JP2003528881A - 潤滑剤用フッ素化添加剤 - Google Patents

潤滑剤用フッ素化添加剤

Info

Publication number
JP2003528881A
JP2003528881A JP2001570668A JP2001570668A JP2003528881A JP 2003528881 A JP2003528881 A JP 2003528881A JP 2001570668 A JP2001570668 A JP 2001570668A JP 2001570668 A JP2001570668 A JP 2001570668A JP 2003528881 A JP2003528881 A JP 2003528881A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluorinated
compound
group
metal
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001570668A
Other languages
English (en)
Inventor
ピー.ビーティー リチャード
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
EI Du Pont de Nemours and Co
Original Assignee
EI Du Pont de Nemours and Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by EI Du Pont de Nemours and Co filed Critical EI Du Pont de Nemours and Co
Publication of JP2003528881A publication Critical patent/JP2003528881A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F9/00Compounds containing elements of Groups 5 or 15 of the Periodic System
    • C07F9/02Phosphorus compounds
    • C07F9/06Phosphorus compounds without P—C bonds
    • C07F9/16Esters of thiophosphoric acids or thiophosphorous acids
    • C07F9/165Esters of thiophosphoric acids
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10MLUBRICATING COMPOSITIONS; USE OF CHEMICAL SUBSTANCES EITHER ALONE OR AS LUBRICATING INGREDIENTS IN A LUBRICATING COMPOSITION
    • C10M137/00Lubricating compositions characterised by the additive being an organic non-macromolecular compound containing phosphorus
    • C10M137/02Lubricating compositions characterised by the additive being an organic non-macromolecular compound containing phosphorus having no phosphorus-to-carbon bond
    • C10M137/04Phosphate esters
    • C10M137/10Thio derivatives
    • C10M137/105Thio derivatives not containing metal
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F9/00Compounds containing elements of Groups 5 or 15 of the Periodic System
    • C07F9/02Phosphorus compounds
    • C07F9/06Phosphorus compounds without P—C bonds
    • C07F9/16Esters of thiophosphoric acids or thiophosphorous acids
    • C07F9/165Esters of thiophosphoric acids
    • C07F9/1651Esters of thiophosphoric acids with hydroxyalkyl compounds with further substituents on alkyl
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10MLUBRICATING COMPOSITIONS; USE OF CHEMICAL SUBSTANCES EITHER ALONE OR AS LUBRICATING INGREDIENTS IN A LUBRICATING COMPOSITION
    • C10M137/00Lubricating compositions characterised by the additive being an organic non-macromolecular compound containing phosphorus
    • C10M137/02Lubricating compositions characterised by the additive being an organic non-macromolecular compound containing phosphorus having no phosphorus-to-carbon bond
    • C10M137/04Phosphate esters
    • C10M137/10Thio derivatives

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Abstract

(57)【要約】 式(I)のフッ素化ジアルキルジチオリン酸、およびその金属塩。この化合物は、例えば潤滑剤組成物用添加剤として有用である。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本出願は、1998年4月27日に出願された米国特許仮出願第60/083
,115号の優先権の特典を請求する、1999年4月26日に出願された米国
特許出願第09/299,251号に関係する。
【0002】 (発明の分野) 本発明は、耐磨耗性および減摩特性が所望される場合に、モータオイルなどの
潤滑剤組成物またはその他の組成物に混入させた時に、そのような所望の性質を
付与する潤滑剤用添加剤に関する。
【0003】 (背景技術) 可動部品を備えるエンジンやモータなどの機械が、高温で機械的運動を繰り返
すうちに劣化する主要な原因は、可動部品が接触する表面間の摩擦および磨耗で
ある。こうした劣化は、機械の始動および停止時に特に顕著である。この問題を
克服するために、従来は、潤滑油、ワックス、グリースなどの潤滑剤を、稼働す
る接触表面に塗布して、磨耗を防止し、摩擦を低減してきた。
【0004】 自動車のモータオイルを含むモータオイルでは、磨耗を低減する必要があり、
また、燃費についての基準ならびに自動車燃料排気規制に適合すると同時にこの
磨耗の低減を実施しなければならないために、摩擦の低減または制御が特に重要
である。自動車燃料排気の政府の規制強化により、エンジン設計および排気触媒
性能の改善を含めたエンジン性能の改善、ならびに潤滑剤およびエンジンオイル
の添加剤などの優れた添加剤の開発に向けて努力がなされている。
【0005】 理想的には、潤滑剤は接触表面全体に潤滑を付与しなければならない。可動部
品の表面を完全に被覆することによって、そのような完全被膜(full-film)接
触を達成し、可動部品同士が接触することが決してないようにすることが好まし
い。しかし、可動部品を備える大部分のエンジンやモータの厳しい作動条件下で
有効であるような完全被膜潤滑を開発するには、いくつかの困難がある。設計の
制約ならびに、高負荷、低速度、潤滑剤の枯渇、または潤滑剤の低粘度が、完全
な被膜潤滑を妨げ、接触の過酷さを増大する。この条件は、しばしば、通常の機
械の運転中に避けることができないことがあり、始動および停止時には特に過酷
である。
【0006】 オイルやグリースなどの潤滑剤が、完全被膜潤滑を常時もたらすことができな
い場合は、通常、耐磨耗添加剤または摩擦改質剤が添加される。この耐磨耗添加
剤は、潤滑すべき表面を、吸着または化学反応により改質して、摩擦の低減およ
び耐磨耗性の増大を特徴とする被覆表面を形成する。通常、さまざまなタイプの
添加剤は、正または負の方法で相互に作用し、それによって互いの性能を高めた
り、干渉したりすることが認識されている。耐磨耗剤および摩擦改質剤は、特に
、吸着または化学反応を経て摩擦表面を改質することによって機能すると考えら
れるため、互いの性能に影響を及ぼす可能性が高い。これは、こうした材料は表
面に幾分強く吸着し、表面の吸着部位に対して互いに競合するからである。強く
吸着する材料は、より弱く吸着する材料が表面に接触することを遮断し、その作
用が表面に及ぶことを防止する。こうした表面競合現象は、添加剤を開発する際
、または各添加剤がその所望の目的を達成することのできる配合物を生み出す際
に、かなりの難題を与える。
【0007】 様々な種類の耐磨耗添加剤が知られている。特に、ジアルキルジチオリン酸や
ジアルキルジチオリン酸塩などの、有機リン化合物が使用されてきた。最も広範
に使用され、およびジアルキルジチオリン酸塩を利用したもののいくつかには、
ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)などのジアルキルジチオリン酸の金属
塩があり、様々な種類の潤滑剤に利用されている。ジアルキルジチオリン酸亜鉛
のアルキル基は、通常、非フッ素化アルコールから誘導される。このアルコール
は、潤滑剤ベース流体の溶解度やZDDPの熱安定性などの、所望の性能特性を
付与するように、鎖の長さおよび官能基置換の程度に基づいて選択される。個々
の用途における性能が最適になるようにアルキル基を慎重に選択することによっ
て、この特性を変えることが可能であるということが認められている。
【0008】 ZDDP組成物は、様々な配合物中で有効であることが知られている。これは
、ZDDP組成物は表面吸着部位に対して非常に有効に競合し、それによって、
摩擦表面にその効果を及ぼすことができることの証拠である。したがって、ZD
DPは表面に強く吸着し、表面における化学作用によって有効な耐磨耗被膜を形
成するために、このような化合物は、他の耐磨耗添加剤が表面に吸着してその作
用を発揮することを妨げるものと予測される。
【0009】 ZDDPは、長年乗用車のモータオイルに使用されてきたが、リンを含むので
最近はその使用が規制されている。ZDDPからのリンが触媒コンバータを被毒
させ、自動車の排気の増加をもたらすため、モータオイル中のリン元素の量は0
.1%未満に制限されている。将来、ZDDPの使用は現在のレベルよりさらに
低減すると予想される。したがって、ZDDPの代わりに使用される、またはZ
DDPに加えて使用される耐磨耗添加剤が非常に重要である。
【0010】 ZDDPはまた、ジアルキルジチオリン酸モリブデン、ジアルキルジチオカル
バミン酸モリブデン、モリブデンアミド配位化合物などの可溶性モリブデン添加
剤を含む、ある種のモリブデン(Mo)添加剤と組み合わせて使用されてきた。
しかし、こうしたZDDP/Mo添加剤の組合せにおける1つの限界は、モリブ
デン添加剤がZDDPの耐磨耗効果をしばしば弱めてしまうことであり、これは
非常に不都合なことである。
【0011】 耐磨耗添加剤として潤滑剤中に含まれるその他の添加剤としては、フッ素化有
機化合物がある。通常潤滑剤の添加物として使用されるフッ素化化合物には、ポ
リテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびペルフルオロポリエーテル(P
FPE)がある。フッ素化有機化合物、特にエステルおよびエーテルが、磁気記
録媒体用潤滑剤として、例えば、特開平8−259482号、特開平8−259
501号、ならびに米国特許第5,578,387号、同第5,391,814
号、および同第5,510,513号に開示されている。
【0012】 特開平1−122026号は、磁気記録媒体の潤滑剤として、フッ素を含むC8 までの二酸から誘導された二塩基酸エステルの使用を教示している。この文献
は、PCT公報US/92/08331号と同様に、ジエステルを形成する材料
となる酸の構造には二重結合が存在してもよいことを教示している。このそれぞ
れの文献によって教示される分子構造は、それぞれの末端基にフッ素原子を有し
てもよい。
【0013】 部分フッ素化アジピン酸ジエステル、Rf(CH2x2C(CH24CO2
CH2xfが、潤滑性被膜としてロシア特許SU449925号に開示されて
いる。Bowers等(Lubr.Eng.、7−8月号、1956年、245
〜253頁)は、いくつかの類似のエステルの境界潤滑特性を研究した。この文
献に開示された化合物では、ジエステル基のそれぞれにフッ素が存在しているが
、フッ素化は対称的である。この対称的な部分フッ素化エステルは、通常の潤滑
剤ベース流体中での溶解度が非常に低く、したがって、こうしたベース流体中の
添加剤としてはその有用性が限られる。
【0014】 特開平2−604186号には、1,2,3,4−ブタン−テトラカルボン酸
の部分フッ素化アルコールによるテトラエステルが開示されているが、4個のエ
ステル基が全てフッ素化アルコールから誘導されたので、このエステルもまた対
称的である。対称的フッ素化分子構造を教示するその他の例には、米国特許第4
,203,856号、同第5,066,856号、および同第4,039,30
1号、ならびに特開平8−259482号および特開平8−259501号があ
る。
【0015】 いくつかのエステルを含めた、フッ素含有トリカルボニル化合物が、潤滑剤用
添加剤として、特開平7−242584号に開示されており、その酸官能基が完
全にはエステル化されていないポリカルボン酸の部分フルオロエステルが、米国
特許第3,124,533号に教示されている。
【0016】 フッ素化有機化合物は、被覆表面上に金属フッ化物を生成して、金属表面を磨
耗から保護するものと考えられる。被覆された金属表面に関する表面の研究によ
り、フッ素化有機化合物は金属表面と、摩擦化学反応(摩擦で刺激された化学反
応)を引き起こして、金属フッ化物を生成することが示唆される。例えば、表面
がPTFEで潤滑されたスチールのメカニズムの場合、磨耗領域の表面近くの領
域でフッ化鉄の堆積物が認められた。フッ化鉄などの金属フッ化物は、固体潤滑
剤として良好な性質を有していることが知られている。したがって、PTFEと
金属との相互作用によって生成された金属フッ化物は、金属自体よりも容易にズ
リ変形し、結合破壊(weld-fracture)タイプの磨耗を受けにくいと仮定される
。その結果、PTFEの使用は、稼働する表面間の接触が実際に起きる混合潤滑
および境界潤滑領域において、摩擦と磨耗を低減させる。
【0017】 上述のようなフッ素化材料が、潤滑剤の添加物として使用されてきたが、その
適用における有用性にはいくかの制約がある。このフッ素化材料の1つの制約は
、天然および合成の炭化水素、エステルなどの、通常の潤滑剤ベース流体におけ
る溶解度が非常に低いことであり、それはそれらの適用を固体添加剤としての使
用に事実上制約している。固体添加剤を潤滑剤中で使用することもできるが、い
くつかの問題を引き起こす。
【0018】 例えば、潤滑剤として使用される高度にフッ素化された有機化合物は、一般に
、通常のほとんどの潤滑油ベース流体中に不溶である。例えば、ペルフルオロポ
リエーテル(PFPE)は非常に高度に不溶性であるために、潤滑剤配合物中の
添加剤として使用するのは極めて困難である。PFPEそれ自体を潤滑剤ベース
流体として使用することもできるが、そのコストが高いため、こうした変更は極
端に高価なものになる。同様な不溶性の問題が、ポリテトラフルオロエチレン(
PTFE)の特徴でもある。ほとんど不溶性の固体であるPTFEは、潤滑剤ベ
ース流体中に粒子として微細に分散して、摩擦と磨耗を低減することができる。
しかし、このように分散した固体潤滑剤の有効性は、PTFE粒子が安定な分散
状態を維持するかどうかによって決まる。無限に安定な分散状態を達成すること
は難題である。特に、配合された潤滑剤は、PTFEの分散状態を不安定化する
恐れのある洗浄剤、分散剤、または界面活性剤を含むことがある。さらに、分散
状態の固体粒子は、機械的部品の接触表面に被膜を形成する効果があまり高くな
い。このことは、所望の潤滑性を付与するために金属表面で生じる必要がある摩
擦化学反応の有効性を低下させる。これは、液体または可溶性材料では全く違っ
ており、それらの材料が親和性を有して金属表面上に吸着し、そのことにより潤
滑性作用を提供する表面化学反応に関与することによって、この表面を直接改質
する。分散した固体粒子はまた、時間が経過すると潤滑剤中で凝集することがあ
る。このような凝集粒子は、次いで装置中の潤滑剤の流れを塞ぎまたは制限し、
重要なところで潤滑剤の枯渇を生じる。
【0019】 当技術分野の欠陥を考慮して、本発明の目的は耐磨耗剤および減摩剤として使
用することができ、さらに一般に潤滑剤組成物中に使用される通常の潤滑剤ベー
ス流体と適合性がある、フッ素化潤滑剤の添加剤を提供することである。望まし
くは、こうした潤滑剤の添加剤はまた、以前に知られたフッ素化有機化合物のコ
ストおよび溶解度の制約を克服しなければならない。この目的は、本発明のフッ
素化化合物および配合物によって達成された。
【0020】 (発明の開示) 本発明は、式(I)のフッ素化有機化合物、またはその金属塩を提供するもの
である。
【0021】
【化6】
【0022】 式中、R1およびR2はそれぞれ独立に、C1〜C40の有機性残基(organic resid
ues)からなる群から選択され、 R1およびR2は異なり、あるいはR1およびR2は環を形成し、R1およびR2
少なくとも1つはフッ素化C1〜C40の有機性残基である。
【0023】 本発明の他の実施形態は、式(I)の化合物、またはその金属塩を含む。
【0024】
【化7】
【0025】 式中、R1およびR2はそれぞれ独立に、C1〜C40の有機性残基からなる群から
選択され、 R1およびR2は同じであるかまたは異なり、あるいはR1およびR2は環を形成
し、R1およびR2の少なくとも1つはフッ素化C1〜C40の有機性残基であり、
ただし、R1およびR2が同じであるときは、R1もR2も−(CH2(CF2x
2H)(xは1、3、または5)になることはできない。
【0026】 本発明はさらに、式(I)の化合物、またはその金属塩を含む耐磨耗添加剤を
含む。
【0027】
【化8】
【0028】 式中、R1およびR2はそれぞれ独立に、C1〜C40の有機性残基からなる群から
選択され、あるいはR1およびR2は環を形成し、 R1およびR2の少なくとも1つはフッ素化C1〜C40の有機性残基である。
【0029】 本発明はまた、耐磨耗添加剤を製造する方法を提供するものであり、 (a)少なくとも1つのフッ素化化合物、および少なくとも1つの非フッ素化
化合物を含む、2つ以上の化合物の混合物を調製する工程と、 (b)混合物をチオリン化合物と反応させて、チオリン化合物のリン原子とフ
ッ素化化合物および非フッ素化化合物のそれぞれとの間に、1つまたは複数の酸
素結合を形成する工程と、 (c)式(I)の分子構造を有する、フッ素化ジチオリン酸化合物を回収する
工程とを含む。
【0030】
【化9】
【0031】 式中、R1およびR2はそれぞれ独立に、フッ素化C1〜C40の有機性残基からな
る群から選択され、 R1およびR2は異なり、あるいはR1およびR2は環を形成する。
【0032】 上述のように調製した場合、本発明の化合物は、通常、R1およびR2が共にフ
ッ素化された化合物と、R1およびR2が共に非フッ素化の化合物との混合物とし
て生成される。本発明の化合物がこうした混合物として生成された場合、通常は
分離または精製の必要はなく、そのような形態で様々な用途に使用してもよい。
【0033】 本発明による耐磨耗添加剤の製造方法は、式(I)の生成物を金属原子の供給
源と反応させて、金属塩を生成する工程を含んでもよい。
【0034】 さらに他の実施形態では、本発明は、潤滑剤ベース流体、および1つまたは複
数の式(I)のフッ素化耐磨耗添加剤、および/またはその金属塩を含む組成物
を含み、式中、R1およびR2はそれぞれ独立に、フッ素化C1〜C40の有機性残
基からなる群から選択され、さらに、R1およびR2の少なくとも1つはフッ素化
1〜C40の有機性残基である。
【0035】 (図面の簡単な説明) 図1は、非フッ素化ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)を含む潤滑剤組
成物のボールオンシリンダー(BOCLE)性能を、本発明のフッ素化ジアルキ
ルジチオリン酸亜鉛(F−ZDDP)を含む潤滑剤組成物と比較して示すグラフ
である。
【0036】 図2は、ZDDPを含む潤滑剤組成物のBOCLE性能を、本発明のF−ZD
DPを含む潤滑剤組成物と比較して示すグラフである。
【0037】 図3は、本発明によるF−ZDDPを含む潤滑剤組成物のBOCLE磨耗性能
を示すグラフである。
【0038】 図4は、本発明によるF−ZDDPを含む潤滑剤組成物のBOCLE磨耗性能
を示すグラフである。
【0039】 図5は、本発明のF−ZDDPとジアルキルジチオリン酸モリブデンとの低摩
擦相乗効果を示すグラフである。
【0040】 (発明を実施するための形態) 本発明は、磨耗によって引き起こされる摩擦および劣化に対する耐性が望まれ
る、潤滑剤、モータオイル、およびその他の配合物中で使用可能であり、耐磨耗
添加剤として有用である化合物を提供する。本発明の化合物は、抗酸化性能が望
まれる、いかなる用途においても使用することができる。
【0041】 本発明の化合物は、分子式(I)で表される化合物、およびその金属塩を含む
【0042】
【化10】
【0043】 式中、R1およびR2はそれぞれ独立に、C1〜C40の有機性残基からなる群から
選択され、 R1およびR2は同じであるかまたは異なり、あるいはR1およびR2は環を形成
し、 R1およびR2の少なくとも1つはフッ素化C1〜C40の有機性残基である。
【0044】 本明細書で有機性残基に関して用いられる「フッ素化」という用語は、1つま
たは複数のフッ素原子を含む有機化合物を意味する。この用語はさらに、1つま
たは複数の水素置換基がフッ素原子で置き換えられたヒドロカルビル(hydrocar
byl)またはヒドロカルビルを含む官能基である、1つまたは複数のRf基を含む
化合物も含む。したがって、この観点では、「フッ素化」という用語は、いくつ
かの水素置換基だけがフッ素原子で置き換えられた、ヒドロカルビルまたはヒド
ロカルビルを含有する化合物も含む。
【0045】 上記の式(I)によれば、R1またはR2の一方または両方は、リン原子と反応
して酸素結合を形成することができる官能基を有する任意のフッ素化C1〜C40
の有機性残基から誘導される。こうしたフッ素化有機性残基は、ヒドロカルビル
基またはヒドロカルビル基の集まりからなるものでもよく、必要に応じて、その
どちらも本発明の反応に干渉することのない原子および/または官能基で置換さ
れるか、またはそれらと結合されてもよい。このヒドロカルビル基は、完全にま
たは部分的にフッ素化されてもよく、単結合、二重結合、三重結合、または芳香
性結合によって結合され、適宜に水素原子で置換された、1つまたは複数の炭素
原子の直鎖、側鎖、または環状配列から選択され、さらに必要に応じて、本発明
の化学反応を干渉することのない、官能基または原子で置換されてもよい。ヒド
ロカルビル基の集まりは、完全にまたは部分的にフッ素化されてもよく、炭素原
子、またはB、O、N、S、あるいはPなどの非炭素原子を含む結合によって他
のヒドロカルビル基に結合された、そのような1つまたは複数のヒドロカルビル
基を含む。限定されるものではないが、エーテル、チオエーテル、エステル、チ
オエステル、ホウ酸エステル、アミド、アミン、ケトン、およびスルホキシド結
合が含まれる官能基を含んでもよい。本明細書では−ORと表す酸素(エーテル
)結合が望ましい。この結合は、環状またはヘテロ環状構造でもよく、あるいは
1とR2が結合して、ジオールまたはポリオールなどの環状部分を形成してもよ
い。
【0046】 好ましくは、R1またはR2を構成する有機性残基は、1つまたは複数のRf
を含むフッ素化有機化合物から誘導される。R1またはR2を生成するために使用
される適当なフッ素化C1〜C40の有機性残基は、フッ素化アルコールから選択
される。最も望ましくは、フッ素化有機性残基は、フッ素化第一、第二、第三ア
ルコールまたはフェノールから誘導されたフルオロアルコキシ基である。ただし
、アルコールまたはフェノールが、1つまたは複数のRf基を含めたアルキル、
シクロアルキル、またはアリールの主鎖を有する。
【0047】 式(I)の化合物中に−OR1および−OR2結合を形成するためには、フッ素
化残基としては、一般式RfOH(ただし、Rf基は上記に定義した)のフッ素化
アルコール、およびその混合物を選択することができる。通常、適当なフッ素化
アルコールは、−CF2OH基を含むようなα−フルオロアルコールは反応性が
高く不安定なので、アルコールの官能基−OHとフッ素化ヒドロカルビル基の間
に、少なくとも1つのスペーサー基を含む。スペーサー基は、必ずしもそれには
限らないが、−CH2が好ましい。したがって、本発明に使用される適当なフッ
素化アルコールは、以下の種類から選択することができる。
【0048】 F(CF2xCH2OH、式中、xは1〜約20であり、例えば1H,1H−
ヘプタフルオロ−1−ブタノール、および1H,1H−ペルフルオロ−1−オク
タノール。 H(CF2xCH2OH、式中、xは1〜約20であり、例えば1H,1H,
5H−オクタフルオロ−1−ペンタノール。 F(CF2CF2xCH2CH2OH、式中、xは1〜約10であり、例えば1
H,1H,2H,2H−ペルフルオロ−1−オクタノール、およびペルフルオロ
アルカノール混合物。それらの例としては、デュポン社から商標「ZONYL
BA」(xの平均値が約4.3である)、および「ZONYL BA−LD」(
xの平均値が約3.7である)として市販されている。 F(CF2CF2x(CH2CH2O)yOH、エトキシレートアルコールのテロ
マー、式中、xは1〜約10、yは1〜約20であり、xの平均値が約3.9、
yの平均値が約8である、そのようなアルコールの混合物の形態が好ましい。 F(CFCF3CF2O)xCF(CF3)CH2OH、ポリヘキサフルオロプロ
ピレンオキシド(HFPO)アルコール、式中、xは1〜約20であり、xの平
均値が約6.7である、そのようなアルコールの混合物の形態が好ましい。
【0049】 これらのアルコールについては、混合物を使用してもよい。こうした混合物は
、鎖長とフッ素化の程度が異なる、1つまたは複数のフッ素化アルコールを含ん
でもよい。したがって、例えばアルコールのテロマー混合物を使用する場合、少
量の長鎖のテロマーアルコールが、大部分の短鎖のテロマーアルコールと共に存
在してもよい。
【0050】 本発明で使用するのに好ましいフッ素化アルコールは、F(CF2CF2x
2CH2OH(xは1〜約20)の分子式を有する、1H,1H,2H,2H−
ペルフルオロアルカノールから選択することができる。最も好ましくは、xが1
〜約5である、1H,1H,2H,2H−ペルフルオロアルカノールの混合物が
好ましい。このタイプのアルコールの例としては、1H,1H,2H,2H−ペ
ルフルオロ−1−オクタノールがある。
【0051】 非フッ素化C1〜C40有機性残基は、おもにヒドロカルビル基またはヒドロカ
ルビル基の集まりとしてもよく、それらの各々は、必要に応じて、本発明の反応
に干渉することのない原子および/または官能基で置換され、またはそれと結合
されてもよい。このヒドロカルビル基は、単結合、二重結合、三重結合、または
芳香性結合によって結合され、適宜に水素原子で置換された、1つまたは複数の
炭素原子の直鎖、側鎖、または環状配列から選択されてもよく、さらに必要に応
じて、本発明の化学反応を干渉することのない、官能基または原子、特にハロゲ
ン原子で置換してもよい。ヒドロカルビル基の集まりは、炭素原子によって、ま
たはB、O、N、S、あるいはPなどの非炭素原子を含む結合によって他のヒド
ロカルビル基に結合された、1つまたは複数のヒドロカルビル基を含む。限定さ
れるものではないが、エーテル、チオエーテル、エステル、チオエステル、ホウ
酸エステル、アミド、アミン、ケトン、およびスルホキシド結合を含む官能基を
含んでもよい。酸素(エーテル)結合が望ましい。この結合は、環状またはヘテ
ロ環状構造でもよく、R1とR2が結合して、ジオールまたはポリオールなどの環
状部分を形成してもよい。
【0052】 R1またはR2を形成するために、任意の、適当な非フッ素化C1〜C40有機性
残基を使用することができる。こうした残基は、例えば、非フッ素化残基が非フ
ッ素化アルコールから誘導され、リン原子と−OR1または−OR2結合を形成す
る、アルコキシ基となるように、非フッ素化アルコールを含む群から選択される
。非フッ素化アルコールは、置換されてアルキル、シクロアルキル、または芳香
性主鎖を含んでもよい。
【0053】 例示的な非フッ素化アルコールには、これらに限定されるものではないが、第
一、第二、第三アルコールが含まれる。適当な第一アルコールには、メタノール
、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、および1−オクタノールな
どの高級n−アルカノール、ならびにOxoまたはGuerbetアルコールな
どの枝分かれの第一アルコール、例えばエクソン社の商標「EXXAL 13」
として市販されているイソトリデカノール、Condea社の商標「ISOFO
L 12」として市販されている2−ブチルオクタノール、またはネオペンテル
アルコールが含まれる。適当な第二アルコールには、イソプロパノール、イソブ
タノール、4,4−ジメチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、シクロ
ドデカノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、3,7−ジメチル−3−
オクタノール、2−オクタノールが含まれる。適当な第三アルコールには、t−
ブタノール、およびフェノールやクレゾールなどのアリールアルコールが含まれ
る。非フッ素化アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1
,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール
、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトールな
どのジオールおよびポリオールを選択することもできる。また、可塑剤、清浄剤
、脂肪アルコールなどの、その全てが、チーグラー、Guerbet、Oxoな
どの知られた合成プロセスから、または天然油脂の水素化によって誘導される、
高級アルコールを使用してもよい。
【0054】 フッ素化化合物または非フッ素化化合物の一方または両方は、場合によっては
、所望の酸素結合を生成する反応を干渉しない官能基で置換してもよい。例えば
、個々の成分が、エトキシ化またはプロポキシ化アルコールにおけるようなエー
テル結合を含んでもよい。また、それは直鎖、側鎖、または環状の原子配列を含
んでもよく、同じであるかまたは異なる複数の側鎖基を含んでもよい。
【0055】 好ましくは、R1またはR2の少なくとも1つは、非フッ素化残基を含み、それ
がリン原子と反応して酸素結合を形成する官能基を有する任意の非フッ素化C1
〜C40有機性残基であってもよい。このような実施形態では、得られる本発明の
フッ素化化合物は、少なくとも1つはフッ素化有機性残基で、少なくとも1つは
非フッ素化有機性残基で非対称に置換されてもよい。例えば、式(I)の好まし
い化合物は、置換基として1つはフッ素化有機性残基を、および1つは非フッ素
化有機性残基を含む。
【0056】 式(I)に示すように、フッ素化および非フッ素化置換基R1およびR2は、酸
素原子とのR−O共有結合による単結合によって、チオリン化合物のリン原子に
結合され、式(I)の化合物が、少なくとも1つのフッ素化置換基を含むチオリ
ン化合物となる。好ましくは、式(I)において、R1はフッ素化置換基で、R2 は非フッ素化置換基である。
【0057】 任意の適当なチオリン化合物は、フッ素化化合物および非フッ素化化合物と反
応して、本発明のフッ素化耐磨耗添加剤を生成することができる。本発明の化合
物を生成する反応において、少なくとも1つのフッ素化化合物および少なくとも
1つの非フッ素化化合物とチオリン化合物を反応させて、リン原子とフッ素化化
合物および非フッ素化化合物の各々との間に、1つまたは複数のR−O共有結合
を形成させることによって、リン原子を供給することができる。適当なチオリン
化合物としては、ハロゲン化チオホスホリル、無水チオホスホリルがある。フッ
素化化合物および非フッ素化化合物と、チオリン化合物との間の反応により、式
(I)で表される、置換されたチオリン酸またはその誘導体が生成される。好ま
しくは、チオリン化合物は、無水チオリン酸からなる群から選択される。チオリ
ン化合物としては、五硫化リンが最も好ましく、例えば、Aldrich Ch
emical Companyから市販されている(カタログナンバー23,2
10−6)。
【0058】 好ましくは、無水チオリン酸、P25と、C1〜C40のフッ素化アルコールと
、C1〜C40の非フッ素化アルコールとの間で反応を実施し、それによって少な
くとも1つのフッ素含有置換基、および少なくとも1つの非フッ素含有置換基で
置換された、ジアルキルジチオリン酸化合物を生成する。
【0059】 本発明のフッ素化化合物は、例えば、最初にチオリン化合物を化学量論未満の
限られた量のフッ素化反応物と反応させ、次いで、最初に得られた生成物を非フ
ッ素化反応物と反応させて、式(I)の化合物の生成を完了させることによって
、調製することができる。あるいは、非フッ素化反応物を最初に反応させた後で
、非フッ素化反応物を反応させて式(I)の化合物を生成してもよい。あるいは
、少なくとも1つのフッ素化反応物と、少なくとも1つの非フッ素化反応物(好
ましくは混合異性体で長鎖の非フッ素化化合物)との混合物を、チオリン化合物
と単一ステップで反応させてもよい。本発明の化合物を生成するために使用する
反応物の組合せにおいて、フッ素化反応物と非フッ素化反応物との比率は、選択
される個々のフッ素化反応物および非フッ素化反応物によって変化する。反応物
は、十分な量のフッ素が組み込まれて所望の耐磨耗効果を有する化合物が得られ
るが、それでもなお、意図した使用用途への適合性を維持するように選択される
。例えば、使用用途が潤滑剤組成物の場合、その化合物は、潤滑剤ベース流体と
適合性となる比率のフッ素を含むべきである。通常、フッ素化反応物の比率は、
反応物の合計の約1モル%〜50モル%である。添加剤は、約2重量%〜25重
量%のフッ素を含有することが好ましい。
【0060】 フッ素化化合物および非フッ素化化合物と、リン原子との間で酸素結合を生成
するのに使用する反応は、当技術分野で知られている任意の反応方法から選択す
ることができる。毒性と悪臭のある硫化水素など好ましくない副生成物が除外で
きるという理由、および/または速度の問題から、特別の反応方法がより好まし
い場合もある。好ましくは、本発明のジアルキルジチオリン酸およびその塩は、
1つまたは複数のRf基を含む少なくとも1つのフッ素化化合物および少なくと
も1つの非フッ素化化合物を含む混合物と、チオリン化合物との反応によって調
製される。
【0061】 特に好ましい実施形態では、1つまたは複数のフッ素化アルコールおよび1つ
または複数の非フッ素化アルコールと、五硫化リンを一緒に反応させて、生成物
としてジアルキルジチオリン酸化合物を生成する。本発明のフッ素化アルコール
および非フッ素化アルコールは共に、さらに他の官能基で置換されてもよい。た
だし、追加された置換基が、五硫化リンとの反応によってジアルキルジチオリン
酸を生成する反応、またはその金属塩を生成する後に続く任意の反応のいずれを
も干渉しないことを前提とする。
【0062】 このような好ましい実施形態において、置換基R1およびR2は、この置換基の
少なくとも一方はフッ素化されており、他方はフッ素化されていないので、互い
に異なっている。したがって、得られるジアルキルジチオリン酸化合物は非対称
である。こうした非対称な化合物は、その化合物を例えば潤滑剤添加剤として使
用したときに、フッ素化置換基が存在することで摩擦化学作用が改善され摩擦の
低減および磨耗低減性能が得られるために有利である。同時に、非フッ素化置換
基が存在することで、このような化合物の通常の潤滑剤ベース流体に対する溶解
度が向上する。
【0063】 ジアルキルジチオリン酸は、さらにジアルキルジチオリン酸金属塩に変換して
もよい。これに関して、ジアルキルジチオリン酸は、金属または金属化合物と反
応させて、ジアルキルジチオリン酸金属塩への変換を促進させる。油溶性または
油分散性塩を生成する任意の適当な金属または金属化合物を使用することができ
る。金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または遷移金属が適当である。
例えば、金属原子の供給源は、亜鉛、モリブデン、バリウム、アルミニウム、カ
ルシウム、リチウム、鉛、錫、銅、カドミウム、コバルト、ストロンチウム、ニ
ッケル、またはそれらを組合せた金属または金属化合物とすることができる。好
ましくは、金属原子は亜鉛、モリブデン、またはその化合物に由来する。最も好
ましくは、金属原子は、それだけには限定されるものではないが、酢酸亜鉛、酸
化亜鉛、水酸化亜鉛を含めた亜鉛金属または亜鉛塩に由来する。
【0064】 本発明による金属塩を調製する方法は、式(I)の生成物を純粋な金属または
金属塩などの金属化合物と組み合わせて、ジアルキルジチオリン酸金属塩を生成
する反応をもたらすことを含む。所望の場合は、反応を、例えば還流温度に加熱
することによって加速することができる。反応の基本原理は、1つまたは複数の
ジアルキルジチオリン酸を塩基性金属化合物または金属で中和して、塩を生成す
ることである。この反応から誘導される塩は、1つまたは複数のジアルキルジチ
オリン酸残基に共有結合またはイオン結合した金属原子を含み、酸残基数は金属
原子の原子価によって決まる。この点で、塩の分子構造は、単純な2成分の塩か
ら金属原子に複数のジアルキルジチオリン酸残基が配位した配位化合物まで様々
なものとなり得る。通常、本発明による2成分塩の分子構造は、式(II)で表
すことができる。
【0065】 [Mx+][S(S)P(OR)2x (II)
【0066】 式中、xは、金属原子の原子価であり、R基は、上記で定義したR1およびR2
ら選択され、ただし、R1またはR2の少なくとも1つはフッ素化されている。こ
のタイプの塩の例としては、Na[S(S)P(OR)2]で表される、フッ素
化ジアルキルジチオリン酸ナトリウムがある。より高い原子価を有する遷移金属
原子ほど、より高分子量の塩を生成することができる。例えば、その反応により
生成することのできるフッ素化モリブデン化合物の1つは、以下のように表すこ
とができる。
【0067】
【化11】
【0068】 式中、R基は、上記に定義した、R1およびR2のいずれかとすることができ、た
だし、R1またはR2の少なくとも1つはフッ素化されている。酸残基による金属
原子の置換の程度は、反応の化学量論によっても変化する。これらの要因にした
がって、多数となり得る金属塩を生成することができる。
【0069】 本発明により生成される、一般的なジアルキルジチオリン酸亜鉛塩は以下の式
で表される。
【0070】 [Zn2+][S(S)P(OR)22 (III)
【0071】 ジチオリン酸塩を生成するためには、式(I)の1つまたは複数のジアルキル
ジチオリン酸を含む反応混合物に、純粋な金属または金属塩を加え、得られた混
合物を撹拌し、必要に応じて加熱して、式(III)で表される塩への中和を促
進させる。例えば、次のスキームによって、酢酸亜鉛を用いて、フッ素化された
ジアルキルジチオリン酸亜鉛を調製することができる。
【0072】
【化12】
【0073】 ただし、式(I)のR1およびR2は、上記に定義した通りであり、式(III)
のR3、R4、R5、およびR6は、C1〜C40のフッ素化または非フッ素化有機残
基である。置換基R1およびR2が所望するようにフッ素化された、またはフッ素
化されていない場合、得られる式(III)のジアルキルジチオリン酸亜鉛は、
3、R4、R5、またはR6のいずれかと同じ置換基を含むことができる。
【0074】 本発明によるジアルキルジチオリン酸亜鉛を生成する際、様々な金属原子の供
給源を使用して活性金属イオン種を供給することができるが、中和反応の結果、
様々な副生成物が生成されることがある。適用な亜鉛供給源、および得られる副
生成物としては以下のものがある。
【0075】
【表1】
【0076】 本明細書で説明および例示するように、活性種をその他の適当な金属イオンから
選定した場合、同様の副生成物が予想される。
【0077】 フッ素化ジアルキルジチオリン酸塩中のフッ素置換の程度は、式(I)の化合
物における最初の置換の程度、ならびにフッ素化残基および非フッ素化残基とチ
オホスホリル化合物との反応の完成度によって変化する。さらに、式(I)の化
合物におけるフッ素化置換基の位置に応じて、式(II)の1つまたは複数の金
属塩が、混合生成物として生成される。この混合生成物は、金属塩誘導体と共に
未反応ジアルキルジチオリン酸を含んでもよい。通常は必要ないが、所望の場合
は、本発明の混合反応物を遠心分離、蒸留、分別結晶、ろ過、抽出、またはその
他の当業者に知られている標準的な方法によって精製してもよい。例えば、ジチ
オリン酸塩を溶媒中に溶解し、難溶性不純物をろ過によって除去してもよい。こ
の目的のための適当な溶媒の例としては、シクロヘキサン、トルエン、または鉱
油がある。得られる生成物は、通常、室温で粘性流体であるかまたはワックス状
固体である。
【0078】 ジアルキルジチオリン酸中に見られる非対称置換が、酸の中和によって生成さ
れたジチオリン酸塩中に生じてもよい。こうした置換は、得られるジチオリン酸
生成物に、磨耗性能および溶解度に関して同様な利点をもたらす。したがって、
非対称ジアルキルジチオリン酸および本発明のジアルキルジチオリン酸塩は、磨
耗防止または低減、および潤滑剤組成物中へのそれらの溶解度の両方について、
高められた性能を示す。
【0079】 本発明による、フッ素化ジチオリン酸金属塩、特にフッ素化ジアルキルジチオ
リン酸亜鉛(F−ZDDP)は、潤滑剤やモータオイルなどの潤滑性組成物中で
有効な耐磨耗添加剤であることが分かっている。さらに、本発明のジアルキルジ
チオリン酸亜鉛が潤滑剤ベースオイルに含まれる場合、得られる組成物はベース
オイルのみよりも、磨耗の低減に有効である。驚くべきことには、本発明のフッ
素化ジアルキルジチオリン酸亜鉛は、同類の非フッ素化ジアルキルジチオリン酸
亜鉛またはジチオリン酸塩と比較して優れた耐磨耗性能を示すことが分かった。
したがって、F−ZDDPを使用すると、リン含有量を低減し、排気触媒を被毒
するリンを減少させた乗用車モータオイル(PCMO)潤滑剤の配合を可能にす
ることができる。また、F−ZDDPは、低摩擦PCMOまたはその他の低摩擦
潤滑剤配合物中に有用なモリブデン添加剤と組合せると、非フッ素化ZDDPと
少なくとも同等、またはより良好に機能することも分かった。
【0080】 さらに、通常のフッ素化添加剤とは対照的に、少なくとも部分的にフッ素化さ
れた本発明のF−ZDDPは、鉱油、ポリα−オレフィン、エステルなどの潤滑
剤ベース流体に可溶であり適合性がある。ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、またはペルフルオロエーテル(PFPE)などの通常のフッ素化潤滑剤は
、通常、高度にフッ素化され、高分子量であり、オイルに不溶性である。例えば
、一般的なフッ素化潤滑剤であるPTFEは、完全にフッ素化された炭素鎖を有
し、フッ素の分子比率は68重量%〜76重量%になる。対照的に、本発明のF
−ZDDPは、好ましくはフッ素が約1重量%〜50重量%、より好ましくは、
約1重量%〜30重量%含まれる。非常に少量のフッ素化アルコール成分であっ
ても、F−ZDDPを潤滑剤配合物中の添加剤として使用すると磨耗および摩擦
が目覚しく低減できるという利点が認められる。さらに、非フッ素化アルコール
成分の存在は、本発明のF−ZDDPの性能を高める。特に、好ましいF−ZD
DPの非フッ素化アルコール成分は、溶解性を高め、オイル中に完全に可溶とな
り、またフッ素化アルコールだけから調製したF−ZDDPと比較してコストが
低減される。
【0081】 耐磨耗潤滑剤用添加剤としてのF−ZDDPの機能は、他の通常知られている
フッ素化化合物の使用を超える驚くべき改善を示す。ZDDPは、金属の磨耗表
面に強く吸着する能力を持つために、他のタイプの耐磨耗添加剤が何らかの表面
改質作用を及ぼすことを予想通り阻害する。したがって、フッ素化置換基を組み
込んでF−ZDDPを生成すると、非フッ素化ZDDPに比べて、この化合物の
性能を著しく改善することは驚くべきことである。さらに驚くべきことには、F
−ZDDPの性能によって実際に示されたこの目覚しい改善は、大部分の量の非
フッ素化置換基と組み合わされた極少量のフッ素化置換基を使用して得ることが
できる。
【0082】 本発明の潤滑剤組成物は、フッ素化添加剤を適当な潤滑剤ベース流体に溶解す
ることによって調製することができる。任意の適当な潤滑剤ベース流体を使用し
てもよい。潤滑剤ベース流体は、内燃機関用のオイルのブレンドに使用できるよ
うな粘度等級を有することが好ましい。ベースオイルの粘度は、潤滑剤の用途に
よって変化し、非常に広い範囲にわたる。その範囲は、ISO 10〜ISO 1
000、または、これより高くても低くてもよい。モータオイルの場合、ベース
流体の粘度はISO 10〜ISO 150の範囲が適当である。適当な潤滑剤ベ
ース流体の一例としては、ISO粘度32の水素化分解された鉱油ベースオイル
であり、添加剤を含まない「HYDROCLEAR(登録商標)」がある。
【0083】 潤滑剤組成物は、完全に非フッ素化であるジアルキルジチオリン酸金属塩など
の、1つまたは複数の他の従来知られている潤滑性または耐磨耗添加剤を含んで
もよい。例えば、R.T.Vanderbilt社から「MOLYVAN」の商
標で市販されている、様々なジチオリン酸モリブデンを組成物に加えてもよい。
こうした化合物の1つとしては、「MOLYVAN−L」として市販されている
、モリブデンビス[O,O−ビス(2−エチルヘキシル)ホスホロジチオエート
−S,S′]ジオキソジ−ム−チオオキソジ−(Mo−Mo)がある。潤滑剤組
成物に有用な他の可溶性モリブデン化合物は、旭電化から「アデカ サクラルー
ブ」の商標で市販されている。
【0084】 本発明の添加剤はまた、非フッ素化ZDDP、およびジアルキルジチオリン酸
モリブデン、ジアルキルジチオカルバメートモリブデン、アミド錯体モリブデン
を含めた非フッ素化モリブデン耐磨耗添加剤などの、他の知られている耐磨耗添
加剤との組合せで使用してもよい。非フッ素化モリブデン添加剤は、非フッ素化
ZDDPの有効性を低下させることが知られているが、同様にF−ZDDPの磨
耗性能に悪影響を有することは明らかである。しかし、F−ZDDPは非フッ素
化ZDDPより良好な磨耗性能を付与するために、F−ZDDPはモリブデン添
加剤と共に使用してもよく、そのようにしても非フッ素化ZDDPおよびモリブ
デン添加剤の使用と比較して優れた耐磨耗性能を維持している。
【0085】 フッ素化添加剤は、希望の結果を得るために所望の量を使用してもよい。例え
ば、モータオイルに使用する場合は、添加剤量はモータオイルの重量に対して、
約0.1重量%〜約10重量%の範囲にすることができる。
【0086】 本発明の耐磨耗添加剤は、潤滑剤または乗用車モータオイル(PCMO)配合
物中で、他の通常の成分と組み合わせてもよい。粘度調節剤を添加してもよい。
適当な粘度調節剤としては、それだけには限らないが、NORDEL(商標)、
ポリメタクリレート、その他などのオレフィンコポリマーがある。さらに、酸化
防止剤、流動点降下剤、清浄剤、分散剤、摩擦調節剤、耐磨耗剤、消泡剤、腐食
防止剤、金属不活性剤からなる群から選択される、1つまたは複数の通常の成分
を含んでもよい。本発明の配合物中で所望の効果を引き起こすのに必要な量は、
当業者には容易に分かるであろうが、適切には、粘度調節剤は、PCMOに約4
重量%〜約15重量%の濃度範囲で加えられ、その一方で、上述の他の添加剤は
約3重量%〜約15重量%を占めてもよい。
【0087】 以下の実施例は、本発明を例示するものであるが、本発明はこれに限定される
ものではない。
【0088】 (実施例) 本発明のフッ素化耐磨耗添加剤を調製し、耐磨耗剤としての性能を決定するた
めに評価した。31P化学シフトを、分光計の作動パラメータに基づいて計算し、
近似の化学シフトを外部H3PO4低磁場のppm単位で示した。
【0089】 (実施例1) 酢酸亜鉛を用いた、ビス[ジ−(25モル%ZONYL BA,75モル%2
−オクチル)−ジチオリン酸]亜鉛の調製 グローブボックス内で、250mlの3ツ首丸底フラスコに、五硫化リン、P25(Aldrich)5.56gを入れて、25ミリモルの濃度とした。約1
0mlのトルエンを用いてフラスコの首と壁のP25を下方へ洗い流した。フラ
スコをゴムの隔膜でキャップした。換気フード内で、ゴム隔膜の1つを通して挿
入した針から乾燥窒素のゆるやかな向流を導入し、挿入量10.74g(82.
5ミリモル)の2−オクタノールを入れた滴下漏斗、還流コンデンサー、磁気撹
拌子をフラスコに装備した。還流コンデンサーの出口は、プラスチックの管を通
してカセイアルカリスクラバーに結合させ、次にフードに向かって排気させた。
【0090】 ペルフルオロアルコールの混合物であるZONYL BA 13.2g(27.
5ミリモル)と、トルエン20mlとの混合物を湯浴中で温めて、ペルフルオロ
アルコールを融解および溶解させた。次に、この混合物を反応フラスコに一度に
加えた。次に2−オクタノールを、滴下漏斗を通して6分間かけて加え、その一
方で、加熱マントルを用いて、温めたトルエンおよびペルフルオロアルコールの
混合物を加えたときの最初の温度47℃から、温度52℃まで反応混合物を加熱
した。次に、混合物を加熱して110℃〜115℃の温度で2.3時間にわたっ
て還流した。この反応の終点では、P25は完全に溶解し、白味を帯びた生成物
が生成された。この生成物は、フッ素化アルコールを用いない反応で、代わりに
生成される透明な緑色を帯びた生成物よりも高粘度であった。31P NMR(核
磁気共鳴)スペクトルでは、3つの主要なシグナルが化学シフト83.9、85
.9、87.9ppmに示された。それらは、それぞれジ−2−オクチルジチオ
リン酸、混合型ZONYL BA−オクチルジチオリン酸ジ−ZONYL BA
ジチオリン酸とアサインされた。NMRシグナルの積分から、混合物におけるこ
れら3つの化合物の相対比率は、調製に使用したフッ素化アルコールおよび2−
オクタノールの相対量を基準として、統計的に予測されることは明らかである。
【0091】 次に、反応混合物を28℃に冷やし、その後、固体の無水酢酸亜鉛5.05g
(27.5ミリモル)を一度に加えた。混合物を110℃〜115℃で約3時間
にわたって還流した。温かいうちに(約60℃の温度で)生成物をろ過し、フィ
ルターをトルエンで洗浄した。得られた風乾後のろ過ケークの重量は0.101
1gであった。ろ液を真空中で分離してジアルキルジチオリン酸亜鉛27.47
gを理論収率90%で得た。
【0092】 ビス[ジ−(25モル%ZONYL BA,57モル%2−オクチル)−ジチ
オリン酸]亜鉛の1Hおよび31P NMRスペクトルを測定した。スペクトルよ
り、ジチオリン酸塩中の2−オクチル置換基およびフッ素化アルコール置換基の
比率は、フッ素化アルコール25%、2−オクタノール75%の開始アルコール
混合物から予想される比率と一致していた。
【0093】 (実施例2〜6) 追加のフッ素化ジアルキルジチオリン酸亜鉛を、様々なフッ素化化合物、非フ
ッ素化化合物、および亜鉛供給源の組合せを用い、またチオリン酸化合物として
は五硫化リン(P25)を用いて調製した。各サンプルは、実施例1に記載した
方法と類似の方法によって調製した。反応物の組合せおよび比率と得られた実施
例2〜6の生成物、ならびに実施例1の生成物F−ZDDPを、以下の表1に詳
しく述べる。
【0094】
【表2】
【0095】 (比較例A) 非フッ素化ZDDP、ビス(ジ−2−オクチル−ジチオリン酸)亜鉛の調製 グローブボックス内で、250mlの3ツ首丸底フラスコに、P25 5.5
6g(25ミリモル)とトルエン30gを入れた。フラスコをゴムの隔膜でキャ
ップして、換気フード中に置いた。1つのゴム隔膜を通して挿入した針からの乾
燥窒素のゆるやかな向流の下で、14.33g(110ミリモル)の2−オクタ
ノールを入れた滴下漏斗、還流コンデンサー、および磁気撹拌子をフラスコに装
備した。還流コンデンサーの出口は、プラスチックの管を通してカセイアルカリ
スクラバーに結合させ、次にフードに向かって排気させた。
【0096】 外部加熱なしに、2−オクタノールを11分間かけて加えた。その後反応温度
は発熱反応により28℃から33℃に上昇した。反応混合物を加熱マントルによ
って加熱し、約115℃のポット温度で約2時間にわたって還流した。その後は
全てのP25が溶解した。反応混合物は透明で緑色であった。重水素化ベンゼン
中の31P NMRで、1つの主要なシグナルが83.9ppmに示された。この
シグナルは2−オクチルジチオリン酸とアサインされた。
【0097】 反応混合物を冷却後、過剰な亜鉛紛3.6g(55ミリモル、理論濃度の2.
2倍)を一度に加えた。混合物を撹拌、加熱し、約2時間にわたって還流を維持
した。混合物を冷却し、次に、0.2ミクロンのMillipore(商標)フ
ィルタでろ過した。フィルタ上に残ったZn残留物を、トルエンで洗浄し、風乾
した。風乾した未使用亜鉛の回収量は、2.09gであった。ろ液と洗浄に用い
たトルエンを合わせて、ポンプ出力一杯の真空を用いて、真空中でトルエンを除
去して分離した。この生成物は、淡青緑色の透明液体で、重量は19.68gで
あり、それはほぼ定量的収量であった。1Hおよび31P NMRは、その生成物
の分子構造と一致していた。
【0098】 (比較例B) 非フッ素化ZDDP、ビス(ジ−イソトリデシルジチオリン酸)亜鉛の調製 この比較例は、非フッ素化アルコールとして、Exxon Chemical
Companyから「EXXAL 13」の商標で市販されている、イソトリ
デカノール混合物21.78gを使用し、および最初の反応の際、その全てがイ
ソトリデカノールを加える前に反応容器に加えられた、トルエン溶媒30gのみ
を使用した点を除き、比較例Aに関する調製スキームを用いて調製した。
【0099】 本発明による代表サンプルを評価するために、以下の試験方法を用いた。
【0100】 試験方法 サンプルを、ASTM D5001に記載の、ボールオンシリンダー(BOC
LE)試験を用い、試験期間30分で試験した。この試験には表2に要約した、
いくつかの変更を加えた。この変更は、耐磨耗および摩擦改質性能のより厳しい
試験にするためのものである。磨耗は、ASTM D5001によって求められ
、試験期間が終わった時に測定したボール上の磨耗キズの寸法によって定量化し
た。この試験を使用すると、より摩耗の少ない瘢痕は、より少ない摩耗を示した
。摩擦係数は、ボール上の接線方向(横方向)の力とボールの上下方向(法線方
向)の力との比から計算した。このパラメータのそれぞれの測定では、報告する
測定値は試験期間後半の26分間の平均値であり、初めの4分間は慣らし運転と
した。全ての場合、法線方向の力は12,000gとした。
【0101】
【表3】
【0102】 本発明の材料の添加剤としての相対性能を、Conoco社から通常に入手可
能な、高品質、水素化分解された鉱油、HYDROCLEAR(登録商標)中で
評価した。使用したHYDROCLEARの等級、すなわちISO32粘度等級
とは、内燃機関での使用に向けたオイルをブレンドするための1成分として使用
可能である等級である。HYDROCLEAR ISO32ベースオイルは添加
剤を含有していない。
【0103】 HYDROCLEAR ISO32ベースオイルを、変更BOCLE方法によ
って、多くの回数試験した。この結果の平均値を表3にまとめる。
【0104】
【表4】
【0105】 本発明による添加剤の摩擦および磨耗の低減における有用性を決定するために
、これらのパラメータを、水素化分解されたISO32オイル中の、本発明によ
って調製したF−ZDDPの濃度の関数として測定した。F−ZDDPは、各サ
ンプル中にリンが一定のモル濃度で含まれるように調製した。
【0106】 比較の目的で、国際潤滑油標準化承認委員会(ILSAC)のGF−1および
GF−2規格により配合された、いくつかの市販の乗用車オイルの摩擦および磨
耗性能を測定した。試験したGF−1オイルには、2つの主要な完全合成の「M
OBIL 15W30」およびカストロール「SYNTEC 5W50」、なら
びに1種類の従来の非合成オイル「MOTORCRAFT 5W30」が含まれ
る。3つのオイルの性能は、表4にまとめて示すようにかなり類似していた。こ
れは、3つのオイルがそれぞれに、極めて有効な耐磨耗剤、ジアルキルジチオリ
ン酸亜鉛(ZDDP)を同じような量で含むためであろう。試験したGF−2オ
イルは、Castrol(登録商標)、Valvoline(登録商標)、Pe
nnzoil(登録商標)、Mobil(登録商標)、Conoco(登録商標
)、Quaker State(登録商標)からのもので、表示の粘度等級は、
5W30、10W30、10W40、5W50、20W50であった。
【0107】 GF−1モータオイル中のZDDPからのリン(P)のレベルは、通常約0.
12%(1200ppm)である。最近のGF−2モータオイルは0.1%のP
しか含有しておらず、次世代のオイルは、より一層低いPを含有することが期待
される。表4で分かるように、Pが少なくなると磨耗性能が悪くなる。
【0108】
【表5】
【0109】 これらの結果は、最近の標準であるGF−2モータオイルは、通常の耐磨耗添加
剤を含んでいるにもかかわらず、より高い摩擦係数を有し、より大きな磨耗キズ
を生じること、したがって磨耗防止の効果は弱いことを示す。
【0110】 本発明にしたがって調製された添加剤の効率を決めるために、その摩擦と磨耗
に対する効果を、HYDROCLEAR ISO32オイル中のその濃度の関数
として測定した。一般に、ブレンドした潤滑剤中で所定のレベルのフッ素を得る
ためには2つのアプローチがある。高濃度のフッ素を含む添加剤は少ない取扱い
量で使用でき、または低濃度のフッ素を含む添加剤は多くの取扱い量で使用でき
る。この2つのアプローチは、必ずしも同じ性能を付与するものである必要はな
い。
【0111】 添付の図は、本発明のフッ素化耐磨耗添加剤の優れた性能をグラフで示したも
のである。図1は、比較例AのZDDP、および実施例1〜4のF−ZDDPに
対するBOCLE性能を示す。表1に示すように、この化合物は、ZONYL
BAおよび2−オクタノールの様々な混合物から調製され、ZONYL BAの
モル%を0〜25%に変化させた。試験流体中のリン、Pのレベルが約500p
pmとなる添加剤の濃度で、各々のサンプルを試験した。ZONYL量が0(比
較例A)から約25モル%(実施例1)に増加すると、フッ素、Fの量は0から
23モル%に増加することが認められた。図1によると、BOCLE磨耗キズの
直径が約0.9mmから約0.6mmに劇的に減少している。全てのF−ZDD
Pのサンプルが、比較例Aの非フッ素化ZDDPよりも低い磨耗を示した。
【0112】 図2は、イソトリデカノールから調製された、比較例BのZDDPおよび実施
例6のF−ZDDPに対するBOCLE性能を示す。両サンプルは、HYDRO
CLEAR ISO32鉱油中で、リン濃度が500ppmPになるのに十分な
濃度で試験した。対照試験として、鉱油だけの性能も示した。図2から、ZON
YLおよびイソトリデカノールの組合せから生成したF−ZDDPは、イソトリ
デカノールのみから調製したZDDPを使用した場合(比較例B)よりも、劇的
に低い磨耗性をもたらした。
【0113】 図3および図4は、それぞれ実施例5および6からのF−ZDDPのBOCL
E性能を示す。この添加剤は、低濃度でも、BOCLE磨耗キズの直径を約0.
9mmから約0.5〜0.6mmに劇的に減少させることが認められた。
【0114】 図5は、本発明のF−ZDDPと、市販のジアルキルジチオリンモリブデン、
すなわち600ppm(約0.7重量%)のMOLYVAN Lとの間の低摩擦
相乗効果を示す。対照試験として、HYDROCLEAR鉱油だけを評価した。
【0115】 また、標準分析手順を用いて、実施例1〜6および比較例AとBの各々の金属
塩に対して元素分析を実施した。この分析は複雑な干渉のため非常に困難であっ
た。したがって、Fのモル%を測定する場合、CeCl3、Ag2Oおよびカチオ
ン交換樹脂を使用して、PとSによる干渉を除いた。各元素のモル%、ならびに
モル%の計算値を表5に示す。
【0116】
【表6】
【0117】 このデータは、本発明の化合物の基本的特性を反映しており、フッ素化ジアル
キルジチオリン酸塩としての、その分子組成が確定された。
【0118】 追加のフッ素化ジアルキルジチオリン酸亜鉛、および非フッ素化ジアルキルジ
チオリン酸亜鉛の比較例を、以下のスキームによって調製した。
【0119】 (比較例C) シクロドデカノールからのジシクロドデシルジチオリン酸および亜鉛塩 グローブボックス内で、250mlの3ツ首丸底フラスコに、P25 5.5
6g(25ミリモル)を入れた。トルエン約10mlを用いてフラスコの首と壁
のP25を下方へ洗い流した。フラスコをゴムの隔膜でキャップして、フード中
に移した。1つのゴム隔膜を通して挿入した針からの乾燥窒素のゆるやかな向流
の下で、環状アルコールのシクロドデカノール20.28g(110ミリモル)
とトルエン30.42gを入れて加温によりシクロドデカノールを溶解させてお
いた滴下漏斗、還流コンデンサー、および磁気撹拌子をフラスコに装備した。還
流コンデンサーの出口は、プラスチックの管を通してカセイアルカリスクラバー
に結合させ、次にフードに向かって排気させた。
【0120】 トルエン中のシクロドデカノールの溶液を、滴下漏斗を通して21分間かけて
加え、その一方で、反応混合物を加熱マントルによって、室温から105℃まで
加熱した。この反応を加熱して還流し(118〜120℃)、約1.4時間にわ
たって維持した。その時には、全てのP25は溶解し、透明な緑色溶液となった
31P NMRで、主要なシグナルが85.0ppmに示され、ジシクロドデシ
ルジチオリン酸とアサインされた。
【0121】 反応混合物を37℃に冷却後、固体の無水酢酸亜鉛(5.05g、27.5ミ
リモル、Aldrich)を一度に加えた。混合物を加熱し、約2時間にわたっ
て還流した。温かいうちに(約60℃で)生成物をろ過し、フィルタをトルエン
で洗浄した。風乾したろ過ケークの重量は0.1641gであった。ろ液を真空
中で50℃で分離して、粘着性のガラス状の塊として生成物を得た。元素分析、1 Hおよび31P NMRスペクトルは、予期した生成品のZDDP組成物と一致
していた。31P NMRスペクトルは93.7ppmに主要なシグナルを示した
が、ジシクロヘキサノールジチオリン酸亜鉛とアサインされた。
【0122】 (比較例D) シクロヘキサノールからのジシクロヘキシルジチオリン酸および亜鉛塩 グローブボックス内で、250mlの3ツ首丸底フラスコに、P25 5.5
6g(25ミリモル)とトルエン20mlを入れた。フラスコをゴムの隔膜でキ
ャップして、フード中に移した。1つのゴム隔膜を通して挿入した針からの乾燥
窒素のゆるやかな向流の下で、シクロヘキサノール11.02g(110ミリモ
ル)を入れた滴下漏斗、還流コンデンサー、および磁気撹拌子をフラスコに装備
した。還流コンデンサーの出口は、プラスチックの管を通してカセイアルカリス
クラバーに結合させ、次にフードに向かって排気させた。
【0123】 シクロヘキサノールを、滴下漏斗を通して3分間かけて加え、その一方で、反
応混合物を加熱マントルによって、室温から42℃まで加熱した。この反応を加
熱して還流し(114〜116℃)、約1時間にわたって維持した。その時には
全てのP25は溶解し、透明な緑色の溶液となった。31P NMRで、主要なシ
グナルが83.1ppmに示され、ジシクロヘキシルジチオリン酸とアサインさ
れた。
【0124】 反応混合物を29℃に冷却後、固体の無水酢酸亜鉛(5.05g、27.5ミ
リモル、Aldrich)を一度に加えた。混合物を加熱し約2時間にわたって
還流(108℃〜111℃)した。温かいうちに(約60℃で)生成物をろ過し
、フィルタをトルエンで洗浄した。風乾したろ過ケークの重量は0.18gであ
った。ろ液を真空中で約50℃で分離して、白味を帯びた固体として生成物を得
た。元素分析、1Hおよび31P NMRスペクトルは、予期した生成物のZDD
P組成物と一致していた。31P NMRスペクトルは93.7ppmに主要なシ
グナルを示したが、ジシクロヘキシルジチオリン酸亜鉛とアサインされた。
【0125】 (比較例E) ジ−2−オクチルジチオリン酸、およびZnOで中和することによる亜鉛塩の
調製 グローブボックス内で、250mlの3ツ首丸底フラスコに、P25 5.5
6g、25ミリモルとシクロヘキサン30gを入れた。フラスコをゴムの隔膜で
キャップして、フード中に移した。1つのゴム隔膜を通して挿入した針からの乾
燥窒素のゆるやかな向流の下で、滴下漏斗(2−オクタノール14.33g、1
10ミリモルを含む)、還流コンデンサー、および磁気撹拌子をフラスコに装備
した。還流コンデンサーの出口は、プラスチックの管を通してカセイアルカリス
クラバーに結合させ、次にフードに向かって排気させた。
【0126】 2−オクタノールを7分間かけて加え、その一方でこの反応を加熱マントルを
用いて室温から37℃まで加熱した。この反応を加熱し約5時間にわたって還流
(ポットの温度は約83〜87℃)した。その時には全てのP25は溶解した。
反応混合物は透明で緑色であった。31P NMRで、主要なシグナルが83.9
ppmに示され、ジ−2−オクチルジチオリン酸とアサインされた。
【0127】 反応混合物を冷却後、2.03g(25ミリモル)のZnOを一度に加えた。
混合物を攪拌、加熱し、7.5時間にわたって還流を維持した。生成物を冷却し
、次に0.2ミクロンMilliporeフィルタを通し、ろ過した。フィルタ
に残留した白色結晶、恐らく未反応のZnOをシクロヘキサンで洗浄し、次に風
乾した(0.2g)。ろ液と洗浄に用いたシクロヘキサンを合わせて真空中で分
離して、シクロヘキサンを除去した。生成物は淡青緑色の透明な液体(18.3
g、理論収量の95%)であった。元素分析、1Hおよび31P NMRスペクト
ルデータは、予期したZDDP組成物と一致した。約95ppmの主要なシグナ
ルは、ビス(ジ−2−オクチルジチオリン酸)亜鉛(II)とアサインされた。
【0128】 (実施例7) シクロドデカノールおよびZONYL BA混合物からの、混合型シクロドデ
シル−ZONYL BAジチオリン酸、および亜鉛塩 グローブボックス内で、250mlの3ツ首丸底フラスコに、P25 5.5
6g(25ミリモル)を入れた。トルエン約10mlを用いてフラスコの首と壁
からP25を下の方へ洗い流した。フラスコをゴムの隔膜でキャップして、フー
ド中に移動した。1つのゴム隔膜を通して挿入した針からの乾燥窒素のゆるやか
な向流の下で、トルエン10g中の1.23g(3ミリモル)のZONYL B
Aを、加温してZONYL BAを溶解させておいて一度に加えた。次に、シク
ロドデカノール19.77g(107ミリモル)およびトルエン29.66gを
入れ、加温してシクロドデカノールを溶解させておいた滴下漏斗、還流コンデン
サー、および磁気撹拌子をフラスコに装備した。還流コンデンサーの出口は、プ
ラスチックの管を通してカセイアルカリスクラバーに結合させ、次にフードに向
かって排気させた。
【0129】 トルエン中のシクロドデカノールの溶液を、滴下漏斗を通して11分間かけて
加え、その一方で反応混合物を加熱マントルによって、室温から80℃まで加熱
した。この反応を加熱して還流し(118〜120℃)、約1.5時間にわたっ
て維持した。そのときには全てのP25は溶解し、透明な緑色の溶液となった。31 P NMRで、主要なシグナルが84.6ppmに示され、ジシクロドデシル
ジチオリン酸とアサインされた。主要シグナルの強度が約2.4%である、86
.2ppmにある、より小さなシグナルは、混合型シクロヘキシル−ZONYL
ジチオリン酸とアサインされた。
【0130】 反応混合物を60℃に冷却後、無水酢酸亜鉛の固体5.05g(27.5ミリ
モル、Aldrich)を一度に加えた。混合物を加熱し、約2時間にわたって
還流した(103〜113℃)。温かいうちに(約60℃で)生成物をろ過し、
フィルタをトルエンで洗浄した。風乾したろ過ケークの重量は0.46gであっ
た。ろ液を真空中で約50℃で分離して、粘着性のタフィーに似た塊として生成
物を得た。元素分析、1Hおよび31P NMRスペクトルは、予期した生成品の
ZDDP組成物と一致していた。31P NMRスペクトルは93.7ppmに主
要なシグナルを示したが、ジシクロドデシルジチオリン酸亜鉛とアサインされ、
比較例Cと一致していた。96.4ppmのより小さなシグナルは、混合型シク
ロドデシル−ZONYLジチオリン酸の亜鉛塩とアサインされた。2つのシグナ
ルの正規化積分強度は96%と4%であり、調製に使用したアルコール混合物か
ら統計的に予想した95%と5%に非常に近い値である。
【0131】 (実施例8) シクロヘキサノールおよびZONYL BA混合物からの混合型シクロヘキシ
ル−ZONYL BAジチオリン酸、および亜鉛塩 グローブボックス内で、250mlの3ツ首丸底フラスコに、P25 5.5
6g(25ミリモル)およびトルエン35gを入れた。フラスコをゴムの隔膜で
キャップして、フード中に移動した。1つのゴム隔膜を通して挿入した針からの
乾燥窒素のゆるやかな向流の下で、トルエン15g中のZONYL BA1.3
2g(2.75ミリモル)溶液を、加温してZONYL BAを溶解させておい
て一度に加えた。次に、滴下漏斗(シクロヘキサノール10.74g、107.
25ミリモルを含む)、還流コンデンサー、および磁気撹拌子をフラスコに装備
した。還流コンデンサーの出口は、プラスチックの管を通してカセイアルカリス
クラバーに結合させ、次にフードに向かって排気させた。
【0132】 シクロヘキサノールを、滴下漏斗を通して6分間かけて加え、その一方で、反
応混合物を加熱マントルで室温から約63℃まで加熱した。この反応を加熱して
還流し(115〜117℃)、約1.4時間にわたって維持した。そのときには
25は溶解しており、透明な緑色の溶液となった。31P NMRで、主要なシ
グナルが82.3ppmに示され、ジシクロヘキシルジチオリン酸とアサインさ
れた。84.7ppmにあるより小さなシグナルは、混合型シクロヘキシル−Z
ONYLジチオリン酸とアサインされた。
【0133】 反応混合物を29℃に冷却後、無水酢酸亜鉛(5.05g、27.5ミリモル
、Aldrich)を一度に加えた。混合物を加熱し、約2時間にわたって還流
(111℃〜112℃)した。温かいうちに(約60℃で)生成物をろ過し、フ
ィルタをトルエンで洗浄した。風乾したろ過ケークの重量は0.30gであった
。真空下、約50℃でろ液を分離して、白味を帯びた固体として生成物を得た。
元素分析、1Hおよび31P NMRスペクトルは、予期した生成品のZDDP組
成物と一致していた。31P NMRスペクトルは93.9ppmに主要なシグナ
ルを示したが、ジシクロヘキシルジチオリン酸の亜鉛塩とアサインされた。97
.5ppmのより小さいシグナルは、混合型シクロヘキシル−ZONYLジチオ
リン酸の亜鉛塩とアサインされた。しかし、2つのシグナルは、幅が広すぎて正
確な積分はできなかった。
【0134】 (実施例9〜12) 実施例9および10は、表6に記載のアルコールおよび量を使用した点を除き
、実施例7と同様に調製した。実施例11と12は、表6に記載のアルコールお
よび量を使用した点を除き実施例8と同様に調製した。全てのジアルキルジチオ
リン酸を、1Hおよび31P NMRで特徴づけを行い、予期した組成物と一致す
ると判定した。全ての亜鉛塩生成物を、元素分析、1Hおよび31P NMRによ
って特徴づけを行い、予期した組成物と一致すると判定した。
【0135】 (実施例13) グローブボックス内で、250mlの3ツ首丸底フラスコに、P25 5.5
6g(25ミリモル)およびトルエン30gを入れた。フラスコをゴムの隔膜で
キャップして、フード中に移動した。1つのゴム隔膜を通して挿入−した針から
の乾燥窒素のゆるやかな向流の下で、滴下漏斗(2−オクタノール12.89g
、99ミリモル、および1H,1H,2H,2H−ペルフルオロオクタノール4
.01g、11ミリモルを含む)、還流コンデンサー、および磁気撹拌子をフラ
スコに装備した。還流コンデンサーの出口は、プラスチックの管を通してカセイ
アルカリスクラバーに結合させ、次にフードに向かって排気させた。
【0136】 アルコールの混合物を、滴下漏斗を通して11分間かけて加え、その一方で、
反応混合物を加熱マントルで室温から約93℃まで加熱した。この反応を加熱し
て還流し(119〜120℃)、約0.6時間にわたって維持した。その時には
25は溶解しており、透明な緑色の溶液となった。31P NMRで、主要なシ
グナルが83.9ppmに示され、ジ−2−オクチルジチオリン酸とアサインさ
れた。85.9ppmにあるより小さなシグナルは、混合型非フッ素化−2−オ
クチル−フッ素化−オクチルジチオリン酸とアサインされ、87.8にあるさら
に小さいシグナルは、ジ−フッ素化−オクチルジチオリン酸とアサインされた。
【0137】 反応混合物を38℃に冷却後、固体の無水酢酸亜鉛(5.05g、27.5ミ
リモル、Aldrich)を一度に加えた。混合物を加熱し、約2時間にわたっ
て還流(111℃〜113℃)した。温かいうちに(約60℃で)生成物をろ過
し、フィルタをトルエンで洗浄した。風乾したろ過ケークの重量は0.25gで
あった。真空中で約50℃で溶媒をろ液から除去して、黄色液体として生成物を
得た。元素分析、1Hおよび31P NMRスペクトルは、予期した生成品のZD
DP組成物と一致した。31P NMRスペクトルは93.9ppmに主要なシグ
ナルを示したが、ジ−2−オクチルジチオリン酸の亜鉛塩とアサインされた。9
7.9ppmのより小さいシグナルは、混合型フッ素化−非フッ素化ジチオリン
酸の亜鉛塩とアサインされた。102.9ppmのさらに小さいシグナルは、ジ
−フッ素化アルコールジチオリン酸の亜鉛塩とアサインされた。この3つの幅の
広いシグナルの積分強度は、73:21:6であり、調製に使用したアルコール
混合物から統計的に予想される強度(81:18:1)と妥当な一致をみた。
【0138】 (実施例14〜17) 実施例14から17は、表6に記載したフッ素化アルコールおよび量を使用し
た点を除き、実施例13を調製するのに使用した方法を用いて調製した。全ての
ジアルキルジチオリン酸を、1Hおよび31P NMRで特徴づけを行い、予期し
た組成物と一致すると判定した。全ての亜鉛塩生成物を、元素分析、1Hおよび3 1 P NMRによって特徴づけを行い、予期した組成物と一致すると判定した。
【0139】
【表7】
【0140】 以下の実施例は、水酸化ナトリウム、炭酸カルシウム、酢酸モリブデン、水酸
化亜鉛、炭酸銅など様々な金属供給源を用いたフッ素化ジアルキルジチオリン酸
塩の生成を示す。当業者なら、本発明のフッ素化ジアルキルジチオリン酸から塩
を調製するために、他の金属化合物も同様に使用できることは明らかである。
【0141】 (実施例18) 実施例7と同様に、混合型シクロドデシル−ZONYLジチオリン酸を調製し
た。この酸を、水酸化亜鉛(2.73g,27.5ミリモル)を加えて中和した
。真空中で溶媒を除去することによって、生成物塩を分離した。
【0142】 (実施例19) 実施例7と同様に、混合型シクロドデシル−ZONYLジチオリン酸を調製し
た。この酸を、酢酸モリブデン(II)(5.9g,27.5ミリモルMo当量
)を加えて中和した。真空中で溶媒を除去することによって、生成物塩を分離し
た。
【0143】 (実施例20) 実施例7と同様に、混合型シクロドデシル−ZONYLジチオリン酸を調製し
た。この酸を、水酸化ナトリウム(2.2g,55ミリモル)を加えて中和した
。真空中で溶媒を除去することによって、生成物塩を分離した。
【0144】 (実施例21) 実施例7と同様に、混合型シクロドデシル−ZONYLジチオリン酸を調製し
た。この酸を、炭酸カルシウム(2.75g,27.5ミリモル)を加えて中和
した。真空中で溶媒を除去することによって、生成物塩を分離した。
【0145】 (実施例22) 実施例7と同様に、混合型シクロドデシル−ZONYLジチオリン酸を調製し
た。この酸を、塩基性炭酸銅(3.04g,27.5ミリモルCu当量)を加え
て中和した。生成物塩を真空で溶媒を除去することによって分離した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07F 3/06 C07F 3/06 C10N 10:04 C10N 10:04 30:06 30:06 40:25 40:25 70:00 70:00 Fターム(参考) 4H048 AA01 AA03 AB61 VA40 VA66 VB10 4H050 AA01 AA03 AB61 4H104 BH07C DA02A EB05 EB07 EB09 EB10 EB11 EB13 FA02 JA01 LA03 PA41

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I)の化合物、またはその金属塩。 【化1】 [式中、R1およびR2はそれぞれ独立に、C1〜C40の有機性残基からなる群か
    ら選択され、 R1およびR2は異なり、あるいはR1およびR2は環を形成してもよく、R1
    よびR2の少なくとも1つはフッ素化されている]
  2. 【請求項2】 R1またはR2のいずれかが、第一級、第二級、第三級、また
    は芳香族のフッ素化アルコール、および第一級、第二級、第三級、または芳香族
    の非フッ素化アルコールからなる群から、R1およびR2の少なくとも1つがフッ
    素化アルコール由来となるように、それぞれ独立に選択されるアルコールから生
    成されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
  3. 【請求項3】 前記フッ素化アルコールが、以下の分子式を有するアルコー
    ルからなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の化合物。 F(CF2xCH2OH(式中、xは1〜約20)、 H(CF2xCH2OH(式中、xは1〜約20)、 F(CF2CF2xCH2CH2OH(式中、xは1〜約10)、 F(CF2CF2x(CH2CH2O)yOH(式中、xは1〜約10、yは1〜
    約20)、および F(CFCF3CF2O)xCF(CF3)CH2OH(式中、xは1〜約20)
  4. 【請求項4】 前記フッ素化アルコールが、 1H,1H−ヘプタフルオロ−1−ブタノール、 1H,1H−ペルフルオロ−1−オクタノール、 1H,1H,5H−オクタフルオロ−1−ペンタノール、および 1H,1H,2H,2H−ペルフルオロ−1−オクタノール からなる群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の化合物。
  5. 【請求項5】 前記フッ素化アルコールが、1H,1H,2H,2H−ペル
    フルオロ−1−オクタノールであることを特徴とする、請求項4に記載の化合物
  6. 【請求項6】 R1またはR2のいずれかが、メタノール、エタノール、n−
    プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタ
    ノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルヘキサノール、イソトリデ
    カノール、シクロヘキサノール、シクロドデカノール、フェノール、クレゾール
    、高級アルコール、および脂肪アルコールからなる群から選択される非フッ素化
    アルコールから生成されることを特徴とする、請求項2に記載の化合物。
  7. 【請求項7】 亜鉛、モリブデン、バリウム、アルミニウム、ナトリウム、
    カルシウム、リチウム、鉛、スズ、銅、カドミウム、コバルト、ストロンチウム
    、ニッケル、およびその組合せからなる群から選択される金属原子を含む金属塩
    であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
  8. 【請求項8】 前記金属塩が、亜鉛、モリブデン、およびその組合せからな
    る群から選択される金属原子を含むことを特徴とする、請求項1に記載の化合物
  9. 【請求項9】 前記金属塩が亜鉛であることを特徴とする、請求項1に記載
    の化合物。
  10. 【請求項10】 式(I)の化合物、またはその金属塩。 【化2】 [式中、R1およびR2はそれぞれ独立に、C1〜C40の有機性残基からなる群か
    ら選択され、 R1およびR2は同じであるかまたは異なり、あるいはR1およびR2は環を形成
    してもよく、R1およびR2の少なくとも1つはフッ素化C1〜C40の有機性残基
    であり、ただし、R1およびR2が同じであるときは、R1もR2も−(CH2(C
    2xCF2H)(xは1、3、または5)になることはできない]
  11. 【請求項11】 潤滑剤ベース流体、および1つまたは複数の請求項1に記
    載の化合物を含むことを特徴とする潤滑剤組成物。
  12. 【請求項12】 請求項1に記載の1つまたは複数の化合物を含むことを特
    徴とする耐磨耗添加剤。
  13. 【請求項13】 式(I)の化合物、またはその金属塩を含むことを特徴と
    する耐磨耗添加剤。 【化3】 [式中、R1およびR2はそれぞれ独立に、C1〜C40の有機性残基からなる群か
    ら選択され、 R1およびR2の少なくとも1つはフッ素化C1〜C40の有機性残基である]
  14. 【請求項14】 金属塩が式(II)の化合物であることを特徴とする、請
    求項13に記載の耐摩耗添加剤。 [Mx+][S2P(OR)2x (II) [式中、Mは金属原子であり、xは金属原子の原子価であり、 R基は、上記で定義したR1およびR2から選択され、ただし、R1またはR2
    少なくとも1つはフッ素化されている]
  15. 【請求項15】 耐磨耗潤滑剤を製造する方法であって、 (a)少なくとも1つのフッ素化化合物、および少なくとも1つの非フッ素化
    化合物を含む、2つ以上の化合物の混合物を調製する工程と、 (b)混合物をチオリン化合物と反応させて、チオリン化合物のリン原子とフ
    ッ素化化合物および非フッ素化化合物のそれぞれとの間に、1つまたは複数の酸
    素結合を形成する工程と、 (c)下記の分子構造を有するフッ素化ジチオリン酸化合物を回収する工程 とを含むことを特徴とする方法。 【化4】 [式中、R1およびR2はそれぞれ独立に、フッ素化C1〜C40の有機性残基から
    なる群から選択され、 R1およびR2は同じであるかまたは異なり、あるいはR1およびR2は環を形成
    してもよい]
  16. 【請求項16】 式(I)の生成物を、金属原子の供給源と反応させて、フ
    ッ素化金属ジアルキルジチオリン酸塩を生成する工程をさらに含むことを特徴と
    する、請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 鉱油ベース流体、および少なくとも1つの式(I)のフッ
    素化化合物を含むことを特徴とする潤滑剤組成物。 【化5】 [式中、R1およびR2の少なくとも1つは、フッ素化C1〜C40の有機性残基で
    あり、 R1およびR2は同じであるかまたは異なり、あるいはR1およびR2は環を形成
    してもよい]
  18. 【請求項18】 さらに、少なくとも1つのフッ素化ジアルキルジチオリン
    酸塩を含むことを特徴とする、請求項17に記載の潤滑剤組成物。
  19. 【請求項19】 前記フッ素化ジアルキルジチオリン酸塩が、式(II)の
    化合物であることを特徴とする、請求項18に記載の潤滑剤組成物。 [Mx+][S2P(OR)2x (II) [式中、Mは金属原子であり、xは金属原子の原子価であり、 R基は、上記で定義したR1およびR2から選択され、ただし、R1またはR2
    少なくとも1つはフッ素化されている]
  20. 【請求項20】 内燃機関において使用するための配合潤滑剤であって、 潤滑剤ベース流体および少なくとも1つの請求項1に記載のフッ素化化合物を
    含み、必要に応じて、粘度調節剤、酸化防止剤、流動点降下剤、清浄剤、分散剤
    、摩擦調節剤、耐磨耗剤、消泡剤、腐食防止剤、および金属不活性剤からなる群
    から選択される、1つまたは複数の他の添加剤を含むことを特徴とする配合潤滑
    剤。
JP2001570668A 2000-03-24 2001-03-22 潤滑剤用フッ素化添加剤 Pending JP2003528881A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US09/534,501 2000-03-24
US09/534,501 US6541430B1 (en) 2000-03-24 2000-03-24 Fluorinated lubricant additives
PCT/US2001/009086 WO2001072759A1 (en) 2000-03-24 2001-03-22 Fluorinated lubricant additives

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003528881A true JP2003528881A (ja) 2003-09-30

Family

ID=24130329

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001570668A Pending JP2003528881A (ja) 2000-03-24 2001-03-22 潤滑剤用フッ素化添加剤

Country Status (11)

Country Link
US (2) US6541430B1 (ja)
EP (1) EP1265906B1 (ja)
JP (1) JP2003528881A (ja)
KR (1) KR20020086675A (ja)
CN (1) CN1419561A (ja)
AR (1) AR027712A1 (ja)
BR (1) BR0109468A (ja)
CA (1) CA2400166A1 (ja)
DE (1) DE60111618T2 (ja)
MX (1) MXPA02009288A (ja)
WO (1) WO2001072759A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10200291B2 (en) 2013-08-08 2019-02-05 Fujitsu Limited Packet analysis method, packet analysis device, and storage medium

Families Citing this family (31)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6541430B1 (en) * 2000-03-24 2003-04-01 E. I. Du Pont De Nemours And Company Fluorinated lubricant additives
US6995121B1 (en) * 2002-06-24 2006-02-07 Seagate Technology Llc Stability polymeric lubricants and thin film recording media comprising same
US6821932B2 (en) * 2002-12-17 2004-11-23 Ethyl Corporation Delivering molybdenum from a lubricant source into a fuel combustion system
US7340834B1 (en) * 2003-07-30 2008-03-11 E.I. Du Pont De Nemours And Company Method of lubricating bearings
US8216982B2 (en) * 2003-10-15 2012-07-10 Kajal Parekh Low-phosphorous lubricants
US8216986B2 (en) * 2003-10-15 2012-07-10 Kajal Parekh Low-phosphorous lubricant additive
US7074745B2 (en) * 2003-10-15 2006-07-11 Platinum Intellectual Property, L.P. Engine oil additive
US20060281644A1 (en) * 2003-10-15 2006-12-14 Platinum Research Organization Method to synthesize fluorinated ZDDP
US20060063682A1 (en) * 2004-09-17 2006-03-23 Platinum Research Organization Llc Friction-induced in-situ formation of organo-fluorides
US7745381B2 (en) 2005-03-15 2010-06-29 Ecolab Inc. Lubricant for conveying containers
US7741257B2 (en) * 2005-03-15 2010-06-22 Ecolab Inc. Dry lubricant for conveying containers
US7727941B2 (en) * 2005-09-22 2010-06-01 Ecolab Inc. Silicone conveyor lubricant with stoichiometric amount of an acid
US7915206B2 (en) * 2005-09-22 2011-03-29 Ecolab Silicone lubricant with good wetting on PET surfaces
US7879776B2 (en) * 2005-10-26 2011-02-01 Krupal Patel High performance lubricant additives
US7754662B2 (en) * 2005-10-26 2010-07-13 Aswath Pranesh B High performance lubricants and lubricant additives for crankcase oils, greases, gear oils and transmission oils
US8227389B2 (en) * 2005-10-26 2012-07-24 Aswath Pranesh B High-performance lubricants and lubricant additives for crankcase oils, greases, gear oils and transmission oils
WO2007084347A2 (en) * 2006-01-13 2007-07-26 Platinum Intellectual Property Lp System and method for providing continuous, in-situ, antiwear chemistry to engine oil using a filter system
US7456420B2 (en) * 2006-03-07 2008-11-25 International Business Machines Corporation Electrode for phase change memory device and method
US7741255B2 (en) * 2006-06-23 2010-06-22 Ecolab Inc. Aqueous compositions useful in filling and conveying of beverage bottles wherein the compositions comprise hardness ions and have improved compatibility with pet
US8322754B2 (en) * 2006-12-01 2012-12-04 Tenaris Connections Limited Nanocomposite coatings for threaded connections
US20080153982A1 (en) * 2006-12-20 2008-06-26 John Ta-Yuan Lai Vinyl-Thiocarbonate and Polyol Containing Block Copolymers
JP5401642B2 (ja) * 2009-03-27 2014-01-29 サンデン株式会社 冷凍回路形成部材
US8053606B2 (en) * 2009-04-30 2011-11-08 E.I. Du Pont De Nemours And Company Alkoxylation of fluorinated alcohols
US8791056B2 (en) 2010-06-24 2014-07-29 Board Of Regents, The University Of Texas System Alkylphosphorofluoridothioates having low wear volume and methods for synthesizing and using same
ES2776135T3 (es) 2010-09-24 2020-07-29 Ecolab Usa Inc Método para lubricar un transportador
CN102041142B (zh) * 2010-12-25 2013-11-20 锦州惠发天合化学有限公司 一种含氟润滑油
US9725669B2 (en) 2012-05-07 2017-08-08 Board Of Regents, The University Of Texas System Synergistic mixtures of ionic liquids with other ionic liquids and/or with ashless thiophosphates for antiwear and/or friction reduction applications
BR112015022512B1 (pt) 2013-03-11 2022-09-13 Ecolab Usa Inc Métodos para lubrificar uma placa de transferência estacionária
AR100953A1 (es) 2014-02-19 2016-11-16 Tenaris Connections Bv Empalme roscado para una tubería de pozo de petróleo
DE102020112993A1 (de) 2020-05-13 2021-11-18 Klüber Lubrication München Se & Co. Kg Lithiumkomplexhybridfett
JP2022150996A (ja) * 2021-03-26 2022-10-07 ミネベアミツミ株式会社 金属-樹脂間潤滑用グリース組成物

Family Cites Families (40)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3124533A (en) 1964-03-10 Fluorine containing esters of poly-
GB804777A (en) 1956-06-08 1958-11-19 Exxon Research Engineering Co Fluorinated organic dithiophosphates and their use as anti-wear agents in lubricating oil compositions
GB874877A (en) 1959-01-22 1961-08-10 Exxon Research Engineering Co Metal salts of organic dithiophosphates and lubricating compositions containing them
US2959544A (en) * 1959-02-24 1960-11-08 Exxon Research Engineering Co Lubricating oil composition containing fluorinated dithiophosphates
US3284355A (en) 1963-09-12 1966-11-08 Mobil Oil Corp Lubricating compositions
US3451930A (en) 1966-09-16 1969-06-24 Exxon Research Engineering Co Lubricant composition for highly stressed gears
US3639144A (en) * 1969-07-18 1972-02-01 Us Agriculture Organo-phosphorus compounds containing perfluoroalkyl radicals and their application to cellulosic textiles
US3773815A (en) 1971-07-29 1973-11-20 Snam Progetti Antiwear and antiwelding additives for lubricants and compositions thereof
SU449925A1 (ru) 1973-04-09 1974-11-15 Предприятие П/Я Р-6711 Смазочное покрытие
US4039301A (en) 1974-08-08 1977-08-02 Shell Oil Company Gasoline composition
US4101429A (en) 1977-07-21 1978-07-18 Shell Oil Company Lubricant compositions
US4203856A (en) 1977-08-15 1980-05-20 Ball Corporation Lubricants comprising fluoroalkyl esters
US4308154A (en) 1979-05-31 1981-12-29 The Lubrizol Corporation Mixed metal salts and lubricants and functional fluids containing them
US4377527A (en) 1981-03-09 1983-03-22 Standard Oil Company (Indiana) Ammonia catalyzed preparation of zinc dihydrocarbyl dithiophosphates
DE3126402A1 (de) 1981-07-04 1983-01-13 Bayer Ag, 5090 Leverkusen Verwendung von zinksalzen des mercaptobenzimidazols und dithiophosphorsaeureesters bei der herstellung von nitrilkautschuk-polyvinylchlorid-abmischungen
JPS5815140A (ja) 1981-07-22 1983-01-28 Toshiba Corp 真空加熱不純物測定装置
DE3317355A1 (de) 1983-05-13 1984-11-15 Basf Ag, 6700 Ludwigshafen Verwendung von tri- und tetrachlorbutanolderivaten als schmiermittelzusatz sowie schmiermittel, enthaltend solche zusaetze
US4814448A (en) 1985-03-25 1989-03-21 The Dow Chemical Company Process for preparing phosphorothioates and phosphates
US4778613A (en) * 1985-12-24 1988-10-18 Borg-Warner Chemicals, Inc. Spirodiphosphate-containing working substances
US5152908A (en) 1987-05-07 1992-10-06 Tipton Craig D Gear lubricant package containing a synergistic combination of components
JPH01122026A (ja) 1987-11-06 1989-05-15 Hitachi Maxell Ltd 磁気記録媒体
JP2604186B2 (ja) 1988-01-16 1997-04-30 新日本理化株式会社 新規エステル化合物
US5279752A (en) * 1989-02-22 1994-01-18 Nippon Oil Co., Ltd. Composition for lubricating oil
US4971712A (en) 1989-06-02 1990-11-20 E. I. Du Pont De Nemours And Company Compositions for compression refrigeration and methods of using them
JPH076195B2 (ja) 1989-07-12 1995-01-30 株式会社技研製作所 杭圧入引抜機
US5066412A (en) 1991-02-01 1991-11-19 Texaco Inc. Friction modifier additive and lubricating oil composition containing same
US5141661A (en) * 1991-09-03 1992-08-25 Texaco Inc. Wear resistant lubricant additives made of ethylene/α-olefin polymer grafted with perfluoro-substituents
JP3333511B2 (ja) 1991-11-12 2002-10-15 ミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング カンパニー フルオロ脂肪族二量体酸誘導体およびその使用
JPH05209954A (ja) 1992-01-31 1993-08-20 Nec Corp 安全高度限界表示機能付精測レーダー表示装置
US5578387A (en) 1992-03-31 1996-11-26 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Fluorine-containing alkylsuccinic acid diester, process for preparing the same and use thereof
JP3139206B2 (ja) 1993-04-05 2001-02-26 松下電器産業株式会社 含フッ素アルキルコハク酸ジエステルとその製造方法およびそれを有する磁気記録媒体
JPH07242584A (ja) 1994-03-07 1995-09-19 Japan Energy Corp 新規なフッ素系トリカルボニル化合物及びその製造方法
US5641731A (en) 1994-11-04 1997-06-24 Ashland, Inc. Motor oil performance-enhancing formulation
US5763369A (en) 1994-11-04 1998-06-09 Ashland, Inc. Motor oil performance-enhancing formulation
JPH08259482A (ja) 1995-03-17 1996-10-08 Hitachi Maxell Ltd 潤滑性物質とこれを用いた磁気記録媒体
JPH08259501A (ja) 1995-03-17 1996-10-08 Hitachi Maxell Ltd 潤滑性物質とこれを用いた磁気記録媒体
US5962377A (en) 1995-05-31 1999-10-05 Ashland Inc. Lubricant additive formulation
US6184187B1 (en) * 1998-04-07 2001-02-06 E. I. Dupont De Nemours And Company Phosphorus compounds and their use as corrosion inhibitors for perfluoropolyethers
US6413918B1 (en) 1998-04-27 2002-07-02 E. I. Du Pont De Nemours And Company Non-symmetric, partially fluorinated lubricant additives
US6541430B1 (en) * 2000-03-24 2003-04-01 E. I. Du Pont De Nemours And Company Fluorinated lubricant additives

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10200291B2 (en) 2013-08-08 2019-02-05 Fujitsu Limited Packet analysis method, packet analysis device, and storage medium

Also Published As

Publication number Publication date
EP1265906A1 (en) 2002-12-18
DE60111618T2 (de) 2006-05-18
US6541430B1 (en) 2003-04-01
BR0109468A (pt) 2003-06-10
US20030139300A1 (en) 2003-07-24
KR20020086675A (ko) 2002-11-18
DE60111618D1 (de) 2005-07-28
WO2001072759A1 (en) 2001-10-04
MXPA02009288A (es) 2003-05-23
US6764984B2 (en) 2004-07-20
CN1419561A (zh) 2003-05-21
EP1265906B1 (en) 2005-06-22
CA2400166A1 (en) 2001-10-04
AR027712A1 (es) 2003-04-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003528881A (ja) 潤滑剤用フッ素化添加剤
DE60317872T2 (de) Verschleiss- und Oxidationsinhibitoren aus sulfuriertem Polyisobutylenen
US6232276B1 (en) Trinuclear molybdenum multifunctional additive for lubricating oils
US3801507A (en) Sulfurized metal phenates
JPH08217782A (ja) 硫化オキシモリブデンジチオカーバメートの製造方法
EP1364955B1 (en) Phosphorothionates
EP0302932B1 (en) Lubricating oil compositions containing multi-functional additive component
US4882446A (en) Metal dihydrocarbyl-dithiophosphyl-dithiophosphates their manufacture and use as additives for lubricants
US4175043A (en) Metal salts of sulfurized olefin adducts of phosphorodithioic acids and organic compositions containing same
JP2018199665A (ja) アルカノールアミン、摩擦低減剤、及び潤滑油組成物
CA1240336A (en) Multifunctional additives for functional fluids and lubricants
US4101428A (en) Composition comprising a mixture of the zinc salts of O,O-di(primary and secondary) alkyldithiophosphoric acids
EP0420453B1 (en) Sulphur coupled hydrocarbyl derived mercaptobenzothiazole adducts as multifunctional antiwear additives and compositions containing same
US5126063A (en) Borated hydroxyalkyl esters of dithiocarbamic acids as multifunctional additives for lubricant compositions
KR100225718B1 (ko) 윤활유 첨가제로서 유용한 인-함유 산의 지용성 착체
JP3909894B2 (ja) 金属加工油組成物
JPH1045771A (ja) ジチオリン酸亜鉛の製造方法
US4400283A (en) Multifunctional lubricant additives and compositions thereof
US20040147415A1 (en) Lubricant composition
US8791056B2 (en) Alkylphosphorofluoridothioates having low wear volume and methods for synthesizing and using same
EP0499453B1 (en) A process for the production of ashless antiwear-antioxidant lubricating oil additive and lubricating oil containing the same
JP2957012B2 (ja) 内燃機関用潤滑油
JP2588223B2 (ja) ジアルキルおよびトリアルキルホスフィットと元素状硫黄との反応生成物およびその製造方法
JPH11302294A (ja) ジチオリン酸硫化オキシモリブデンの製造方法
EP1405898A1 (en) Lubricant composition