JP5296955B2 - ばね用ステンレス鋼細線 - Google Patents

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Description

本発明は、ばね用ステンレス鋼細線、さらに詳しくは、湿式伸線加工によって得られ、線径が例えば0.8mm以下であって、環境保全並びにコイリング加工での加工性向上に寄与し得るオイル潤滑剤を用いて線引きしたばね用ステンレス鋼細線に関する。
ばね用ステンレス鋼線は、高強度で高い耐食性、耐熱性を有することからさまざまなばね用途に使用され、そのばね形状もコイルばねやトーションばねなど多種類に及ぶが、特に近年では、ばね成形での自動化や高速化に対応するべく、ステンレス鋼線の特性とともに表面のオイル潤滑剤についての改善が求められている。
例えば特開昭60−257917号公報は、伸線、コイリング時の潤滑性を改良する為に、Niめっきした被覆ステンレス鋼線の表面に合成樹脂のコーティング皮膜を形成し50%以上の伸線加工を加えることにより、線の表面粗さを0.8S〜12Sに調整した高強度ステンレス鋼線の製造方法を開示し、併せて潤滑剤の作用によって摩擦抵抗を減じ、コイリング加工での不良率改善できることを提案している。
また、特開平10−118711号公報は、前記合成樹脂のコーティング皮膜に変えて、硫酸カリウムやホウ砂を含有する無機塩の被覆膜を水溶液から析出生成させて形成したものを用いるととにより、環境保全を高めたステンレス鋼線の製造方法を提案し、さらに特開平10−5847号公報は、ニッケルめっきされたばね用ステンレス鋼線におけるめっきの厚さと硬さ比、並びに潤滑剤付着量を各々所定範囲にすることによりコイリング性向上を図ることを提案している。
このような従来技術の内、前2つの公報が提案したばね用ステンレス鋼線は、ニッケルめっき線の表面に施す潤滑皮膜の種類を特定しているのに対し、後の公報では、潤滑性の観点からその付着量を規定しているが、これらいずれの技術も線径1mm程度以上の比較的太いものを対象にしている。したがってその製造方法も、前記潤滑皮膜と補助潤滑剤としてのステアリン酸カルシウムの粉末とを併用するという所謂「乾式伸線法」によるものであることから、その線表面に付着する潤滑剤も0.05〜0.80g/m2 と多く、また線の表面状態も比較的粗なものとなっている。
ところでJIS−G4314は、ばね用ステンレス鋼線に関し最小線径0.080mmのものまで規定しているが、そのような細い線径の伸線加工については、一般的には、例えば鉱物油を主成分とする液状オイルを潤滑剤としてダイヤモンドダイスで伸線する「湿式伸線法」が採用されており、その場合のオイル潤滑剤としては、鉱物油を主成分とし、これに例えば塩素化パラフィンなどの塩素化合物を極圧剤として添加した潤滑オイルがある。
すなわちステンレス鋼線は、他の金属材料に比して難加工材であるとともに、特にその用途をばね用とするものでは、強度と疲労特性を向上する必要があることから、大きな加工率と、線状調整など微妙な条件制御とを要して伸線加工されるものであり、このような高度技術に対応できる潤滑オイルとして、前記塩素化合物を極圧剤に用いた潤滑オイルは最適のものであった。
また、このような潤滑オイルを用いるステンレス鋼線の伸線加工に関する粘度について、例えば、「引抜き用(油性)潤滑剤の現状と将来」(第44回伸線技術分科会資料1997年11月21日)では、マルチンサイト系ステンレス鋼線の引抜きにおける油性潤滑剤の粘度は、「100〜800mm2 /S(40℃)が適している」(P7/7 6行)としている。
発明が解決しようとする課題
しかしながら、前記したように従来の潤滑オイルはその添加剤として塩素化合物を含有させたものであることから、これを例えばテンパー処理などで加熱した場合にはダイオキシンや塩素を発生させ、それによって発癌性、肌荒れを発症するなどの健康被害や、熱処理炉自体への損傷が大きくなるなどという問題があり、またオイル自体を更新する場合にあってもその廃却費用に大きな負担がかかる。
またばね製品は、通常、伸線加工された線材をコイリングマシンに供し、成型ピンに押し付けることで成形する加工法であるが、この場合、湿式伸線法によって細径化したステンレス鋼線は、前記乾式伸線法によるものに比して飛躍的に向上した光輝平滑表面を有するとともに、使用する潤滑剤も長期に亙って乾燥固化しにくいオイル状のものであることから、前記公報が示すような多量の潤滑剤を付与させたものでは、付着ムラを大きくし、またその後のコイリング加工やテンパー処理を行う場合に次のような問題の原因となる。
すなわち、多量の潤滑剤を付着させた線をコイリング加工する場合には、余剰潤滑剤がローラーやノズル内などに付着して線の供給性や成形ピンとの摩擦抵抗に影響を友ぼし、得られるばね製品の形状ばらつきを大きくし、さらには作業機器周辺への飛散による作業環境の悪化要因になりやすい。
また、コイリング成形されたばね製品をテンパー処理する場合にも、この時の加熱により付着潤滑剤を燃焼させることから、多量の潤滑オイルが付着しているものでは、線表面に強い着色が生じ、また場合によっては厚い酸化スケールとなって耐食性を劣化させ、あるいは剥離による表面状態の低下などの材料欠陥の一因ともなるものである。
本発明はこうした要請から、従来の塩素系極圧剤に代えて硫黄系極圧剤とアルカリ土類のスルホネートとを添加することにより非塩素系のオイル潤滑剤とすることにより、得られる細線への付着を減じてコイリング性を安定化するとともにテンパーカラーの発生を抑え得るばね用ステンレス鋼細線の提供を目的とするものである。
課題を解決するための手段
【課題を解決するための手段】
本願請求項1記載の発明は、ダイヤモンドダイスの湿式伸線加工によってステンレス鋼線が線径0.5mm以下に細径化されたばね用ステンレス鋼細線であって、引張強さ1800MPa以上かつ表面粗さが0.1〜0.5μmRaであり、しかも、表面に、主成分が、鉱物油又は合成油からなる基油塩素を含まない硫黄系極圧剤及びアルカリ土類金属のスルホネートのみからなる非塩素系の潤滑オイルを具え、前記潤滑オイルは、前記基油と、15〜30mass%の前記硫黄系極圧剤、及び2.5〜10mass%の前記スルホネートを含むとともに、前記潤滑オイルの付着量が3〜15mg/m2 であることを特徴とするばね用ステンレス鋼細線である。
さらに、前記オイル潤滑剤の40℃における動粘度を、15〜30mm2 /Sに調整し、前記ステンレス鋼線の表面をニッケルめっきで被覆し、又は前記ニッケルメッキの厚さ(mm)を、該仕上がり線径(D)(mm)×(0.5〜2.5)/1000に調整することができる。
【発明の実施の形態】
本発明はダイヤモンドダイスの湿式伸線加工によって細径化されたばね用ステンレス鋼の細線に係り、ステンレス鋼材として、伸線加工あるいはその後の熱処理などの調整によって達成しうる所定の機械的特性を具えうる、例えばSUS304,SUS304NI,SUS302,SUS316,SUS631J1など種々Ni系やCr系のステンレス鋼が選択される。線径として、0.5mm以下、かつ引張強さ1800MPa以上の特性を有する。
引張強さ1800MPaは、ばね用ステンレス鋼細線として、ばね特性としての高強度、かつへたりなどを防止してばね寿命を高めるために必要な要件であり、好ましくは2000MPa以上とする。またその形状は、円形、楕円形などの円形の他、細線を帯状とする矩形、角形などの非円形などとすることもできる。
また湿式伸線加工は、例えば図1に示すように、平行配置されかつ駆動される伸線機本体T内の2つのコーンキャプスタン1A、1B間に順次巻き掛けされる線材Aを、前記コーンキャプスタン1A、1B間に配置した複数個の伸線ダイス2・・・を通すことにより所望の線径に細径化して巻き取るものであって、ダイス2には常に潤滑用オイル(潤滑剤)が供給されるとともに、使用ダイスは、難加工材料であるステンレス鋼線との摩擦・摩耗が少なく、かつ伸線加工によって表面緻密で光輝状態を達成するよう耐摩耗性にすぐれたダイヤモンドダイスが用いられる。
使用されるダイヤモンドダイスについては、天然ダイヤモンドを加工したものが好ましいが、例えば人造焼結ダイヤモンドによる焼結成形ダイスであってもよく、また全てをダイヤモンドダイスで構成する必要まではなく、例えば前段側の数枚については通常の合金ダイスとし、後段側のみをダイヤモンドダイスとしてダイス費低減を図るのもよい。
このようにダイヤモンドダイスでの伸線加工したものは、得られる線の表面が平滑で光沢性にすぐれたものとなり、その表面粗さも0.1〜0.5μmRaと非常に高い表面状態を得ることができ、また線径も、例えば10μm程度の極細線にまで十分適用可能である。
またばね用ステンレス鋼細線は、コイリング加工時での潤滑性を高める為に、表面にニッケルめっきを施したものであってもよく、その方法としては前記各公報が開示するワット浴やスルファミン酸ニッケル浴など任意に方法が用いられ、かかるニッケルメッキは、伸線前のステンレス鋼線に施す。
なおこのニッケルめっきは、潤滑剤として作用するばかりでなく、テンパカラーや、増大する酸化スケールの発生を抑えることができる。又その厚さは、例えば前記伸線加工後の表面状態として示している図2,図3に見られるように、表面上に潤滑オイルを収容する微小凹部が形成できるように、伸線完了時におけるニッケルめっきの厚さmmは、平均において該伸線仕上がり線材の線径(Dmm)×(0.5〜2.5)/1000程度の範囲に設定するのがよい。またこのような表面状態とする為の方法として、例えば、スルファミン酸ニッケル240g/l、塩化ニッケル8g/l、及びほう酸30g/lを含みPHを比較的高くした、いわゆる硬質ニッケルめっきを施し、伸線加工によってニッケルめっきが小片に割れることで形成することができる。
さらにばね用ステンレス鋼細線(ニッケルめっき線を含む)の伸線加工における伸線潤滑剤としては、主成分が、鉱物油又は合成油からなる基油、塩素を含まない硫黄系極圧剤及びアルカリ土類金属のスルホネートのみからなる非塩素系の潤滑オイルであって、線表面に付着する前記潤滑剤を3〜15mg/m2 に規制している。付着量が3mg/m2 未満ではコイリング時に焼付きが生じてばね形状のバラツキを大きくし、一方15mg/m2 を越えるものではガイドやノズルに詰まり、送給抵抗のムラを生じてバラツキを大きくするばかりでなく、作業環境の悪化原因ともなる。より好ましくは5〜12mg/m2 とする。
ここで前記「基油」としては、スピンドル油やマシン油、タービン油などの鉱物油や、合成脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリブデン等のポリオレフィン、ポリオールエステル等のポリオール類などの合成油、あるいはそれらの複合油を用いることができ、また添加剤としては、硫黄系極圧剤とアルカリ土類金属のスルホネートとを含有することで、不活性な非塩素系オイルにするものである。
なお「硫黄系極圧剤」としては、硫化油脂、硫化脂肪酸エステル、硫化脂肪族系炭化水素、硫化不飽和脂肪酸エステル、オレフィンポリサルファイド、ジアルキルポリサルファイド等を挙げることができ、その1種あるいは2種以上を15〜30mass%程度の含有量で用いるのがよい。
極圧剤は、例えば金属同士の接触界面での摩擦熱によって新たな化合物を生成でき、この化合物を介在させることで摩擦抵抗を減じる働きをするものであって、その量が15%未満では所望の潤滑性は得られず、また30%を越えるほど多くしてもその効果は飽和することとなる。

一方、「アルカリ土類金属のスルホネート」としては、例えばマグネシウムスルホネートやカルシウムスルホネート、バリウムスルホネートなどの中性塩又は塩基性塩等を挙げることができ、スルホン酸としては、例えば芳香族石油スルホン酸やアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸等を含み、その一例として、例えばポストドデシルベンゼンスルホン酸やジラウリルセチルベンゼンスルホン酸、ナフタレンススルホン酸等を挙げることができる。
そしてその1種以上を単独あるいは複合して用いるものであるが、特に前記カルシューム系のスルホネートは、前記した極圧剤としても機能するとともに、オイル潤滑剤として線表面に付着させる場合にも線材とダイスとの細かいすき間に入り込み、ころによるころがり摩擦によって抵抗を低く抑えることができ、また付着量自体も少なくさせることができる利点があり本発明に好適する。また、これら添加量としては、例えば2.5〜10mass%とするのがよい。
添加量2.5%未満とした場合は潤滑性に劣り、一方、10%を越えるほど多くしてもその効果はさほど期待できない。
本発明のばね用ステンレス鋼細線は、かかる組成の非塩素系でかつ不活性の特性を有する液状の潤滑オイルを用いた前記伸線加工で得られ、かつかかる潤滑オイルを用いることと相まって、伸線後のばね用線として引張強さを1800MPa以上の高強度特性とするとともに、線表面に付着する前記オイル潤滑剤の量を3〜15mg/m2 の微少付着に抑えている。このように、余剰潤滑剤の付着を抑制することによって、作業環境の改善やコイリング性の安定化、さらにはばね品質の向上を図っている。なおこの組成の潤滑オイルは液状で、その動粘度も低く好ましいものであるが、特に15〜30mm2 /S(40℃)にしたものは、ステンレス鋼細線として伸線加工する場合の伸線ダイス内への引き込みが良好で、潤滑性と付着量との関係でバランスされたものであり好ましい。一般的には仕上がり線径が細い程、動粘度の低い特性のオイルを用いるのがよいが、伸線速度や、使用するダイスの形状によっても異なる。
なお前記「動粘度」については例えばJIS−K2283などに説明されているキャノン−フェンスケ粘度計などによって測定することができ、その基準温度として本発明では40℃を採用している。
この動粘度について特に15〜30mm2 /Sが好ましいとするのは、15mm2 /S未満の場合には強加工に対する潤滑性が不十分となり、耐焼付き性が低下して伸線加工、コイリング加工での加工に適さず、一方、30mm2 /Sを越えるものでは、伸線ダイスへの引き込みが不十分で線表面上への付着量が大きくなり表面性状を低下させ、潤滑オイルの膜切れを起こしやすくする他、作業環境を悪化させ、その後の完全除去の為の洗浄工程を必要とする場合があるなど作業工数の増加を招来しやすい。さらに好ましくは20〜25mm2 /S(40℃)とする。
なお、この際、前記動粘度を調整する為には、例えばイソプチレン重合物、アクリルエステル重合物などの粘度指数向上剤等を必要に応じて添加するのも有効である。
こうして調整された前記伸線潤滑剤は、線表面に微少付着させた場合にも十分な潤滑性を持たせることができることから、ダイヤモンドダイスでの湿式伸線加工によって得られる本発明のばね用ステンレス鋼細線は、所定の細線径に容易に伸線できるとともに、その付着量も3〜15mg/m2 と極めて少なくすることができる。したがって、ばね製品とする為のコイリング加工やテンパー処理においても安定した作業を行うことが可能となり、潤滑オイルによる線表面の着色や過度の酸化スケール、さらには浸炭などの問題を軽減できる。
なお本発明では、前記添加剤として例えば油性向上剤や酸化防止剤などを必要に応じ添加することもできる。油性向上剤には、オレイン酸やステアリン酸などの高級脂肪酸があり、また酸化防止剤としては、脂肪族アミンやフェノール化合物などを挙げることができる。
ニッケルめっきしたSUS304の軟質のステンレス鋼線(線径:1.2mm)を素材とし、これを後段側6枚をダイヤモンドダイスにした湿式伸線機によって0.45mmの実施例1,2,及び比較例1〜3のばね用ステンレス鋼細線を加工した。それぞれ表1に使用する潤滑剤、その動粘度を示す。
Figure 0005296955
実施例1,2のオイルは、いずれも塩素を含まない極圧剤によって非塩素系としている。比較例1の潤滑剤も非塩素系であるが動粘度を35mm2/Sであり、比較例2,3は塩素系の極圧剤を用いている。
これらオイルについての評価項目は、上記伸線加工における伸線加工性とオイル付着量、コイリング加工性、耐食性、並びにテンパーカラー特性で比較することとした。
試験A.伸線加工性
伸線加工は、上記素材100kgを湿式伸線機(サイカワ製)により伸線速度200m/min .で行い、総加工率85.9%の伸線後の線の表面状態及び線癖調整の難易度で評価した。なお、この伸線加工後の前記ニッケルめっきの厚さは平均約0.4μm程度であり、線径D(0.45mm)に対する比率は0.89/1000倍であった。
いずれの潤滑オイルも伸線加工ではあまり大きな問題は見られなかったが、動粘度がやや大きかった比較例1及び3はオイル潤滑剤付着量が18〜25g/m2 とやや多くなり、それに伴って表面光沢度も劣るものであった。その結果をまとめて表2に示す。なお前記付着量の測定は被測定線500gをアセトンに浸漬し、超音波加振で3Hr処理し、乾燥後の重さとの差を、その表面積で除したもので求めたものである。
Figure 0005296955
試験B.コイリング加工
こうして得られたステンレス鋼細線について、次のコイルばねを成形することとし、その評価は成形されたコイルばねの自由長さのばらつきで示した。
コイル形状 外径:10.8mm、総巻数:10巻、自由長:20mm、コイリング速度:60個/分、コイリング総数:2000個
Figure 0005296955
試験C.テンパーカラー試験
テンパーカラー試験は得られたばね製品はコンベヤ炉によって、大気中350,400,450℃の温度で10分間加熱処理した場合の線表面色を、1〜6までの6段階で示すものであり、段階1:変化なし、2:若干金色、3:金色、4:濃い金色、5:茶色、6:紫色としている。その結果を表4に示す。
Figure 0005296955
試験D.耐食性試験
耐食性の評価は、前記試験1による伸線加工材について、屋外に6ケ月間放置する大気暴露試験と、1%Nacl溶液での720時間に及ぶ塩水噴霧試験で評価したものであり、目視検査により表面を観察した。結果は表5に示すとおりであり、段階1:変化なし〜5:光沢なしまでの5段階で評価した。
Figure 0005296955
発明の効果
以上説明したように、本発明によるばね用ステンレス鋼線は、その伸線オイル潤滑剤として塩素径の極圧剤を含まない非塩素系とすることで、その後の熱処理などによって有害ガスが発生せず、またその動粘度を前記範囲に規制することで潤滑付着量の調整を容易にし、作業環境の改善、コイリング性の安定化を達成するとともに、テンパーカラーの発生が少なくばね品質の向上を図ることができる。
湿式伸線方法を説明する平面図である。 ばね用ステンレス鋼細線の表面状態の一例を示す顕微鏡写真である。 ばね用ステンレス鋼細線の表面状態の他の例を示す顕微鏡写真である。
1 湿式伸線機
2 コーンキャプスタン
3 ダイス
A ステンレス鋼線材

Claims (4)

  1. ダイヤモンドダイスの湿式伸線加工によってステンレス鋼線が線径0.5mm以下に細径化されたばね用ステンレス鋼細線であって、
    引張強さ1800MPa以上かつ表面粗さが0.1〜0.5μmRaであり、
    しかも、表面に、主成分が、鉱物油又は合成油からなる基油塩素を含まない硫黄系極圧剤及びアルカリ土類金属のスルホネートのみからなる非塩素系の潤滑オイルを具え、
    前記潤滑オイルは、前記基油と、15〜30mass%の前記硫黄系極圧剤、及び2.5〜10mass%の前記スルホネートを含むとともに、
    前記潤滑オイルの付着量が3〜15mg/m2 であることを特徴とするばね用ステンレス鋼細線。
  2. 前記潤滑オイルの40℃における動粘度が、15〜30mm2 /Sに調整したものであることを特徴とする請求項1記載のばね用ステンレス鋼細線。
  3. 前記ステンレス鋼線は、その表面をニッケルめっきで被覆したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のばね用ステンレス鋼細線。
  4. 前記ニッケルメッキは、伸線後における厚さ(mm)を、該仕上がり線径(D)(mm)×(0.5〜2.5)/1000に調整したことを特徴とする請求項3に記載のばね用ステンレス鋼細線。
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