JPH1045771A - ジチオリン酸亜鉛の製造方法 - Google Patents

ジチオリン酸亜鉛の製造方法

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JPH1045771A
JPH1045771A JP20590096A JP20590096A JPH1045771A JP H1045771 A JPH1045771 A JP H1045771A JP 20590096 A JP20590096 A JP 20590096A JP 20590096 A JP20590096 A JP 20590096A JP H1045771 A JPH1045771 A JP H1045771A
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zinc
mol
alcohol
zdtp
water
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JP20590096A
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Noriyoshi Tanaka
典義 田中
Mitsutoshi Sasajima
三稔 笹嶋
Kazuhisa Morita
和寿 森田
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Adeka Corp
Original Assignee
Asahi Denka Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、硫化水素臭と銅板腐食性が
全くなく、保存安定性及び潤滑性に優れたジチオリン酸
亜鉛(ZDTP)を高純度、高収率で得ることができる製
造方法並びに該方法により得られたZDTPを必須成分
とする潤滑剤を提供することにある。 【解決手段】 本発明のZDTPの製造方法は、(A)
アルコール又はフェノール、(B)五二硫化リン及び
(C)酸化亜鉛を反応させることからなるジチオリン酸
亜鉛の製造方法において、(D)水、及び(E)硝酸亜
鉛又はその水和物を任意の段階で添加することを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジチオリン酸亜鉛
(以下、「ZDTP」と記載する)の製造方法に関す
る。詳しくは、本発明は硫化水素臭等の不快な臭気や銅
板腐食性が無く、更に保存安定性及び潤滑剤として使用
した場合優れた潤滑性を示すZDTPを高収率且つ高純
度で製造する方法並びに該方法により得られたZDTP
を必須成分とする潤滑剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車や各種産業機械の高性能
化、高出力化が進み、それに伴ってそれらに使用される
潤滑油に要求される性能も高いものになってきている。
特に、環境問題や省資源化といった背景から、潤滑油の
更油期間を長くするロングドレイン化が進んでいる。こ
れらの潤滑油には種々の添加剤が配合されており、その
中でも耐荷重添加剤、清浄分散剤、粘度指数向上剤、酸
化防止剤、流動点降下剤などの需要が大きい。従って、
潤滑油の性能を向上させるためには、これら添加剤の各
性能を向上させることが必要となる。このような状況の
下、酸化防止性、腐食防止性及び耐摩耗性を有するZD
TPが多機能添加剤として広く使用されており、特に対
摩耗性の点から、今日では必須の添加剤となりつつあ
り、その性能の向上が求められている。
【0003】通常、下記の一般式(1)で表されるZD
TPは、五二硫化リンとアルコールから得られる二炭化
水素置換ジチオリン酸を酸化亜鉛で中和することによっ
て製造される:
【化4】 (式中、R1及びR2は、炭化水素基を表わす)
【0004】例えば、特公昭48―37251号公報には、不
活性ガスを吹き込むことにより生成する水を除去して得
た二炭化水素置換ジチオリン酸及び酸化亜鉛を、少量の
硝酸亜鉛、塩化亜鉛及び硫酸亜鉛から選ばれた亜鉛塩存
在下で反応させて、ZDTPを得る方法が記載されてい
る。
【0005】又、特開昭47―32005号公報には、アルコ
ール類と五二硫化リンから製造したジチオリン酸を水酸
化ナトリウム等のアルカリ金属水溶液に溶解し、塩化亜
鉛等の亜鉛塩を加えることにより塩基性ZDTPを得る
方法が記載されている。
【0006】又、米国特許第3,686,243号には、二炭化
水素置換ジチオリン酸と酸化亜鉛、水酸化亜鉛、又は炭
酸亜鉛から選ばれた塩基性亜鉛とを水とヘプタンの存在
下、密閉系で反応させてZDTPを製造する方法が記載
されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
亜鉛原料として鉱酸亜鉛のみを添加して、生成する水を
不活性ガスの吹き込みによって除去しながら製造する方
法や、系に水のみを添加して反応を促進する製造方法で
は、硫化水素臭や銅板腐食性が無く、保存安定性に優れ
たZDTPを得るには至らなかった。
【0008】従って、本発明の目的は、硫化水素臭と銅
板腐食性が全くなく、保存安定性及び潤滑性に優れたZ
DTPを高純度、高収率で得ることができる製造方法並
びに該方法により得られたZDTPを必須成分とする潤
滑剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは鋭意
検討し、アルコール等、五二硫化リン及び酸化亜鉛から
ZDTPを製造する方法において、系に水及び硝酸亜鉛
を添加することにより、硫化水素臭と銅板腐食性が全く
なく、保存安定性及び潤滑性に優れたZDTPを高純
度、高収率で得ることができる方法を見出し、本発明を
完成させるに至った。
【0010】即ち、本発明のZDTPの製造方法は、
(A)アルコール又はフェノール、(B)五二硫化リン
及び(C)酸化亜鉛を反応させることからなるジチオリ
ン酸亜鉛の製造方法において、(D)水、及び(E)硝
酸亜鉛又はその水和物を任意の段階で添加することを特
徴とする。
【0011】なお、本発明方法により得られるZDTP
は、下記の一般式(1)〜(3)で表されるZDTPの
1種又は2種以上の混合物である:
【化5】 (式中、R1及びR2は、炭化水素基を表わす)
【化6】 (式中、R1及びR2は、上述と同意義をもつ)
【化7】 (式中、R1及びR2は、上述と同意義をもつ)
【0012】更に、本発明の潤滑剤は、上記方法により
製造されたZDTPを必須成分として含有してなること
を特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法の原料である
(A)アルコール又はフェノールは、R−OHで表され
る。ここで用いたアルコール又はフェノールにより、一
般式(1)〜(3)のR1及びR2が決定される。使用で
きるアルコール又はフェノールとしては、Rが直鎖、分
岐鎖、飽和、不飽和、脂肪族、脂環族、芳香族等の炭化
水素基であり、特に限定されるものではない。
【0014】アルコールとしては、例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブ
タノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノー
ル、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノー
ル、1―デカノール、イソデシルアルコール、2―メチ
ルデカノール、ラウリルアルコール、1―トリデカノー
ル、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコー
ル、セチルアルコール、パルミチルアルコール、ステア
リルアルコール、ベヘニルアルコール、エイコサノール
(C20)、ドコサノール(C22)、テトラコサノール
(C24)、ヘキサコサノール(C26)、オクタコサノー
ル(C28)、ミリシルアルコール、ラッセロール、テト
ラトリアコンタノール、アリルアルコール、オレイルア
ルコール、イソステアリルアルコール、シクロペンタノ
ール、シクロヘキサノール等が挙げられる。
【0015】フェノールとしては、例えば、フェノー
ル、クレゾール、エチルフェノール、ターシャルブチル
フェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、
ドデシルフェノール、スチレン化フェノール、パラクミ
ルフェノール等が挙げられる。
【0016】なかでも、本発明の製造方法により製造さ
れるZDTPを潤滑剤として使用する場合には、ZDT
Pの潤滑性の面から1―デカノール、イソデシルアルコ
ール、2―メチルデカノール、ラウリルアルコール、1
―トリデカノール、イソトリデシルアルコール、ミリス
チルアルコール、セチルアルコール、パルミチルアルコ
ール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の
炭素数10〜18のアルコールが好ましく、更にラウリ
ルアルコール、1―トリデカノール、ミリスチルアルコ
ールが好ましい。
【0017】本発明の製造方法においては、通常第一工
程で、上記(A)アルコール又はフェノールと、(B)
五二硫化リンを反応させてジチオリン酸を製造する。こ
の反応は公知であり、以下の反応式(1)に従って、ジ
チオリン酸を生成し、硫化水素を副生する:
【化8】
【0018】反応条件は特に限定されないが、通常液底
から窒素ガスを吹き込みながら、常圧下、温度は使用す
る(A)アルコール又はフェノールの融点〜200℃、
好ましくは60〜160℃、より好ましくは100〜1
30℃で3〜12時間反応させることにより、硫化水素
を副生しながらジチオリン酸を得ることができる。得ら
れるジチオリン酸は通常暗緑色の油状液体である。
【0019】本発明の製造方法は、通常第一工程に次い
で第二工程として、上記ジチオリン酸と(C)酸化亜鉛
を反応させる。この反応も公知であり、一般的に以下の
反応式(2)に従って、ZDTPを生成し、水を副生す
る:
【化9】
【0020】この反応を効率よく進行させるには、好ま
しくは酸化亜鉛1モルに対してジチオリン酸を1.0〜
2.0モル、より好ましくは1.1〜1.9モル、最も好
ましくは1.2〜1.8モル使用するとよい。又、使用す
る酸化亜鉛の選定にあたっては特に制限を受けないが、
反応活性及びろ過性の点から、比表面積が4〜5m2
g、平均粒径が0.4〜0.5μmのものを使用すること
が好ましい。
【0021】本発明の製造方法においては、前記ジチオ
リン酸と酸化亜鉛を反応させる第二工程の任意の段階
で、(D)水及び(E)硝酸亜鉛又はその水和物を添加
することにより、ZDTPを高純度且つ高収率で得るこ
とができる。ここで、第二工程の反応は通常常圧下で行
うことが好ましい。(D)水の添加量については特に制
限はないが、水の量が少なすぎると得られる製品の収率
と純度が低くなり、水の量が多すぎると生成物の分解と
副反応が進行し、硫化水素の発生が起こるため、(C)
酸化亜鉛1モルに対して好ましくは0.01〜10モ
ル、より好ましくは0.05〜10モル、最も好ましく
は0.1〜5モルである。尚、ここでいう(D)水の量
には、反応中に生成する水は含まれないものとする。
又、系内に存在する水を除去する場合は、全反応が終了
した後、減圧により留去するのが好ましい。
【0022】更に、(E)硝酸亜鉛又はその水和物の添
加量は特に限定されないが、(C)酸化亜鉛1モルに対
して好ましくは0.001〜0.1モル、より好ましくは
0.001〜0.05モル、最も好ましくは0.003〜
0.03モルである。
【0023】又、(D)水及び(E)硝酸亜鉛又はその
水和物を添加した第二工程の反応条件は特に限定されな
いが、通常は常圧で、温度は好ましくは20〜100
℃、より好ましくは40〜90℃、最も好ましくは60
〜80℃で3〜12時間反応させることにより、本発明
の製造方法の目的物であるZDTPを得ることができ
る。
【0024】又、第二工程終了後、添加した水及び副生
した水を除去するために例えば減圧脱水を行い、系内に
残存した酸化亜鉛及び硝酸亜鉛を例えばけいそう土を通
してろ過することにより、最終製品を得ることができ
る。尚、本発明の製造方法で得られるZDTPは通常常
温で液状又は固体である。
【0025】本発明の製造方法によれば、実際には、一
般式(1)で表されるZDTP中性塩の他に、下記の塩
基性塩及び過塩基性塩と呼ばれる成分が生成する:
【化10】
【化11】
【0026】この成分は、反応系内に水が存在する場
合、以下の反応式に従って生成する:
【化12】
【化13】
【0027】この塩基性塩及び過塩基性塩は潤滑性に優
れる成分であり、ZDTPの製造にあたっては不純物で
はない。従って、一般式(1)〜(3)で表わされるZ
DTPは特に単一成分に分離する必要はない。又、上式
から明らかなとおり、亜鉛イオン及び水酸化物イオンの
存在は、塩基性塩及び過塩基性塩の生成に影響を与える
ため、(D)水及び(E)硝酸亜鉛又はその水和物の添
加量を制御することにより、生成する塩基性塩及び過塩
基性塩の生成割合を制御することができる。
【0028】本発明の製造方法によれば、従来の硝酸亜
鉛を触媒として用いる製造方法、硫酸亜鉛などの鉱酸亜
鉛を使用する製造方法、又は水のみを添加する製造方法
に比べ、高純度、高収率でZDTPを得ることができ
る。又、副生成物が少ないため、硫化水素臭等の不快な
臭気や銅板腐食性が無く、且つ保存安定性に優れるZD
TPを得ることができる。又、炭素数10〜18のアル
コールは、他のアルコールと比べてやや反応性に劣る場
合があるので、これらのアルコールを用いてZDTPを
製造する場合は、特に本発明の製造方法が有効である。
又、本発明の製造方法により製造されたZDTPは、高
純度であり副生成物が少ないが故に潤滑性及び酸化防止
性に優れるものである。
【0029】本発明の製造方法で得られたZDTPは、
潤滑剤として優秀かつ有用なものであり、特に、摩擦低
減能力、酸化防止能力に優れるものである。本発明の製
造方法で得られたZDTPは、潤滑油基油又は基グリー
スに適当量、好ましくは0.01〜10重量%添加して
使用される。
【0030】用いられる基油は、通常用いられている潤
滑油基油ならば特に制限を受けるものではないが、例え
ば天然の原油から分離、蒸留、精製されたパラフィン
系、ナフテン系、あるいはこれらを水素化処理、溶剤精
製した鉱油、HVI油、又化学的に合成された合成油、
例えばポリ−α−オレフィン、ポリイソブチレン(ポリ
ブテン)、ジエステル、ポリオールエステル、リン酸エ
ステル、ケイ酸エステル、ポリアルキレングリコール、
ポリフェニルエーテル、シリコーン、フッ素化化合物、
アルキルベンゼン等である。
【0031】又、グリースとして用いられる場合は、基
グリースとしては特に制限を受けるものではないが、例
えば鉱油及び/又は合成油を使用した金属石鹸グリー
ス、金属石鹸複合グリース、ウレア系グリース、有機処
理粘土を使用したグリース(例えばベントングリース)
等が挙げられる。
【0032】更に、本発明の製造方法によって得られた
ZDTPを潤滑油基油又は基グリースに添加した潤滑剤
組成物には、公知の潤滑剤添加剤の添加を拒むものでは
なく、例えば硫化オキシモリブデンジチオホスフェー
ト、硫化オキシモリブデンジチオカーバメート、フェノ
ール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、清浄剤、分散
剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、防錆剤、消泡剤、
他の金属系添加剤を適宜加えることができる。又、グリ
ースとして使用する場合は二硫化モリブデン、グラファ
イト、4フッ化エチレン等の固体潤滑剤とも併用するこ
とができる。なかでも、硫化オキシモリブデンジチオホ
スフェート、硫化オキシモリブデンジチオカーバメート
は酸化防止能、摩擦低減能とも優れており、本発明の製
造方法によって得られたZDTPと好ましく併用でき
る。
【0033】本発明の製造方法により製造されたZDT
Pは、自動車を含む車両用エンジン、2サイクルエンジ
ン、航空機用エンジン、船舶用エンジン、機関車用エン
ジン(これらのエンジンはガソリン、ディーゼル、ガ
ス、タービンを問わない)等を含む内燃機関用潤滑油、
自動トランスミッション液体、トランスアクスル潤滑
剤、ギヤ潤滑剤、金属加工潤滑剤等に用いることができ
る。
【0034】本発明の製造方法によって得られたZDT
Pは金属加工剤、例えば切削加工剤、研磨加工剤、塑性
加工剤として用いることができる。ここでいう塑性加工
とは、例えば伸線加工、圧延加工、鍛造加工、プレス加
工、押し出し加工、曲げ加工、絞り加工、張出し加工、
しごき加工、ロール成形、剪断加工、回転加工、延ばし
加工、引き抜き加工、施圧加工等である。加工の対象と
なる金属は、鉄、アルミニウム、チタン、マグネシウ
ム、銅、亜鉛、マンガン、これらの合金(例えばステン
レス、黄銅)あるいはこれらとケイ素の合金等、特に限
定されないが、特に鉄、アルミニウム、ステンレスを対
象とした場合に良好な効果を発揮する。
【0035】本発明の製造方法によって得られたZDT
Pを金属加工剤として使用する場合は、基油に好ましく
は30重量%以上100重量%未満の範囲で配合しても
よく、又は基油に配合することなくZDTPのみ又はZ
DTPに適当な添加剤を配合して金属加工に使用するこ
とができる。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。尚、以下の実施例及び比較例において、一般式
(1)〜(3)以外の成分は不純物であるとして純度を
計算した。 実施例1 第一工程:ジラウリルジチオリン酸の製造 攪拌棒、攪拌シール、温度計、ジムロート還流冷却管及
び窒素導入管を取り付け、硫化水素吸収用苛性ソーダ水
トラップ瓶を接続したフラスコに、ラウリルアルコール
(C12成分98%以上)745g(4.0モル)を、続
いて五二硫化リン222g(1.0モル)を仕込んだ。
硫化水素の発生に伴う発泡に注意しながら120〜13
0℃に加熱し、窒素を吹き込みながら8時間保持した
後、40〜50℃に冷却した。五二硫化リンの細粒は完
全に消失し、暗緑色のジラウリルジチオリン酸933g
(2.0モル)を得た。
【0037】第二工程:ジラウリルジチオリン酸亜鉛
(C12ZDTP)の製造 上記の反応によって製造したジラウリルジチオリン酸7
00g(1.5モル)に、酸化亜鉛81.4g(1.0モ
ル)、硝酸亜鉛六水和塩3.0g(10ミリモル)及び
水9.0g(0.5モル)を仕込み、60〜80℃で4時
間常圧で反応させた。続いて減圧、次いで加熱し、10
0〜110℃、10Torr以下で3時間脱水した。こ
れをケイソウ土をろ過助剤としてろ過し、淡黄色液体の
ジラウリルジチオリン酸亜鉛725gを得た。中性塩と
みなした収率は97%、31P−NMR分析により中性
塩の比率は77%、純度は97%であった。元素分析の
結果、亜鉛7.1%、硫黄13.3%、リン6.5%を含
んでいた。40℃における動粘度は140mm2/Sで
あった。
【0038】実施例2 酸化亜鉛の仕込量を65.0g(0.8モル)に、水の仕
込量を18.0g(1.0モル)に変更した以外は実施例
1と同様に製造した。その結果、ジラウリルジチオリン
酸亜鉛718gを得た。中性塩とみなした収率は96
%、31P−NMR分析により、中性塩の比率は86
%、純度は96%であった。元素分析の結果、亜鉛7.
0%、硫黄12.9%、リン6.4%を含んでいた。
【0039】実施例3 ジラウリルジチオリン酸の仕込量を933g(2.0モ
ル)に、酸化亜鉛の仕込量を122g(1.5モル)
に、水の仕込量を18.0g(1.0モル)に変更した以
外は実施例1と同様に製造した。その結果、ジラウリル
ジチオリン酸亜鉛977gを得た。中性塩とみなした収
率は98%、31P−NMR分析により中性塩の比率は
50%、純度は96%であった。元素分析の結果、亜鉛
7.3%、硫黄13.6%、リン6.7%を含んでいた。
【0040】比較例1 実施例1に従って製造したジラウリルジチオリン酸70
0g(1.5モル)に、酸化亜鉛81.4g(1.0モ
ル)、硝酸亜鉛六水和塩3.0g(10ミリモル)を仕
込み、直ちに減圧し、60〜80℃、200mmHgで
10時間反応させた。次いで加熱し、90〜100℃で
2時間、更に120〜130℃で3時間、10Torr
以下で熟成した。これをケイソウ土をろ過助剤としてろ
過したが、ろ過性が悪く、収量は660g、中性塩とみ
なした収率は88%と低かった。加えて硫化水素臭気が
強く、31P−NMR分析により、ZDTP以外に原料
ジチオリン酸のピークが存在する他、多数の副生成分に
由来するピークが認められ、純度も85%と低いことが
判明した。元素分析の結果、亜鉛6.2%、硫黄11.5
%、リン6.0%を含んでいた。
【0041】比較例2 硝酸亜鉛六水和塩を仕込まなかった以外は全て実施例1
に従って製造した。しかし、ろ過性が悪く、収量及び元
素含量は比較例1とほぼ同じであった。加えて硫化水素
臭気が強く、31P−NMRにより、比較例1と同様
に、純度も86%と低いことが判明した。
【0042】比較例3 実施例1に従って製造したジラウリルジチオリン酸93
3g(2.0モル)に、酸化亜鉛65.0g(0.8モ
ル)を仕込み、直ちに減圧し、60〜80℃、200m
mHgで10時間反応させた。次いで加熱し、90〜1
00℃で2時間、更に120〜130℃で3時間、10
Torr以下で熟成した。これをケイソウ土をろ過助剤
としてろ過し、ジラウリルジチオリン酸亜鉛952gを
得た。中性塩とみなした収率は90%。硫化水素臭気が
強く、31P−NMR分析により、有効成分以外に原料
ジチオリン酸のピークが存在する他、多数の副生成分に
由来するピークが認められ、純度も85%と低いことが
判明した。元素分析の結果、亜鉛5.5%、硫黄12.8
%、リン6.3%を含んでいた。
【0043】比較例4 硝酸亜鉛六水和塩に代えて硫酸亜鉛七水和塩2.9g
(10ミリモル)を使用した以外は全て実施例1に従っ
て製造した。しかし、ろ過性が悪く、収量は比較例1と
ほぼ同じであった。加えて硫化水素臭気が強く、31P
−NMRにより塩基性塩由来のピークはなく、純度も6
9%と低いことが判明した。
【0044】実施例4 第一工程:ジステアリルジチオリン酸の製造 ラウリルアルコールに代えステアリルアルコール(C18
成分95%以上)1082g(4.00モル)を使用し
た以外は実施例1と同様に反応させた。五二硫化リンの
細粒は完全に消失し、ジステアリルジチオリン酸127
0g(2.0モル)を得た。
【0045】第二工程:ジステアリルジチオリン酸亜鉛
(C18ZDTP)の製造 上記の反応によって製造したジステアリルジチオリン酸
953g(1.5モル)に、酸化亜鉛81.4g(1.0
モル)、硝酸亜鉛六水和塩4.5g(15ミリモル)及
び水18.0g(1.0モル)を仕込み、60〜80℃で
10時間常圧で反応させた。続いて減圧、次いで加熱し
て、100〜110℃、10Torr以下で3時間脱水
したのち、ケイソウ土をろ過助剤としてろ過し、融点約
50℃のジステアリルジチオリン酸亜鉛950gを得
た。中性塩とみなした収率は95%であった。31P−
NMR分析により中性塩の比率は76%、純度は98%
であった。元素分析の結果、亜鉛5.3%、硫黄9.7
%、リン4.7%を含んでいた。
【0046】実施例5 第一工程:ジドデシルフェニルジチオリン酸の製造 ラウリルアルコールに代えドデシルフェノール1050
g(4.0モル)を使用した以外は実施例1と同様に反
応させた。五二硫化リンの細粒は完全に消失し、ジドデ
シルフェニルジチオリン酸1238g(2.0モル)を
得た。
【0047】第二工程:ジドデシルフェニルジチオリン
酸亜鉛(C12PhZDTP)の製造 上記の反応によって製造したジドデシルフェニルジチオ
リン酸928g(1.5モル)に酸化亜鉛81.4g
(1.0モル)、硝酸亜鉛六水和塩4.5g(15ミリモ
ル)及び水27.0g(1.50モル)を仕込み、80〜
90℃で10時間常圧で反応させた。続いて減圧、次い
で加熱して、120〜130℃、10Torr以下で5
時間脱水したのち、ケイソウ土をろ過助剤としてろ過
し、ジドデシルフェニルジチオリン酸亜鉛930gを得
た。中性塩を基準とした収率は95%であった。31P
−NMR分析により、中性塩の比率は90%、純度は9
8%であった。元素分析の結果、亜鉛5.2%、硫黄9.
5%、リン4.6%を含んでいた。
【0048】実施例6 第一工程:ラウリル−ミリスチル−セチル混合ジチオリ
ン酸の製造 ラウリルアルコールに代えラウリルアルコール(63
%)、ミリスチルアルコール(30%)、セチルアルコ
ール(6%)を主成分とする混合アルコール(水酸基価
280)を802g(4.00モル)使用した以外は実
施例1と同様に反応させた。五二硫化リンの細粒は完全
に消失し、ラウリル−ミリスチル−セチル混合ジチオリ
ン酸989g(2.00モル)を得た。
【0049】第二工程:ラウリル−ミリスチル−セチル
混合ジチオリン酸亜鉛(C12〜14〜 16 ZD
TP)の製造 上記の反応によって製造したラウリル−ミリスチル−セ
チル混合ジチオリン酸742g(1.5モル)に、酸化
亜鉛81.4g(1.0モル)、硝酸亜鉛六水和塩3.0
g(10ミリモル)及び水18.0g(1.0モル)を仕
込み、60〜80℃で10時間常圧で反応させた。続い
て減圧、次いで加熱して、110〜120℃、10To
rr以下で5時間脱水したのち、ケイソウ土をろ過助剤
としてろ過し、ラウリル−ミリスチル−セチル混合ジチ
オリン酸亜鉛760gを得た。中性塩とみなした収率は
96%であった。31P−NMR分析の結果、純度は9
7%であった。元素分析の結果、亜鉛6.5%、硫黄1
2.5%、リン6.0%を含んでいた。
【0050】使用例 実施例1〜6で得られたZDTP、比較例1〜4で得ら
れたZDTP及びイソブタノールと2−エチルヘキサノ
ールから製造された市販のZDTP(市販品1)(C
4〜8ZDTP)と市販のドデシルフェニルZDTP(市
販品2)(C12PhZDTP)について、下記の各試験
を実施した。その結果を表1に示す。 試験1:銅板腐食試験 各ZDTPを希釈せずにJIS K2513の銅板腐食
試験に供した。但し試験条件は温度150℃、試験時間
1時間とした。 試験2:耐荷重試験 各ZDTPを希釈せずに高速四球型摩擦試験機に供し、
焼き付き荷重を測定した。試験条件は、回転数1500
rpm、試験時間1分間、試験温度は室温とした。 試験3:酸化安定性試験 各ZDTP1重量部を100N精製パラフィン鉱油99
部に溶解し、JISK2514の酸化安定性試験(IS
OT)を行った。試験条件は、温度165.5℃、試験
時間は24時間とした。
【0051】
【表1】
【0052】以上の実施例及び試験例から明らかなよう
に、本発明の製造方法は高純度、高収率でZDTPを製
造することができる。又、本発明方法により製造された
実施例1〜6のZDTPは、銅板腐食性が比較例より優
秀である。又、市販品と比較した場合、実施例1〜4及
び6は市販品1に比べて焼付荷重値が大きく、酸価劣化
後の動粘度変化、全酸価変化及びスラッジ量も少ない。
又、アリール系ZDTPである実施例5は、同じアリー
ル系ZDTPである市販品2に比べて焼付荷重値が大き
く、酸価劣化後の動粘度変化、全酸価変化及びスラッジ
量も少ない。
【0053】
【発明の効果】本発明の効果は、従来の製造方法に比べ
て高純度、高収率でZDTPを得ることができる製造方
法を提供したことにある。本発明の製造方法により製造
されたZDTPは、従来の製造方法で製造されたZDT
Pに比べて銅板腐食性、焼付荷重、酸化劣化後の性能
等、潤滑油添加剤として要求される性能に優れる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)アルコール又はフェノール、
    (B)五二硫化リン及び(C)酸化亜鉛を反応させるこ
    とからなるジチオリン酸亜鉛の製造方法において、
    (D)水、及び(E)硝酸亜鉛又はその水和物を任意の
    段階で添加することを特徴とするジチオリン酸亜鉛の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 ジチオリン酸亜鉛が、下記の一般式
    (1)〜(3)で表される化合物の1種又は2種以上の
    混合物である、請求項1記載のジチオリン酸亜鉛の製造
    方法: 【化1】 (式中、R1及びR2は、炭化水素基を表わす) 【化2】 (式中、R1及びR2は、炭化水素基を表わす) 【化3】 (式中、R1及びR2は、炭化水素基を表わす)
  3. 【請求項3】 (A)アルコール又はフェノール及び
    (B)五二硫化リンを反応させジチオリン酸を製造する
    ことからなる第一工程;及び第一工程により製造された
    ジチオリン酸及び(C)酸化亜鉛を反応させる第二工程
    を有するジチオリン酸亜鉛の製造方法において、第二工
    程の任意の段階で、(D)水及び(E)硝酸亜鉛又はそ
    の水和物を添加する、請求項1又は2記載のジチオリン
    酸亜鉛の製造方法。
  4. 【請求項4】 (C)酸化亜鉛1モルに対し、(D)水
    を0.01〜10モル、(E)硝酸亜鉛又はその水和物
    を0.001〜0.1モル反応させる、請求項1乃至3の
    いずれか1項記載のジチオリン酸亜鉛の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4記載の製造方法で製造さ
    れたジチオリン酸亜鉛を必須成分として含有してなるこ
    とを特徴とする潤滑剤。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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