JP2003525760A - 眼鏡レンズの表面の作製方法、作製方法の実施に用いられる機械設備及び作製方法により得られた眼鏡レンズ - Google Patents
眼鏡レンズの表面の作製方法、作製方法の実施に用いられる機械設備及び作製方法により得られた眼鏡レンズInfo
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Abstract
Description
この作製方法の実施に用いられる機械設備及びかかる作製方法により得られた眼
鏡レンズに関する。 形成されるべき表面は、球形、トーリック形、非トーリック形又はより複雑な
形状の表面、例えば漸変表面の場合がある。ただし、本発明は、この種の表面に
は限定されない。 合格レベルの光学的品質を備えた眼鏡レンズの表面を単一の機械加工工程で作
製する非常に複雑精巧な機械が利用されている。これは、機械加工工具が送り速
度又は進み速度が非常に遅いこと、機械加工されるべき表面全体における工具の
オーバーラップピッチが非常に僅かであること、かかる表面上における機械加工
工具の位置決めが非常に正確であること、及び機械加工時間が非常に長いことを
意味している。
く、これらが原因となって眼鏡レンズの製造費が工業規模では受け入れないほど
高いものになっている。 したがって、本発明は、精度が低い機械を用いて所与の処方箋に従って眼鏡レ
ンズの表面を迅速に形成するが、良好な光学的品質のものであって、しかも見た
目の要件を満足させるレンズ表面が得られるようにする新規な方法を提案する。 より正確に説明すると、本発明の方法は、眼鏡レンズの表面を作製する方法で
あって、a)切削加工工具を達成されるべき表面エンベロープ中の連続経路に沿
って移動させ、材料を除去することにより表面を機械加工して0.01mm〜3mm
の一定ピッチを置いて位置する2つの隣り合う溝を形成し、それにより算術平均
粗さRaが0.1μm〜約0.7μmの表面を得る工程と、b)平滑化工具を達
成されるべき表面エンベロープ中に設けられていて、0.2mm〜3mmの一定ピッ
チを置いて位置する2つの隣り合うパスで形成された連続経路に沿って移動させ
、機械加工済み表面を平滑化して達成されるべき前記表面エンベロープに対応す
る低周波とバックグラウンド粗さに対応する高周波との間における前記表面の起
伏のバンドパスフィルタリングを生じさせ、それにより算術平均粗さRaが0.
1μm未満の平滑化表面を得る工程とを有する。
面が、好ましくは工程b)で得られる。 工程b)における平滑化工具の軌道及び工程a)における切削加工工具の軌道
は、有利には螺旋である。 本発明の方法は、一方の成形面を備えた半仕上げレンズを使用でき、他方の面
は、着用者の処方に適合する。 同様に、両方の球面が互いに平行であり、構成要素を利用することができ、こ
の場合、両方の表面は、本発明の方法で修正が施される。 工程b)の実施後、本発明の方法は有利には、ワニスの層を上記平滑化表面に
塗布してその表面上に研磨表面状態をもたらす工程c)を有する。
必要とする研磨作業に代えてこの後者の工程c)が用いられる。 工程c)において表面上に被着されたワニスの層の最小厚さは、約500Ra
〜約800Raであるのがよく、ここでRaは、工程b)で得られた表面粗さに
相当している。 工程c)において表面上に被着されたワニスの層の最小厚さは、約30Ra〜
約200Raであるのがよく、ここでRaは、工程b)で得られた表面粗さに相
当している。 本発明の方法により上記表面上に液体状態で被着されたワニスは好ましくは、
25℃において1,000MPa〜3,000MPaの粘度及び眼鏡レンズの屈
折率に等しい屈折率を有し、屈折率の許容誤差は±0.01以内である。 本発明によれば、工程a)の 機械加工方法は、フライス加工又は旋削である
のがよい。
0 CNC )機械を用いるのがよい。この種の機械は、欧州特許出願EP08490
38に記載されている。 本発明は又、上記方法を実施する機械設備であって、数値制御工作機械を含み
、数値制御工作機械は、垂直軸線に沿って並進運動できると共に垂直軸線の回り
に回転駆動されるようになったレンズ支持体と、水平軸線に沿って並進運動でき
ると共に垂直軸線に対して傾斜でき、しかも垂直軸線の回りに回転駆動されるフ
ライス加工工具と、水平軸線に沿って並進運動できると共に垂直軸線に対して傾
斜でき、しかも垂直軸線の回りに回転駆動される平滑化工具とを有し、支持体の
前進運動とフライス加工及び平滑化工具の各々の前進運動、即ち、支持体の並進
運動及び回転運動並びにフライス加工及び平滑化工具の各々の並進運動及び傾斜
運動は、数値制御ユニットによって制御され、フライス加工工具の回転速度及び
平滑化工具の回転速度は、数値制御ユニットによって制御され、前記機械設備は
、ワニスの層をレンズの平滑化表面に被着させる機械を更に含み、該機械は、回
転駆動可能なレンズ支持体と、支持体に対して垂直方向及び水平方向に並進運動
可能な低圧液状ワニス吹付けノズルを支持したアームとを有していることを特徴
とする機械設備を提供する。
取り付けられた環状の工具を有し、この工具は、平滑化されるべき表面の寸法と
比較して小さいが、除去されるべき欠陥と比較して比較的大きい寸法を有してい
る。 かかる工具は、以下の重なり合う構成要素、即ち、ショアAスケール硬さが3
0°〜80°の弾性変形可能なコアと、弾性度がコアの弾性度よりも小さな弾性
変形可能な表面層と、上記工具の作業面を形成する研磨剤を駆動する研磨フィル
ム又は支持体とを有する。 本発明の機械設備は有利には、ワニスの層をレンズの平滑化表面に被着させる
機械を更に含み、この機械は、回転駆動されるようになったレンズ支持体及び液
状ワニスを低圧で分布放出するノズルを備えていて、支持体に対して垂直方向及
び水平方向に並進運動するようになったアームを有する。 非限定的な例として与えられ、添付の図面を参照して行われる以下の説明は、
本発明をどのように構成するか及びどのように実施するかを説明している。
の2つの実施形態の流れ図である。 この方法は好ましくは、成形された前面又は後面を備えた半完成又は半仕上げ
レンズを用い、その他方の面は、この方法によって所要の光学的処方箋に適合し
ている。同様にして、レンズの両面を本発明の方法で良好に形成できる。 図3は、以下に説明する作製方法によって得られた眼鏡レンズLを示している
。 この場合、以下に説明する作製方法によって処方箋に合わせて作られた眼鏡レ
ンズLの表面S1 は、凹状後面S1 であり、凸状前面S2 は、成形によって
得られている。 本発明の作製方法は、フライス加工工具を表面エンベロープ内で連続軌道に沿
って動かして材料を除去することにより表面を機械加工し、それにより0.01
mm〜3mmの一定ピッチを置いて位置する2つの隣り合う溝2(図4a参照)を形
成して、算術平均粗さRaが約0.1μm〜約0.7μmの表面を得る第1の工
程a)を有している。
TS(Form Talysurf Series)プロフィルメータ/粗さ測定システムを用いると
有利である。 このシステムは、レーザヘッド(例えば、製品番号112/2033-308)及び半径が
2mmの球形/円錐形ヘッドを備えた長さが70mmのフィーラー(製品番号112/18
36)を有している。 このシステムは、選択した切断面の2次元プロフィールを測定する。この例で
は、プロフィールは、曲線Z=f(x)を得るよう10mmの距離にわたって得ら
れている。 種々の表面特性、特に、その形状、起伏及び粗さをこのプロフィールから導き
出すことができる。
法、即ち、形状抽出法と平均線抽出法に相当するフィルタリングとが施される。 この種のパラメータRaを求める種々の工程は次の通りであり、即ち、プロフ
ィール又は曲線Z=f(x)の取得工程、形状抽出工程、フィルタリング(平均
線抽出)工程及びパラメータRaの決定工程である。 プロフィール取得工程では、上述のシステムのスタイラス(又は、ペン)を問
題のレンズの表面上を移動させて移動量xの関数として表面のアティチュード(
sic)Zを記憶する。 形状抽出工程では、先の工程で得られたプロフィールを理想的な球、即ち、そ
れ自体に対して最小プロフィール差を備えた球に関連づける。ここで選択したモ
ードは、LSアークモード(最適円形アーク抽出)である。
が得られる。
例における目的は、起伏、即ち、粗さに起因した欠陥の波長よりも高い波長を持
つ形態の欠陥を排除することにある。ここでは、フィルタは、ガウスタイプのも
のであり、用いられるカットオフは、0.08mmである。 算術平均粗さRaは、以下の式を用いて得られる曲線から求められる。
する代数的差Zである。
照)であり、水平面XYへのその投影像は、一定ピッチの螺旋1である。 フライス加工工具についての回転方向を、これが「引いたり(プル)」又は「
押したり(プッシュ)」するようこの工程a)の実施中に選択できる。 ここでは、フライス加工工具は好ましくは、工程a)では「プル」回転方向を
有している。
mmであり、フライス加工工具の歯1個当たりの進み量は0.05mm〜0.03mm
である。 歯1個当たりの進み量は、フライス加工工具が、その2つの連続した歯による
切断相互間でレンズの表面上を動く距離に相当している。 図1及び図2に示すように、作製方法の工程a)は好ましくは、次の3つのサ
ブ工程に分けられる。 1)以下のパラメータ、即ち、フライス加工工具の軌道のピッチが3mm程度で
あり、フライス加工工具のパス深さが4mm程度であり、フライス加工工具の歯1
個当たりの進み量が、0.05mm程度である打抜き工程。 2)以下のパラメータ、即ち、フライス加工工具の軌道のピッチが、2mm程度
であり、フライス加工工具のパス深さが0.1mm程度であり、フライス加工工具
の歯1個当たりの進み量が0.04mm程度である半仕上げ工程。 3)以下のパラメータ、即ち、フライス加工工具の軌道のピッチが、1mm程度
であり、フライス加工工具のパス深さが0.05mm程度であり、フライス加工工
具の歯1個当たりの進み量が、0.03mm程度である半仕上げ工程。
旋のままであり、フライス加工工具の回転方向は上述したように「プル」方向で
ある。 打抜き工程中に機械加工されるべき表面から除かれる材料の量は、フライス加
工工具の最大容量によって一定化される。この容量が取り除かれるべき材料の厚
さよりも小さいと、多数回のパスの実行を考える必要がある。半仕上げ工程及び
仕上げ工程中に機械加工されるべきレンズの表面から取り除かれる材料の量は、
先の打抜き工程の実施中にフライス加工工具によって上記表面上に生じた欠陥で
決まる。
機械は、本発明の方法を実施する機械設備の一部をなす。これは、数値制御工作
機械であり、図6に矢印Zで示す垂直軸線Aに沿って並進運動させることができ
るレンズ支持体40を有している。同様に、支持体40を支持したシャフト10
0の長手方向軸線の回りに支持体40を回転させることができる(矢印R1 で
示すように)。ここでは、長手方向軸線は、垂直軸線である。さらに、この工作
機械は、矢印Xによって示す水平軸線に沿って並進運動させることができ、しか
も矢印Bによって図6に示すように垂直軸線に対して傾斜させることができるフ
ライス加工工具10を有している。フライス加工工具10を図6に矢印R2 で
示すように垂直軸線Aの回りに回転させることができる。支持体40及びフライ
ス加工工具10の前進運動、即ち、支持体40の並進運動Z及び回転運動R1
及びフライス加工工具の並進運動X及び傾斜運動Bは、上記数値制御ユニットに
よって同時に制御され、フライス加工工具10の回転速度R2 は、数値制御ユ
ニットによって制御される。
レンズ上に機械加工されるべき表面の設計をトレースすることができる(フライ
ス加工工具の各パスの深さにしたがって計算されたずれ量の影響を受ける)。 上述した種類の数値制御工作機械は、具体的には欧州特許EP0685298
に記載されており、かかる特許の開示内容を、この種の機械の構造の細部の理解
のために参照するのがよい。 工程a)で用いられる機械加工を行う工作機械のフライス加工工具10は、互
いに異なる幾何学的形状(球形、トーリック形等)をもたらし、種々の材料、例
えば、多結晶質ダイヤモンド又はカーバイドで作られている。 上記表面との干渉の問題又はパスの深さに関する問題が生じるのを無くすため
、フライス加工工具の丸みを形成されるべき表面S1 の曲率に一致させる必要
がある。
)の実施中、好ましくは水中油滴型エマルション(5%油)を用いてオーバーヒ
ートするのを防止するよう潤滑される。潤滑は、方向性があり、機械加工作業中
によって生じた削り屑を運び去り、フライス加工工具をきれいにするよう加圧さ
れると有利である。 機械加工工程a)の実施後、図4aに詳細に示す機械加工表面S1 は、フラ
イス加工工具によって形成された溝2を有し、2つの隣り合う溝には、フライス
加工工具の軌道のピッチであるピッチPだけ離隔している。一定間隔を置いた溝
には、機械加工表面上に起伏を生じさせている。機械加工表面S1 は、切削加
工工具(バイト)によって生じた粗さ(算術平均粗さRa)を有し、この粗さは
、ここでは、約0.1μm〜約0.7μmである。そのうえ、フライス加工工具
により、最大長さlが5μm程度の裂け目及び表面下の損傷Fが生じる。 図示の方法では、機械加工工程a)の次に、平滑化工程b)が実施され、それ
により、機械加工表面S1 上に生じた起伏を無くし、裂け目を減少させ、その
表面の粗さを0.1μm未満の粗さが得られるよう修正する。
ロープ内で、0.2mm〜3mmの一定ピッチを置いて互いにずれた2つの隣り合う
パスで構成される連続軌道に沿って移動させて表面エンベロープに対応する低周
波とバックグラウンド粗さに相当する高周波との間で上記表面の起伏のバンドパ
スフィルタリングを生じさせる。 平滑化工程b)の実施中の平滑化工具の軌道は、一定ピッチの螺旋である。 工程b)における平滑化工具の軌道の2つの隣り合うパス相互間のピッチは、
有利には0.40mm〜1.25mmであり、好ましくは、0.625mmである。 工程b)で得られる平滑化表面S1 は、図4bに示されており、好ましくは
、0.05μm〜0.07μmの粗さRaを有している。 平滑化工程b)は、図7に概略的に示された平滑化機械を用いて実施される。
と平行な垂直軸線Aの回りに回転駆動できるレンズ支持体40を有する数値制御
工作機械であり、この回転は、図7において符号Zmで示されている。この平滑
化機械は、シャフト13によって支持された平滑化工具10を更に有し、このシ
ャフトにより、平滑化工具を回転駆動することができる。工具10は、支持体の
垂直回転駆動軸線のAの回りに回転し、この回転は、図7において符号Bmで示
されている。平滑化工具10はまた、水平軸線Xmに沿って並進運動可能である
と共に回転駆動の中心となる垂直軸線に対して傾斜可能であり、この傾斜範囲は
、図7に符号Cmで示されている。
即ち、支持体40の並進運動及び回転運動並びに平滑化工具10の並進運動及び
傾斜運動は、平滑化機械の数値制御ユニットによって同時に制御され、平滑化工
具10の回転速度は、数値制御ユニットによって制御される。 ここでは、平滑化を行う工作機械もまた、欧州特許EP0685298に記載
された形式のものである。 軸線に沿う運動の速度は、機械加工されるべき表面上における平滑化工具10
の準一定の前進速度が得られるよう決定される。
12を有し、この工具12は、平滑化されるべき表面の寸法と比較して小さいが
、除去されるべき欠陥と比較して比較的大きい寸法を有している。 本発明の一実施形態では、工具12の内径D1は6mm〜10mmであり、外径D
2は10mm〜15mmである。内径D1は好ましくは、6mm程度であり、外径D2
は好ましくは、10mm程度である。 剛性支持体11は、シャフト13によって支持されている。この支持体11は
、シャフト13と反対側の横方向表面14、即ち、その自由表面に凹んで設けら
れた環状収納部15を有し、工具12は、この収納部の底部に取り付けられてい
る。工具12は、支持体11の環状収納部15の底部16に取り付けられている
。工具12は、支持体11を越えて、即ち、その自由表面14を越えて突き出て
いる。 底部16とは別に、剛性支持体11の環状収納部15は、工具の回転軸線Aと
同軸であって底部16に実質的に垂直な2つの同軸側面17,18によって構成
されている。
凹んだ状態で設けられている。 逃げ溝19は、側面17,18の中間領域に位置した状態で、これらの高さの
約半分にわたって延び、図示の実施形態では、その底部20は円筒形であり、平
滑化工具の回転軸線Aと同軸である。 さらに、図8に示す実施形態では、工具12は、円筒形側面21,22によっ
てそれ自体境界づけられており、かかる工具12は、支持体11の環状収納部1
5の底部16全体を覆っている。 工具の環状部分は、平滑化工具のシャフト13の回転駆動軸線Aと同軸である
。 図8に示す実施形態では、平滑化工具は、3つの互いに重なり合う部分12A
,12B,12Cを有している。 平滑化工作機械の工具12の第1の部分は、弾性変形可能なコア12Aである
。
要の変形性及びこれが使用中に耐えなければならない支承力に応じて選択される
。 弾性変形可能なコア12AのショアAスケール硬さは、例えば30°〜80°
、好ましくは40°〜70°であり、例えば40°である。 図8に示すように、弾性変形可能なコア12Aは、支持体11を越えて延び、
したがって、その自由表面14から突き出ている。 工具12は、弾性変形可能な層12Bを更に有し、この弾性は、コア12Aの
弾性よりも低い。 弾性変形可能なコア12Aの機能は、加工済みの光学表面の変形状態を吸収し
、システムがその光学表面に適合するようにすることにあり、表面層12Bの機
能は、所要の平滑度が得られるようシステムに必要とされる剛性を全て付与する
ことにある。 表面層12Bは、例えばポリウレタンで作られている。
又は支持体を更に有している。 研磨剤フィルム12Cは、粒度範囲が1μm〜45μm、好ましくは1μm〜
15μm、例えば6μmのダイヤモンド表面である。 例えば、工具12の3つの構成部品、即ち、弾性変形可能なコア12A、表面
層12B及び研磨剤フィルム12Cは、互いに接着され、工具12は、支持体1
1に接着されている。 図1及び図2に示す作製方法は有利には、平滑化工程b)の実施後、ワニスの
層Vを上記平滑化表面に塗布して表面S1 上に研磨表面状態をもたらす工程c
)を有する。 厚さが500Ra〜800Raのワニス層をこの工程の実施中上記平滑化表面
上に被着させ、ここでRaは、平滑化工程b)で得られた表面粗さに相当してい
る。
00Raであり、ここでRaは、本発明の方法の工程b)で得られた表面粗さに
相当している。 平滑化表面S1 上に液体状態で被着されたワニスは、25℃において1,0
00MPa〜3,000MPaの粘度を有している。 このワニスは、基材、即ち、眼鏡レンズの屈折率に等しい屈折率を更に有し、
許容誤差は±0.01以内である。 したがって、ワニス及びレンズは、単一のジオプターを構成している。 アクリル樹脂材料又はエポキシ樹脂材料をワニスとして使用することができる
。
トモノマー及び場合によっては(メタクリロキシシラン)アクリロキシシラン又
はエポキシ官能基を備えたモノマー、又はこれらの混合物を含む。 この組成は、少なくとも1つのポリアクリレートモノマー又はエポキシ官能基
を備えた少なくとも1つのモノマーを含む。この組成は、ジアクリレートモノマ
ーとトリアクリレートモノマーの混合物を含むのがよい。この場合、ジアクリレ
ートモノマーは好ましくは、脂肪族ウレタンジアクリレートポリエステルを含み
、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート及びペンタエリトリ
トールトリアクリレートから選択される。ジアクリレートとトリアクリレートの
重量比は有利には、50/50から40/60まで様々である。工程c)で用い
られる液状ワニス組成はさらに、モノアクリロキシシランとポリアクリレートの
混合物を含むのがよい。この場合、ポリアクリレートは、ジペンタエリトリトー
ルペンタアクリレートを含む。液状ワニス組成は、コロイドシリカ又はハロゲン
化及び好ましくは臭素含有エポキシアクリレートオリゴマー及び場合によっては
、ハロゲン化エポキシアクリレートの屈折率よりも少なくとも0.1低い屈折率
を持つアクリレートモノマーを更に含む。
線X2 の回りの方向Rに回転駆動できるレンズ支持体1001及び液状ワニス
を低圧で分布するノズル1002を備えていて、支持体1001に対して軸線X 1 (水平方向)及びY1 (垂直方向)に沿って並進運動できるアーム1003
を有することを示している。 ワニスをこの機械により3つの別々の方法で表面上に被着させることができる
。 ワニスの全量をレンズを停止させた状態で表面S1 の中心のところに被着さ
せるのがよい。この場合、ノズル1002は、支持体1001の回転軸線X2
と同軸である。
広げる。 これは、図1に示す方法に相当している。 ワニスは、ゆっくりとした遠心作用で広げられ、レンズの回転加速度、回転速
度及び回転持続時間は、ワニスを最大限度保存するよう制御される。 例えば、ワニス広げ操作を、レンズを10秒間で500rpmで回転させるこ
とにより行うのがよい。 第2の半動的実施形態では、ノズルは、支持体1001の軸線X2 と同軸の
状態で固定位置に保持され、被着は、レンズが回転駆動されている間に行われる
。
と、アーム1003をレンズの中心から縁に向かって移動させること又はアーム
1003を軸線X1 に沿って並進運動させることによりレンズの縁から中心に
移動させることの組合せによりワニスの層を被着させることができる。 これは、レンズ上へのワニスの動的被着法に相当しており、これは、高トーリ
ック構成部品を備えた表面を被覆する上で有利な場合がある。 次に、レンズを約1,000rpmに等しい速度で回転させることによりワニ
スを上記表面上で引く。ワニス引き工程の持続時間は、50秒程度である。 気
泡のないワニスの被着物を得るためにはワニス分配ノズルの圧力は低く、0.7
×105 Pa程度である。 ワニスの落下高さは、アーム1003を軸線Y1 に沿って動かすことによっ
て設定できるが、レンズ上へのワニスの被着中一定のままであるパラメータであ
る。 ワニスの層が図1及び図2に示す方法を用いてレンズ上に被着させた時、これ
が静的被着法であるか、半動的被着法であるか、或いは動的被着法であるかどう
かを問わず、ワニスは、室温(25℃〜30℃)で2分間〜3分間の間、そのま
まの状態に放置される。ワニスが室温でそのまま放置される時間は、研磨の品質
を向上させる。
は紫外線を用いて光重合させることによって達成すると有利である。この重合モ
ードは、熱利用モードよりも迅速であり、室温で実施することができる。このた
めには、ワニスは光重合可能であることが必要である。 上述したような方法を用いると、平滑化された凹面S1 がこの上に研磨表面
状態をもたらすワニス層Vで被覆された図3で示すようなレンズLが得られる。
ワニスの厚さは例えば約40μmである。工程a)の実施後、レンズの表面粗さ
Raは、0.18μm程度であった。 工程b)の実施後、表面粗さRaは、0.06μm程度である。 被着したワニスの厚さはしたがって、この例では、約670Raである。 この例では、レンズは、熱硬化性材料で作られ、より正確にいえば、屈折率が
1.50程度、好ましくは1.502のアリルジエチレングリコールポリカーボ
ネートで作られている。
ある。図3に示すレンズの凸面S2 は、成形により直接形成される。 一般的にいえば、レンズは、1.55以下の屈折率を持つのがよく、これを得
るために、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)を主成分とする組
成物を重合させるのがよい。 レンズはまた、屈折率が1.55以上、約1.590程度であるのがよく、こ
の場合、かかるレンズは、ビスフェノールAポリカーボネートを主成分とするポ
リマーから成る。 本発明は、上述の実施形態には限定されず、当業者であれば、本発明の範囲内
においてその変形例をどのようにすれば想到できるかを知っているであろう。
細図である。
細図である。
影斜視図である。
Claims (36)
- 【請求項1】 眼鏡レンズの表面を作製する方法であって、a)切削加工工
具を達成されるべき表面エンベロープ中の連続経路に沿って移動させ、材料を除
去することにより表面を機械加工して0.01mm〜3mmの一定ピッチを置いて位
置する2つの隣り合う溝を形成し、それにより算術平均粗さRaが0.1μm〜
約0.7μmの表面を得る工程と、b)平滑化工具を達成されるべき表面エンベ
ロープ中に設けられていて、0.2mm〜3mmの一定ピッチを置いて位置する2つ
の隣り合うパスで形成された連続経路に沿って移動させ、機械加工済み表面を平
滑化して達成されるべき前記表面エンベロープに対応する低周波とバックグラウ
ンド粗さに対応する高周波との間における前記表面の起伏のバンドパスフィルタ
リングを生じさせ、それにより算術平均粗さRaが0.1μm未満の平滑化表面
を得る工程とを有することを特徴とする方法。 - 【請求項2】 0.05μm〜0.07μmの粗さRaを有する平滑化表面
が、工程b)で得られることを特徴とする請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 工程b)における平滑化工具の軌道の2つの隣り合うパス相
互間のピッチは、0.40mm〜1.25mmであることを特徴とする請求項1記載
の方法。 - 【請求項4】 工程b)における平滑化工具の軌道の2つの隣り合うパス相
互間のピッチは、0.625mmであることを特徴とする請求項1〜3のうち何れ
か一に記載の方法。 - 【請求項5】 工程b)における平滑化工具の軌道は、螺旋であることを特
徴とする請求項1〜4のうち何れか一に記載の方法。 - 【請求項6】 工程a)における切削加工工具の軌道は、螺旋であることを
特徴とする請求項1〜5のうち何れか一に記載の方法。 - 【請求項7】 工程a)における切削加工工具は、フライス加工工具である
ことを特徴とする請求項1〜6のうち何れか一に記載の方法。 - 【請求項8】 工程a)におけるフライス加工工具は、「プル(pull)」回
転方向を有していることを特徴とする請求項7記載の方法。 - 【請求項9】 フライス加工工具のパス深さは、約4mm〜約0.05mmであ
ることを特徴とする請求項7又は8記載の方法。 - 【請求項10】 フライス加工工具の歯1個当たりの進み量は、0.05mm
〜0.03mmであることを特徴とする請求項7〜9のうち何れか一に記載の方法
。 - 【請求項11】 工程a)は、次の3つのサブ工程、即ち、1)以下のパラ
メータ、即ち、フライス加工工具の軌道のピッチが3mm程度であり、フライス加
工工具のパス深さが4mm程度であり、フライス加工工具の歯1個当たりの進み量
が、0.05mm程度である打抜き工程、2)以下のパラメータ、即ち、フライス
加工工具の軌道のピッチが、2mm程度であり、フライス加工工具のパス深さが0
.1mm程度であり、フライス加工工具の歯1個当たりの進み量が0.04mm程度
である半仕上げ工程、3)以下のパラメータ、即ち、フライス加工工具の軌道の
ピッチが、1mm程度であり、フライス加工工具のパス深さが0.05mm程度であ
り、フライス加工工具の歯1個当たりの進み量が、0.03mm程度である半仕上
げ工程に分けられていることを特徴とする請求項7〜10のうち何れか一に記載
の方法。 - 【請求項12】 工程b)の実施後、ワニスの層を前記平滑化表面に塗布し
て前記表面S1 上に研磨表面状態をもたらす工程c)を有していることを特徴
とする請求項1〜11のうち何れか一に記載の方法。 - 【請求項13】 工程c)において表面上に被着されたワニスの層の最小厚
さは、約30Ra〜約200Raであり、ここでRaは、工程b)で得られた表
面粗さに相当していることを特徴とする請求項12記載の方法。 - 【請求項14】 工程c)において表面上に被着されたワニスの層の最小厚
さは、約500Ra〜約800Raであり、ここでRaは、工程b)で得られた
表面粗さに相当していることを特徴とする請求項12記載の方法。 - 【請求項15】 前記表面上に液体状態で被着されたワニスは、25℃にお
いて1,000MPa〜3,000MPaの粘度を有していることを特徴とする
請求項12〜14のうち何れか一に記載の方法。 - 【請求項16】 工程c)で平滑化表面上に被着されたワニスは、眼鏡レン
ズの屈折率に等しい屈折率を有し、その許容誤差は±0.01以内であることを
特徴とする請求項12〜15のうち何れか一に記載の方法。 - 【請求項17】 工程c)で用いられる液状ワニス組成は、ポリアクリレー
ト又はポリメタクリレートモノマー及び場合によっては(メタクリロキシシラン
)アクリロキシシラン又はエポキシ官能基を備えたモノマー、又はこれらの混合
物を含んでいることを特徴とする請求項14〜16のうち何れか一に記載の方法
。 - 【請求項18】 工程c)における液状ワニス組成は、少なくとも1つのポ
リアクリレートモノマー又はエポキシ官能基を備えた少なくとも1つのモノマー
を含んでいることを特徴とする請求項14〜17のうち何れか一に記載の方法。 - 【請求項19】 液状ワニス組成は、ジアクリレートモノマーとトリアクリ
レートモノマーの混合物を含んでいることを特徴とする請求項18記載の方法。 - 【請求項20】 ジアクリレートモノマーは好ましくは、脂肪族ウレタンジ
アクリレートポリエステルを含んでいることを特徴とする請求項19記載の方法
。 - 【請求項21】 トリアクリレートモノマーは、トリメチロールプロパンエ
トキシレートトリアクリレート及びペンタエリトリトールトリアクリレートから
選択されることを特徴とする請求項19記載の方法。 - 【請求項22】 ジアクリレートとトリアクリレートの重量比は、50/5
0から40/60まで様々であることを特徴とする請求項19記載の方法。 - 【請求項23】 工程c)で用いられる液状ワニス組成は、モノアクリロキ
シシランとポリアクリレートの混合物を含んでいることを特徴とする請求項14
〜18のうち何れか一に記載の方法。 - 【請求項24】 ポリアクリレートは、ジペンタエリトリトールペンタアク
リレートを含んでいることを特徴とする請求項23記載の方法。 - 【請求項25】 液状ワニス組成は、コロイドシリカを更に含んでいること
を特徴とする請求項23記載の方法。 - 【請求項26】 液状ワニス組成は、ハロゲン化、好ましくは臭素含有エポ
キシアクリレートオリゴマーを含んでいることを特徴とする請求項14〜17の
うち何れか一に記載の方法。 - 【請求項27】 液状ワニス組成は、ハロゲン化エポキシアクリレートの屈
折率よりも少なくとも0.1低い屈折率を持つアクリレートモノマーを更に含ん
でいることを特徴とする請求項26記載の方法。 - 【請求項28】 請求項12〜27のうち何れか一に記載の方法を実施する
機械設備であって、数値制御工作機械を含み、数値制御工作機械は、垂直軸線(
Z,Ym)に沿って並進運動できると共に垂直軸線(A)の回りに回転駆動され
るようになったレンズ支持体(40)と、水平軸線に沿って並進運動できると共に
垂直軸線に対して傾斜でき、しかも垂直軸線の回りに回転駆動されるフライス加
工工具(10)と、水平軸線(Xm)に沿って並進運動できると共に垂直軸線(A
)に対して傾斜でき、しかも垂直軸線(A)の回りに回転駆動される平滑化工具
(10)とを有し、支持体(40)の前進運動とフライス加工及び平滑化工具(10)
の各々の前進運動、即ち、支持体(40)の並進運動(Z,Ym)及び回転運動(
R1 ,Zm)並びにフライス加工及び平滑化工具(10)の各々の並進運動(X
;Xm)及び傾斜運動(B;Cm)は、数値制御ユニットによって制御され、フ
ライス加工工具(10)の回転速度(R2 )及び平滑化工具(10)の回転速度(
Bm)は、数値制御ユニットによって制御され、前記機械設備は、ワニスの層を
レンズの平滑化表面に被着させる機械を更に含み、該機械は、回転駆動可能なレ
ンズ支持体(1001)と、支持体に対して垂直方向及び水平方向に並進運動可能な
低圧液状ワニス吹付けノズル(1002)を支持したアーム(1003)とを有している
ことを特徴とする機械設備。 - 【請求項29】 一方の成形面を備えた眼鏡レンズであって、請求項1〜2
7のうち何れか一に記載の方法により形成された別の面を有していることを特徴
とする眼鏡レンズ。 - 【請求項30】 両面が請求項1〜27のうち何れか一に記載の方法により
形成されていることを特徴とする眼鏡レンズ。 - 【請求項31】 屈折率が1.55以下であることを特徴とする請求項29
又は30記載の眼鏡レンズ。 - 【請求項32】 屈折率が1.50程度であることを特徴とする請求項31
記載の眼鏡レンズ。 - 【請求項33】 ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)を主成
分とする組成物を重合させることにより得られていることを特徴とする請求項3
2記載の眼鏡レンズ。 - 【請求項34】 屈折率が1.55よりも大きいことを特徴とする請求項2
9又は30記載の眼鏡レンズ。 - 【請求項35】 屈折率が1.590程度であることを特徴とする請求項3
4記載の眼鏡レンズ。 - 【請求項36】 眼鏡レンズは、ビスフェノールAポリカーボネートを主成
分とするポリマーから成ることを特徴とする請求項34又は35記載の眼鏡レン
ズ。
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