JPH11152487A - 潤滑油組成物 - Google Patents

潤滑油組成物

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JPH11152487A
JPH11152487A JP33778197A JP33778197A JPH11152487A JP H11152487 A JPH11152487 A JP H11152487A JP 33778197 A JP33778197 A JP 33778197A JP 33778197 A JP33778197 A JP 33778197A JP H11152487 A JPH11152487 A JP H11152487A
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JP
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acid
lubricating oil
group
oil composition
oxymolybdenum
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JP33778197A
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English (en)
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Hiroyuki Iwasaki
浩之 岩崎
Hiroshi Nakanishi
博 中西
Toshio Kato
寿夫 加藤
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温条件下において摩擦係数が低く、か
つ長時間にわたる使用においても摩擦係数の安定性に優
れた潤滑油組成物を提供する。 【解決手段】 潤滑油基油に(a)硫黄含有有機モリブ
デン系化合物 ならびに(b)脂肪族スルホン酸、芳香
族スルホン酸、芳香族カルボン酸および脂肪族炭化水素
置換フェノール化合物からなる群より選択される少なく
とも一種の有機酸を配合してなることを特徴とする潤滑
油組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑油組成物に関
するものであり、さらに詳しくは、硫黄含有有機モリブ
デン系化合物と有機酸とを含有する摩擦低減効果の優れ
た潤滑油組成物に関するものである。本発明の潤滑油組
成物は、内燃機関用潤滑油、自動変速機油、ギヤ油、作
動油、塑性加工油等として有用である。
【0002】
【従来の技術】機械装置、設備、機器等の運動部分の摺
動面において生ずる摩擦・摩耗の低減化についてはトラ
イボロジーの基本的な課題である。このため、このよう
な課題について従来から多数の研究開発が進められてお
り、潤滑油基油の組成を改善し品質改良を図ることによ
り対応すると共に、潤滑油基油に添加される種々の摩擦
調整剤の開発が行なわれている。例えば、金属系摩擦調
整剤として硫化オキシモリブデンジチオホスフェート
(以下「MoDTP」と略称する。)および硫化オキシ
モリブデンジチオカーバメート(以下「MoDTC」と
略称する。)等が提案されている(例えば、特開昭54
−113604号公報等参照。)。
【0003】しかしながら、近年、機械装置をはじめ自
動車等の内燃機関の性能向上に伴ない、潤滑油の使用条
件が苛酷になり、例えば、自動車用エンジン油にとって
は、停止および発進運転から生ずる厳しい高低温条件の
頻繁な繰り返しに耐えると共に、長時間の高速連続運転
から生ずる高温条件にも耐え得ることが要求されてい
る。また、環境保全の対策上、省資源、省エネルギーの
観点からの対応が重要かつ不可欠となり、燃料消費率の
低減を図るためには、内燃機関の摩擦損失を低減させる
ことが必要となっているが、前記のMoDTPおよびM
oDTC等の摩擦調整剤を使用しただけでは低温におい
ては相応の摩擦低減効果を発揮するものの、高温ではそ
の摩擦低減効果を喪失し、高温条件下での長時間運転稼
動の必要な機械装置および自動車の高速運転には十分な
効果を奏し得ないおそれがあり、燃料消費率の増加をも
たらすことが本発明者らの検討の結果により明らかとな
った。
【0004】このような状況において、広範囲に変動す
る使用条件に耐え得ると共に、特に、高温域での摩擦低
減効果が優れ、かつ長時間の使用においてもその効果の
持続性に優れた潤滑油が強く要求されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、潤滑油の使用環境において変動するあらゆる条件、
特に高温条件下において摩擦低減効果およびその安定性
に優れた潤滑油組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
従来の摩擦調整剤の開発状況に鑑み、前記の課題を解決
するため鋭意検討を加えた結果、硫黄含有モリブデン系
化合物と特定の有機酸を併用することにより前記課題を
解決できることを見いだし、これらの知見に基いて本発
明の完成に到達した。
【0007】すなわち、本発明は、潤滑油基油に a)硫黄含有有機モリブデン系化合物 ならびに b)脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸、芳香族カル
ボン酸および脂肪族炭化水素置換フェノール化合物から
なる群より選択される少なくとも一種の有機酸を配合し
てなることを特徴とする潤滑油組成物に関するものであ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0009】本発明の潤滑油組成物の構成成分としての
潤滑油基油は、潤滑油組成物の用途により選択される
が、本発明の効果を発揮するものであれば特に限定され
るものではなく、通常、潤滑油の基油として使用されて
いるものを用いることができる。例えば、鉱油系基油、
合成系基油、植物油系基油等を挙げることができ、これ
らの基油は、各々、単独でまたは二種以上を混合して用
いることができる。
【0010】鉱油系基油としては、パラフィン系、中間
基系またはナフテン系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留
留出油として得られる潤滑油留分を溶剤精製、水素化分
解、水素化処理、水素化精製、接触脱蝋、溶剤脱蝋、白
土処理等の各種精製工程を任意に選択して用いることに
より得られる鉱油、減圧蒸留残渣油を溶剤脱瀝処理に供
したのち、脱瀝油を前記の精製工程により処理して得ら
れる鉱油、または、ワックス分の異性化により得られる
鉱油等またはこれらの混合油を用いることができる。特
に、酸化安定性等の観点から、水素化分解および水素化
処理により得られる芳香族炭化水素含有量2重量%以下
の飽和炭化水素からなる水素化処理油を用いることもで
きる。前記の溶剤精製においては、フェノール、フルフ
ラール、N−メチル−2−ピロリドン等の芳香族抽出溶
剤が用いられ、一方、溶剤脱蝋の溶剤としては、液化プ
ロパン、MEK/トルエン等が用いられている。また、
接触脱蝋においては、例えば、形状選択性ゼオライトを
脱蝋触媒として用いることができる。
【0011】一方、合成系基油としては、ポリα−オレ
フィンオリゴマー(例えば、ポリ(1−ヘキセン)、ポ
リ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)等およびこれ
らの混合物。)、ポリブテン、アルキルベンゼン(例え
ば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジ(2
−エチルヘキシル)ベンゼン、ジノニルベンゼン
等。)、ポリフェニル(例えば、ビフェニル、アルキル
化ポリフェニル等。)、アルキル化ジフェニルエーテル
およびアルキル化ジフェニルスルフィドおよびこれらの
誘導体;二塩基酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アル
キルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼ
ライン酸、スペリン酸、セバチン酸、フマル酸、アジピ
ン酸、リノール酸ダイマー等。)と各種アルコール(例
えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、2−エ
チルヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プ
ロピレングリコール等。)とのエステル;炭素数5〜1
2のモノカルボン酸とポリオール(例えば、ネオペンチ
ルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリス
リトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリス
リトール等。)とのエステル;その他、ポリオキシアル
キレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールエ
ステル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、リ
ン酸エステルおよびシリコーン油等を挙げることができ
る。
【0012】また、植物油系基油としては、ひまし油、
なたね油、オリーブ油、ひまわり油等を用いることがで
きる。
【0013】前記の各種潤滑油基油は、潤滑油組成物の
用途に応じて所望の粘度その他の性状を有するように調
製することができ、また、各種混合基材を適宜調合して
用いることもできる。例えば、内燃機関用潤滑油として
は、100℃における動粘度が2〜30mm2 /s、特
に、3〜10mm2 /sの範囲に、また、自動変速機油
としては、100℃における動粘度を2〜30mm2
s、特に、3〜15mm2 /sの範囲に調整すればよ
い。
【0014】本発明の潤滑油組成物の構成成分の硫黄含
有有機モリブデン系化合物としては、例えば、硫化オキ
シモリブデンジチオカーバメート、硫化オキシモリブデ
ンジチオホスフェートおよび硫化オキシモリブデンジチ
オキサントゲネート等を挙げることができる。硫化オキ
シモリブデンジチオカーバメートは次の一般式[I]で表
され、硫化オキシモリブデンジチオホスフェートは一般
式[II]により、また、硫化オキシモリブデンジチオキ
サントゲネートは一般式[III]により表される。 一般式[I]
【0015】
【化1】 一般式[II]
【0016】
【化2】 一般式[III]
【0017】
【化3】 前記一般式 [I]、[II]および[III] において、R1 およ
びR2 は、炭素数1〜30の炭化水素基であり、各々、
同一でも異なるものでもよい。炭化水素基としては、炭
素数1〜30のアルキル基;炭素数2〜30のアルケニ
ル基、炭素数6〜30のシクロアルキル基;炭素数6〜
30のアリール基であり、アリール基は、炭素数1〜2
4のアルキル基で置換されたものでもよい。好ましい炭
化水素基は炭素数3〜24のアルキル基であり、例え
ば、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデ
シル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、
ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オ
クタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等の直鎖状
またはこれらの分岐状アルキル基を挙げることができ
る。さらに好ましいアルキル基は、一般式[I] で表され
る硫化オキシモリブデンジチオカーバメートにおいては
炭素数3〜20のものであり、後述の有機酸との併用に
おいて相乗的な摩擦低減効果を示す。一般式[II]の硫化
オキシモリブデンジチオホスフェートにおいても炭素数
3〜20のアルキル基が摩擦低減効果の観点から特に好
適である。また、一般式[III] の硫化オキシモリブデン
ジチオキサントゲネートにおいてはアルキル基の炭素数
が3〜24の範囲ものが好ましい。
【0018】前記一般式[I] 、[II]および[III] におい
て、xは、各々、0.5〜2.3、好ましくは、0であ
る。
【0019】従って、本発明の潤滑油組成物にとって好
適な一般式[I]の硫化オキシモリブデンジチオカーバメ
ートの代表例として、硫化オキシモリブデンジプロピル
ジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジイソプロ
ピルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジブチ
ルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジイソブ
チルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジブテ
ニルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジペン
チルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジイソ
ペンチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ
ヘキシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ
ヘプチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ
オクチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ
(2−エチルヘキシル)ジチオカーバメート、硫化オキ
シモリブデンジ(2−プロピルペンチル)ジチオカーバ
メート、硫化オキシモリブデンジノニルジチオカーバメ
ート、硫化オキシモリブデンジ(2−プロピルヘキシ
ル)ジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジデシ
ルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジドデシ
ルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ(2−
メチルドデシル)ジチオカーバメート、硫化オキシモリ
ブデンジヘキサデシルジチオカーバメート、硫化オキシ
モリブデンジオクタデシルジチオカーバメート、硫化オ
キシモリブデンジ(2−メチルオクタデシル)ジチオカ
ーバメート等を挙げることができる。
【0020】一般式[II]の硫化オキシモリブデンジチオ
ホスフェートの代表例として、硫化オキシモリブデンジ
プロピルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジ
イソプロピルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデ
ンジブチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデン
ジイソブチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデ
ンジブテニルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデ
ンジペンチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデ
ンジヘキシルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデ
ンジヘプチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデ
ンジオクチルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデ
ンジ(2−エチルヘキシル)ジチオホスフェート、硫化
オキシモリブデンジノニルジチオホスフェート、硫化オ
キシモリブデンジデシルジチオホスフェート、硫化オキ
シモリブデンジドデシルジチオホスフェート、硫化オキ
シモリブデンジオクタデシルジチオホスフェート、硫化
オキシモリブデンジオレイルジチオホスフェート等を挙
げることができる。
【0021】また、一般式[III] の硫化オキシモリブデ
ンジチオキサントゲネートの代表例として、硫化オキシ
モリブデンブチルジチオキサントゲネート、硫化オキシ
モリブデンペンチルジチオキサントゲネート、硫化オキ
シモリブデンヘキシルジチオキサントゲネート、硫化オ
キシモリブデンヘプチルジチオキサントゲネート、硫化
オキシモリブデンオクチルジチオキサントゲネート、硫
化オキシモリブデン(2−エチルヘキシル)ジチオキサ
ントゲネート、硫化オキシモリブデンノニルジチオキサ
ントゲネート、硫化オキシモリブデンデシルジチオキサ
ントゲネート、硫化オキシモリブデンドデシルジチオキ
サントゲネート、硫化オキシモリブデンテトラデシルジ
チオキサントゲネート、硫化オキシモリブデンヘキサデ
シルジチオキサントゲネート、硫化オキシモリブデンオ
クタデシルジチオキサントゲネート、硫化オキシモリブ
デンオレイルジチオキサントゲネート、硫化オキシモリ
ブデンノナデシルジチオキサントゲネート、硫化オキシ
モリブデンエイコシルジチオキサントゲネート等を挙げ
ることができる。
【0022】以上述べた一般式[I] 、[II]および[III]
により表される硫黄含有有機モリブデン系化合物は、各
々、単独で用いることができるが、二種または二種以上
を併用してもよい。潤滑油基油に対する配合量は、潤滑
油組成物の用途およびその有機モリブデン系化合物の種
類によるが、有機酸との併用による摩擦低減効果の観点
からは、通常、潤滑油組成物全重量基準で、モリブデン
量として150〜2,000ppm、好ましくは、20
0〜1,500ppmの範囲で採用される。モリブデン
量が150ppmに満たないと有機酸との相乗効果が得
られず、摩擦低減効果が欠如するという問題が生じる。
一方、モリブデン量が2,000ppmを超えてもその
増量に応じた効果が得られないのみならず、溶解性に問
題があり沈降するおそれがある。
【0023】このような有機モリブデン系化合物の作用
機構は十分には解明されていないが、潤滑油の使用条件
下において摺動面にMoSx 被膜が形成されることによ
り摩擦係数が低減するものと推定されており、従って、
本発明の潤滑油組成物においては、硫黄含有有機モリブ
デン系化合物として前記のモリブデン系化合物のみに限
定されるものではなく、MoSX 被膜形成等により摩擦
低減効果を有するものであればいずれの形態の化合物で
も差しつかえがない。
【0024】次に、本発明の潤滑油組成物の構成成分と
して用いられる有機酸について説明する。本発明におけ
る有機酸は、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸、芳
香族カルボン酸および脂肪族炭化水素置換フェノール化
合物からなる群より選択される。
【0025】脂肪族スルホン酸は、脂肪族炭化水素基と
スルホン酸基とからなり、一般式[IV]
【0026】
【化4】 で表され、芳香族スルホン酸は、芳香族炭化水素基とス
ルホン酸基とからなり、一般式[IV-1]
【0027】
【化5】 で表される。一般式[IV]において、Rは脂肪族炭化水素
基であり、一般式[IV-1]において、Rは脂肪族炭化水素
基であり、Arは芳香族炭化水素基である。nは脂肪族
炭化水素基の芳香族炭化水素基への結合数であり、1〜
5、好ましくは、1〜3の整数である。脂肪族スルホン
酸は炭素数4〜40の脂肪族炭化水素基を有し、また、
芳香族スルホン酸としては、炭素数4〜40の脂肪族炭
化水素基で置換された芳香族炭化水素基を有するものが
用いられる。
【0028】脂肪族炭化水素基としては、炭素数4〜4
0のアルキル基、特に、油溶性を付与するためには炭素
数8以上のアルキル基が好ましく、具体的には、オクチ
ル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル
基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、
ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノ
ナデシル基、エイコシル基、テトラキシル基、ペンタコ
シル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシ
ル基、ノナコシル基およびトリアコンチル基、ペンタト
リアコンチル基、オクタトリアコンチル基等を有するも
のを挙げることができる。これらのアルキル基のなか
で、MoDTC等との併用による摩擦低減効果が顕著で
ある点から、炭素数8〜20のアルキル基が好ましい。
【0029】また、芳香族炭化水素基としては単環また
は多環縮合環のいずれでもよく、例えば、ベンゼン、ナ
フタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン、
フルオレン、ビフェニル等を用いることができる。
【0030】脂肪族スルホン酸および芳香族スルホン酸
をさらに具体的に例示すると下記の一般式[V] 〜[XIII]
により表わすことができる。 一般式[V]
【0031】
【化6】 一般式[VI]
【0032】
【化7】 一般式[VII]
【0033】
【化8】 一般式[V] 〜[VII] において、R1 〜R3 は、脂肪族炭
化水素基であり、各々、互いに同一でもまたは異なるも
のでもよい。nは脂肪族炭化水素基の芳香環への結合数
であり、各一般式において、互いに同一でもまたは異な
るものでもよい。脂肪族炭化水素基は前記アルキル基が
好ましく、nは1〜5、好ましくは、1〜3の整数であ
る。
【0034】脂肪族スルホン酸および芳香族スルホン酸
の具体例としては、R1 〜R3 のアルキル基の炭素数が
8〜20のアルキルスルホン酸、モノアルキルベンゼン
スルホン酸、ジアルキルベンゼンスルホン酸、モノアル
キルナフタレンスルホン酸、ジアルキルナフタレンスル
ホン酸等を例示することができる。アルキルスルホン酸
としては、例えば、オクチルスルホン酸、ノニルスルホ
ン酸、デシルスルホン酸、ウンデシルスルホン酸、ドデ
シルスルホン酸、トリデシルスルホン酸、テトラデシル
スルホン酸、ペンタデシルスルホン酸、ヘキサデシルス
ルホン酸、へプタデシルスルホン酸、オクタデシルスル
ホン酸、ノナデシルスルホン酸、エイコシルスルホン酸
等を挙げることができる。また、モノアルキルベンゼン
スルホン酸、ジアルキルベンゼンスルホン酸としては、
例えば、モノオクチルベンゼンスルホン酸、モノノニル
ベンゼンスルホン酸、モノデシルベンゼンスルホン酸、
モノウンデシルベンゼンスルホン酸、モノトリデシルベ
ンゼンスルホン酸、モノテトラデシルベンゼンスルホン
酸、モノペンタデシルベンゼンスルホン酸、モノヘキサ
デシルベンゼンスルホン酸、モノヘプタデシルベンゼン
スルホン酸、モノオクタデシルベンゼンスルホン酸、モ
ノノナデシルベンゼンスルホン酸、モノエイコシルベン
ゼンスルホン酸、ジオクチルベンゼンスルホン酸、ジノ
ニルベンゼンスルホン酸、ジデシルベンゼンスルホン
酸、ジウンデシルベンゼンスルホン酸、ジドデシルベン
ゼンスルホン酸ジトリデシルベンゼンスルホン酸、ジテ
トラデシルベンゼンスルホン酸、ジペンタデシルベンゼ
ンスルホン酸、ジヘキサデシルベンゼンスルホン酸、ジ
へプタデシルベンゼンスルホン酸、ジオクタデシルベン
ゼンスルホン酸、ジノナデシルベンゼンスルホン酸、ジ
エイコシルベンゼンスルホン酸等を挙げることができ
る。さらに、モノアルキルナフタレンスルホン酸および
ジアルキルナフタレンスルホン酸としては、例えば、モ
ノオクチルナフタレンスルホン酸、モノノニルナフタレ
ンスルホン酸、モノデシルナフタレンスルホン酸、モノ
ウンデシルナフタレンスルホン酸、モノドデシルベンゼ
ンスルホン酸、モノトリデシルベンゼンスルホン酸、モ
ノテトラデシルベンゼンスルホン酸、モノペンタデシル
ベンゼンスルホン酸、モノヘキサデシルベンゼンスルホ
ン酸、モノヘプタデシルベンゼンスルホン酸、モノオク
タデシルベンゼンスルホン酸、モノノニルデシルベンゼ
ンスルホン酸、モノエイコシルベンゼンスルホン酸、ジ
オクチルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンス
ルホン酸、ジデシルナフタレンスルホン酸、ジウンデシ
ルナフタレンスルホン酸、ジドデシルナフタレンスルホ
ン酸、ジトリデシルナフタレンスルホン酸、ジテトラデ
シルナフタレンスルホン酸、ジペンタデシルナフタレン
スルホン酸、ジヘキサデシルナフタレンスルホン酸、ジ
へプタデシルナフタレンスルホン酸、ジオクタデシルナ
フタレンスルホン酸、ジノナデシルナフタレンスルホン
酸、ジエイコシルナフタレンスルホン酸等を挙げること
ができる。
【0035】さらに、石油留分をスルホン化して得られ
るアルキルアリールスルホン酸を主成分とする石油スル
ホン酸を用いることもできる。
【0036】また、前記の脂肪族スルホン酸および芳香
族スルホン酸は、一種でもよいが二種以上混合した形態
で用いることができ、芳香族スルホン酸としては、炭素
数の異なる二種以上の脂肪族炭化水素基で置換されたも
のも用いることができる。
【0037】芳香族カルボン酸は、芳香環にカルボキシ
ル基を直結するカルボン酸のほか、側鎖にカルボキシ基
を有するカルボン酸のいずれでも用いることができる
が、次の一般式[VIII]
【0038】
【化9】 で表される化合物を用いることが好ましい。一般式[VII
I]において、Rは脂肪族炭化水素基、Arは芳香族炭化
水素基である。mおよびnは、各々、1〜4の整数であ
る。芳香族炭化水素基としては、単環または多環縮合環
のいずれでもよく、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ア
ントラセン、フェナントレン、インデン、フルオレン、
ビフェニル等を用いることができる。芳香族カルボン酸
としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸および他のポ
リカルボン酸等のいずれでもよい。具体的には、アルキ
ル安息香酸、フタル酸、フェニル酢酸、マンデル酸等お
よびこれらの誘導体を挙げることができる。本発明の潤
滑油組成物にとって、特に好ましい芳香族カルボン酸は
芳香環に結合されたヒドロキシル基を有し少なくとも1
個の脂肪族炭化水素基で置換されたサリチル酸であり、
次の一般式[IX]
【0039】
【化10】 で表される。一般式[IX]において、R1 は脂肪族炭化水
素基であり、nは脂肪族炭化水素基の芳香環への結合数
を示し、1〜4の整数である。
【0040】脂肪族炭化水素基としては、炭素数4〜4
0のアルキル基が好ましく、具体的には、ブチル基、ペ
ンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニ
ル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシ
ル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル
基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、
トリアコンチル基、ペンタトリアコンチル基等を例示す
ることができる。MoDTC等との併用による摩擦低減
効果の観点から、特に、炭素数8〜20のアルキル基が
好ましい。
【0041】従って、本発明の潤滑油組成物に用いられ
る脂肪族炭化水素置換サリチル酸の具体例として、アル
キルサリチル酸、例えば、モノオクチルサリチル酸、モ
ノノニルサリチル酸、モノデシルサリチル酸、モノウン
デシルサリチル酸、モノドデシルサリチル酸、モノトリ
デシルサリチル酸、モノテトラデシルサリチル酸、モノ
ペンタデシルサリチル酸、モノヘキサデシルサリチル
酸、モノヘプタデシルサリチル酸、モノオクタデシルサ
リチル酸、モノノナデシルサリチル酸、モノエイコシル
サリチル酸、ジオクチルサリチル酸、ジノニルサリチル
酸、ジデシルサリチル酸、ジウンデシルサリチル酸、ジ
ドデシルサリチル酸、ジトリデシルサリチル酸、ジテト
ラデシルサリチル酸、ジペンタデシルサリチル酸、ジヘ
キサデシルサリチル酸、ジヘプタデシルサリチル酸、ジ
オクタデシルサリチル酸、ジノナデシルサリチル酸、ジ
エイコシルサリチル酸およびこれらの混合物等を挙げる
ことができる。また、炭素数が互いに異なる二種以上の
アルキル基で置換されたサリチル酸も用いることができ
る。
【0042】また、アルキルサリチル酸を硫化して用い
ることも可能であり、硫化されたアルキルサリチル酸
は、一般式[X] で例示することができる。一般式[X] に
おいて、R1 およびR2 は前記アルキル基であり、各
々、互いに同一でもまたは異なるものでもよく、xは1
〜2である。
【0043】
【化11】 本発明の潤滑油組成物において脂肪族炭化水素置換サリ
チル酸として炭素数8〜20のアルキルサリチル酸がM
oDTC等と併用して摩擦低減効果を発揮する上で特に
好ましい。
【0044】次に、本発明の潤滑油組成物の構成成分と
しての有機酸として用いられる脂肪族炭化水素置換フェ
ノール化合物は、少なくとも1個の脂肪族炭化水素基で
置換されたものであり、一般式[XI]
【0045】
【化12】 で表される。一般式[XI]においてRは脂肪族炭化水素基
であり、mはヒドロキシル基の芳香環に対する結合数で
あり、1〜2である。nは脂肪族炭化水素基の芳香環へ
の結合数であり、1〜4、好ましくは1〜2の整数であ
る。
【0046】脂肪族炭化水素基としては、炭素数4〜4
0のアルキル基が好ましい。アルキル基としては、ブチ
ル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、
トリデシル基、テトラデシル基、ヘプタデシル基、オク
タデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、テトラコシ
ル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル
基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル
基、ペンタトリアコンチル基等を挙げることができる。
本発明の潤滑油組成物において、MoDTC等との併用
による摩擦低減効果の観点から炭素数8〜20のアルキ
ル基が好ましい。
【0047】脂肪族炭化水素置換フェノール化合物とし
て、アルキルフェノール化合物、例えば、モノアルキル
フェノール化合物、ジアルキルフェノール化合物等を例
示することができ、具体的には、モノオクチルフェノー
ル、モノノニルフェノール、モノデシルフェノール、モ
ノウンデシルフェノール、モノドデシルフェノール、モ
ノトリデシルフェノール、モノテトラデシルフェノー
ル、モノペンタデシルフェノール、モノヘキサデシルフ
ェノール、モノヘプタデシルフェノール、モノオクタデ
シルフェノール、モノノナデシルフェノール、モノエイ
コシルフェノール、ジオクチルフェノール、ジノニルフ
ェノール、ジデシルフェノール、ジウンデシルフェノー
ル、ジドデシルフェノール、ジトリデシルフェノール、
ジテトラデシルフェノール、ジペンタデシルフェノー
ル、ジヘキサデシルフェノール、ジヘプタデシルフェノ
ール、ジオクタデシルフェノールまたはこれらの混合物
等を挙げることができる。また、炭素数が互いに異なる
二種以上のアルキル基で置換されたフェノール化合物で
もよい。
【0048】また、アルキルフェノール化合物は硫化処
理して得られた化合物、例えば、一般式[XII]
【0049】
【化13】 で表される化合物も用いることができる。一般式[XII]
において、R1 、R2 は前記と同様のアルキル基であ
り、互いに同一でも異なるものでもよい。nは1〜4、
好ましくは1〜2であり、xは1〜2の数である。
【0050】本発明の潤滑油組成物において、前記有機
酸の配合量は、各化合物により、また、潤滑油組成物の
用途により任意に定めることができるが、その有効量、
すなわち、潤滑油組成物に対しモル表示で1〜100m
mol/kg、好ましくは、1〜80mmol/kgの
範囲が採用される。また、潤滑油組成物全重量基準では
有機酸として0.01〜5重量%の割合で配合すること
が好ましい。特に、硫黄含有有機モリブデン系化合物1
モルに対し、有機酸を0.5〜30モル、好ましくは、
0.5〜25モルの割合で使用することにより摩擦低減
効果を著しく向上させることができる。
【0051】また、本発明の潤滑油組成物には、必要に
応じて、さらに、粘度指数向上剤、無灰分散剤、酸化防
止剤、極圧剤、摩耗防止剤、金属不活性化剤、流動点降
下剤、腐蝕防止剤、他の摩擦調整剤等を適宜選択して配
合することができる。
【0052】粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメ
タクリレート系、ポリイソブチレン系、エチレン−プロ
ピレン共重合体系、スチレンーブタジエン水添共重合体
系等のものを用いることができ、これらは、通常、3〜
35重量%の割合で使用される。
【0053】無灰分散剤としては、例えば、ポリブテニ
ルコハク酸イミド系、ポリブテニルコハク酸アミド系、
ベンジルアミン系、コハク酸エステル系のものがあり、
これらは、通常、0.05〜7重量%の割合で使用され
る。
【0054】酸化防止剤としては、例えば、アルキル化
ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、ア
ルキル化フェニル−α−ナフチルアミン等のアミン系酸
化防止剤、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4,4
´−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノー
ル)等のフェノール系酸化防止剤、さらに、ジチオリン
酸亜鉛等を挙げることができ、これらは、通常0.05
〜5重量%の割合で使用される。
【0055】極圧剤としては、例えば、ジベンジルサル
ファイド、ジブチルジサルファイド等があり、これら
は、通常、0.05〜3重量%の割合で使用される。
【0056】金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾ
トリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体、チアジアゾ
ール、チアジアゾール誘導体等があり、これらは、通
常、0.01〜3重量%の割合で使用される。
【0057】流動点降下剤としては、例えば、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、塩素化パラフィンとナフタレン
との縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合
物、ポリメタクリレート、ポリアルキルスチレン等が挙
げられ、これらは、通常、0.1〜10重量%の割合で
使用される。
【0058】摩耗防止剤としては、例えば、リン酸エス
テル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性亜
リン酸エステル、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、イオウ
化合物等を挙げることができ、これらは、通常、0.0
1〜5重量%の割合で使用される。
【0059】その他の添加剤であっても、本発明の硫黄
含有有機モリブデン系化合物と有機酸の作用を阻害しな
いものであれば任意に選択して使用することができる。
【0060】本発明の硫黄含有有機モリブデン系化合物
と有機酸は、鉱油等の溶媒に溶解させた形態で使用する
ことができ、また、添加剤パッケージの成分として用い
ることもできる。
【0061】本発明の好ましい実施の態様として、 (1)潤滑油基油に a)硫黄含有有機モリブデン系化合物 ならびにb)
炭素数4〜30の脂肪族スルホン酸、 少なくとも1個の脂肪族炭化水素基で置換された芳香
族スルホン酸 少なくとも1個の脂肪族炭化水素基で置換された芳香
族カルボン酸、 少なくとも1個の脂肪族炭化水素基で置換されたサリ
チル酸および 少なくとも1個の脂肪族炭化水素基で置換されたフェ
ノール化合物 の〜からなる群より選択される少なくとも一種の有
機酸を配合してなる潤滑油組成物。
【0062】(2)潤滑油基油に、 a)硫黄含有有機モリブデン系化合物 ならびに b)アルキルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレン
スルホン酸、アルキルサリチル酸、芳香族カルボン酸お
よびアルキルフェノールからなる群より選択される少な
くとも一種の有機酸を配合してなる潤滑油組成物、
【0063】(3)潤滑油基油に対し、潤滑油組成物重
量基準で a)硫化オキシモリブデンジ(2−エチルヘキシル)ジ
チオカーバメイトをモリブデン量として 150〜1,
500ppm および b)アルキルベンゼンスルホン酸を 1〜50mmol
/kg配合してなる潤滑油組成物、
【0064】(4)潤滑油基油に対し、潤滑油組成物重
量基準で a)硫化オキシモリブデンジ(2−エチルヘキシル)ジ
チオカーバメートをモリブデン量として 150〜1,
500ppm および b)アルキルナフタレンスルホン酸を1〜50mmol
/kg添加してなる潤滑油組成物、
【0065】(5)潤滑油基油に対し、潤滑油組成物重
量基準で、 a)硫化オキシモリブデンジ(2−エチルヘキシル)ジ
チオカーバメートをモリブデン量として 150〜1,
500ppm および b)アルキルサリチル酸を1〜50mmol/kg添加
してなる潤滑油組成物、
【0066】(6)前記(1)〜(5)の各々の潤滑油
組成物に、さらに、粘度指数向上剤、無灰分散剤、酸化
防止剤、極圧剤、流動点降下剤、摩耗防止剤、金属不活
性化剤からなる群より選択される少なくとも一種の添加
剤を配合してなる潤滑油組成物が提供される。
【0067】
【実施例】次に、本発明を実施例および比較例によりさ
らに具体的に説明する。
【0068】なお、実施例および比較例において用いた
精製鉱油、硫黄含有有機モリブデン系化合物および有機
酸ならびに潤滑油組成物の性能評価方法は次の通りであ
る。 潤滑油基油 精製鉱油(100ニュートラル油)(動粘度(@100
℃):4.2mm2/s)。
【0069】パラフィン系原油の常圧蒸留残渣油の減圧
蒸留による潤滑油留分をフェノール溶剤で抽出処理して
得られたラフィネート硫黄含有モリブデン系化合物 (1)MoDTC : 硫化オキシモリブデンジ(2−
エチルヘキシル)ジチオカーバメート(旭電化工業株式
会社製サクラルーブ100) (2)MoDTP : 硫化オキシモリブデンジ(2−
エチルヘキシル)ジチオホスフェート(旭電化工業株式
会社製サクラルーブ300)有機酸 表1および2に示す。潤滑油組成物性能評価方法 摩擦係数測定法 試験機として往復動型摩擦試験機(SRV摩擦試験機)
を用い、次の条件で摩擦係数を測定した。
【0070】摩擦材 : 鋼(SUJ−2)/鋼(SU
J−2)、シリンダー/デスク 温度 : 80℃、120℃ 荷重 : 400N 振幅 : 50Hz 時間 : 15min 15分間の測定の最後の3分間の平均値をもって摩擦係
数の測定値とし、摩擦係数安定性は摩擦係数の変動幅で
評価した。
【0071】実施例1〜4 精製鉱油を潤滑油基油とし、これに硫黄含有有機モリブ
デン系化合物としてMoDTCをMo量として500p
pm配合し、有機酸としてアルキルベンゼンスルホン酸
(実施例1)、ジノニルナフタレンスルホン酸(実施例
2)、ノニルフェノール(実施例3)およびアルキルサ
リチル酸(実施例4)を各々7.8mmol/kgの割
合で配合した。得られた潤滑油組成物を前記の性能評価
に供したところ、表1に示すように、80℃および12
0℃の摩擦係数はいずれも低く、摩擦係数安定性も良好
であった。
【0072】実施例5 硫黄含有有機モリブデン系化合物として、MoDTCの
代わりにMoDTPをMo量として500ppm配合し
たこと以外すべて実施例1と同様にして潤滑油組成物を
調製した。表1に示すように、実施例1の潤滑油組成物
と同一の測定結果を得た。
【0073】実施例6、7 精製鉱油にMoDTCをMo量として各々500ppm
配合し、アルキルベンゼンスルホン酸を各々2.0mm
ol/kgおよび10.0mmol/kg配合した。得
られた潤滑油組成物を前記性能評価に供したところ、表
1に示すように、80℃および120℃のいずれの温度
においても摩擦係数は低く、摩擦係数安定性も良好であ
った。
【0074】実施例8、9 硫黄含有有機モリブデン系化合物としてMoDTCの配
合量を各々150ppm(実施例8)および1500p
pm(実施例9)としたこと以外すべて実施例1と同様
にして潤滑油組成物を調製した。MoDTCの配合量を
増量した実施例9において摩擦係数はさらに低下した。
【0075】比較例1 精製鉱油にMoDTCをMo量として500ppm配合
し、前記性能評価に供したところ、表2に示すように、
80℃および120℃の摩擦係数はいずれも高く、特
に、120℃における摩擦係数が高く、その安定性も著
しく劣るものであった。
【0076】比較例2〜7 精製鉱油にアルキルベンゼンスルホン酸(比較例2およ
び3)、ジノニルナフタレンスルホン酸(比較例4)、
ノニルフェノール(比較例5)およびアルキルサリチル
酸(比較例6および7)を表2に示す割合で各々配合
し、潤滑油組成物を調製した。前記性能評価に供したと
ころ、摩擦係数は、80℃および120℃のいずれにお
いても高く、これらの有機酸のみでは摩擦低減効果が十
分得られないことが示されている。
【0077】比較例8 精製鉱油にMoDTCをMo量として500ppm配合
し、有機酸としてステアリン酸を7.8mmol/kg
配合した。前記性能評価の結果、摩擦係数は80℃およ
び120℃において高く、この結果から有機酸であって
も脂肪族カルボン酸を使用した場合は摩擦低減効果が不
十分であることが判明した。
【0078】比較例9 精製鉱油に対するMoDTCの配合量を減量しMo量と
して100ppm配合し、有機酸としてアルキルベンゼ
ンスルホン酸を7.8mmol/kg配合した。前記性
能評価に供したところ、表2に示すように120℃での
摩擦係数は低下し、良好な結果が得られたが、80℃に
おける摩擦係数は上昇し全体として満足な性能は得られ
なかった。
【0079】比較例10 MoDTCの代わりに硫黄を含有しない有機モリブデン
系化合物としてオキシモリブデンモノグリセライドを使
用したこと以外すべて実施例1と同様にして潤滑油組成
を調製した。前記性能評価の結果、表2に示すように十
分な摩擦低減効果は得られなかった。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】上記の実施例および比較例を検討してみる
と、MoDTCまたはMoDTPと有機酸を併用するこ
とにより、80℃および120℃における摩擦係数が十
分低く、かつ、摩擦係数安定性も良好であり、特に、1
20℃の高温域において顕著な摩擦低減効果が得られ
た。
【0083】
【発明の効果】硫黄を含有する有機モリブデン系化合物
と特定の有機酸との併用により、高温条件下において摩
擦係数が低く、かつ、長期間の使用によっても摩擦係数
の安定性に優れた潤滑油組成物を提供することができ
る。従って、本発明の潤滑油組成物は、内燃機関用潤滑
油、自動変速機油、作動油等広範な分野において用いる
ことができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C10N 10:12 30:06 30:08 40:04 40:08 40:24 40:25

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潤滑油基油に a)硫黄含有有機モリブデン系化合物 ならびに b)脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸、芳香族カル
    ボン酸および脂肪族炭化水素置換フェノール化合物から
    なる群より選択される少なくとも一種の有機酸を配合し
    てなることを特徴とする潤滑油組成物
  2. 【請求項2】 前記芳香族スルホン酸が脂肪族炭化水素
    置換ベンゼンスルホン酸および/または脂肪族炭化水素
    置換ナフタレンスルホン酸である請求項1記載の潤滑油
    組成物。
  3. 【請求項3】 前記芳香族カルボン酸が脂肪族炭化水素
    置換サリチル酸である請求項1記載の潤滑油組成物。
  4. 【請求項4】 前記潤滑油組成物重量基準で前記硫黄含
    有有機モリブデン系化合物の配合量がモリブデン量とし
    て150〜2,000ppmであり、有機酸の配合量が
    1〜100mmol/kgである請求項1記載の潤滑油
    組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8603955B2 (en) 2004-10-19 2013-12-10 Nippon Oil Corporation Lubricant composition and antioxidant composition
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