JP3426132B2 - 非軸対称非球面の加工方法 - Google Patents
非軸対称非球面の加工方法Info
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Description
いて工作物を切削加工することによってメガネレンズ等
の非軸対称非球面を加工する加工方法に関する。
は,種々の種類の光学レンズが組み込まれている。光学
レンズは一般に軸対称非球面をしており,ガラスの表面
を成形又は加工し,仕上げとして研磨装置で研磨して製
作される。軸対称非球面を製作するための研磨装置とし
ては,従来から種々のものが開発されている。例えば,
「非球面創成研磨に関する研究」(鈴木浩文他2名,精
密工学会誌,1993年10月,第131〜136頁)
という論文に記載された,微小な回転工具を有する研磨
ヘッドを備えた5軸駆動の研磨装置がある。該研磨装置
は,工具として微小な球状のポリウレタン工具を用い,
工具回転軸を加工面上の加工点における法線方向に対し
て常に一定の角度を保つように配置し,定圧制御機構を
付加することにより単一加工痕形状が得られるように構
成したものである。上記研磨装置は,面粗度を向上する
ための装置であり,仕上げ加工に向くという利点がある
ものの,加工物の形状を創成することは不可能である。
しかも,工作物の回転速度が最大数十rpmであり,研
磨速度が遅いという問題がある。
境目のない遠近両用メガネで知られている累積焦点メガ
ネレンズ等のような非軸対称非球面を製作するための装
置や方法についても,従来から種々のものが開発されて
きた。例えば,非軸対称非球面を研磨して製作する方法
として,特開平8−192348号公報に開示された研
削研磨方法が知られている。該研削研磨方法は,位置が
固定された工作物を,X軸,Y軸及びZ軸の方向の位置
を制御することによって位置制御がなされる砥石を回転
させて研削する第1の工程と,第1の工程を終えた前記
工作物を,研磨剤としてダイヤモンドペーストを使用
し,前記砥石と略同サイズとされ且つ前記位置制御と同
様に位置制御されるポリッシャを回転させて研磨する第
2の工程と,第2の工程を終えた前記工作物を,前記砥
石と同サイズとされ且つ前記位置制御と同様に位置制御
される電極と共に,微細砥粒を分散,帯電させたコロイ
ド溶液中に浸し,前記電極を回転させ,前記電極の周辺
に形成される前記微細砥粒の凝集層を前記工作物に接触
させて研磨する第3の工程とからなるものである。
般には,例えば,非球面研削機のような砥石スピンドル
を有する小型マシニングセンターが使用されている。非
球面研削機17は,図8に示すように,ガラス又はプラ
スチック製の工作物18を把持する主軸台19を搭載し
たX軸テーブル20と,砥石や切削工具(例えば,フラ
イカッター)等の刃物21が回転可能に取り付けられる
砥石スピンドル25及びコラム22を搭載したZ軸テー
ブル24とを有するものである。ここで,工作物18は
主軸台19の主軸23(C軸)回りに回転し,X軸テー
ブル20は主軸23と直交する方向即ちX軸方向に移動
可能であり,Z軸テーブル24は主軸23の軸方向即ち
Z軸方向に移動可能であり,刃物21は砥石スピンドル
25の上下方向の軸即ちY軸の回りに回転する。
は,次のような方法で非軸対称非球面形状に加工され
る。刃物としての砥石21は,Y軸方向への移動が停止
され,Y軸回りに回転させられる。NC制御によりC軸
の回転即ち工作物18の回転に同期させてZ軸テーブル
24をZ軸方向に往復運動させながら,砥石21で工作
物18の端面を研削加工する。また,工作物18の回転
に同期させてX軸テーブル20をX軸方向に往復運動さ
せながら,X軸テーブル20及びZ軸テーブル24の往
復運動ストロークを徐々に小さくして,工作物18の外
径側から中心に向かって加工する。
8号公報に記載された研削研磨方法及び上記の非球面研
削機17を使用した研削方法は,いずれにしても,研磨
による方法であるから,加工速度が遅く,加工に長時間
を要するという問題がある。特に,非球面研削機17
は,砥石スピンドル25及びコラム22を搭載したZ軸
テーブル24の重量が大きいので,工作物18の回転に
同期させてZ軸テーブル24をZ軸方向に往復運動させ
る際に,Z軸テーブル24は慣性力が大きすぎて迅速に
応答することができず,追従遅れを生じる。このため,
サーボゲインを大きくして対応しているが,工作物18
の回転軸である主軸23の回転速度を大きくすることに
は限界があり,最大でも100rpmが限度であるか
ら,加工速度を上げることができず,結果として加工時
間が長くなってしまうという問題があった。
24の追従遅れのために,3μm程度の象限突起が発生
することがあり,工作物18を非軸対称非球面形状に加
工するには加工精度が必ずしも十分とはいえなかった。
ここで,象限突起とは,象限の切り換わり目において送
りモータが反転するとき,摩擦,機械のガタ,ロストモ
ーション等により工具先端が指令値どおりに追従でき
ず,その遅れ時間により形状誤差を生ずる現象をいう。
動を可能にしたNC加工機として,従来,NCリード加
工機が知られている(特開平2−180503号公報,
特開平3−73202号公報参照)。該NCリード加工
機は,VTR用シリンダにテープ走行時のガイドとなる
リード形状等のリード加工を高速で行うために,専用機
として開発されたものである。
開示されたNCリード加工機26は,図9及び図10に
示すように,主軸27を回転させるスピンドルモータ2
8を組み込んだ主軸台29,主軸27の長手方向である
Z軸方向に移動可能なZ軸テーブル30,Z軸方向に直
交するX軸方向にZ軸テーブル30上を移動可能であっ
て且つ主軸台29を載置したX軸テーブル31,主軸2
7の先端に設けられたチャックであるクランプ32,ク
ランプ32に保持される工作物33と対向する位置に設
置したテーブル34,テーブル34に取り付けられた刃
物台装置としてのターナ35から構成されており,ター
ナ35は,テーブル34に取り付けたサーボモータ3
6,サーボモータ36の駆動軸と一体構造の回転軸37
に形成した雄ねじ(図示せず),前記雄ねじに螺合し且
つ回転軸37の回転運動に応じて往復運動可能なナット
部材(図示せず),前記ナット部材に固定され且つ一端
にバイト38を取り付けたスライド39,及びテーブル
34に取り付けたスライドベース40にスライド39を
Z軸方向に移動可能に支持する軸受(図示せず)から構
成されている。
取り付けられたバイト38が主軸台29に保持された工
作物33の回転角度に対応して一定ストロークで往復運
動を繰り返すようにプログラムされ,リード加工専用機
として使用するように構成されたものである。リード加
工を行う際には,X軸テーブル31の移動を固定し,主
軸27に保持される工作物33のサーボモータ28によ
る回転に正比例して,テーブル34に取り付けられたZ
軸移動用サーボモータ36を作動させている。具体的に
は,工作物33が一回転する毎に,Z軸移動用サーボモ
ータ36は前進移動と後退移動を一定ストロークで一度
行っており,リニア往復運動と同時に,Z軸テーブル3
0は,工作物33が一回転する毎に(即ち,リードが1
本切削される毎に),図11に示すように,工作物33
側へ数拾μmの切込みで距離pずつ移動し,最終端に達
するまでの長さ(工作物33の外周面に成形されるリー
ド部の長手方向の量即ち長さL)まで微動移動を繰り返
すことになる。NCリード加工機26は,ターナ35が
軽量であるがゆえに,工作物33を1000rpmの回
転速度で高速回転させながら工作物33にリード加工を
施すことができるものである。
に非軸対称非球面を製作するためには,従来から一般
に,砥石で研磨する方法が採られてきた。通常のNC加
工機では,テーブルの慣性力が大きいためにテーブルが
高速で追従できないという理由から,工作物の回転速度
も低くなり,バイトで工作物を切削して非軸対称非球面
を製作することは困難であると考えられてきた。
時間を要するという問題があることから,工作物を非軸
対称非球面に短時間で加工することが求められていた。
そこで,本願発明は,工作物の端面を非軸対称非球面に
短時間で切削加工によって製作できるようにしたもので
ある。
課題を解決することであり,NCリード加工機が有する
慣性力の小さい高速往復運動性能に着目し,NCリード
加工機を利用してレンズ等の工作物に対して非軸対称非
球面に精度よく切削加工するものであり,従来からリー
ド加工のための専用機として使用されてきたNCリード
加工機を応用して,累積焦点メガネレンズ等のような非
軸対称非球面を精度よく短時間で高速で切削加工するこ
とができる非軸対称非球面の加工方法を提供することで
ある。
み込んだ主軸台,前記主軸台を載置し且つ前記主軸の長
手方向であるZ軸方向に移動可能なZ軸テーブル,前記
主軸の先端に保持される工作物と対向する位置に設置さ
れ且つ前記Z軸方向に直交するX軸方向に移動可能なX
軸テーブル,及び前記X軸テーブルに載置されたターナ
を備え,前記ターナは一端にバイトを取り付けるスライ
ドと前記スライドを前記Z軸方向に往復運動させる駆動
装置とからなるNC加工機を用いて前記工作物に加工を
行なう加工方法において,前記Z軸テーブルの動きを停
止し,前記工作物の回転と同期して前記スライドを前記
Z軸方向に往復運動させると共に前記X軸テーブルを前
記X軸方向に往復運動させつつ前記ターナの前記スライ
ドに取り付けた前記バイトによって円を描く軌跡で前記
工作物の端面を切削加工する第一工程と,前記第一工程
に続いて前記バイトが切削加工するべき前記工作物の前
記端面に位置するように前記工作物の回転と同期して前
記X軸テーブルを前記X軸方向に微小距離だけ移動させ
る第二工程とから成り,前記第一工程と前記第二工程と
を繰り返しながら前記工作物の前記端面を前記バイトに
よって同心円状に非軸対称非球面に切削加工することを
特徴とする非軸対称非球面の加工方法に関する。
いて,前記スライド及び前記X軸テーブルは前記往復運
動のストロークを徐々に小さくしつつ,前記バイトを前
記工作物の外側から中心に向かって移動させて前記工作
物の前記端面を前記バイトによって同心円状に非軸対称
非球面に切削加工するものである。
いて,前記ターナの前記駆動装置は前記X軸テーブルに
取り付けられたサーボモータと前記スライドを前記Z軸
方向に移動可能に支持する軸受を備えており,前記スラ
イドは前記サーボモータの駆動軸と一体構造の回転軸に
形成した雄ねじに螺合するナット部材に固定され且つ前
記回転軸の回転運動に応じて往復運動するものである。
リード加工のための専用機であったNCリード加工機を
応用して非軸対称非球面を創成する加工方法であり,N
Cリード加工機が持つZ軸方向の慣性力の小さい高速往
復運動性能を維持しつつ,非軸対称非球面の切削加工に
適合するようにNCリード加工機の構成を一部変更し,
その構成変更したNC加工機によって,工作物の端面を
非軸対称非球面にバイトで高精度に且つ迅速に切削加工
するものである。即ち,NCリード加工機において,主
軸台を載置したX軸テーブルに代えて,主軸台よりも軽
量のターナを載置したX軸テーブルを採用することによ
り,X軸方向の慣性力をNCリード加工機よりも小さく
して,工作物の端面をバイトによって非軸対称非球面に
切削加工できるように対応したものである。
するため,このNC加工機は,切削加工しようとする非
軸対称非球面の数値データを予め記憶装置に記憶してお
り,その数値データに基づいてNC制御装置の働きで工
作物に切削加工が施される。工作物の端面を非軸対称非
球面に切削加工の際には,主軸台を載置したZ軸テーブ
ルは移動しないように固定される。主軸台のクランプに
は工作物が取り付けられ,工作物はスピンドルモータに
よって主軸回り(C軸回り)に回転する。一方,バイト
を保持したスライドはNC制御装置によってZ軸方向に
往復運動する。また,スライドを載置したX軸テーブル
はX軸方向に往復運動する。スライド及びX軸テーブル
の往復運動は工作物の回転に同期して行われると共に,
スライド及びX軸テーブルは互いに同期して往復運動す
る。
に応じて曲率が大,小,大,小のように変化しているも
のを想定する。この種の非軸対称非球面を加工する場合
について説明する。工作物は一回転する間に曲率が,例
えば,90度毎に変化する場合,バイトの中心は曲率の
変化に応じてX軸方向に微小距離だけ移動すると同時に
Z軸方向にも微小距離だけ移動する。即ち,バイトの中
心は,X軸方向に微小距離△lだけ移動すると同時に,
Z軸方向に微小距離△hだけ移動すると曲率が大きくな
り,また,X軸方向に微小距離−△lだけ移動すると同
時に,Z軸方向に微小距離−△hだけ移動すると曲率が
小さくなる。このようにして,工作物が一回転する間
に,スライドはZ軸方向に往復運動し,かつX軸テーブ
ルはX軸方向に往復運動する。そして,工作物が一回転
する毎にX軸テーブルを中心に向かって微小距離△rず
つ移動させながら,バイトによって工作物の端面の切削
加工を続けることにより,工作物の端面がバイトによっ
て非軸対称非球面に切削加工される。
による非軸対称非球面の加工方法の実施例を説明する。
まず,図1,図2及び図3を参照して,この発明による
非軸対称非球面の加工方法を実施する際に用いられるN
C加工機について説明する。図1はこの発明による非軸
対称非球面の加工方法に使用されるNC加工機を示す概
略図,図2は図1に示すNC加工機の側面図,及び図3
は図1に示すNC加工機の平面図である。
を達成できるNC加工機1は,主軸Cの長手方向である
Z軸方向に移動可能なZ軸テーブル3と,Z軸方向に直
交するX軸方向に移動可能なX軸テーブル4とがベース
2に並べて載置されたものである。Z軸テーブル3には
主軸台5が載置され,Z軸テーブル3はベース2に取り
付けられたサーボモータ6によって駆動され,Z軸方向
に往復運動することができる。また,主軸台5には主軸
Cを回転させるモータ,特に,スピンドルモータ7が組
み込まれている。主軸Cの先端にはチャック8が設けら
れており,チャック8には工作物9が保持される。
る位置に設置され,サーボモータ10によって駆動さ
れ,X軸方向に移動可能である。また,X軸テーブル4
にはターナ11が載置されている。ターナ11は,Z軸
方向に往復運動し得るスライド12と,スライド12を
駆動する駆動装置とからなるものである。スライド12
は先端部にバイトホルダ16を有しており,バイトホル
ダ16にはバイト15が取り付けられる。また,駆動装
置は,X軸テーブル4に取り付けられたスライドベース
13上に載置されたサーボモータ14と,スライド12
をZ軸方向に移動可能に支持する軸受(図示せず)を備
えている。スライド12は,サーボモータ14の駆動軸
と一体構造の回転軸に形成した雄ねじ(図示せず)に螺
合するナット部材(図示せず)に固定されており,回転
軸の回転運動に応じて往復運動することができる。
工する際には,主軸台5を載置したZ軸テーブル3は動
かないように固定される。また,工作物9は主軸台5の
主軸(C軸)の先端に設けられたチャック8によって保
持され,スピンドルモータ7によってC軸回りに500
rpmの回転速度で高速回転する。工作物9としては,
プラスチック材や非金属が好適である。一方,スライド
12の先端に取り付けられたバイト15は,スライド1
2の往復運動に伴ってZ軸方向に往復運動すると共に,
X軸テーブル4と一緒にX軸方向にも往復運動する。
ーナ11を載置したX軸テーブル4の重量がそれぞれ,
例えば,図8に示したような従来の非球面研削機17の
Z軸テーブル24の重量や主軸台19を載置したX軸テ
ーブル20の重量に比べてかなり小さいので,慣性力も
小さくなり,高速往復運動が可能となる。即ち,Z軸方
向についてみると,図8の非球面研削機17では,Z軸
テーブル24とコラム22と砥石スピンドル25をZ軸
方向に往復運動させなければならず,総重量が大きいの
に対して,この発明による非軸対称非球面の加工方法が
適用されるNC加工機1ではスライド12を往復運動さ
せるだけであるから重量が非常に小さくなる。また,X
軸方向についてみると,非球面研削機17では主軸台1
9とX軸テーブル20を往復運動させるのに対して,N
C加工機1ではターナ11とX軸テーブル4を往復運動
させる。しかし,ターナ11の方が主軸台19に比べて
約半分の重量であるから,NC加工機1の方が慣性力も
小さく,高速化が可能になる。この実施例では,NC加
工機1の実数回転数は500rpmであるが,X軸方向
の慣性力をもっと小さくすることができれば,更に実用
回転数を増加させることができる。
の距離即ち半径rと基準線から測った角度θとで規定す
るポイントにおける工作物の厚さhで与えられる。即
ち,(r,θ,h)で数値データが記憶装置に記憶され
ている。例えば,工作物の半径を50mmとした場合,
中心からの距離rを0.2mmピッチでとり,360度
を360分割して1度ずつ角度θをとる。従って,この
場合には,9万ポイントの数値データが記憶される。こ
のようにデータ長が長いため,このNC加工機において
は,データをパソコンからNC制御装置が直接受け取っ
て加工するDNC運転が行われる。また,これらのポイ
ントとポイントとの間のデータは,円弧補間,直線補間
等の補間法によって演算される。
ータに基づいて主軸駆動用のサーボモータ7及びスライ
ド12駆動用のサーボモータ14を制御することにより
行われるが,刻々変化する主軸の回転角は高分解能のロ
ータリエンコーダ(図示せず)によって連続的に検出さ
れ,スライド12の往復運動によるバイト15の刻々変
わる実際の移動量は,サーボモータ14に設けられたパ
ルスコーダ(図示せず)により連続的に検出され,移動
量の検出値はNC制御装置の記憶情報と比較され,比較
情報に基づいてサーボモータ7及びサーボモータ14は
制御される。また,X軸テーブル4の位置もパルスコー
ダ(図示せず)によって検出され,X軸テーブル4の駆
動用のサーボモータ10がNC制御される。
工方法について説明する。まず,ラグビーボール形状を
加工する例について説明する。ラグビーボール形状を半
割にして正面から見た図が図4(A)である。このラグ
ビーボール形状は,X軸断面を上から見ると,即ちY方
向から見ると,図4(B)のようになり,また,Y軸断
面を横から見ると,即ちX方向から見ると,図4(C)
のようになり,X方向の曲率とY方向の曲率が異なる楕
円形状である。また,ラグビーボール形状の中心から最
外周までの高さは,外周が楕円の場合には同じ高さHで
ある。
した工作物9を想定すると,素材の外周は円形であり,
工作物9を同心円状に加工する。工作物9の外周が円形
で且つ上記のようなX方向の曲率とY方向の曲率が異な
る形状を図4と同様にして表すと,図5のようになる。
即ち,工作物9の形状を正面から見た図が図5(A)で
ある。工作物9の形状は,X軸断面を上から見ると,即
ちY方向から見ると,図5(B)のようになり,また,
Y軸断面を横から見ると,即ちX方向から見ると,図5
(C)のようになり,X方向の曲率とY方向の曲率が異
なる楕円形状である。また,工作物9の中心から最外周
までの高さは,外周が円の場合,違う高さH1 ,H2 と
なる。
に重ねて画くと,図5(B)の断面形状は図6の実線で
画いた断面形状に,図5(C)の断面形状は図6の破線
で画いた断面形状になる。ここで,実線で画いたO1 を
中心とする円及び破線で画いたO2 を中心とする円は,
それぞれダイヤモンドバイト15の先端部の形状を示し
ている。各々の断面を切削加工する時のバイト15の位
置について説明すると,実線で画いた曲面のような曲率
の小さい断面を加工する時のバイト中心はO1であり,
破線で画いた曲面のような曲率の大きい断面を切削加工
する時のバイト中心はO2 となる。
大,小と変化するような形状を想定する。工作物9が0
度の状態から90度回転すると,バイト中心は,図6に
示すように,X軸方向に微小距離△lだけ移動すると同
時に,Z軸方向に△hだけ移動して大きな曲率の断面に
なるように工作物9を切削加工する。次に,工作物9が
更に90度回転すると,バイト中心はX軸方向に微小距
離−△lだけ移動すると同時に,Z軸方向に−△h移動
して小さな曲率の断面になるように工作物9を切削加工
する。そして,工作物9が1回転する間に,この往復運
動を2回繰り返す。即ち,工作物9が1回転する間に,
バイト15を保持したスライド12はZ軸方向に所定の
ストローク△hで往復運動を2回繰り返し,スライド1
2の往復運動と同期して即ち連動して,スライド12を
載置したX軸テーブル4も所定のストローク△lで往復
運動を2回繰り返すので,結果として,バイト15は中
心O1 と中心O2 との間を2往復することになる。そし
て,工作物9が1回転する毎に,X軸テーブル4は工作
物9の中心へ向かって微小距離△rのピッチずつ移動
し,バイト15は工作物9の外側から中心に向かって徐
々に小さな円を描くように,工作物9の端面は,バイト
15によって同心円状に切削加工され,工作物9の端面
に非軸対称非球面が創成される。
と比較して,移動部材の重量が大幅に軽減され,それに
伴う工作物9の回転数を大幅に増加することができるも
のである。それ故,象限切換時の形状誤差も小さくな
り,象限突起はほとんど確認できないほどになった。ま
た,ハイゲイン学習制御やアダプティブ先行制御を適用
すると,その形状誤差を更に小さくすることができ,非
軸対称非球面の加工精度の向上と研削スピードのアップ
を図ることができる。ここで,ハイゲイン学習制御と
は,一定周期で繰り返される指令に対し,サーボモータ
の追従遅れ等に起因する位置偏差がゼロになるように制
御する学習制御と,速度ループゲインの特性改善による
サーボの高剛性を併せ持つ制御であり,アダプティブ先
行制御とは,位置制御ループに,ある係数項を追加する
ことにより,サーボ系の遅れに起因する形状誤差を減少
させる機能を有する制御である。
法は,従来からリード加工のための専用機として使用さ
れてきたNCリード加工機を応用して累積焦点メガネレ
ンズ等のような非軸対称非球面を製作しようとするもの
であり,工作物の端面を累積焦点メガネレンズ等のよう
な非軸対称非球面に安価に切削加工によって製作するこ
とができるようになったものである。
工方法は,バイトを取り付けたスライドを軽量化して追
従性・応答性を向上させたNC加工機を使用して実施す
るものであるから,従来のように上記非球面研削機にお
いて発生していたような象限突起は発生せず,非軸対称
非球面を高精度で切削加工することができるようにな
る。しかも,X軸テーブル上のターナのスライドを高速
で往復運動することができるため,主軸の回転速度を上
げることができ,短時間で工作物を切削加工することが
できる。このように,この発明による非軸対称非球面の
加工方法によれば,従来の非球面研削機に比べて,工作
物の端面を短時間で且つ高精度に切削加工して工作物の
端面に非軸対称非球面を得ることができるようになる。
用されるNC加工機を示す概略図である。
心位置と曲率の関係を示す説明図である。
ある。
る。
てリード加工を施すときの切削状態を説明する概略図で
ある。
Claims (3)
- 【請求項1】 主軸を回転させるモータを組み込んだ主
軸台,前記主軸台を載置し且つ前記主軸の長手方向であ
るZ軸方向に移動可能なZ軸テーブル,前記主軸の先端
に保持される工作物と対向する位置に設置され且つ前記
Z軸方向に直交するX軸方向に移動可能なX軸テーブ
ル,及び前記X軸テーブルに載置されたターナを備え,
前記ターナは一端にバイトを取り付けるスライドと前記
スライドを前記Z軸方向に往復運動させる駆動装置とか
らなるNC加工機を用いて前記工作物に加工を行なう加
工方法において, 前記Z軸テーブルの動きを停止し,前記工作物の回転と
同期して前記スライドを前記Z軸方向に往復運動させる
と共に前記X軸テーブルを前記X軸方向に往復運動させ
つつ前記ターナの前記スライドに取り付けた前記バイト
によって円を描く軌跡で前記工作物の端面を切削加工す
る第一工程と,前記第一工程に続いて前記バイトが切削
加工するべき前記工作物の前記端面に位置するように前
記工作物の回転と同期して前記X軸テーブルを前記X軸
方向に微小距離だけ移動させる第二工程とから成り,前
記第一工程と前記第二工程とを繰り返しながら前記工作
物の前記端面を前記バイトによって同心円状に非軸対称
非球面に切削加工することを特徴とする非軸対称非球面
の加工方法。 - 【請求項2】 前記スライド及び前記X軸テーブルは前
記往復運動のストロークを徐々に小さくしつつ,前記バ
イトを前記工作物の外側から中心に向かって移動させて
前記工作物の前記端面を前記バイトによって同心円状に
非軸対称非球面に切削加工することを特徴とする請求項
1に記載の非軸対称非球面の加工方法。 - 【請求項3】 前記ターナの前記駆動装置は前記X軸テ
ーブルに取り付けられたサーボモータと前記スライドを
前記Z軸方向に移動可能に支持する軸受を備えており,
前記スライドは前記サーボモータの駆動軸と一体構造の
回転軸に形成した雄ねじに螺合するナット部材に固定さ
れ且つ前記回転軸の回転運動に応じて往復運動すること
を特徴とする請求項1又は2に記載の非軸対称非球面の
加工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13255698A JP3426132B2 (ja) | 1998-04-28 | 1998-04-28 | 非軸対称非球面の加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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