JP3746365B2 - 潤滑油組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、潤滑油組成物に関するものであり、さらに詳しくは、硫黄含有有機モリブデン系化合物、有機酸およびジチオリン酸亜鉛とを含有する摩擦低減効果の優れた潤滑油組成物に関するものである。本発明の潤滑油組成物は、内燃機関用潤滑油、自動変速機油、ギヤ油、作動油、塑性加工油等の各分野において有用である。
【0002】
【従来の技術】
機械装置、設備、機器等の運動部分の摺動面において生ずる摩擦・摩耗の低減化はトライボロジーの基本的な課題であり、従来から多数の研究開発が行なわれている。このような研究開発においては、潤滑油基油の組成を改善し品質改良を図ると共に、潤滑油基油に添加される種々の摩擦調整剤の開発が進められ、例えば、硫化オキシモリブデンジチオホスフェート(以下「MoDTP」と略称する。)および硫化オキシモリブデンジチオカーバメート(以下「MoDTC」と略称する。)等が金属系摩擦調整剤として提案されている(例えば、特開昭54−113604号公報参照。)。
【0003】
しかしながら、近年、機械装置をはじめ自動車等の内燃機関の性能向上に伴ない、潤滑油の使用条件が苛酷になり、例えば、自動車用エンジン油にとっては、停止および発進運転から生ずる厳しい高低温条件の頻繁な繰り返しに耐えると共に、長時間の高速連続運転から生ずる高温条件に耐え得ることが要求されるようになり、また、環境保全の対策上、省資源、省エネルギーの観点からの対応が不可欠となっており、燃料消費率の改善のためには内燃機関の摩擦損失を低減させることが必要となっているが、前記のMoDTPおよびMoDTC等の摩擦調整剤は低温においては相応の摩擦低減効果を発揮するものの、高温においてはその摩擦低減効果を喪失し、高温条件下での運転の必要な機械装置および自動車の高速運転には十分な効果を奏し得ないおそれの生ずることが本発明者らの検討の結果により明らかとなった。そこで、本発明者らはMoDTC等と有機酸とを併用することにより、MoDTC等の高温条件下における摩擦特性の改善を図ることを提案したが、低温条件下における摩擦低減効果もさらに改善する必要があることも判明した。
【0004】
このような状況において、低温域から高温域にわたる広範な温度条件下において摩擦低減効果が優れ、かつ長期間の使用において摩擦低減効果の持続性に優れた潤滑油が強く要求されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、潤滑油の使用環境において変動するあらゆる条件、すなわち、低温域から高温域にわたる広範な温度条件下において優れた摩擦低減効果およびその安定性を発揮できる潤滑油組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、従来の摩擦調整剤の開発状況に鑑み、前記の課題を解決するため鋭意検討を加えた結果、硫黄含有有機モリブデン系化合物と特定の有機酸およびジチオリン酸亜鉛を併用することにより前記課題を解決できることを見いだし、これらの知見に基いて本発明の完成に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、
潤滑油基油に
a)硫黄含有有機モリブデン系化合物、
b)脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸、芳香族カルボン酸および脂肪族炭化水素置換フェノール化合物からなる群より選択される少なくとも一種の有機酸
ならびに
c)ジチオリン酸亜鉛
を配合してなることを特徴とする潤滑油組成物に関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
本発明の潤滑油組成物の構成成分としての潤滑油基油は、潤滑油組成物の用途により適宜選択されるが、本発明の効果を発揮するものであれば特に限定されるものではなく、通常、潤滑油の基油として使用されているものを用いることができる。例えば、鉱油系基油、合成系基油、植物油系基油等を挙げることができ、これらの基油は、各々、単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。鉱油系基油としては、パラフィン系、中間基系またはナフテン系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留留出油として得られる潤滑油留分を溶剤精製、水素化分解、水素化処理、水素化精製、接触脱蝋、溶剤脱蝋、白土処理等の各種精製工程を任意に選択して用いることにより処理して得られる鉱油、減圧蒸溜残渣油を溶剤脱瀝処理に供したのち、脱瀝油を上記の精製工程により処理して得られる鉱油、または、ワックス分の異性化により得られる鉱油等またはこれらの混合油を用いることができる。前記の溶剤精製においては、フェノール、フルフラール、N−メチル−2−ピロリドン等の芳香族抽出溶剤が用いられ、一方、溶剤脱蝋の溶剤としては、液化プロパン、MEK/トルエン等が用いられる。また、接触脱蝋においては例えば形状選択性ゼオライト等を脱蝋触媒として用いることができる。また、特に、酸化安定性等の観点から、前記の水素化分解、水素化処理により得られる芳香族炭化水素含有量2重量%以下の飽和炭化水素からなる水素化処理油を用いることもできる。
【0010】
一方、合成系基油としては、ポリα−オレフィンオリゴマー(例えば、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)等およびこれらの混合物。)、ポリブテン、アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジ(2−エチルヘキシル)ベンゼン、ジノニルベンゼン等。)、ポリフェニル(例えば、ビフェニル、アルキル化ポリフェニル等。)、アルキル化ジフェニルエーテルおよびアルキル化ジフェニルスルフィドおよびこれらの誘導体;二塩基酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スペリン酸、セバチン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸ダイマー等。)と各種アルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール等。)とのエステル;炭素数5〜12のモノカルボン酸とポリオール(例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等。)とのエステル;その他、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、リン酸エステルおよびシリコーン油等を挙げることができる。
【0011】
また、植物油系基油としては、ひまし油、なたね油、オリーブ油、ひまわり油等を用いることができる。
【0012】
前記の各種潤滑油基油は、潤滑油組成物の用途に応じて所望の粘度その他の性状を有するように調製することができる。例えば、各種潤滑油基油の混合により、内燃機関用潤滑油としては、100℃における動粘度が2〜30mm2 /s、特に、3〜10mm2 /sの範囲に、また、自動変速機油としては、100℃における動粘度を2〜30mm2 /s、特に、3〜15mm2 /sの範囲に調整すればよい。
【0013】
本発明の潤滑油組成物の構成成分の硫黄含有有機モリブデン系化合物としては、例えば、硫化オキシモリブデンジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジチオホスフェートおよび硫化オキシモリブデンジチオキサントゲネート等を挙げることができる。硫化オキシモリブデンジチオカーバメートは次の一般式[I] で表され、硫化オキシモリブデンジチオホスフェートは一般式[II]により、また、硫化オキシモリブデンジチオキサントゲネートは一般式[III] により表される。一般式[I]
【0014】
【化1】
Figure 0003746365
一般式[II]
【0015】
【化2】
Figure 0003746365
一般式[III]
【0016】
【化3】
Figure 0003746365
前記一般式[I] 、[II]および[III] において、R1 およびR2 は、炭素数1〜30の炭化水素基であり、各々、同一でも異なるものでもよい。炭化水素基としては、炭素数1〜30のアルキル基;炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のシクロアルキル基;炭素数6〜30のアリール基であり、アリール基は、炭素数1〜24のアルキル基で置換されたものでもよい。好ましい炭化水素基は炭素数3〜24のアルキル基であり、例えば、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等の直鎖状またはこれらの分岐状アルキル基を挙げることができる。さらに好ましいアルキル基は、一般式[I] で表される硫化オキシモリブデンジチオカーバメートにおいては炭素数3〜20のものであり、後述の有機酸金属塩化合物との併用において相乗的な摩擦低減効果を示す。一般式[II]の硫化オキシモリブデンジチオホスフェートにおいても炭素数3〜20のアルキル基が摩擦低減効果の観点から特に好適である。また、一般式[III] の硫化オキシモリブデンジチオキサントゲネートにおいてはアルキル基の炭素数が3〜24の範囲ものが好ましい。
【0017】
前記一般式[I] 、[II]および[III] において、xは、各々、0.5〜2.3であり、好ましくは0である。
従って、本発明の潤滑油組成物にとって好適な一般式[I] の硫化オキシモリブデンジチオカーバメートの代表例として、硫化オキシモリブデンジプロピルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジイソプロピルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジブチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジイソブチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジブテニルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジペンチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジイソペンチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジヘキシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジヘプチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジオクチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ(2−エチルヘキシル)ジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ(2−プロピルペンチル)ジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジノニルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ(2−プロピルヘキシル)ジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジドデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ(2−メチルドデシル)ジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジヘキサデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジオクタデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ(2−メチルオクタデシル)ジチオカーバメート等を挙げることができる。
【0018】
一般式[II]の硫化オキシモリブデンジチオホスフェートの代表例として、硫化オキシモリブデンジプロピルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジイソプロピルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジブチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジイソブチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジブテニルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジペンチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジヘキシルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジヘプチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジオクチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジ(2−エチルヘキシル)ジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジノニルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジデシルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジドデシルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジオクタデシルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジオレイルジチオホスフェート等またはこれらの分岐状アルキル基またはアルケニル基を有する化合物を挙げることができる。
【0019】
また、一般式[III] の硫化オキシモリブデンジチオキサントゲネートの代表例として、硫化オキシモリブデンブチルジチオキサントゲネート、硫化オキシモリブデンペンチルジチオキサントゲネート、硫化オキシモリブデンヘキシルジチオキサントゲネート、硫化オキシモリブデンヘプチルジチオキサントゲネート、硫化オキシモリブデンオクチルジチオキサントゲネート、硫化オキシモリブデン(2−エチルヘキシル)ジチオキサントゲネート、硫化オキシモリブデンノニルジチオキサントゲネート、硫化オキシモリブデンデシルジチオキサントゲネート、硫化オキシモリブデンドデシルジチオキサントゲネート、硫化オキシモリブデンテトラデシルジチオキサントゲネート、硫化オキシモリブデンヘキサデシルジチオキサントゲネート、硫化オキシモリブデンオクタデシルジチオキサントゲネート、硫化オキシモリブデンノナデシルジチオキサントゲネート、硫化オキシモリブデンエイコシルジチオキサントゲネート等またはこれらの分岐状アルキル基またはアルケニル基を有する化合物を挙げることができる。
【0020】
以上述べた一般式[I] 、[II]および[III] において表される硫黄含有有機モリブデン系化合物は、各々、単独で用いることができるが、二種もしくは二種以上を併用してもよい。潤滑油基油に対する配合量は限定されるものではなく、潤滑油組成物の用途およびその有機モリブデン系化合物の種類によるが、通常、潤滑油組成物全重量基準で、モリブデン量として150〜2,000ppm、好ましくは、200〜1,500ppmの範囲で使用することができる。モリブデン量が150ppmに満たないと有機酸およびジチオリン酸亜鉛との相乗効果が得られず、摩擦低減効果が欠如するという問題が生じる。一方、モリブデン量が2,000ppmを超えてもその増量に応じた効果が得られないのみならず、溶解性に問題があり沈降するおそれがある。
【0021】
このような有機モリブデン系化合物の作用機構は十分には解明されていないが、潤滑油の使用条件下において摺動面にMoSX 被膜が形成されることにより摩擦係数を低減させるものと推定されており、従って、本発明の潤滑油組成物においては、硫黄含有有機モリブデン系化合物として上記のモリブデン系化合物に限定されるものではなく、MoSX 被膜形成等により摩擦低減効果を有するものであれば他の化合物を使用することができる。
【0022】
次に、本発明の潤滑油組成物の構成成分として用いられる有機酸について説明する。本発明における有機酸は、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸、芳香族カルボン酸および脂肪族炭化水素置換フェノール化合物からなる群より選択される。
【0023】
脂肪族スルホン酸は、脂肪族炭化水素基とスルホン酸基とからなり、一般式[IV]
【0024】
【化4】
Figure 0003746365
で表され、芳香族スルホン酸は、芳香族炭化水素基とスルホン酸基とからなり、一般式[V]
【0025】
【化5】
Figure 0003746365
で表される。一般式[IV]において、Rは脂肪族炭化水素基であり、一般式[V] において、Rは脂肪族炭化水素基であり、Arは芳香族炭化水素基である。nは脂肪族炭化水素基の芳香族炭化水素基への結合数を示し、1〜5、好ましくは1〜3の整数である。脂肪族スルホン酸は炭素数4〜40の脂肪族炭化水素基を有し、また、芳香族スルホン酸としては、炭素数4〜40の脂肪族炭化水素基で置換された芳香族炭化水素基を有するものが用いられる。
【0026】
脂肪族炭化水素基としては炭素数4〜40のアルキル基、特に、油溶性を付与するためには炭素数8以上のアルキル基が好ましく、具体的には、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、テトラキシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基およびトリアコンチル基、ペンタトリアコンチル基、オクタトリアコンチル基等を挙げることができる。これらのアルキル基のなかでもMoDTC、ZnDTP等との併用による摩擦低減効果の観点から、炭素数8〜20のアルキル基が好ましい。
【0027】
また、芳香族炭化水素基としては単環または多環縮合環のいずれでもよく、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン、フルオレン、ビフェニル等を例示することができる。
【0028】
脂肪族スルホン酸および芳香族スルホン酸をさらに具体的に示すと下記の一般式[VI]〜[XIII]により例示することができる。
一般式[VI]
【0029】
【化6】
Figure 0003746365
一般式[VII]
【0030】
【化7】
Figure 0003746365
一般式[VIII]
【0031】
【化8】
Figure 0003746365
一般式[VI]〜[VIII]において、R1 〜R3 は脂肪族炭化水素基であり、各々、互いに同一でもまたは異なるものでもよい。nは脂肪族炭化水素基の芳香環への結合数を示し、各一般式において、各々、互いに同一でもまたは異なるものでもよい。脂肪族炭化水素基としては前記アルキル基が好ましく、nは1〜5、好ましくは、1〜3の整数である。
【0032】
脂肪族スルホン酸および芳香族スルホン酸の具体例としては、前記R1 〜R3 の脂肪族炭化水素基がアルキル基であり、その炭素数が8〜20のアルキルスルホン酸、モノアルキルベンゼンスルホン酸、ジアルキルベンゼンスルホン酸、モノアルキルナフタレンスルホン酸、ジアルキルナフタレンスルホン酸等を例示することができる。アルキルスルホン酸としては、例えば、オクチルスルホン酸、ノニルスルホン酸、デシルスルホン酸、ウンデシルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、トリデシルスルホン酸、テトラデシルスルホン酸、ペンタデシルスルホン酸、ヘキサデシルスルホン酸、へプタデシルスルホン酸、オクタデシルスルホン酸、ノナデシルスルホン酸、エイコシルスルホン酸等を挙げることができる。また、モノアルキルベンゼンスルホン酸およびジアルキルベンゼンスルホン酸としては、例えば、モノオクチルベンゼンスルホン酸、モノノニルベンゼンスルホン酸、モノデシルベンゼンスルホン酸、モノウンデシルベンゼンスルホン酸、モノドデシルベンゼンスルホン酸、モノトリデシルベンゼンスルホン酸、モノテトラデシルベンゼンスルホン酸、モノペンタデシルベンゼンスルホン酸、モノヘキサデシルベンゼンスルホン酸、モノヘプタデシルベンゼンスルホン酸、モノオクタデシルベンゼンスルホン酸、モノノナデシルベンゼンスルホン酸、モノエイコシルベンゼンスルホン酸、ジオクチルベンゼンスルホン酸、ジノニルベンゼンスルホン酸、ジデシルベンゼンスルホン酸、ジウンデシルベンゼンスルホン酸、ジドデシルベンゼンスルホン酸ジトリデシルベンゼンスルホン酸、ジテトラデシルベンゼンスルホン酸、ジペンタデシルベンゼンスルホン酸、ジヘキサデシルベンゼンスルホン酸、ジへプタデシルベンゼンスルホン酸、ジオクタデシルベンゼンスルホン酸、ジノナデシルベンゼンスルホン酸、ジエイコシルベンゼンスルホン酸等を挙げることができる。さらに、モノアルキルナフタレンスルホン酸およびジアルキルナフタレンスルホン酸としては、例えば、モノオクチルナフタレンスルホン酸、モノノニルナフタレンスルホン酸、モノデシルナフタレンスルホン酸、モノウンデシルナフタレンスルホン酸、モノドデシルベンゼンスルホン酸、モノトリデシルベンゼンスルホン酸、モノテトラデシルベンゼンスルホン酸、モノペンタデシルベンゼンスルホン酸、モノヘキサデシルベンゼンスルホン酸、モノヘプタデシルベンゼンスルホン酸、モノオクタデシルベンゼンスルホン酸、モノノニルデシルベンゼンスルホン酸、モノエイコシルベンゼンスルホン酸、ジオクチルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジデシルナフタレンスルホン酸、ジウンデシルナフタレンスルホン酸、ジドデシルナフタレンスルホン酸、ジトリデシルナフタレンスルホン酸、ジテトラデシルナフタレンスルホン酸、ジペンタデシルナフタレンスルホン酸、ジヘキサデシルナフタレンスルホン酸、ジへプタデシルナフタレンスルホン酸、ジオクタデシルナフタレンスルホン酸、ジノナデシルナフタレンスルホン酸、ジエイコシルナフタレンスルホン酸等を挙げることができる。また、炭素数が互いに異なる二種以上のアルキル基で置換された芳香族スルホン酸も用いることができる。
【0033】
さらに、石油留分をスルホン化して得られるアルキルアリールスルホン酸を主成分とする石油スルホン酸も同様に用いることができる。
【0034】
また、前記の脂肪族スルホン酸および芳香族スルホン酸は、一種でもよいが二種以上混合した形態で用いることができる。
【0035】
芳香族カルボン酸は、芳香環にカルボキシル基を直結するカルボン酸のほか、側鎖にカルボキシル基を有するカルボン酸のいずれでも用いることができるが、次の一般式[IX]
【0036】
【化9】
Figure 0003746365
で表される化合物を用いることが好ましい。一般式[IX]において、Rは脂肪族炭化水素基を示し、mおよびnは、各々、1〜4の整数である。芳香族カルボン酸としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、その他のポリカルボン酸等のいずれでもよい。具体的に示すと、脂肪族炭化水素基で置換された安息香酸、フタル酸、フェニル酢酸、マンデル酸等およびこれらの誘導体を挙げることができる。本発明の潤滑油組成物にとって特に好ましい芳香族カルボン酸は、芳香環に結合されたヒドロキシル基を有し、少なくとも1個の脂肪族炭化水素基で置換されたサリチル酸であり、次の一般式[X]
【0037】
【化10】
Figure 0003746365
で表される。一般式[X] において、R1 は脂肪族炭化水素基であり、nは脂肪族炭化水素基の芳香環への結合数を示し、1〜4の整数である。
【0038】
脂肪族炭化水素基としては、炭素数4〜40のアルキル基が好ましく、具体的には、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、トリアコンチル基、ペンタトリアコンチル基等の直鎖状または分岐状アルキル基を例示することができる。これらのアルキル基のなかでも、炭素数8〜20のアルキル基がMoDTC、ZnDTP等との併用による摩擦低減効果が顕著である点から特に好ましい。
【0039】
従って、本発明の潤滑油組成物に用いられる脂肪族炭化水素置換サリチル酸の具体例として、アルキルサリチル酸、例えば、モノオクチルサリチル酸、モノノニルサリチル酸、モノデシルサリチル酸、モノウンデシルサリチル酸、モノドデシルサリチル酸、モノトリデシルサリチル酸、モノテトラデシルサリチル酸、モノペンタデシルサリチル酸、モノヘキサデシルサリチル酸、モノヘプタデシルサリチル酸、モノオクタデシルサリチル酸、モノノナデシルサリチル酸、モノエイコシルサリチル酸、ジオクチルサリチル酸、ジノニルサリチル酸、ジデシルサリチル酸、ジウンデシルサリチル酸、ジドデシルサリチル酸、ジトリデシルサリチル酸、ジテトラデシルサリチル酸、ジペンタデシルサリチル酸、ジヘキサデシルサリチル酸、ジヘプタデシルサリチル酸、ジオクタデシルサリチル酸、ジノナデシルサリチル酸、ジエイコシルサリチル酸およびこれらの混合物等を挙げることができる。また、炭素数が互いに異なる二種以上のアルキル基で置換されたサリチル酸も用いることができる。
【0040】
また、アルキルサリチル酸は硫化されたものを用いることも可能であり、硫化されたアルキルサリチル酸は、一般式[XI]で例示することができる。一般式[XI]において、R1 およびR2 は、前記のアルキル基であり、各々、互いに同一でもまたは異なるものでもよく、xは1〜2である。
【0041】
【化11】
Figure 0003746365
次に、本発明の潤滑油組成物の構成成分としての有機酸として用いられる脂肪族炭化水素置換フェノール化合物は、少なくとも1個の脂肪族炭化水素基で置換されたものであり、一般式[XII]
【0042】
【化12】
Figure 0003746365
で表される。一般式[XII] において、Rは脂肪族炭化水素基であり、nは脂肪族炭化水素基の芳香環への結合数であり、1〜4、好ましくは、1〜2の整数である。また、mはヒドロキシル基の芳香環に対する結合数であり、1〜2である。
【0043】
脂肪族炭化水素基としては、炭素数4〜40のアルキル基が好ましく、例えば、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ペンタトリアコンチル基等の直鎖状または分岐状のアルキル基を挙げることができる。MoDTC、ZnDTP等との併用による摩擦低減効果の観点から、特に、炭素数8〜20のアルキル基が好ましい。
【0044】
脂肪族炭化水素置換フェノール化合物としては、アルキルフェノール化合物、例えば、モノアルキルフェノール化合物、ジアルキルフェノール化合物等を例示することができ、具体的には、モノオクチルフェノール、モノノニルフェノール、モノデシルフェノール、モノウンデシルフェノール、モノドデシルフェノール、モノトリデシルフェノール、モノテトラデシルフェノール、モノペンタデシルフェノール、モノヘキサデシルフェノール、モノヘプタデシルフェノール、モノオクタデシルフェノール、モノノナデシルフェノール、モノエイコシルフェノール、ジオクチルフェノール、ジノニルフェノール、ジデシルフェノール、ジウンデシルフェノール、ジドデシルフェノール、ジトリデシルフェノール、ジテトラデシルフェノール、ジペンタデシルフェノール、ジヘキサデシルフェノール、ジヘプタデシルフェノール、ジオクタデシルフェノールまたはこれらの混合物等を挙げることができる。また、炭素数が互いに異なる二種以上のアルキル基で置換されたフェノール化合物を用いることもできる。
【0045】
アルキルフェノール化合物は硫化処理して得られた化合物を用いることも可能であり、硫化されたアルキルフェノール化合物は、例えば、一般式[XIII]
【0046】
【化13】
Figure 0003746365
で例示することができる。一般式[XIII]において、R1 およびR2 は前記のアルキル基であり、互いに同一でも異なるものでもよい。nは1〜4、好ましくは1〜2であり、xは1〜2の数である。
【0047】
本発明の潤滑油組成物において、前記有機酸の配合量は、各化合物により、また、潤滑油組成物の用途により定めることができるが、その有効量、すなわち、潤滑油組成物に対しモル表示で1〜100mmol/kg、好ましくは、1〜80mmol/kgの範囲で採用される。また、潤滑油組成物全重量基準では、有機酸として0.01〜5重量%の割合で配合することが好ましく、特に、硫黄含有有機モリブデン系化合物1モルに対し、有機酸を0.5〜30モル、好ましくは、0.5〜25モルの割合で使用することにより高温域における摩擦低減効果を著しく向上させることができる。
【0048】
本発明の潤滑油組成物の構成成分としてのジチオリン酸亜鉛について説明する。
ジチオリン酸亜鉛としては、次の一般式[XIV]
【0049】
【化14】
Figure 0003746365
で表される化合物を挙げることができる。一般式[XIV] において、R1 、R2 は炭素数3〜20の炭化水素基であり、各々、同一でも異なるものでもよい。炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基;炭素数2〜20のアルケニル基;炭素数6〜20のシクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等を挙げることができ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ステアリル基、オレイル基、ブチルフェニル基、ノニルフェニル基等およびこれらの分岐状アルキル基を挙げることができる。好ましい炭化水素基は、炭素数3〜18のアルキル基である。アルキル基としては第1級および第2級アルキル基のいずれでもよい。具体的にはイソプロピル基、イソブチル基、第2級ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、4−メチル−2−ペンチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基のほか、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基を有する化合物を用いることが好ましい。従って、ジチオリン酸亜鉛の代表例として、例えば、ジイソプロピルジチオリン酸亜鉛、ジイソブチルジチオリン酸亜鉛、ジ第2級ブチルジチオリン酸亜鉛、ジ(n−ペンチル)ジチオリン酸亜鉛、ジ(n−ヘキシル)ジチオリン酸亜鉛、ジ(4−メチル−2−ペンチル)ジチオリン酸亜鉛、ジn−オクチルジチオリン酸亜鉛、ジ(2−エチルヘキシル)ジチオリン酸亜鉛、ジn−ノニルジチオリン酸亜鉛、ジn−デシルジチオリン酸亜鉛、ジn−ドデシルジチオリン酸亜鉛、ジn−トリデシルジチオリン酸亜鉛、ジn−テトラデシルジチオリン酸亜鉛、ジn−ヘキサデシルジチオリン酸亜鉛、ジn−オクタデシルジチオリン酸亜鉛等を挙げることができる。市販品としてエクソン化学株式会社製パラノックス15等が第1級アルキル基を主成分とするものであり、他の第2級アルキル基を主成分とする市販品と適宜混合して第1級アルキル基の含有量を調整することもできる。
【0050】
ジチオリン酸亜鉛の潤滑油組成物に対する配合量は、リン量として100〜2,000ppm、好ましくは200〜1,800ppmである。特に、モリブデン量250ppmに対し、リン量として250〜1,800ppm、好ましくは、500〜1,500ppmの割合で使用すると低温における摩擦低減に著しい効果を得ることができる。従って、(a)硫黄含有有機モリブデン系化合物、(b)有機酸および(c)ジチオリン酸亜鉛との混合割合(モル比)を、(a):(b):(c)=1.5〜5.5:1〜30:5〜30、好ましくは、(a):(b):(c)=1.5〜5.5:1〜30:10〜30、の範囲に設定することにより低温域から高温域において摩擦特性を過不足なく改善することができる。
【0051】
本発明によれば、以上説明したように、潤滑油基油に対して潤滑油組成物重量基準でa)硫黄含有有機モリブデン系化合物をモリブデン量として150〜2,000ppm、b)有機酸を1〜100mmol/kgおよびc)ジチオリン酸亜鉛をリン量として100〜2,000ppm配合させてなる潤滑油組成物を提供することができる。また、必要に応じて、さらに、粘度指数向上剤、無灰分散剤、酸化防止剤、極圧剤、摩耗防止剤、金属不活性化剤、流動点降下剤、腐蝕防止剤、他の摩擦調整剤等を適宜選択して配合することができる。
【0052】
粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメタクリレート系、ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系、スチレンーブタジエン水添共重合体系等のものを用いることができ、これらは、通常、3〜35重量%の割合で使用される。
【0053】
無灰分散剤としては、例えば、ポリブテニルコハク酸イミド系、ポリブテニルコハク酸アミド系、ベンジルアミン系、コハク酸エステル系のものがあり、これらは、通常、0.05〜7重量%の割合で使用される。
【0054】
酸化防止剤としては、例えば、アルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化フェニル−α−ナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4,4´−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤等を挙げることができ、これらは、通常、0.05〜5重量%の割合で使用される。
【0055】
極圧剤としては、例えば、ジベンジルサルファイド、ジブチルジサルファイド等があり、これらは、通常、0.05〜3重量%の割合で使用される。
【0056】
金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体、チアジアゾール、チアジアゾール誘導体等があり、これらは、通常、0.01〜3重量%の割合で使用される。
【0057】
流動点降下剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、ポリメタクリレート、ポリアルキルスチレン等が挙げられ、これらは、通常、0.1〜10重量%の割合で使用される。
【0058】
摩耗防止剤としては、例えば、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル、イオウ化合物等を挙げることができ、これらは、通常、0.01〜5重量%の割合で使用される。
【0059】
その他の添加剤として、本発明の硫黄含有有機モリブデン系化合物、有機酸およびジチオリン酸亜鉛の作用を阻害しないものであれば任意に選択して使用することができる。
【0060】
本発明の硫黄含有有機モリブデン系化合物、有機酸およびジチオリン酸亜鉛は、鉱油等の溶媒に溶解させた形態で使用することができ、また、添加剤パッケージの成分として用いることもできる。
【0061】
本発明の好ましい実施の態様として、
【0062】
(1)潤滑油基油に対し、
a)炭素数3〜20のアルキル基を有する硫黄含有有機モリブデン系化合物、
b)▲1▼炭素数8〜20の脂肪族スルホン酸、
▲2▼少なくとも1個の脂肪族炭化水素基で置換された芳香族スルホン酸
▲3▼少なくとも1個の脂肪族炭化水素基で置換されたサリチル酸
および
▲4▼少なくとも1個の脂肪族炭化水素基で置換されたフェノール化合物
の▲1▼〜▲4▼からなる群より選択される少なくとも一種の有機酸 ならびに
c)炭素数3〜18のアルキル基を有するジチオリン酸亜鉛
を配合してなる潤滑油組成物、
【0063】
(2)潤滑油基油に対し、
a)硫黄含有有機モリブデン系化合物、
b)アルキルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、アルキルサリチル酸およびアルキルフェノールからなる群より選択される少なくとも一種の有機酸 ならびに
c)ジアルキルジチオリン酸亜鉛
を配合してなる潤滑油組成物、
【0064】
(3)潤滑油基油に対し、潤滑油組成物重量基準で、
a)硫化オキシモリブデンジ(2−エチルヘキシル)ジチオカーバメイトをモリブデン量として 150〜1,500ppm、
b)アルキルベンゼンスルホン酸を 1〜50mmol/kg および
c)ジ(2−エチルヘキシル)ジチオリン酸亜鉛をリン量として150〜2,000ppm配合してなる潤滑油組成物、
【0065】
(4)潤滑油基油に対し、潤滑油組成物重量基準で、
a)硫化オキシモリブデンジ(2−エチルヘキシル)ジチオカーバメートをモリブデン量として 150〜1,500ppm、
b)アルキルサリチル酸亜鉛を1〜50mmol/kg および
c)ジ(2−エチルヘキシル)ジチオリン酸亜鉛をリン量として150〜2,000ppm配合してなる潤滑油組成物、
【0066】
(5)前記(1)〜(4)の潤滑油組成物に、さらに、粘度指数向上剤、無灰分散剤、酸化防止剤、極圧剤、流動点降下剤、摩耗防止剤、金属不活性化剤からなる群より選択される少なくとも一種の添加剤を配合してなる潤滑油組成物
が提供される。
【0067】
【実施例】
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。
【0068】
なお、実施例および比較例において用いた精製鉱油、硫黄含有有機モリブデン系化合物、有機酸およびジチオリン酸亜鉛ならびに潤滑油組成物の性能評価方法は次の通りである。
潤滑油基油
精製鉱油(100ニュートラル油)(動粘度(@100℃):4.2mm2/s)
パラフィン系原油の蒸圧蒸留残渣油の減圧蒸留による潤滑油留分をフェノール溶剤で抽出処理して得られたラフィネート
硫黄含有有機モリブデン系化合物
(1)MoDTC : 硫化オキシモリブデンジ(2−エチルヘキシル)ジチオカーバメート(旭電化工業株式会社製サクラルーブ100)
(2)MoDTP : 硫化オキシモリブデンジ(2−エチルヘキシル)ジチオホスフェート(旭電化工業株式会社製サクラルーブ300)
有機酸
表1〜2に示す。
ジチオリン酸亜鉛
ZnDTP:ジ(2−エチルヘキシル)ジチオリン酸亜鉛(オロア株式会社製5660)
潤滑油組成物性能評価方法
摩擦係数測定法
試験機として往復動型摩擦試験機(SRV摩擦試験機)用い、次の条件で摩擦係数を測定した。
【0069】
摩擦材 : 鋼(SUJ−2)/鋼(SUJ−2)、シリンダー/デスク
温度 : 80℃、120℃
荷重 : 400N
振幅 : 50Hz
時間 : 15min
15分間の測定の最後の3分間の平均値をもって摩擦係数とした。
【0070】
摩擦係数安定性
摩擦係数の安定性は摩擦係数の変動幅で評価した。
【0071】
実施例1〜3
精製鉱油に、硫黄含有有機モリブデン系化合物としてMoDTCをMo量として500ppm配合し、アルキルベンゼンスルホン酸およびZnDTPを表1に示す割合で各々配合した。得られた潤滑油組成物を前記の性能評価に供したところ、25℃、80℃および120℃における摩擦係数はいずれも低く、また、摩擦係数安定性も良好であった。
【0072】
実施例4〜6
有機酸として、アルキルベンゼンスルホン酸の代わりに、ジノニルナフタレンスルホン酸(実施例4)、ノニルフェノール(実施例5)およびアルキルサリチル酸(実施例6)を表1に示す割合で各々配合したこと以外すべて実施例1と同様にして潤滑油組成物を得た。性能評価の結果を表1に示す。25℃、80℃および120℃のいずれの温度においても摩擦係数が低く、摩擦係数安定性も良好であった。
【0073】
実施例7
硫黄含有有機モリブデン系化合物としてMoDTCの代わりにMoDTPを用いたこと以外すべて実施例1と同様にして潤滑油組成物を調製した。MoDTCを使用した場合とほぼ同等の性能を得た。
【0074】
実施例8〜10
MoDTCの配合量をMo量として250ppm(実施例8)、150ppm(実施例9)および1,500ppm(実施例10)としたこと以外すべて実施例1と同様にして潤滑油組成物を得た。性能評価の結果を表1に示す。
【0075】
実施例11
表1に示すように、ZnDTPの配合量をP量として100ppmに減量したこと以外、実施例1と同様にして潤滑油組成物を得た。性能評価の表1に示す。
【0076】
比較例1
精製鉱油に対しMoDTCのみを配合した潤滑油組成物を調製し、その性能を評価した。摩擦係数は25℃および80℃の温度において高く、特に、25℃の低温で高い結果を示している。また、120℃の高温における摩擦係数安定性が悪い。
【0077】
比較例2
比較例1の潤滑油組成物にZnDTPを1,000ppm配合し、その性能を評価した。120℃の高温において、摩擦係数およびその安定性が共に悪い結果となった。
【0078】
比較例3〜7
表2に示すように、精製鉱油にアルキルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ノニルフェノールおよびサルキルサリチル酸、ステアリン酸をZnDTPと同表に示す割合で各々配合した。性能評価の結果いずれも摩擦係数は高く、摩擦特性は不十分であった。特に、ステアリン酸(脂肪酸)をMoDTC、ZnDTPと併用しても80℃および120℃においては低摩擦性は得られなかった。
【0079】
比較例8〜11
表2に示すように、精製鉱油にMoDTCと、アルキルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ノニルフェノールおよびアルキルサリチル酸を各々配合したが、ZnDTPは使用しなかった。いずれも25℃の低温において低摩擦係数は得られなかった。
【0080】
比較例12
表2に示すように、精製鉱油にアルキルベンゼンスルホン酸のみを30.0mmol/kg配合し、性能評価に供したところ、25℃、80℃および120℃のいずれの温度においても低摩擦係数は得られなかった。
【0081】
比較例13、14
表2に示すように、各成分を各々配合し潤滑油組成物を得た。MoDTC、アルキルベンゼンスルホン酸およびZnDTPを併用した場合においてもMoDTCを減量すると25℃での摩擦係数は高くなり(比較例13)、同様にZnDTPを減量した場合も25℃の摩擦係数は高くなった(比較例14)。
【0082】
比較例15
MoDTCの代わりに硫黄を含有しない有機モリブデン系化合物としてオキシモリブデンモノグリセライドを使用したこと以外すべて実施例1と同様にして潤滑油組成物を調製した。前記性能評価の結果、表2に示すように充分な摩擦低減効果は得られなかった。
【0083】
【表1】
Figure 0003746365
【0084】
【表2】
Figure 0003746365
【0085】
前記実施例および比較例によれば、MoDTC等、特定の有機酸およびZnDTPの3成分が各々有効量配合されたとき、25℃、80℃および120℃の摩擦係数は低く、摩擦係数安定性も良好なことが示されている。有機酸のうち、脂肪族カルボン酸をMoDTC等と併用しても低摩擦性の潤滑油が得られないことも分かった。
【0086】
【発明の効果】
(a)硫黄含有有機モリブデン系化合物、(b)特定の有機酸および(c)ジチオリン酸亜鉛の3成分を必須成分として各々特定量組み合わせることにより、相乗効果が得られ、(a)、(b)および(c)の各添加剤の有効下限量を低下させると共に、25〜120℃の低温域から高温域にわたる広範囲の温度において、摩擦係数が低く、高度の摩擦係数安定性を有する潤滑油組成物を提供することができる。

Claims (2)

  1. 潤滑油基油に
    a)硫黄含有有機モリブデン系化合物をモリブデン量として150〜2,000ppm、
    b)下記の(1)〜(3)の一般式
    (1)一般式
    Figure 0003746365
    (式中、Rは炭素数8〜20の脂肪族炭化水素基、nは1〜5の整数であり、Arは芳香族炭化水素基である。)
    で表される芳香族スルホン酸、
    (2)一般式
    Figure 0003746365
    (式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基であり、nは1〜4の整数である。)で表される芳香族カルボン酸、
    (3)一般式
    Figure 0003746365
    (式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基であり、mは1〜2の整数である。)で表される脂肪族炭化水素置換フェノール化合物
    で表される有機酸からなる群より選択される少なくとも一種の有機酸を1〜100mmol/kg ならびに
    c)ジチオリン酸亜鉛をリン量として100〜2,000ppm
    を配合してなることを特徴とする潤滑油組成物。
  2. 前記芳香族スルホン酸が、炭素数8〜20の1または2以上のアルキル基を有するベンゼンスルホン酸または炭素数8〜20の1または2以上のアルキル基を有するナフタレンスルホン酸である請求項1記載の潤滑油組成物。
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