JP2003531127A - 神経毒の末梢投与による痛みの処置方法 - Google Patents

神経毒の末梢投与による痛みの処置方法

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Abstract

(57)【要約】 ボツリヌス毒素のような神経毒の治療有効量を末梢投与することにより非痙攣性痛を処置する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、痛みを処置(治療)する方法に関する。本発明は特に、神経毒の末
梢投与によって、痛みを処置する方法に関する。
【0002】 (背景技術) ほとんどではないにしても多くの身体の不快は、痛みを生じる。一般に、皮膚
および特定の内部組織における痛み受容器を構成する自由神経終末が、機械的、
熱的、化学的または他の有害刺激を受けた場合に、痛みを感じる。痛み受容器は
、求心性ニューロンに沿って、中枢神経系、次に脳に、信号を伝達することがで
きる。
【0003】 痛みの原因は、炎症、外傷、疾患、筋肉痙攣、および神経障害的現象または徴
候の開始を包含する。非効果的に処置された痛みは、機能を制限し、運動性を減
少し、睡眠を障害し、生活の質を劇的に低下させることによって、痛みに苦しむ
人を荒廃させるものとなりうる。
【0004】 筋肉痙攣は、機械感受性の痛み受容器を刺激し、それによって痛みの感覚を生
じうる。従って、痛みは、筋肉痙攣からか、または筋肉痙攣によって生じうる。
さらに、痙攣は、血管を圧迫することによって痛み受容器を間接的に刺激し、組
織における虚血を生じ、次に、痛み受容器を刺激する痛み誘起物質を放出して、
痛みの感覚を生じうる。さらに、筋肉痙攣は、痛み信号として知覚されるかまた
は痛み信号を発生する局在pH減少を生じうる。従って、痛みは、筋肉痙攣または
筋肉緊張亢進の二次作用でありうる。
【0005】 炎症性の痛みは、手術、または有害な物理的、化学的または熱的現象によるか
、または生物薬剤による感染によって生じるように、組織が損傷された場合に生
じる。組織が損傷された場合、多くの内生的痛み誘起物質、例えばブラジキニン
およびヒスタミンが、損傷組織から放出される。痛み誘起物質は、知覚神経終末
上の受容器に結合し、それによって求心性の痛み信号を開始させる。
【0006】 さらに、痛み誘起物質は侵害受容求心性神経終末から放出され、知覚終末から
放出されるニューロペプチドは炎症性反応を悪化させる。従って、炎症の間に、
ペプチド性末梢線維の発生およびペプチドの増加した含有量が存在し、多くの線
維はサブスタンスP(SP)およびカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の同
時存在を示す。サブスタンスPは、内皮細胞の収縮を誘起し、次に、血漿浸出(p
lasma extravasation)を生じて、他の物質(ブラジキニン、ATP、ヒスタミン
)が損傷部位および求心性神経終末に接近しうるようにする。知覚神経終末によ
るサブスタンスPの放出は、マスト細胞を脱顆粒することもできる。この過程は
、ヒスタミンおよびセロトニンのような炎症性媒介物質の放出、およびブラジキ
ニンの産生を触媒するタンパク質分解酵素の放出による、神経性炎症における重
要な要素であると考えられている。CGRPは血漿浸出を生じないのは明らかである
が、強力な血管拡張物質であり、SPおよび他の炎症性媒介物質と相乗的に作用し
て、血漿浸出を増加させる。前記の全ての炎症性媒介物質は、侵害受容器を過敏
にするか、または痛みを生じることができる。
【0007】 一次知覚求心性ニューロンの活性化の後、知覚信号の変換における次の段階は
、投射性ニューロンの活性化であり、投射性ニューロンは、脊髄視床路を経て、
視床核のような中枢神経系のより高い部分に信号を運ぶ。これらのニューロン(
脳神経に関係したもの以外)の細胞体は、脊髄の背側角に存在する。ここでも、
一次求心性神経と投射性ニューロンの間にシナプスを見ることができる。背側角
は、積み重なった一連の層に組織されていて、層Iが最も背側であり、層II等が
後に続く。種々の一次求心性神経は、種々の層においてシナプスを形成する。皮
膚の一次求心性神経に関して、C線維は、層IおよびIIにシナプスを形成し、Aデ
ルタ線維は層I、IIおよびVに形成し、Aベータ線維は層III、IVおよびVに形成す
る。深い層(V〜VII、X)は、筋肉および内臓のような深い組織から到達する知
覚経路に関与していると考えられる。
【0008】 一次求心性ニューロンと投射性ニューロンの間のシナプスにおける支配的神経
伝達物質は、サブスタンスP、グルタミン酸塩、CGRPおよび神経ペプチドYである
。これらのシナプスの伝達効率は、下向経路を介して、脊髄における局所介在ニ
ューロンによって、変化させることができる。これらの調節性ニューロンは、抑
制性(例えば、オピオイドペプチド、グリシン)または興奮性(例えば、酸化窒
素、コレシストキニン)の多くの媒介物質を放出して、知覚の認識を増加するか
または減少させるメカニズムを与えることができる。
【0009】 炎症性の痛みは一般に可逆性であり、損傷組織が修復されるか、または痛み誘
起刺激が除去された際に鎮静化するが、炎症性の痛みを処置する現在の方法は多
くの欠点および不利な点を有する。従って、痛みの症状を処置する鎮痛薬、例え
ば、炎症性痛み誘起要素を処置する抗生物質の、一般的な経口、非経口または局
所投与は、薬剤の広範囲な全身的分散および好ましくない副作用を生じうる。さ
らに、炎症性痛みの現在の治療は、短期間の薬剤効果を有し、頻繁な薬剤再投与
を必要とし、薬剤耐性、抗体発生および/または薬剤依存性および耽溺を生じる
可能性があり、それらはすべて満足のいかないものである。さらに、頻繁な薬剤
投与は、患者への治療費の負担を増加させ、患者は投与計画を守ることを覚えて
おく必要がある。
【0010】 炎症および筋肉痛の処置の例は、アスピリンおよびイブプロフェン、およびモ
ルヒネのようなオピオイドを包含する非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)を包含
する。
【0011】 NSAIDは、損傷組織によって放出されるプロスタグランジンの産生を阻害する
ことによって、痛みを緩和する。プロスタグランジンは、関節炎疾患におけるよ
うに、痛みおよび炎症の末梢媒介物質であることが示されており、その濃度の減
少は患者の痛みを軽減させる。プロスタグランジンは、脊髄および脳における痛
みの媒介に関与していることが提示されており、それは、炎症または末梢組織損
傷を有さないある種の痛みの状態におけるNSAIDの鎮痛作用を説明すると考えら
れる。しかし、プロスタグランジンは、痛みのいくつかの媒介物質の1つにすぎ
ない。従って、NSAIDは活性の最高限度を有し、その限度より上においては、増
加する投与量がより多くの痛みの軽減を与えない。さらに、それらは、それらの
有効性を限定する副作用を有する。例えば、NSAIDは、胃腸管を刺激する場合が
あり、長期間の使用は腸の広範囲な潰瘍化を生じる場合がある。これは、関節炎
症状にNSAIDを頻繁に使用する高齢の患者において特に言えることである。
【0012】 オピオイドの治療作用は、脊髄において示される。オピオイドは、一次知覚求
心性神経(主としてC線維)と投射性ニューロンの間の神経伝達の効果を阻害す
る。それらは、これらのシナプスの両方の要素の長期間にわたる過分極によって
、これを行う。オピオイドの使用は、大部分の種類の急性的な痛みおよび慢性的
な悪性の痛みを軽減するのに有効である。しかし、オピオイド無痛覚に部分的に
または完全に無反応性の多くの慢性的な悪性の痛みの症状、特に、例えば腫瘍形
成による神経圧迫に関係したそのような痛みの症状が存在する。残念なことに、
オピオイドは、下記のものを包含する好ましくない副作用も有する:(1)呼吸
器系の機能低下、(2)便秘、および(3)鎮静および多幸症を包含する精神活性
作用。これらの副作用は、鎮痛を生じる投与量と同様の投与量で生じ、従って、
患者に与えることができる投与量は制限される。さらに、モルヒネおよびヘロイ
ンのようなオピオイドは、身体的依存に導くよく知られた濫用薬であり、耐性も
生じる。耐性が生じた場合、同じ鎮痛効果を生じるのに必要とされる薬剤の投与
量が経時と共に増加する。これは、痛みを軽減するのに必要とされる投与量が、
前記副作用によって命を脅かすものになるという事態を招きうる。
【0013】 炎症および筋肉痙攣から生じる痛みは、一次知覚ニューロン自由終末の機械的
または化学的刺激によって開始しうるが、神経障害的痛みは、末梢自由神経終末
への初期刺激を必要としない。神経障害的痛みは、神経系、末梢神経、背根神経
節、背根または中枢神経系の損傷によって生じうる持続性または慢性の痛みの徴
候である。
【0014】 神経障害的痛みの徴候は、アロジニア(allodynia)、種々の神経痛、例えば
疱疹後神経痛および三叉神経痛、幻覚痛、および複合局所痛症候群、例えば反射
性交換神経性異栄養症および灼熱痛を包含する。灼熱痛は、痛覚過敏およびアロ
ジニアと組み合わされた自発性熱傷痛を特徴とする場合が多い。
【0015】 神経障害的痛みの現在の治療法は、痛みを軽減するかまたは除去するのではな
く、心理学的療法または作業療法によって患者が対処するのを単に補助しようと
するものである故に、残念ながら、定着した神経障害的痛みを適切に、予測的に
、特異的に治療する方法が存在しない。(Woolf Cら、Neuropathic Pain: Aetio
logy, Symptoms, Mechanisms, and Management, Lancet 1999; 353: 1959-64)
【0016】 例えば、神経障害的痛みの現在の治療法は、誘起点(trigger points)、末
梢神経、プレクシ(叢。plexi)、背根および交感神経系を標的とする局所麻酔
ブロック(blocks)の投与を包含する。しかし、これらの治療法は、一時的な抗
侵害受容効果を有するにすぎない。さらに、長期持続性の鎮痛治療法、例えば、
フェノール注射によるブロックまたは低温療法は、不可逆的機能障害の重大なリ
スクを生じる。さらに、クロニジン、ステロイド、オピオイドまたはミダゾラム
のような薬剤の慢性的な硬膜内または鞘内(集合的に「髄腔内」)投与は、重大
な副作用および不確かな有効性を有する。
【0017】 ボツリヌス毒素 嫌気性グラム陽性細菌であるボツリヌス菌(Clostridium botulinum)は、ボ
ツリヌス中毒と呼ばれる神経麻痺性障害をヒトおよび動物において引き起こす強
力なポリペプチド神経毒であるボツリヌス毒素を産生する。ボツリヌス菌の胞子
は、土壌中に見出され、滅菌と密閉が不適切な零細缶詰工場の食品容器内で増殖
する可能性があり、これが多くのボツリヌス中毒症例の原因である。ボツリヌス
中毒の影響は、通例、ボツリヌス菌の培養物または胞子で汚染された食品を飲食
した18〜36時間後に現れる。ボツリヌス毒素は、消化管内を弱毒化されないで通
過することができ、そして末梢運動ニューロンを攻撃することができるようであ
る。ボツリヌス毒素中毒の症状は、歩行困難、嚥下困難および会話困難から、呼
吸筋の麻痺および死にまで進行し得る。
【0018】 A型ボツリヌス毒素は、人類に知られている最も致死性の天然の生物学的物質
である。市販A型ボツリヌス毒素(精製された神経毒複合体)(商品名BOTOX(
登録商標)100単位バイヤルとしてカリフォルニア、アーヴィンのAllegan In
c. から入手可能)の約50ピコグラムがマウスにおけるLD50である。BOTOX(登録
商標)の1単位は、約50ピコグラムのA型ボツリヌス毒素複合体を含んでいる。
興味深いことに、モル基準でA型ボツリヌス毒素の致死力はジフテリアの18億倍
、シアン化ナトリウムの6億倍、コブロトキシンの3000万倍、コレラの1200万倍
である。Natuaral Toxins II[B. R. Singhら編、Plenum Press、ニューヨーク
(1976)]のSingh、Critical Aspects of Bacterial Protein Toxins、第63〜8
4頁(第4章)(ここで、記載されるA型ボツリヌス毒素LD50 0.3ng=1Uとは、B
OTOX(登録商標)約0.05ng=1Uという事実に補正される)。1単位(U)のボツリ
ヌス毒素は、それぞれが18〜20グラムの体重を有するメスのSwiss Websterマウ
スに腹腔内注射されたときのLD50として定義される。
【0019】 7種類の血清学的に異なるボツリヌス神経毒が特徴付けられており、これらは
、型特異的抗体による中和によってそのそれぞれが識別されるボツリヌス神経毒
血清型A、B、C1、D、E、FおよびGである。ボツリヌス毒素のこれらの異なる血清
型は、それらが冒す動物種、ならびにそれらが惹起する麻痺の重篤度および継続
時間が異なる。例えば、A型ボツリヌス毒素は、ラットにおいて生じる麻痺率に
より評価された場合、B型ボツリヌス毒素よりも500倍強力であることが確認され
ている。また、B型ボツリヌス毒素は、霊長類では480U/kgの投与量で非毒性であ
ることが確認されている。この投与量は、A型ボツリヌス毒素の霊長類LD50の約
12倍である。ボツリヌス毒素は、コリン作動性の運動ニューロンに大きな親和性
で結合して、ニューロンに移動し、シナプス前のアセチルコリン放出を阻止する
ようである。
【0020】 血清型に関係なく、毒素中毒の分子メカニズムは類似していると考えられ、少
なくとも3つのステップまたは段階を含む。プロセスの第一段階において、毒素
は、重鎖、H鎖および細胞表面受容体との特異的相互作用によって、標的ニュー
ロンのシナプス前膜に結合し;受容体は、ボツリヌス毒素の各型、およびテタヌ
ス毒素に関して異なっていると考えられる。H鎖のカルボキシル末端部分、HC
、毒素が細胞表面を標的にするのに重要であると考えられる。
【0021】 第二段階において、毒素は、中毒化された細胞の形質膜を通過する。毒素は、
先ず、受容体媒介エンドサイトーシスによって細胞に包み込まれ、毒素を含有す
るエンドソームが形成される。次に、毒素は、エンドソームから出て、細胞の細
胞質に入る。この段階は、約5.5またはそれ以下のpHに応答して毒素の配座変化
を誘発するH鎖のアミノ末端部分HNによって媒介されると考えられる。エンドソ
ームは、エンドソーム内pHを減少させるプロトンポンプを有していることが知ら
れている。配座シフトは、毒素における疎水残基を露出させ、これは、毒素がそ
れ自身をエンドソーム膜に埋め込むことを可能にする。次に、毒素(または最小
において軽鎖)は、エンドソーム膜を通過して細胞質に転位する。
【0022】 ボツリヌス毒素活性のメカニズムの最後の段階は、重鎖、H鎖、および軽鎖、L
鎖を結合するジスルフィド結合の減少を含む。ボツリヌス毒素およびテタヌス毒
素の全毒性活性は、ホロトキシンのL鎖に含有され;L鎖は、亜鉛(Zn++)エン
ドペプチダーゼであり、これは、認識、および神経伝達物質含有小胞と形質膜の
細胞質表面との結合、および小胞と形質膜との融合に重要なタンパク質を選択的
に開裂する。テタヌス神経毒、ボツリヌス毒素/B/D、/F、および/Gは、シナ
プトブレビン(小胞関連膜タンパク質(VAMP)とも称される)、シナプトソーム
膜タンパク質を分解させる。シナプス小胞の細胞質表面に存在する大部分のVAMP
は、これらの開裂現象のいずれか1つの結果として除去される。血清型AおよびE
はSNAP−25を開裂する。血清型C1は、シンタキシンを開裂すると初めは考えられ
ていたが、シンタキシンおよびSNAP−25を開裂することが見い出された。各毒素
は、異なる結合を特異的に開裂する(同じ結合を開裂するテタヌスおよびB型は
除く)。
【0023】 ボツリヌス毒素は、活動過多な骨格筋によって特徴付けられる神経筋障害を処
置するために臨床的状況において使用されている。A型ボツリヌス毒素は、本態
性眼瞼痙攣、斜視および片側顔面痙攣の処置のために米国食品医薬品局によって
承認された。非A型ボツリヌス毒素は、A型ボツリヌス毒素に比べ、明らかに、
低い効力および/または短い活性の持続性を有している。末梢筋肉内A型ボツリ
ヌス毒素の臨床的効果は、通常、注射後1週間以内に認められる。A型ボツリヌ
ス毒素の単回筋肉内注射による症候緩和の典型的な継続時間は平均して約3ヶ月
であり得る。
【0024】 すべてのボツリヌス毒素血清型が神経筋接合部における神経伝達物質アセチル
コリンの放出を明らかに阻害するようであるが、そのような阻害は、種々の神経
分泌タンパク質に作用し、かつ/またはこれらのタンパク質を異なる部位で切断
することによって行われる。例えば、A型およびE型ボツリヌス毒素は共に25キ
ロダルトン(kD)のシナプトソーム会合タンパク質(SNAP-25)を切断するが、
タンパク質内の異なるアミノ酸配列を標的とする。B型、D型、F型およびG型のボ
ツリヌス毒素は小胞会合タンパク質(VAMP、これはまたシナプトブレビンとも呼
ばれる)に作用し、それぞれの血清型によってこのタンパク質は異なる部位で切
断される。最後に、C1型ボツリヌス毒素は、シンタキシンおよびSNAP-25の両者
を切断することが明らかにされている。作用機序におけるこれらの相違が、様々
なボツリヌス毒素血清型の相対的な効力および/または作用の継続時間に影響し
ていると考えられる。重要なことに、ランゲルハンス島B細胞のシトソルが少な
くともSNAP-25(Biochem J 1; 339 (pt1): 159-65 (1999年4月)) およびシ
ナプトブレビン(Mov Disord 1995 May; 10(3): 376) を含んでいることは知ら
れている。
【0025】 ボツリヌス毒素タンパク質分子の分子量は、既知のボツリヌス毒素血清型の7
つのすべてについて約150kDである。興味深いことに、これらのボツリヌス毒素
は、会合する非毒素タンパク質とともに150kDのボツリヌス毒素タンパク質分子
を含む複合体としてクロストリジウム属細菌によって放出される。例えば、A型
ボツリヌス毒素複合体は、900kD、500kDおよび300kDの形態としてクロストリジ
ウム属細菌によって産生され得る。B型およびC1型のボツリヌス毒素は500kDの複
合体としてのみ産生されるようである。D型ボツリヌス毒素は300kDおよび500kD
の両方の複合体として産生される。最後に、E型およびF型のボツリヌス毒素は約
300kDの複合体としてのみ産生される。これらの複合体(すなわち、約150kDより
も大きな分子量)は、非毒素のヘマグルチニンタンパク質と、非毒素かつ非毒性
の非ヘマグルチニンタンパク質とを含むと考えられる。これらの2つの非毒素タ
ンパク質(これらは、ボツリヌス毒素分子とともに、関連する神経毒複合体を構
成する)は、変性に対する安定性をボツリヌス毒素分子に与え、そして毒素が摂
取されたときに消化酸からの保護を与えるように作用すると考えられる。また、
より大きい(分子量が約150kDよりも大きい)ボツリヌス毒素複合体は、ボツリ
ヌス毒素複合体の筋肉内注射部位からのボツリヌス毒素の拡散速度を低下させ得
ると考えられる。
【0026】 生体外試験によって、ボツリヌス毒素は、脳幹組織の一次細胞培養物からの、
アセチルコリンおよびノルエピネフィリンの両方のカリウムカチオン誘発放出を
阻害することが示されている。さらに、ボツリヌス毒素は、脊髄ニューロンの一
次培養物において、グリシンおよびグルタミン酸塩の両方の誘発放出を阻害し、
脳シナプトソーム試料において、ボツリヌス毒素は、神経伝達物質アセチルコリ
ン、ドーパミン、ノルエピネフィリン、CGRPおよびグルタミン酸塩のそれぞれの
放出を阻害することも報告されている。
【0027】 A型ボツリヌス毒素は、発酵槽においてクロストリジウムボツリヌスの培地を
定着させ増殖させ、次に、既知の方法によって発酵混合物を採取し精製すること
によって得ることができる。すべてのボツリヌス毒素血清型は、まずボツリヌス
菌によって不活性な単鎖タンパク質として産生され、神経活性となるためにはプ
ロテアーゼによって切断またはニッキングされなければならない。A型およびG
型のボツリヌス毒素血清型を産生する細菌株は内因性プロテアーゼを有するので
、A型およびG型の血清型は細菌培養物から主にその活性型で回収することがで
きる。これに対して、C1型、D型およびE型のボツリヌス毒素血清型は非タンパク
質分解性菌株によって合成されるので、培養から回収されたときには、典型的に
は不活性型である。B型およびF型の血清型はタンパク質分解性菌株および非タン
パク質分解性菌株の両方によって産生されるので、活性型または不活性型のいず
れでも回収することができる。しかし、例えば、B型ボツリヌス毒素を産生する
タンパク質分解性菌株でさえも、産生された毒素の一部を切断するだけである。
【0028】 切断型分子と非切断型分子との正確な比率は培養時間の長さおよび培養温度に
依存する。したがって、例えばB型ボツリヌス毒素の製剤はいずれも一定割合が
不活性であると考えられ、このことが、A型ボツリヌス毒素と比較したB型ボツ
リヌス毒素の知られている著しく低い効力の原因であると考えられる。臨床製剤
中に存在する不活性なボツリヌス毒素分子は、その製剤の総タンパク質量の一部
を占めることになるが、このことはその臨床的効力に寄与せず、抗原性の増大に
関連づけられている。また、B型ボツリヌス毒素は、筋肉内注射された場合、同
じ用量レベルのA型ボツリヌス毒素よりも、活性の継続期間が短く、そしてまた
効力が低いことも知られている。
【0029】 ボツリヌス菌のHall A株から、≧3×10U/mg、A260/A27
0.60未満、およびゲル電気泳動における明確なバンドパターンという特性
を示す高品質結晶A型ボツリヌス毒素を生成し得る。Shantz,E.J.ら、Pr
operties and use of Botulinum toxin and Other Microbial Neu
rotoxins in Medicine、Microbiol Rev.56:80−99(1992)
に記載されているように既知のShanz法を用いて結晶A型ボツリヌス毒素を得る
ことができる。通例、A型ボツリヌス毒素複合体を、適当な培地中でA型ボツリ
ヌス菌を培養した嫌気培養物から分離および精製し得る。既知の方法を用い、非
毒素タンパク質を分離除去して、例えば次のような純ボツリヌス毒素を得ること
もできる:比効力1〜2×10LD50U/mgまたはそれ以上の分子量約1
50kDの精製A型ボツリヌス毒素;比効力1〜2×10LD50U/mgま
たはそれ以上の分子量約156kDの精製B型ボツリヌス毒素;および比効力1
〜2×10LD50U/mgまたはそれ以上の分子量約155kDの精製F型
ボツリヌス毒素。
【0030】 ボツリヌス毒素および毒素複合体は、List Biological Laboratories,
Inc.(キャンベル、カリフォルニア);the Centre for Applied Micr
obiology and Research(ポートン・ダウン、イギリス);Wako(日本、大
阪);Metabiologics(マディソン、ウイスコンシン);およびSigma Chemic
als(セントルイス、ミズーリ)から入手し得る。
【0031】 純粋なボツリヌス毒素は非常に不安定なので、通例、医薬組成物を製造するた
めに使用されない。更に、ボツリヌス毒素複合体、例えばA型毒素複合体は、表
面変性、熱およびアルカリ性条件による変性に対しても非常に感受性である。不
活性化毒素はトキソイドタンパク質を形成し、これは免疫原性であり得る。その
結果生じる抗体の故に、患者が毒素注射に対して応答しなくなり得る。
【0032】 酵素一般について言えるように、ボツリヌス毒素(細胞内ペプチダーゼ)の生
物学的活性は、少なくとも部分的にはその三次元形状に依存する。すなわち、A
型ボツリヌス毒素は、熱、種々の化学薬品、表面の伸長および表面の乾燥によっ
て無毒化される。しかも、既知の培養、発酵および精製によって得られた毒素複
合体を、医薬組成物に使用する非常に低い毒素濃度まで希釈すると、適当な安定
剤が存在しなければ毒素の無毒化が急速に起こることが知られている。毒素をm
g量からng/ml溶液へ希釈するのは、そのような大幅な希釈によって毒素の
比毒性が急速に低下する故に、非常に難しい。毒素含有医薬組成物を製造後、何
箇月も、または何年も経過してから毒素を使用することもあるので、毒素を安定
剤で安定化しなければならない。この目的のための有効な安定剤は、動物由来の
タンパク質であるアルブミンおよびゼラチンに限られている。しかし、前述のよ
うに最終製剤中に動物由来タンパク質が存在すると、ドナーに由来するある種の
安定なウイルス、プリオンまたは他の感染性もしくは病原性化合物が毒素を汚染
する可能性があるのである。
【0033】 更に、ボツリヌス毒素含有医薬組成物を、毒素輸送または貯蔵形態(即用また
は医師による再構成用)に凍結乾燥または減圧乾燥するために必要な、苛酷なp
H、温度および濃度範囲条件はいずれも、いくつかの毒素を無毒化し得る。すな
わち、動物由来の、またはドナーのプールからのタンパク質、例えばゼラチンお
よび血清アルブミンは、ボツリヌス毒素の安定化にいくらか有効に用いられたに
過ぎない。
【0034】 市販のボツリヌス毒素含有医薬組成物は、BOTOX(登録商標)(カリフオ
ルニア、アーヴィンのAllergan,Inc.から入手可能)の名称で市販されてい
る。BOTOX(登録商標)は、精製A型ボツリヌス毒素複合体、アルブミンお
よび塩化ナトリウムから成り、無菌の減圧乾燥形態で包装されている。このA型
ボツリヌス毒素は、N−Zアミンおよび酵母エキスを含有する培地中で増殖させ
たボツリヌス菌のHall株の培養物から調製する。そのA型ボツリヌス毒素複合
体を培養液から一連の酸沈殿によって精製して、活性な高分子量毒素タンパク質
および結合ヘマグルチニンタンパク質から成る結晶複合体を得る。結晶複合体を
、塩およびアルブミンを含有する溶液に再溶解し、滅菌濾過(0.2μ)した後
、減圧乾燥する。BOTOX(登録商標)は、筋肉内注射前に、防腐していない
無菌塩類液で再構成し得る。BOTOX(登録商標)の各バイアルは、A型ボツ
リヌス毒素精製神経毒複合体約100単位(U)、ヒト血清アルブミン0.5m
gおよび塩化ナトリウム0.9mgを、防腐剤不含有の無菌減圧乾燥形態で含有
する。
【0035】 減圧乾燥BOTOX(登録商標)を再構成するには、防腐剤不含有の無菌生理
食塩水;0.9%Sodium Chloride Injectionを使用し、適量のその希釈剤
を適当な大きさの注射器で吸い上げる。BOTOX(登録商標)は、泡立てまた
は同様の激しい撹拌によって変性すると考えられるので、そのバイアルに希釈剤
を穏やかに注入する。BOTOX(登録商標)は、再構成後4時間以内に投与す
べきである。その間、再構成BOTOX(登録商標)は冷蔵庫(2〜8℃)内で
保管する。再構成BOTOX(登録商標)は、無色透明で、粒状物を含まない。
減圧乾燥生成物は、−5℃またはそれ以下の冷凍庫内で貯蔵する。BOTOX(
登録商標)は、バイアルを冷凍庫から取り出して再構成してから4時間以内に投
与する。この4時間の間、再構成したBOTOX(登録商標)は冷蔵庫(2〜8
℃)内で保管し得る。
【0036】 A型ボツリヌス毒素は下記のような臨床的状況において使用されていることが
報告されている: (1)頸部ジストニーを処置するための筋肉内注射(多数の筋肉)あたり約75
単位〜125単位のBOTOX(登録商標); (2)眉間のしわを処置するための筋肉内注射あたり約5単位〜10単位のBOTOX
(登録商標)(5単位が鼻根筋に筋肉内注射され、10単位がそれぞれの皺眉筋に
筋肉内注射される); (3)恥骨直腸筋の括約筋内注射による便秘を処置するための約30単位〜80単
位のBOTOX(登録商標); (4)上瞼の外側瞼板前部眼輪筋および下瞼の外側瞼板前部眼輪筋に注射する
ことによって眼瞼痙攣を処置するために筋肉あたり約1単位〜5単位の筋肉内注射
されるBOTOX(登録商標);
【0037】 (5)斜視を処置するために、外眼筋に、約1単位〜5単位のBOTOX(登録商標)
が筋肉内注射されている。この場合、注射量は、注射される筋肉のサイズと所望
する筋肉麻痺の程度(すなわち、所望するジオプター矯正量)との両方に基づい
て変化する。 (6)卒中後の上肢痙性を処置するために、下記のように5つの異なる上肢屈筋
にBOTOX(登録商標)が筋肉内注射される: (a)深指屈筋:7.5U〜30U (b)浅指屈筋:7.5U〜30U (c)尺側手根屈筋:10U〜40U (d)橈側手根屈筋:15U〜60U (e)上腕二頭筋:50U〜200U。5つの示された筋肉のそれぞれには同じ処置
時に注射されるので、患者には、それぞれの処置毎に筋肉内注射によって90U〜3
60Uの上肢屈筋BOTOX(登録商標)が投与される。 (7)偏頭痛を処置するために、25UのBOTOX(登録商標)の頭蓋骨膜注射(眉
間筋、前頭筋、側頭筋に対称的に注射される)は、25U注射後3ヶ月間にわたって
、偏頭痛の頻度、最大重度、関連嘔吐および急性薬使用の減少した測定値によっ
て示されるように、賦形剤と比較して偏頭痛の予防的処置として有意な利益を示
す。
【0038】 A型ボツリヌス毒素は、最大12ヶ月間にわたって有効性を有することができ(
European J. Neurology 6(Supp 4):S111−S1150:1999)、27ヶ月間に
もわたって有効性を有する場合もある(The Laryngoscope 109: 1344−1346
:1999)。しかし、BOTOX(登録商標)の筋肉注射の一般的な持続期間は、約3〜
4ヶ月である。
【0039】 前記のように、ある種のボツリヌス毒素を使用して、種々の運動障害、例えば
痙攣性筋肉疾患を治療し、その結果、痛みが軽減される。例えば、ボツリヌス毒
素を使用して筋肉痙攣を処置し、その結果、痙攣性筋肉活動亢進、および痙攣性
筋肉活動の結果としてかまたはそれによって二次的に生じる痛みの両方が軽減さ
れることは知られている。例えば、Cheshireら、Pain 1994;59(1):65−69
は、筋筋膜痛症候群の患者は、誘起点にA型ボツリヌス毒素を注射した後に痛み
が軽減されたことを報告している。WO94/15629も参照。A型ボツリヌス毒素は
、先ず第一に痛みを生じた、または実質的に生じた、持続筋肉収縮を減少させる
ことによって、痛みを軽減することができると考えられる。従って、筋肉痙攣か
ら生じるか、または筋肉痙攣を伴う痛みは、痙攣によって生じた低い局所pHによ
ると考えれらる。ボツリヌス毒素によって誘発された弛緩性筋肉麻痺の間接的作
用は、pHを生理的レベルに戻し、それによって、ボツリヌス毒素の末梢投与によ
って生じる運動終板コリン作用性神経除去の二次作用として、痛みが軽減される
【0040】 ボツリヌス毒素は、筋肉痙攣、血管障害、神経痛および神経障害に関係した偏
頭痛の治療に使用することができる(Binderの米国特許第5714468号参照、それ
に開示されている内容は全体として本発明の開示の一部を構成するものとする)
。注目すべきことに、筋肉痙攣痛、緊張亢進性筋肉痛、筋筋膜痛および偏頭痛は
全て、少なくとも部分的に、増加した筋肉緊張または収縮の間の筋肉自体からの
1つまたはそれ以上の侵害受容物質の産生および放出によるものである。
【0041】 様々な臨床的状態を処置するためにA型ボツリヌス毒素が成功していることに
より、他のボツリヌス毒素血清型が注目されている。2つの市販のA型ボツリヌ
ス毒素製剤(BOTOX(登録商標)およびDysport(登録商標))ならびにB型およ
びF型のボツリヌス毒素の製剤(ともにWako Chemicals(日本)から得られる)
の研究が、局所的な筋肉弱化効能、安全性および抗原性を明らかにするために行
われた。ボツリヌス毒素製剤が右腓腹筋の頭部に注射(0.5単位/kg〜200.0単位
/kg)され、筋肉の弱さが、マウスの指外転評価アッセイ(DAS)を使用して評
価された。ED50値を用量応答曲線から計算した。さらなるマウスには、LD50量を
決定するために筋肉内注射が行われた。治療指数をLD50/ED50として計算した。
別のマウス群には、BOTOX(登録商標)(5.0単位/kg〜10.0単位/kg)またはB
型ボツリヌス毒素(50.0単位/kg〜400.0単位/kg)が後肢に注射され、そして
筋肉の弱さおよび増大した水の消費が調べられた。後者は、口渇の推定的なモデ
ルである。抗原性は、ウサギに毎月筋肉内注射することによって評価された(B
型ボツリヌス毒素については1.5ng/kgまたは6.5ng/kg、あるいはBOTOX(登録
商標)については0.15ng/kg)。
【0042】 最大筋肉弱さおよび継続期間はすべての血清型について用量に関連していた。
DASのED50値(単位/kg)は下記の通りであった:BOTOX(登録商標):6.7、Dys
port(登録商標):24.7、B型ボツリヌス毒素:27.0〜244.0、F型ボツリヌス毒
素:4.3。BOTOX(登録商標)は、B型ボツリヌス毒素またはF型ボツリヌス毒素よ
りも長い作用継続時間を有した。治療指数値は下記の通りであった:BOTOX(登
録商標):10.5、Dysport(登録商標):6.3、B型ボツリヌス毒素:3.2。水の消
費は、B型ボツリヌス毒素が注射されたマウスが、BOTOX(登録商標)の場合より
も大きかったが、B型ボツリヌス毒素は、筋肉を弱くさせることにおいては効果
が低かった。注射した4ヶ月後、4羽のうち2羽(1.5ng/kgで処置された場合)お
よび4羽のうち4羽(6.5ng/kgで処置された場合)のウサギがB型ボツリヌス毒素
に対する抗体を生じた。別の研究において、BOTOX(登録商標)で処置された9羽
のウサギはどれも、A型ボツリヌス毒素に対する抗体を示さなかった。
【0043】 DASの結果は、A型ボツリヌス毒素の相対的な最大効力がF型ボツリヌス毒素と
同等で、F型ボツリヌス毒素の効力はB型ボツリヌス毒素よりも大きいことを示し
ている。効果の継続期間については、A型ボツリヌス毒素はB型ボツリヌス毒素
よりも大きく、B型ボツリヌス毒素の効果継続期間はF型ボツリヌス毒素よりも大
きかった。治療指数値により示されるように、A型ボツリヌス毒素の2つの市販
製剤(BOTOX(登録商標)およびDysport(登録商標))は異なる。B型ボツリヌ
ス毒素を後肢に注射した後に認められる増大した水消費の挙動は、この血清型の
臨床的に有意な量がネズミの全身循環に入ったことを示している。これらの結果
はまた、A型ボツリヌス毒素と匹敵し得る効力を達成するためには、それ以外の
調べられた血清型の量を増大する必要があることを示している。投薬量の増大は
安全性を損なう可能性がある。さらに、ウサギにおいて、B型はBOTOX(登録商標
)よりも抗原性が大きかった。これは、おそらくは、B型ボツリヌス毒素の効果
的な用量を達成するために、より多量のタンパク質が注射されたためである。Eu
r J Neurol 1999 Nov; 6 (Suppl 4): S3-S10。
【0044】 ボツリヌス毒素は、末梢位置において薬理作用を有するのに加え、中枢神経系
における阻害作用も有すると考えられる。Weigandらの論文、Nauny−Schmiedebe
rg's Arch.Pharmacol. 1976;292,161−165、およびHabermannの論文、Nauny
-Schmiedeberg's Arch.Parmacol.1974;281,47−56は、ボツリヌス毒素が逆
行輸送(retrograde transport)によって脊髄領域に上昇しうることを示してい
る。従って、末梢位置、例えば筋肉内に注射されたボツリヌス毒素は、脊髄に逆
行輸送される。しかし、前記論文の著者は、放射性標識物質が完全なボツリヌス
毒素であることを示すことができなかった。
【0045】 前記のように、筋肉障害に関係した痛み、例えば筋肉痙攣痛、および血管障害
、神経痛および神経障害に関係した頭痛は、ボツリヌス毒素の使用によって効果
的に治療することができる。しかし、多くの他の種類の痛みを治療するのに使用
しうる手段は、明らかに欠点を有する。そのような痛みは、例えば、筋肉障害に
関係していない痛み、非頭痛神経痛および神経障害痛、組織炎症痛、関節炎症痛
、組織炎症痛、癌痛、術後痛、破傷痛、虚血痛等である。
【0046】 これらの他の種類の痛みに取り組む努力がなされているが、それらの成功の可
能性および臨床使用の可能性は、現時点において確定されていない。例えば、Fo
sterらの米国特許第5989545号(全体として、本発明の開示の一部を構成するも
のとする)は、特定の標的成分に化学的に結合している(conjugated)かまたは
組換え的に融合している(fused)クロストリジウム神経毒、好ましくはボツリ
ヌス毒素を使用して、痛みを治療しうることを開示している。
【0047】 アセチルコリン 典型的には、単一タイプの小分子の神経伝達物質のみが、哺乳動物の神経系に
おいて各タイプのニューロンによって放出される。神経伝達物質アセチルコリン
が脳の多くの領域においてニューロンによって分泌されているが、具体的には運
動皮質の大錐体細胞によって、基底核におけるいくつかの異なるニューロンによ
って、骨格筋を神経支配する運動ニューロンによって、自律神経系(交感神経系
および副交感神経系の両方)の節前ニューロンによって、副交感神経系の節後ニ
ューロンによって、そして交感神経系の一部の節後ニューロンによって分泌され
ている。本質的には、汗腺、立毛筋および少数の血管に至る節後交感神経線維の
みがコリン作動性であり、交感神経系の節後ニューロンの大部分は神経伝達物質
のエピネフリンを分泌する。ほとんどの場合、アセチルコリンは興奮作用を有す
る。しかし、アセチルコリンは、迷走神経による心臓の抑制のように、抑制作用
を一部の末梢副交感神経終末において有することが知られている。
【0048】 自律神経系の遠心性シグナルは交感神経系または副交感神経系のいずれかを介
して身体に伝えられる。交感神経系の節前ニューロンは、脊髄の中間外側角に存
在する節前交感神経ニューロン細胞体から伸びている。細胞体から伸びる節前交
感神経線維は、脊椎傍交感神経節または脊椎前神経節のいずれかに存在する節後
ニューロンとシナプスを形成する。交感神経系および副交感神経系の両方の節前
ニューロンはコリン作動性であるので、神経節にアセチルコリンを適用すること
により、交感神経および副交感神経の両方の節後ニューロンが興奮し得る。
【0049】 アセチルコリンは、ムスカリン性受容体およびニコチン性受容体の2種類の受
容体を活性化する。ムスカリン性受容体は、副交感神経系の節後ニューロンによ
って刺激されるすべてのエフェクター細胞において、また、交感神経系の節後コ
リン作動性ニューロンに刺激されるエフェクター細胞において見られる。ニコチ
ン性受容体は、交感神経および副交感神経の両方の節前ニューロンと節後ニュー
ロンとの間のシナプスに見られる。ニコチン性受容体はまた、神経筋接合部にお
ける骨格筋繊維の多くの膜にも存在する。
【0050】 アセチルコリンは、小さい透明な細胞内小胞がシナプス前のニューロン細胞膜
と融合したときにコリン作動性ニューロンから放出される。非常に様々な非ニュ
ーロン分泌細胞、例えば副腎髄質(PC12細胞株と同様に)および膵臓の島細胞が
、それぞれカテコールアミン類および副甲状腺ホルモンを大きな高密度コア小胞
から放出する。PC12細胞株は、交感神経副腎発達の研究のために組織培養モデル
として広範囲に使用されているラットのクロム親和性細胞腫細胞のクローンであ
る。ボツリヌス毒素は、(エレクトロポレーションによるように)透過性にされ
た場合、または脱神経支配細胞に毒素を直接注射することによって、両タイプの
細胞からの両タイプの化合物の放出をインビトロで阻害する。ボツリヌス毒素は
また、皮質シナプトソーム細胞培養物からの神経伝達物質グルタメートの放出を
阻止することが知られている。
【0051】 神経筋接合部は、筋肉細胞への軸索の近接によって、骨格筋において形成され
る。神経系を通って伝達される信号は、終末軸索において活動電位を生じ、イオ
ンチャンネルを活性化し、例えば神経筋接合部の運動終板において、ニューロン
内シナプス小胞から神経伝達物質アセチルコリンを放出させる。アセチルコリン
は細胞外空間を通過して、筋肉終板の表面において、アセチルコリン受容体タン
パク質と結合する。一旦、充分な結合が生じると、筋肉細胞の活動電位は、特異
的膜イオンチャンネル変化を生じ、その結果、筋肉細胞収縮が生じる。次に、ア
セチルコリンが筋肉細胞から放出され、細胞外空間においてコリンエステラーゼ
によって代謝される。代謝物は、さらにアセチルコリンに再処理するために終末
軸索に戻される。
【0052】 (発明の開示) 従って、必要とされているのは、痛み、特に、筋肉障害または頭痛に関係して
いない痛みを治療するのに有効な長期持続性の非外科的方法である。
【0053】 本発明はこの要求を満たし、痛み、特に、筋肉障害または頭痛に関係していな
い痛みを処置するのに有効な長期持続性の非外科的方法を提供する。
【0054】 痛みを処置する本発明の方法は、神経毒を哺乳動物に末梢投与する段階を含ん
で成る。処置される痛みは筋肉痙攣のような筋肉障害に関係したものではなく、
なぜなら、本発明の方法が作用するメカニズムは、運動ニューロンにおける作用
を有するのではなく、末梢の知覚求心性痛みニューロンにおける抗侵害受容作用
によると考えられるからである。
【0055】 神経毒は、神経毒に実質的に固有のニューロン結合成分を含んで成る。神経毒
は、ボツリヌス毒素、例えば、A、B、C1、D、E、FまたはG型のボツリヌス毒素の
1つである。ボツリヌス毒素は、A型ボツリヌス毒素であるのが好ましい。
【0056】 神経毒は、少なくとも1つのアミノ酸が欠失、改質または置換された改質神経
毒であることができる。さらに、神経毒は、少なくとも部分的に組換え法によっ
て製造することができる。
【0057】 神経毒は約0.01U/kg〜約35U/kgの量で投与することができ、処置される痛
みを、約1ヶ月〜約27ヶ月、例えば約1ヶ月〜約6ヶ月にわたって、実質的に軽減
することができる。
【0058】 神経毒の末梢投与は、患者によって経験される侵害受容現象または症候群の開
始前に行うことができる。さらに、神経毒の末梢投与は、患者によって経験され
る侵害受容現象の開始後に行うこともできる。
【0059】 本発明の方法の詳細な実施態様は、ボツリヌス毒素をヒト患者に末梢投与する
段階を含んで成り、それによって、筋肉痙攣または頭痛に関係していない痛みを
軽減することができる。
【0060】 本発明の他の方法は、神経毒を哺乳動物に末梢投与する段階を含んで成り、該
方法において、神経毒は、(a)A、B、C1、D、E、F、G型のボツリヌス毒素およ
びそれらの混合物から成る群から選択される神経毒に実質的に完全に由来する野
生型ニューロン結合成分を含んで成る第一アミノ酸配列領域、(b)ポリペプチ
ドまたはその一部をエンドソーム膜を通過して転位させるのに有効な第二アミノ
酸配列領域、(c)標的細胞の細胞質に放出された際に治療活性を有する第三ア
ミノ酸配列領域、を含んで成るポリペプチドであり、痛みは筋肉痙攣に関係して
いない痛みである。
【0061】 ポリペプチドの第一アミノ酸配列領域は、神経毒に由来する重鎖のカルボキシ
ル末端を含んで成ることができ、神経毒はA型ボツリヌス毒素のようなボツリヌ
ス毒素であることができる。
【0062】 ポリペプチドの第二アミノ酸配列領域は、A、B、C1、D、E、F、G型のボツリヌ
ス毒素およびそれらの混合物から成る群から選択される神経毒に由来する重鎖の
アミン末端を有することができる。特に、ポリペプチドの第二アミノ酸配列領域
は、A型ボツリヌス毒素に由来する毒素重鎖のアミン末端を有することができる
【0063】 最後に、ポリペプチドの第三アミノ酸配列領域は、クロストリジウム・ベラッ
ティ毒素;ブチリカム毒素;テタニ毒素; A、B、C1、D、E、F、G型のボツリヌ
ス毒素およびそれらの混合物;から成る群から選択される神経毒に由来する毒素
軽鎖を含んで成ることができる。ポリペプチドの第三アミノ酸配列領域は、A型
ボツリヌス毒素に由来する毒素軽鎖を有することができる。
【0064】 本発明は、患者の機能を改善する方法も含み、該方法は、非筋肉障害関連痛を
有する患者にボツリヌス毒素を末梢投与する段階を含んで成り、それによって、
減少した痛み、減少したベットで過ごす時間、改善した聴力、増加した歩行、よ
り健康的な態度、およびより変化に富んだライフスタイルの1つまたはそれ以上
の要素における改善によって確認される患者の機能を改善する。
【0065】 重要なことに、本発明の神経毒は、ニューロン細胞表面受容体に特異的親和性
を有する天然または野生型の結合成分を含んで成る。本発明の神経毒は、神経毒
に固有でないニューロン標的成分を含まず、なぜなら、使用される神経毒の天然
または野生型の結合成分に改質または欠失を加えずに、本発明を効果的に実施し
うることを我々は見出したからである。
【0066】 従って、1つまたはそれ以上の非天然標的成分人為構造または構成を有する神
経毒の使用は、不必要である故に本発明に含まれず、なぜなら、前記のように、
驚くべきことに、本発明の神経毒の末梢投与は、神経毒が非天然標的成分を有さ
なくても顕著に痛みを軽減することを我々は見出したからである。例えば、A型
ボツリヌス毒素のような神経毒は、末梢投与した際に、神経毒が非天然ニューロ
ン標的成分の結合を人為的または操作的に付与されていない場合でも、痛みを軽
減させることを我々は見出した。
【0067】 驚くべきことに、野生型ニューロン結合成分を有する神経毒、例えばクロスト
リジウム神経毒を、哺乳動物に末梢投与して痛みを処置しうることを我々は見出
した。野生型ニューロン結合成分は、本来、神経毒の一部分である。例えば、本
来の野生型ニューロン結合成分を有するA型ボツリヌス毒素を約0.01U/kg〜約
35U/kgの量で末梢投与して、哺乳動物、例えばヒト患者の痛みを軽減すること
ができる。好ましくは、使用されるボツリヌス毒素は約0.1U/kg〜約3U/kgの
量で末梢投与される。重要なことに、本発明の痛み軽減作用は、平均で1〜6ヶ月
、ある場合にはそれより長い期間にわたって持続する。ボツリヌス毒素の作用は
、投与後最大27ヶ月にわたって持続することが報告されている。
【0068】 他の実施態様において、痛みを処置する方法は、少なくとも1つのアミノ酸に
よって天然神経毒と異なる神経毒、例えばクロストリジウム神経毒を、哺乳動物
に投与することを含んで成る。神経毒は、野生型ニューロン結合成分も有する。
【0069】 他の実施態様において、痛みを治療する方法は、他の神経毒サブタイプの野生
型ニューロン結合成分を有する神経毒、例えばクロストリジウム神経毒を、哺乳
動物に投与することを含んで成る。
【0070】 本発明は、実施された外科的処置によって生じた(即ち、痛みが、少なくとも
部分的に、実施された切開による)術後痛を処置する方法も含む。該方法は、外
科的処置の前(即ち、手術の最大10日前)、その間、またはその直後に(即ち、
手術から約6〜12時間以上経過するまでに)、有効量のボツリヌス毒素を末梢投
与する段階を含んで成り、それによって、術後痛を軽減するかまたは有意に軽減
する。本発明は、外科的処置が筋肉痙攣を処置するために実施される方法を含ま
ない。
【0071】 本発明は、有効量のボツリヌス毒素の非全身性局所投与によって内臓痛を軽減
する、内臓痛の処置法にも関する。内臓痛は、内臓、即ち、消化器系、呼吸器系
、泌尿生殖器系および内分泌系の器官、ならびに脾臓、心臓および/または血管
における部位から生じることが患者によって知覚される痛みである。従って、内
臓痛は、膵臓、腸、胃および腹筋における痛みを包含する。
【0072】 痛みを処置する本発明の好ましい方法は、哺乳動物に神経毒を末梢投与する段
階を含む。処置される痛みは、実質的に筋肉痙攣によるものではなく、なぜなら
、驚くべきことに、本発明の神経毒を使用して筋肉痙攣に二次的でない痛みを治
療しうることを我々は見出したからである。従って、本発明は、筋肉痙攣のよう
な筋肉障害の存在または不存在に関係なく生じる痛みを治療するのに適用するこ
とができる。さらに、本発明は、筋肉痙攣に二次的でない痛みの治療にも適用で
き、そのような治療も本発明に含まれる。従って、患者は、痙攣性または緊張亢
進性の筋肉を有する場合があり、筋肉痙攣に二次的でない、即ち、筋肉痙攣から
生じるのでもなく、筋肉痙攣によるのでもない痛みも有する場合がある。例えば
、患者は、痙攣性四肢筋を有する場合があり、同時に背痛のようなトラック(tr
uck)における痛みを有する場合がある。この例において、本発明の方法は、患
者の背に神経毒を末梢(即ち、皮下)投与することによって、背痛を治療するこ
とができる。
【0073】 定義 下記の定義を、本明細書において適用する。
【0074】 「軽鎖」は、クロストリジウム神経毒の軽鎖を意味する。これは、約50kDaの
分子量を有し、L鎖、L、またはクロストリジウム神経毒のタンパク質分解ドメイ
ン(アミノ酸配列)とも称される。
【0075】 「重鎖」は、クロストリジウム神経毒の重鎖を意味する。これは、約100kDaの
分子量を有し、H鎖またはHとも称される。
【0076】 「HN」は、約50kDaの分子量を有するフラグメントであって、クロストリジウ
ム神経毒のH鎖に由来し、H鎖のアミノ末端セグメントにほぼ相当するフラグメン
ト、または完全なH鎖におけるそのフラグメントに対応する部分を意味する。そ
れは、細胞内エンドソーム膜を通過するL鎖の転位に関与している天然または野
生型クロストリジウム神経毒の一部を含有すると考えられる。
【0077】 「HC」は、クロストリジウム神経毒のH鎖に由来するフラグメント(約50kDa)
であって、H鎖のカルボキシル末端セグメントにほぼ相当するフラグメント、ま
たは完全なH鎖におけるそのフラグメントに対応する部分を意味する。これは、
免疫原性であり、運動ニューロンへの高親和性シナプス前結合に関与している天
然または野生型のクロストリジウム神経毒の一部を含有すると考えられる。
【0078】 「野生型ニューロン結合成分」は、神経毒に固有である神経毒の一部であって
、ニューロンにおける受容体に特異的結合親和性を示す部分を意味する。従って
、野生型または天然のニューロン結合成分は、神経毒に固有でない結合成分を含
まない。
【0079】 「標的成分」は、細胞表面受容体に特異的結合親和性を有する分子を意味する
。標的成分は、クロストリジウム神経毒HCでもなく、そのアミノ酸の少なくとも
1つが欠失、改質または置換されたHCから誘導されるペプチドでもない。標的成
分は、クロストリジウム神経毒でない分子であり、例えばブラジキニンであるこ
とができる。
【0080】 「局所投与」は、非全身性経路によるか、あるいは苦痛、障害または知覚され
た痛みの部位の付近に、投与することを意味する。
【0081】 「末梢投与」は、哺乳動物の末梢位置に、非全身性経路によって投与すること
を意味する。末梢位置は、皮下または骨格筋を一般に意味する。末梢投与は、末
梢筋肉内、分泌腺内および皮下投与経路を包含するが、静脈内または経口投与は
含まず、中枢神経系へのいかなる直接的投与も含まない。
【0082】 図面の説明 本発明のこれらおよび他の特徴、局面および長所は、下記の説明、特許請求の
範囲および図面からより深く理解することができ、図1および図2において「注射
」は末梢注射または投与を意味する。
【0083】 図1は、本発明の方法が、ラットホルマリンモデルにおける誘発された炎症性
の痛みを、少なくとも5日間にわたって軽減することを示す用量反応グラフであ
る。X軸は、ラットにおけるホルマリンモデルの開始後の時間(分)を示す。Y軸
は、対照(生理食塩水、n=7)、および7U/kg(n=8)、15U/kg(n=5)およ
び30U/kg(n=4)の濃度でBOTOX(登録商標)(A型ボツリヌス毒素精製神経毒
複合体)を注射した後に、ホルマリン注射した足を持ち上げてなめるのに費やし
た時間を示す。BOTOX(登録商標)は、ホルマリン攻撃の開始の5日前に注射した
【0084】 図2は、本発明の方法が、ラットホルマリンモデルにおける誘発された炎症性
の痛みを、少なくとも12日間にわたって軽減することを示す用量反応グラフであ
る。X軸は、ラットにおけるホルマリンモデルの開始後の時間(分)を示す。Y軸
は、対照(生理食塩水、n=3)、および3.5U/kg(n=7)および7U/kg(n=8
)の濃度でBOTOX(登録商標)(A型ボツリヌス毒素精製神経毒複合体)を注射
をした後に、ホルマリン注射した足を持ち上げてなめるのに費やした時間を示す
。BOTOX(登録商標)は、ホルマリン攻撃の開始の12日前に注射した。
【0085】 発明の説明 本発明は、神経毒の末梢投与が慢性の痛みを効果的に治療しうるという発見に
基づいている。特に、神経毒は野生型または天然のニューロン結合成分を有する
。処置される痛みは、筋肉痙攣によるものではなく、頭痛によるものでもない。
慢性の痛みは、使用される神経毒の長期間の抗侵害受容作用によって処置される
。神経毒のニューロン結合成分は、選択された神経毒に固有のニューロン結合成
分であり、なぜなら、野生型ニューロン結合成分を非天然または非野生型標的成
分で置換せずに本発明を実施しうることを我々は見出したからである。本発明は
頭痛の処置を含まず、なぜなら、本発明の神経毒の末梢投与の好ましい部位は頭
および首を含まないからである。
【0086】 我々の発見より前に、ボツリヌス毒素のような神経毒を使用して、種々の筋肉
障害に関連した痛みの処置がなされていた。従って、痙攣性筋肉のような筋肉障
害は痛みを生じ、痙攣を治療することによって痛みも軽減しうることは知られて
いる。Fosterらは、痛みの処置に使用される標的成分に神経毒を結合させる、即
ち、クロストリジウム神経毒の野生型結合成分を完全に除去して標的成分で置換
する、ことを開示している。
【0087】 驚くべきことに、ニューロン標的成分に結合、付加、付着または融合していな
い神経毒を、本発明の方法によって末梢投与して、痛みを処置しうることを我々
は見出した。好ましくは、処置される痛みは筋肉痙攣による痛みではなく、即ち
、該痛みは筋肉痙攣の二次的結果として直接的に生じる痛みではない。本発明を
使用して、種々の神経障害、炎症、癌および外傷疾患から生じる痛みを処置する
ことができる。
【0088】 本発明より前に、ボツリヌス毒素のような神経毒を使用して、筋肉痙攣または
緊張亢進性筋肉疾患によるものではない痛みを効果的に処置しうることは知られ
ていなかった。神経毒の末梢投与が長期間にわたって痛みを軽減させる生理学的
メカニズムは解明されていない。筋肉痙攣または緊張亢進性筋肉疾患による痛み
は、減少した局所pHを生じるが、本発明は、局所低pHレベルを増加させることに
基づくのではなく、その必要がないことを我々は見出した。さらに、筋肉痙攣ま
たは緊張亢進性筋肉疾患は、運動ニューロンへのボツリヌス毒素のような神経毒
の抗コリン作用効果によって軽減しうるが、本発明は運動ニューロンへの作用に
基づいていない。理論に縛られることを望むわけではないが、本発明のボツリヌ
ス毒素のような神経毒の末梢投与の1つの作用は、末梢知覚求心性ニューロンに
おける抗侵害受容作用であると我々は推測する。重要なことに、本発明において
、痛みの軽減は、ボツリヌス毒素のような神経毒の末梢投与後の、二次的ではな
く一次的な作用である。
【0089】 従って、本発明は、少なくとも部分的には、野生型ニューロン結合成分を有す
る神経毒を哺乳動物に末梢投与して痛みを軽減しうるという発見に基づいている
。本発明の神経毒は、非天然標的成分に結合されていない。本発明の野生型結合
成分は、クロストリジウム神経毒の自然に存在するHCセグメント、またはクロス
トリジウム神経毒のHCセグメントに実質的に完全に由来するアミノ酸配列である
ことができる。
【0090】 以下で使用する場合、他のアミノ酸配列、例えばHCセグメントに「由来する」
アミノ酸配列、例えば野生型結合成分は、得られたアミノ酸配列がそれが由来す
るアミノ酸配列と全く同じように複製されているか、または得られたアミノ酸配
列が、それが由来するアミノ酸配列と比較して、少なくとも1つのアミノ酸を欠
失、改質または置換されていることを意味する。
【0091】 本発明の1つの広い局面によれば、野生型ニューロン結合成分を有する神経毒
、例えばクロストリジウム神経毒の有効量を哺乳動物に投与することを含んで成
る、痛みの処置方法を提供する。1つの実施態様において、該方法は、初めから
既に神経毒の一部である野生型結合成分を有する神経毒を、哺乳動物に投与する
ことを含む。例えば、そのような神経毒は、それぞれニューロン結合成分を既に
有しているベラッティ毒素およびボツリヌス毒素から成る群から選択することが
でき、神経毒は、これもまた野生型ニューロン結合成分を有するテタニ毒素であ
ることもできる。好ましくは、哺乳動物に投与される神経毒は、それぞれそれ自
身の本来の野生型ニューロン結合成分を有するA、B、C1、D、E、FおよびG型のボ
ツリヌス毒素から成る群から選択される。より好ましくは、該方法は、それ本来
の野生型ニューロン結合成分を有するA型ボツリヌス毒素を投与することを含む
。該方法は、2つまたはそれ以上の前記神経毒の混合物を哺乳動物に投与して、
痛みを処置することを含む。
【0092】 他の実施態様において、該方法は、少なくとも1つのアミノ酸によって天然神
経毒と異なる神経毒、例えばクロストリジウム神経毒を、哺乳動物に投与するこ
とを含んで成る。例えば、Biochemistry 1995,34,p.15175−15181およびEur
.J.Biochem,1989,185,p.197−203(全体として、本発明の開示の一部を構
成する)に記載されているA型ボツリヌス毒素の異形を、哺乳動物に投与して、
非痙攣関連痛を処置することができる。これらの異形も、野生型ニューロン結合
成分を有する。
【0093】 他の実施態様において、他の神経毒の野生型ニューロン結合成分を有する神経
毒を、哺乳動物に投与して、痙攣によって生じたのではない痛みを処置する方法
を提供する。例えば、該方法は、ボツリヌス毒素B型の野生型ニューロン結合成
分を有するA型ボツリヌス毒素を、哺乳動物に投与する段階を含む。他の全ての
そのような組合せも本発明に含まれる。
【0094】 他の広い実施態様において、非痙攣関連痛を処置する本発明の方法は、哺乳動
物の実際の痛みの部位または知覚された痛みの部位に、神経毒を局所末梢投与す
ることを含む。1つの実施態様において、知覚された痛みの部位かまたはその付
近、例えば慢性的に痛む関節かまたはその付近に、神経毒を皮下投与する。他の
実施態様において、痛みの部位かまたはその付近、例えば哺乳動物における腫瘍
かまたはその付近に、神経毒を筋肉投与する。別の実施態様において、痛みを生
じる関節炎疾患を処置または軽減するために、哺乳動物の関節に、神経毒を直接
的に注射する。末梢の痛みの部位に、頻繁に繰り返して神経毒を注射または注入
することも本発明に含まれる。しかし、本発明の長期間持続する治療効果を考慮
すれば、神経毒の頻繁な注射または注入は必要ない。例えば、本発明を実施して
、ヒトにおいて、1回の注射によって、2ヶ月間またはそれ以上、例えば7ヶ月間
にわたって、鎮痛効果を得ることができる。
【0095】 本発明を、いかなる作用メカニズムまたは理論にも限定するものではないが、
神経毒を末梢部位に局所投与した場合、それは、末梢神経一次知覚終末からの神
経物質、例えばサブスタンスPの放出を阻害すると考えられる。前記のように、
末梢神経一次知覚終末によるサブスタンスPの放出は、痛みの伝達プロセスを生
じるか、または少なくとも増幅する。従って、末梢神経一次知覚終末におけるそ
の放出の阻害は、痛みの伝達プロセスを抑制する。
【0096】 末梢投与部位における薬理作用を有する他に、本発明の方法は、末梢(即ち、
皮下)注射部位から中枢神経系への神経毒の逆行輸送によって、抗侵害受容作用
も有する。A型ボツリヌス毒素は、末梢投与部位から、脊髄の背側角に逆行輸送
しうることを我々は確認した。おそらく、逆行輸送は一次求心性神経によると考
えられる。この発見は、Weigandら、Nauny−Schmiedeberg's Arch.Pharmacol.
1976;292,161−165およびHabermann,Nauny−Schmiedeberg's Arch.Pharmaco
l.1974;281,47−56の論文と一致し、該論文は、ボツリヌス毒素が逆行輸送に
よって脊髄領域に上昇しうることを示している。従って、筋肉注射されたA型ボ
ツリヌス毒素は、末梢神経一次知覚終末から中枢神経一次知覚終末に、逆行輸送
されることが報告されている。
【0097】 我々の発見は、上記段落で引用した論文における記載とかなり異なる。ラット
における末梢皮下投与後に、動物の背側角、即ちC線維がシナプスを形成する位
置に、ボツリヌス毒素が見られることを我々は見い出した。皮下注射は、多くの
双極性侵害受容神経線維が存在する位置における注射である。これらの知覚線維
は、末梢部から、脊髄の背側角に走る。これに対して、上記パラグラフで引用し
た1つまたはそれ以上の論文において、毒素筋肉注射を行った後に、いくつかの
放射性標識ボツリヌス毒素が、腹側根に存在することが示された。脊髄の腹側根
は、単極遠心性(外に向かう(traffic out))運動ニューロンが存在する場所
である。従って、該文献は、末梢部から脊髄位置へのボツリヌス毒素の逆行輸送
の結果として末梢筋肉痙攣性が予期されるという予測に導く。
【0098】 すなわち、哺乳動物の脊髄における、ボツリヌス毒素のような神経毒の出現は
、(1)受容者に有意な痙直を誘発し、および(2)脊髄および脳機能における有
害な作用を助長すると当業者は考えている。従って、有害作用(1)に関して:
例えば、Williamsonらは、Clostridial Neurotoxins and Substrate Proteolysi
s in Intac Neurons,J.of Biological Chemistry 271:13;7694−7699(1996
)において、テタヌス毒素およびA型ボツリヌス毒素の両方は、胎児マウスの脊
髄細胞培養物からの神経伝達物質グリシンおよびグルタミン酸塩の誘発放出を阻
害することを報告し、Hagenahらは、Effects of Type A Botulinum Toxin on th
e Cholinergic Transmission at Spinal Renshaw Cells and on the Inhbitory
Action at la Inhibitory Interneurones, Naunyn−Schmiedeberg's Arch.Pha
rmacol.299,267−272(1977)において、実験的に用意し麻酔をかけたネコに
おけるA型ボツリヌス毒素の直接的髄腔注射は、CNS Renshaw細胞活性を阻害す
ることを報告している。中枢グリシンおよびグルタミン酸塩神経伝達物質の放出
の阻害、ならびにRenshaw細胞活性のダウンレギュレーションの両方は、おそら
く、生体内において顕著な運動ニューロン活動亢進を助長し、次に、末梢筋痙直
を生じると考えられる。
【0099】 有害作用(2)に関しては:テタヌス神経毒の中枢(脊髄)における存在は、C
NSニューロンに沿ったテタヌス毒素の逆行移動によって、脊髄および脳機能にお
ける有意な否定的作用を示し、それによって、ボツリヌス毒素のような関連神経
毒を脊髄に出現させる(逆行輸送によって)といういかなる要求にも禁忌を示す
(contraindicating)と考えられる。注目すべきことに、ボツリヌス毒素および
テタヌス毒素は両方とも、クロストリジウムの異なる種であるが同じクロストリ
ジウム細菌によって作られる。重要なことに、ボツリヌス毒素は、少なくともあ
る程度、テタヌス毒素に特徴的な顕著な神経上昇を共有すると報告している研究
者もある。例えば、Habermann E.,125I−Labeled Neurotoxin from Clostridiu
m Botulinum A:Preparation,Binding to Synaptosomes and Ascent in the Sp
inal Cord,Naunyn−Schmiedeberg's Arch.Pharmacol.281,47−56(1974)参
照。
【0100】 驚くべきことに、本発明は、有害作用(1)または(2)のいずれも有さず、開
示した本発明の末梢(皮下)投与法を実施して、筋肉痙攣によらない痛みを効果
的に長期間にわたって軽減し、治療を受けている患者の生活の質を全体的に改善
する。患者によって経験される痛みは、例えば、傷害、手術、感染、事故、また
は神経障害性の疾患および障害を包含する疾患(癌および糖尿病を含む)による
痛みであり、痛みは主として筋肉痙攣または緊張亢進性筋肉疾患によるものでは
ない。
【0101】 一旦、脊髄の背側角に存在する中枢神経一次知覚終末に入ると、神経毒はさら
に、痛みの信号を伝達することに寄与する神経伝達物質、例えばサブスタンスP
の放出を阻害しうる。この阻害は、脊髄視床路における投射性ニューロンの活性
化を妨げ、それによって痛みを軽減する。従って、神経毒の末梢投与は、今回発
見された中枢神経抗侵害受容作用によって、鎮痛薬の中枢(即ち、髄腔内)投与
法の代替法として使用でき、従って、鎮痛薬の中枢投与に関係した合併症を除く
ことができる。
【0102】 さらに、Habermann Experientia 1988:44:224−226は、ボツリヌス毒素が脳
ホモジェネートからのノルアドレナリンおよびGABAの放出を阻害しうことを示し
ている。この発見は、ボツリヌス毒素がアドレナリン作用性交感神経終末および
GABA神経終末に入ることができることを示している。従って、ボツリヌス毒素を
交感神経系に投与して、痛み、例えば神経障害的痛みを、長期間にわたって遮断
し、軽減することができる。神経毒、好ましくはA型ボツリヌス毒素の投与は、
永久的機能障害のリスクなしに長期にわたって遮断するという利益を与え、これ
は現在使用されている薬剤では不可能である。
【0103】 投与される神経毒の量は、処置される特定の疾患、その程度、および患者の大
きさ、体重、年齢および治療への反応性を包含する他の種々の患者の変化によっ
て広く変化しうる。例えば、末梢痛の領域の広さは、注射される神経毒の容量に
比例すると考えられるが、鎮痛薬の量は、大部分の用量範囲において、注射され
る神経毒の濃度に比例すると考えられる。さらに、神経毒投与の特定の部位は、
処置される痛みの部位によって決めることができる。
【0104】 一般に、投与される神経毒の用量は、処置される哺乳動物の年齢、健康状態お
よび体重によって変化する。神経毒の効力も考慮される。
【0105】 本発明の1つの実施態様において、神経毒、例えば、A型ボツリヌス毒素の治
療有効用量は、末梢位置において、約0.01U/kg〜約35U/kgであり得る。処置
される患者において抗侵害受容作用を得るための、野生型ニューロン結合成分を
有する神経毒、例えばA型ボツリヌス毒素の好ましい投与量範囲は、約0.01U/
kg〜約35U/kgである。処置される患者において抗侵害受容作用を得るための、
神経毒、例えばA型ボツリヌス毒素の末梢投与のより好ましい範囲は、約1U/kg
〜約15U/kgである。約0.1U/kg未満では、最適または最長の可能期間より短い
治療効果を生じ、約2U/kgより以上では、筋肉弛緩のいくつかの徴候を生じる。
処置される患者において抗侵害受容作用を得るための、神経毒、例えばA型ボツ
リヌス毒素の末梢投与の最も好ましい範囲は、約0.1U/kg〜約1U/kgである。
【0106】 投与経路および投与量の例を示したが、適切な投与経路および投与量は、主治
医によってケースバイケースで一般に決められる。そのような決定は、当業者の
日常の仕事である(例えば、Harrison's Principles of Internal Medicine(19
98), Anthony Fauciら編、第14版、出版McGraw Hill参照)。例えば、本発明の
神経毒投与の経路および投与量は、選択された神経毒の溶解性ならびに知覚され
る痛みの強さのような基準に基づいて選択される。
【0107】 本発明の他の広い実施態様において、有効用量の神経毒を投与することを含ん
で成り、該神経毒は前記のジポリペプチドではなく単一ポリペプチドである、非
痙攣関連痛の治療法を提供する。
【0108】 1つの実施態様において、神経毒は、3つのアミノ酸配列領域を有する単一ポリ
ペプチドである。第一アミノ酸配列領域は、ベラッティ毒素;ブチリカム毒素;
テタニ毒素; A、B、C1、D、E、FおよびG型のボツリヌス毒素;から成る群から
選択される神経毒に、実質的に完全に由来するニューロン結合成分を含む。好ま
しくは、第一アミノ酸配列領域は、毒素重鎖のカルボキシル末端HCに由来する。
より好ましくは、第一アミノ酸配列領域は、A型ボツリヌス毒素のHCに由来する
【0109】 第二アミノ酸配列領域は、ポリペプチドまたはその一部を、エンドソーム膜を
通過してニューロンの細胞質に転位させるのに有効である。1つの実施態様にお
いて、ポリペプチドの第二アミノ酸配列領域は、ベラッティ毒素;ブチリカム毒
素;テタニ毒素; A、B、C1、D、E、FおよびG型のボツリヌス毒素;から成る群
から選択される神経毒に由来する重鎖のアミン末端HNを含んで成る。好ましくは
、ポリペプチドの第二アミノ酸配列領域は、A型ボツリヌス毒素に由来する毒素
重鎖のアミン末端HNを含んで成る。
【0110】 第三アミノ酸配列領域は、標的細胞またはニューロンの細胞質に放出された際
に、治療活性を有する。1つの実施態様において、ポリペプチドの第三アミノ酸
配列領域は、ベラッティ毒素;ブチリカム毒素;テタニ毒素; A、B、C1、D、E
、FおよびG型のボツリヌス毒素;から成る群から選択される神経毒に由来する毒
素軽鎖Lを含んで成る。好ましくは、ポリペプチドの第三アミノ酸配列領域は、
A型ボツリヌス毒素に由来する毒素軽鎖Lを含んで成る。
【0111】 1つの実施態様において、ポリペプチドは、テタニ毒素のHCに由来する第一ア
ミノ酸配列領域、ボツリヌス毒素B型のHNに由来する第二アミノ酸配列領域、お
よびA型ボツリヌス毒素のL鎖に由来する第三アミノ酸配列領域を含んで成る。
好ましい実施態様において、ポリペプチドは、ボツリヌス毒素B型のHCに由来す
る第一アミノ酸配列領域、A型ボツリヌス毒素のHNに由来する第二アミノ酸配列
領域、およびA型ボツリヌス毒素のL鎖に由来する第三アミノ酸配列領域を含ん
で成る。他の全てのそのような組合せも本発明に含まれる。
【0112】 他の実施態様において、ポリペプチドは、A型ボツリヌス毒素のHCに由来する
第一アミノ酸配列領域であって、少なくとも1つのアミノ酸が欠失、改質または
置換されいる第一アミノ酸配列領域、A型ボツリヌス毒素のHNに由来する第二ア
ミノ酸配列領域、およびA型ボツリヌス毒素のL鎖に由来する第三アミノ酸配列
領域を含んで成る。他の全てのそのような組合せも本発明に含まれる。
【0113】 前記のように、これらのポリペプチドは一本鎖であり、所望される効力を有さ
ないことがある。それらの効力を増加させるために、第三アミノ酸配列領域をタ
ンパク質分解酵素、例えばトリプシンによって開裂することができる。独立第三
アミノ酸配列領域を、ジスルフィド架橋によって原ポリペプチドに再結合するこ
とができる。1つの実施態様において、第三アミノ酸配列領域を、第一アミノ酸
配列領域において原ポリペプチドに再結合する。好ましい実施態様において、第
三アミノ酸配列領域を、第二アミノ酸配列領域に再結合する。
【0114】 本明細書に記載するように、非改質神経毒を使用して非痙攣関連痛を処置する
場合、神経毒は、適切な細菌種を培養することによって得ることができる。例え
ば、発酵槽においてクロストリジウムボツリヌスの培養菌を定着させ、増殖させ
、次に、発酵混合物を既知の手順によって採集し精製することによって、A型ボ
ツリヌス毒素を得ることができる。全てのボツリヌス毒素血清型は、先ず、不活
性一本鎖タンパク質として合成され、これをタンパク質分解酵素によって開裂す
るかまたはニックを入れて、神経刺激性にしなければならない。ボツリヌス毒素
血清型AおよびGを作る細菌株は、内因性タンパク質分解酵素を有し、従って、血
清型AおよびGは、主として活性形態で細菌培養物から採収することができる。こ
れに対して、ボツリヌス毒素血清型C1、DおよびEは、非タンパク質分解性菌株に
よって合成され、従って、培養物から採収した際に一般に活性化されていない。
血清型BおよびFは、タンパク質分解性および非タンパク質分解性菌株の両方によ
って産生され、従って、活性または非活性形態で採収することができる。しかし
、例えばボツリヌス毒素B血清型を産生するタンパク質分解性菌株でさえ、産生
された毒素の一部を開裂するに過ぎない。(ニックの入った分子)/(ニックの
入っていない分子)の正確な比率は、培養菌のインキュベーションの時間および
温度に依存する。従って、例えばB型ボツリヌス毒素の製剤の一定のパーセント
は不活性であると考えられ、これは、A型ボツリヌス毒素と比較してB型ボツリ
ヌス毒素の既知の顕著に低い効力を説明するものであると考えられる。臨床薬に
おける不活性ボツリヌス毒素の存在は、製剤の全体的タンパク質負荷に寄与し、
これは増加した抗原性と関連付けられ、臨床的効力に寄与しない。さらに、B型
ボツリヌス毒素は、筋肉注射した際に、短時間の活性を有し、同じ用量レベルの
A型ボツリヌス毒素より低い効力であることが知られている。
【0115】 本発明によって改質神経毒を使用して非痙攣関連痛を処置する場合、組換え法
を使用して、所望の神経毒を作成することができる。組換え法は、ニューロン結
合成分、神経毒またはその一部を転位させるのに有効なアミノ酸配列、および標
的細胞、好ましくはニューロンの細胞質に放出された際に治療活性を有するアミ
ノ酸配列のコードを有する、天然源または合成源から遺伝物質を得る段階を含む
。好ましい実施態様において、遺伝物質は、クロストリジウム神経毒、改質クロ
ストリジウム神経毒およびそれらのフラグメントのHC、HNおよびL鎖のコードを
有する。遺伝構成物をファージまたはプラスミドのようなクローニングベクター
と先ず融合させることによって、遺伝構成物を増幅のために宿主細胞に組み込む
。次に、クローニングベクターを宿主、好ましくは大腸菌に挿入する。宿主細胞
における組換え遺伝子の発現後に、一般法を使用して、得られたタンパク質を単
離することができる。
【0116】 改質神経毒の製造のために組換え法を提供するが、A型ボツリヌス毒素の遺伝
子配列は既知である故に、自然に存在する状態のボツリヌス神経毒A型のような
非改質神経毒の製造にも組換え法を使用することができる。
【0117】 これらの神経毒を組換えによって作成することは、多くの利点を有する。例え
ば、嫌気性クロストリジウム培養菌からの神経毒の作成は、数段階のタンパク質
沈殿、および毒素の長時間かつ繰り返しの結晶化または数段階のカラムクロマト
グラフィーを含む多段階精製プロトコルを含む、面倒かつ時間を要する工程であ
る。重要なことに、生成物の高毒性は、該方法を厳重な封じ込め(containment
)下に行うことを必要とする(BL−3)。発酵工程の間に、ニッキングと称する
方法によって、折り畳まれた一本鎖神経毒を内因性クロストリジウムタンパク質
分解酵素によって活性化する。これは、一本鎖から約10個のアミノ酸残基を除去
して、2つの鎖が鎖内ジスルフィド結合を介して共有結合した状態を維持する二
本鎖(dichain)形態を形成することを含む。
【0118】 ニックの入った神経毒は、ニックの入っていない形態より活性である。ニッキ
ングの量および正確な位置は、毒素を産生する細菌の血清型によって異なる。一
本鎖神経毒の活性化、従って、ニックの入った毒素の収量の違いは、特定の菌株
によって生じるタンパク質分解活性の種類および量の変化による。例えば、99%
より多いクロストリジウムボツリヌスA型一本鎖神経毒は、Hall Aクロストリジ
ウムボツリヌス菌株によって活性化され、BおよびE型菌株は、少ない量(発酵時
間に依存して0〜75%)の活性化を有する毒素を産生する。従って、熟成神経毒
の高毒性は、治療薬としての神経毒の商業的製造において重要な役割を有する。
【0119】 従って、製造されたクロストリジウム毒素の活性化の程度は、これらの物質の
製造における重要な考慮すべき点である。単離するのが安全かつ容易で、充分に
活性な形態に変換するのが容易な、相対的に非毒性の一般鎖(または低毒性を有
する一本鎖)として、ボツリヌス毒素およびテタヌス毒素のような神経毒を、急
速増殖細菌(例えば、異種発生大腸菌細胞)において組換えによって高収量で発
現させることができれば、極めて有利である。
【0120】 以前の研究は、安全性を主要関心事として、テタヌス毒素およびボツリヌス毒
素の個々のH鎖およびL鎖の大腸菌における発現および精製に集中し、これらの単
離された鎖はそれ自体で非毒性である(Liら、Biochemistry 33:7014−7020(1
994);Zhouら、Biochemistry 34:15175−15181(1995)参照、これらは本発明
の開示の一部を構成するものとする)。これらのペプチド鎖の分離作成の後、厳
重な制御条件下に、H鎖およびL鎖を酸化的ジスルフィド結合によって結合させて
、神経麻痺性二本鎖を形成することができる。
【0121】 筋肉痙攣から生じる(即ち、二次的な)術後痛は、A型ボツリヌス毒素の手術
前の注射によって軽減しうることは知られている(Developmental Medicine &
Child Neurology 42;116−121:2000)。これに対して、本発明は、痛みが痙攣
性筋肉によらない場合に、ボツリヌス毒素を手術前または手術に近い時点で末梢
投与することによって術後痛を治療する方法を含む。
【0122】 従って、手術の間、または手術の最大約10日前までに(手術は、痙攣性筋肉疾
患の矯正または処置に関係しない)、約20単位〜約300単位のボツリヌス毒素、
例えばA型ボツリヌス毒素を、ボーラス注入(bolus injection)によって患者
に局所または末梢投与するか、または予期される切開部位の付近の患者の皮膚に
投与することができる。ボツリヌス毒素注入は、皮下または筋肉内に行うことが
できる。手術は、活動亢進性または緊張亢進性神経から生じる痛みを処置または
軽減するために行われるのではなく、なぜなら、驚くべきことに、筋肉痙攣から
生じるものではなく、またはその結果として生じたものではない多くの種類の痛
みを、本発明を実施することによって顕著に軽減しうることを我々は見出したか
らである。
【0123】 本発明によれば、患者の皮膚への、および/または患者の皮膚を通る、1つま
たはそれ以上の切開を必要とする腫瘍除去、骨移植、骨置換、探索手術、傷閉鎖
、脂肪吸い出し術のような美容整形手術または多くの他の種類の可能な(非筋肉
疾患治療の)外科処置のために手術を受けることになっている患者を、術後痛の
軽減のために、本発明によって、約0.01U/kg〜約60U/kgのボツリヌス毒素、
例えばA型ボツリヌス毒素またはB型を末梢投与することによって、処置するこ
とができる。顕著な術後痛軽減の持続期間は、約2〜約6ヶ月またはそれ以上であ
る。
【0124】 本発明の方法は、改善した患者機能を与えることができる。「改善した患者機
能」は、減少した痛み、減少したベッドで過ごす時間、増加した歩行、より健康
的な態度、より変化に富んだライフスタイルおよび/または正常な筋肉緊張によ
って可能となる癒合のような要素によって評価される改善として定義することが
できる。改善した患者機能は、改善した生活の質(quality of life: QOL)と同
義語である。QOLは、例えば既知のSF−12またはSF−36健康調査採点法を使用し
て、評価することができる。SF−36は、身体機能、身体的問題による役割制限、
社会的機能、身体の痛み、全体的な精神の健康、情緒的問題による役割制限、活
力、および全体的健康認識の8つの領域において、患者の身体的および精神的健
康を評価する。得られた点数を、種々の一般および患者母集団に関して得られる
公表数値と比較することができる。
【0125】 (実施例) 下記の非制限的な実施例は、本発明に含まれる非痙攣関連痛の特定の好ましい
処置法を、当業者に提供するものであり、本発明を限定するものではない。下記
実施例において、神経毒の非全身性投与の種々の方法を実施することができる。
例えば、筋肉内ボーラス注入、皮膚部位および痛みの領域における多重皮下注射
、または制御放出インプラントの埋め込みによって投与することができる。
【0126】 実施例1 A型ボツリヌス毒素の末梢投与による痛みの軽減 2つの実験を行った。Sprague−Dawleyラット(約300g〜約350g)を両方の試験
に使用した。両方の試験に使用した神経毒は、BOTOX(登録商標)(A型ボツリ
ヌス毒素精製神経毒複合体)であった。第一の実験において、4つの処置(用量
)グループに分けた:対照(生理食塩水注射)ラット(n=4)、7U BOTOX(登
録商標)/kgラット(n=8)、15U BOTOX(登録商標)/kgラット(n=5)、お
よび30U BOTOX(登録商標)/kgラット(n=4)。対照ラットに関しては、25マ
イクロリットルの0.9%生理食塩水を、動物の後足の底面に皮下注射した。BOTO
X(登録商標)の投与の部位および経路は、生理食塩水注射対照グループと同じ
であった。
【0127】 生理食塩水またはBOTOX(登録商標)の注射から5日後に、生理食塩水またはBO
TOX(登録商標)を注射した4つの全グループの各ラットに、50マイクロリットル
の5%ホルマリンを前記の部位に注射した。対象動物による後足を持ち上げる/
なめる動作を、1時間にわたって5分間隔で記録した。
【0128】 第二の実験は、第一の実験と同じプロトコルを使用した。第二の実験において
、3つの処置(用量)グループに分けた:対照(生理食塩水注射)ラット(n=3
)、3.5U/kgラット(n=7)、および7U/kgラット(n=8);ホルマリン試験
は、最初にBOTOX(登録商標)または生理食塩水を注射してから12日目に行った
【0129】 これらの2つの実験の結果を、それぞれ図1および図2に示す。最初の5〜10分間
は段階1と呼ぶことができ、その後に段階2が続く。図1および図2に示すように、
注射から5日目および12日目の両方において、BOTOX(登録商標)で処置した動物
における有意な用量依存性の痛みの軽減が見られた。
【0130】 実施例2 非痙攣性の痛みを軽減するためのボツリヌス毒素の末梢投与 46才の女性は、関節炎疾患による三角筋領域に存在する痛みを有する。筋肉は
痙攣性ではなく、緊張亢進状態も示していない。約50単位〜200単位のA型ボツ
リヌス毒素のボーラス筋肉注入によって、患者を治療する。神経毒投与から1〜7
日以内に、患者の痛みは実質的に軽減される。有意な痛みの軽減の期間は、約2
〜約6ヶ月である。骨粗鬆症、関節の硬化、冠状動脈不全、頚部関節炎、局所肩
疾患または長期間のベッド療養による、肩、腕および手の痛みも、同様に治療す
ることができる。
【0131】 実施例3 治療後神経痛を治療するための神経毒の末梢投与 治療後神経痛は、最も治療しにくい慢性痛問題の1つである。このひどく苦し
められる痛みのプロセスに悩む患者は、高齢であり、衰弱性疾患を有し、大部分
の介在的(interventional)方法に適していない。ヘルペスの治癒病変の外観お
よび患者の病歴によって、診断は容易になされる。その痛みは、強烈であり、情
緒的に苦しめるものである。治療後神経痛はどこにでも生じうるが、胸部に生じ
る場合が最も多い。
【0132】 76才の男性は、治療後型の痛みを有する。痛みは、腹部領域に局在している。
約50単位〜200単位のA型ボツリヌス毒素のボーラス皮下注入を腹部領域に行っ
て、患者を治療する。神経毒投与から1〜7日以内に、患者の痛みは実質的に軽減
される。有意な痛みの軽減の期間は、約2〜約6ヶ月である。
【0133】 実施例4 鼻咽頭腫瘍痛を治療するための神経毒の末梢投与 これらの腫瘍、ほとんど場合、鱗状細胞癌腫は、一般に、ローゼンミュレル窩
に存在し、頭蓋基底を侵略しうる。顔の痛みが一般的である。それは、性質にお
いて、絶え間ない、鈍い痛みである。
【0134】 35才の男性は、鼻咽頭腫瘍型の痛みを有する。痛みは、下方左頬に示される。
約10単位〜35単位のA型ボツリヌス毒素のボーラス筋肉注入を頬に行って、患者
を治療する。神経毒投与から1〜7日以内に、患者の痛みは実質的に軽減される。
有意な痛みの軽減の期間は、約2〜約6ヶ月である。
【0135】 実施例5 慢性炎症性の痛みを治療するための神経毒の末梢投与 45才の患者は、胸部領域に慢性炎症性の痛みを有する。約50単位〜200単位の
A型ボツリヌス毒素のボーラス筋肉注入を行って、患者を治療する。神経毒投与
から1〜7日以内に、患者の痛みは実質的に軽減される。有意な痛みの軽減の期間
は、約2〜約6ヶ月である。
【0136】 実施例6 火傷によって生じた痛みを治療するための神経毒の末梢投与 51才の患者は、ひどく、広範囲の1級または2級の火傷の後に痛みを有する。約
30単位〜200単位のA型ボツリヌス毒素のボーラス皮下注入を腕に行って、患者
を治療する。神経毒投与から1〜7日以内に、患者の痛みは実質的に軽減される。
有意な痛みの軽減の期間は、約2〜約6ヶ月である。
【0137】 実施例7 関節痛を治療するための神経毒の末梢投与 63才の患者は、関節炎から生じる関節痛を有する。約30単位〜150単位のA型
ボツリヌス毒素のボーラス筋肉注入を痛む関節の領域に行って、患者を治療する
。神経毒投与から1〜7日以内に、患者の痛みは実質的に軽減される。有意な痛み
の軽減の期間は、約2〜約6ヶ月である。
【0138】 実施例8 術後痛を治療するための神経毒の末梢投与 39才の患者に、手術の1時間〜10日前に、約20単位〜300単位のボツリヌス毒素
、例えばA型ボツリヌス毒素を、ボーラス注入または皮下注入によって、患者の
皮膚内の予期される切開部位かまたはその付近に、局所または末梢投与する。ボ
ツリヌス毒素注入は、皮下または筋肉内に行うことができる。手術は、筋肉障害
、例えば活動亢進性または緊張亢進性筋肉を治療または軽減するために行われる
のではない。有意な痛みの軽減の期間は、約2〜約6ヶ月である。
【0139】 実施例9 神経毒の投与による内臓痛の治療 46才の男性患者は、内臓から生じるが原因が分からない慢性的腹部痛みを有す
る。腫瘍または管狭窄が推測される。約20単位〜300単位ボツリヌス毒素、例え
ばA型ボツリヌス毒素を、皮下または器官内(知覚される痛みの部位)に投与す
る。1〜7日以内に、痛みは実質的に軽減される。有意な痛みの軽減の期間は、約
2〜約6ヶ月である。
【0140】 特定の好ましい方法に関して本発明を詳しく説明したが、本発明に含まれる他
の実施態様、改変および変更も可能である。例えば、種々の神経毒を、本発明の
方法に効果的に使用することができる。さらに、本発明は、2つまたはそれ以上
の神経毒、例えば2つまたはそれ以上のボツリヌス毒素を、併用してかまたは連
続して投与する、非筋肉障害関連痛を軽減する末梢投与法も包含する。例えば、
A型ボツリヌス毒素を、臨床反応の消失または中和抗体が生じるまで投与し、次
に、ボツリヌス毒素E型を投与することができる。または、2つまたはそれ以上の
ボツリヌス血清型A〜Gの組合せを局所投与して、所望の治療効果の開始および持
続期間を調節することができる。さらに、神経毒投与の前、同時または後に、非
神経毒化合物を投与して、ボツリヌス毒素のような神経毒がその治療効果を発揮
する前に、付加的効果、例えば、促進された、またはより敏速な、神経支配除去
の開始を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法が、ラットホルマリンモデルにおける誘発された炎
症性の痛みを、少なくとも5日間にわたって軽減することを示す用量反応グラフ
である。
【図2】 本発明の方法が、ラットホルマリンモデルにおける誘発された炎
症性の痛みを、少なくとも12日間にわたって軽減することを示す用量反応グラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ミンレイ・クイ アメリカ合衆国92692カリフォルニア州ミ ッション・ビエホ、マジョルカ・ウェイ 25851番 (72)発明者 スティーブン・ジェンキンズ アメリカ合衆国92691カリフォルニア州ミ ッション・ビエホ、ビア・マリーナ26481 番 Fターム(参考) 4C084 AA02 AA17 BA44 CA04 DA33 MA65 MA66 NA14 ZA012 ZA212 ZA362 ZA962 ZB112 ZB262

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 痛みを処置する方法であって、該方法が、哺乳動物に神経毒
    を末梢投与する段階を含んで成り、治療される痛みが筋肉痙攣に関連していない
    方法。
  2. 【請求項2】 神経毒が、神経毒に実質的に固有のニューロン結合成分を含
    んで成る請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 神経毒がボツリヌス毒素である請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 神経毒が、A、B、C1、D、E、FおよびG型のボツリヌス毒素か
    ら成る群から選択されるボツリヌス毒素である請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 神経毒がA型ボツリヌス毒素である請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 神経毒が、少なくとも1つのアミノ酸を欠失、改質または置
    換された改質神経毒である請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 神経毒を、少なくとも一部分、組換え法によって作成する請
    求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 神経毒を、約0.01U/kg〜約35U/kgの量で投与する請求項1
    に記載の方法。
  9. 【請求項9】 痛みが、約1ヶ月〜約6ヶ月にわたって実質的に軽減される請
    求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 哺乳動物によって経験される侵害受容現象または徴候の開
    始の前に、末梢投与段階を行う請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 哺乳動物によって経験される侵害受容現象の開始後に、末
    梢投与を行う請求項1に記載の方法。
  12. 【請求項12】 痛みを軽減する方法であって、該方法が、ボツリヌス毒素
    をヒトに末梢投与し、それによって痛みを軽減する段階を含んで成り、痛みが筋
    肉障害に関連していない方法。
  13. 【請求項13】 神経毒が、A、B、C1、D、E、FおよびG型のボツリヌス毒素
    から成る群から選択されるボツリヌス毒素である請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 痛みを処置する方法であって、該方法が、哺乳動物の神経
    毒を末梢投与する段階を含んで成り、該神経毒が、 a) A、B、C1、D、E、F、G型のボツリヌス毒素およびそれらの混合物から成
    る群から選択される神経毒に実質的に完全に由来する野生型ニューロン結合成分
    を含んで成る第一アミノ酸配列領域; b) ポリペプチドまたはその一部をエンドソーム膜を通過して転位させるの
    に有効な第二アミノ酸配列領域;および c) 標的細胞の細胞質に放出された際に治療活性を有する第三アミノ酸配列
    領域; を含んで成るポリペプチドであり、痛みが筋肉痙攣に関係していない方法。
  15. 【請求項15】 ポリペプチドの第一アミノ酸配列領域が、神経毒に由来す
    る重鎖のカルボキシル末端を含んで成る請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 毒素がA型ボツリヌス毒素である請求項14に記載の方法。
  17. 【請求項17】 ポリペプチドの第二アミノ酸配列領域が、A、B、C1、D、E
    、F、G型のボツリヌス毒素およびそれらの混合物から成る群から選択される神経
    毒に由来する重鎖のアミン末端を含んで成る請求項14に記載の方法。
  18. 【請求項18】 ポリペプチドの第二アミノ酸配列領域が、A型ボツリヌス
    毒素に由来する毒素重鎖のアミン末端を含んで成る請求項14に記載の方法。
  19. 【請求項19】 ポリペプチドの第三アミノ酸配列領域が、ベラッティ毒素
    ;ブチリカム毒素;テタニ毒素; A、B、C1、D、E、F、G型のボツリヌス毒素お
    よびそれらの混合物から成る群から選択される神経毒に由来する毒素軽鎖を含ん
    で成る請求項14に記載の方法。
  20. 【請求項20】 ポリペプチドの第三アミノ酸配列領域が、A型ボツリヌス
    毒素に由来する毒素軽鎖を含んで成る請求項14に記載の方法。
  21. 【請求項21】 患者の機能を改善する方法であって、該方法が、非筋肉障
    害関連痛を有する患者にボツリヌス毒素を末梢投与し、それによって、減少した
    痛み、減少したベットで過ごす時間、改善した聴力、増加した歩行、より健康的
    な態度、およびより変化に富んだライフスタイルの1つまたはそれ以上の要素に
    おける改善によって確認される患者の機能を改善することを含んで成る方法。
  22. 【請求項22】 術後痛を処置する方法であって、該方法が、外科処置の前
    、その間またはその直後に、ボツリヌス毒素の有効量を末梢投与し、それによっ
    て術後痛を軽減する段階を含んで成り、外科処置が筋肉痙攣を治療するために行
    われるのではない方法。
  23. 【請求項23】 内臓痛を処置する方法であって、該方法が、ボツリヌス毒
    素の有効量を非全身的に局所投与し、それによって内臓痛を軽減することを含ん
    で成る方法。
  24. 【請求項24】 痛みを処置する方法であって、該方法が、哺乳動物に神経
    毒を末梢投与する段階を含んで成り、該痛みが筋肉痙攣に実質的によるものでは
    ない方法。
  25. 【請求項25】 神経毒がボツリヌス毒素である請求項24に記載の方法。
  26. 【請求項26】 痛みが筋肉痙攣に二次的でない請求項24に記載の方法。
  27. 【請求項27】 末梢投与が、神経毒の皮下投与によって行われる請求項24
    に記載の方法。
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