JP2009132672A - ボツリヌス毒素由来のポリペプチドを有効成分として含む鎮痛作用を有する医薬組成物 - Google Patents

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【課題】本発明は、ボツリヌス毒素由来のポリペプチドの用途に関し、より効果的に鎮痛作用を有する医薬組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】ボツリヌス毒素由来のポリペプチドのうち、非毒素および非毒性の赤血球凝集タンパク質(HA)を含まないポリペプチド部分を有効成分とする医薬組成物による。さらには、非毒素および非毒性のHAを含まないポリペプチド部分の分子量が、約150kDaのポリペプチドを有効成分とする医薬組成物による。
【選択図】図5

Description

本発明は、ボツリヌス毒素由来のポリペプチドのうち非毒素タンパク質部分を含まないポリペプチド部分を有効成分として含む、鎮痛作用を有する医薬組成物に関する。
高齢化が急速に進行している日本ではさまざまな分野で高齢化問題が起きている。歯科においても超高齢化社会における問題点がいくつも挙げられており、その一つは三叉神経痛が高齢者に多発することである。三叉神経痛は病態が十分には解明されておらず、激痛に苛まれている症例も少なくない。難治性で強度の疼痛に悩まされる患者の日常生活は、大きく障害され、抗てんかん薬や抗うつ薬などが治療に用いられる。しかし、それらの薬物はめまいなどの中枢性副作用が強く、服用不可能である患者も少なくない。
動物神経痛モデルにおいては、三叉神経節や後根神経節などの知覚神経節における細胞が興奮することが報告されており(非特許文献1、2)、知覚神経節細胞の興奮を抑制することにより、神経痛を抑制することが可能になると考えられる。従来の研究より、興奮した知覚神経節細胞が、神経伝達物質を遊離することが知られている。また、知覚神経節内にはシナプスは存在しないが、細胞間の情報連絡(cross-excitation)が存在することも解明されつつある。
神経筋接合部であるシナプスの神経伝達物質遊離には、SNARE complex (SNAP (Soluble NSF Attachment Protein)受容体)が作用していることが報告されている。神経伝達物質の遊離を、しわ取りの特効薬として有名なボツリヌス毒素(botulinum neurotoxin; BoNT)が抑制することも理解されている(非特許文献3、4)。しかしながら、知覚神経節細胞における神経伝達物質の遊離ならびにBoNTの効果に関しては全く報告がない。
ボツリヌス毒素はボツリヌス菌(Clostridium botulinum)が産生するタンパク質性毒素であり、A、B、C1、D、E、FおよびGの7種類の血清型がある。該ボツリヌス毒素は微量でヒトや動物に致死性の中毒を生じさせる。7種類の血清学的に異なるボツリヌス毒素は、型特異的抗体による中和により分類される。ボツリヌス毒素の血清型により、動物種およびそれらが惹起する麻痺の重篤度および継続時間が異なる。ボツリヌス毒素は、コリン作動性の運動ニューロンに親和性高く結合して、ニューロンに移動し、シナプス前のアセチルコリン放出を阻止する(特許文献1)。
ボツリヌス毒素とは、分子量約150kDaの7S毒素をいう。ボツリヌス毒素複合体とは、7S毒素と無毒成分を含むプロジェニター(projenitor)毒素をいい、M毒素(12S毒素)、L毒素(16S毒素)およびLL毒素(19S毒素)をいう。該複合体は、赤血球凝集素(Hemagglutinin:HA)を含むHA陽性毒素(L毒素、LL毒素)と、HAを含まないHA陰性毒素(M毒素)とに分けられる。これらの複合体(すなわち、約150kDaよりも大きな分子量の複合体)は、非毒素および非毒性のHAを含むと考えられる。ボツリヌス菌のボツリヌス毒素複合体において、非毒性のタンパク質部分は、アジュバント活性を有すると考えられる(特許文献2)。
A型ボツリヌス毒素複合体を哺乳動物に脊髄内投与し、それにより前記哺乳動物が体験する疼痛を軽減する方法について、開示がある(特許文献3)。ここでは、炎症、傷害、疾患、筋痙攣および神経障害イベント等の原因による疼痛に対し、神経毒を脊髄内投与することにより処理する方法について開示がある。ここで使用されるボツリヌス毒素は、A型ボツリヌス毒素などの天然神経毒である。
J. Neurophysiol., 73: 1811-1820 (1995) Neuroscience, 134: 1399-1411 (2005) Nature, 365: 160-163 (1993) J. Cell Sci., 134: 1399-1411 (2005) 特開2005−336201号公開公報 特開2003−9897号公開公報 特表2003−514594号公表公報
本発明は、ボツリヌス毒素由来のポリペプチドの用途に関し、より効果的に鎮痛作用を有する医薬組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ボツリヌス毒素由来のポリペプチドのうち、非毒素および非毒性の赤血球凝集タンパク質(HA)を含まないポリペプチド部分が効果的に鎮痛作用を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下よりなる。
1.ボツリヌス毒素由来のポリペプチドのうち、非毒素および非毒性の赤血球凝集タンパク質を含まないポリペプチド部分を有効成分として含む、鎮痛作用を有する医薬組成物。
2.ボツリヌス毒素由来のポリペプチドのうち、非毒素および非毒性の赤血球凝集タンパク質を含まないポリペプチド部分の分子量が、150kDaである前項1に記載の医薬組成物。
3.ボツリヌス毒素が、A血清型の毒素である前項1または2に記載の医薬組成物。
4.有効成分が、神経伝達物質の知覚神経節内への取り込み、および/または神経伝達物質を知覚神経節内からの遊離を抑制させる機能を有することを特徴とする、前項1〜3のいずれか1に記載の医薬組成物。
5.神経伝達物質が、ペプチド、グルタミン酸および/またはATPである前項4に記載の医薬組成物。
本発明の医薬組成物、すなわちボツリヌス毒素由来のポリペプチドのうち、非毒素および非毒性の赤血球凝集タンパク質(HA)を含まないポリペプチド部分(150kDa)を有効成分として含む医薬組成物を、末梢組織に投与することにより、神経痛モデルラットの疼痛が減弱されることが確認できた。従来の神経毒複合体に含まれる無毒成分は、アジュバント機能を有する。そのため従来の神経毒を投与すると、神経毒に対する抗体が生じやすく、有効成分としての神経毒の機能が阻害され、場合によってはアナフィキラシーショックが生じるという副作用も懸念される。しかし、本発明のボツリヌス毒素由来のポリペプチドは分子量が150kDaの神経毒のみが精製されており、市販されている無毒成分が付属しているボツリヌス毒素複合体よりも分子量が小さい。そのため、細胞内に取り込まれやすく、また神経毒に対する抗体も生じにくく、さらにはアナフィラキシーショック等の副作用が生じにくい、有用な薬剤と考えられる。
さらに、眼窩下神経をゆるく結紮した本発明の三叉神経痛モデルでは、疼痛閾値の低下を認め、このモデルの正当性が確認できた。今回作製した三叉神経痛モデルは三叉神経痛の治療効果を検討する今後の研究において、非常に重要なものである。
本発明の医薬組成物に含まれる有効成分であるポリペプチドは、ボツリヌス毒素由来のポリペプチドのうち、非毒素および非毒性の赤血球凝集タンパク質(HA)を含まないことを特徴とする。該有効成分としてのポリペプチドの分子量は、約150kDaである。本発明の医薬組成物に含まれるポリペプチドのボツリヌス菌の血清型は、A、B、C1、D、E、FおよびGの7種類のいずれであってもよく、特に限定されないが、最も効果的に作用する観点から、好ましくはA型のものである。
神経毒素複合体は、特許文献2に記載するように、分子量約150kDaの7S毒素と無毒成分を含むプロジェニター(projenitor)毒素をいい、M毒素(12S毒素)、L毒素(16S毒素)およびLL毒素(19S毒素)が挙げられる。該神経毒素複合体は、赤血球凝集タンパク質(赤血球凝集活性を示す無毒成分。以下、単に「HA」という場合がある。)を含むHA陽性毒素(L毒素、LL毒素)と、HAを含まないHA陰性毒素(M毒素)とに分けられる。
本発明の医薬組成物に含まれる有効成分であるポリペプチドは、プロジェニター毒素から非毒素および非毒性のHAを除去し、ボツリヌス毒素由来のポリペプチドを分離、精製することにより調製される。非毒性部分のうち、HA部分は、赤血球や小腸上皮細胞のガラクトースやシアル酸などの糖に結合する。そこで、例えばラクトースカラムなどを用いてHA陽性毒素とHA陰性毒素とをまず分離し、さらにアルカリ性緩衝液で処理することで、神経毒素と無毒成分とを分離することができ、神経毒素を分離、精製することができる。具体的には、特開2003−9897号公報またはWO2003/082315公報に記載の方法に従い、本発明の医薬組成物に有効成分として含まれる、非毒素および非毒性のHAを含まないポリペプチド部分を分離、精製することができる。
本発明の医薬組成物は、経口投与または非経口投与することができ、好適には局所投与することができる。本発明の医薬組成物は、上記ポリペプチドと薬学的に許容できる担体とともに経口製剤または非経口製剤として製造することができる。経口製剤としては、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、およびシロップ剤等を挙げることができ、非経口製剤としては、例えば、注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、点眼剤、点鼻剤、軟膏剤、クリーム剤、および貼付剤等を挙げることができる。上記の製剤の製造に用いられる薬理学的および製剤学的に許容しうる担体としては、賦形剤、崩壊剤若しくは崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤若しくは溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、および粘着剤等を挙げることができる。
本発明の医薬組成物は、鎮痛作用を有する。本発明の医薬組成物が有効に作用する痛みの種類としては、特に限定されないが、例えば三叉神経痛などの神経傷害性の痛みや、組織が損傷を受けたときに生じる侵害性の痛み、さらには慢性筋肉痛などが挙げられる。
神経障害性の痛みには、三叉神経痛が挙げられる。三叉神経は、顔の感覚を脳に伝える神経であるが、この三叉神経に痛みが起こり、顔面に痛みを生じるのが三叉神経痛である。神経障害性の痛みは、ヒリヒリ、チクチクする感覚、または寒さやものに触れた場合の神経過敏が挙げられる。神経障害性の痛みの他の例として、幻肢痛、ヘルペス後神経痛、反射性交感神経性ジストロフィ、カウザルギー(灼熱痛)などが含まれる。侵害性痛みとしては、切り傷、打撲、骨折、挫滅創、やけどなど、組織を傷つけることにより生じる痛み全てをいう。また、手術後に経験する痛みや癌などの疾病による痛みも含まれる。このような組織の損傷による痛みの受容器は、殆どが皮膚と内臓に存在する。神経障害性の痛みの原因としては、末梢神経系または中枢神経系の原発性病変や機能不全が考えられる。
痛みの原因情報により、例えば侵害刺激の場合は、生体内の侵害受容器で痛み情報が電気信号に変換され、インパルスが発生する。神経因性疼痛(痛み)などでは、侵害受容器は関与しない。そして痛みの伝導路をインパルスが伝導し、シナプスや神経細胞から神経伝達物質を介して痛み情報が伝達される。
本発明の医薬組成物に含まれる有効成分としてのポリペプチドは、知覚神経節内における神経伝達物質の取り込みならびに遊離を抑制させる機能を有する。ここにおいて神経伝達物質とは、シナプスでシグナル伝達に介在する物質で、神経細胞などに多く存在する物質をいう。また、三叉神経のように神経節内にシナプスが存在しないにもかかわらず、神経細胞から神経伝達物質の遊離が生じる場合もある。具体的には、アセチルコリン、抑制性アミノ酸、興奮性アミノ酸、カテコールアミン、インドールアミン、プリン、ポリペプチドなどが挙げられる。更に具体的には、抑制性アミノ酸ではガンマアミノ酪酸(GABA)、興奮性アミノ酸ではグルタミン酸、カテコールアミンではドーパミン、ノルアドレナリン、インドールアミンではセロトニン、プリンではアデノシン、ATP、ポリペプチドではエンケファリン、サブスタンスP、CCKなどが挙げられる。
本発明のポリペプチドを有効成分とする医薬組成物として用いる場合には、投与量は有効かつ安全な投与量であれば良く、例えば有効成分を成人一日あたり3〜240MLD程度の範囲で用いることができる。
本発明は、以上に示すボツリヌス毒素由来のポリペプチドのうち、非毒素および非毒性のHAを含まないポリペプチド部分を有効成分として含む、鎮痛作用を有する医薬組成物の他、哺乳類の眼窩下神経を結紮することを特徴とする神経痛モデル動物にも及ぶ。さらには、該神経痛モデルを用いることを特徴とする鎮痛作用を有する医薬組成物の評価方法にも及ぶ。
以下に実施例を示して説明するが、本実施例は発明の内容をより理解するためのものであって、本発明は本実施例に限定されるものではないことはいうまでもない。
(実施例1)ボツリヌスA型神経毒素の調製
特開2003−9897号公報に記載の方法と同手法により、ボツリヌスA型の毒素から神経毒素(150kDa)を精製した。L毒素およびLL毒素を含むボツリヌスA型の毒素を、まず酸性条件下でラクトースゲルカラムにかけてL毒素およびLL毒素を吸着させた。吸着したL毒素およびLL毒素から無毒成分を除去するために、さらにアルカリ性緩衝液を用いて神経毒素と無毒成分(非毒素および非毒性のHA)を分離し、L毒素およびLL毒素より神経毒素(150kDa)を解離させて精製した。
以下、本実施例で得られた各神経毒素(BoNT)について、150kDaの神経毒素を「BoNT(150kDa)」といい、HA陽性毒素(L毒素およびLL毒素)を、「BoNT(19S/16S)」ということとする。
(実施例2)後根神経痛モデルラットの作製および知覚閾値の測定
Sprague-Dawley系雄性ラット(6週齢,成人に相当する)の剃毛後、ペントバルビタール(腹腔内注射、50mg/kg)麻酔下で、脚部皮膚に切開を加え、後根神経にはカフを装着し、後根神経痛モデルを作製した。切開部はナイロン糸で縫合した(図1参照)。
知覚閾値は、上記雄性ラットの足底部に、プローブで圧を加え、後根神経支配領域である足底部皮膚に、Electrovonfrey Anesthesiometer(ALMEMO 2390-5, IITC Inc. CA)で徐々に圧力を加えていき、ラットが圧から逃れた(足を上げる反射)最高圧を知覚閾値として記録した(実験例5、6および図9、10参照)。なお、上記疼痛モデル作製前のSprague-Dawley系雄性ラット(6週齢,成人に相当する)について知覚閾値を測定したものを、ベースライン測定値とした。
(実施例3)三叉神経痛モデルラットの作製
Sprague-Dawley系雄性ラット(6週齢,成人に相当する)の剃毛後、ペントバルビタール(腹腔内注射、50mg/kg)麻酔下で、顔面部皮膚に切開を加え、眼窩下神経は絹糸でゆるく結紮し、三叉神経痛モデルを作製した。切開部はナイロン糸で縫合した(図2参照)。
知覚閾値は、上記雄性ラットの顔面部に、プローブで圧を加え、三叉神経の枝である眼下窩神経支配部位である鼻の後方部の皮膚に、Electrovonfrey Anesthesiometer(ALMEMO 2390-5, IITC Inc. CA)で徐々に圧力を加えていき、ラットが圧から逃れた(顔面部逃避反射)最高圧を知覚閾値として記録した(実験例8、図13参照)。なお、上記疼痛モデル作製前のSprague-Dawley系雄性ラット(6週齢,成人に相当する)について知覚閾値を測定したものを、ベースライン測定値とした。
(実験例1)ラット三叉神経節細胞における神経伝達物質の取り込み
ラット三叉神経節単一細胞からの神経伝達物質の取り込みについて観察した。
ラットをペントバルビタール(75mg/kg)で麻酔したのち、断頭・除脳後、三叉神経節を摘出した。摘出後の三叉神経節を、95%O/5%COを飽和させた人工脳脊髄液(NaCl 125 mM、sucrose 124 mM、KCl 2.5 mM、NaH2PO4 1.25 mM、CaCl2 2 mM、MgCl2 2 mM、NaHCO3 26 mM、glucose 10 mM)内で処理し、神経根、末梢神経を切断し、三叉神経節のみを摘出した。前記三叉神経節を、0.125%コラーゲナーゼ溶液で30分間処理した後、0.25%トリプシン溶液で5分間処理して化学的に結合組織を分解し、パスツールピペットで機械的に三叉神経節細胞を分離した。
分離後の三叉神経節細胞を、poly-D-lysin(BT-227, Biomedical Technology)処理を行った細胞接着性のあるカバーガラス(直径12mm)の上に播種して接着させ、5%CO環境下で、MEM(Minimum Essential Medium)(Gibco)培養液内で培養した。細胞分離時の障害から回復する2時間経過以降に、三叉神経節細胞への神経伝達物質の取り込みを観察した(図3)。
上述のカバースリップ上に分離培養した三叉神経節細胞に、実施例1で得たBoNT(150kDa)を、カバースリップあたり5MLD投与した。さらに3時間培養後にそれらの細胞における神経伝達物質の遊離、取り込みの変化を観察した。ここで、1MLDとは、ddyマウス(♀、20g)に腹腔内投与した時に致死をもたらす最小投与量である。
神経伝達物質の取り込みは、顕微鏡下で三叉神経節細胞に神経伝達物質のマーカーであるバイオイメージング用試薬である膜プローブFM(R)4-64(F34653, Invitrogen)を投与し、蛍光強度を測定することにより行った。FM(R)4-64を、KCl(75mM)の刺激とともに投与すると、細胞小胞内に取り込まれ、神経伝達物質の取り込みが観察可能である。
(実験例2)ラット三叉神経節細胞における神経伝達物質の遊離
上記実験例1と同手法により単離した三叉神経節細胞に、FM(R)4-64を投与して取り込ませた後、以下の3群に分類した。
1)コントロール群:観察開始から刺激を加えない群
2)KCl群:観察開始から3分後にKCl(75mM)刺激を加えた群
3)KCl+BoNT群:BoNTに3時間浸漬以降、観察開始から3分後にKCl(75mM)刺激を加えた群
上記の結果、コントロール群でも神経伝達物質の遊離が生じることが観察されたが、KClの刺激により遊離量が増加することが確認された。BoNT(150kDa)を加えた群では、KCl単独の場合に比べて遊離量が抑制されることが観察された。この結果より、BoNT(150kDa)を加えた群では神経伝達物質の遊離が抑制され、痛みが軽減されうることが推定された(図4)。
(実験例3)ラット三叉神経節細胞におけるBoNT投与による神経伝達物質の遊離
BoNT投与による三叉神経節細胞でのC細胞における神経伝達物質の遊離・取り込みの変化を、ラット三叉神経節単一細胞からの神経伝達物質の遊離・取り込みにより観察した。三叉神経節細胞は、触覚を伝達するA細胞と疼痛や異常感覚を伝達するC細胞に大別される。さらにC細胞は、サブスタンスPやCGRPなどの神経ペプチドを有するIB4(Isolectine B4)(−)細胞と神経ペプチドを有していないIB4(+)に分類される。
上記実験例1と同手法により三叉神経節細胞を単離し、疼痛を伝達するC細胞に、IB4(Isolectine B4)(Vector Laboratories, Burlingame, CA, USA)(10 μg/ml)を10分間作用させ、IB4(+)細胞とIB4(−)細胞に分類した。IB4(+)細胞とIB4(−)細胞の違いは、植物性レクチンの細胞膜への結合の有無から判断される。IB4(+)細胞とIB4(−)細胞は神経伝達物質の遊離、取り込みに差があるため、この2種類の細胞に分類し、遊離、取り込み動態の相違の詳細も検討した。
上記分離したIB4(+)細胞とIB4(−)細胞の各細胞にFM(R)4-64を投与して取り込ませた後、BoNT(150kDa)またはBoNT(19S/16S)を10MLD投与し、3時間経過以降にFM(R)4-64の遊離を観察した。同様に、BoNTを投与していない三叉神経節細胞(コントロール細胞)での神経伝達物質の遊離、取り込みについても調べた。観察開始から3分後にKCl(75mM)刺激を加え、その後の神経伝達物質の遊離、取り込みの変化を確認した。
IB4(+)細胞に、観察開始から3分後にKCl(75mM)刺激を加えると、細胞内の神経伝達物質が減少し、神経伝達物質の遊離が認められたが、BoNT(150kDa(7S))投与群(n=10)では、BoNT(19S/16S)投与群(n=8)またはコントロール群(n=6)と比較して、細胞からの神経伝達物質の遊離が減少した(図5)。
IB4(−)細胞については、BoNT(150kDa)投与群(n=14)、BoNT(19S/16S)投与群(n=6)とコントロール群(n=6)での神経伝達物質の遊離、取り込みにはほとんど差は見られなかった(図6)。
(実験例4)BoNT投与によるラット三叉神経節細胞でのC細胞における神経伝達物質の遊離・取り込みの変化
ラット三叉神経節単一細胞からの神経伝達物質の取り込み、遊離について観察した。上記実験例1と同手法にて三叉神経節細胞を取得し、実験例3と同手法にて、疼痛を伝達するC細胞に、IB4(Isolectine B4)(Vector Laboratories, Burlingame, CA, USA)(10 μg/ml)を10分間作用させ、IB4(−)細胞とIB4(+)細胞に分類した。
上記により取得したIB4(−)細胞とIB4(+)細胞に、BoNT(150kDa)を5MLD直接投与し、3時間経過以降にFM(R)4-64の遊離を観察した。観察開始から10秒後にKCl(75mM)刺激を加えた。いずれの場合もコントロール群(IB4(+):n=11、IB4(−):n=10)では、KClの刺激に応じて細胞内の神経伝達物質の遊離が顕著であり、細胞内の神経伝達物質の減少が認められたが、BoNT(150kDa)投与群(IB4(+):n=7、IB4(−):n=9)では神経伝達物質の遊離は、コントロール群よりも抑制されていることが観察された(図7、図8)。
(実験例5)神経痛モデルラットにおけるBoNT(150kDa)投与後の知覚閾値変化
実施例2と同手法により神経痛モデルラットを作製し、知覚閾値を計測した。足底部(後根神経支配領域)において、カフを装着していない状態でのベースラインレベルでは、約20gの圧で足を上げる反射が観察され、知覚閾値は20gと判断された。
一方、実施例2で作製した後根神経痛モデルでは、知覚閾値は10g前後にまで低下することが観察された。このことより、後根神経痛モデルラットでは後根神経支配領域に疼痛を感じていることが理解できた。
1週間後にBoNT(150kDa)を5MLD足底部に投与し、知覚閾値の変化を計測した。臨床症状と同様であるが、疼痛が減少すると閾値の上昇が観察された(図9)。このことより、後根神経痛モデルにおいて、BoNT(150kDa)の投与が疼痛を減弱することが確認された。
図9において、SNEとは、実施例2のモデルラットを作製した時点をいう。
(実験例6)分子量の異なるBoNT投与後の知覚閾値変化
実施例2と同手法により神経痛モデルラットを作製し、2週間後にBoNT(150kDa)またはBoNT(19S/16S)を5MLD足底部に投与し、知覚閾値の変化を計測した。その結果、BoNT(150kDa)投与群のほうがBoNT(19S/16S)投与群に比べて、後根神経痛モデルにおいて疼痛を減弱することが確認された(図10)。図10において、SNEとは、実施例2のモデルラットを作製した時点をいう。
(実験例7)BoNT投与によるラット三叉神経節細胞でのC細胞における神経伝達物質の遊離・取り込みの変化
実施例3で作製した顔面部神経痛モデルラットの三叉神経節単一細胞からの神経伝達物質の取り込み、遊離について観察した。
モデル作製後3日目で、BoNT(150kDa)を10MLD末梢顔面組織に投与し、さらに11日経過後に、実験例1と同手法にて顔面部神経痛モデルラットから三叉神経節細胞を取得し、実験例3と同手法にて、疼痛を伝達するC細胞に、IB4(Isolectine B4)(Vector Laboratories, Burlingame, CA, USA)(10 μg/ml)を10分間作用させ、IB4(−)細胞とIB4(+)細胞に分離した。
上記により取得したIB4(+)細胞およびIB4(−)細胞について、BoNT(150kDa)を投与した場合および投与していない場合(コントロール細胞)での三叉神経節細胞の神経伝達物質の遊離、取り込みについて調べた。観察開始から10秒後にKCl(75mM)刺激を加え、その後の神経伝達物質の遊離、取り込みの変化を確認した。
IB4(+)細胞およびIB4(−)細胞について、観察開始から10秒後にKCl(75mM)刺激を加えた。いずれの場合もコントロール群(IB4(+):n=11、IB4(−):n=10)では、KClの刺激に応じて、細胞内の神経伝達物質の遊離が顕著であり、細胞内の神経伝達物質の減少が認められたが、BoNT(150kDa)投与群(IB4(+):n=10、IB4(−):n=9)では神経伝達物質の遊離は、コントロール群よりも抑制されることが観察された(図11、図12)。
(実験例8)三叉神経痛モデルラットにおけるBoNT(150kDa)投与後の知覚閾値変化
実施例3と同手法により顔面部神経痛モデルラットを作製し、知覚閾値を計測した。顔面部(眼窩下神経支配領域)において、結紮していない状態でのベースラインレベルでは約40gの圧で顔面部逃避反射が観察され、知覚閾値は40gと判断された。
一方、実施例3で作製した三叉神経痛モデルでは、モデル作製後3日の測定で、知覚閾値は20g前後にまで低下することが観察された。このことより、三叉神経痛モデルラットでは眼窩下神経支配領域に疼痛を感じていることが理解できた(図13)。
モデル作製後3日目で、末梢顔面組織にBoNT(150kDa)を5MLD投与し、さらに11日経過後の知覚閾値の変化を計測した。臨床症状と同様であるが、疼痛が減少すると閾値の上昇が観察された(図13)。このことより、三叉神経痛モデルにおいて、BoNT(150kDa)の投与が疼痛を減弱することが確認された。
以上説明したように、本発明の実施例1において作製されるBoNT(150kDa)を末梢組織に投与することにより、モデルラットの疼痛が減弱することが確認できた。本発明に使用したBoNT(150kDa)は、ボツリヌス毒素由来のポリペプチドのうち、非毒素および非毒性のHAを含まないポリペプチド部分であり、150kDaの神経毒のみが精製されており、市販されている無毒成分が付属しているものよりも分子量が小さいという特徴がある。そのため、細胞内に取り込まれやすく、副作用が生じにくいと考えられる。
以上から、ボツリヌス毒素由来のポリペプチドのうち、非毒素および非毒性のHAを含まないポリペプチド部分を有効成分として含む、鎮痛作用を有する医薬組成物は、痛みを伴う患者の治療、とりわけ三叉神経痛患者治療において、中枢性副作用を誘発せず、有効に利用できることが確認された。
また、本発明の三叉神経痛モデル動物は三叉神経痛の治療効果を検討する今後の研究において、非常に重要なものである。
本発明の後根神経痛モデル動物の作製方法および知覚閾値の測定方法を示す図である。(実施例2) 本発明の三叉神経痛モデル動物の作製方法を示す図である。(実施例3) 正常動物について、三叉神経節細胞の神経伝達物質の取り込み量を膜プローブFM(R)4-64(F34653, Invitrogen)を用いて測定した結果を示す図である。(実験例1) 正常動物について、BoNT(150kDa)を三叉神経節細胞に投与したときの神経伝達物質の取り込み量を測定した結果を示す図である。3分時にKCl刺激を加えた。(実験例2) 正常動物について、分子量の異なるBoNTを三叉神経節細胞に投与したときのIB4(+)細胞について、神経伝達物質の取り込み量を測定した結果を示す図である。3分時にKCl刺激を加えた。(実験例3) 正常動物について、分子量の異なるBoNTを三叉神経節細胞に投与したときのIB4(−)細胞について、神経伝達物質の取り込み量を測定した結果を示す図である。3分時にKCl刺激を加えた。(実験例3) 正常動物について、BoNT(150kDa)を三叉神経節細胞に投与したときのIB4(+)細胞について、神経伝達物質の取り込み量を測定した結果を示す図である。10秒時にKCl刺激を加えた。(実験例4) 正常動物について、BoNT(150kDa)を三叉神経節細胞に投与したときのIB4(+)細胞について、神経伝達物質の取り込み量を測定した結果を示す図である。10秒時にKCl刺激を加えた。(実験例4) 後根神経痛モデル動物での知覚閾値を示す図である。(実験例5) 分子量の異なるBoNTを投与したときの後根神経痛モデル動物での知覚閾値を示す図である。(実験例6) 三叉神経痛モデル動物について、BoNT(150kDa)を顔面組織に投与したときのIB4(+)細胞について、神経伝達物質の取り込み量を測定した結果を示す図である。10秒時にKCl刺激を加えた。(実験例7) 三叉神経痛モデル動物について、BoNT(150kDa)を顔面組織に投与したときのIB4(−)細胞について、神経伝達物質の取り込み量を測定した結果を示す図である。10秒時にKCl刺激を加えた。(実験例7) 三叉神経痛モデル動物での知覚閾値を示す図である。(実験例8)

Claims (5)

  1. ボツリヌス毒素由来のポリペプチドのうち、非毒素および非毒性の赤血球凝集タンパク質を含まないポリペプチド部分を有効成分として含む、鎮痛作用を有する医薬組成物。
  2. ボツリヌス毒素由来のポリペプチドのうち、非毒素および非毒性の赤血球凝集タンパク質を含まないポリペプチド部分の分子量が、150kDaである請求項1に記載の医薬組成物。
  3. ボツリヌス毒素が、A血清型の毒素である請求項1または2に記載の医薬組成物。
  4. 有効成分が、神経伝達物質の知覚神経節内への取り込み、および/または神経伝達物質を知覚神経節内からの遊離を抑制させる機能を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1に記載の医薬組成物。
  5. 神経伝達物質が、ペプチド、グルタミン酸および/またはATPである請求項4に記載の医薬組成物。
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