA2
−エストロゲン受容体融合タンパク質と共にEBVゲノムを有し、エストロゲン
の存在下でのみ活性化する。この実験のために、細胞をエストロゲン(1μg/
ml)存在下で増殖させた後、表記の時間、エストロゲンの使用を中止した。エ
ストロゲンを中止すると、EREB細胞はG0/G1期で停止し、これはc−m
yc発現の喪失によって確認された。図3Cでは、図3Bのように、EREB全
RNAのノザンブロット(レーン当たり10μg)を図3Aに示したMUM2
cDNAプローブ及びGAPDH内部対照プローブとハイブリダイズさせた。矢
印は、EREBブロット上の対応するmRNAの位置を示している。a、b、及
びcは、図3Aのパネル中のMUM2種に対応する。次いで、同ブロットのプロ
ーブを剥離して、c−myc cDNAプローブ(エキソン2)で再ブローブし
て、細胞がG0/G1期で停止していることを確かめた。ホスホイメージャーデ
ンシトメトリ分析を使用してMUM2 mRNAを定量すると、エストロゲンを
中止してから48時間以内にmRNA濃度が10倍に増加していることが示され
、MUM2発現は細胞が休止期にはいると上昇することが示唆された。
【図4】 MUM3 mRNAの構造及び発現パターン。 図4A) MUM3 mRNAの模式図。模様付きの大きい四角は、コーディ
ングドメインを表しており、小さな白抜き又は灰色の四角は非翻訳領域を表して
いる。SP、シグナルペプチド。EC、細胞外ドメイン。TM、膜貫通ドメイン
。CYT、細胞質ドメイン。A(n)、ポリAテール。細胞外領域は、示したよ
うに4個の免疫グロブリン様ドメインから構成される。選択的スプライシングに
よって、細胞内局在が異なる4種のmRNA種が生じる。MUM3−a及びMU
M3−dタンパク質は分泌されるが、MUM3−bは、図面に示されているよう
に、糖化ホスファチジル−イノシトールアンカー(GPI−アンカー)を付加す
るためのシグナルとして役立ち得るアミノ酸の疎水性範囲をC末端に含有する。
MUM3−cは細胞膜を貫通している。種間での配列の同一性は、同一の模様で
示されている。 図4B) 多数のヒト組織(左)及び様々なリンパ細胞株と非リンパ球細胞株
(右)におけるMUM3 mRNAの発現のノザンブロット分析。使用したcD
NAプローブが、図4AのcDNA図の下に棒線で示されている。各レーンには
、対応する組織又は細胞株のmRNA2μgが含まれる。MUM3及びGAPD
H mRNA転写物の位置を矢印で示す。(GAPDHプローブは、図3で説明
したように、内部対照としてハイブリダイゼーションに含めた。)a、b、c及
びdは図4Aで示したMUM3 mRNA種に対応する。RD、NC42及びC
B33、エプシュタイン−バールウイルスで形質転換したBリンパ芽球細胞株。
EREB、条件的EBV形質転換Bリンパ芽球細胞株。FR4、形質細胞株。M
OLT4及びHUT78、T細胞株。HL60及びU937、骨髄単球性白血病
細胞株。K562、赤血球細胞株。これらの結果から、MUM3は骨髄、リンパ
及び脾臓、特にリンパ芽球表現型を有するB細胞の免疫系組織のみで発現するこ
とが示唆される。
【図5】 ヒトMUM2のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列。推定アミノ酸配列を一文字
コードでヌクレオチド配列の上部に示し、シグナルペプチドの最初のコドンを1
位として、右側に番号を付した。予想シグナルペプチダーゼ部位は、Niels
en et al.,Protein Engineering 10、1〜6
(1997)によって報告されたコンピューターアルゴリズムによって得られた
ものであり、矢印で示されている。ポリアデニル化シグナルAATAAAを下線
で示す。N−グリコシル化の候補部位にも、アミノ酸配列に下線が付されている
。細胞膜を貫通すると予測される16アミノ酸の疎水性範囲を2重線で示す。コ
ンセンサスSH−2結合部位は、波線で強調されている。
【図6A】 ヒトMUM3−aのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列。推定アミノ酸配列を
一文字コードでヌクレオチド配列の上部に示し、シグナルペプチドの最初のコド
ンを1位として右側に番号を付した。シグナルペプチダーゼ開裂部位は、前述し
たように予測し、矢印で示されている。ポリアデニル化シグナルATTAAAは
下線で示す。N−グリコシル化の候補部位も、アミノ酸配列に下線が付されてい
る。このタンパク質は膜貫通ドメインを欠失しているので、分泌型であると予測
される。
【図6B】 ヒトMUM3−bのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列。推定アミノ酸配列を
一文字コードでヌクレオチド配列の上部に示し、シグナルペプチドの最初のコド
ンを1位として、右側に番号を付けた。シグナルペプチダーゼ開裂部位は前述し
たように予測し、矢印で示されている。ポリアデニル化シグナルAATAAAは
下線で示す。N−グリコシル化の候補部位も、アミノ酸配列に下線が付されてい
る。
【図6C−1】 ヒトMUM3−cのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列。推定アミノ酸配列を
一文字コードでヌクレオチド配列の上部に示し、シグナルペプチドの最初のコド
ンを1位として、右側に番号を付けた。シグナルペプチダーゼ開裂部位は前述し
たように予測し、矢印で示されている。ポリアデニル化シグナルAATAAAは
下線で示す。N−グリコシル化の候補部位も、アミノ酸配列に下線が付されてい
る。細胞膜を貫通すると予測される23アミノ酸の疎水性範囲は2重線で示され
ている。コンセンサスSH−2結合部位は波線で強調されている。
【図6C−2】 ヒトMUM3−cのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列。推定アミノ酸配列を
一文字コードでヌクレオチド配列の上部に示し、シグナルペプチドの最初のコド
ンを1位として、右側に番号を付けた。シグナルペプチダーゼ開裂部位は前述し
たように予測し、矢印で示されている。ポリアデニル化シグナルAATAAAは
下線で示す。N−グリコシル化の候補部位も、アミノ酸配列に下線が付されてい
る。細胞膜を貫通すると予測される23アミノ酸の疎水性範囲は2重線で示され
ている。コンセンサスSH−2結合部位は波線で強調されている。
【図7】 FR4のt(1;14)(q21;32)によって、MUM2/Ca融合転写
物が生じる。 図7A) der(14)ゲノムクローンλFR4B−5及び生殖系列IgH
A1座の模式図。FR4限界点を矢印で示す。模様付きの四角及び中抜きの四角
は、それぞれMUM2及びCalphaコーディングエキソン及び非コーディン
グエキソンを表す。ノザンブロット分析に使用したMUM2エキソン1プローブ
の位置が線で示されている。 図7B) FR4及び他の細胞株について、MUM2エキソン1プローブでノ
ザンブロット分析を行ったところ、FR4だけ選択的に0.8kbの異常なメッ
セージが検出された。矢印は、EREB mRNAにおける正常なMUM2メッ
セージの位置を示す。JJN3及びU266、ミエローマ細胞株。EREB、条
件的EBV−形質転換Bリンパ芽球細胞株。レーン当たりポリA+RNA2μg
を添加した。 図7c) FR4におけるMUM2−Ca融合cDNAのヌクレオチド配列及
びアミノ酸配列。図7Aで示したプライマーを使用して、FR4全RNAからR
T−PCRによってcDNAを増幅し、その後サブクローニングして配列決定し
た。推定アミノ酸配列を一文字コードでヌクレオチド配列の上部に示し、シグナ
ルペプチドの最初のコドンを1位として、右側に番号を付けた。シグナルペプチ
ダーゼ開裂部位は前述したように予測し、矢印で示されている。ポリアデニル化
シグナルAATAAAは下線で示されている。Calpha膜貫通ドメインは下
線で示されている。cDNAのMUM2部分は、イタリック体で示されている。
H、HindIII。B、BamHI。X、XhoI。Sα、IgAスイッチ領
域。EC、細胞外領域。TM、膜貫通領域。CYT、細胞質ドメイン。
【図8−1】 FR4多発性骨髄腫細胞株における転座t(1;14)(q21:q32)の
分子クローニング。 図8A) der(14)及びder(1)限界点を示すファージクローン及
び生殖系列IGH及び1q21座の模式図である。染色体14の配列は、Ca1
エキソンを表す黒四角を有する黒い直線で示されている。染色体1の配列は、灰
色の線として示されている。染色体マッピング用に使用したプローブは、地図の
下に示している。制限酵素コードは、BはBamHI、HはHindIII、X
はXhoI、SはSacI、EはEcoRIである。(*)が付された酵素につ
いては、プローブの輪郭を表す部位のみが示されている。Sa:IgAスイッチ
領域。LCR:3′IgH座制御領域。
【図8−2】 図8B) 限界点接合部のヌクレオチド配列、及び染色体14と1の対応する
生殖系列領域に対するアラインメント。 図8C) 左、FR4限界点で生殖系列1q21領域を包含するPACクロー
ン49A16(図13)を用いた、ヒト正常分裂中期細胞の蛍光インサイチュハ
イブリダイゼーション(FISH)分析。右、同じ分裂中期の細胞のDAPI染
色画像。
【図9】 IRTA1及びIRTA2のcDNAの構造。 図9A、9B) 完全長IRTA1のcDNA(図9A)及びIRTA2のc
DNA(図9B)の模式図。模様付きの大きな四角はコーディングドメインを表
し、小さな四角は非翻訳領域(UTR)を表す。予想シグナルペプチダーゼ開裂
部位が矢印で示されており、http://www.cbs.dtu.dk/s
ervices/SignalIPのSignalIP World Wide
Webサーバーによって調べた。膜貫通ドメインを推定するアルゴリズムは、
Tusnady et al、1998に述べられている。SP、シグナルペプ
チド。EC、細胞外ドメイン。Ig、免疫グロブリン型。TM、膜貫通ドメイン
。CYT、細胞質ドメイン。A(n)、ポリAテール。GPI、糖化ホスファチ
ジルイノシトール。図9Aでは、3′UTRにおける矢印は、IRTA1のcD
NAで使用される種々のポリアデニル化付加部位を示している。図9Bでは、I
RTA2イソフォームの様々な3′UTR領域は、異なった陰影で示されている
。図9A及び図9B中のUTR領域の下の棒線は、図12のノザンブロット分析
で使用したプローブを示している。
【図10】 IRTA1及びIRTA2のアミノ酸配列とFc受容体ファミリーのメンバー
との比較。 図10A) IRTA1及びIRTA2の最初の2つ(上部)及び第3(下部
)の細胞外Ig−ドメインとFc受容体ファミリーメンバーとの多重配列アライ
メント。配列は、ClustalWプログラム(Thompson et al
.,1994)を使用して比較した。黒塗りの四角は、全ての配列に保存されて
いるアミノ酸を示している。濃い灰色に塗った四角は、少なくとも半数の配列に
保存されているアミノ酸を示している。薄い色で塗った四角は、保存的置換を示
している。 図10B) IRTA1及びIRTA2のSH2結合ドメインとITAM及び
ITIMコンセンサスモチーフとのアラインメント。保存されたアミノ酸の位置
が太字で示されている。印Xは、いずれかのアミノ酸を示す。
【図11A】 IRTA1の発現パターン。左図、ヒト免疫系の組織におけるIRTA1 m
RNA発現のノザンブロット分析。各レーンにはmRNA2mgが含まれる。R
NA分子量マーカーの位置がブロットの右側に示されている。IRTA1及びG
APDH mRNA転写物の位置が矢印で示されている(GAPDHプローブは
、内部対照(標識プローブ0.15ng+非標識プローブ50ng)として、ハ
イブリダイゼーションに含めた)。右図、ER/EB細胞株の全RNAにおける
IRTA1発現のノザンブロット分析(レーン当たり10mg)。この実験のた
めに、エストロゲン(1mg/ml)存在下で細胞を増殖させた後、表記の時間
、エストロゲンを除去した。矢印は、対応するmRNAの位置を示す。a、b及
びcは、様々にポリアデニル化されたIRTA1種に対応する。同プロットをプ
ローブ剥離して、MYC cDNAプローブ(エキソン2)で再プローブして、
細胞がG/G期で停止していることを確認した。IRTA1 mRNAレベ
ルの濃度分析が隣接する棒グラフ中にプロットされている。使用したcDNAプ
ローブは、図9AのIRTA1 mRNA図の下の棒線で示す。
【図11B】 ヒト扁桃の連続切片におけるIRTA1発現のインサイチュハイブリダイゼー
ション分析。1.センスIRTA1プローブ。2.アンチセンスIRTA1プロ
ーブ。3.H&E染色。4.H&E染色切片に重ねたアンチセンスIRTA1シ
グナル。GC、胚中心。MargZ、辺縁帯。
【図12A】 IRTA2発現パターン。図12A) 複数のヒト組織(左図)及び種々のリ
ンパ細胞株及び非リンパ細胞株(右図)におけるIRTA2 mRNA発現のノ
ザンブロット分析。各レーンはmRNA2mgを含む。IRTA2及びGAPD
H転写物の位置は矢印で示されている。a、b、c及びdは、選択的にスプライ
スされたIRTA2 mRNAのイソフォームに対応する。RD、NC42、及
びCB33、エプシュタイン−バールウイルス形質転換Bリンパ芽球細胞株。E
REB、条件的EBV−形質転換Bリンパ芽球細胞株。FR4、形質細胞。MO
LT4及びHUT78、T細胞株。HL60及びU937、骨髄単球細胞株。K
562、赤血球細胞株。使用したcDNAプローブは、図9BのIRTA2 m
RNA図の下に棒線で示している。
【図12B】 ヒト扁桃におけるIRTA2発現のインサイチュハイブリダイゼーション分析
。図12B−1.センスIRTA2 cDNAプローブ。図12B−2.アンチ
センスIRTA2 cDNAプローブ。図12B−3.H&E染色。図12B−
4.H&E染色部分に重ねたアンチセンスIRTA2 cDNAプローブシグナ
ル。GC、胚中心。MargZ、辺縁帯。
【図13】 FR4限界点を包含する生殖細胞1q21領域の地図、及びIRTA1とIR
TA2のゲノムにおける配置。上図では、脾臓cDNAのIRTA1エキソンを
増幅するために使用したプライマーが矢印で示されている。黒四角及び白四角は
、それぞれコーディングエキソン及び非コーディングエキソンを示している。矢
印は、BCL9、MUC1、IRTAファミリー、及びFCGRIIB座の位置
を示している。S、SacI。H、HindIII。S、SwaI。Pc、Pa
cI。P、PmeI。Mb、メガ塩基。
【図14】 FR4のt(1;14)(q21;q32)によって、IRTA1/Cα融合
転写物が生じる。 図14A) der(14)ゲノムクローンlFR4B−5及び生殖系列Ig
Cα座の模式図。FR4限界点は、矢印で示されている。黒塗りの四角及び白
抜きの四角は、それぞれIRTA1及びCaのコーディング及び非コーディン
グエキソンを表している。 図14B) FR4及び他の細胞系に対して、IRTA1エキソン1プローブ
(図14A中の棒線によって示されている)を用いたノザンブロット分析を行う
ことによって、FR4に異常なメッセージが検出される。矢印は、ER/EB
mRNA中の正常なIRTA1の位置を示す。JJN3及びU266、骨髄腫細
胞株。レーン当たりポリARNA2mgを添加した。 図14C) FR4におけるIRTA1/Cα融合cDNAの模式図。図14
Aで示したプライマーを使用したRT−PCRによって、FR4の全RNAから
cDNAを増幅して、サブクローニング後に配列決定した。 図14D) ベクター対照でトランスフェクトした293−T細胞及びIRT
A1/Cα一過性発現構造物でトランスフェクトした293−T細胞(レーン1
及び2)、又は以下の細胞株、mIgA陽性リンパ芽球細胞株−Dakiki(
レーン3)、FR4(レーン4)、mIgM陽性NHL細胞株−Ramos(レ
ーン5)から得られた免疫沈殿物のSDS/PAGE分析。H、HindIII
。B、BamHI。X、XhoI。Sa、IgAスイッチ領域。EC、細胞外領
域。TM、膜貫通領域。CYT、細胞質領域。
【図15】 IRTA2発現は、1q21異常を有する細胞株では調節解除されている。 図15A、15B) バーキットリンパ腫細胞株(図15A)及び多発性骨髄
腫細胞株(図15B)におけるIRTA2 mRNA発現のノザンブロット分析
。使用したcDNAプローブは、図12と同様である。各レーンはmRNA2m
gを含む。IRTA2及びGAPDH mRNA転写物の位置は、それぞれダッ
シュ及び矢印で示す。デンシトメトリ分析して、GAPDH濃度に対して標準化
した後に、左図(図15A)でのIRTA2 mRNA発現の相対レベルを右図
(図15A)にプロットした。図15Bの右図は、ノザンブロット分析結果の概
要である。
【図16】 正常リンパ組織におけるIRTA1の発現。正常なヒトの扁桃のパラフィン包
埋切片を以下の抗体で染色した。図16−1)陰性対照。図16−2)T細胞検
出用の抗CD3マウスモノクローナル抗体。図16−3)抗IRTA1(mIR
TA)マウスモノクローナル抗体。図16−4)抗IRTA1(J92884K
)ウサギポリクローナル抗体。IRTA1陽性細胞は、脾臓の周辺帯に相当する
扁桃の濾胞周囲領域及び上皮細胞間領域中に局在している。
【図17】 胃粘膜関連リンパ組織(MALT)B細胞リンパ腫におけるIRTA1の発現
。胃MALT B細胞リンパ腫から得たパラフィン包埋切片を抗IRTA1(m
IRTA)マウスモノクローナル抗体で染色して、H&Eで対比染色した。分析
したMALTリンパ腫のほとんどがIRTA1陽性であった。従って、この抗体
は、MALTリンパ腫の鑑別診断に有効な手段である。mIRTA1抗体は、再
発したCD20陽性リンパ腫の治療における抗CD20抗体(Rituxima
b)の使用と同様に(Foon K.、Cancer J.6:p273)、B
細胞腫瘍の治療に有用であることが証明されるかもしれない。
【図18A】 IRTA1のcDNA及びコードされたIRTA1タンパク質のアミノ酸配列
【図18B−1】 IRTA2のcDNA及びコードされたIRTA2タンパク質のアミノ酸配列
【図18B−2】 IRTA2のcDNA及びコードされたIRTA2タンパク質のアミノ酸配列
【図18B−3】 IRTA2のcDNA及びコードされたIRTA2タンパク質のアミノ酸配列
【図18C−1】 IRTA3のcDNA及びコードされたIRTA3タンパク質のアミノ酸配列
【図18C−2】 IRTA3のcDNA及びコードされたIRTA3タンパク質のアミノ酸配列
【図18D−1】 IRTA4のcDNA及びコードされたIRTA4タンパク質のアミノ酸配列
【図18D−2】 IRTA4のcDNA及びコードされたIRTA4タンパク質のアミノ酸配列
【図18E−1】 IRTA5のcDNA及びコードされたIRTA5タンパク質のアミノ酸配列
【図18E−2】 IRTA5のcDNA及びコードされたIRTA5タンパク質のアミノ酸配列
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/735 C07K 16/28 4C086 16/28 C12N 1/21 4H045 C12N 1/21 C12Q 1/02 5/10 1/68 A C12Q 1/02 C12P 21/08 1/68 C12N 15/00 ZNAA // C12P 21/08 5/00 C B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 ダラ−ファベラ、リッカルド アメリカ合衆国、ニューヨーク州 10025 ニューヨーク、リバーサイド・ドライブ 445、アパートメント 122 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA12 BA41 BA63 CA04 CA09 CA11 DA02 DA03 DA06 EA04 FA02 GA01 GA11 GA18 GA19 HA03 HA14 4B063 QA01 QA18 QA19 QQ02 QQ52 QR32 QR38 QR48 QR56 QR82 QS24 QS25 QS28 QS34 QS38 QX01 QX07 QX10 4B064 AG27 CA10 CA19 CA20 CC24 DA01 DA14 4B065 AA26X AA93X AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA44 CA46 4C085 AA13 AA14 AA21 CC03 CC05 CC22 CC23 EE01 GG01 GG08 4C086 AA01 AA02 EA16 MA02 MA05 NA14 ZB26 4H045 AA10 AA11 AA30 BA10 CA40 DA50 DA76 DA86 EA28 EA51 FA72 FA74

Claims (68)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 免疫グロブリン受容体(免疫グロブリンスーパーファミリー
    受容体転座関連(IRTA)タンパク質)をコードする単離された核酸分子。
  2. 【請求項2】 前記IRTAタンパク質が図18Aに示されたアミノ酸配列
    (配列番号1)を含むIRTA1タンパク質である請求項1の単離された核酸分
    子。
  3. 【請求項3】 前記IRTAタンパク質が図18B−1−18B−3に示さ
    れたアミノ酸配列(配列番号3)を含むIRTA2タンパク質である請求項1の
    単離された核酸分子。
  4. 【請求項4】 前記IRTAタンパク質が図18C−1−18C−2に示さ
    れたアミノ酸配列(配列番号5)を含むIRTA3タンパク質である請求項1の
    単離された核酸分子。
  5. 【請求項5】 前記IRTAタンパク質が図18D−1−18D−2に示さ
    れたアミノ酸配列(配列番号7)を含むIRTA4タンパク質である請求項1の
    単離された核酸分子。
  6. 【請求項6】 前記IRTAタンパク質が図18E−1−18E−2に示さ
    れたアミノ酸配列(配列番号9)を含むIRTA5タンパク質である請求項1の
    単離された核酸分子。
  7. 【請求項7】 前記核酸分子がDNAである請求項1の単離された核酸分子
  8. 【請求項8】 前記DNAがcDNAである請求項2の単離されたDNA分
    子。
  9. 【請求項9】 前記DNAがゲノムDNAである請求項2の単離されたDN
    A分子。
  10. 【請求項10】 前記核酸分子がRNA分子である請求項1の単離された核
    酸分子。
  11. 【請求項11】 前記DNA分子が図18Aに記載されたヌクレオチド配列
    (配列番号2)を有するcDNAである請求項2の単離されたDNA分子。
  12. 【請求項12】 前記DNA分子が図18Aに記載されたヌクレオチド配列
    (配列番号4)を有するcDNAである請求項2の単離されたDNA分子。
  13. 【請求項13】 前記DNA分子が図18Aに記載されたヌクレオチド配列
    (配列番号6)を有するcDNAである請求項2の単離されたDNA分子。
  14. 【請求項14】 前記DNA分子が図18Aに記載されたヌクレオチド配列
    (配列番号8)を有するcDNAである請求項2の単離されたDNA分子。
  15. 【請求項15】 前記DNA分子が図18Aに記載されたヌクレオチド配列
    (配列番号10)を有するcDNAである請求項2の単離されたDNA分子。
  16. 【請求項16】 前記核酸分子がヒトIRTA1タンパク質をコードする請
    求項1の単離された核酸分子。
  17. 【請求項17】 DNA転写のプロモーターに作用可能に連結された請求項
    1の単離された核酸分子。
  18. 【請求項18】 前記プロモーターが、細菌、酵母、昆虫、植物、又は哺乳
    類のプロモーターを有する請求項17の単離された核酸分子。
  19. 【請求項19】 請求項17の核酸分子を備えたベクター。
  20. 【請求項20】 前記ベクターがプラスミドである請求項19のベクター。
  21. 【請求項21】 請求項20のベクターを含む宿主細胞。
  22. 【請求項22】 前記細胞が、細菌細胞、植物細胞、及び昆虫細胞、及び哺
    乳類細胞からなる群から選択される請求項21の宿主細胞。
  23. 【請求項23】 単離された核酸分子であって、請求項1のIRTA1タン
    パク質をコードする前記単離された核酸分子の配列中に含まれるユニークな配列
    と特異的にハイブリダイズし得る少なくとも15の連続したヌクレオチドを含む
    核酸分子。
  24. 【請求項24】 検出可能なマーカーで標識された請求項23の単離された
    核酸分子。
  25. 【請求項25】 前記検出可能なマーカーが、放射性同位元素、酵素、色素
    、ビオチン、蛍光標識、又は化学発光標識からなる群から選択される請求項24
    の核酸分子。
  26. 【請求項26】 被験者から得たサンプル中のB細胞悪性腫瘍又は一種のB
    細胞悪性腫瘍を検出する方法であって、前記B細胞悪性腫瘍は1q21染色体再
    編成を含み、 (a)前記被験者から得た前記サンプルからRNAを取得することと、 (b)ヒトIRTAタンパク質をコードする単離されたRNAの配列中に含ま
    れるユニークな配列と特異的にハイブリダイズすることができ、検出可能なマー
    カーで標識された核酸分子に、工程(a)の前記RNAがハイブリダイズし得る
    条件下で、ヒトIRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、及びIRT
    A5からなる群から選択されるヒトIRTAタンパク質をコードする単離された
    RNAの配列中に含まれるユニークな配列と特異的にハイブリダイズし得る少な
    くとも15の連続したヌクレオチドの核酸分子に、工程(a)の前記RNAを接
    触させることと、 (c)工程(b)における何らかのハイブリダイゼーションを検出することと
    を備え、ハイブリダイゼーションが検出されることが、前記サンプル中にB細胞
    悪性腫瘍又は一種のB細胞悪性腫瘍が存在することの指標となる方法。
  27. 【請求項27】 前記検出可能なマーカーが、放射性同位元素、酵素、色素
    、ビオチン、蛍光標識、又は化学発光標識である請求項26の方法。
  28. 【請求項28】 前記B細胞悪性腫瘍が、B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、
    バーキットリンパ腫、周辺帯リンパ腫、びまん性巨大細胞リンパ腫、及び濾胞性
    リンパ腫からなる群から選択される請求項26の方法。
  29. 【請求項29】 前記B細胞リンパ腫が粘膜関連リンパ組織B細胞リンパ腫
    (MALT)である請求項28の方法。
  30. 【請求項30】 前記B細胞リンパ腫が非ホジキンリンパ腫である請求項2
    8の方法。
  31. 【請求項31】 ヒトIRTAタンパク質をコードするmRNA分子に特異
    的にハイブリダイズして、前記mRNA分子の過剰発現を抑え得る配列を有する
    アンチセンスオリゴヌクレオチド。
  32. 【請求項32】 前記IRTAタンパク質が、ヒトIRTA1、IRTA2
    、IRTA3、IRTA4、及びIRTA5タンパク質からなる群から選択され
    る請求項31のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
  33. 【請求項33】 図18Aに記載されたアミノ酸配列(配列番号1)を含む
    精製されたIRTA1タンパク質。
  34. 【請求項34】 前記IRTA1タンパク質がヒトIRTA1である請求項
    33の精製されたIRTA1タンパク質。
  35. 【請求項35】 図18B−1−18B−3に記載されたアミノ酸配列(配
    列番号3)を含む精製されたIRTA2タンパク質。
  36. 【請求項36】 前記IRTA2タンパク質がヒトIRTA2である請求項
    35の精製されたIRTA2タンパク質。
  37. 【請求項37】 図18C−1−18C−2に記載されたアミノ酸配列(配
    列番号5)を含む精製されたIRTA3タンパク質。
  38. 【請求項38】 前記IRTA3タンパク質がヒトIRTA3である請求項
    37の精製されたIRTA3タンパク質。
  39. 【請求項39】 図18D−1−18D−2に記載されたアミノ酸配列(配
    列番号7)を含む精製されたIRTA4タンパク質。
  40. 【請求項40】 前記IRTA4タンパク質がヒトIRTA4である請求項
    39の精製されたIRTA3タンパク質。
  41. 【請求項41】 図18E−1−18E−2に記載されたアミノ酸配列(配
    列番号9)を含む精製されたIRTA5タンパク質。
  42. 【請求項42】 前記IRTA5タンパク質がヒトIRTA5である請求項
    41の精製されたIRTA5タンパク質。
  43. 【請求項43】 ヒトIRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、
    及びIRTA5からなる群から選択される精製されたIRTAタンパク質に対し
    て誘導された抗体。
  44. 【請求項44】 前記IRTAタンパク質がヒトIRTAタンパク質である
    請求項43の抗体。
  45. 【請求項45】 前記抗体がモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体で
    ある請求項43の抗体。
  46. 【請求項46】 前記モノクローナル抗体は、マウスのモノクローナル抗体
    又はヒト化モノクローナル抗体である請求項43の抗体。
  47. 【請求項47】 前記抗体が治療剤に抱合され、該治療剤が放射性同位体、
    毒素、トキソイド、又は化学療法剤からなる群から選択される請求項43の抗体
  48. 【請求項48】 ヒトIRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、
    及びIRTA5からなる群から選択されるIRTAタンパク質を発現している癌
    細胞に結合して前記癌細胞の増殖を抑えるのに有効である一定量の請求項43の
    抗体と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物。
  49. 【請求項49】 前記癌細胞が、B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、
    多発性骨髄腫、バーキットリンパ腫、周辺帯リンパ腫、びまん性巨大細胞リンパ
    腫、及び濾胞性リンパ腫細胞からなる群から選択される請求項48の薬学的組成
    物。
  50. 【請求項50】 前記B細胞リンパ腫細胞が粘膜関連リンパ組織B細胞リン
    パ腫(MALT)細胞である請求項49の薬学的組成物。
  51. 【請求項51】 前記B細胞リンパ腫細胞が非ホジキンリンパ腫細胞である
    請求項49の薬学的組成物。
  52. 【請求項52】 ヒトIRTAタンパク質の過剰発現を抑えるのに有効な一
    定量の請求項31のオリゴヌクレオチドと、薬学的に許容される担体とを含む薬
    学的組成物。
  53. 【請求項53】 被験者から得たサンプル中の1q21染色体の再編成を備
    えたB細胞悪性腫瘍を診断する方法であって、 (a)前記被験者から前記サンプルを取得することと、 (b)検出可能なマーカーで標識された抗体が癌細胞の細胞表面上に存在する
    ヒトIRTAタンパク質と結合し得る条件下で、前記癌細胞の細胞表面上に存在
    するヒトIRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、及びIRTA5
    IRTAタンパク質からなる群から選択されるヒトIRTAタンパク質と特異的
    に結合し得る請求項43の抗体に、工程(a)の前記サンプルを接触させること
    と、 (c)工程(b)において何らかの結合を検出することとを備え、結合の検出
    が、前記サンプル中にB細胞悪性腫瘍の診断を示す方法。
  54. 【請求項54】 前記B細胞悪性腫瘍が、B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、
    バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、周辺帯リンパ腫、びまん性巨大細
    胞リンパ腫、及び濾胞性リンパ腫細胞からなる群から選択される請求項53の方
    法。
  55. 【請求項55】 前記B細胞リンパ腫が粘膜関連リンパ組織B細胞リンパ腫
    (MALT)である請求項54の方法。
  56. 【請求項56】 前記B細胞リンパ腫が非ホジキンリンパ腫である請求項5
    4の方法。
  57. 【請求項57】 B細胞癌を有する患者を治療する方法であって、ヒトIR
    TA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、及びIRTA5からなる群から
    選択されるIRTAタンパク質を発現する癌細胞に結合して、前記癌細胞の増殖
    を抑えるのに有効な一定量の抗IRTA抗体と、薬学的に許容される担体とを前
    記患者に投与することにより前記患者を治療することを備えた方法。
  58. 【請求項58】 前記抗IRTA抗体がモノクローナル抗体である請求項5
    7の方法。
  59. 【請求項59】 前記モノクローナル抗体がマウスのモノクローナル抗体又
    はヒト化モノクローナル抗体である請求項58の方法。
  60. 【請求項60】 前記抗IRTA抗体がポリクローナル抗体である請求項5
    7の方法。
  61. 【請求項61】 前記B細胞癌が、B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、マント
    ル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、周辺帯リンパ腫、びまん性巨大細胞リン
    パ腫、及び濾胞性リンパ腫からなる群から選択される請求項57の方法。
  62. 【請求項62】 前記B細胞リンパ腫が粘膜関連リンパ組織B細胞リンパ腫
    (MALT)である請求項61の方法。
  63. 【請求項63】 前記B細胞リンパ腫が非ホジキンリンパ腫である請求項6
    1の方法。
  64. 【請求項64】 B細胞癌を有する患者を治療する方法であって、ヒトIR
    TAタンパク質の過剰発現を抑えて、1又は複数のIRTAタンパク質を発現し
    ている癌細胞の細胞増殖を停止させ、又は細胞死を誘導させ得るのに有効な一定
    量の請求項31のオリゴヌクレオチドと、薬学的に許容される担体とを前記患者
    に投与することにより前記患者を治療することを備えた方法。
  65. 【請求項65】 前記IRTAタンパク質が、ヒトIRTA1、IRTA2
    、IRTA3、IRTA4、及びIRTA5タンパク質からなる群から選択され
    る請求項64の方法。
  66. 【請求項66】 前記B細胞癌が、B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫
    、多発性骨髄腫、バーキットリンパ腫、周辺帯リンパ腫、びまん性巨大細胞リン
    パ腫、及び濾胞性リンパ腫からなる群から選択される請求項64の方法。
  67. 【請求項67】 前記B細胞リンパ腫が粘膜関連リンパ組織B細胞リンパ腫
    (MALT)である請求項66の方法。
  68. 【請求項68】 前記B細胞リンパ腫が非ホジキンリンパ腫である請求項6
    6の方法。
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