JP3909894B2 - 金属加工油組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属加工油組成物、詳しくは、特定のポリエステル及びジンクジチオホスフェートを用いたことを特徴とする金属加工油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
切削、研削、引き抜き、伸線、プレス等のいわゆる金属加工に用いられる油剤は、動植物性油脂、鉱油、合成油或いはこれらの混合物を基油とし、これに油性剤、極圧剤、防錆剤、酸化防止剤等を加えて従来から使用されてきた。特に、一般の技術水準の高度化に伴い、各種加工機械類の大型化、精密化ならびに金属材料の硬度の上昇、金属加工条件の高速高圧力化、更には金属製品仕上げ面の精密化等のように、金属加工条件がますます苛酷になっており、より一層の極圧性が必要とされてきた。この問題を解決するため、従来は塩素系の極圧剤が使用されていた。
【0003】
しかし、塩素系極圧剤はその毒性、特に発癌性が懸念されており、近年の環境に対する配慮からも、非塩素系極圧剤が好ましいものとされつつある。
また、塩素系極圧剤に代わる添加剤として、ジンクジチオホスフェート(以下、「ZDTP」ということもある)がある。ZDTPを添加した金属加工油の例としては、圧造加工油として、ホウ酸塩とZDTPとを組み合わせた組成物(特開昭56−79193号公報)、水系金属加工油として、ポリオキシアルキレンアミン類とZDTPとを組み合わせた組成物(特開昭59−108098号公報)、切削油として、特公昭63−12920号公報、特公昭51−40567号公報、特開平6−65589号公報、特開平6−287581号公報、特開平6−330076号公報、特開平6−313182号公報、特開平7−233388号公報等に記載のものがある。また、塑性加工油としては、特開平7−118682号公報に記載の冷間鍛造加工油や、特開平7−188688号公報に記載のアルミニウム塑性加工油等がある。
【0004】
しかし、特に金属の塑性変形を利用する塑性加工油については、要求される潤滑性が切削油等と比べて格段に苛酷であるためか、従来提案されてきたZDTPを配合した金属加工油では不十分であることが明らかになった。
【0005】
他方、ダイマー酸とポリオール類とを脱水縮合して得られたポリエステルは、金属加工用添加剤として知られている。例えば、特公昭48−39206号公報には、エチレングリコールとダイマー酸から製造されたポリエステルを、金属冷間圧延油添加剤として使用する技術が開示されている。また、特公昭52−17516号公報には、2〜4価のポリオール、ダイマー酸などの2塩基酸及び脂肪酸若しくはアルコールからなるポリエステルを鉱油に配合し、ステンレス用冷間圧延油として使用する技術が開示されている。特公平2−32315号及び特公平5−64679号公報には、ダイマー酸又はポリマー酸とポリオール類を加熱縮合し、残余のカルボキシル基をアルコール等で封鎖した分子量750〜7,500のエステルを油脂類に配合し、金属材料の冷間圧延用潤滑油として使用する技術が開示されている。しかしながら、これらの技術によっても未だ満足のいく極圧性及び潤滑性が得られていないのが現状であった。
【0006】
従って、本発明の目的は、極圧性及び潤滑性に優れた金属加工油組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意開発を進めた結果、特定のポリエステル及びZDTPを用いた金属加工油組成物が、上記目的を解決することができることを知見した。
【0008】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、(A)成分として、ダイマー酸及びネオペンチル型ポリオールを縮合して製造されたポリエステル、又はダイマー酸、ネオペンチル型ポリオール及びアルコール若しくはフェノールを縮合して製造されたポリエステル、並びに(B)成分として、下記〔化5〕(前記〔化1〕と同じ)の一般式(1)で表されるジンクジチオホスフェートを含有し、上記(A)成分の含有量が組成物全量に対して10〜80重量%であり、上記(B)成分の含有量が組成物全量に対して20〜65重量%である金属加工油組成物を提供するものである。
【0009】
【化5】
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の金属加工油組成物について詳細に説明する。
本発明に用いられる(A)成分は、ダイマー酸及びネオペンチル型ポリオールを縮合して製造されたポリエステル、又はダイマー酸、ネオペンチル型ポリオール及びアルコール若しくはフェノールを縮合して製造されたポリエステルである。ここで、後者のポリエステルは、詳しくはダイマー酸及びネオペンチル型ポリオールから構成されたポリエステルの末端のカルボキシル基をアルコール又はフェノールで封鎖したポリエステルである。
【0011】
ここで、ダイマー酸とは一般には、モノエン酸、ジエン酸、トリエン酸等を加熱して脱水素、共役化を伴って重合した重合脂肪酸をいう。ここで、該モノエン酸としては、例えば、リンデル酸、ツズ酸、フィセトレイン酸、ミリストレイン酸、ゾーマリン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ガドレン酸、ゴンドウ酸、鯨油酸、エルカ酸、ブラシジン酸、セラコレイン酸等が挙げられる。また、該ジエン酸としてはリノール酸、リノエライジン酸等が挙げられる。また、該トリエン酸とはリノレン酸、エレオステアリン酸等が挙げられる。
【0012】
また、ダイマー酸の構造については明確に知られてはいないが、例えばリノール酸は下記〔化6〕に示すような反応経路によりダイマー酸(a)を形成するといわれている。
【0013】
【化6】
【0014】
本発明において、上記(A)成分であるポリエステルの原料として用いられるダイマー酸は、いかなるダイマー酸でも使用でき、単一の不飽和脂肪酸から生成したダイマー酸であっても、2以上の不飽和脂肪酸から生成したダイマー酸でも使用できるが、好ましくはオレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等の炭素数18の不飽和脂肪酸から生成したダイマー酸が良い。
【0015】
また、上記(A)成分であるポリエステルのもう一方の原料であるネオペンチル型ポリオールとは、分子内に下記〔化7〕に示す式で表すことができるネオペンチル炭素原子を有するポリオールをいう。
【0016】
【化7】
【0017】
上記ネオペンチル型ポリオールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、又はこれらが脱水縮合したポリオールが挙げられる。これらの中でもネオペンチルグリコールが最も好ましい。
【0018】
上記ダイマー酸及び上記ネオペンチル型ポリオールを縮合して上記(A)成分であるポリエステルを製造するには通常脱水縮重合によるが、その製造方法は特に限定されず、通常のポリエステルを製造する方法と同様であってよい。
【0019】
また、上記ダイマー酸、上記ネオペンチル型ポリオール及びアルコール若しくはフェノールを縮合して上記(A)成分であるポリエステルを製造するには、上記と同様に上記ダイマー酸及び上記ネオペンチル型ポリオールを縮合してポリエステルを製造し、更に末端に存在する残余のカルボキシル基を該アルコール又はフェノールを反応させアルコキシル化又はフェノキシ化し封鎖することにより得られる。
【0020】
本発明においては、上記(A)成分であるポリエステルのうち、後者のポリエステル(カルボキシル基がアルコール又はフェノールで封鎖されたポリエステル)の方が好ましい。
【0021】
ここで、上記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、デカノール、ラウリルアルコール、トリデカノール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、ミリシルアルコール、ラッセロール、テトラトリアコンタノール、アリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等が挙げられる。
【0022】
上記フェノールとしては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ターシャルブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、スチレン化フェノール、パラクミルフェノール等が挙げられる。
【0023】
上記アルコール及びフェノールの中でも、特に炭素数4〜16のアルコールが好ましい。
【0024】
また、上記(A)成分であるポリエステルの分子量(重量平均分子量)は特に限定されないが、通常1,000〜100,000、好ましくは2,000〜30,000である。該分子量が100,000よりも大きいと粘度が高くなり配合、調製時に不都合を起こし易く取り扱いも難しくなり、1,000よりも小さいと添加する効果が十分得られなくなる場合がある。
【0025】
本発明においては上記(A)成分の含有量は、組成物全量に対して、10〜80重量%であり、より好ましくは20〜75重量%、最も好ましくは30〜70重量%添加すると良好な効果が得られる。該含有量が80重量%よりも多いと粘度が高くなり配合、調製時に不都合を起こし易く取り扱いも難しくなり、10重量%よりも小さいと添加する効果が十分得られなくなる場合がある。
【0026】
本発明に用いられる(B)成分であるジンクジチオホスフェート(ZDTP)は、上記一般式(1)で表される化合物である。該一般式(1)において、R1 〜R4 はそれぞれ炭化水素基を示し同一でも異なってもよい。該炭化水素基は、飽和、不飽和、鎖状、環状、直鎖、分岐鎖を問わず、また脂肪族、脂環族、芳香族のいずれであってもよい。該炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等が挙げられる。
【0027】
上記アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ターシャリペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2−オクチルドデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−テトラデシルオクタデシル、モノメチル分岐−イソステアリル等が挙げられる。
【0028】
また、上記アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、オレイル等が挙げられる。
【0029】
また、上記アリール基としては、例えば、フェニル、トルイル、キシリル、クメニル、メシチル、ベンジル、フェネチル、スチリル、シンナミル、ベンズヒドリル、トリチル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ウンデシルフェニル、ドデシルフェニル、スチレン化フェニル、クミルフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル等が挙げられる。
【0030】
また、上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、メチルシクロヘプチル等が挙げられる。
また、上記シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、メチルシクロペンテニル、メチルシクロヘキセニル、メチルシクロヘプテニル基等が挙げられる。
【0031】
上記炭化水素基の中でも、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル等の炭素数8〜20のアルキル基が好ましい。更に、これらのアルキル基のなかでも炭素数10〜14の一級アルキル基、即ちデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、ミリスチル基は、臭気が少なく、分解温度が高く、潤滑性も良好なので特に好ましい。
【0032】
上記(B)成分であるZDTPは、通常工業的に行われている製造方法により製造することができ、例えば、特公昭48−37251号公報に示す方法で製造することができる。
【0033】
本発明においては、上記(B)成分の含有量は、組成物全量に対して、20〜65重量%であり、最も好ましくは30〜60重量%である。該含有量が70重量%よりも多いと前記(A)成分の添加の効果が発揮されない場合があり、10重量%よりも少ないと添加する効果が十分得られない場合がある。
【0034】
また、更に過酷な金属加工条件を要求される場合は、本発明の金属加工油組成物には、(C)成分として、下記〔化8〕(前記〔化2〕と同じ)の一般式(2)で表わされる硫化オキシモリブデンジチオカーバメート(以下、「MoDTC」ということもある)、下記〔化9〕(前記〔化3〕と同じ)の一般式(3)で表わされる硫化オキシモリブデンジチオホスフェート(以下、「MoDTP」ということもある)、及び6価のモリブデン化合物を下記〔化10〕(前記〔化4〕と同じ)の一般式(4)で表されるアミノ化合物と反応させて得られるモリブデンアミン化合物(以下、「MoAm」ということもある)からなる群から選ばれる一種以上のモリブデン化合物を添加することができる。該記モリブデン化合物を添加するに際しては、1種であっても、2種以上を併用してもよい。
【0035】
【化8】
【0036】
【化9】
【0037】
【化10】
【0038】
上記一般式(2)〜(4)で表わされるそれぞれのモリブデン化合物において、R5 〜R14はそれぞれ炭化水素基を示し同一でも異なってもよく、例えば、前述の一般式(1)中のR1 〜R4 が示す炭化水素基として例示したものと同様のものが挙げられる。なお、R13及びR14は水素原子でもよいが、同時に水素原子であることはない。これらの炭化水素基の中でも、優れた潤滑性、加工性を得るためには、上記MoDTCにおけるR5 〜R8 が炭素数8〜13のアルキル基であることが好ましく、また、上記MoDTPにおけるR9 〜R12が炭素数6〜13のアルキル基であることが好ましく、また、上記MoAmにおけるR13及びR14が炭素数6〜18のアルキル基であることが好ましい。
【0039】
また、上記一般式(2)及び(3)においては、X1 〜X8 は各々硫黄原子又は酸素原子であり、X1 〜X8 の全てが硫黄原子或いは全てが酸素原子であってもよく、4つのX1 〜X4 及び4つのX5 〜X8 がそれぞれ硫黄原子或いは酸素原子であってもよいが、潤滑性及び腐食性を考慮した場合、全X中の硫黄原子/酸素原子の比が1/3〜3/1であるのが特に好ましい。
【0040】
上記MoDTCの製造方法としては、例えば、特公昭56−12638号公報に記載された方法が好ましい。即ち、三酸化モリブデン若しくはモリブデン酸塩と、硫化アルカリ或いは水硫化アルカリとを反応させ、次いで二硫化炭素と二級アミンを加えて適当な温度で反応させることにより得ることができる。
【0041】
また、上記MoDTPの製造方法としては、例えば、特開昭61−87690号公報及び特開昭61−106587号公報に記載された方法が好ましい。即ち、三酸化モリブデン若しくはモリブデン酸塩と、硫化アルカリ或いは水硫化アルカリとを反応させ、次いでP2 S5 と二級アルコールとを加えて適当な温度で反応させることにより得ることができる。
【0042】
また、上記MoAmは、6価のモリブデン化合物と、1級或いは2級のアミンとの塩であって、例えば、特開昭61−285293号公報に示された方法により製造されるのが好ましい。即ち、三酸化モリブデン若しくはモリブデン酸塩と、1級或いは2級のアミンとを室温から100℃の間で反応させることにより得ることができる。
【0043】
本発明において必要に応じ用いられる上記(C)成分であるモリブデン化合物の含有量は特に限定されないが、組成物全量に対して好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜15重量%、最も好ましくは0.1〜10重量%添加すると良好な効果が発揮される。該含有量が20重量%よりも多いと臭気や腐食の問題が起こる場合があり、0.1少ないと十分な効果が発揮されない場合がある。
【0044】
また、本発明の金属加工油組成物には、任意に各種の添加剤、例えば、脂肪酸、油脂、油性剤、消泡剤、極圧剤、防錆剤等を加えることができる。これらの中でも、極圧剤、とりわけ硫黄系極圧剤(1分子内に硫黄原子を有する極圧剤)や防錆剤を加えると、加工性、保存安定性を向上させるために好ましい。
【0045】
ここで、上記硫黄系極圧剤としては、例えば、硫化オレフィン、硫化パラフィン、硫化ラード等の硫化油、ジアルキルポリスルフィド、ジベンジルジスルフィド、ジフェニルジスルフィド、チウラムジスルフィド、チアジアゾール、ポリフェニレンスルフィド、アルキルメルカプタン、アルキルスルホン酸等が挙げられる。
【0046】
上記硫黄系極圧剤は、本発明の効果を損なわない範囲の量で適宜使用できるが、組成物全量に対して、好ましくは0.01〜35重量%、より好ましくは0.1〜35重量%、最も好ましくは1〜20重量%添加することができる。
【0047】
また、上記防錆剤としては、例えば、アルキルコハク酸、ナフテン酸、アビエチン酸、リノール酸、リノレイン酸、オレイン酸、ダイマー酸、アルキルフェノキシ酢酸、キサントゲン酢酸等のカルボン酸類、ステアリン酸のアルミニウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、バリウム塩、アリルステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、リノレイン酸のカルシウム塩、ナトリウム塩、羊毛脂の鉛セッケン、パルミチン酸マグネシウム、ナフテン酸の鉛塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、マンガン塩等の金属カルボキシレート、アルカリ金属スルホネート、アルカリ土類金属スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、石油スルホネート、アミンスルホネート、アンモニウムスルホネート等のスルホン酸塩類、ロジンアミン、ステアリルアミン、パルミチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アルカノールアミン、アルキルイミダゾリン等のアミン類、モノ/ジアルカノールアミンの脂肪酸アミド等のアミド類、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノオレートのポリオキシアルキレン誘導体、ペンタエリスリトールモノオレート、エルカ酸ジポリエステル、パルミチン酸トリエステル等のエステル類等が挙げられる。
【0048】
上記防錆剤は、本発明の効果を損なわない範囲の量で適宜使用できるが、組成物全量に対して、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%、最も好ましくは0.1〜3重量%添加することができる。
【0049】
その他、本発明の金属加工油組成物に添加することができる極圧剤としては、ホウ酸エステル類、ジチオカーバメート類、酸性リン酸エステル類、酸性亜リン酸エステル類、ジチオホスフェート類、アルキルリン酸エステル類、アリールリン酸エステル類等が例示できる。
【0050】
本発明の金属加工油組成物には、上記成分以外の成分として、基油を使用できる。本発明に用いられる基油は、通常金属加工油用基油として用いることができる鉱油或いは合成油、油脂或いはこれらの混合物であってよい。なお、本発明において、上記基油は使用してもよく、使用しなくてもよい。
【0051】
ここで、上記鉱油とは、天然の原油から分離、蒸留、精製されるものをいい、例えばパラフィン系、ナフテン系、或いはこれらを水素化処理、溶剤精製したもの等が挙げられる。これらの中には、いわゆるスピンドル油、マシン油、タービン油、シリンダー油と称されている鉱油が含まれる。
【0052】
また、上記合成油とは、化学的に合成された潤滑油であって、例えばポリ−α−オレフィン、ポリイソブチレン(ポリブテン)、ジエステル、ポリオールエステル、リン酸エステル、ケイ酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、シリコーン、フッ素化化合物、アルキルベンゼン等が挙げられる。
【0053】
また、上記油脂としては、例えば牛脂、豚脂、ナタネ油、ヤシ油、パーム油、ヌカ油、大豆油或いはこれらの水素添加物等が挙げられる。
【0054】
本発明の金属加工油組成物の粘度は特に限定されないが、40℃での粘度がおおむね100〜100,000cSt、好ましくは300〜50,000cSt、更に好ましくは1,000〜10,000cStである。該粘度が100cStよりも小さいと加工の際に油膜切れをおこし精密な加工が不可能となる場合があり、100,000cStよりも大きいと製造上又は使用上取り扱いが難しくなる場合がある。尚、通常は前記(A)成分であるポリエステルの添加量を調節することにより、本発明の金属加工油組成物自身の粘度を調整することができる。
【0055】
本発明の金属加工油組成物は、金属加工、例えば切削加工、研磨加工に用いられる限りは特に用途は限定されないが、好ましくはいわゆる塑性加工に用いるのがよい。即ち、本発明の金属加工油組成物を塑性加工油組成物として用いるのが好ましい。ここでいう塑性加工とは、例えば伸線加工、圧延加工、鍛造加工、プレス加工、押し出し加工、曲げ加工、絞り加工、張出し加工、しごき加工、ロール成形、剪断加工、回転加工、延ばし加工、引き抜き加工、施圧加工等である。
【0056】
本発明の金属加工油組成物を用いる対象となる金属は、鉄、アルミニウム、チタン、マグネシウム、銅、亜鉛、マンガン、これらの合金(例えばステンレス、黄銅)或いはこれらとケイ素の合金等、特に限定されないが、特に鉄、アルミニウム、ステンレスを対象とした場合に良好な効果を発揮する。
【0057】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。
下記〔表1〕及び〔表2〕に示す配合(配合量単位;重量部)の金属加工油組成物を高速四球型摩擦試験機に供し、初期焼付荷重(Seizure Load )を測定した。また、荷重を100kg及び200kgかけて試験したときの摩耗痕径をそれぞれ測定した。尚、試験条件は、回転数1,500rpm、試験温度は室温とした。それらの結果を下記〔表1〕及び〔表2〕に示す。
【0058】
ここで、試験に用いた各種試料を以下に示す。
(A)成分
・ポリエステル1:ダイマー酸、ネオペンチルグリコール及び2―エチルヘキサノールから製造された重量平均分子量22,400のポリエステル。
・ポリエステル2:ダイマー酸、ネオペンチルグリコール及び2―エチルヘキサノールから製造された重量平均分子量8,500のポリエステル。
・ポリエステル3:ダイマー酸、ネオペンチルグリコール及び2―エチルヘキサノールから製造された重量平均分子量3,000のポリエステル。
【0059】
(B)成分
・ZDTP1:前記一般式(1)において、R1 〜R4 が何れもn−ドデシル 基であるZDTP。
・ZDTP2:前記一般式(1)において、R1 〜R4 が何れも2―エチルヘ キシル基であるZDTP。
【0060】
(C)成分
・MoDTC:前記一般式(2)において、R5 〜R8 が何れも2―エチルヘ キシル基であり、X1 〜X4 がS/O=2.2であるMoDTC。
・MoDTP:前記一般式(3)において、R9 〜R12が何れも2―エチルヘ キシル基であり、X5 〜X8 がS/O=2.2であるMoDTP。
・MoAm:下記の方法で合成されるMoAm。
窒素気流下で三酸化モリブデン1モルを水540mlに分散させ、次いで2モルのジトリデシルアミン〔前記一般式(4)において、R13及びR14がそれぞれイソトリデシル基であるアミノ化合物〕を50〜60℃に保ちつつ、1時間で滴下、さらに同温度で1時間熟成した。この後、水層を分離除去し、淡青色オイル状のモリブデン酸アミン化合物(MoAm)を合成した。
【0061】
(その他の成分)
・硫黄系極圧剤1:硫化ラード
・硫黄系極圧剤2:ポリアルキルサルファイド
・防錆剤1:ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム
・防錆剤2:パルミチルアミン
・鉱油:動粘度が40℃で68cStの精製鉱油
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
上記〔表1〕及び〔表2〕に示すように、ダイマー酸及びネオペンチル型ポリオールから製造されたポリエステル及びZDTPを含有する本発明の金属加工油組成物は、ポリエステル又はZDTPの何れかを単独で用いた金属加工油組成物(比較例1〜6)に比べて、初期焼付荷重が大きいことが判る。更に、モリブデン化合物、硫黄系極圧剤、防錆剤を含有する金属加工油組成物は、より優れた効果を発揮していることが明らかである。
【0065】
【発明の効果】
本発明の金属加工油組成物は、特定のポリエステル及びジンクジチオホスフェート(ZDTP)を含有するもので、極圧性、潤滑性及び加工性に優れたものである。更に、本発明の金属加工油組成物は、モリブデン化合物を含有することで上記効果のより優れたものとなる。
Claims (6)
- 上記ネオペンチル型ポリオールが、ネオペンチルグリコールである請求項1記載の金属加工油組成物。
- 上記(A)成分であるポリエステルの分子量が、1,000〜100,000である請求項1又は2記載の金属加工油組成物。
- 上記一般式(1)中のR1 〜R4 が、何れも炭素数10〜14の一級アルキル基である請求項1乃至4のいずれか1項記載の金属加工油組成物。
- 請求項1乃至5のいずれか1項記載の金属加工油組成物からなる塑性加工油組成物。
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