JP2003530843A - 糸状菌において発現されるdnaライブラリーのハイスループットスクリーニング - Google Patents

糸状菌において発現されるdnaライブラリーのハイスループットスクリーニング

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Abstract

(57)【要約】 本発明は真菌における異種DNAライブラリーの発現についての方法を提供する。この真菌はイントロン含有真核遺伝子をプロセシングすることが可能であり、さらにグリコシル化とタンパク質の折りたたみのような翻訳後のプロセシング工程も実行し得る。本発明は、変化した形態を有する真菌の使用について提供し、これは発現されるタンパク質のハイスループットスクリーニングと指令された分子進化を可能にする。この同じ形質転換された真菌は、(図1に示されるように)、単離、特徴づけ、及び適用試験のためにより多量のタンパク質を産生するために使用され得て、タンパク質の実用生産にも適する可能性がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の概要 本発明は、糸状菌宿主における、DNAライブラリー、特に合成、ゲノム、及
びcDNAライブラリーの発現と続くスクリーニングについての方法を提供する
。この系は、例えば、浸漬培養における効率的な胞子形成により、伝達性生殖要
素を生成する、形質転換されたか又はトランスフェクトされた糸状菌株を利用す
る。真菌は、好ましくは、もつれた菌糸体の形成を最少化するか又は消失させる
形態を示す。特に好ましい真菌株はまた、評価のために単離可能な量の外因性タ
ンパク質を発現することも可能である。本発明の突然変異真菌株は、その伝達性
生殖要素の産生、高レベルの発現、及び非常に低い培養粘度により、ハイスルー
プットスクリーニング技術に特に好適である。
【0002】 発明の背景 天然に存在する微生物の集団は、広範囲の生化学及び代謝上の多様性を示す。
部分的には、多くの微生物を単離して培養することが難しいために、これらの集
団において存在する潜在的に価値のあるタンパク質及びポリペプチドの大多数が
同定を免れている。実際、今日まで培養されているのは、全世界の微生物の1%
未満であると推定されている。培養されたことがない未同定の微生物、さらに既
知の微生物にも由来する、タンパク質、ポリペプチド及び代謝物の特徴づけに対
する新たなアプローチへの切実なニーズがある。(本明細書で以下に使用される
「タンパク質」という用語には、ペプチド及びポリペプチドも同様に包含される
と理解するべきである。) また、上記のタンパク質の修飾及び/又は産生を可
能にするように、これらのタンパク質をコードする遺伝子の同定及び単離への新
たなアプローチに対するニーズも存在する。
【0003】 この問題に対する1つのアプローチは、Short により、米国特許第5,958
,672号;6,001,574号、6,030,779号及び6,057,1
03号(これらの内容は参照により本明細書に援用されている)において説明さ
れている。このアプローチでは、存在する可能性がある生物を単離するか又は培
養することを試みるか、又は試みることなく、環境サンプル(例えば土壌サンプ
ル)からゲノムDNAライブラリーが直接調製される。このDNAライブラリー
を大腸菌(E. coli)のなかで発現させ、発現されたタンパク質を関心の特性又
は活性についてスクリーニングする。Short は、この方法における真菌宿主細胞
の使用を仄めかしているが、記載しても、可能であるともしていない。
【0004】 上記のアプローチではいくつかの重大な欠点が問題となるが、その1つは、大
腸菌がイントロンを有する遺伝子を有効には発現しないことである。土壌微生物
の種の約90%は真核生物(主に真菌)であり、これはそのゲノムDNAのなか
にイントロンを概して有する。すでに約100,000種のユーミコタン(eumy
cotan)真菌が知られているが、推定1,000,000種がまだ発見されてい
ないので(B. Kandrick, The Fifth Kingdom, Mycologue Publications 1999)
、タンパク質及び代謝物が多様である潜在可能性は真菌ゲノムのなかでずっと高
いはずである。しかしながら、イントロンがあるために、真菌のタンパク質及び
代謝物レパートリーのほとんどは、細菌発現系の力が及ばないものである。多く
のクラスの酵素(例、分泌性真菌リグニンペプチダーゼ、及びマンガン依存性ペ
ルオキシダーゼ)は真菌に固有であるだけでなく、グリコシル化される酵素(例
、リグニンペルオキシダーゼ、A. niger インベルターゼ)を含む、多くの真菌
タンパク質が存在する。そして、そのようなタンパク質は、大腸菌により発現さ
れると、グリコシル化されないであろう。真菌ゲノムの数がすっと多くて、サイ
ズ及び複雑性もより大きいこと、多くの真菌タンパク質が独自であること、そし
て、多くの真菌タンパク質がグリコシル化されることは、いずれもゲノムDNA
の細菌での発現により実際に検出され得る、ある環境サンプル内にある微生物タ
ンパク質及び代謝物の多様性の分画が10%よりずっと少ないことを示す。
【0005】 部分的には、AIDSの広がりと臓器移植レシピエント集団の増加により、免
疫寛容性又は免疫抑制の個体の集団が増加し、真菌感染の数及び多様性が急速に
増加している(Infect. Med. 16: 380-382, 385-386 (1999))。抗真菌薬の新た
なターゲットについての現在進行中の探索において、病原性真菌由来のタンパク
質を同定して特徴づけることへのニーズがある。このためには、真菌ゲノムから
誘導されるDNAライブラリーをスクリーニングする能力が必要とされる。また
、真菌ゲノムにおけるイントロンの存在は、現在利用しうるほとんどの細菌宿主
において、ゲノムDNAライブラリーの発現を困難にしている。また、抗生物質
耐性菌による感染の罹患数も上昇し、抗菌活性を有する新たな真菌代謝物のハイ
スループットスクリーニングへのニーズを創出している。
【0006】 高等生物の真核ゲノムも、DNAライブラリーを細菌において完全に発現させ
るにはあまりに複雑である。あらゆる真核の種を考慮すると、細菌は既知のあら
ゆる種の約0.3%しか表さない(E. O. Wilson,「生物学的多様性の現状」,Bi
odiversity, ナショナル・アカデミー・プレス、ワシントンDC, 1988, 第1章
)。従って、細菌発現系にかけられる世界の遺伝子多様性の分画はきわめて限ら
れている。
【0007】 イントロンに絡む問題を避けるには、cDNAライブラリーを調製し、それを
細菌において発現させることが可能である。しかしながら、このアプローチはR
NA転写物の存在に依存するので、活発に転写されない遺伝子はこのライブラリ
ーに表れないだろう。多くの所望されるタンパク質は、特定の条件においてのみ
発現され(例えば、病原性真菌におけるビルレンス因子)、これらの条件は、m
RNAが採取されるときに存在しない可能性がある。さらに、cDNAライブラ
リーを調製するのに十分なRNAを入手するには,かなりの量の生物を培養する
ことが必要である。培養では十分に増殖しない環境サンプル中の生物、又は適当
な培養条件が知られていない微生物では、十分なRNAが容易に、又は信頼し得
るほどに得られないであろう。対照的に、ランダムプライマーか又はある種の遺
伝子群を選好するように設計されたプライマーのいずれかを使用するPCR増幅
により、ごく少数の個別細胞から十分なゲノムDNAを得ることができる。最後
に、生物において高度に発現されている遺伝子は、mRNAでは過剰に表れる傾
向があり、cDNAライブラリーでも、わずかに発現される遺伝子を犠牲にして
過剰に発現されるものである。ゲノムライブラリーの代わりにcDNAライブラ
リーが利用される場合は、存在するmRNA種の高いレベルの適用範囲を有する
ために、ずっと多い数のクローンをスクリーニングしなければならない。なぜな
ら、ゲノムライブラリーのほうが存在する遺伝子の多様性により近似した代表を
有するからである。明らかに、ともかくも可能であれば、ゲノムDNAライブラ
リーをスクリーニングすることがより望ましい。
【0008】 また、大腸菌は多くのタンパク質を分泌することができず、従って、スクリー
ニングが遺伝子産物の分泌に左右されるスクリーニング目的の宿主細胞として望
ましくない。大腸菌、及び細菌の宿主全般にある追加の欠点は、数多くの真核タ
ンパク質の活性に必要とされる翻訳後の修飾の多くを原核生物が提供し得ないこ
とである。グリコシル化だけでなく、サブユニット開裂、ジスルフィド結合形成
、及び適切なタンパク質の折りたたみは、活性タンパク質を産生するためにしば
しば必要とされる翻訳後プロセシングの例である。
【0009】 そのようなプロセシングを保証するには、哺乳動物細胞を時々使用し得るが、
哺乳動物細胞は維持するのが難しく、高価な培地を必要とし、一般的には高い効
率で形質転換されない。cDNAライブラリースクリーニングの宿主として哺乳
動物細胞を利用する努力がなされてきた(Schouten et al., WO99/645
82)が、そのような形質転換系は、従って、タンパク質のハイスループットス
クリーニングに好便ではない。ライブラリースクリーニングに先立って、形質転
換されたプロトプラストを哺乳動物細胞と融合させることを含むアプローチが記
載されている(米国特許第5,989,814号)が、細菌又は酵母では、タン
パク質ライブラリーの発現が細胞融合に先立って起きてしまう。宿主細胞におけ
る発現の後でグリコシル化パターンを酵素的に修飾する努力もある(Meynial-Sa
lles and Combes, J. Biotechnol., 46: 1-14 (1996))が、そのような方法は特
定の産物について設計されなければならず、DNAライブラリーからのタンパク
質の発現については適していない。より最近、Maras et al., Eur. J. Biochem.
, 249: 701-707 (1997)(米国特許第5,834,251号も参照のこと)は、
ヒトGlcNAcトランスフェラーゼIを発現するように工学処理された Trich
oderma reesei 株について説明した。この酵素は、N−アセチルグルコサミンを
、他の発現された外因性タンパク質上のマンノース残基へ移動させる。これは天
然の哺乳動物の産物をより密接に近似させることへの最初の工程である。
【0010】 酵母の宿主細胞としての使用は、上記の問題のいくつかを解決するが、他の問
題も持ち込む。酵母は外因性タンパク質を過剰にグリコシル化する傾向があり(
Bretthauer and Castellino, 1999, Biotechnol. Appl. Biochem. 30: 193-200
)、変化したグリコシル化パターンにより、発現される哺乳動物タンパク質がし
ばしばきわめて抗原性になってしまう(C. Ballou, in Molecular Biology of t
he Yeast Saccharomyces, J. Strathern et al., eds., Cold Spring Harbor La
boratory Press, NY, 1982, 335-360)。酵母は、限定された数のイントロンに
は対処し得るが、それらは、脊椎動物のようなより高等な種に由来する複雑な遺
伝子を処理することが概してできない。糸状菌からの遺伝子でさえ、通常酵母に
とっては複雑すぎて、効率よく転写することができず、そしてこの問題は、酵母
と糸状菌との発現及びスプライシング配列における違いにより複雑化される(例
えば、M. Innis et al., Science 1985 228: 21-26 を参照のこと)。こういっ
た欠点にもかかわらず、酵母についての形質転換及び発現の系は、概してcDN
Aライブラリーを用いる使用について、精力的に開発されてきた。哺乳動物起源
の天然で分泌される膜タンパク質(Klein, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. US
A 1996 93: 7108-7113;Treco, 米国特許第5,783,385号)、及び異種
の真菌タンパク質(Dalboge and Heldt-Hansen, Mol. Gen. Genet. 243: 253-26
0 (1994))及び哺乳動物タンパク質(Tekamp-Olson and Meryweather, 米国特許
第6,017,731号)についてスクリーニングするために使用される酵母の
発現系が開発されている。
【0011】 酵母発現系の文脈で使用される「酵母」という用語は、概して S. cerevisiae
及び Pichia pastoris のようなサッカロミセス(Saccharomycetales)目の生
物を意味する。本明細書の目的によれば、「真菌」及び「真菌の」という用語は
、Basidiomycetes(担子菌類)、Zygomycetes(接合菌類)、Oomycetes(卵菌類
)及び Chythridiomycetes 及び Euascomycetes 綱の Ascomycetes(子嚢菌類)
を意味すると理解されるべきであり、これらはサッカロミセス(Saccharomyceta
les)目ではない。糸状菌は、無性増殖期のその菌糸伸長、及び強制好気性の炭
素異化により酵母から区別され得る(酵母における栄養成長は単細胞葉状体から
の発芽により達成され、酵母は発酵異化を利用し得る)。
【0012】 真菌遺伝子産物の適切なイントロンスプライシング、及びグリコシル化、折り
たたみ、及び他の翻訳後修飾は、真菌宿主種により最も効率よく処理され得て、
土壌サンプルからゲノムDNAをスクリーニングすることについて糸状菌をもっ
とも優れた宿主にする。それは、プロテアーゼ、セルラーゼ、及びアミラーゼの
ような、実用上関心のもたれる真菌酵素の産生についても糸状菌を優れた宿主に
する。また、糸状菌が、哺乳動物遺伝子を含む、他の真核遺伝子の産物を転写、
翻訳、プロセシング、及び分泌することが可能であることも見出されている。最
後の特性は、糸状菌を生物医学上関心のもたれるタンパク質の産生にとって魅力
的な宿主にする。糸状菌により導入されるグリコシル化パターンのほうが、酵母
により導入されるパターンよりも、哺乳動物タンパク質のそれにより密接に似て
いる。上記の理由から、異種タンパク質の発現のために真菌宿主系を開発するこ
とに多量の努力が払われてきて、数多くの真菌発現系が開発された。この領域の
研究の概説については Maras et al., Glycoconjugate J., 16: 99-107 (1999)
;Peberdy, Acta Microbiol. Immunol. Hung. 46: 165-174 (1999);Kruszewsa,
Acta Biochim. Pol. 46: 181-195 (1999);Archer et al., Crit. Rev. Biotec
hnol. 17: 273-306 (1997);及び Jeenes et al., Biotech. Genet. Eng. Rev.
9: 327-367 (1991) を参照のこと。
【0013】 真菌ゲノムから誘導されるDNAライブラリーのハイスループット発現及びア
ッセイも、現在機能が不明である多くの哺乳動物遺伝子に機能を特定するときに
有用であろう。例えば、関心の活性又は特性を有する真菌タンパク質がひとたび
同定されれば、コーディング遺伝子の配列をヒトのゲノム配列に比較して、相同
遺伝子を捜し得る。
【0014】 Yelton et al., 米国特許第4,816,405号は、異種タンパク質を産生
及び分泌するための糸状子嚢菌類(Ascomycetes)の修飾を開示する
。Buxton et al., 米国特許第4,885,249号、及び Buxton and Radford
, Mol. Gen. Genet. 196: 339-344 (1984) は、宿主細胞へ取込まれ得る選択マ
ーカーを含有するDNAベクターによるアスペルギルス ニガー(Aspergillus
niger)の形質転換を開示する。McKnight et al., 米国特許第4,935,34
9号及び Boel, 米国特許第5,536,661号は、アスペルギルス及び他の
糸状菌における異種遺伝子の発現を指令し得るプロモーターを含む、アスペルギ
ルスにおいて真核遺伝子を発現させる方法を開示する。Royer et al., 米国特許
第5,837,847号、及び Berka et al., WO00/56900号は、天
然及び突然変異の フサリウム属のプロモーターを利用する、Fusarium venenatu
m において使用する発現系を開示する。Conneely et al., 米国特許第5,95
5,316号は、アスペルギルスにおけるラクトフェリンの発現及び産生に適し
たプラスミド構築体を開示する。アスペルギルスではクラドスポリウム属のグル
コースオキシダーゼがすでに発現された(米国特許第5,879,921号)。
【0015】 ニューロスポラでも同様の技術が使用されてきた。Lambowitz, 米国特許第4
,486,533号は、糸状菌の自己複製DNAベクターと、ニューロスポラに
おける異種遺伝子の導入及び発現についてのその使用を開示する。Stuart et al
.は、米国特許第5,695,965号において、Neurospora crassa スフェロ
プラストの哺乳動物遺伝子及び内因性転写調節要素での同時形質転換を、米国特
許第5,776,730号において、低下したレベルの細胞外プロテアーゼを有
するニューロスポラの改良株を説明する。ニューロスポラの形質転換についての
ベクターは、米国特許第5,834,191号に開示される。Takagi et al.は
、米国特許第5,436,158号において、リゾープス属の形質転換系を説明
する。Sisniega-Barroso et al.は、WO99/51756において、糸状菌の
形質転換系を説明する。これはアスペルギルス アワモリ(Aspergillus awamor
i)由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーターを利用する。Dan
tas-Barbosa et al., FEMS Microbiol. Lett. 1998 169: 185-190 は、酢酸リチ
ウム法又はエレクトロポレーションのいずれかを使用する、Humicola grisea va
r. thermonidea のハイグロマイシンB抵抗性への形質転換を説明する。
【0016】 より成功した真菌の発現系には、例えば Berka et al., 米国特許第5,57
8,463号に開示されるような、アスペルギルス及びトリコデルマのものがあ
る。また、Devchand and Gwynne, J. Biotechnol. 17:3-9 (1991) 及び Gouka e
t al., Appl. Microbiol. Biotechnol. 47: 1-11 (1997) を参照のこと。Myceli
ophthora thermophila、Acremonium alabamense、Thielavia terrestris 及び S
porotrichum cellulophilum の形質転換株の例が、WO96/02563及び米
国特許第5,602,004、5,604,129及び5,695,985号に
示されているが、これらはアスペルギルス及びトリコデルマの系のある欠点を説
明し、大規模なタンパク質の産生には他の真菌がより適していると示唆する。
【0017】 子嚢菌類以外の菌糸の形質転換についての方法が当技術分野で知られている;
例えば、Munoz-Rivas et al., Mol. Gen. Genet. 1986 205: 103-106 (Schizoph
yllum commune);van de Rhee et al., Mol. Gen. Genet. 1996 250: 252-258 (
Agaricus bisporus);Arnau et al., Mol. Gen. Genet. 1991 225: 193-198 (Mu
cor circinelloides);Liou et al., Biosci. Biotechnol. Biochem. 1992 56:
1503-1504 (Rhizopus niveus);Judelson et al., Mol. Plant Microbe Interac
t. 1991 4: 602-607 (Phytophthora infestans);及び de Groot et al., Natur
e Biotechnol. 1998 16: 839-842 (Agaricus bisporus) を参照のこと。
【0018】 例えばプロトプラスト融合のような、通常の糸状菌の形質転換法に加え、Chak
raborty and Kapoor, Nucleic Acids Res. 18: 6737 (1990) は、エレクトロポ
レーションによる糸状菌の形質転換を説明する。De Groot et al., Nature Biot
echnol. 16: 839-842 (1998) は、いくつかの糸状菌の Agrobacterium tumefaci
ens 仲介の形質転換を記載する。DNAの真菌へのバイオリスティック(biolis
tic)導入が実施されている;例えば、Christiansen et al., Curr. Genet. 29:
100-102 (1995);Durand et al., Curr. Genet. 31: 158-161 (1997);及び Ba
rcellos et al., Can. J. Microbiol. 44: 1137-1141 (1998) を参照のこと。細
胞の「磁気バイオリスティック」トランスフェクションについての磁気粒子の使
用が米国特許第5,516,670号及び5,753,477号に説明され、糸
状菌に適用し得ることが期待されている。
【0019】 真菌を宿主として使用する発現系を開発するために多くの研究がなされている
ことは明らかである。しかしながら、一般的な真菌宿主はいずれも糸状菌であり
、非撹拌培養、及び撹拌されたバイオリアクター槽の非常に粘稠な懸濁(浸漬)
培養において、絡み合った菌糸のマットを形成する傾向がある。上記の糸状菌の
特性はまた真菌宿主細胞における酵素の工業生産にもいくつかの問題を引き起こ
す。例えば、菌糸体の濃密な凝集物の高粘度及び/又は局所形成は、撹拌、通気
、及び栄養物の分散における困難につながる。一般に、糸状菌は、培養物の粘性
により、懸濁培養物をマイクロタイタープレートへマイクロピペッティングする
ことに適していない。さらに、絡み合った菌糸体により、DNAライブラリーを
発現する典型的な糸状菌の培養物は、大量スケールで分離クローンへ容易には分
離されず、ハイスループットアッセイ系において必要とされるような個別遺伝子
型の評価を妨げる。
【0020】 典型的な糸状菌は、定常撹拌の不在下で、液体培地の表面上にマットの形態で
増殖する傾向があり、そこで気泡状の胞子が産生される。それらは、浸漬培養で
は概して胞子形成しない。上記の特性はいずれも、マイクロタイタープレートに
おける糸状菌クローンの培養、及びそのような培養物のハイスループットスクリ
ーニングの効率的な操作と使用に対して実質的な障害を呈示する。懸濁した胞子
又は他の生殖コンピテント要素が個別のマイクロタイターウェルへの分離及び分
配に適するのに対し、気泡状胞子の産生は、表面マットが形成される場合、マイ
クロタイターウェルの交叉汚染を導く。マット形成を防ぐのに必要とされる程度
まで培地をマイクロタイターウェルにおいて撹拌することは、実現可能ではない
。気泡状胞子の制御が困難な問題に加え、表面マットは光透過に干渉し、多くの
アッセイ(特に、分光学的な吸光度アッセイ)を困難又は不可能にする。表面マ
ットはまた、酸素添加、試薬及び栄養分の追加、及びピペッティングのような方
法にも干渉する。
【0021】 培養物の物理特性に対する真菌形態の影響は認知されていて、より好ましい形
態を有する天然に存在する株が、例えば Jensen and Boominathan, 米国特許第
5,695,985号により説明されるように、同定されてきた。明瞭な枝分か
れを有する、遊離した菌糸体の均一分散が、特に望ましい形態として説明された
。Schuster and Royer, 国際特許出願WO97/26330号及び米国特許第6
,184,026号は、異種タンパク質の工業生産により適した形態を有する真
菌細胞を同定する同様の方法を示唆する。この方法は、特定の変化した形態を見
出すために、親の真菌細胞株の野生株よりも、突然変異体をスクリーニングし、
この突然変異体を形質転換し、そして、形質転換した突然変異体の培養物が親の
細胞株より多くの異種タンパク質を産生するかどうかを評価することを含む。少
なくとも10%以上の菌糸が枝分かれした突然変異体が特に請求される。この方
法は、トリコデルマ、フサリウム及びアスペルギルスの株について示されていて
、数多くの他の属に適用可能であることが示唆されている。
【0022】 アスペルギルス オリザエ(Aspergillus oryzae)突然変異体の培養粘度に対
する枝分かれ頻度の効果が Bocking et al., Biotechnol. Bioeng. 65: 638-648
(1999) により試験されたが、この研究では、より高度に枝分かれした株ほど低
い粘度を示した。Van Wezel et al., PCT出願WO00/00613号は、枝
分かれを減少させる、及び/又は糸状微生物の断片化を増強することにより培養
物の粘度を低下する方法を記載する。この方法は、ストレプトマイセス グリセ
ウス(Streptomyces griseus)のSsgA遺伝子で微生物を形質転換することを
含む。この方法は アクチノミセス(Actinomycetales)目の糸状細菌において明
示されるが、糸状菌に適用され得ると述べられている。Dunn-Coleman et al.,
WO00/56893号は、HbrA2突然変異体 A. nidulans を記載し、こ
れは42℃以上で増殖させると、過剰に枝分かれした表現型を示し、菌糸枝分か
れの度合いと培養粘度との線形の関連性に関心をもった。
【0023】 糸状菌発現系の分野におけるほとんどのこれまでの努力は、酵素の工業産生に
適した株の同定にこれまで向けられてきた。それ故に、培養物の粘度、形質転換
の安定性、異種タンパク質の単位体積あたりの収量、及びバイオマスの比率とし
ての収量に関心が集中してきた。DNAライブラリーが真菌において発現された
;例えば、Gems and Clutterbuck, Curr. Genet. 1993 24: 520-524 を参照する
こと。ここではアスペルギルス ニデュランス(Aspergillus nidulans)ライブ
ラリーが A. nidulans において発現された。Gems et al., Mol. Gen. Genet. 1
994 242: 467-471 では、ペニシリウム属由来のゲノムライブラリーがアスペル
ギルスにおいて発現された。上記の報告はいずれも発現されるタンパク質のスク
リーニングを開示も示唆もしなかった。DNAライブラリー由来の遺伝子の発現
が示されたのは、突然変異対立遺伝子の宿主における相補性を介してである。こ
の相補法は、検出することを望むそれぞれの外因性タンパク質活性に特定の突然
変異体宿主を必要とし、一般的なライブラリースクリーニングのツールを提供す
るものではない。
【0024】 トリコデルマ レッセイ(Trichoderma reesei)における発現により、アスペ
ルギルス ニガー(Aspergillus niger)インベルターゼ遺伝子のクローニング
が Berges et al., Curr. Genet. 1993 24: 53-59 により記載された。選択マー
カーを含有するコスミドベクターにおいて構築される A. niger ゲノムライブラ
リーを使用し、宿主として(スクロースを利用することができない)T. reesei
を使用して、A. niger インベルターゼ遺伝子が、同胞選択法によりクローン化
された。ここでは、再び、単一の発現される外因性タンパク質の存在を検出する
には宿主のごく特異的な特徴が必要とされ、ゲノムライブラリーのスクリーニン
グについては開示されず、可能でなかった。
【0025】 DNAライブラリーの発現に適した真菌宿主細胞の特徴は、工業的なタンパク
質の製造に適した宿主の特徴と多くの点で異なる。一般的には、ハイスループッ
トスクリーニングに適した真菌宿主は、数多くの判定基準を満たすべきである。
中でも以下のことである: −宿主は高い効率で形質転換されなければならない。 −宿主はイントロン含有遺伝子をプロセスし、必要なスプライシングを実行しな
ければならない。 −宿主は、発現されるタンパク質が活性形態で産生されるように、翻訳後にプロ
セスしなければならない。 −ライブラリーがあるタンパク質についてアッセイされ得る場合、宿主はそのタ
ンパク質をアッセイによる検出に十分高い収量で産生しなければならない。 −宿主は、使用の容易さと融通性のために、多様な発現調節要素を受入れるべき
である。 −宿主は、容易に選択されるマーカーの使用を許容すべきである。 −宿主細胞培養物は低い粘度であるべきである。 −宿主は、プロテアーゼが不足している、及び/又はプロテアーゼ発現を抑制さ
れすいものであるべきである。 −宿主は、多種多様な外因性タンパク質の活性又は特性についてのスクリーニン
グを許容しなければならない。 −宿主真菌の培養物における菌糸は、単一クローンの単離を妨げるほどに絡み合
っていてはならず、小型化ハイスループットスクリーニングのフォーマットにお
ける(例えば、マイクロピペッティングによる)効率的な導入及び複製を妨げる
までに粘性を高めるほど絡み合ってはならない。 −宿主は表面マットを形成すべきでなく、浸漬培養物として選好的に増殖すべき
である。 −宿主はハイスループットスクリーニングにおいて提供される増殖条件の下で、
浸漬した胞子又は他のプロパギュールの効率的な産生を可能にすべきである。
【0026】 代謝物がスクリーニングされる場合は、宿主細胞が代謝物を培地へ分泌し、そ
れらが容易に検出及び/又はアッセイされ得るならば、有利であろう。理想的に
は、宿主は外因性タンパク質だけを分泌するべきである。
【0027】 タンパク質がアッセイされる場合は、宿主が、そのタンパク質の単離及び精製
を可能にするほど十分な異種タンパク質も発現すれば、特に有利であろう。この
特徴をもった宿主細胞は、他の生物へ遺伝子を導入するのに必要とされる時間の
かかる分子生物学的操作を用いずに、単に宿主細胞を培養することによって、す
べての関心の異種タンパク質をさらに特徴づけることを可能にするだろう。好ま
しくは、より信頼し得て、より多様化したアッセイを可能にするので、宿主には
タンパク質の分泌が可能であるべきである。
【0028】 遺伝子そのもののさらなる研究及び修飾が実施され得るように、宿主細胞が、
異種DNAの容易な単離に適していることも有利であろう。 こういった宿主の特質に加え、形質転換系はまたある種の特徴を示すべきであ
る。形質転換頻度は、意味のあるスクリーニングに必要とされる形質転換体の数
を生成するほどに高くなければならない。理想的には、外来タンパク質の発現は
、単一プロモーターに作用する単一インデューサー、単一の経路によって誘導さ
れる。
【0029】 今日まで、上記判定基準のすべて、又はほとんどさえ満足させる宿主細胞及び
形質転換系の組み合わせは1つも開発されていない。従って、DNAライブラリ
ー、特にゲノム及び/又は真核ゲノムライブラリーの遺伝子産物を効率的に発現
し得る真菌宿主細胞及び形質転換系へのニーズが存在する。
【0030】 発明の簡単な説明 本発明は、浸漬培養において増殖されるときに、「伝達性生殖要素(tran
sferable reproductive element)」を産生する
糸状菌を利用する。「伝達性生殖要素」は、(1)培地において他のそのような
要素から容易に分離され、そして、(2)モノクローナル培養物へ自己生殖し得
る、胞子、胎芽(propagule)、菌糸フラグメント、プロトプラスト、
ミクロペレット、又は他の真菌要素を意味する。この真菌は、好ましくは、あま
り明瞭でない糸状の表現型及び/又は密集した増殖形態も示し、そして、ハイス
ループットDNAライブラリーのスクリーニングに関わる物理的な操作に適した
低粘度培養物を産生する。特に好ましいのは、撹拌の不在下でも、表面マットと
してではなく浸漬培養物として増殖する傾向がある糸状菌である。
【0031】 本発明は、国際特許出願PCT/NL99/00618及びPCT/EP99
/202516に開示される形質転換系の諸特性を利用する。上記の出願は ク
リソスポリウム ルクノウェンス(Chrysosporium lucknowense)及び アスペル
ギルス ソーヤ(Aspergillus sojae)のような糸状菌宿主について効率的な形
質転換系を説明する。上記の出願はまた、野生型宿主細胞の利点をすべて保持す
るが、その糸状表現型を幾分失って、従って低粘度培養物を提供する突然変異株
が容易に調製されることを開示する。
【0032】 本発明における使用に好ましい真菌は多量の外因性タンパク質を発現及び分泌
し、これまでに知られている糸状菌宿主に比べて高いタンパク質/バイオマスの
比率をもたらす。本発明は高収量の形質転換体を示す形質転換系を提供する。本
発明はまた、異種のcDNAインサート、及び特にゲノムDNAインサートのタ
ンパク産物を効率的に発現する形質転換真菌のライブラリーを提供する。本発明
のもう1つの側面では、形質転換された真菌のライブラリーが異種タンパク質の
活性又は特性についてのスクリーニング、又は形質転換された真菌により外因性
タンパク質の活性の結果として産生される代謝物についてのスクリーニング、又
は誘導された異種のDNA又はRNA転写物についてのスクリーニングにおいて
使用され得る。本発明が、上記の表現型の特徴を有する非形質転換株の代謝物に
ついてのハイスループットスクリーニングも可能にすることが理解されよう。
【0033】 本明細書で使用される「突然変異糸状菌」という用語は、天然に見出されない
真菌を単に意味する。密集した増殖形態、低粘度、減少したプロテアーゼレベル
、浸漬増殖、等のような所望される表現型の特徴につながる「突然変異」は、U
V照射及び化学突然変異誘発のような古典的手段か、又はカセット突然変異誘発
のような分子生物学的手段のいずれかにより無作為に導入される場合があるか、
又は遺伝子工学の方法により計画的に導入される場合がある。天然に存在する真
菌が必要な特性を保有することが見出された場合、それは当然ながら本発明の方
法に使用され得るだろう。
【0034】 本発明のさらにもう1つの側面では、形質転換された真菌のライブラリーが、
例えば特に発現されるタンパク質又は代謝物の高レベル生産のような、真菌それ
自身の有用な特性について、スクリーニングされ得る。本発明のこの側面は、タ
ンパク質の産生、タンパク質のプロセシング、及びタンパク質の分泌の最も好ま
しい組み合わせを有する特定の形質転換体が検出され得る、関心の発現タンパク
質についての定量的なアッセイにより明示される。
【0035】 本発明のもう1つの側面では、形質転換された真菌のライブラリーが、関心の
核酸プローブにハイブリダイズし得るDNA配列の存在についてスクリーニング
され得る。
【0036】 発明の詳細な説明 最も広い側面では、本発明は、懸濁状態において伝達性生殖要素を作成する形
質転換された糸状菌、そのような真菌のライブラリー、及び、発現される外因性
タンパク質に関連するか又は代謝物、即ち、内因性及び/又は外因性の酵素によ
り産生される低分子産物に関連した生化学又は生物学的活性のような、関心の生
物学的特性についてそのようなライブラリーをスクリーニングする方法に向けら
れる。低粘度糸状菌のライブラリーは核酸配列を含有する真菌を含み、それぞれ
の核酸配列は異種タンパク質をコードし、前記核酸配列のそれぞれは発現調節領
域と、所望により分泌シグナルコーディング配列及び/又は担体タンパク質コー
ディング配列に機能可能的に連結している。好ましくは、本発明による形質転換
株は異種タンパク質を分泌する。
【0037】 本発明の発現及びスクリーニングの方法、及びそこにおいて利用される真菌は
、多様な応用において有用性を有する真菌、タンパク質、代謝物、及びDNA分
子の産生に有用である。本発明の方法はまた、核酸及びタンパク質の配列情報を
もたらすのにも有用であり、この情報それ自体が特許請求される方法の貴重な産
物とみなされる。
【0038】 本発明の好ましい糸状菌は培地の低粘度により特徴づけられる。典型的な工業
用糸状菌が200センチポアズ(cP)よりかなり高い、通常1,000cP以
上の粘度を有する培養物を産生する、さらに10,000cPまで達し得るのに
対し、本発明の真菌は、最適又は最適に近い増殖条件の下、十分な栄養分の存在
下で48時間又はそれ以上培養した後に、200cP未満、好ましくは100c
P未満、より好ましくは60cP未満、最も好ましくは10cP未満の培養粘度
を示す。本発明の糸状菌は、通常、短く、分離した、絡み合わない菌糸、又はミ
クロペレットにより特徴づけられる形態を示す。ミクロペレットは、より大きく
、多数の絡み合ったクローンから誘導されるペレットとは異なるような、単一の
クローンから生じる、わずかに絡み合っているか又は全く絡み合わない菌糸の集
合物である。例えば、突然変異体のUV18−25クリソスポリウム ルクノウ
ェンス(Chrysosporium lucknowense)株(粘度<10cP)、及び形態的に類
似した突然変異体のトリコデルマ ロンギブラキアタム(Trichoderma longibra
chiatum)X−252株(粘度<60cP)は、長さ100〜200ミクロンの
短く、分離した、絡み合わない菌糸の存在により特徴づけられ、低粘度に工学処
理された突然変異体のアスペルギルス ソーヤ(Aspergillus sojae)pclA
は、かなり枝分かれした短い菌糸を持った密集形態により特徴づけられる(図1
4を参照のこと)。WO97/26330号に記載の低粘度真菌が「より広範な
菌糸の枝分かれ」を有すると記載されているのに対し、本発明のいくつかの真菌
は、非突然変異株に比較して、同等又はごくわずかに減少した菌糸の枝分かれを
有する。培養物の粘度を制御することに主要な役割を担うのは菌糸の長さである
らしい。
【0039】 特に好ましい真菌の株は、分泌される外因性タンパク質/バイオマスの高い比
率を有することによって特徴づけられる。この比率は、好ましくは1:1より大
きく、より好ましくは2:1より大きく、さらにより好ましくは6:1又はそれ
より大きい。最も好ましくは、この比率は8:1又はそれ以上である。そのよう
な高い比率がハイスループットスクリーニング環境において有利であるのは、そ
れにより高濃度の外因性タンパク質が生じ、より高感度及び/又はより迅速なス
クリーニングアッセイを可能にするからである。このことは、アッセイ溶液の容
積が減少する、例えば96穴プレートから384穴プレートへ、さらに1536
穴プレートへ移行するにつれて、特に利益がある。本発明の方法は、上記のマイ
クロタイタープレートフォーマットのいずれにも、及び液体サンプルを利用する
他のほとんどのHTSフォーマットに適している。
【0040】 任意の糸状菌が、本明細書に記載の突然変異の方法により、本発明における使
用に適した突然変異株へ変換され得る。好ましい糸状菌の属には、クリソスポリ
ウム、チエラヴィア(Thielavia)、ニューロスポラ、アウレオバシジウム、フ
ィリバシジウム、ピロミセス(Piromyces)、クリプトコッカス(Cryplococcus
)、アクレモニウム、トリポクラジウム(Tolypocladium)、スクタリジウム(S
cytalidium)、スキゾフィラム(Schizophyllum)、スポロトリクム、ペニシリ
ウム、ギベレラ(Gibberella)、ミセリオフトラ(Myceliophthora)、ムコール
、アスペルギルス、フサリウム、ヒュミコラ(Humicola)及びトリコデルマ、並
びにそれらのアナモルフ(anamorph)及びテレオモルフ(telomo
rph)である。より好ましいのは、クリソスポリウム、トリコデルマ、アスペ
ルギルス、及びフサリウムである。最も好ましいのはクリソスポリウムである。
真菌の属及び種は、Barnett and Hunter, Illustrated Genera of Imperfect Fu
ngi, 3rd Edition, 1972, Burgess Publishing Company に開示されるものに一
致した形態により定義され得る。クリソスポリウム属の真菌の分類に関する詳細
を提供する典拠は、Van Oorschot, C. A. N. (1980)「クリソスポリウム及び関
連した属の改訂」Studies in Mycology No. 20, Centraal Bureau voor Schimme
lcultures (CBS), Baarn, The Netherlands, pp. 1-36 である。上記の教示によ
り、クリソスポリウム属は、Hyphomycetales 目に属する Moniliaceae 科に分類
される。
【0041】 真菌の命名法に関する情報を提供するもう1つの手近な典拠は、ブダペスト条
約の寄託、特にオンラインデータベースを提供するものである(以下のインター
ネットアドレスは http プロトコールを利用する)。ATCC(US)は www.a
tcc.org に、CBS(NE)は www.cbs.knaw.nl に、VKM(RU)は www.bd
t.org.br.bdt.msdn.vkm/general に情報を提供する。もう1つの典拠は、NT.
ars-grin.gov/fungaldatabase である。これらの機関は、真菌の種を区別する特
徴に関する教示を提供し得る。Ascomycota の他の分類法は www.ncbi.nlm.nih.g
ov/htbin-post/Taxonomy/wgetorg?mode=Undef&id=4890 に見出し得る。このもう
1つの分類法によると、クリソスポリウム属は Onygenaceae 科、Onygenales 目
、Ascomucota 門に属する。
【0042】 クリソスポリウムの定義には、限定しないが、以下の株が含まれる:C. botry
oides, C. carmichaelii, C. crassitunicatum, C. europae, C. evolceannui,
C. farinicola, C. fastidium, C. filiforme, C. georgiae, C. globiferum, C
. globiferum var. articulatum, C. globiferum var. niveum, C. hirundo, C.
hispanicum, C. holmii, C. indicum, C. inops, C. keratinophilum, C. krei
selii, C. kuzurovianum, C. lignorum, C. lobatum, C. lucknowense, C. luck
nowence Garg 27K, C. medium, C. medium var. spissescens, C. mephiticum,
C. merdarium, C. merdarium var. roseum, C. minor, C. pannicola, C. parvu
m, C. parvum var. crescens, C. pilosum, C. pseudomerdarium, C. pyriformi
s, C. queenslandicum, C. sigleri, C. sulfureum, C. synchronum, C. tropic
um, C. undulatum, C. vallenarense, C. vespertilium, C. zonatum が含まれ
る。
【0043】 C. lucknowense が特に興味深いクリソスポリウムの種であるのは、それがセ
ルラーゼタンパク質の天然の高い生産者を提供しているからである(国際特許出
願WO98/15633号、PCT/NL99/00618、及び米国特許第5
,811,381及び6,015,707号)。Chrysosporium lucknowense 株
の例は、国際寄託の受託番号のATCC 44006、CBS 251.72、
CBS 143.77、CBS272.77、及びVKM F−3500Dであ
る。さらにクリソスポリウムの定義に含まれるのは、天然でか、又は誘発された
突然変異誘発のいずれかにより突然変異したものを含む、クリソスポリウムの前
世代種から誘導される種である。本発明の方法は、1つの態様において、放射線
照射と化学突然変異誘発の組み合わせにより得られるクリソスポリウムの突然変
異体を利用するが、これは懸濁状態で伝達性生殖要素を産生する傾向があり、短
く、分離した、絡み合わない菌糸により特徴づけられる形態(「密集増殖」)と、
浸漬増殖と懸濁培養時における発酵培地の低粘度により特徴づけられる表現型を
示す。もう1つの態様では、本発明は、表現型が類似したトリコデルマの突然変
異体を利用する。さらに他の態様では、本発明は表現型が類似したアスペルギル
ス ソーヤ(Aspergillus sojae)又はアスペルギルス ニガー(Aspergillus n
iger)の突然変異体を利用する。
【0044】 例えば、VKM F−3500D(「C1」株)は、紫外光へさらすことによ
って突然変異され、UV13−6株を産生する。この株は、引き続きさらにN−
メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジンで突然変異され、NG7C−1
9株を産生した。この最後の株を紫外光により突然変異させ、UV18−25(
VKM F−3631D)株を生じた。この突然変異プロセスの間に、形態上の
特徴は液体培養又はプレート上において、並びに顕微鏡下で、やや変化した。そ
れぞれの連続的な突然変異誘発ごとに、培養物は、クリソスポリウムの特徴であ
るとして説明される羽状及びフェルト状の外観をあまり示さなくなり、最後にコ
ロニーはフラットでマット状の外観になった。ある培地の野生株で観察される褐
色の色素は突然変異株ではほとんど見られなかった。液体培養では、突然変異体
UV18−25は、顕著に、野生株C1や突然変異体UV13−6及びNG7C
−19よりも粘性を欠いていた。すべての株はクリソスポリウムの全体的な顕微
鏡下の特徴を維持していたが、菌糸体(mycelia)は連続した突然変異ご
とに狭くなり、UV18−25では、菌糸体の独特の断片化が観察し得た。この
菌糸体の断片化はUV18−25の培養に関連したより低い粘度の原因となり得
る。株が気泡状に胞子形成する能力は、それぞれの突然変異工程ごとに減少した
。上記の結果は、ある株がクリソスポリウム属に遺伝的には属しても、伝統的な
分類(形態学)の定義からの逸脱を示す場合があることを示す。
【0045】 特に、クリソスポリウムのアナモルフ形態は、本発明によるスクリーニング応
用に適していることが見出された。アナモルフの代謝はそれを高度の発現に特に
適したものにする。アナモルフとテレモルフの遺伝子構成は同一であるので、テ
レモルフもまた適しているはずである。アナモルフとテレモルフの違いは、一方
が無性状態であるのに対し、他方が有性状態であることであり、この2つの状態
はある条件下では異なる形態を示す。
【0046】 もう1つの例は、遺伝子操作した Aspergillus sojae の突然変異株を具体化
する。これら突然変異体の1つでは、特定のエンドペプチダーゼをコードする遺
伝子が壊された。このことにより、亢進した枝分かれと短い菌糸を示す密集増殖
の表現型、及び浸漬培養におけるミクロペレットの形成をもたらした。さらに、
この応用において言及される Aspergillus sojae は、特定の浸漬培養条件下で
効率的な胞子形成を示すように誘発され得るが、それにより、それはハイスルー
プットスクリーニング系における使用に特に適したものになる。この場合、伝達
性生殖要素の形成を導く条件は、EDTA 0.6g/mlを含有する合成培地
だけから構成された。この導入条件は宿主ごとに異なるものだが、ある宿主が適
していることが見出されれば、この条件がすぐに知られるのは明らかである。
【0047】 非毒性及び非病原性の真菌株を使用することが好ましく、その多くのものが当
技術分野で知られていて、このことは実施者へのリスクを軽減し、スクリーニン
グ法全体を簡略化するだろう。好ましい態様では、真菌は、外因性タンパク質の
分解を最少化するほどにプロテアーゼが欠乏している、及び/又はプロテアーゼ
の産生が抑制されている。このプロテアーゼ欠乏株の発現宿主としての使用はよ
く知られている;例えば、PCT出願WO96/29391を参照のこと。プロ
テアーゼ欠乏株は、突然変異体をスクリーニングすることによって産生され得る
か、又はプロテアーゼ遺伝子(群)を「ノックアウト」するか、又は、他のやり
方では、例えば Christensen and Hynes, 米国特許第6,025,185号(非
機能性のareA遺伝子を有するアスペルギルス オリザエ(Aspergillus oryz
ae))に記載のような、当技術分野で知られている方法により不活性化され得る
【0048】 プロテアーゼの発現が低減されたクリソスポリウム突然変異体を創出し得るこ
とが見出されていて、それにより、特にタンパク様の産物がプロテアーゼ活性に
感受性がある場合は、それがタンパク様産物の産生にずっと適したものになる。
このように、本発明はまた、非突然変異クリソスポリウム株、例えば C. luckno
wense 株のC1(VKM F−3500D)よりもプロテアーゼを少なく産生す
る突然変異体のクリソスポリウム株を利用し得る。特に、そのような株の(分泌
される融合タンパク質を開裂するように意図された選択プロテアーゼ以外の)プ
ロテアーゼ活性は、C1株により産生される量の半分未満、より好ましくはその
量の30%未満、及び最も好ましくはその量の約10%未満である。減少したプ
ロテアーゼ活性は、スキムミルクプレート上に形成される輪の測定、又はウシ血
清アルブミン(BSA)分解によるような、既知の方法により測定され得る。
【0049】 宿主糸状菌内の他の遺伝子、例えばセルラーゼや他の多量に分泌されるタンパ
ク質をコードするものを不活性化し、宿主タンパク質によるアッセイの干渉を最
少化することが所望され得る。分泌タンパク質をコードする遺伝子は、欠失させ
るか又は突然変異させ得る。あるいは、望まれないタンパク質の発現に関与する
誘導系又は他の経路を制御する遺伝子を、そのような発現を低下させるように修
飾してもよい。内因性プロモーターが本発明のベクター(以下参照)に利用され
る場合、同一のインデューサーの制御下にある他のタンパク質の遺伝子を不活性
化することが特に望ましい場合がある。プロテアーゼ分泌の抑制を受けている真
菌では、プロテアーゼの発現が環境条件に反応する調節要素の制御下にあるので
、このような条件(例、アミノ酸濃度)は、プロテアーゼの産生を最少化するよ
うに操作し得る。
【0050】 好ましくは、選択される宿主における高い発現を可能にする相同発現調節領域
が形質転換ベクターにおいて利用される。トリコデルマ又はアスペルギルスのよ
うな異種の宿主から誘導される高発現調節領域は当技術分野でよく知られていて
、使用することもできる。例を挙げると、限定しないが、大量に発現されること
が知られていて、従って本発明における使用に適した発現調節配列を提供するタ
ンパク質の例は、ハイドロホビン、プロテアーゼ、アミラーゼ、キシラナーゼ、
ペクチナーゼ、エステラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、セルラーゼ(例、エンド
グルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ)及びポリガラクツロナーゼである。
【0051】 発現調節領域は、発現されるタンパク質をコードする核酸配列に機能可能的に
連結したプロモーター配列を含む。プロモーターは、発現される配列の開始コド
ンに対する位置づけが発現を可能にするように連結される。プロモーター配列は
構成的であり得るが、好ましくは誘導性である。誘導性プロモーター及び好適な
誘導培地の使用は、プロモーターに機能可能的に連結した遺伝子の発現に有利で
ある。相同種から、又はあるタンパク質の発現を許容し得る異種株からの任意の
発現調節配列が想定される。発現調節配列は、適切には、真菌の発現調節領域、
例えば、ascomycete (子嚢菌)調節領域である。好適にも、子嚢菌の発現調節
領域は、以下の属のいずれにも由来する調節領域である:アスペルギルス、トリ
コデルマ、クリソスポリウム、ヒュミコラ(Humicola)、ニューロスポラ、トリ
ポアラジウム(Tolypoaladium)、フサリウム、ペニシリウム、タラロミセス(T
alaromyces)、あるいはエメリセラ(Emericela)及びヒポクレア(Hypocrea)
のようなそれらの他の有性形態。トリコデルマ由来のセロビオヒドロラーゼプロ
モーター;アスペルギルス由来のアルコールデヒドロゲナーゼA、アルコールデ
ヒドロゲナーゼR、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、TAKAアミラーゼ、グル
コアミラーゼ、及びグリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼのプロモーター
;ニューロスポラのホスホグリセリン酸及び交叉経路調節プロモーター;Rhizom
ucor miehei のリパーゼ及びアスパラギン酸プロテイナーゼのプロモーター;Pe
nicillium canescens のβ−ガラクトシダーゼプロモーター;及びクリソスポリ
ウム由来のセロビオヒドロラーゼ、エンドグルカナーゼ、キシラナーゼ、グリセ
ルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼA、及びプロテアーゼのプロモータ
ーが代表例である。宿主に対して特に適応される可能性がより高いので、宿主株
と同一の属に由来する発現調節配列が好ましい。
【0052】 非常に大量にタンパク質を発現する、クリソスポリウムの株に由来する天然の
発現調節配列が特に好ましい。そのような株の例は、モスクワの全ロシアコレク
ション(VKM)寄託研究所を有するブダペスト条約により寄託されてきた。野
生型C1株はVKM F−3500D(寄託日:29−08−1996)を有し
、C1 UV13−6突然変異体はVKM F−3632D(寄託日:02−0
9−1998)の番号で寄託され、C1 NG7C−19突然変異体はVKM
F−3633D(寄託日:02−09−1998)の番号で寄託され、C1 U
V18−25突然変異体はVKM F−3631D(寄託日:02−09−19
98)の番号で寄託された。これらの株は低粘度突然変異の産生の供給源として
も好ましく、実際、VKM F−3631D株は必要な低粘度表現型をすでに示
す。X−252と明示された、低粘度突然変異のトリコデルマ株は、T. longibr
achiatum(ATCC 26921)のQM 9414株の突然変異により誘導さ
れた、Trichoderma longibrachiatum 18.2KK を2ラウンド放射線照射した後に
得られた。他の態様では、本発明は、Aspergillus sojae 及び Aspergillus nig
er の表現型が類似した突然変異体を利用する。
【0053】 好ましくは、宿主がクリソスポリウムである場合、クリソスポリウムのプロモ
ーター配列は、宿主によるその認識が十分保証されるように利用される。ある種
の異種発現調節配列も、ネーティブなクリソスポリウムの配列と同じくらい効率
的にクリソスポリウムにおいて機能する。このことは、クリソスポリウムの形質
転換に使用され得る有名な構築体及びベクターを可能とし、この宿主において高
率の形質転換及び発現を可能にするベクターを構築する他の多くの可能性を提供
する。例えば、例えば Christiansen et al., Bio/Technology 1988 6: 1419-14
22 による記載のように、標準的なアスペルギルス形質転換技術を使用し得る。
アスペルギルス形質転換ベクターの詳細を提供する他の文献、例えば、米国特許
第4,816,405、5,198,345、5,503,991、5,364
,770、5,705,358、5,728,547及び5,578,463号
、EP−B−215.594(トリコデルマについても)とその内容は参照によ
り本明細書に組込まれている。クリソスポリウム株ではセルラーゼについてきわ
めて高い発現率が観察されたので、セルラーゼ遺伝子の発現調節領域は特に好ま
しい。
【0054】 本発明のベクターは、酵素、好ましくは分泌される酵素をコードする遺伝子か
ら誘導されるプロモーター配列を含み得る。プロモーター配列を取り得る好適な
酵素の例は、炭水化物分解酵素(例、セルラーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ
、マンノシダーゼ、ペクチナーゼ、アミラーゼ、例えばグルコアミラーゼ、α−
アミラーゼ、α−及びβ−ガラクトシダーゼ、α−及びβ−グルコシダーゼ、β
−グルカナーゼ、キチナーゼ、キタナーゼ)、プロテアーゼ(エンドプロテアー
ゼ、アミノプロテアーゼ、アミノ−及びカルボキシ−ペプチダーゼ)、他の加水
分解酵素(リパーゼ、エステラーゼ、フィターゼ)、オキシドレダクターゼ(カ
タラーゼ、グルコース−オキシダーゼ)及びトランスフェラーゼ(トランスグリ
コシラーゼ、トランスグルタミナーゼ、イソメラーゼ及びインベルターゼ)であ
る。クリソスポリウム ルクノウェンス(Chrysosporium lucknowense)由来の
いくつかの例を表Aに示す。
【0055】 核酸構築体は、好ましくはクリソスポリウム、より好ましくは Chrysosporium
lucknowense 又はその誘導体に由来する、発現されるタンパク質をコードする
核酸配列に機能可能的に連結した、核酸発現調節領域を含む。特に好ましい核酸
構築体は、セルラーゼ又はキシラナーゼの発現、好ましくはセロビオヒドロラー
ゼの発現、最も好ましくは表Aに記載の55kDaセロビオヒドロラーゼ(CB
H1)の発現に関連したクリソスポリウム由来の発現調節領域を含む。さらなる
例としては、ハイドロホビン、プロテアーゼ、アミラーゼ、キシラナーゼ、エス
テラーゼ、ペクチナーゼ、β−ガラクトシダーゼ、セルラーゼ(例、エンドグル
カナーゼ、セロビオヒドロラーゼ)及びポリガラクツロナーゼのクリソスポリウ
ムプロモーター配列も本発明の範囲に該当すると考察される。
【0056】
【表1】 表Aに開示される酵素発現のプロモーター又は調節領域のいずれもが適切にも
利用され得る。これらのプロモーター及び調節領域の核酸配列は、クリソスポリ
ウム株から容易に得られる。プロモーター配列を決定し得る方法は数多くあり、
当技術分野でよく知られている。一般に、プロモーター配列は、関連遺伝子のは
じめにあるATG開始コドンの直前に見出される。例えば、プロモーター配列は
、関連遺伝子の上流にある配列を欠失させること、組換えDNA技術を使用する
こと、及び上記の欠失の遺伝子発現に及ぼす影響を検査することによって同定さ
れ得る。また、例えば、関連遺伝子の上流領域の配列をコンセンサスプロモータ
ー配列と比較することによって、しばしば推量され得る。
【0057】 例えば、C1エンドグルカナーゼのプロモーター配列は、対応する遺伝子をク
ローニングすることによって、このやり方(PCT/NL99/00618を参
照のこと)で同定された。本発明による好ましいプロモーターは、クリソスポリ
ウム由来の55kDaセロビオヒドロラーゼ(CBH1)、グリセルアルデヒド
−3−リン酸デヒドロゲナーゼA、及び30kDaキシラナーゼ(XylF)の
プロモーターであり、これらの酵素はそれ自身のプロモーターにより高レベルで
発現される。Chrysosporium lucknowense、特に C. lucknowense GARG 27K の炭
水化物分解酵素のプロモーターは、有利にも、他の真菌宿主生物においてタンパ
ク質のライブラリーを発現することに使用され得る。
【0058】 本発明による核酸配列の特別な態様は、クリソスポリウム、アスペルギルス及
びトリコデルマについて知られている。クリソスポリウムのプロモーターはPC
T/NL99/00618に記載されている。先行技術は、アスペルギルスにお
ける使用のために数多くの発現調節領域を提供する。例えば、米国特許第4,9
35,349;5,198,345;5,252,726;5,705,358
;及び5,965,384号;及びPCT出願WO93/07277号。トリコ
デルマにおける発現が米国特許第6,022,725号に開示される。上記特許
の内容はそのまま参照により本明細書に組込まれている。
【0059】 ヒドロホビン遺伝子は高度に発現される真菌遺伝子である。従って、好ましく
はクリソスポリウム由来のヒドロホビン遺伝子のプロモーター配列が、本発明の
好適な態様における発現調節配列として、好適にも適用され得る。トリコデルマ
レッセイ(Trichoderma reesei)及びトリコデルマ ハルジアナム(Trichoderm
a harzianum)のヒドロホビン遺伝子の配列は、アスペルギルス フミゲイタス
(Aspergillus fumigatus)及びアスペルギルス ニデュランス(Aspergillus n
idulans)の遺伝子配列と同様に、例えば先行技術において開示され、関連する
配列情報は参照により本明細書に組込まれている(Nakari-Setala et al., Eur.
J. Biochem. 1996, 235: 248-255;Parta et al., Infect. Immun. 1994 62: 4
389-4395;Munoz et al., Curr. Genet. 1997, 32: 225-230;及び Stringer et
al., Mol. Microbiol. 1995 16: 33-44)。上記の配列情報を使用して、当業者
は、上記に示唆されるような標準技術に従って不適当な実験をせずに、クリソス
ポリウムヒドロホビン遺伝子の発現調節配列を得ることができる。本発明により
組換えクリソスポリウム株は、異種タンパク質をコードする配列に機能可能的に
連結したヒドロホビン調節領域を含み得る。
【0060】 発現調節配列はまた追加的に、エンハンサー又はサイレンサー(silencer)を
含み得る。これらは先行技術においてもよく知られていて、通常、プロモーター
からやや離れたところに位置づけられる。発現調節配列はまた、アクチベーター
結合部位及びリプレッサー結合部位を有するプロモーターも含み得る。場合によ
っては、そのような部位がこのタイプの調節をなくすために修飾され得る。例え
ば、creA部位が存在する糸状菌プロモーターが説明されている。このcre
A部位は、creAの存在から通常生じるグルコース抑制が除去されることを保
証するように、突然変異され得る。そのようなプロモーターの使用は、グルコー
ス存在下でプロモーターにより調節される核酸配列によりコードされるタンパク
質のライブラリーの産生を可能にする。この方法はWO94/13820及びW
O97/09438号に例示される。これらのプロモーターはそのcreA部位
と一緒か、又は一緒でなく使用され得る。creA部位が突然変異した突然変異
体は、本発明により、組換え株の発現調節配列として使用され得て、次いで、そ
れが調節する核酸配列のライブラリーがグルコースの存在下で発現され得る。そ
のようなクリソスポリウムのプロモーターは、WO97/09438号に示され
るものに類似したやり方で脱抑制を確実にする。creA部位の同一性は先行技
術から知られる。他のやり方では、突然変異していないCreA結合部位を有す
るプロモーターを、抑制系のどこにでも、例えばcreA遺伝子そのものの中に
突然変異を有する宿主株に適用し、その株が、creA結合部位の存在にもかか
わらず、グルコースの存在においてタンパク質のライブラリーを産生し得るよう
にすることが可能である。
【0061】 ターミネーター配列も発現調節配列であり、これらは、発現される配列の3’
末端に機能可能的に連結している。多種多様な既知の真菌ターミネーターが本発
明の宿主株において機能的であり得る。この例は、A. nidulans のtrpCター
ミネーター、A. niger のα−グルコシダーゼターミネーター、A. niger のグル
コアミラーゼターミネーター、Mucor miehei のカルボキシプロテアーゼターミ
ネーター(米国特許第5,578,463号を参照のこと)、及び Trichoderma
reesei のセロビオヒドロラーゼターミネーターである。クリソスポリウムのタ
ーミネーター配列、例えばEG6ターミネーターも、当然ながら、クリソスポリ
ウムにおいて十分機能する。
【0062】 本発明による使用に適した形質転換ベクターは、シグナル配列をコードする配
列に機能可能的に連結した、発現される外因性の核酸配列を所望により有し得る
。シグナル配列は、発現されるタンパク質のアミノ酸配列に機能可能的に連結さ
れるとき、宿主細胞からのタンパク質の分泌を可能にするアミノ酸配列である。
このようなシグナル配列は異種タンパク質に関連したものであり得るか、又はそ
れは宿主にとってネーティブなものであり得る。シグナル配列をコードする核酸
配列は、シグナル配列及び異種タンパク質の翻訳を許容するようにインフレーム
で位置づけなければならない。シグナル配列が特に好ましいのは、本発明が指令
された分子進化とともに使用され、単一の、分泌される外因性タンパク質が進化
される場合である。
【0063】 関心のタンパク質を発現する確率を減少させるので、ライブラリーを発現する
ために使用され得るベクターにシグナル配列を取込むことはあまり有利ではない
ことが理解される。DNAを無作為に切断し、ベクターへクローニングすること
によって製造されるゲノムライブラリーでは、ライブラリーの遺伝子のシグナル
配列へのインフレームの融合を得る確率は低い。また、インフレームの融合が得
られた場合でも、選択されたシグナル配列は必ずしもすべての遺伝子に機能して
いるわけではない。こういった理由から、ゲノムDNAライブラリーをスクリー
ニングするときには、シグナル配列を利用せずに、細胞内の外因性タンパク質の
活性又は存在についてスクリーニングすることが好ましい場合がある。細胞内タ
ンパク質の活性又は存在の分析は、形質転換体のライブラリーを、真菌細胞をプ
ロトプラストへ変換する酵素で前処理し、次いで溶解することによって達成され
得る。この方法については van Zeyl et al., J. Biotechnol. 59: 221-224 (19
97) により説明されている。この方法がクリソスポリウムに適用され、マイクロ
タイタープレートで増殖したクリソスポリウム形質転換体からのコロニーPCR
を可能にした。
【0064】 クリソスポリウム株からのタンパク質の分泌を許容し得る任意のシグナル配列
が想定される。そのようなシグナル配列は、好ましくは真菌のシグナル配列であ
り、より好ましくは、Ascomycete のシグナル配列である。好適なシグナル配列
は、一般には真核生物、好ましくは酵母から、又は以下の真菌の属から誘導され
得る:アスペルギルス、トリコデルマ、クリソスポリウム、ピキア(Pichia)、
ニューロスポラ、リゾムコール、ハンセヌラ、ヒュミコラ(Humicola)、ムコー
ル、トリポクラジウム(Tolypocladium)、フサリウム、ペニシリウム、サッカ
ロマイセス、タラロミセス(Talaromyces)、又は エメリセラ(Emericella)及
びヒポクレア(Hypocrea)のような、それらの交代する性形態。特に有用である
シグナル配列は、セロビオヒドロラーゼ、エンドグルカナーゼ、β−ガラクトシ
ダーゼ、キシラナーゼ、ペクチナーゼ、エステラーゼ、ヒドロホビン、プロテア
ーゼ又はアミラーゼにネーティブに関連したものである。この例には、アスペル
ギルス又は Humicola のアミラーゼ又はグルコアミラーゼ、Aspergillus oryzae
のTAKAアミラーゼ、Aspergillus niger のα−アミラーゼ、ムコールのカ
ルボキシペプチダーゼ(米国特許第5,578,463号)、リゾムモラ ミエ
ヘイ(Rhizomucor miehei)からのリパーゼ又はプロテイナーゼ、トリコデルマ
のセロビオヒドロラーゼ、クリソスポリウム由来 ペニシリウム カネセンス(P
enicillium canescens) CBH1 のβ−ガラクトシダーゼ、及びサッカロマイセス
のα−接合因子が含まれる。
【0065】 あるいは、シグナル配列は、バシラス株のアミラーゼ又はズブチリシン遺伝子
からであり得る。宿主株と同一の属からのシグナル配列がきわめて適しているの
は、それが特定の宿主に対し特異的に適応される可能性が最も高いからであり;
従って、Chrysosporium lucknowense が宿主である場合、シグナル配列は、好ま
しくはクリソスポリウムのシグナル配列である。クリソスポリウム株のC1、U
V13−6、NG7C−19及びUV18−25はごく多量にタンパク質を分泌
し、これらの株からのシグナル配列は特に興味深い。糸状菌及び酵母からのシグ
ナル配列は、非真菌起源のシグナル配列と並んで有用であり得る。
【0066】 さらに、本発明の態様のいずれかによる形質転換された組換え宿主真菌は、選
択されるマーカーを含み得る。そのような選択マーカーは、形質転換されたか又
はトランスフェクトされた細胞の選択を可能にする。選択マーカーは、非形質転
換株ににとっては外来の特定を抵抗タイプを提供する遺伝子産物をしばしばコー
ドする。これは、重金属、抗生物質又は殺生物剤全般への抵抗性であり得る。原
栄養性も、抗生物質でない多様性の有用な選択マーカーである。独立栄養性のマ
ーカーは宿主細胞において栄養の欠乏を産生し、これらの欠乏を矯正する遺伝子
が選択のために使用され得る。通常使用される抵抗性及び独立栄養性の選択マー
カーの例は、amdS(アセトアミダーゼ)、hph(ハイグロマイシンホスホ
トランスフェラーゼ)、pyrG(オロチジン−5’−リン酸デカルボキシラー
ゼ)、及びpyrE(オロト酸P−リボシルトランスフェラーゼ)、trpC(
アントラニレートシンターゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフ
ェラーゼ)、sC(硫酸アデニルトランスフェラーゼ)、bar(ホスフィノス
リシンアセチルトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸レダクターゼ)、Sh−
ble(ブレオマイシン−フレオマイシン抵抗性)、変異アセト乳酸シンターゼ
(スルホニル尿素抵抗性)、及びネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(アミ
ノグリコシド抵抗性)である。クリソスポリウムにおける好ましい選択マーカー
は、オロト酸P−リボシルトランスフェラーゼである。選択は共形質転換により
実行され得るが、ここでは選択マーカーが別のベクター上にあるか、又は選択マ
ーカーは、異種タンパク質のタンパク質コーディング配列と同じ核酸フラグメン
ト上にある。
【0067】 形質転換頻度のさらなる改善は、AMA1レプリケーター配列の使用により獲
得され得るが、これは、例えば Aspergillus niger において有用である(Verdo
es et al., Gene 146: 159-165 (1994))。この配列は、数多くの異なる糸状菌
の形質転換頻度において10〜100倍の増加をもたらす。さらに、導入された
DNAは、真菌細胞において、多重コピーの形式で、真菌ゲノムへ組込まれずに
自律的に維持される。このことは、非組込み状態により異なる形質転換体の遺伝
子発現レベルにおける変異が減少するので、本発明のハイスループットスクリー
ニング法にとって有益であると期待される。さらに、導入されたDNAが宿主D
NAと組換えないので、宿主ゲノムにおいては望ましくない突然変異が起こらな
いはずである。外因性遺伝子の均一なレベルの発現が、AMA1のような自己複
製ベクターの使用により獲得され得るか、あるいは、真菌における自己増殖はテ
ロメア配列により促進され得る(例えば、A. Aleksenko and L. Ivanova, Mol.
Gen. Genet. 1998 260: 159-164 を参照のこと)。
【0068】 本明細書で使用されるように、「異種タンパク質」という用語は、本発明によ
り発現のために使用される宿主株により通常は発現又は分泌されないタンパク質
又はポリペプチドである。異種タンパク質は原核性の起源であり得るか、又はそ
れは真菌、植物、昆虫、又は哺乳動物のような高等動物から誘導され得る。医薬
スクリーニングの目的には、きわめてしばしば、ヒトのタンパク質への選好性が
存在するので、好ましい態様は、DNAライブラリーがヒト起源である宿主であ
る。従って、そのような態様はまた、本発明の好適な実施例ともみなされる。
【0069】 ヒトゲノムDNAライブラリーから誘導されるヒト遺伝子ライブラリーの、本
発明の糸状菌における発現はいくつかの理由で効率的であることが期待される。
ヒト遺伝子の平均サイズは3,000〜5,000bpであること、及びヒトの
イントロンは平均約75〜約150bpである(全範囲は40〜>50,000
)ことが今日知られている。糸状菌は40〜75bpのイントロンを有するが、
それらは長さ500bpまでのイントロンを処理し得る。平均すると、ヒトの遺
伝子は、1遺伝子あたり3〜5個のイントロンを担う(M. Deutsch, M. Long, N
ucl. Acids Res. 1999 27: 3219-3228; 表B)。ヒトのシグナル配列はまた糸状
菌において機能することが知られている。上記の理由から、本発明の方法により
、大変多くのヒト遺伝子が高レベルで発現及び分泌され得る可能性がある。
【0070】
【表2】 従って、本発明の方法は、原核及び真核ゲノムの両方から誘導されるDNAラ
イブラリーの発現に有用であることが期待される。上記に説明されたように、本
発明の方法は、非常に多くの遺伝子及びタンパク質へ容易に接近し、分泌タンパ
ク質と細胞内タンパク質の両方の発現及び発見が可能である。
【0071】 本発明のさらなる側面には、真菌の突然変異体ライブラリーの構築及びスクリ
ーニングが含まれ、この方法により調製される真菌の突然変異体ライブラリーが
本明細書に開示される。該ライブラリーは、本発明により、当業者に知られた方
法を使用して、組込み又は非組込みの形質転換の手段を用いて、真菌宿主の形質
転換により得ることができる。好ましい宿主株に基づいた、この真菌のライブラ
リーは、小型化及び/又はハイスループットフォーマットスクリーニング法にお
いて、外因性タンパク質の所望される特性及び活性について処理及びスクリーニ
ングされ得る。関心の特性及び活性とは、ライブラリーメンバーの外因性タンパ
ク質に関連した物理的、物理化学的、化学的、生物学的、又は触媒的な特性、又
はそのような特性における改善、増加、又は減少を意味する。このライブラリー
はまた、外因性及び/又は内因性タンパク質の存在の結果として産生される代謝
物について、又は代謝物に関連した特性又は活性についてもスクリーニングされ
得る。このライブラリーはまた、そのようなタンパク質又は代謝物の増加又は減
少した量を産生する真菌についてもスクリーニングされ得る。
【0072】 本発明のもう1つの側面では、形質転換された真菌のライブラリーは、所望さ
れる特性を有する真菌代謝物の存在についてスクリーニングされ得る。そのよう
な代謝物の例には、ポリケタイド、アルカロイド、及びテルペノイドの天然産物
が含まれる。本発明の宿主細胞へは多数の遺伝子又は遺伝子クラスター(オペロ
ン)が導入され得ること、及びコード化される酵素の作用により産生される非タ
ンパク質産物が宿主細胞において産生されることが予測される。例えば、ロバス
タチンの産生に必要なタンパク質をコードするDNAが Aspergillus oryzae へ
導入し得ることが示されている(米国特許第5,362,638号;また、米国
特許第5,849,541号も参照のこと)。
【0073】 本発明のもう1つの態様では、形質転換された真菌のライブラリーが、関心の
核酸プローブへハイブリダイズするDNAの存在についてスクリーニングされ得
る。この態様では、外因性タンパク質の発現及び/又は分泌は、しばしば依然と
して望ましいものの、必須ではない。タンパク質の発現が必要とされない場合、
ベクターには調節配列が必要でないと理解される。
【0074】 本発明のさらにもう1つの態様では、形質転換された真菌のライブラリーが、
例えば、物理的又は化学的に極端な環境への耐性、あるいは関心の物質を産生、
修飾、分解又は代謝する能力のような、真菌それ自身の所望される特性について
スクリーニングされ得る。そのような望ましい特性は、単一の外因性タンパク質
の存在に帰せられ得るか、又は得ない。この態様は、指令進化の方法の一部とし
て利用されるときに特に有用である。
【0075】 異種DNAは、当技術分野でよく知られている方法により生物学的標本から調
製される、ゲノムDNA又はcDNAである。生物学的標本は環境のサンプル(
例えば、土壌、堆肥、森林の葉積、海水、又は淡水)、又はそれから抽出、濾過
、又は遠心分離するか他の方法で濃縮したサンプルであり得る。環境サンプルか
ら誘導される微生物の混合培養物も同じように利用し得る。生物学的サンプルは
また、培養微生物、又は植物、昆虫、又は哺乳動物のような他の動物のような単
一の生物種から誘導される場合もある。さらに、異種DNAは合成又は半合成の
、例えば、ランダムDNA配列、又はシャッフルされ、突然変異されるか、又は
他の方法で変化された天然に存在する断片を含んでなるDNAであり得る。半合
成核酸ライブラリーの例は、Wagner et al., WO00/0632号に見出せる
。環境サンプル(又はそれから誘導される混合培養物)由来のDNAが新規タン
パク質の発見に有利であるのに対し、単一種由来のDNAの使用は、(1)適当
なベクターがより賢明に選択されること、及び(2)関心のタンパク質が同定さ
れた場合に、実施者がさらなるスクリーニングのために関連又は類似の種へ指向
されることにおいて有利であろう。
【0076】 伝統的な真菌宿主に比較して、密集菌糸の形態を示すクリソスポリウム株であ
るUV18−25を使用すると、形質転換、発現及び分泌の速度が著しく高くな
る。このように、本発明による組換え株は、好ましくは、そのような形態を示す
。しかしながら、本発明はまた、この特徴を示す真菌の非組換え株、又は他の方
法で処理した株も網羅する。本発明の魅力的な態様は、NG7C−19株のそれ
より低い、好ましくはUV18−25のそれより低い粘度を、対応するか又は同
一の培養条件の下で示す、組換えクリソスポリウム株を利用する。我々は、UV
18−25の培養物の粘度が10cP未満であることを決定した。これに対し、
最適培養条件下で、発酵中期〜後期での以前に知られた Trichoderma reesei の
それは200〜600cPのオーダーであり、伝統的な Aspergillus niger の
それは1500〜2000cPである。従って、本発明はこの低粘度特性を示す
、クリソスポリウムのUV18−25(VKM F−3631D)株、トリコデ
ルマのX252株、又は(ATCC 11906から誘導される)A. sojae p
clA、又は A. niger pclAのような、操作されたか又は突然変異体の糸状
菌を利用し得る。
【0077】 糸状菌培養物の流動性は、ほとんど固体から自由流動する液体に至る、広範囲
で変化し得る。粘度は、Brookfield回転粘度計、運動粘度管の使用、
落球粘度計又はカップ型粘度計により容易に定量し得る。発酵ブロスは非ニュー
トン流体であり、見かけ粘度は、ある程度は剪断率に依存する(Goudar et al.,
Appl. Microbiol. Biotechnol. 1999 51: 310-315)。しかしながら、この効果
は本発明で利用される低粘度培養物についてはあまり顕著でない。
【0078】 本発明による、そのような低粘度培養物の発現ライブラリーのスクリーニング
における使用は、きわめて有利である。糸状菌において発現されるDNAライブ
ラリーのスクリーニングは、比較的遅くて手間のかかる方法にこれまで制限され
てきた。一般に、真菌が形質転換される(さらに、形質転換体が所望により選択
される)と、形質転換された真菌のライブラリーを個別の生物又は生殖要素へ分
散させるには、胞子又は分生子を調製するか、又は菌糸を機械的に壊すことが必
要だった。この分散は、単離した生物がクローンコロニー又は培養物へ培養され
得るために必要である。次いで、この胞子、分生子、又は菌糸フラグメントを希
釈し、標準培養皿において「培養」し、そして、色、基質に対する変化、又は求
められているタンパク質の活性又は特性の存在が検出される他の証拠について個
別のクローンを視察する。もう1つのアプローチでは、分泌されるタンパク質を
コロニーから膜へブロットし、この膜を、関心のタンパク質の活性又は特性の存
在を示すものについて探査又は試験する。外因性タンパク質のタンパク分解的な
分解が問題になる場合は、膜の使用が有用であることが証明されている(Asgeir
sdottir et al., Appl. Environ. Microbiol. 1999, 65:2250-2252)。上記の方
法は労働集約的であり、自動化へ適用し得るかは証明されていないし、結果とし
て、真菌発現タンパク質のハイスループットスクリーニングは、慣用の糸状菌に
ついてはこれまで達成されなかった。本開示の目的では、ハイスループットスク
リーニングは、1日あたり約1,000個又はそれ以上の形質転換体により発現
されるタンパク質を評価し得る部分的又は完全に自動化したスクリーニング方法
、特定すると1日あたり5,000個又はそれ以上の形質転換体を評価し得る方
法、及び最も特定すると1日あたり10,000個又はそれ以上の形質転換体を
評価し得る方法を意味する。
【0079】 従って、本発明による形質転換された真菌ライブラリーの自動化ハイスループ
ットスクリーニングは、数多くの既知の方法で実行され得る。細菌又は酵母に適
用可能であることが知られている方法は、概して、本発明の低粘度真菌に適用し
得る。このことは、低粘度表現型と組み合わせた伝達性生殖要素の存在により可
能になり、結果的に比較的絡み合っていない形態をした菌糸の突然変異真菌が利
用される。本質的には、この突然変異真菌及び/又はその伝達性生殖要素は、自
動化ハイスループットスクリーニングに関わる機械操作の間、個別の細菌又は酵
母とまったく同じように挙動する。このことは、高度に絡み合った菌糸を産生し
、個別の生物の互いからの容易な分離を許容しない、野生型の真菌、及びほとん
どの工業用真菌とも対照的である。
【0080】 例えば、本発明による形質転換された真菌の希釈懸濁液は、機械的なマイクロ
ピペットを通して96穴マイクロプレートのウェルへ分取し得る。384−又は
1536穴マイクロプレートへのピペッティングを可能にする液体取扱い装置も
生物をマイクロプレートへ自動分散する作業へ適用し得る。懸濁された生物の濃
度は、ウェルあたりの平均生物(又は他の伝達性生殖要素)数を制御することが
所望されるように調整し得る。多数の個別生物がウェルへ分取される場合、その
ウェル内の所望されるタンパク質の活性又は特性を同定した後に、ウェルの内容
物を希釈し、存在する生物を個別のクローンコロニー又は培養物へ培養すること
が続くことが理解されよう。このやり方では、「ヒット」を示す各ウェルの内容
物を後に分離することの必要性を犠牲にして、系のスループットを増加し得る。
【0081】 別の態様では、セルソーターが液体流に挿入され得るが、これは検出セル内に
ある生物又は他の伝達性生殖要素を検出すると、培養液の流れをマイクロプレー
トのウェルへ向けることができる。この態様は各ウェルにつき1つの生物という
合理的にも正確な分散を可能にする。形質転換体を同定するために、緑色蛍光タ
ンパク質のような光学的に検出し得るマーカーを使用することは、蛍光標示式細
胞分取器による形質転換体の自動選択を可能にするので、この態様において特に
有用である。
【0082】 さらにもう1つの態様では、固形培地で増殖するコロニーをロボットコロニー
採取器により採取し、そのロボットにより、その生物をマイクロタイタープレー
トのウェルへ移すことが可能である。十分に分離したコロニーは各ウェルにおい
て単一のクローンを生じる。
【0083】 次いで、分散した生物を、マイクロプレートウェルのクローン培養へ増殖させ
る。インデューサー、栄養分などを自動液体分散系により所望されるように加え
てよい。この系はまた、関心のタンパク質の活性又は特性の検出を可能にするた
めに必要とされる任意の試薬を加えるために使用され得る。例えば、発色性又は
蛍光性の基質を、酵素活性の分光測定又は蛍光測定による検出を可能にするため
に、加えることができる。マイクロタイタープレートのウェルにおける培養物の
低粘度及び浸漬増殖性により、そのような試薬を培養物へ迅速に分散させること
が可能になり、アッセイの感度及び信頼性を大いに高める。酸素及び栄養分の分
散も多いに高められるので、迅速な増殖と外因性ペプチドの最大の発現及び分泌
が促進される。シンチレーション近傍アッセイのようなある種のアッセイは、平
衡状態に達するのに可溶成分の分散が不可欠であるが、ここでも、本発明の真菌
培養物の低粘度により、このハイスループットアッセイが可能になる。最後に、
高度に自動化された系では、関心のクローン培養物を、マイクロタイタープレー
ト内のウェルから自動的に採取、吸引、又はピペット処理することが望ましく、
そして、この培養物の低粘度及び浸漬増殖性によりこのことが可能になる。上記
のすべての操作は、伝統的な糸状菌培養物、特に非撹拌の剪断されないマイクロ
タイタープレートウェルの条件において表面マットとして増殖する培養物の粘度
では、困難であるか又は不可能であろう。
【0084】 もう1つの態様では、単独の細胞にミクロ流体工学装置を通過させ、関心の特
性又は活性を光学的に検出する(Wada et al., WO99/67639号)。ミ
クロ流体工学装置の操作には低粘度が必須であり、本発明の低粘度突然変異真菌
の培養物はミクロ流体工学上の操作に適用し得ることが期待される。Short et a
l., 米国特許第6,174,673号は、関心の酵素活性を検出するために蛍光
発生基質が利用され得ること、そして、そのような活性を発現する宿主細胞が蛍
光標示式細胞分取器により単離され得ることを記載した。本発明の方法は、この
発現タンパク質の同定法に適合している。
【0085】 1つの態様では、形質転換体がマーカーとして蛍光タンパク質を担う場合、あ
る培養物に存在する遺伝子発現及び/又は発現タンパク質の量の尺度として、蛍
光が定量されて利用され得る。この態様では、Blyna et al. WO00/789
97に記載のように、関心の外因性タンパク質を検出することだけでなく、その
タンパク質の比活性を算定することが可能である。この態様が特に好ましいのは
、本発明のスクリーニング法が指令進化の方法の一部として利用される場合であ
る。
【0086】 より大きな粘度が受け入れられる場合には、Bochner, 米国特許第6,046
,021号に記載のように、マイクロプレートフォーマットにおいて真菌を培養
し、生化学アッセイを実施するときに、ゲル形成マトリックスがある種の利点を
提供し得る。
【0087】 ハイスループットスクリーニングのもう1つのクラスは、固形基質上で増殖す
る多数の個別コロニーの測光分析、デジタル造影分光分析による。例えば、Youv
an et al., 1994, Meth. Enzymol. 246: 732-748 を参照のこと。この方法では
、特殊な試薬の全体吸収又は発光スペクトルの変化が関心の異種タンパク質の活
性又は特性の存在を示す。低粘度突然変異体の使用に伴う個別の生物の容易な分
散も、この方法における糸状菌の使用を可能にする。側生増殖をあまり示さず、
固形培地上で滑らかで、密集した、明確なコロニーを産生するという、本発明の
突然変異真菌コロニーの傾向も、そのようなスクリーニング系において有利であ
る。さらに、細菌に比較して優れている真菌の発現及び分泌の特徴により、スペ
クトル分析のためにより多量のタンパク質が提供される。
【0088】 自動化された微生物の取扱いツールが、特開平11−304666に説明され
ている。この装置は、個別の細胞を含有する微小滴のトランスファーを可能にし
、本発明の真菌株が、その形態の長所により、この装置を用いた個別クローンの
ミクロ操作に適用し得ることが期待される。
【0089】 自動化された微生物のハイスループットスクリーニング系が、Beydon et al.,
J. Biomol. Screening 5: 13-21 (2000) に記載されている。このロボットシス
テムは、400nl容積の液滴を寒天培地へ移し、1時間あたり10,000回
のスクリーニング点をプロセス処理することが可能であり、そして、酵母のツ−
ハイブリッドスクリーニングを実施するために使用されている。本発明の真菌宿
主は、このタイプの系を用いるハイスループットスクリーニングに対して酵母と
同じように適用可能であることが期待される。
【0090】 マイクロタイタープレートに代わる手段として、形質転換体をプレート上で増
殖させ、マイクロコロニーの形態で、WO00/78997号に記載のように、
光学的にアッセイし得る。
【0091】 ハイスループットスクリーニング全般の開発については Jayawickreme and Ko
st, Curr. Opin. Biotechnol. 8: 629-634 (1997) により論じられている。めっ
たに転写されない差次的に発現される遺伝子についてのハイスループットスクリ
ーニングが von Stein et al., Nucleic Acids Res. 35: 2598-2602 (1997) に
説明されている。
【0092】 クリソスポリウム株のUV18−25とトリコデルマ株のX252は、本発明
の様々な側面をきわめてよく例示する。しかしながら、本発明は、懸濁状態で伝
達性生殖要素を産生し、培養で低粘度を示す他の突然変異体、又は他のやり方で
処理される糸状菌の株も利用し得る。真菌の特定の形態が重要でない場合もある
が、本発明は、上記2種の株において短くて絡み合わない菌糸を観察しているも
のの、密接した広汎な菌糸の枝分かれのような他の形態も、粘度の減少をもたら
す可能性がある。本発明による真菌株は、中性pHで、25〜43℃の温度にお
いて最適な増殖条件を示すならば、好ましい。そのようなスクリーニング条件は
、外因性タンパク質、特に酸性のpHで分解又は不活性化を受けやすいタンパク
質の活性を維持するのに有利である。ほとんどの哺乳動物のタンパク質、及び特
にヒトのタンパク質は、生理学的なpH及び温度で機能するように進化してきた
ので、ヒト酵素の正常な活性についてのスクリーニングは、こういった条件下で
最もよく実行される。治療使用に意図されるタンパク質はそのような条件下で機
能しなければならず、それはまたこれを好ましいスクリーニング条件とする。ク
リソスポリウム株が、中性のpH及び35〜40℃で十分増殖し、まさにこの特
徴を示すのに対し、他の通常利用される真菌宿主の種(例えば、アスペルギルス
及びトリコデルマ)は酸性のpHで最もよく増殖するので、この理由のためにさ
ほど適していないかもしれない。
【0093】 本発明の方法のもう1つの応用は、「指令(directed)進化」の方法にあるが
、ここでは新規タンパク質をコードするDNA配列が生成され、コードされたタ
ンパク質が宿主細胞において発現され、所望の特徴を示すタンパク質をコードす
る配列が選択され、突然変異され、再び発現される。この方法は、所望の特徴を
もったタンパク質が得られるまで、数多くのサイクルで繰り返される。外因性タ
ンパク質をコードする新規なDNA配列を生成し得る方法の例は、遺伝子シャッ
フリング、タンパク工学、エラー傾向PCR、部位特異的突然変異誘発、及びコ
ンビナトリアル及びランダム突然変異誘発である。米国特許第5,223,40
9,5、780、279及び5、770、356号は、指令進化の教示を提供す
る。さらに、Kuchner and Arnold, Trends in Biotechnology, 15: 523-530 (19
97);Schmidt-Dannert and Arnold, Trends in Biotech., 17: 135-136 (1999)
;Arnold and Volkov, Curr. Opin. Chem. Biol., 3: 54-59 (1999);Zhao et a
l., Manual of Industrial Microbiology and Biotechnology 2nd Ed., (Demain
and Davies, eds.) pp. 597-604, ASMプレス、ワシントン、DC,1999
;Arnold and Wintrode, Encyclopedia of Bioprocess Technology: Fermentati
on, Biocatalysts, and Bioseparation (バイオプロセス技術事典:発酵、生体
触媒、及び生物分離)(Flickinger and Drew, eds.) pp. 971-987, ジョンウィ
リー・アンド・サンズ、ニューヨーク、1999:及び Minshull and Stemmer,
Curr. Opin. Chem. Biol. 3: 284-290 を参照のこと。
【0094】 コンビナトリアル突然変異誘発の応用が Hu et al., Biochemistry, 1998 37:
10006-10015 に開示される。米国特許第5,763,192号は、合成配列を
確率論的に作成し、それを宿主へ導入し、そして、所望の特徴を有する宿主細胞
を選択することによって、新規なタンパク質コーディングDNA配列を得る方法
を記載する。人工的な遺伝子組換え(DNAシャッフリング)を有効にする方法
には、ランダムプライミング組換え(Z. Shao, et al., Nucleic Acids Res., 2
6: 681-683 (1998))、交互拡張(staggered extension)法(H. Zhao et al.,
Nature Biotech., 16: 258-262 (1998))及びヘテロ二重鎖組換え(A. Volkov e
t al., Nucleic Acids Res., 27: e18 (1999))が含まれる。エラー傾向PCR
はさらにもう1つのアプローチである(Song and Rhee, Appl. Environ. Microb
iol. 66: 890-894 (2000))。
【0095】 指令進化法には選択工程を実施する2種の広く実践される方法がある。1つの
方法では、関心のタンパク活性を宿主細胞の生存にとってともかく不可欠にする
。例えば、所望される活性がpH8で活性なセルラーゼであれば、セルラーゼ遺
伝子が突然変異されて、宿主細胞へ導入され得る。セルロースを唯一の炭素源と
して形質転換体を増殖し、pHを徐々に上昇させて、ごくわずかの生存体(surv
ivor)しか残らないようにする。おそらくは比較的高いpHで活性なセルラーゼ
をコードする、生存体由来の突然変異したセルラーゼ遺伝子を、もう1回突然変
異のラウンドにかけ、この方法を繰り返し、最後にはpH8でセルロースで十分
増殖し得る形質転換体を得る。酵素の熱安定性変異体も、宿主細胞の遺伝子突然
変異及び高温培養のサイクルを繰り返すことによって、同じように進化され得る
(Liao et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1986 83: 576-580; Giver et al.
, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1998 95: 12809-12813)。本出願の目的では、
外因性タンパク質をコードするDNA配列の突然変異は、指令進化に利用される
いくつかの方法、例えば、遺伝子シャッフリング、in vivo 組換え、又はカセッ
ト突然変異誘発のいずれでも達成し得る。
【0096】 本発明の主たる利点は、「適者生存」選択工程の大量平行性である。何百万、
又は何10億もの不成功な突然変異が、それらを個別に評価する必要がないまま
考察から同時に除去される。しかしながら、関心の酵素活性を宿主の生存に連結
することは必ずしも可能ではない。例えば、所望のタンパク質の特性が関心のタ
ーゲットへの結合で選択される場合、この結合特性を生存に必須とすることは難
しい可能性がある。また、高い温度又は極端なpHのような強制条件下での生存
は多数の要因に依存する可能性があり、宿主細胞が突然変異タンパク質の特性と
は関係のない理由で生存することができなければ、所望の突然変異は選択されな
いか又は失われるだろう。
【0097】 多量平行性の「適者生存」アプローチに代わる手段は、連続スクリーニングで
ある。このアプローチでは、個別の形質転換体が従来の方法、例えば、指示培地
上で増殖するコロニーの周りにある澄明又は着色ゾーンの観察、発色又は蛍光酵
素アッセイ、免疫アッセイ、結合アッセイ、等によりスクリーニングされる。例
えば、補因子としてNADHを必要としないシトクロムP450モノオキシゲナ
ーゼを突然変異及びスクリーニングのサイクルにより進化させた、Joo et al.,
Nature 399: 670-673 (1999);同様の形式で、逆の立体選択性をもつヒダントイ
ナーゼを進化させた、May et al., Nature Biotech. 18: 317-320 (2000);及び
、熱安定性のズブチリシンを進化させた、Miyazaki et al., J. Mol. Biol. 297
: 1015-1026 (2000) を参照のこと。
【0098】 このスクリーニングアプローチは、特に大量平行「生存スクリーン」技術のス
ループットに接近するハイスループット方式で実行され得る場合、単純な「生存
スクリーニング」に対して明瞭な利点を有する。例えば、形質転換された生物の
デジタル造影(Joo et al., Chemistry & Biology, 6: 699-706 (1999))、又は
コロニーのデジタル分光学的評価(Youvan et al., 1994, Meth. Enzymol. 246:
732-748)のような測定を利用することによって、ある程度の平行性が導入され
た。連続アッセイは、セルソーティングの使用により自動化し得る(Fu et al.,
Nature Biotech., 17: 1109-1111 (1999))。ハイスループットスクリーニング
への十分確立したアプローチは、市販のプレートリーダーを使用する、マイクロ
タイタープレートでの発現タンパク質の自動化評価を含み、本発明の方法は指令
進化に対するこの様式のハイスループットスクリーニングの応用に十分適してい
る。
【0099】 本発明のこの態様では、関心のタンパク質をコードする遺伝子が、複数の突然
変異体を産生する既知の方法により突然変異され、突然変異体のタンパク質をコ
ードするDNAが好適な発現ベクターの手段により、本発明による低粘度糸状菌
宿主へ導入され、形質転換体が所望により選択され、培養される。次いで、宿主
細胞は上記のようにマイクロタイタープレートのウェルへ分散されるか、又は他
のやり方では、個別のモノクローナル培養物(又は、約100個未満の異なるク
ローンを有するポリクローナル培養物)を提供するように、分割可能な場所へ空
間的に分離される。細胞は、好ましくは、マイクロタイタープレートのウェルへ
分散される。突然変異DNAによりコードされるタンパク質は、好ましくは、マ
イクロタイタープレートのウェル内の培地へ分泌される。分散された培養物のそ
れぞれは関心のタンパク質の活性についてスクリーニングされ、所望の特性を最
も強く示すものが選択される。選択された培養物の関心のタンパク質をコードす
る遺伝子を再び突然変異させ、突然変異DNAを低粘度真菌宿主へ再び導入し、
形質転換体を再スクリーニングする。関心の特性の数値が所望されるレベルに達
するまで、この突然変異及び再スクリーニング法を繰り返す。
【0100】 別の態様では、大腸菌のような他の生物にある関心の遺伝子の突然変異及び再
生によって、指令進化を実行し、次いで、突然変異遺伝子を本発明による糸状菌
へスクリーニングのために導入する。
【0101】 スクリーニングアッセイに基づいて関心のタンパク質が、商業上の有用性に必
要とされる他の特性を必ずしもすべて有するわけではないことが当業者には容易
に理解されるだろう。例えば、酵素活性を保有することは、比活性がどんなに高
くても、その突然変異酵素が、必要な熱又はpH安定性、界面活性剤又はプロテ
アーゼへの抵抗性、又は非免疫原性、又は市販製品に望まれるか又は必要とされ
得る他の特性を有することを示すものではない。同定されたタンパク質が商業上
有用な特性を有するかどうかを容易に決定する方法についてのニーズが存在する
【0102】 スクリーニングに対する先行技術のアプローチはこのニーズへの解決法を提供
していない。なぜなら、宿主生物(細菌及び酵母)が単離可能量のタンパク質の
産生に適応しなかったからである。これまでに、DNAライブラリー調製、遺伝
子発現、スクリーニング、研究量の遺伝子産物の発現、及び工業に適した産生株
における過剰発現が実行されてきたように、ある生物由来の潜在的に有用な遺伝
子を別の生物へ導入することが必要とされてきた。それに対し、本発明の突然変
異糸状菌は、特に本明細書に開示されるベクターとともに利用されるとき、外因
性タンパク質の優れた過剰生産体及び分泌体となる。特徴づけの目的のためばか
りでなく、適用試験における評価のためにも十分なタンパク質が単離され得る。
実際、本発明のスクリーニング方法において使用される株は、低粘度、高発現率
、及び非常に高いタンパク質/バイオマス比のような望ましい生産特性を保有す
るので、工業生産にも適している。
【0103】 従って、本発明の好ましい態様では、本方法はさらに、本発明の方法により同
定されるクローンコロニー又は培養物を、外因性タンパク質(又はその前駆体)
の発現及び分泌を許容する条件下で培養し、そして、続いて産生されるタンパク
質を回収して関心のタンパク質を得ることを含む。ライブラリータンパク質の発
現及び分泌は、異種タンパク質(又はそのフラグメント)についての遺伝子を有
するクローン化遺伝子の、その対応するシグナル配列、又は第三のタンパク質由
来のシグナル配列との、すべてが発現調節配列と機能可能的に連結した、インフ
レームの融合を創出することによって、促進され得る。このアプローチにより、
ライブラリータンパク質の上流に異種アミノ酸配列を含有する融合タンパク質が
創出される。引き続き、この融合前駆体タンパク質は、当技術分野で知られてい
る精製技術を使用して、単離及び回収され得る。この方法は、所望により、分泌
される融合タンパク前駆体を開裂工程にかけて、関心のライブラリータンパク質
を産生することを含む。この開裂工程は、Kex−2、Kex−2様のプロテア
ーゼ、又は他の選択プロテアーゼを用いて実行され得るが、このときベクターは
、プロテアーゼ開裂部位が十分分泌されるタンパク担体と関心のタンパク質とを
連結するように工学処理される。
【0104】 スクリーニングする宿主生物から直接由来する、突然変異タンパク質の即座の
利用可能性は、先行技術のスクリーニング宿主についてはこれまで可能ではなか
った。従って、本発明は、ハイスループットスクリーニングに基づいて関心が持
たれると考えられる突然変異タンパク質が、さらなる特徴づけに十分な量(ミリ
グラム)、さらには適用試験用のさらに多くの量(グラム〜キログラム)におい
て単離され得るという点で、利点を提供する。このように、本発明のこの特別な
態様は、ハイスループットスクリーニングにおいて検出される1つの特性だけで
なく、任意数の所望される特性に基づいて、次ラウンドの指令進化のために突然
変異タンパク質を選択することを実務者に許容する。本発明により可能とされる
よりストリンジェントな選択基準は、より効率的でコスト効率の高い指令進化法
を導くはずである。
【0105】 本発明による組換え突然変異糸状菌株の産生方法は、異種タンパク質をコード
する核酸配列を含んでなるDNA配列のライブラリーを、本発明による低粘度の
突然変異糸状菌へ導入することを含み、この核酸配列は発現調節領域へ機能可能
的に連結している。DNA配列の導入は、形質転換する糸状菌についてそれ自身
知られたやり方で実行し得る。当業者は、真菌プロトプラストによるCaCl2
−ポリエチレングリコール刺激DNA取込みのようないくつかの十分確立された
方法があることを理解されよう(Johnstone et al., EMBO J., 1985, 4: 1307-1
311)。プロトプラスト形質転換法については実施例で説明する。他のプロトプ
ラスト又はスフェロプラスト形質転換法が知られていて、他の糸状菌についての
先行技術における記載のように使用され得る。異種DNAの真菌ゲノムへの多コ
ピー組込みに適したベクターはよく知られているが、例えば、Giuseppin et al.
, WO91/00920号を参照のこと。自己複製性プラスミドの使用は、真菌
の効率的な形質転換ツールとして長いこと知られてきた(Gems et al., Gene 19
91 98: 61-67;Verdoes et al., Gene 1994 146: 159-165;Aleksenko and Clut
terbuck, Fungal Genetics Biol. 1997 21: 373-387;Aleksenko et al., Mol.
Gen. Genet. 1996 253: 242-246)。そのような方法の詳細は引用文献の多くに
見出すことが可能であり、従って、それらは参照により本明細書に援用されてい
る。
【0106】 異種DNAを担うベクターの導入の出発材料として、クリソスポリウムの低粘
度突然変異株又は A. sojae を使用することを含む、本発明による代表的な方法
を以下に示す。
【0107】
【実施例】
A.密集増殖形態の突然変異体の開発 様々な特許出願が、種々の形態の突然変異体が様々なスクリーニングの方法に
より単離され得ることを教示する。WO96/02653及びWO97/263
30号は、密集形態を示す定義されない突然変異体を説明する。A. sojae のプ
ロタンパク質プロセシング突然変異体が予想外の逸脱した増殖表現型(高度の枝
分かれ)を有するものの、タンパク産生には何ら悪影響が観察されないことが見
出された。この株を用いた培養実験は、ミクロペレットを有する非常に密集した
増殖の表現型を明らかにした。この観察された特徴は、A. sojae だけでなく、
他の突然変異した真菌、例えば A. niger にも存在した。
【0108】 (1)A. niger プロタンパク質プロセシング突然変異体の構築 A. niger 由来のプロタンパク質コンベルターゼコーディング遺伝子をクロー
ン化するために、PCRを使用した。様々な酵母種と高等真核性物からの様々な
プロタンパク質コンベルターゼ遺伝子の比較に基づいて、それぞれ、4、2、2
、512、1152、4608、2048及び49152回縮重している、異な
るPCRプライマーを設計した。プライマーのPE4及びPE6を使用する増幅
から、コード化されたタンパク質配列が S. cerevisiae のKEX2配列に対し
て有意な相同性を示す2種の個別クローンが得られた。これらのクローンをさら
なる実験のために使用した。
【0109】 クローン化PCRフラグメントの他のプロタンパク質コンベルターゼ遺伝子に
対して観察される相同性に基づいて、対応する A. niger の遺伝子をpclA(
プロタンパク質コンベルターゼ様の意味)と命名した。 A. niger のゲノム消化
物のサザン分析は、異種ハイブリダイゼーション条件(50℃;6xSSCで洗
浄)でも追加のハイブリダイゼーションシグナルが明らかでなかったので、pc
lA遺伝子が A. niger ゲノム内に近縁の遺伝子を有さない単一コピー遺伝子で
あることを明らかにした。A. niger N401のEMBL3ゲノムライブラリー
(van Hartingsveldt et al., Mol. Gen. Genet. 1987 206: 71-75)の初回スク
リーニングは、10〜20種のゲノム均等物がスクリーニングされたものの、陽
性のハイブリダイズプラークを生じなかった。2回目のスクリーニングにおいて
、pclA遺伝子の完全長のゲノムコピーが A. niger N400のEMBL4ゲ
ノムライブラリー(Goosen et al., Curr. Genet. 11: 499-503 (1987))から単
離された。
【0110】 5〜10種のゲノム均等物のスクリーニング後に得られた8種のハイブリダイ
ズプラークのうち、6種は1回目の再スクリーニング後も陽性であった。これら
6種のクローンは、PCRフラグメントを有するすべてのクローンで(ゲノムD
NAについて観察されたように)、2種のハイブリダイズする3及び4kbのE
coRVフラグメント(このPCRフラグメントはEcoRV制限部位を含む)
が存在したので、いずれもpclA遺伝子の完全コピーを担う可能性がきわめて
高かった。他のプロタンパク質コンベルターゼのサイズとの比較に基づけば、こ
れらのフラグメントはいずれも、5’及び3’隣接配列を有する完全なpclA
遺伝子を含有する。この2種のEcoRVフラグメントと重複する5kbのEc
oRIフラグメントをさらなる特徴づけのためにサブクローン化した。
【0111】 この制限マップに基づいて、pclA遺伝子の完全なDNA配列をEcoRI
及びEcoRVのサブクローンから決定した。得られた配列の分析は、S. cerev
isiae KEX2遺伝子及び他のプロタンパク質コンベルターゼのそれに対してか
なりの類似性を有するオープンリーディングフレームを明らかにした。さらなる
比較に基づいて、2つの推定イントロン配列をコーディング領域内に同定した。
この推定イントロンに隣接するプライマーを用いた、pEMBLyexをベース
とする A. niger のcDNAライブラリーに対する後続のPCR分析は、これら
2つの配列の5’タンパク質だけが本当のイントロンを表すことを明らかにした
。コード化されたPclAタンパク質の全体構造は、他のプロタンパク質コンベ
ルターゼのそれと明らかに類似していた。PclAタンパク質の他のプロタンパ
ク質コンベルターゼとの全体的な類似性は約50%であった。
【0112】 クローン化したpclA遺伝子が機能性タンパク質をコードする機能的な遺伝
子であることを示すために、pclA遺伝子を欠く株の構築を試みた。従って、
pclAコーディング領域の大部分が A. oryzae pyrG 選択マーカーに置換され
ているpclA欠失ベクターである、pPCL1Aを作成した。引き続き、この
ベクターからの5kb EcoRIインサートフラグメントを様々な A. niger
株の形質転換に使用した。
【0113】 (pyrG選択に基づいた)これらの形質転換から、数多くの形質転換体を得
た。興味深いことに、この形質転換体の一部(1〜50%に及ぶ)は、非常に特
徴的に逸脱した表現型を示した(図13)。いくつかの野生型と逸脱した形質転
換体のサザン分析は、ひどく制限された(密集)増殖表現型を示すこれらの逸脱
した形質転換体がpclA遺伝子を失ったことを明らかにした。野生型の増殖を
示す株はすべて、野生型pclA遺伝子に隣接しているか又は非相同位置に組込
まれた置換フラグメントのコピーを有することが示された。
【0114】 (2)A. sojae プロタンパク質プロセシング突然変異体の構築 A. sojae において対応する突然変異体を構築するために、A. niger の低粘度
突然変異体の機能相補性を、A. niger のpclA突然変異体のA. sojae ATC
C 11906コスミドライブラリーを用いた形質転換により実行した。結果生
じる補完された A. niger の形質転換体から、A. sojae のタンパク質プロセシ
ングプロテアーゼのpclAを含む、ゲノムのコスミドクローンを単離した。単
離された配列の部分配列分析から、A. sojae pclA遺伝子のクローニングが
確かめられた。このクローン化 A. sojae pclA配列に基づいて、WO01/
09352号に記載の再使用pyrG選択マーカーを使用して、我々の実施例の
随所に記載されるものに類似したアプローチに倣って、遺伝子置換ベクターを産
生した。
【0115】 さらに、pyrG選択マーカ−と、A. sojae pclA遺伝子由来の5’及び
3’先端切れフラグメントを担う、遺伝子破壊ベクターを構築した。この遺伝子
置換ベクターと遺伝子破壊ベクターを両方とも使用して、ATCC 11906
及びATCC 11906誘導体においてpclA突然変異体を産生した。生成
する形質転換体のいくつかを用いた培養実験は、改善された形態上の特性、特に
密集増殖形態とミクロペレットを明らかにした(図14A及び14B)。
【0116】 (3)他の A. sojae 密集増殖突然変異体の単離 A. sojae ATCC 11906及びその誘導体の形質転換は、真菌選択マー
カーを担う線状DNAフラグメントを用いて実施し得る。特定の複製配列が提供
されない場合、この方法を使用して得られる形質転換体は、宿主株のゲノムへ組
込まれた、導入DNAを担う。導入される選択マーカ−が異種の起源(A. niger
)からのものであるので、異種の組換えだけが起こり、マーカーDNAをゲノム
内の様々な位置に担う形質転換体の集合が導かれる。この組込みは内因性の A.
sojae 配列の破壊をもたらす可能性があり、従って、A. sojae 突然変異株の集
合が得られる。このことは、A. niger pyrG選択マーカーを有するDNAフ
ラグメントを使用して A. sojae ATCC 11906alpApyrGから得
られる形質転換体の大きな集合の分析により具体化される。全部で数千の形質転
換体が分析され、このうち5〜10個が形態的に逸脱した表現型を示した。この
うちのいくつかは、pclA突然変異体に匹敵する表現型を示した。A. sojae
pclA遺伝子のクローニングについての記載と同様に、この突然変異に対応す
る遺伝子は、A. sojae の遺伝子ライブラリーから、形態上の表現型の相補性に
より、単離し得た。クローン化した遺伝子に基いて、対応する遺伝子の破壊/欠
失突然変異体を産生することができた。
【0117】 (4)クリソスポリウム密集増殖突然変異体の単離 A. niger pclA遺伝子についての記載に類似したPCRをベースとするク
ローニングアプローチを使用して、pc11と名づけた、クリソスポリウムのプ
ロタンパク質プロセシング遺伝子のフラグメントを、クリソスポリウムBLUE
STAR(TM)遺伝子ライブラリーからクローン化した。完全なゲノム遺伝子
コピーを担う遺伝子フラグメントを、このpBLUESTARクローンからサブ
クローン化した。得られたサブクローンに基づいて、A. sojae についての記載
と同じようにして、遺伝子破壊ベクターを作成した。pyrGマーカーの代わり
に、クリソスポリウムでは、A. niger pyrE遺伝子の繰り返し隣接バージョ
ンを使用した。クリソスポリウムの遺伝子破壊−形質転換により、密集増殖表現
型を有する株が生じた。
【0118】 B.粘度の決定 5種の異なる真菌生物を使用して、真菌発酵物について、以下の機能変数デー
タの範囲を決定した。比較された5種の真菌生物は、Aspergillus niger、 Tric
hoderma longibrachiatum 18.2 KK (かつての T. reesei)、Trichoderma longi
brachiatum X 252、Chrysosporium lucknowense 株UV18−25、及び Asper
gillus sojae pclAの株であった。真菌培養物の粘度は、発酵の経過の間に
変化し、栄養分の濃度でも変化する。本明細書で報告される測定については、2
0〜100g/lの炭水化物の炭素源(例えば、セルロース、ラクトース、スク
ロース、キシロース、グルコース、等)を含有する培地に真菌を接種し、この培
養物を「増殖期」に進行させると、この間に炭素源が消費される。振動フラスコ
の培養物は200rpmで振動させ、一方、1リットルの発酵槽は500〜10
00rpmの回転翼で撹拌する。典型的には、最大粘度は、増殖期の付近〜最後
で生じる。この時点で培養物を給餌バッチモードへスイッチし、ここでは炭素源
の濃度が約0.5g/lより高く上昇しないような速度で、炭素源を培養物へ給
餌する。1〜3g/l/時間の給餌速度が典型的である。
【0119】 粘度は、小サンプルアダプターとスピンドル番号31を使用する、30℃で作
動する、Brookfield LVF粘度計に基づいて決定した。新鮮な発酵
ブロスのサンプル(10ml)を小サンプルスピンドルの中に置いた。スピンド
ル速度を調整し、10〜80の範囲で読み取れるようにした。4分後、粘度計目
盛から数値を読み取った。この読み取り値に以下に示す因子を掛けて、センチポ
アズ(cP)で粘度を得た。
【0120】 スピンドル速度 倍率 6 50 12 25 30 10 60 5 最終粘度を発酵の最後に測定した: 株 最終粘度、cP(平均±s.d.) T. longibrachiatum 18.2 KK (297±173) A. niger 1,500−2,000 T. longibrachiatum X-252 ≦60 C. lucknowense UV18−25 ≦10 A. sojae pclA n.d. C.クリソスポリウム、トリコデルマ及び Tolypocladium の形質転換 使用した形質転換培地は以下の通りであった: Mandels塩基: MnP培地: KH2PO4 2.0g/l Mandels塩基+ (NH42SO4 1.4g/l ペプトン 1g/l MgSO4・7H2O 0.3g/l MES 2g/l CaCl2 0.3g/l スクロース 100g/l オリゴ要素 1.0ml/l pH5へ調整 MnR: MnP Ca2+: MnP+スクロース 130g/l MnP培地+ 酵母抽出物 2.5g/l CaCl2・2H2O,50mM グルコース 2.5g/l pH6.5へ調整 寒天 15g/l MnRソフト: MnR+寒天7.5g/lのみ MPC: CaCl2 50mM pH5.8 MOPS 10mM PEG 40% 選択及び培養用の培地 GS: グルコース 10g/l Biosoyase 5g/l [メリュー] 寒天 15g/l pHは6.8とする PDA: ジャガイモデキストロース寒天(ディフコ) 39g/l (pH5.5) MPG: Mandels塩基+ フタル酸K 5g/l グルコース 30g/l 酵母抽出物 5g/l IC1 0.5g/L K2HPO4 (pH7.0) 0.15g/L MgSO4・7H2O 0.05g/L KCl 0.007g/L FeSO4・7H2O 1g/L 酵母抽出物(ohly KAT) 10g/L ペプトン又はファルマメディア(ファルマメディア) 10g/L ラクトース 10g/L グルコース フレオマイシン50μg/ml又はハイグロマイシン100〜150μg/m
lを補充した再生培地(MnR)を使用して、形質転換体を選択する。フレオマ
イシン5μg/mlを補充したGS培地を使用して、抗生物質への抵抗性を確か
める。
【0121】 PDAは速やかな増殖と良好な胞子形成のための完全培地である。液体培地に
胞子懸濁液(90mm PDAプレート/0.1% Tween 5ml由来の
胞子)の1/20を接種する。このような培養物を振動フラスコ(200rpm
)において27℃で増殖させる。
【0122】 2種の非形質転換クリソスポリウムC1株と1種の Trichoderma reesei 基準
株を、2種の培地(GS pH6.8、及びPridham寒天、PA、pH6
.8)上で試験した。抗生物質抵抗性のレベルを試験するために、7日後のPD
Aプレートから胞子を採取した。32℃で選択プレートをインキュベートして、
2、4及び5日後に記録をとった。C−1株のNG7C−19及びUV18−2
5は、基準となる T. reesei 研究室株に比較して、明らかに、フレオマイシン
とハイグロマイシンの両方に対して低い基底抵抗性のレベルを有した。このこと
は、これらの標準真菌選択マーカーがクリソスポリウムに株おいて使用し得るこ
とを明瞭に示すものである。他の標準真菌選択マーカ−についての問題は予期さ
れない。
【0123】 Sh−ble(フレオマイシン抵抗性)が形質転換したクリソスポリウム株の
選択は、50μg/mlで上首尾に実行された。これはまた T. reesei につい
て使用された選択レベルであり、このように差別的な選択がクリソスポリウムに
おいて容易に達成され得ることを示す。同じ註釈が150μg/mlのレベルで
ハイグロマイシン抵抗性について形質転換した株についても有効である。
【0124】 最も一般的に適用される真菌の形質転換技術に基づいて、プロトプラスト形質
転換技術をクリソスポリウムに使用した。1つの90mm PDAプレート由来
の全胞子をIC1 8mlにおいて回復させ、IC1培地50mlの入った振動
フラスコへ移し、35℃及び200rpmで15時間インキュベートした。この
後で、培養物を遠心分離させ、ペレットをMnPで洗浄し、10ml MnP及
びCaylase C3 10mg/mlの溶液へ戻し、揺らしながら(150
rpm)35℃で30分間インキュベートした。
【0125】 この溶液を濾過し、濾液を3500rpmで10分間、遠心分離にかけた。ペ
レットをMnP Ca2+ 10mlで洗浄した。これを25℃で10分間遠心分
離した。次いで、50マイクロリットルの冷MPCを加えた。この混合液を氷上
に30分間保った後に、PMC 2.5mlを加えた。室温で15分間の後に、
処置したプロトプラスト500μリットルをMnRソフト3mlへ混合し、直ち
に、フレオマイシン及びハイグロマイシンを選択剤として含有するMnRプレー
ト上に播いた。30℃で5日間のインキュベーション後、形質転換体を分析した
(クローンは48時間後に見えるようになった)。基準プラスミドのpAN8−
1 10μgを使用して、形質転換効率を決定した。この結果を以下の表Cに示
す。
【0126】
【表3】 この結果は、クリソスポリウム形質転換の生存能力がトリコデルマのそれに優
ることを示す。これらの株の形質転換可能性は比較可能であるので、1回の実験
において得られる形質転換体の数は、クリソスポリウムについては T. reesei
より4倍高い。このように、クリソスポリウムの形質転換系は通常使用される T
. reesei 系に等しいだけでなく、それに優る場合さえある。この改善はpAN
8−1より形質転換が効率的ではないベクターにとって特に有用であると判明し
得る。
【0127】 他の数多くの形質転換及び発現プラスミドを、相同なクリソスポリウムタンパ
ク質のコーディング配列と、さらにクリソスポリウムに関する形質転換実験にお
いて使用される異種タンパク質のコーディング配列を用いて構築した。このベク
ターのマップを図6〜11に提供する。
【0128】 発現される相同タンパク質は、クリソスポリウムにより産生されるセルラーゼ
の群から選択され、ファミリー6(MW 43kDa)に属するエンドグルカナ
ーゼ6からなり、異種タンパク質は、ペニシリウムのファミリー12(MW25
kDa)に属するエンドグルカナーゼ3であった。
【0129】 pF6Gは、エンドグルカナーゼ6のターミネーター配列が続くエンドグルカ
ナーゼ6のオープンリーディングフレームとインフレームでエンドグルカナーゼ
6のシグナル配列に連結した、クリソスポリウム・エンドグルカナーゼ6のプロ
モーターフラグメントを含む。形質転換体の選択は、選択ベクターとの共形質転
換を用いることによって実行される。
【0130】 pUT1150は、T. reesei セロビオヒドロラーゼのターミネーター配列が
続くエンドグルカナーゼ6のオープンリーディングフレームとインフレームでエ
ンドグルカナーゼ6のシグナル配列に連結した、Trichoderma reesei セロビオ
ヒドロラーゼのプロモーターを含む。さらに、このベクターは、選択マーカ−、
即ちフレオマイシン抵抗性遺伝子(SH−ble遺伝子)とともに第二の発現カ
セットを担う。
【0131】 pUT1152は、A. nidulans アントラニル酸シンターゼ(trpC)のタ
ーミネーター配列が続くエンドグルカナーゼ6のオープンリーディングフレーム
とインフレームでエンドグルカナーゼ6のシグナル配列に連結した、Aspergillu
s nidulans グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼAのプロモータ
ーを含む。さらに、このベクターは、選択マーカ−、即ちフレオマイシン抵抗性
遺伝子(SH−ble遺伝子)とともに第二の発現カセットを担う。
【0132】 pUT1155は、A. nidulans trpCのターミネーター配列が続くエンド
グルカナーゼ6のオープンリーディングフレームとインフレームで連結している
担体タンパク質のSh−bleとインフレームにある Trichoderma reesei セロ
ビオヒドロラーゼシグナル配列に連結した、A. nidulans グリセルアルデヒド−
3−リン酸デヒドロゲナーゼAのプロモーターを含む。このベクターは、関心の
タンパク質の分泌を非常に多く改善することが知られている関心のタンパク質に
融合した担体タンパク質の技術を使用する。
【0133】 pUT1160は、A. nidulans trpCのターミネーター配列が続くペニシ
リウムのエンドグルカナーゼ3オープンリーディングフレームとインフレームで
連結している担体タンパク質のSh−bleとインフレームにある Trichoderma
reesei セロビオヒドロラーゼシグナル配列に連結した、Aspergillus nidulans
グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼAのプロモーターを含む。
【0134】 pUT1162は、T. reesei セロビオヒドロラーゼのターミネーター配列が
続くペニシリウムのエンドグルカナーゼ3のオープンリーディングフレームとイ
ンフレームでエンドグルカナーゼ3のシグナル配列に連結した、Trichoderma re
esei セロビオヒドロラーゼのプロモーターを含む。さらに、このベクターは、
フレオマイシン抵抗性遺伝子(SH−ble遺伝子)asa選択マーカ−ととも
に第二の発現カセットを担う。
【0135】 当業者には、ゲノム又はcDNAのサンプルがタンパク質コーディングフラグ
メントへ容易に分断又は消化されて、このフラグメントは本明細書に示されるよ
うなベクターへ連結され、発現ベクターのライブラリーを産生し得ることが明ら
かであろう。さらに、同時トランスフェクションを利用する方法が適用可能であ
ること、及び自動複製ベクター又は組込みベクターがそのようなベクターのライ
ブラリーで糸状菌をトランスフェクトするために利用され得ることがさらに明ら
かであろう。
【0136】
【表4】 表Dは、クリソスポリウムUV18−25と Tolypocladium geodes の両方の
形質転換の結果を示す。この使用される形質転換プロトコールは以下の異種形質
転換についての節で説明する。
【0137】 D.クリソスポリウム形質転換体における異種及び相同の発現 以下の様々な異種タンパク質を分泌する能力について、C1株(NG7C−1
9及び/又はUV18−25)を試験した:細菌タンパク質(Streptoalloteich
us hindustanus フレオマイシン抵抗性タンパク質、Sh−ble)、真菌タン
パク質(Trichoderma reesei のキシラナーゼII、XYN2)、及びヒトのタ
ンパク質(ヒトリゾチーム、HLZ)。この方法の詳細を以下に示す: (1)Streptoalloteichus hindustanus フレオマイシン抵抗性タンパク質
(Sh−ble)のC1分泌 C1株のNG7C−19及びUV18−25をプラスミドpUT720(参考
文献1)により形質転換した。このベクターは以下の真菌発現カセットを示す: −Aspergillus nidulans グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(
gpdA)のプロモーター(参考文献2) −合成 Trichoderma reesei セロビオヒドロラーゼI(cbh1)シグナル配列
(参考文献1,3) −Streptoalloteichus hindustanus フレオマイシン抵抗性遺伝子、Sh−bl
e(参考文献4) −Aspergillus nidulans トリプトファンシンターゼ(trpC)のターミネー
ター(参考文献5) このベクターはまた、プラスミドpUC18(参考文献6)由来のβ−ラクタ
マーゼ遺伝子(bla)及び大腸菌複製起点も担う。詳しいプラスミドマップを
図2に提供する。
【0138】 C1に適用した Durand et al.(参考文献7)により、C1プロトプラストを
形質転換した:90mm PDAプレートの非形質転換C1株由来の全胞子をI
C1 8mlにおいて回復させ、IC1培地50mlの入った振動フラスコへ移
し、35℃及び150rpmで15時間インキュベートした。この後で、培養物
をスピンダウンさせ、ペレットをMnPで洗浄し、10ml MnP+Cayl
ase C3 10mg/mlに溶かし、揺らしながら(150rpm)35℃
で30分間インキュベートした。この溶液を濾過し、濾液を3500rpmで1
0分間、遠心分離させた。ペレットをMnP Ca2+ 10mlで洗浄した。こ
れを3500rpmで10分間スピンダウンさせ、ペレットをMnP Ca2+
1mlに取った。プロトプラスト溶液200μlへpUT720 DNA10μ
gを加え、室温(約20℃)で10分間インキュベートした。次いで、50μl
の冷MPCを加えた。この混合液を氷上に30分間保った後に、PMC 2.5
mlを加えた。室温で15分間の後に、処置したプロトプラスト500μlをM
nRソフト3mlへ混合し、直ちに、フレオマイシン(50μg/ml,pH6
.5)を選択剤として含有するMnRプレート上に播いた。30℃で5日間のイ
ンキュベーション後、形質転換体を分析した(クローンは48時間後に見えはじ
める)。
【0139】 C1形質転換体(フレオマイシン抵抗性クローン)のSH−ble産生を以下
のように分析した:一次形質転換体を、GS+フレオマイシン(5μg/ml)
プレートへ楊枝で取り、抵抗性を証明するために32℃で5日間増殖させた。証
明された抵抗性クローンをそれぞれGSプレート上にサブクローン化した。1つ
の形質転換体につき2つのサブクローンを使用して、PDAプレートに接種し、
液体培養の開始のために胞子を得た。IC1の液体培地を27℃で5日間増殖さ
せた(200rpmで振動)。次いで、この培地を遠心分離し(5000g,1
0分)、上澄液500μlを採取した。これらのサンプルから、タンパク質をT
CAで沈澱させ、ウェスタンサンプル緩衝液に再懸濁し、全タンパク質を4mg
/mlにした(Lowry法、参考文献8)。10μl(約40μgの全タンパ
ク質)を12% アクリルアミド/SDSゲルにロードし、泳動させた(Min
i Trans−BlotTM系、バイオラド・ラボラトリーズ)。ウサギ抗Sh
−ble抗血清(Societe Cayla,ツールーズ、FR,カタログ#
ANTI−0010)を一次抗体として使用するバイオラドの説明書(Schleich
er & Schull 0.2μm膜)により、ウェスタンブロッティングを実施した。
この結果を図1及び表Eに示す。
【0140】
【表5】 上記のデータは: 1)pUT720由来の異種転写/翻訳シグナルがクリソスポリウムにおいて
機能的であること; 2)pUT720の異種シグナル配列がクリソスポリウムにおいて機能的であ
ること; 3)クリソスポリウムが異種細菌性タンパク質の分泌の宿主として使用し得る
こと、を示す。
【0141】 (2)ヒトリゾチーム(HLZ)のC1選択 C1株のNG7C−19及びUV18−25をプラスミドpUT970G(参
考文献9)により形質転換した。このベクターは、以下の真菌発現カセットを示
す: −Aspergillus nidulans グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(
gpdA)のプロモーター(参考文献2) −合成 Trichoderma reesei セロビオヒドロラーゼI(cbh1)シグナル配列
(参考文献1,3) −担体タンパク質として使用される、Streptoalloteichus hindustanus フレオ
マイシン抵抗性遺伝子、Sh−ble−4(参考文献10) −プラスミドpAN56−2からクローン化された Aspergillus niger グルコ
アミラーゼ(glaA2)ヒンジドメイン(参考文献11,12) −KEX−2様プロテアーゼ開裂部位を特徴づけるリンカーペプチド(LGER
K)(参考文献1) −合成ヒトリゾチーム遺伝子(hlz)(参考文献10) −Aspergillus nidulans トリプトファンシンターゼ(trpC)のターミネー
ター(参考文献5) このベクターはまた、プラスミドpUC18(参考文献6)由来のβ−ラクタ
マーゼ遺伝子(bla)及び大腸菌複製起点も担う。詳しいプラスミドマップを
図3に提供する。
【0142】 すでに実施例1に記載したものと同じ方法に従って、C1プロトプラストをプ
ラスミドpUT970Gで形質転換した。融合タンパク質(SH−ble::G
AMヒンジ::HLZ)はフレオマイシン抵抗性に関して機能的であり、従って
C1形質転換体の容易な選択を可能にする。さらに、フレオマイシン抵抗性のレ
ベルはhlz発現のレベルにほぼ相関する。
【0143】 C1形質転換体(フレオマイシン抵抗性クローン)のHLZ産生を以下のよう
にリゾチーム活性アッセイにより分析した:一次形質転換体を、GS+フレオマ
イシン(5μg/ml)プレート(抵抗性の証明)とLYSOプレート(HLZ
活性を視覚化ゾーンの澄明化により検出)へ楊枝で取った(参考文献1,10)
。プレートを32℃で5日間増殖させた。証明されたクローンをそれぞれLYS
Oプレート上にサブクローン化した。1つの形質転換体につき2つのサブクロー
ンを使用して、PDAプレートに接種し、液体培養の開始のために胞子を得た。
IC1の液体培地を27℃で5日間増殖させた(180rpmで振動)。次いで
、この培地を遠心分離(5000g,10分)した。これらのサンプルから、リ
ゾチーム活性を Morsky et al.(参考文献13)により測定した。
【0144】
【表6】 上記のデータは: 1)実施例1の論点1及び2が確認されること; 2)Sh−bleがクリソスポリウムにおいて抵抗性マーカーとして機能的で
あること; 3)Sh−bleがクリソスポリウムにおいて担体タンパク質として機能的で
あること; 4)KEX−2様プロテアーゼ開裂部位がクリソスポリウムにおいて機能的で
ある(そうでなければ、HLZは活性でない)こと; 5)クリソスポリウムが異種哺乳動物タンパク質の選択の宿主として使用し得
ることを示す。
【0145】 (3)Trichoderma reesei キシラナーゼII(XYN2)のC1選択 C1株のUV18−25をプラスミドpUT1064及びpUT1065によ
り形質転換した。pUT1064は、以下の2種の真菌発現カセットを示す: 第一のカセットはフレオマイシン抵抗性形質転換体の選択を可能にする: −Neurospora crassa 交叉経路制御遺伝子1(cpc−1)プロモーター(参考
文献14) −Streptoalloteichus hindustanus フレオマイシン抵抗性遺伝子、Sh−bl
e(参考文献4) −Aspergillus nidulans トリプトファンシンターゼ(trpC)のターミネー
ター(参考文献5) 第二のカセットはキシラナーゼ産生カセットである: −T. reesei 株のTR2 cbh1プロモーター(参考文献15) −T. reesei 株のTR2 xyn2遺伝子(シグナル配列を含む)(参考文献1
6) −T. reesei 株のTR2 cbh1ターミネーター(参考文献15) このベクターはまた、プラスミドpUC19(参考文献6)由来の大腸菌複製
起点も担う。詳しいプラスミドマップを図4に提供する。
【0146】 pUT1065は以下の真菌発現カセットを示す: −A. nidulans グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(gpdA)
のプロモーター(参考文献2) −合成 T. reesei セロビオヒドロラーゼI(cbh1)シグナル配列(参考文
献1,3) −担体タンパク質として使用される、S. hindustanus フレオマイシン抵抗性遺
伝子、Sh−ble−4(参考文献10) −KEX−2様プロテアーゼ開裂部位を特徴づけるリンカーペプチド(SGER
K)(参考文献1) −T. reesei 株のTR2xyn2遺伝子(シグナル配列を含まない)(参考文献
16) −A. nidulans トリプトファンシンターゼ(trpC)のターミネーター(参考
文献5) このベクターはまた、プラスミドpUC18(参考文献6)由来のβ−ラクタ
マーゼ遺伝子(bla)及び大腸菌複製起点も担う。詳しいプラスミドマップを
図5に提供する。
【0147】 すでに実施例1に記載したものと同じ方法に従って、C1プロトプラストをプ
ラスミドpUT1064又はpUT1065で形質転換した。プラスミドpUT
1065内の融合タンパク質(SH−ble::XYN2)はフレオマイシン抵
抗性に関して機能的であり、従ってC1形質転換体の容易な選択を可能にする。
さらに、フレオマイシン抵抗性のレベルはxyn2発現のレベルにほぼ相関する
。pUT1064では、xyn2をそれ自身のシグナル配列とともにクローン化
した。
【0148】 C1形質転換体(フレオマイシン抵抗性クローン)のキシラナーゼ産生を以下
のようにキシラナーゼ活性アッセイにより分析した:一次形質転換体を、GS+
フレオマイシン(5μg/ml)プレート(抵抗性の証明)とXYLANプレー
ト(参考文献17)(ここではキシラナーゼ活性が澄明ゾーンの観察により検出
される)へ楊枝で取った。プレートを32℃で5日間増殖させた。証明されたク
ローンをそれぞれXYLANプレート上にサブクローン化した。1つの形質転換
体につき2つのサブクローンを使用して、PDAプレートに接種し、液体培養の
開始のために胞子を得た。IC1+5g/l フタル酸Kの液体培地を27℃で
5日間増殖させた(180rpmで振動)。次いで、この培地を遠心分離(50
00g,10分)した。これらのサンプルから、キシラナーゼ活性を Miller et
al.(参考文献18)によりDNS技術により測定した。
【0149】
【表7】 上記のデータは: 1)実施例2の論点1〜4が確認されること; 2)C1が異種真菌タンパク質の選択の宿主として利用し得ることを示す。
【0150】 (4)概要 表Hは、UV18−25の形質転換が実施されたプラスミドについての結果を
示す。この表は、異種発現調節配列及びシグナル配列と、さらに相同発現調節配
列及びシグナル配列を使用する、エンドグルカナーゼ及びセロビオヒドロラーゼ
についての発現レベルを示す。様々なプラスミドの詳細は本明細書の説明と図の
随所から誘導され得る。この産生はアルカリのpHで、35℃の温度で起こる。
【0151】
【表8】 E.Aspergillus sojae 遺伝子ライブラリーの構築 (1)ベクターライブラリー A. sojae のゲノムDNAを、記述のプロトコール(Punt, van den Hondel, M
ethods Enzymol. 1992 216: 447-457)を使用して、ATCC 11906から
得られるプロトプラストから単離した。単離後、Kolar et al., Gene 1988 62:
127-34 に記載のプロトコールを使用して、プロトプラストからDNAを抽出し
た。引き続き、このDNAをMboIで部分消化して、平均サイズ30〜50k
bのDNAフラグメントを生成した。
【0152】 遺伝子ライブラリーの構築に使用する、ベクターのpAOpyrGcosar
p1は、Acc65I−BamHI消化したpHELP1(Gems et al., Gene
1991 98:61-67)における、pANsCos1(Osiewacs, Curr. Genet. 1994 2
6: 87-90)由来の3kb BamHI−HindIIフラグメントとpAO4.
2(De Ruiter-Jacobs et al., Curr. Genet. 1989 16: 159-63)由来の3.2
kb Acc65I−HindIIIフラグメントの連結により構築した。この
コスミドベクターは A. oryzae pyrG選択マーカーを担い、糸状菌において
自己増殖性である。
【0153】 Mbol消化したゲノムDNAをBamHI消化したpAOpyrGcosa
rp1へ連結し、この連結混合物を、Stratagene Supercos
1ベクターキット(ストラタジーン社、ラジョア、CA)を使用して、ファージ
粒子へパッケージした。これにより、全数約30,000個の個別クローンが生
じ、A. sojae ゲノムの約30倍の表現を表す。生成クローンのプールのストッ
ク(15%グリセロール)を後の使用のために−80℃で保存した。
【0154】 (2)高頻度形質転換 A. sojae ATCC 11906pyrG突然変異体を、WO01/0935
2に記載のように、ATCC11906由来のフルオロオロト酸抵抗性誘導体と
して選択した。この株 A. sojae ATCC 11906pyrGを、A. niger
pyrG遺伝子を担う2つのベクターで形質転換した。1つのベクターであるp
AB4−1(van Hartingsveldt et al., Mol. Gen. Genet. 206: 71-75 (1987)
)がpyrG遺伝子のみを担うのに対し、pAB−arp1(Verdoes et al.,
Gene 146: 159-165 (1994))は、pyrG遺伝子と A. nidulans AMA1配列
を担う。ATCC 11906pyrGの形質転換により、pAB4−1由来D
NAの1マイクログラムにつき、5〜10個の形質転換体を生じるのに対し、p
AB4−arp1の頻度では、少なくとも10〜100倍高かった。形質転換体
の表現型分析は、pAB4−arp1形質転換体のpyrG表現型が連続選択の
下でのみ維持されるのに対し、pAB4−1形質転換体はpyrG表現型の選択
をしてもしなくても安定であることを示した。これらの結果から、pAB4−a
rp1形質転換体において導入されたプラスミドDNAの自己複製が確認される
。AMA1配列又はその誘導体、例えばpAOpyrGcosarp1を担う別
の真菌形質転換ベクターについても同様の結果が得られた。
【0155】 (3)真菌形質転換ライブラリーの構築 A. sojae ATCC11906pyrG又は関連した突然変異体、特にその密
集形態突然変異体を、形質転換ベクターのpAOpyrGcosarp1に基づ
いた A. sojae 遺伝子ライブラリーで形質転換した。このベクターは、自由に複
製するベクターコピーを有する高頻度の形質転換をもたらす。真菌のプロトプラ
ストを Punt and van den Hondel, Methods Enzymol. 1992 216: 447-457に記載
のように、A. sojae 又はクリソスポリウム由来の真菌ゲノムDNAを担うコス
ミドライブラリーからのDNAで処理し、形質転換されたプロトプラストの連続
希釈液を選択寒天培地に播き、得られる形質転換頻度を決定した。残存するプロ
トプラストを2、3時間選択培地で再生させ、4℃で保存した。形質転換頻度に
ついて得られる結果(これは、実験によっては、コスミドライブラリーDNAの
1マイクログラムにつき数千個の形質転換体までの数値に達する)に基づいて、
この再生プロトプラストの限定的な希釈液を96,248のマイクロタイタープ
レート、又は他のウェルフォーマットに播き、1つのウェルに1つの形質転換プ
ロトプラストとした。プレートを35℃でインキュベートして、真菌バイオマス
を形成させた。この生成した形質転換体のライブラリーをさらなる実験に使用す
る。
【0156】 クリソスポリウムCBH1の突然変異対立遺伝子を担う真菌形質転換体の集合
の構築に同様に戦略を使用した。この戦略はまた、突然変異誘発、遺伝子シャッ
フリング、又は遺伝子進化アプローチのいずれかで産生される、関心の他の遺伝
子から誘導される突然変異体のライブラリーでも使用し得る。
【0157】 F.浸漬培養における胞子形成の誘導 Aspergillus sojae のような多くの真菌は浸漬培養の下では胞子形成を示さな
い。ここで、われわれは、上記の条件下で胞子形成を得るための、これまでに知
られていないアプローチについて説明する。A. sojae ATCC 11906と
、特にその密集増殖形態の突然変異体を、酵母抽出物を補充した合成増殖培地に
おいて増殖させた。上記の条件下で、静的培養と振動培養のいずれでも、バイオ
マスの迅速な蓄積が生じる。しかしながら、この培養液体においては胞子形成は
起こらない。EDTA 0.6g/kgを加えた同様の増殖培地では、35℃で
のインキュベーション2〜4日後に培養液体1mlにつき109個までの胞子に
達するかなりの胞子産生を生じる。
【0158】 合成培地(+/−EDTA):g/kg 培地 KH2PO4 2.5 NH4Cl 7.2 MgSO4・7H2O 0.7 CaCl2・2H2O 0.2 酵母抽出物 20 ZnSO4・7H2O 0.015 CoCl2・6H2O 0.005 CuSO4・5H2O 0.016 FeSO4・7H2O 0.040 H3BO4 0.005 KI 0.003 MnCl2・2H2O 0.012 Na2MoO4・2H2O 0.003 EDTA (0.6又は0.0) NaOH/H3PO4でpH5.5へ調整 G.クリソスポリウム及びアスペルギルスの形質転換系1)A. niger オロト酸p−リボシルトランスフェラーゼ遺伝子pyrE
のクローニング 糸状菌の数多くの多用途形質転換系は、ウリジン要求性突然変異株の使用に基
づく。これらの突然変異株は、オロチジン−5−リン酸デカルボキシラーゼ(O
MPD)又はオロト酸p−リボシルトランスフェラーゼ(OPRT)のいずれか
が欠乏している(T. Goosen et al., Curr. Genet. 1987, 11: 499-503;J. Beg
ueret et al., Gene. 1984 32: 487-92)。以前、我々は、A. niger OMPD遺
伝子pyrGを単離したことがある(W. van Hartingsveldt et al., Mol. Gen.
Genet. 1987 206: 71-5)。A. niger OPRT遺伝子(pyrE)のクローニ
ングは、A. niger のFOA抵抗性ウリジン要求性非pyrG突然変異体の相補
性により実行した。相補性のために、ベクターpAOpyrGcosarp1の
A. niger コスミドライブラリーを使用した。この相補性の形質転換体からゲノ
ムコスミドクローンを単離し、相補的な A. niger 遺伝子を担うものをpyrE
と命名した。このpyrE遺伝子を担う5.5kb SstIIフラグメントを
pBLUESCRIPT(TM)(ストラタジーン)にクローン化し、ベクター
pBLUEpyrEを生じた。pyrEコーディング領域を含むこのベクターの
1.6kbフラグメントを配列決定し、OPRT遺伝子の位置を確かめた(図1
5を参照のこと)。
【0159】 (2)Chrysosporium lucknowense の栄養要求性形質転換系 ウリジン要求性 Chrysosporium lucknowense 株を、PCT出願WO01/0
9352号に記載の方法により、C1及びUV18−25からのフルオロオロト
酸抵抗性誘導体として選択した。フルオロオロト酸抵抗性誘導体の選択により、
2つのタイプのウリジン要求性突然変異体、即ち、オロチジン−5−リン酸デカ
ルボキシラーゼ(OMPD)突然変異体又はオロト酸p−リボシルトランスフェ
ラーゼ(OPRT)突然変異体のいずれかの単離を生じ得る(T. Goosen et al.
, Curr. Genet. 1987, 11: 499-503)。得られるクリソスポリウム突然変異体の
性質を決定するために、利用可能な A. niger の遺伝子のpyrG(OMPD;
ベクターpAB4−1、W. van Hartingsveldt et al., Mol. Gen. Genet. 1987
206: 71-5)及びpyrE(pBLUE−pyrE;OPRT)について形質転
換実験を実施した。表Iに示されるように、pyrE遺伝子を有する突然変異株
の形質転換のみが原栄養性の形質転換体を生じたが、このことはこのクリソスポ
リウム株がOPRT突然変異体であることを示唆する。これまで採用してきたク
リソスポリウム遺伝子の命名法に従って、この突然変異体をpyr5と明示した
【0160】
【表9】 (3)自己複製性真菌形質転換ベクターの構築及び使用 ベクターのpBLUEpyrEに基づいて、糸状菌に導入されるときに自己複
製特性をこのベクターへ提供する配列を担う2種の誘導体を産生した。Aspergil
lus nidulans AMA1配列(J. Verdoes et al., Gene 1994 146: 159-65)を
担う5.5kb HindIIIフラグメントをpBLUEpyrEの独自のH
indIII部位に導入し、pBLUEpyrE−AMAを生じた。ヒトのテロ
メア配列(A. Aleksenko, L. Ivanova, Mol. Gen. Genet. 1998 260: 159-64)
を担う2.1kb(部分的)HindIIIフラグメントをpBLUEpyrE
の独自のHindIII部位に導入し、pBLUEpyrE−TELを生じた。
これらのベクターをアスペルギルス及びクリソスポリウムのOPRT突然変異株
へ導入し、原栄養性形質転換体を生じた。得られた形質転換体のいくつかは、自
由に複製するプラスミドを担う形質転換体に特徴的な不揃いの表現型を示した(
J. Verdoes et al., Gene 1994 146: 159-65)。
【0161】 (4)Chrysosporium lucknowense の形質転換 このプロトコールは本来アスペルギルスの形質転換に使用された方法(P. Pun
t, C. van den Hondel, Methods in Enzymology 1992 216: 447-457)に基づく
。リッチ培地(250ml)に、1Lの三角フラスコにおいて、pyr5クリソ
スポリウム突然変異体(上記)106胞子/mlを接種した。この培養液を空気
インキュベーター(300rpm)において35℃で24〜48時間増殖させた
。無菌Miracloth(TM)フィルター(カルビオケム)を介して菌糸体
を濾過し、約100ml 1700モスモル(mosmol)のNaCl/Ca
Cl2(0.27M CaCl2/0.6M NaCl)で洗浄した。菌糸の重量
を測定し、氷上に保存した。Caylaze(TM)(Cayla)(1gの菌
糸あたり20mg)及び、1700モスモルのNaCl/CaCl2(1gの菌
糸あたり3.3ml)を加え、この懸濁液を33℃の空気インキュベーター(1
00rpm)でインキュベートした。プロトプラスト形成を顕微鏡下で追跡した
。1〜3時間のインキュベーション後、菌糸体のほとんどが消化され、調製物の
顕微鏡の視野にはほとんどプロトプラストしか残らなかった。このプロトプラス
トを無菌Miraclothフィルターで濾過し、濾液を1倍量の冷STC17
00(1.2M ソルビトール/10mM Tris.HCl pH7.5/5
0mM CaCl2/35mM NaCl)で洗浄した。このプロトプラスとを
4℃で10分間、2500rpmでスピンダウンさせた。ペレットをSTC17
00に再懸濁させ、再び遠心分離した。ペレットをSTC1700に再懸濁した
後、プロトプラストを計数した。最終濃度2x108/mlのプロトプラストへ
STC1700を加えた。
【0162】 ベクターDNA(pAB4−1又はpBLUE−pyrE、1〜10μg)を
滅菌チューブの底へピペットで入れ、このDNAへ1M ATA(アウリントリ
カルボン酸)1μl及びプロトプラスト(約2x107個)100μlを加えた
。この実験には、DNAを加えない陰性対照を含めた。混合後、プロトプラスト
を室温で25分間インキュベートした。PEG6000(60% PEG/50
mM CaCl2/10mM Tris,pH7.5)を以下のように少しづつ
加えた:250μl、混合、250μl、混合、850μl及び混合。この溶液
を室温に20分間保った。このチューブをSTC1700 8mlに満たし、混
合し、4℃で10分間、2500rpmで遠心分離し、ペレットをSTC170
0 250μlに懸濁した。このサンプルのアリコートを選択培地上でのプレー
ト培養に使用した。pyr+選択には、1.5% Daishin寒天、1.2
M ソルビトール、1xAspA(硝酸塩)、2mM MgSO4・7H2O、1
x微量元素、0.1% カサミノ酸及び1% グルコースを含有するプレートを
調整した。amdS(及びpyr+)について選択するならば、プレートは1.
5% Oxoid寒天、1.2M ソルビトール、2mM MgSO4・7H2
、1x微量元素、1% グルコース、1xAspA(硝酸塩でない)、15mM
CsCl及び10mM アセトアミド又はアクリルアミドを含有した。このプ
レートを30又は35℃でインキュベートした。
【0163】 PEG6000処理の前後で胞子及び生存プロトプラストを、硝酸塩を含みソ
ルビトールを含むか又は含まない最少培地プレート上で、STC1700に希釈
した液をプレート培養することによって計数した。ソルビトールを含まないプレ
ートで10-1、10-2及び10-3希釈液100μlをプレート培養して胞子につ
いて計数し、ソルビトールを含むプレートで10-2、10-3、10-4及び10-5 希釈液100μlをプレート培養して生存プロトプラストについて計数した。
【0164】 この形質転換の結果を表Iに示す。 H.タンパク質/バイオマス比率 セルラーゼ又はアミラーゼを産生するクリソスポリウム、トリコデルマ、及び
アスペルギルスの株について、重量既知のフィルターに規定量の全ブロスアリコ
ートを通し、脱イオン水で洗浄し、そして、このケーキ及びフィルターを60℃
で一晩、及び100℃で1時間乾燥することによって、乾燥固形分の全量を決定
した。デシケーターにおいて冷却後、乾燥フィルター+フィルターケーキの重量
からフィルター重量を引き、除去されたブロスの体積で割ることによってバイオ
マスを決定した。
【0165】 トリコデルマ及びアスペルギルスの株については、測定をしたときにバイオマ
ス以外の不溶性物質がほとんどなかったので、全乾燥固形分に等しいと仮定した
。セルラーゼを産生するクリソスポリウム株については、有意な量のセルロース
が培地中にあったので、バイオマスは、全乾燥固形分とセルロースの差として決
定された。セルロースを以下のようにアッセイした。
【0166】 測定される全ブロスのアリコートを遠心分離して固形分を除去し、上清を捨て
た。このペレットを、元のブロス体積に等しい量の0.1N NaOHへ再懸濁
させ、1/10量の0.5N NaOHを加えた。この処置により、セルロース
以外のすべてが溶けた。このアルカリ混合液を冷却し、遠心分離して、上清を捨
てた。生じたペレットを脱イオン水における再懸濁と遠心分離により2回洗浄し
た。洗浄したペレットを脱イオン水に再懸濁し、重量既知のパンへ移し、上記の
ように乾燥させた。乾燥重量をアッセイされるアリコート量で割ることによって
、セルロース濃度を決定した。
【0167】 タンパク質は、免疫グロブリン標準品を使用するBradford色素結合法
(M. Bradford, 1976, Anal. Biochem. 72: 248)により決定した。様々な糸状
菌株において選択発現されるタンパク質についてのタンパク質/バイオマス比を
表Jに示す。
【0168】
【表10】 I.A. sojae 及び C. lucknowense におけるグリーン蛍光タンパク質の発現
及び分泌 多用途で、容易にスクリーニング可能なレポータータンパク質の例として、ク
ラゲの Aequoria victoria 由来のグリーン蛍光タンパク質(GFP)を A. soj
ae 及び C. lucknowense において発現させた。GFP(A. Santerre Henriksen
et al., Microbiology. 1999, 145: 729-734)及びグルコアミラーゼ−GFP
融合遺伝子(pGPDGFP,C. Gordon et al., Microbiology 2000 146: 415
-26)を担うベクターを、glaAプロモーターを構成的に発現される A. nidul
ans gpdAプロモーターで置換することによって、変化させた。pyrG又は
amdS選択マーカ−のいずれか一方を使用する、同時形質転換によりこのベク
ターをクリソスポリウムに導入した。ベクターpGPDGFPとその誘導体を、
pyrE又はamdS選択マーカ−のいずれか一方を使用する、同時形質転換に
よりクリソスポリウムに導入した。発現により輝く蛍光の A. sojae とクリソス
ポリウム形質転換体を生じ、いずれのベクターにもGFPの発現が確認された。
グルコアミラーゼ−GFP融合タンパク質を発現する形質転換体からの培養上澄
液の蛍光は、蛍光活性の融合タンパク質の分泌を示した。蛍光タンパク質の発現
はまた、蛍光タンパク質の非分泌性の細胞質バージョンを発現する様々な形質転
換体から得られる胞子(又は胞子様の胎芽)においても観察された。
【0169】 J.真菌増殖単位の導入 96穴マイクロタイタープレートのウェルに、多チャネルピペットを用いた手
動か、又は自動化プレート処理システムの手段のいずれかにより、適当な培地を
ロードする。量が多いと交叉感染の機会が増すのに対し、蒸発に関わる問題を避
けるには、量はあまりに少なくしてはならない。例えば、COSTAR(TM)
3799丸底プレートを使用すれば、150μlが作業するのに適当な量である
。プレートで増殖させたコロニー由来の胞子を、移入のために楊枝を使用して、
プレートに接種する。他のやり方では、少量の胞子、プロトプラスト又は菌糸成
分の懸濁液をピペッティングによりプレートに接種し得る。これらの懸濁液は、
単離した胞子/プロトプラスト溶液、又はマイクロプレートで増殖した胞子形成
培養物から誘導され得る。接種はまた、ピン又は96ピンツールの使用により、
マイクロタイタープレートから実施し得る。
【0170】 引き続き、プレートを35℃でインキュベートする。蒸発を最少化するために
、蓋付きプレートを利用し得るか、又はO2、H2O及びCO2の交換を可能にし
、プレートの表面に付く膜でプレートをシールし得る。さらに蒸発を制限するた
めに、制御された気体インキュベーターを使用し得る。
【0171】 3〜4日のインキュベーションの後で、バイオマスの量は、新鮮な培地を含有
する新しいマイクロタイタープレートへの効率的なトランスファーに適したもの
になる。レプリカプレートの調製には、96ピンのツールが使用される。様々な
培養物の配置を有する娘プレートが手動又はロボットのピペット操作又はピンに
よるトランスファーにより調製され得る。伝達性生殖要素がトランスファーピン
上に存在することを保証するには、このピンツールをマイクロタイタープレート
の培養液へ浸漬し、20秒間振動させる。次いで、ピンツールを注意深く出発プ
レートから除去して、新たなマイクロタイタープレートへ複製を作成する。多チ
ャンネルピペットを使用し、親マイクロタイタープレート培養液の約1μlを移
すことによって同じように効率的なトランスファー法が達成され得る。いずれの
場合でも、胞子、胞子様胎芽、プロトプラスト、又は菌糸又は菌糸体フラグメン
トのような伝達性生殖要素の存在により、効率的なトランスファーが達成される
。プロトプラストは、細胞壁分解酵素での処理に次ぐプロトプラストのトランス
ファーによりマイクロプレート穴において産生され得る。マイクロプレート内の
プロトプラスト形成については C. van Zeijl et al., J. Biotechnol. 1997 59
: 221-224 に説明されている。
【0172】 このトランスファーのさらなる改善は、マイクロタイタープレートシェーカー
上でマイクロタイタープレート培養物を35℃でインキュベートすることによっ
て得られる。このことにより培養物中の伝達性生殖要素の数が増加する。マイク
ロタイタープレートの培養物を保存するには、最終濃度15%になるようにグリ
セロールを加え、プレートを−80℃で保存する。後続のトランスファー実験で
は、プレートを解凍し、上記に述べたようにトランスファーを実施する。野生型
又は市販の株である A. niger 及び A. sojae についての効率的なトランスファ
ーは、これらの株が1日後に活発な表面増殖と空気(aerial)胞子形成を示すの
で、本明細書で使用される条件の下では容易でなかった。空気胞子形成はトラン
スファーの間に多量の交叉汚染を引き起こし、ウェルを覆う表面増殖により大部
分の既知アッセイ法が後で妨げられる。
【0173】 K.遺伝子を発見するための真菌発現ライブラリーの構築 真菌発現ベクターのpAN52−1NOT(EMBL登録Z32524)又は
その誘導体の1つに基づいて、A. nidulans gpdA遺伝子(P. Punt et al.,
J. Biotechnol. 1991 17: 19-33)の構成的に発現される広い真菌宿主範囲のプ
ロモーターのすぐ上流に独自のBamHIクローニング部位が存在するベクター
を構築した。翻訳開始コドン(ATG)を担うゲノムDNAフラグメントが発現
されるようなやり方で、このベクターを構築した。このベクターに選択マーカー
を提供するために、pBLUEpyrE由来のNotI−BamHIフラグメン
トを、pAN52−BamHIと命名された、NotI−BglIIで消化した
発現ベクターにクローン化し、ベクターpAN52−pyrEを生成した。3〜
6kbのサイズ範囲のクリソスポリウムゲノムDNAを部分的なSau3A消化
により得た。これらのフラグメントを、BamHI消化した発現ベクターのpA
N52−pyrEへ連結した後に、完全なクリソスポリウムゲノムを数倍網羅す
るのに十分なたくさんの組換えクローンを得た。数多くのこれらクローンをプー
ルして、少なくとも5〜10倍の真菌ゲノム均等物を網羅した。これらプールの
プラスミドDNAを調製し、クリソスポリウムpyr5又はアスペルギルスpy
rEの突然変異体の形質転換のために使用した。形質転換体の集合を上記のよう
なマイクロタイタープレートにおいて産生し、さらなる機能性/活性スクリーニ
ングのために使用した。あるいは、PCT/NL99/00618に記載のよう
に、特に調節されるクリソスポリウムプロモーターを使用して発現ライブラリー
を構築し得る。
【0174】 実施例に引用される文献 (以下の文献の内容、及び上記に引用したすべての特許及び参考文献は、参照に
より本明細書に組込まれている) 1.Calmels T. P., Martin F., Durand H., and Tiraby G. (1991) 真菌の分泌
タンパク質のプロセシングにおけるタンパク分解現象.J. Biotechnol. 17 (1):
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ド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の単離及び特徴づけ.Gene 69 (1): 49-
57. 3.Shoemaker S., Schweickart V., Ladner M., Gelfand D., Kwok s., Myambo
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【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例に記載のウェスタンブロットである。
【図2】 図2は、pUT720のマップである。
【図3】 図3は、pUT970Gのマップである。
【図4】 図4は、pUT1064のマップである。
【図5】 図5は、pUT1065のマップである。
【図6】 図6は、pF6gのマップである。
【図7】 図7は、pUT1150のマップである。
【図8】 図8は、pUT1152のマップである。
【図9】 図9は、pUT1155のマップである。
【図10】 図10は、pUT1160のマップである。
【図11】 図11は、pUT1162のマップである。
【図12】 図12は、pclAタンパク質の概略構造である。
【図13】 図13Aは、野生型 Aspergillus niger の顕微鏡写真である。 図13Bは、野生型 Aspergillus niger pclA突然変異体の顕微鏡写真で
ある。
【図14】 図14Aは、野生型 Aspergillus sojae の顕微鏡写真である。 図14Bは、野生型 Aspergillus sojae pclA突然変異体の顕微鏡写真で
ある。
【図15】 図15A〜Eは、pyrE遺伝子の配列決定の結果を示す。下にアミノ酸の配
列を示すが、いくつかの配列の不確かさのために連続していない。示されたアミ
ノ酸は最も可能性が高いものである。太字は、推定ないし可能なイントロンを示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:645) C12R 1:885 (C12N 1/00 1:77 C12R 1:685) C12N 15/00 ZNAA (C12N 1/00 C12R 1:885) (C12N 1/00 C12R 1:77) (C12P 21/02 C12R 1:645) (C12P 21/02 C12R 1:685) (C12P 21/02 C12R 1:885) (C12P 21/02 C12R 1:77) (C12Q 1/04 C12R 1:645) (C12Q 1/04 C12R 1:685) (C12Q 1/04 C12R 1:885) (C12Q 1/04 C12R 1:77) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE ,DK,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD, GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG, MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,P T,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL ,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ファン・ゼイユル,コルネリア オランダ国エヌエル−3451 エーペー フ リューテン−デ・メールン,ヘンリ・デュ ナントラーン 24 (72)発明者 ファン・デン・ホンデル,コルネリウス オランダ国エヌエル−2804 ペーゼット ハウダ,ウォテルレリー 124 Fターム(参考) 4B024 AA11 BA80 CA02 DA11 EA04 GA11 GA19 4B063 QA18 QQ07 QX01 4B064 AG01 CA05 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA58X AA60X AA62X AA65X AA70Y AB01 BA02 CA23 CA24 CA44 CA46

Claims (48)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 DNAベクターのライブラリーによりコードされる複数のタ
    ンパク質を発現させる方法であって、ここでベクターのライブラリーは複数の異
    なるベクターを含み、それぞれの異なるベクターは異なるタンパク質をコードす
    る核酸配列を含んでなり、前記核酸配列は発現調節領域と、所望により分泌シグ
    ナルコーディング配列に機能可能的に連結していて、以下の工程: (a)懸濁状態における増殖により特徴づけられ、そして、懸濁状態における
    伝達性(transferable)生殖要素の産生により特徴づけられる表現型を有する糸
    状菌を提供し; (b)前記糸状菌を、複数の個別真菌のそれぞれへ少なくとも1つの異種タン
    パク質をコードする核酸配列を導入するように、前記DNAベクターのライブラ
    リーで安定的に形質転換し; (c)形質転換された突然変異糸状菌を、伝達性生殖要素の懸濁状態における
    形成を導く条件下で培養し; (d)複数の伝達性生殖要素を互いに分離させ;そして (e)個別の伝達性生殖要素を、異種タンパク質をコードする核酸配列により
    コードされる異種タンパク質の発現を導く条件下で、モノクローナル培養物又は
    モノクローナルコロニーの中へ培養する を含んでなる、前記方法。
  2. 【請求項2】 DNAベクターのライブラリーによりコードされる複数のタ
    ンパク質を関心の活性又は特性についてスクリーニングする方法であって、以下
    の工程: (a)請求項1に記載の方法により、モノクローナル糸状菌培養物又はモノク
    ローナル糸状菌コロニーにおいて複数のタンパク質を発現させ;そして (b)個別のクローン培養物又はクローンコロニーを関心の活性又は特性につ
    いてスクリーニングする を含んでなる、前記方法。
  3. 【請求項3】 関心の活性又は特性を有するタンパク質をコードするDNA
    分子を産生する方法であって、以下の工程: (a)請求項1に記載の方法により、モノクローナル糸状菌培養物又はモノク
    ローナル糸状菌コロニーにおいて複数のタンパク質を発現させ; (b)個別のクローン培養物又はクローンコロニーを関心の活性又は特性につ
    いてスクリーニングし;そして (c)関心の活性又は特性を示すクローン培養物又はクローンコロニーからD
    NAを単離する を含んでなる、前記方法。
  4. 【請求項4】 関心の活性又は特性を有するタンパク質をコードするDNA
    分子のヌクレオチド配列を産生する方法であって、以下の工程: (a)請求項3に記載の方法により、関心の活性又は特性を示すクローン培養
    物又はクローンコロニーからDNAを単離し;そして (b)前記DNAの配列を決定する を含んでなる、前記方法。
  5. 【請求項5】 関心の活性又は特性を有するタンパク質のアミノ酸配列を産
    生する方法であって、以下の工程: (a)請求項4に記載の方法により、関心の活性又は特性を有するタンパク質
    のDNA配列を産生し;そして (b)前記DNA配列をアミノ酸配列へ変換する を含んでなる、前記方法。
  6. 【請求項6】 複数のモノクローナル糸状菌培養物又はモノクローナル糸状
    菌コロニーを、関心の活性又は特性を有する代謝物についてスクリーニングする
    方法であって、以下の工程: (a)請求項1に記載の方法により、モノクローナル糸状菌培養物又はモノク
    ローナル糸状菌コロニーにおいて複数のタンパク質を発現させ;そして (b)それぞれ個別のクローン培養物又はクローンコロニーを関心の活性又は
    特性についてスクリーニングする を含んでなる、前記方法。
  7. 【請求項7】 関心のタンパク質の活性又は特性を最適化する方法であって
    、以下の工程: (a)タンパク質の突然変異形態をコードするDNA配列を含むベクターのラ
    イブラリーを提供し; (b)懸濁状態における増殖と懸濁状態における伝達性生殖要素の産生により
    特徴づけられる表現型を有する糸状菌を提供し; (c)前記糸状菌を、複数の個別真菌のそれぞれへ少なくとも1つの異種タン
    パク質をコードする核酸配列を導入するように、前記DNAベクターのライブラ
    リーで安定的に形質転換し; (d)形質転換された糸状菌を、伝達性生殖要素の形成を導く条件下で培養し
    ; (e)複数の伝達性生殖要素を互いに分離させ; (f)個別の伝達性生殖要素を、異種タンパク質をコードする核酸配列により
    コードされる異種タンパク質の発現を導く条件下で、クローナル培養物又はクロ
    ーナルコロニーの中へ培養し; (g)それぞれ個別の生物、クローン培養物、又はクローンコロニーを、関心
    の活性又は特性を有する発現タンパク質についてスクリーニングし; (h)関心の活性又は特性を示すタンパク質を発現する1つ又はそれより多く
    の個別の生物、クローン培養物、又はクローンコロニーを単離し; (i)関心の活性又は特性を示すタンパク質をコードする、単離された個別の
    生物、クローン培養物、又はクローンコロニーからのDNAを突然変異させ; (j)工程(i)において得られる突然変異したDNA配列を含むベクターの
    ライブラリーを提供し;そして (k)関心の特性又は活性が所望のレベルに達するか、又はもはや増進しない
    かのいずれかになるまで、工程(b)〜(g)を繰り返す を含んでなる、前記方法。
  8. 【請求項8】 工程(h)及び(i)の間に、工程(h)で単離される1つ
    又はそれより多くの個別の生物、クローン培養物、又はクローンコロニーを培養
    し;関心の活性又は特性を示す発現タンパク質を単離し;そして、単離されたタ
    ンパク質を関心の特性について評価する、ことをさらに含んでなる、請求項7に
    記載の方法。
  9. 【請求項9】 スクリーニング工程がハイスループットスクリーニングによ
    り実行される、請求項2に記載の方法。
  10. 【請求項10】 スクリーニング工程がハイスループットスクリーニングに
    より実行される、請求項3に記載の方法。
  11. 【請求項11】 スクリーニング工程がハイスループットスクリーニングに
    より実行される、請求項4に記載の方法。
  12. 【請求項12】 スクリーニング工程がハイスループットスクリーニングに
    より実行される、請求項5に記載の方法。
  13. 【請求項13】 スクリーニング工程がハイスループットスクリーニングに
    より実行される、請求項6に記載の方法。
  14. 【請求項14】 スクリーニング工程がハイスループットスクリーニングに
    より実行される、請求項7に記載の方法。
  15. 【請求項15】 スクリーニング工程がハイスループットスクリーニングに
    より実行される、請求項8に記載の方法。
  16. 【請求項16】 真菌が、懸濁状態で培養されるときに、最適又はほぼ最適
    な条件下で十分な栄養分とともに増殖するときの発酵の終点で、200cP未満
    の培養粘度により特徴づけられる表現型を有する、請求項1〜15のいずれか1
    項に記載の方法。
  17. 【請求項17】 真菌が、懸濁状態で培養されるときに、最適又はほぼ最適
    な条件下で十分な栄養分とともに増殖するときの発酵の終点で、100cP未満
    の培養粘度により特徴づけられる表現型を有する、請求項1〜15のいずれか1
    項に記載の方法。
  18. 【請求項18】 真菌が、懸濁状態で培養されるときに、最適又はほぼ最適
    な条件下で十分な栄養分とともに増殖するときの発酵の終点で、60cP未満の
    培養粘度により特徴づけられる表現型を有する、請求項1〜15のいずれか1項
    に記載の方法。
  19. 【請求項19】 真菌が、懸濁状態で培養されるときに、最適又はほぼ最適
    な条件下で十分な栄養分とともに増殖するときの発酵の終点で、10cP未満の
    培養粘度により特徴づけられる表現型を有する、請求項1〜15のいずれか1項
    に記載の方法。
  20. 【請求項20】 ベクターが真菌のシグナル配列を含む、請求項1〜15の
    いずれか1項に記載の方法。
  21. 【請求項21】 真菌のシグナル配列が、セルラーゼ、β−ガラクトシダー
    ゼ、キシラナーゼ、ペクチナーゼ、エステラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、
    ポリガラクツロナーゼ、及びヒドロホビンからなる群から選択されるタンパク質
    をコードする真菌遺伝子のシグナル配列である、請求項20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 ベクターが選択マーカーをコードするヌクレオチド配列を
    含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  23. 【請求項23】 ベクターがタンパク質をコードする核酸配列に機能可能的
    に連結した発現調節領域を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  24. 【請求項24】 発現調節領域が誘導性プロモーターを含む、請求項23に
    記載の方法。
  25. 【請求項25】 真菌が真正子嚢菌類亜綱(Euascomycetes)である、請求
    項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  26. 【請求項26】 真菌が オニゲナレス(Onygenales)目である、請求項2
    5に記載の方法。
  27. 【請求項27】 真菌がユーロチウム(Eurotiales)目である、請求項25
    に記載の方法。
  28. 【請求項28】 真菌が アスコマイコタ(Ascomycota)門であるが、但し
    、サッカロミセス(Saccharomycetales)目ではない、請求項1〜15のいずれ
    か1項に記載の方法。
  29. 【請求項29】 真菌が、アスペルギルス、トリコデルマ、クリソスポリウ
    ム、ニューロスポラ、リゾムコール、ハンセヌラ、ヒュミコラ(Humicola)、ム
    コール、トリポクラディウム(Tolypocladium)、フサリウム、ペニシリウム、
    タラロマイセス(Talaromyces)、エメリセラ(Emericella)及びヒポクレア(H
    ypocrea)からなる群から選択される属である、請求項1〜15のいずれか1項
    に記載の方法。
  30. 【請求項30】 真菌が、アスペルギルス、フサリウム、クリソスポリウム
    、及びトリコデルマからなる群から選択される属である、請求項29に記載の方
    法。
  31. 【請求項31】 真菌が受託番号VKM F−3631Dを有するクリソス
    ポリウム株のUV18−25である、請求項30に記載の方法。
  32. 【請求項32】 真菌がトリコデルマ ロンギブラキアタム(Trichoderma
    longibrachiatum)株のX−252である、請求項30に記載の方法。
  33. 【請求項33】 真菌がアスペルギルス ソーヤ(Aspergillus sojae)株
    のpclAである、請求項30に記載の方法。
  34. 【請求項34】 真菌がアスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)(
    黒色麹菌)株のpclAである、請求項30に記載の方法。
  35. 【請求項35】 発現されたタンパク質のバイオマスに対する比が少なくと
    も1:1である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  36. 【請求項36】 発現されたタンパク質のバイオマスに対する比が少なくと
    も2:1である、請求項35に記載の方法。
  37. 【請求項37】 発現されたタンパク質のバイオマスに対する比が少なくと
    も6:1である、請求項36に記載の方法。
  38. 【請求項38】 発現されたタンパク質のバイオマスに対する比が少なくと
    も8:1である、請求項37に記載の方法。
  39. 【請求項39】 伝達性生殖要素が個別の真菌細胞である、請求項1〜15
    のいずれか1項に記載の方法。
  40. 【請求項40】 伝達性生殖要素が胞子である、請求項1〜15のいずれか
    1項に記載の方法。
  41. 【請求項41】 伝達性生殖要素が菌糸のフラグメントである、請求項1〜
    15のいずれか1項に記載の方法。
  42. 【請求項42】 伝達性生殖要素がミクロペレットである、請求項1〜15
    のいずれか1項に記載の方法。
  43. 【請求項43】 伝達性生殖要素がプロトプラストである、請求項1〜15
    のいずれか1項に記載の方法。
  44. 【請求項44】 関心の活性又は特性を有するタンパク質を獲得する方法で
    あって、以下の工程: (a)DNAベクターのライブラリーによりコードされる複数のタンパク質を
    、請求項2に記載の方法により、関心の活性又は特性についてスクリーニングし
    ; (b)関心の活性又は特性を発現するモノクローナル培養物又はモノクローナ
    ルコロニーを、異種タンパク質をコードする核酸配列によりコードされる異種タ
    ンパク質の発現を導く条件下で、適切なスケールで培養し;そして (c)発現されたタンパク質を単離する を含んでなる、前記方法。
  45. 【請求項45】 関心の活性又は特性を有するタンパク質を獲得する方法で
    あって、請求項7又は請求項8に記載の方法により関心の活性又は特性を最適化
    し、最終工程(h)で単離された個別の生物、クローン培養物、又はクローンコ
    ロニーを好適なスケールで培養し、そして発現されたタンパク質を培養物から単
    離する、ことを含んでなる、前記方法。
  46. 【請求項46】 形質転換された糸状菌のライブラリーを作成する方法であ
    って、以下の工程: (a)懸濁状態における増殖により特徴づけられ、そして、懸濁状態における
    伝達性生殖要素の産生により特徴づけられる表現型を有する糸状菌を提供し;そ
    して (b)前記糸状菌を、複数の個別真菌のそれぞれへ少なくとも1つの異種タン
    パク質をコードする核酸配列を導入するように、DNAベクターのライブラリー
    で安定的に形質転換させる; ここにおいて、DNAベクターのライブラリーは複数の異なるベクターを含み
    、それぞれの異なるベクターは異なるタンパク質をコードする核酸配列を含んで
    なり、前記核酸配列は発現調節領域と、所望により分泌シグナルコーディング配
    列に機能可能的に連結している を含んでなる、前記方法。
  47. 【請求項47】 請求項43に記載の方法により製造される、形質転換され
    た糸状菌のライブラリー。
  48. 【請求項48】 関心の活性又は特性を有するタンパク質を発現する、形質
    転換された糸状菌宿主を獲得する方法であって、以下の工程: (a)DNAベクターのライブラリーによりコードされる複数のタンパク質を
    、請求項2に記載の方法により、関心の活性又は特性についてスクリーニングし
    ;そして (b)関心の活性又は特性を発現するモノクローナル培養物又はモノクローナ
    ルコロニーを単離する を含んでなる、前記方法。
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