JPH0871618A - 熱間継目無管圧延用マンドレルバー - Google Patents
熱間継目無管圧延用マンドレルバーInfo
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- JPH0871618A JPH0871618A JP21622094A JP21622094A JPH0871618A JP H0871618 A JPH0871618 A JP H0871618A JP 21622094 A JP21622094 A JP 21622094A JP 21622094 A JP21622094 A JP 21622094A JP H0871618 A JPH0871618 A JP H0871618A
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- Japan
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- mandrel bar
- rolling
- mandrel
- pipe
- seamless pipe
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Abstract
(57)【要約】
【目的】熱間継目無管の圧延に際して、潤滑性能の向上
が図れるマンドレルバーを提供する。 【構成】表面に、軸方向の中心線平均粗さ（Ｒa ）が
1.0〜 4.0μm であるCrメッキ皮膜を有することを特徴
とする熱間継目無管圧延用マンドレルバー。 【効果】13Cr鋼等からなる高合金鋼管の圧延において
も、優れた摩耗特性と製管寿命を発揮して、継目無管の
内面品質の向上に多大な効果を奏する。
が図れるマンドレルバーを提供する。 【構成】表面に、軸方向の中心線平均粗さ（Ｒa ）が
1.0〜 4.0μm であるCrメッキ皮膜を有することを特徴
とする熱間継目無管圧延用マンドレルバー。 【効果】13Cr鋼等からなる高合金鋼管の圧延において
も、優れた摩耗特性と製管寿命を発揮して、継目無管の
内面品質の向上に多大な効果を奏する。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、熱間継目無管の圧延工
具に関し、さらに詳しくは熱間継目無管の圧延に際し優
れた摩耗特性および製管寿命を発揮するマンドレルバー
に関するものである。
具に関し、さらに詳しくは熱間継目無管の圧延に際し優
れた摩耗特性および製管寿命を発揮するマンドレルバー
に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】小径ならびに中径の熱間継目無管の製管
方法として、マンドレルミル圧延による方法が多用され
ている。
方法として、マンドレルミル圧延による方法が多用され
ている。
【０００３】この製管方法においては、加熱したビレッ
トを穿孔機で穿孔して中空素管として、この中空素管の
内面に圧延工具であるマンドレルバーを挿入した後、対
向孔型ロールで構成されたスタンドを複数個設けたマン
ドレルミルに通し、中空素管を所定寸法の継目無管に圧
延する。圧延後、挿入されたマンドレルバーは継目無管
から引き抜かれる。
トを穿孔機で穿孔して中空素管として、この中空素管の
内面に圧延工具であるマンドレルバーを挿入した後、対
向孔型ロールで構成されたスタンドを複数個設けたマン
ドレルミルに通し、中空素管を所定寸法の継目無管に圧
延する。圧延後、挿入されたマンドレルバーは継目無管
から引き抜かれる。
【０００４】マンドレルミル圧延の際には、マンドレル
バーの摩耗および肌荒れ等の工具疵を防止するため、素
管に挿入する前にマンドレルバーの表面に固体潤滑剤を
主成分とする潤滑皮膜を予め形成する。これによって、
圧延時およびマンドレルバー引き抜き時に発生する管内
面とマンドレルバー表面との摩擦力が減じられて、工具
疵の発生が防止されている。このとき、被圧延材が炭素
鋼管である場合には、その内面に発生した酸化スケール
も補助的に潤滑の役割を果たし、工具疵を防止する働き
がある。
バーの摩耗および肌荒れ等の工具疵を防止するため、素
管に挿入する前にマンドレルバーの表面に固体潤滑剤を
主成分とする潤滑皮膜を予め形成する。これによって、
圧延時およびマンドレルバー引き抜き時に発生する管内
面とマンドレルバー表面との摩擦力が減じられて、工具
疵の発生が防止されている。このとき、被圧延材が炭素
鋼管である場合には、その内面に発生した酸化スケール
も補助的に潤滑の役割を果たし、工具疵を防止する働き
がある。
【０００５】マンドレルミル圧延に用いられるマンドレ
ルバーとしては、従来から JIS SKD6 、JIS SKD61 等の
熱間加工用工具鋼からなる丸棒素材が採用され、靱性や
耐亀裂性を確保するため、その表面を滑らかに研磨した
後、マンドレルバー本体の焼き入れ−焼き戻し処理によ
って、表面硬度を HV350〜 450程度に調整し、かつ表面
にスケール皮膜を形成するのが一般的である。しかし、
熱間圧延中においてはマンドレルバー表面と素管内面と
の接触面では厳しいすべり摩擦状態になるため、常に完
全な潤滑状態を保つのは容易ではなく、繰り返し使用を
行っているうちに摩耗、焼き付き、肌荒れ、クラック等
の疵がマンドレルバーの表面に生じて、その製管寿命が
低下する。
ルバーとしては、従来から JIS SKD6 、JIS SKD61 等の
熱間加工用工具鋼からなる丸棒素材が採用され、靱性や
耐亀裂性を確保するため、その表面を滑らかに研磨した
後、マンドレルバー本体の焼き入れ−焼き戻し処理によ
って、表面硬度を HV350〜 450程度に調整し、かつ表面
にスケール皮膜を形成するのが一般的である。しかし、
熱間圧延中においてはマンドレルバー表面と素管内面と
の接触面では厳しいすべり摩擦状態になるため、常に完
全な潤滑状態を保つのは容易ではなく、繰り返し使用を
行っているうちに摩耗、焼き付き、肌荒れ、クラック等
の疵がマンドレルバーの表面に生じて、その製管寿命が
低下する。
【０００６】マンドレルバーの表面に生じる摩耗等を防
止し、寿命の延長を図るために、従来から種々のマンド
レルバー表面の処理方法が提案されている。
止し、寿命の延長を図るために、従来から種々のマンド
レルバー表面の処理方法が提案されている。
【０００７】例えば特開昭63− 20105号公報では、マン
ドレルバー表面に最大深さが50μmの凹みを長さ１mm当
たり 2ケ以上設けることによって、マンドレルミル圧延
時の摩擦係数を小さくするとともに、スケールの密着性
を高める処理方法が提案されている。また、特開平 2−
207904号公報にも、マンドレルバー本体の円周方向に連
続して深さが10〜30μm の螺旋状またはリング状の溝を
設けることによって、マンドレルバー表面の潤滑剤を保
持し、被圧延材との潤滑状態を改善する処理方法が開示
されている。
ドレルバー表面に最大深さが50μmの凹みを長さ１mm当
たり 2ケ以上設けることによって、マンドレルミル圧延
時の摩擦係数を小さくするとともに、スケールの密着性
を高める処理方法が提案されている。また、特開平 2−
207904号公報にも、マンドレルバー本体の円周方向に連
続して深さが10〜30μm の螺旋状またはリング状の溝を
設けることによって、マンドレルバー表面の潤滑剤を保
持し、被圧延材との潤滑状態を改善する処理方法が開示
されている。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】近年、油井用や化学工
業用として13Cr鋼等からなる長尺の高合金鋼管の需要が
高まり、これらを効率的に製造するため、マンドレルミ
ル圧延での製管が増加している。しかし、13Cr鋼等の高
合金鋼の変形抵抗は、炭素鋼等に比べて高いため、高合
金鋼管を圧延する場合に、マンドレルバー表面の温度
は、炭素鋼管を圧延する場合のそれに比べて極めて高く
なる。そのため、従来から炭素鋼管または低合金鋼管用
として汎用されているマンドレルバーを高合金鋼管の圧
延に用いる場合には、マンドレルバー表面が軟化して摩
耗し、その表面に形成された潤滑皮膜も部分的に消滅
し、素管内面とマンドレルバー表面との間で焼き付が生
じ易くなる。
業用として13Cr鋼等からなる長尺の高合金鋼管の需要が
高まり、これらを効率的に製造するため、マンドレルミ
ル圧延での製管が増加している。しかし、13Cr鋼等の高
合金鋼の変形抵抗は、炭素鋼等に比べて高いため、高合
金鋼管を圧延する場合に、マンドレルバー表面の温度
は、炭素鋼管を圧延する場合のそれに比べて極めて高く
なる。そのため、従来から炭素鋼管または低合金鋼管用
として汎用されているマンドレルバーを高合金鋼管の圧
延に用いる場合には、マンドレルバー表面が軟化して摩
耗し、その表面に形成された潤滑皮膜も部分的に消滅
し、素管内面とマンドレルバー表面との間で焼き付が生
じ易くなる。
【０００９】さらに13Cr鋼等の高合金鋼は、素管の加熱
にともなって発生する酸化スケールが少ないため、マン
ドレルミル圧延の際に、炭素鋼管を圧延する場合のよう
に酸化スケールによる補助的な潤滑効果を期待すること
ができない。そのため、マンドレルバー表面に潤滑剤を
塗布しているにもかかわらず潤滑が不十分となって、素
管内面とマンドレルバー表面との間に焼き付が発生し易
くなる。
にともなって発生する酸化スケールが少ないため、マン
ドレルミル圧延の際に、炭素鋼管を圧延する場合のよう
に酸化スケールによる補助的な潤滑効果を期待すること
ができない。そのため、マンドレルバー表面に潤滑剤を
塗布しているにもかかわらず潤滑が不十分となって、素
管内面とマンドレルバー表面との間に焼き付が発生し易
くなる。
【００１０】マンドレルバー表面に焼き付が発生する
と、素管内面およびマンドレルバー表面に軸方向の筋状
疵が発生し、管内面の手入れに多大の工数を要するとと
もに、マンドレルバーを交換せねばならず、甚だしい場
合には数十本の圧延毎に交換する必要が生じて、製管作
業の効率を著しく低下させる。
と、素管内面およびマンドレルバー表面に軸方向の筋状
疵が発生し、管内面の手入れに多大の工数を要するとと
もに、マンドレルバーを交換せねばならず、甚だしい場
合には数十本の圧延毎に交換する必要が生じて、製管作
業の効率を著しく低下させる。
【００１１】前述のマンドレルバーの処理方法（特開昭
63− 20105号公報および特開平 2−207904号公報で提案
のもの）は、炭素鋼管の圧延時に適用するために開発さ
れたものであるが、炭素鋼管を圧延する場合であっても
必ずしも効果が一定しないのが実情であり、13Cr鋼等の
高合金鋼管を圧延する場合には、圧延中にマンドレルバ
ー表面が軟化して表面の凹みや溝が消滅してしまい、表
面に生じる摩耗等を防止して寿命の延長を図ることがで
きないという問題があった。
63− 20105号公報および特開平 2−207904号公報で提案
のもの）は、炭素鋼管の圧延時に適用するために開発さ
れたものであるが、炭素鋼管を圧延する場合であっても
必ずしも効果が一定しないのが実情であり、13Cr鋼等の
高合金鋼管を圧延する場合には、圧延中にマンドレルバ
ー表面が軟化して表面の凹みや溝が消滅してしまい、表
面に生じる摩耗等を防止して寿命の延長を図ることがで
きないという問題があった。
【００１２】本発明の目的は、13Cr鋼等の高合金鋼管の
マンドレルミル圧延に用いても、優れた摩耗特性を発揮
するとともに、圧延される継目無管の内面品質を大幅に
向上させることのできるマンドレルバーを提供すること
にある。
マンドレルミル圧延に用いても、優れた摩耗特性を発揮
するとともに、圧延される継目無管の内面品質を大幅に
向上させることのできるマンドレルバーを提供すること
にある。
【００１３】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、炭素鋼管
や低合金鋼管の圧延のみならず、13Cr鋼等の高合金鋼管
の圧延に際しても、マンドレルバーの寿命を延長して、
圧延管の内面品質を向上させるため種々の検討を行った
結果、次の知見を得ることができた。
や低合金鋼管の圧延のみならず、13Cr鋼等の高合金鋼管
の圧延に際しても、マンドレルバーの寿命を延長して、
圧延管の内面品質を向上させるため種々の検討を行った
結果、次の知見を得ることができた。
【００１４】 前述の通り、工具の靱性や耐亀裂性を
向上させるため、マンドレルバー素材の表面硬度を HV3
50〜 450程度に調整しているが、13Cr鋼等の高合金鋼管
を圧延する場合にはマンドレルバー表面の温度上昇が激
しく、軟化してしまうのでこの程度の表面硬度では不十
分である。
向上させるため、マンドレルバー素材の表面硬度を HV3
50〜 450程度に調整しているが、13Cr鋼等の高合金鋼管
を圧延する場合にはマンドレルバー表面の温度上昇が激
しく、軟化してしまうのでこの程度の表面硬度では不十
分である。
【００１５】 高合金鋼管の圧延に用いられるマンド
レルバーの表面硬度は、 HV800〜1000程度に高めておく
必要がある。
レルバーの表面硬度は、 HV800〜1000程度に高めておく
必要がある。
【００１６】 表面硬度を HV800〜1000程度に高める
には、表面にCrメッキ皮膜を施すのが有効である。しか
し、マンドレルバー表面に塗布する固体潤滑剤を主成分
とする潤滑皮膜が不十分であるか、または一旦それが欠
如すると、表面にCrメッキ皮膜を施したマンドレルバー
は、Crメッキ皮膜を施していないものに比べて焼き付き
等の疵を発生し易い。
には、表面にCrメッキ皮膜を施すのが有効である。しか
し、マンドレルバー表面に塗布する固体潤滑剤を主成分
とする潤滑皮膜が不十分であるか、または一旦それが欠
如すると、表面にCrメッキ皮膜を施したマンドレルバー
は、Crメッキ皮膜を施していないものに比べて焼き付き
等の疵を発生し易い。
【００１７】 上記の問題も、マンドレルバーの表
面に施すCrメッキ皮膜の粗さを特定範囲に規定すること
によって、軽減することができる。
面に施すCrメッキ皮膜の粗さを特定範囲に規定すること
によって、軽減することができる。
【００１８】本発明は、〜の知見に基づいて完成さ
れたものであり、その要旨は次の熱間継目無管圧延用マ
ンドレルバーにある。
れたものであり、その要旨は次の熱間継目無管圧延用マ
ンドレルバーにある。
【００１９】「表面に、軸方向の中心線平均粗さが 1.0
〜 4.0μm であるCrメッキ皮膜を有することを特徴とす
る熱間継目無管圧延用マンドレルバー」である。
〜 4.0μm であるCrメッキ皮膜を有することを特徴とす
る熱間継目無管圧延用マンドレルバー」である。
【００２０】
【作用】マンドレルミル圧延では、マンドレルバー表面
と素管内面との間を完全な潤滑状態に保つのは容易では
なく、特に、被圧延材が13Cr鋼等の高合金鋼管の場合に
は、前述のように、マンドレルバー表面が軟化して潤滑
不良になり易くなる。これを防ぐには、表面硬度を高め
るために、マンドレルバーの表面にCrメッキ皮膜を形成
するのが有効である。Crメッキを施すことによって、表
面硬度を HV800〜1000と高めることができて、マンドレ
ルバー表面の軟化を防ぐことができるからである。
と素管内面との間を完全な潤滑状態に保つのは容易では
なく、特に、被圧延材が13Cr鋼等の高合金鋼管の場合に
は、前述のように、マンドレルバー表面が軟化して潤滑
不良になり易くなる。これを防ぐには、表面硬度を高め
るために、マンドレルバーの表面にCrメッキ皮膜を形成
するのが有効である。Crメッキを施すことによって、表
面硬度を HV800〜1000と高めることができて、マンドレ
ルバー表面の軟化を防ぐことができるからである。
【００２１】通常、鋼材表面に硬化処理としてCrメッキ
皮膜を施す場合、耐摩耗性および美観を確保する観点か
ら、Crメッキ後の表面はラッピング等の後加工によって
平滑化される（例えば、塑性加工学会、昭和61年 8月発
行、「最新塑性加工要覧」68頁、参照）。しかしなが
ら、マンドレルミル圧延のように、圧延中に固体潤滑剤
を使用する場合においては、マンドレルバー表面のCrメ
ッキ皮膜に適度の表面粗さを付加することによって、マ
ンドレルバー表面の摩擦係数を著しく低減することがで
きて、マンドレルバーの焼き付き等の疵発生を防止する
ことができる。
皮膜を施す場合、耐摩耗性および美観を確保する観点か
ら、Crメッキ後の表面はラッピング等の後加工によって
平滑化される（例えば、塑性加工学会、昭和61年 8月発
行、「最新塑性加工要覧」68頁、参照）。しかしなが
ら、マンドレルミル圧延のように、圧延中に固体潤滑剤
を使用する場合においては、マンドレルバー表面のCrメ
ッキ皮膜に適度の表面粗さを付加することによって、マ
ンドレルバー表面の摩擦係数を著しく低減することがで
きて、マンドレルバーの焼き付き等の疵発生を防止する
ことができる。
【００２２】本発明者らの検討によれば、焼き付き等の
発生を防止するには、マンドレルバーの表面に施される
Crメッキ皮膜の表面粗さは、マンドレルバーの軸方向に
測定した中心線平均粗さ（Ｒa ）で 1.0〜 4.0μm の範
囲でなければならない。表面粗さの指標として他に最大
深さ（Ｒmax ）もあるが、これによって規定されるもの
ではない。
発生を防止するには、マンドレルバーの表面に施される
Crメッキ皮膜の表面粗さは、マンドレルバーの軸方向に
測定した中心線平均粗さ（Ｒa ）で 1.0〜 4.0μm の範
囲でなければならない。表面粗さの指標として他に最大
深さ（Ｒmax ）もあるが、これによって規定されるもの
ではない。
【００２３】圧延中における潤滑剤の保持性は、マンド
レルバーの表面粗さの断面曲線の深さとそのピッチに影
響される。すなわち、表面粗さの断面曲線のうち谷底が
所定の深さを有し、かつ谷底が発生するピッチが比較的
小さければ、潤滑剤は保持性に優れ耐焼付き性を高める
ことができる。これに対し、断面曲線の谷底がふかくて
も、その谷底が発生するピッチが大きくなれば、潤滑剤
の保持性が低下し焼付き等の疵を生じ易くなる。このよ
うな潤滑剤の保持性と表面粗さの特性を考慮して、表面
粗さの断面曲線の谷底の深さとピッチとを総合的に評価
するため、Crメッキ皮膜の表面粗さは中心線平均粗さ
（Ｒa ）で規定することとした。また、表面粗さの測定
方向をマンドレルバーの軸方向としたのは、潤滑剤の保
持性に及ぼす影響は軸方向の表面粗さが支配的であっ
て、円周方向の表面粗さは補助的な役割を果たすにすぎ
ないからである。したがって、マンドレルバー表面のCr
メッキ皮膜面の中心線平均粗さが 1.0μm 未満になって
も、 4.0μm を超えることになっても、マンドレルバー
表面での潤滑剤の保持性が不足して摩擦係数が高くな
り、焼き付等の工具疵が生じ易くなる。
レルバーの表面粗さの断面曲線の深さとそのピッチに影
響される。すなわち、表面粗さの断面曲線のうち谷底が
所定の深さを有し、かつ谷底が発生するピッチが比較的
小さければ、潤滑剤は保持性に優れ耐焼付き性を高める
ことができる。これに対し、断面曲線の谷底がふかくて
も、その谷底が発生するピッチが大きくなれば、潤滑剤
の保持性が低下し焼付き等の疵を生じ易くなる。このよ
うな潤滑剤の保持性と表面粗さの特性を考慮して、表面
粗さの断面曲線の谷底の深さとピッチとを総合的に評価
するため、Crメッキ皮膜の表面粗さは中心線平均粗さ
（Ｒa ）で規定することとした。また、表面粗さの測定
方向をマンドレルバーの軸方向としたのは、潤滑剤の保
持性に及ぼす影響は軸方向の表面粗さが支配的であっ
て、円周方向の表面粗さは補助的な役割を果たすにすぎ
ないからである。したがって、マンドレルバー表面のCr
メッキ皮膜面の中心線平均粗さが 1.0μm 未満になって
も、 4.0μm を超えることになっても、マンドレルバー
表面での潤滑剤の保持性が不足して摩擦係数が高くな
り、焼き付等の工具疵が生じ易くなる。
【００２４】上記のようなCrメッキ処理後のメッキ皮膜
の表面粗さは、メッキ前のマンドレルバーの表面粗さを
調整することによって調整することができる。通常、Cr
メッキ処理を施すことによって、下地の粗さより表面粗
さはやや低下する傾向にあるから、これを考慮して、Cr
メッキ処理前のマンドレルバーの表面粗さを、予め調整
しておく必要がある。この場合は、マンドレルバーの表
面加工方法は、切削、研削、ブラスト処理等、いずれの
方法を用いても良い。
の表面粗さは、メッキ前のマンドレルバーの表面粗さを
調整することによって調整することができる。通常、Cr
メッキ処理を施すことによって、下地の粗さより表面粗
さはやや低下する傾向にあるから、これを考慮して、Cr
メッキ処理前のマンドレルバーの表面粗さを、予め調整
しておく必要がある。この場合は、マンドレルバーの表
面加工方法は、切削、研削、ブラスト処理等、いずれの
方法を用いても良い。
【００２５】Crメッキの処理方法やその条件は特に限定
されるものではないが、マンドレルバー素地への密着性
等を考慮すれば、一般の機械部品等を処理する場合と同
様の処理条件のもとで、電気メッキ法により処理するの
が好ましい。
されるものではないが、マンドレルバー素地への密着性
等を考慮すれば、一般の機械部品等を処理する場合と同
様の処理条件のもとで、電気メッキ法により処理するの
が好ましい。
【００２６】Crメッキ皮膜の厚みは、薄すぎると効果が
十分でなく、一方、厚すぎると剥離し易くなるので、35
〜55μm 程度にするのが好ましい。
十分でなく、一方、厚すぎると剥離し易くなるので、35
〜55μm 程度にするのが好ましい。
【００２７】マンドレルバーの材質は、炭素鋼や低合金
鋼でも良いが、圧延中にマンドレルバー自体に加わる張
力に耐え得ることが必要であるから、JIS SKD6、JIS SK
D61等の熱間加工用工具鋼とするのが好ましい。
鋼でも良いが、圧延中にマンドレルバー自体に加わる張
力に耐え得ることが必要であるから、JIS SKD6、JIS SK
D61等の熱間加工用工具鋼とするのが好ましい。
【００２８】上記のように、マンドレルバーの表面に、
マンドレルバーの軸方向に測定した中心線平均粗さ（Ｒ
a ）が 1.0〜 4.0μm であるCrメッキ皮膜を施すことに
よって、炭素鋼管のみならず13Cr鋼等の高合金鋼管をマ
ンドレルミル圧延する場合であっても、潤滑性能が向上
して優れた耐摩擦特性が得られる。
マンドレルバーの軸方向に測定した中心線平均粗さ（Ｒ
a ）が 1.0〜 4.0μm であるCrメッキ皮膜を施すことに
よって、炭素鋼管のみならず13Cr鋼等の高合金鋼管をマ
ンドレルミル圧延する場合であっても、潤滑性能が向上
して優れた耐摩擦特性が得られる。
【００２９】
【実施例】本発明のマンドレルバーの効果を、熱間圧延
試験（実施例１）および実機の熱間圧延（実施例２）で
確認した。
試験（実施例１）および実機の熱間圧延（実施例２）で
確認した。
【００３０】（実施例１）マンドレルミル圧延を模擬し
た熱間圧延試験機（一対の孔型ロールで構成）によっ
て、各種の表面粗さ（軸方向の中心線平均粗さＲa が
0.5〜 6.0μm の範囲）を有するCrメッキ皮膜を施した
マンドレルバーを「Crメッキ材」として、圧延中の摩擦
係数を調査した。比較のため、Crメッキ皮膜を施さない
ままのマンドレルバーを「従来材」として、同様に調査
した。
た熱間圧延試験機（一対の孔型ロールで構成）によっ
て、各種の表面粗さ（軸方向の中心線平均粗さＲa が
0.5〜 6.0μm の範囲）を有するCrメッキ皮膜を施した
マンドレルバーを「Crメッキ材」として、圧延中の摩擦
係数を調査した。比較のため、Crメッキ皮膜を施さない
ままのマンドレルバーを「従来材」として、同様に調査
した。
【００３１】試験方法は、マンドレルバーを挿入した圧
延素管を1000℃に加熱したのち、上下一対の孔型ロール
の軸心に噛み込ませて圧延し、そのときの摩擦係数を測
定した。試験条件（圧延寸法、ロール速度等）は表１に
示す。また調査結果であるマンドレルバー表面の軸方向
の中心線平均粗さＲa と摩擦係数との関係を図１に示
す。
延素管を1000℃に加熱したのち、上下一対の孔型ロール
の軸心に噛み込ませて圧延し、そのときの摩擦係数を測
定した。試験条件（圧延寸法、ロール速度等）は表１に
示す。また調査結果であるマンドレルバー表面の軸方向
の中心線平均粗さＲa と摩擦係数との関係を図１に示
す。
【００３２】
【表１】
【００３３】図１から明らかなように、従来材では、軸
方向の中心線平均粗さＲa がどのどのような値であって
も、圧延中の摩擦係数が0.10〜0.12と高くなっている。
これに対し、本発明で規定する軸方向の中心線平均粗さ
が 1.0〜 4.0μm となるCrメッキ材では、圧延中の摩擦
係数が0.04〜0.06と著しく低下している。しかし、この
軸方向の中心線平均粗さの範囲を外れると、同じCrメッ
キ材であっても摩係数が高くなり、従来材と同等になっ
ている。
方向の中心線平均粗さＲa がどのどのような値であって
も、圧延中の摩擦係数が0.10〜0.12と高くなっている。
これに対し、本発明で規定する軸方向の中心線平均粗さ
が 1.0〜 4.0μm となるCrメッキ材では、圧延中の摩擦
係数が0.04〜0.06と著しく低下している。しかし、この
軸方向の中心線平均粗さの範囲を外れると、同じCrメッ
キ材であっても摩係数が高くなり、従来材と同等になっ
ている。
【００３４】試験後にそれぞれのマンドレルバーの表面
観察を行ったところ、軸方向の中心線平均粗さが 1.0〜
4.0μm となるCrメッキ材では焼き付きは発生していな
かったのに対し、それ以外のCrメッキ材ではミクロ的な
焼き付きが、また、従来材では目視で観察できる程度の
焼き付きがそれぞれ発生していた。
観察を行ったところ、軸方向の中心線平均粗さが 1.0〜
4.0μm となるCrメッキ材では焼き付きは発生していな
かったのに対し、それ以外のCrメッキ材ではミクロ的な
焼き付きが、また、従来材では目視で観察できる程度の
焼き付きがそれぞれ発生していた。
【００３５】（実施例２）材質がJIS SKD6で、外径が 1
34mm、長さ22ｍであるマンドレルバーの表面をベルト研
磨した後、Crメッキ皮膜を施した本発明例（軸方向の中
心線平均粗さが 2.8μm 、表面硬度が Hv900）とCrメッ
キ皮膜を施さない従来例( 軸方向の中心線平均粗さが
3.1μm 、表面硬度が Hv400）とを用いて、下記の被圧
延材のマンドレルミル圧延を行った。潤滑剤の条件は表
１と同様とした。
34mm、長さ22ｍであるマンドレルバーの表面をベルト研
磨した後、Crメッキ皮膜を施した本発明例（軸方向の中
心線平均粗さが 2.8μm 、表面硬度が Hv900）とCrメッ
キ皮膜を施さない従来例( 軸方向の中心線平均粗さが
3.1μm 、表面硬度が Hv400）とを用いて、下記の被圧
延材のマンドレルミル圧延を行った。潤滑剤の条件は表
１と同様とした。
【００３６】１．圧延素管（材質13Cr鋼） 寸法：外径 181mm、内径 146mm、長さ７ｍ ２．圧延後の管 寸法：外径 147mm、内径 134mm、長さ21ｍ マンドレルミル圧延の結果、従来例では、約30本の圧延
によりマンドレルバー表面に焼き付きが発生して使用不
能になったのに対し、本発明例では、 100本圧延後もマ
ンドレルバー表面には焼き付きは発生しておらず、更に
継続使用が可能であった。また、圧延された管の内面性
状は、従来例では筋疵が確認されたのに対し、本発明例
ではこのような疵の発生もなく、極めて良好であった。
によりマンドレルバー表面に焼き付きが発生して使用不
能になったのに対し、本発明例では、 100本圧延後もマ
ンドレルバー表面には焼き付きは発生しておらず、更に
継続使用が可能であった。また、圧延された管の内面性
状は、従来例では筋疵が確認されたのに対し、本発明例
ではこのような疵の発生もなく、極めて良好であった。
【００３７】
【発明の効果】本発明の圧延用マンドレルバーは、炭素
鋼管や低合金鋼管の圧延のみならず、13Cr鋼等からなる
高合金鋼管の圧延においても優れた摩耗特性と製管寿命
を発揮して、マンドレルミル圧延された継目無管の内面
品質の向上に多大な効果を奏する。
鋼管や低合金鋼管の圧延のみならず、13Cr鋼等からなる
高合金鋼管の圧延においても優れた摩耗特性と製管寿命
を発揮して、マンドレルミル圧延された継目無管の内面
品質の向上に多大な効果を奏する。
【図１】Crメッキ皮膜を施したマンドレルバーと従来の
マンドレルバーにおける軸方向の中心線平均粗さと圧延
中の摩擦係数との関係を示す図である。
マンドレルバーにおける軸方向の中心線平均粗さと圧延
中の摩擦係数との関係を示す図である。
Claims (1)
- 【請求項１】表面に、軸方向の中心線平均粗さ（Ｒa ）
が 1.0〜 4.0μm であるCrメッキ皮膜を有することを特
徴とする熱間継目無管圧延用マンドレルバー。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP21622094A JP2822892B2 (ja) | 1994-09-09 | 1994-09-09 | 熱間継目無管圧延用マンドレルバー |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP21622094A JP2822892B2 (ja) | 1994-09-09 | 1994-09-09 | 熱間継目無管圧延用マンドレルバー |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0871618A true JPH0871618A (ja) | 1996-03-19 |
| JP2822892B2 JP2822892B2 (ja) | 1998-11-11 |
Family
ID=16685165
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP21622094A Expired - Fee Related JP2822892B2 (ja) | 1994-09-09 | 1994-09-09 | 熱間継目無管圧延用マンドレルバー |
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| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2822892B2 (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2004108311A1 (ja) * | 2003-06-04 | 2004-12-16 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | 熱間継目無製管用Ｃｒめっきマンドレルバーおよびその製造方法 |
| JP2008302420A (ja) * | 2007-06-11 | 2008-12-18 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 熱間圧延用Ｃｒメッキマンドレルバーの使用方法 |
| WO2009119401A1 (ja) | 2008-03-28 | 2009-10-01 | 住友金属工業株式会社 | マンドレルバーのＣｒメッキ処理方法、およびマンドレルバー、並びにこれらを用いる継目無管の製造方法 |
| CN105848798A (zh) * | 2014-01-07 | 2016-08-10 | 瓦卢瑞克德国有限公司 | 无缝金属中空体生产中作为内部工具的轧制棒材和生产金属中空体的方法 |
-
1994
- 1994-09-09 JP JP21622094A patent/JP2822892B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (13)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| EP1637245A1 (en) * | 2003-06-04 | 2006-03-22 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Cr-PLATED MADNREL BAR FOR MANUFACTURING HOT SEAMLESS TUBE AND METHOD OF MANUFACTURING THE SAME |
| US7165431B2 (en) | 2003-06-04 | 2007-01-23 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Cr-plated mandrel bar for manufacturing hot seamless tube and method of manufacturing the same |
| EP1637245A4 (en) * | 2003-06-04 | 2007-04-18 | Sumitomo Metal Ind | CHROMED THORN FOR THE MANUFACTURE OF A HOT SEAMLESS TUBE AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF |
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| JP2008302420A (ja) * | 2007-06-11 | 2008-12-18 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 熱間圧延用Ｃｒメッキマンドレルバーの使用方法 |
| WO2008152747A1 (ja) * | 2007-06-11 | 2008-12-18 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | 熱間圧延用Ｃｒメッキマンドレルバーの使用方法 |
| US7661284B2 (en) | 2007-06-11 | 2010-02-16 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Application method of Cr-plated mandrel bar for hot rolling |
| WO2009119401A1 (ja) | 2008-03-28 | 2009-10-01 | 住友金属工業株式会社 | マンドレルバーのＣｒメッキ処理方法、およびマンドレルバー、並びにこれらを用いる継目無管の製造方法 |
| US7814771B2 (en) | 2008-03-28 | 2010-10-19 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Method for Cr-plating of mandrel bars, the mandrel bar, and process for producing seamless tubes using the method and the mandrel bar |
| CN105848798A (zh) * | 2014-01-07 | 2016-08-10 | 瓦卢瑞克德国有限公司 | 无缝金属中空体生产中作为内部工具的轧制棒材和生产金属中空体的方法 |
| CN105848798B (zh) * | 2014-01-07 | 2018-03-30 | 瓦卢瑞克德国有限公司 | 无缝金属中空体生产中作为内部工具的轧制棒材和生产金属中空体的方法 |
| US10239102B2 (en) | 2014-01-07 | 2019-03-26 | Vallourec Deutschland Gmbh | Rolling rod as an inner tool in the production of seamless metal hollow bodies and method for producing a metal hollow body |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2822892B2 (ja) | 1998-11-11 |
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