JP2005246495A - 光学レンズの製造方法、光学レンズ、成形型の製造方法、成形型 - Google Patents

光学レンズの製造方法、光学レンズ、成形型の製造方法、成形型 Download PDF

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Abstract

【課題】製造時間を短縮することができ、所望の形状精度、外観を有する光学レンズを得ることができる光学レンズの製造方法及びこの製造方法により製造された光学レンズ、製造時間を短縮することができ、所望の形状精度、外観を有する成形型を得ることができる成形型の製造方法、この製造方法により製造された成形型を提供すること。
【解決手段】仕上げ切削工程が終了した時点(すなわち、形状創成工程が終了した時点)での最大表面粗さRmaxを0.010mm以下とし、光学レンズの表面の屈折力をDA、設計上の表面の屈折力をDFとするとき、|DA―DF|≦0.25とする。また、光学レンズの表面に形成される変曲点近傍の段差量を、面粗度成分を除いて、0.0005mm以上、0.005mm以下とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光学レンズの製造方法、光学レンズ、成形型の製造方法、成形型に関する。
従来から眼鏡レンズ等に使用される光学レンズは、セミフィニッシュレンズ(完成品である光学レンズよりも肉厚が厚い略円形形状のレンズ)の表面を研削、切削等して、形状創成した後、砂掛け加工工程と、研磨工程とを行うことにより製造されている(例えば、特許文献1参照)。
また、光学レンズの製造に使用されるガラス製の成形型も光学レンズと同様の方法で製造されている。
ここでは、光学レンズの製造方法を例にあげて詳細に説明する。
砂掛け加工工程では、形状創成により荒削りされた表面をある程度の面粗度になるように平滑化するとともに、形状創成時に発生した形状誤差を削り取る。具体的には、#300から#1200程度のメッシュのファイニングパッドと呼ばれる砂掛け加工用の研磨パッドを研磨皿の表面に貼り付け、水をかけながら研磨する。これにより、一般的に、最大表面粗さRmaxで数μm程度の面粗度が得られることとなる。
研磨工程では、砂掛け加工された表面を平滑化し、所望の光学鏡面に仕上げる。この研磨工程では、研磨皿の表面に不織布でできた研磨加工用の研磨パッドを貼り付け、スラリー状の遊離砥粒を供給しながら研磨が行われる。
特開2002−187063号公報(第1〜第2頁)
しかしながら、このような光学レンズの製造方法では、形状創成を行った後、砂掛け加工工程と、研磨工程との2工程を行わなければならないので、製造時間を短縮することが困難であるという問題がある。
そこで、砂掛け加工工程を省略することが考えられるが、形状創成後の面粗度は最大表面粗さRmaxで数十μmとなっているため、面粗度分の研磨しろ、すなわち、数十μm分を研磨工程で除去しなければならない。従って、所望の光学鏡面を得るまでに多大な時間を要するという問題がある。
また、形状創成後の光学レンズの表面形状と、研磨を行う研磨皿の表面形状とに大きな差がある場合にも、所望の光学鏡面を得るまでに多大な時間を要するという問題が発生する。
そして、多大な時間をかけて研磨を行った場合、形状創成工程で創成した形状精度が悪化することがあり、また、研磨ダレと呼ばれる外観欠点がレンズ外周部分に発生してしまうことがある。
なお、上述した問題は、光学レンズと略同様の方法で製造される成形型を製造する際にも発生している。
本発明の目的は、製造時間を短縮することができ、所望の形状精度、外観を有する光学レンズを得ることができる光学レンズの製造方法及びこの製造方法により製造された光学レンズ、製造時間を短縮することができ、所望の形状精度、外観を有する成形型を得ることができる成形型の製造方法、この製造方法により製造された成形型を提供することである。
本発明の光学レンズの製造方法は、形状創成後の表面の最大表面粗さRmaxが0.10mm以下であり、形状創成後の表面の曲率半径と、設計上の曲率半径との誤差が0.20mm以下となるように形状創成する形状創成工程と、形状創成された表面を研磨する研磨工程とを有することを特徴とする。
ここで、最大表面粗さRmaxを0.010mm以下としたのは、最大表面粗さRmax0.010mmを超えた状態で砂掛け加工工程を省略した場合、研磨工程に要する時間が長くなるためである。
さらに、形状創成工程にかかる時間を考慮した場合、最大表面粗さRmaxは、0.010mm以下、0.001mm以上であることが好ましい。なかでも、0.002mm以上とするのが好ましく、特に0.003mm以上とすることが好ましい。
また、本発明において、光学レンズの表面の屈折力をDA、設計上の表面の屈折力をDFとするとき、|DA―DF|≦0.25(単位:ディオプトリー)の条件を満たすようにしたのは、この範囲を超えると、研磨皿と光学レンズとの隙間が大きくなるため研磨に時間を要し、結果として屈折力にばらつきが生じて製造歩留りにも影響を及ぼすためである。
このような本発明によれば、形状創成工程で、表面の最大表面粗さRmaxが0.010mm以下となるように加工しているので、砂掛け加工工程を省略し、研磨工程を実施しても、研磨に時間を要さないため、製造時間の短縮を図ることができる。これにより、研磨工程に時間をかけることで、形状精度が悪化したり、研磨ダレと呼ばれる外観欠点が光学レンズ外周部に発生してしまうことを防止でき、所望の形状精度、外観を有する光学レンズを製造することができる。
また、本発明では、砂掛け加工工程を省略することができるので、砂掛け加工工程で使用していた砂掛け加工工程用のファイニングパッド等が不要となり、これにより製造コストの低減を図ることができる。
さらに、一般に、研磨工程で使用される硬質の研磨皿は、光学レンズ表面の設計上の曲率半径に応じたものが選択される。本発明では、形状創成工程において、光学レンズの表面の屈折力をDA(ディオプター)、設計上の表面の屈折力をDF(ディオプター)とするとき、|DA―DF|≦0.25の条件を満たすようにとなるように形状創成しているため、研磨工程で使用する研磨皿の曲率半径と光学レンズ表面の曲率半径との差を小さくすることができる。これにより、光学レンズ表面の研磨皿への密着性を高めることができるので、研磨工程に多大な時間を要することがない。また、このように光学レンズ表面の研磨皿への密着性を高めることができるので、所望の光学鏡面を得ることができる。
本発明では、前記光学レンズの表面は、変曲点を有する曲面形状となっており、前記形状創成工程では、表面に形成される変曲点近傍の段差量が面粗度成分を除いて、0.0005mm以上、0.005mm以下となるように形状創成することが好ましい。
眼鏡の乱視補正等に用いられるトーリック面を有するトーリックレンズを形状創成する際、形状創成装置の制御特性等によって、表面の変曲点近傍に10μm以上の段差、すなわちうねりが形成されることがある。砂掛け加工工程を省いて研磨を行うと、研磨によりうねりを除去しなくてはならないので、多大な研磨時間を要することとなる。そのため、形状精度や外観が悪化する可能性がある。
これに対し、本発明では、形状創成工程では、光学レンズ表面に形成される変曲点近傍の段差量が面粗度成分を除いて、0.005mm以下となるように形状創成しているため、研磨工程でのうねりの除去にかかる時間を短縮することができる。これにより、長時間研磨することにより発生する形状精度の悪化や外観の悪化を防止することができる。
さらに、光学レンズ表面に形成される変曲点近傍の段差量を、面粗度成分を除いて、0.0005mm以上としているので、段差量の発生が極めて少ない高価な形状創成装置を用いる必要がなく、製造コストを低減することができる。
さらに、光学レンズ表面に形成される変曲点近傍の段差量を、面粗度成分を除いて、0.0005mm未満とした場合には、形状創成工程において、段差の発生を抑えるために加工スピードを遅くする必要があるが、本発明では、0.0005mm以上としているので、加工スピードを低下させる必要がなく、形状創成工程にかかる時間の増加を防止することができる。
この際、本発明では、前記研磨工程の前段に、形状創成後の光学レンズの外周縁の面取りを行う面取り加工工程を備えることが好ましい。
形状創成工程後の光学レンズの外周縁は、鋭利な形状となっていることが多く、この状態で研磨を行うと、研磨皿に貼り付けられる研磨パッドを剥がしてしまう虞がある。
これに対し本発明では、形状創成後の光学レンズの外周縁の面取りを行っているので、研磨パッドのはがれを防止することができる。
本発明の光学レンズは、上述した何れかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする。
このような本発明によれば、本発明の光学レンズは上述した何れかの製造方法により製造されているため、所望の形状精度、外観を有する光学レンズとなる。
本発明の成形型の製造方法は、光学レンズの製造に用いられる成形型の製造方法であって、形状創成後の光学レンズの表面の屈折力をDA、前記光学レンズの設計上の屈折力をDFとするとき、|DA―DF|≦0.25(単位:ディオプトリー)となるように形状創成する形状創成工程と、形状創成された成形面を研磨する研磨工程とを有することを特徴とする成形型の製造方法。ここで、最大表面粗さRmaxを0.010mm以下としたのは、最大表面粗さRmax0.010mmを超えた状態で砂掛け加工工程を省略した場合、研磨工程に要する時間が長くなるためである。
さらに、形状創成工程にかかる時間を考慮した場合、最大表面粗さRmaxは、0.010mm以下、0.001mm以上であることが好ましい。なかでも、0.002mm以上とするのが好ましく、特に0.003mm以上とすることが好ましい。
また、本発明において、成形面の屈折力をDA、設計上の表面の屈折力をDFとするとき、|DA―DF|≦0.25の条件を満たすようにしたのは、この範囲を超えると、研磨皿と成形面との隙間が大きくなるため研磨に時間を要し、結果として屈折力にばらつきが生じて製造歩留りにも影響を及ぼすためである。
このような本発明によれば、上述した光学レンズの製造方法と同様の効果を奏することができる。すなわち、形状創成工程で、成形面の最大表面粗さRmaxが0.010mm以下となるように加工しているので、砂掛け加工工程を省略し、研磨工程を実施しても、研磨に時間を要さないため、製造時間の短縮を図ることができる。これにより、研磨を長時間行うことで、形状精度が悪化したり、研磨ダレと呼ばれる外観欠点が成形面外周部分に発生してしまうことを防止でき、所望の形状精度、外観を有する成形型を製造することができる。
また、本発明では、砂掛け加工工程を省略することができるので、砂掛け加工工程で使用していた砂掛け加工工程用のファイニングパッド等が不要となり、これにより製造コストの低減を図ることができる。
さらに、一般に、研磨工程で使用される硬質の研磨皿は、成形面の設計上の曲率半径に応じたものが選択される。本発明では、形状創成工程において、形状創成後の成形型の表面の屈折力をDA、前記成形型の設計上の屈折力をDFとするとき、|DA―DF|≦0.25となるように形状創成しているため、研磨工程で使用する研磨皿の曲率半径と成形面の曲率半径との差を小さくすることができる。これにより、成形面の研磨皿への密着性を高めることができるので、研磨工程に多大な時間を要することがない。また、このように成形面の研磨皿への密着性を高めることができるので、所望の光学鏡面を得ることができる。
本発明では、前記成形型の表面は、変曲点を有する曲面形状となっており、前記形状創成工程では、表面に形成される変曲点近傍の段差量が面粗度成分を除いて、0.0005mm以上、0.005mm以下となるように形状創成することが好ましい。
眼鏡の乱視補正等に用いられるトーリック面を有するトーリックレンズ用成形型を形状創成する際、形状創成装置の制御特性等によって、表面の変曲点近傍に10μm以上の段差、すなわちうねりが形成されることがある。砂掛け加工工程を省いて研磨を行うと、研磨によりうねりを除去しなくてはならないので、多大な研磨時間を要することとなる。そのため、形状精度や外観が悪化する可能性がある。
これに対し、本発明では、形状創成工程では、成形型表面に形成される変曲点近傍の段差量が面粗度成分を除いて、0.005mm以下となるように形状創成しているため、研磨工程でのうねりの除去にかかる時間を短縮することができる。これにより、長時間研磨することにより発生する形状精度の悪化や外観の悪化を防止することができる。
さらに、成形型表面に形成される変曲点近傍の段差量を、面粗度成分を除いて、0.0005mm以上としているので、段差量の発生が極めて少ない高価な形状創成装置を用いる必要がなく、製造コストを低減することができる。
さらに、成形型表面に形成される変曲点近傍の段差量を、面粗度成分を除いて、0.0005mm未満とした場合には、形状創成工程において、段差の発生を抑えるために加工スピードを遅くする必要があるが、本発明では、0.0005mm以上としているので、加工スピードを低下させる必要がなく、形状創成工程にかかる時間の増加を防止することができる。
この際、本発明では、前記研磨工程の前段に、形状創成後の成形型の外周縁の面取りを行う面取り加工工程を備えることが好ましい。
形状創成工程後の成形型の外周縁は、鋭利な形状となっていることが多く、この状態で研磨を行うと、研磨皿に貼り付けられる研磨パッドを剥がしてしまう虞がある。
これに対し本発明では、形状創成後の成形型の外周縁の面取りを行っているので、研磨パッドのはがれを防止することができる。
また、本発明の成形型は、上述した製造方法により製造されたことを特徴とする。
このような本発明によれば、成形型は上述した何れかの製造方法により製造されているため、所望の形状精度、外観を有する成形型となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の光学レンズの製造方法を示すフローチャートが開示されている。
本発明の光学レンズは、プラスチック製の眼鏡レンズであり、凹面にトーリック面を有するトーリックレンズである。このような光学レンズの製造方法は、セミフィニッシュレンズ(完成品である光学レンズよりも肉厚が厚い略円形形状のレンズ)の表面にトーリック面を形成する形状創成工程(処理S1)と、形状創成した表面の形状精度を確認する検査工程(処理S2)と、面取り加工工程(処理S3)と、研磨工程(処理S4)とを備える。
セミフィニッシュレンズの表面にトーリック面を形成する形状創成工程では、図2に示すような、数値制御切削装置2が使用される。
この数値制御切削装置2は、基台21と、基台21上に設置されたワーク駆動部22及びワーク保持手段23と、基台21上に設置された切削工具駆動部24及び切削工具25とを有する。
ワーク駆動部22は、X軸テーブル221と、X軸駆動モータ222とを備える。
X軸テーブル221は、X軸駆動モータ222により駆動され、X軸方向に沿って往復運動する。X軸テーブル221の位置は、図示しないエンコーダ等によって割り出される。
ワーク保持手段23は、X軸テーブル221上に設置された回転手段231と、回転手段231に取り付けられたワークチャック232とを有する。
回転手段231は、回転手段駆動モータ及びエンコーダ223によってX軸と直交するY軸方向の主軸を回転軸として回転駆動される。
ワークチャック232には、セミフィニッシュレンズ1Aがブロック治具を介して取り付けられる。ワークチャック232の位置はエンコーダ223によって割り出される。
切削工具駆動部24は、基台21上に設置されたY軸テーブル241と、Y軸駆動モータ242とを有する。
Y軸テーブル241は、Y軸駆動モータ及びエンコーダ242により、Y軸方向に往復運動するように駆動される。Y軸テーブル241の位置は、エンコーダ等により割り出される。
Y軸テーブル241には、2台の刃物台243A,243Bが設置されている。刃物台243Aには、切削工具25である荒削り用バイト251Aが固定され、刃物台243Bには、切削工具25である仕上げ用バイト251Bが固定されている。
すなわち、この数値制御切削装置2は、荒削り用バイト251Aと、仕上げ用バイト251Bとを切り替えて切削加工を行うようになっている。
ここで、荒削り用バイト251Aとしては、例えば、超硬合金製のものがあげられ、仕上げ用バイト251Bとしては、例えば、単結晶ダイアモンド製のものがあげられる。
このような数値制御切削装置2には、入力装置26から入力された眼鏡レンズの処方データに基づき、計算コンピュータ27が算出した加工データが、ホストコンピュータ28を介して伝送される。
なお、本実施形態では、X軸テーブル221により、セミフィニッシュレンズ1AがX軸方向に移動し、荒削り用バイト251A、仕上げ用バイト251BがY軸テーブル241によりY軸方向に移動するものとしたが、これに限らず、例えば、ワーク保持手段23を固定し、Y軸テーブルをX軸テーブルの上に配置して、荒削り用バイト251A、仕上げ用バイト251BをX軸方向に移動させる構成としてもよい。また、荒、仕上げとバイトを使い分けずに1本のバイトで加工しても良い。
次に、図3及び図4をも参照してこのような数値制御切削装置2の駆動について説明する。
まず、ここで、光学レンズ1の形状について説明しておく。
図3及び図4に示すように、光学レンズ1のトーリック面はA−A’線に沿った最小の曲率の曲線(ベースカーブ)と、A−A’線に直交するB−B’線に沿った最大の曲率の曲線(クロスカーブ)とを有する曲面である。ベースカーブの曲率と、クロスカーブの曲率との差が大きいと、図3(b)に示すようにクロスカーブに沿って切断した断面は、極めて厚さ寸法の大きい両端部と、厚さ寸法の小さい中央部とを有する形状となる。
次に、数値制御切削装置2の駆動制御について説明する。
数値制御切削装置2のバイト251Aは、図3(a)に示した単純な螺旋(図3(a)の点線)を描きながら切削を行う。
図4に示すように、例えば、厚さ寸法が最小である最小厚み部分(A−A’断面)のある点Qn上にバイト251A(バイト251Bでもよいが、ここではバイト251Aを用いて説明する)の先端部の中心Oが存在するとき、加工点は、セミフィニッシュレンズ1Aとバイト251Aの先端とが接したQsとなる。セミフィニッシュレンズ1Aが90度回転し、点Qnから厚さ寸法が最大である最大厚みの部分(B−B’断面)のある点Qn+m上にバイト251Aの先端部の中心Oが存在するとき、加工点は、セミフィニッシュレンズ1Aとバイト251Aの先端とが接したQtとなる。
セミフィニッシュレンズ1Aが90°回転し、バイト251Aが点Qnから点Qn+mに移動した際、バイト251Aは、Y軸方向にプラス(図4左方向)に△Y移動する。一方で、バイト251Aは、X軸テーブル221によってX軸方向に中心に向かって正確に1/4ピッチ分の△X移動する。
さらにセミフィニッシュレンズ1Aが90°移動すると、バイト251Aは、Y軸方向においてはマイナス方向(図4右方向)に移動する一方、X軸方向においては中心に向かって正確に1/4ピッチ分の△X移動する。
すなわち、本実施形態では、X軸方向におけるワーク(セミフィニッシュレンズ1A)の回転中心とバイト251Aの距離(図3に示すRx)が、所定の送りピッチで連続的に減少するように、数値制御切削装置2を制御している。なお、本実施形態では、ワークの回転中心とバイト251Aの距離を連続的に減少するように制御したが、連続的に増加するように制御してもよい。
さらに、バイト251Aを上述したように駆動制御せず、例えば、法線制御加工方法(ワークの加工点に立てた法線方向にバイト251Aの先端部の中心Oを位置決めして加工を行う方法)に基づいて数値制御切削装置2を駆動させてもよい。
以上のように駆動制御される数値制御切削装置2を用いて、セミフィニッシュレンズ1Aの表面(凹面)にトーリック面を形成する形状創成を行う。
まず、セミフィニッシュレンズ1Aを図示しないブロック治具に固定し、これをワークチャック232に取り付ける。そして、セミフィニッシュレンズ1Aの外径が所定の径となるまで、粗削り用バイト251Aで切削する(外形加工工程、処理S1−1)。
次に、荒削り用バイト251Aを使用して、セミフィニッシュレンズ1A表面の荒削りを行う(荒削り工程、処理S1−2)。荒削り工程の加工条件は、ワーク回転数(レンズの回転数)が、例えば100〜3000rpm、送りピッチが、例えば0.005〜1.0mm/rev、切り込み量が、例えば0.1〜10.00mm/passとなる。
このような荒削り工程が終了した時点での最大表面粗さRmaxは、100μm以下となる。
荒削り工程が終了したら、仕上げ用バイト251Bを用いて同様の方法で仕上げ切削を行う(仕上げ切削工程、処理S1−3)。
仕上げ切削工程の加工条件は、ワーク回転数(レンズの回転数)が、例えば100〜3000rpm、送りピッチが、例えば0.005〜0.2mm/rev、切り込み量が、例えば0.05〜3.0mm/passとなる。
以上の荒削り工程及び仕上げ切削工程により形状創成工程が終了し、セミフィニッシュレンズ1Aから、形状創成された光学レンズ1が得られる。
次に、形状創成された光学レンズ1の表面が所望の表面粗さ、曲率半径となっているか、さらに、表面の変曲点近傍の段差量が所定の範囲内となっているかどうかの検査を行う(検査工程、処理S2)。
ここでは、仕上げ切削工程が終了した時点での最大表面粗さRmaxが0.010mm以下であり、なかでも、最大表面粗さRmaxが、0.010mm以下、0.001mm以上であることが好ましい。また、仕上げ切削工程が終了した時点での光学レンズ1の表面の屈折力をDA、設計上の表面の屈折力をDFとするとき、|DA―DF|≦0.25の条件を満たすことが好ましい。また、光学レンズ1の表面に形成される変曲点近傍の段差量が面粗度成分を除いて、0.0005mm以上、0.005mm以下である必要がある。
ここで、最大表面粗さRmaxとは、図5に示すように、粗さ曲線から平均線L1の方向に基準長さL2だけ切り取り、この切り取り部分の平均線L1から最も高い山頂までの高さYpと、最も低い谷底までの深さYvとを足したものである。
また、面粗度成分を除く変曲点近傍の段差量とは、図6に示すように、基準長さL3において、面粗度成分Sを除いたうねり量Hのことをいい、形状創成後の成形面の屈折力は、成形面の曲率半径を計測後、度数換算を行うことによって算出する。度数換算の式は、(n−1)×100/rである。ここでrは測定によって求めれられた曲率半径である。
以上のような範囲内にあるかどうか検査を行い、表面粗さ、屈折力、段差量の少なくとも何れか一つが上記範囲外となった場合には、再度、荒削り(処理S1−2)、仕上げ切削(処理S1−3)を行う。なお、これらの検査は、複数枚加工毎に間隔を置いて実施してもよい。
次に、やすり等を使用して、形状創成された光学レンズ1の外周縁の面取りを行う(面取り加工工程、処理S3)。
さらに、研磨を行う(研磨工程、処理S4)。
研磨工程では、図7に示すような研磨装置4を用いて研磨を行う。この研磨装置4は、ブロック治具5に取り付けられた形状創成後の光学レンズ1が固定されるワークチャック411を備えたワーク保持手段41と、研磨工具42とを備える。なお、光学レンズ1は、低融点合金51によりブロック治具5に取り付けられている。
ワーク保持手段41は、形状創成後の光学レンズ1を保持するとともに、Y軸に沿った軸を回転軸として形状創成後の光学レンズ1を回転させることができる。また、形状創成後の光学レンズ1をZ軸方向及びX軸方向に移動させることができる。
研磨工具42は、アルミニウム、硬化プラスチック、発泡ウレタン等を素材とした硬質の研磨皿421を備える。研磨皿421は、図示しないモータ等により、Y軸方向に沿った軸を回転軸として回転可能に構成されている。また、Z軸方向及びX軸方向に移動可能となっている。
研磨皿421の研磨面の曲率半径は、光学レンズ1の表面の設計上の曲率半径に応じたものとなっている。なお、この研磨皿421の研磨面には研磨パッド422が取り付けられており、設計上の曲率半径は、研磨パッドの厚みを加味したものとなっている。
このような研磨装置4により形状創成後の光学レンズ1及び研磨皿421を回転させながら、これらを相対的に揺動させることで、形状創成後の光学レンズ1及び研磨皿421が摺り合わされることとなる。
なお、研磨は、スラリー状の遊離砥粒を供給しながら行うことが好ましい。
以上のようにして、研磨が行われ、所望の形状精度及び外観を有する光学レンズ1を得ることができる。
従って、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)形状創成工程で、最大表面粗さRmaxが0.010mm以下となるように加工しているので、砂掛け加工工程を省略し、研磨工程を実施しても、研磨に時間を要さないため、製造時間の短縮を図ることができる。これにより、研磨工程に時間をかけることで、形状精度が悪化したり、研磨ダレと呼ばれる外観欠点が光学レンズ1外周部分に発生してしまうことを防止でき、所望の形状精度、外観を有する光学レンズ1を製造することができる。
(2)また、本実施形態では、砂掛け加工工程を省略することができるので、砂掛け加工工程で使用していた砂掛け加工工程用のファイニングパッド等が不要となり、これにより製造コストの低減を図ることができる。
(3)さらに、一般に、研磨工程で使用される硬質の研磨皿421は、光学レンズ1表面の設計上の曲率半径に応じたものが選択される。本実施形態では、形状創成工程において、光学レンズ1の屈折力をDA、設計上の表面の屈折力をDFとするとき、|DA―DF|≦0.25の条件を満たすこように形状創成しているため、研磨工程で使用する研磨皿421の曲率半径と光学レンズ1表面の曲率半径との差を小さくすることができる。これにより、光学レンズ1表面の研磨皿421への密着性を高めることができるので、研磨工程に多大な時間を要することがない。また、このように光学レンズ1表面の研磨皿421への密着性を高めることができるので、所望の光学鏡面を得ることができる。
(4)形状創成工程では、光学レンズ1表面に形成される変曲点近傍の段差量が面粗度成分を除いて、0.005mm以下となるように形状創成しているため、研磨工程でのうねりの除去にかかる時間を短縮することができる。これにより、長時間研磨することによって発生する形状精度の悪化や外観の悪化を防止することができる。
(5)さらに、光学レンズ1表面に形成される変曲点近傍の段差量を、面粗度成分を除いて、0.0005mm以上としているので、段差量の発生が極めて少ない高価な形状創成装置を用いる必要がなく、製造コストを低減することができる。
(6)また、光学レンズ1表面に形成される変曲点近傍の段差量を、面粗度成分を除いて、0.0005mm未満とした場合には、形状創成工程において、段差の発生を抑えるために加工スピードを遅くする必要があるが、本発明では、0.0005mm以上としているので、加工スピードを低下させる必要がなく、形状創成工程にかかる時間の増加を防止することができる。
(8)さらに、本実施形態では、形状創成後の光学レンズ1の外周縁の面取りを行っているので、研磨工程において、研磨皿421から研磨パッド422がはがれてしまうことを防止できる。
(7)さらに、形状創成工程では、数値制御切削装置2において、X軸方向におけるワーク(セミフィニッシュレンズ1A)の回転中心とバイト251A,251Bの距離を所定の送りピッチで連続的に減少するように制御しているため、バイト251A,251Bの描く軌跡が単純な螺旋状となる。そのため、X軸テーブル221を一定方向にのみ動かせばよい。X軸テーブル221を往復運動させて切削加工を行う場合には、X軸テーブル221は重量が大きいためワークを高回転数で回転させて、X軸テーブル221を追随させることが困難となる。
これに対し、本実施形態では、X軸テーブル221を一定方向にのみ動かせばよいので、ワークの回転数を上げてもX軸テーブル221の動きをワークの回転数に追随させることができる。これにより、切削加工にかかる時間を短縮することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、光学レンズ1として、プラスチック製の眼鏡レンズの製造方法を例にあげて説明したが、これに限らず、カメラ等に使用されるレンズ等であってもよい。また、プラスチック製の光学レンズに限らず、研削加工で形状創成されるガラス製のレンズであってもよい。
さらに、光学レンズに限らず、光学レンズを製造するための、例えば、ガラス製の成形型を前記実施形態で述べた製造方法により製造することもできる。この場合、成形型の成形面は、例えば、トーリック面、球面のいずれであってもよい。
成形型の母型の表面に図示しない研削装置を用いて成形面を形状創成し、その後、研磨装置4で研磨を行うことで成形型を得ることができる。形状創成後の成形面の最大表面粗さRmaxが0.010mm以下であり、なかでも、最大表面粗さRmaxが、0.010mm以下、0.001mm以上であることが好ましい。また、形状創成後の成形面の屈折力をDA、設計上の表面の屈折力をDFとするとき、|DA―DF|≦0.25の条件を満たすことが好ましい。また、成形面が変曲点を有する曲面形状である場合には、形状創成後の成形面に形成される変曲点近傍の段差量が面粗度成分を除いて、0.0005mm以上、0.005mm以下である必要がある。
前記実施形態では、やすりを用いて形状創成後の光学レンズまたは成形型の外周縁の面取りを行ったが、これに限らず、数値制御装置のバイトや研削砥石等を用いて面取りを行ってもよい。さらに、前記実施形態では、形状創成工程の後段に光学レンズまたは成形型の外周縁の面取りを行う面取り加工工程を設けたが、面取り加工工程はなくてもよい。例えば、形状創成工程において、光学レンズまたは成形型の外周縁が鋭利にとがっていないような場合には、面取り加工工程はなくてもよい。
さらに、前記実施形態では、光学レンズまたは成形型の表面がトーリック面となっているとしたが、これに限らず、球面であってもよい。
次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
前記実施形態と同様の数値制御切削装置2及び研磨装置4を用いて、光学レンズである眼鏡レンズの製造を行った。
まず、装用者の処方に基づいてセミフィニッシュレンズを選択した。次に、セミフィニッシュレンズを低融点合金を用いてブロック治具に固定し、これを数値制御切削装置2のワークチャック232に取り付けた。そして、前記実施形態と同様の形状創成を行った。
その後、形状創成後の光学レンズ表面の最大表面粗さ、曲率半径、うねり量(段差量)を測定した。
最大表面粗さ、曲率半径、うねり量(段差量)を測定する測定器としては、ランクテーラーボブソン社製のフォームタリサーフ(商品名)を用いた。
最大表面粗さは、ROUGHNESSモードで測定した時のPeak To Valley値とした。解析パラメータは測定長(基準長さ)が光学レンズの径方向に10mm、カットオフ値2.5mm、フィルターISO、リファレンスCONCAVEとした。
さらに、面粗度成分を除いたうねり量(段差量)はWAVINESSモードで測定した時のPeak To Valley値とした。解析パラメータは、測定長(基準長さ)がベースカーブ或いはクロスカーブと直交する方向で各カーブを跨いで10mm、カットオフ値2.5mm、フィルターISO、リファレンスCONCAVEとした。
仕上げ切削工程後の光学レンズの表面の面粗度は、最大表面粗さRmaxで0.0038〜0.0061mmであった。
また、光学レンズの表面の設計上のベースカーブの屈折力は、4.48(ディオプター)であり、仕上げ切削工程後の光学レンズの表面の屈折力は、4.51(ディオプター)であった。
さらに、光学レンズの表面の設計上のクロスカーブの屈折力は、11.82(ディオプター)であり、仕上げ切削工程後の光学レンズの表面の屈折力は、11.84(ディオプター)であった。なお、曲率半径からディオプターへの変換は、光学レンズ素材の屈折力をnとした時、計算式、(n−1)×100/rから求められる。ここでrは測定によって求めれられた曲率半径である。
また、光学レンズの表面の変曲点近傍の段差量(うねりの量)は、ベースカーブ近傍の光学レンズ表面の中心部で0.0021mm、ベースカーブ近傍の光学レンズ表面の外周部で0.0036mmであった。さらに、クロスカーブ近傍の光学レンズ表面の中心部で0.0015mm、ベースカーブ近傍の光学レンズ表面の外周部で0.0033mmであった。
その後、やすりを用いて光学レンズの外周縁を面取りし、続けて、研磨装置4により研磨を行った。研磨の際には、スラリー状の遊離砥粒を供給しながら行った。研磨時間は約4分15秒であった。
このようにして製造された眼鏡レンズは外観、形状精度ともに所望の品質を有するものであった。
(比較例1)
実施例1と同様の処方に基づいて同様のセミフィニッシュレンズを選択し、実施例1と同様の方法で数値制御切削装置2に取り付けた。
形状創成後の光学レンズの表面の面粗度は、最大表面粗さRmaxで0.092〜0.138mmであった。
また、光学レンズの表面の設計上のベースカーブの屈折力は、4.48(ディオプター)であり、形状創成後の光学レンズの表面の屈折力は、4.76(ディオプター)であった。
さらに、光学レンズの表面の設計上のクロスカーブの屈折力は、11.82(ディオプター)であり、形状創成後の光学レンズの表面のクロスカーブの屈折力は、12.08(ディオプター)であった。
また、光学レンズの表面の変曲点近傍の段差量(うねりの量)は、ベースカーブ近傍の光学レンズ表面の中心部で0.023mm、ベースカーブ近傍の光学レンズ表面の外周部で0.037mmであった。さらに、クロスカーブ近傍の光学レンズ表面の中心部で0.029mm、ベースカーブ近傍の光学レンズ表面の外周部で0.041mmであった。
なお、最大表面粗さRmax、曲率半径、うねり量の測定条件は実施例1と同様である。
さらに、実施例1と同様に形状創成工程後の面取り加工を行い、その後、実施例1と同様の方法で研磨を行った。
約22分30秒研磨した時点で、光学レンズの幾何学中心近傍の一部及びベースカーブ近傍に研磨残りがあり、所望の光学鏡面を得ることができなかった。さらに、17分15秒研磨したところ、研磨残りはなくなったが、光学レンズの外周部全体に研磨ダレが発生した。また、ベースカーブ及びクロスカーブ近傍にうねりが残った。そのため、所望の外観、形状精度を有する光学レンズを得ることができなかった。これに加え、光学レンズの度数が処方と大きく離れ、光学特性を満足することができなかった。
以上より、所望の外観、形状精度を有する光学レンズを製造することができるという本発明の効果を確認することができた。
本発明は、光学レンズの製造方法に利用できる他、光学レンズを製造するための成形型の製造方法にも利用することができる。
本発明の実施形態にかかる光学レンズの製造方法を示すフローチャート。 前記光学レンズの製造方法に使用される数値制御切削装置を示す模式図。 前記光学レンズを示す図であり、(a)は、形状創成する際のバイトの動きを示した光学レンズの正面図であり、(b)は、光学レンズの断面図である。 前記実施形態で使用される数値制御切削装置の制御方法を示す図。 光学レンズの拡大図であり、最大表面粗さを示す図。 光学レンズの拡大図であり、変曲点近傍の面粗度成分を除いた段差量を示す図。 前記光学レンズの製造方法に使用される研磨装置を示す模式図。
符号の説明
1…光学レンズ、2…数値制御切削装置、4…研磨装置、5…ブロック治具21…基台、22…ワーク駆動部、23…ワーク保持手段、24…切削工具駆動部、25…切削工具、26…入力装置、27…計算コンピュータ、28…ホストコンピュータ、41…ワーク保持手段、42…研磨工具、51…低融点合金、221…X軸テーブル、222…X軸駆動モータ、223…エンコーダ、231…回転手段、232…ワークチャック、241…Y軸テーブル、242…エンコーダ、243A,243B…刃物台、251A,251B…バイト、411…ワークチャック、421…研磨皿、422…研磨パッド、S…面粗度成分、H…うねり量。

Claims (6)

  1. 光学レンズの製造方法であって、形状創成後の表面の最大表面粗さRmaxが0.010mm以下であり、形状創成後の光学レンズの表面の屈折力をDA、前記光学レンズの設計上の屈折力をDFとするとき、|DA―DF|≦0.25(単位:ディオプトリー)となるように形状創成する形状創成工程と、形状創成された表面を研磨する研磨工程とを有することを特徴とする光学レンズの製造方法。
  2. 請求項1に記載の光学レンズの製造方法において、
    前記光学レンズの表面は、変曲点を有する曲面形状となっており、
    前記形状創成工程では、表面に形成される変曲点近傍の段差量が面粗度成分を除いて、0.0005mm以上、0.005mm以下となるように形状創成することを特徴とする光学レンズの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の光学レンズの製造方法において、
    前記研磨工程の前段に、形状創成後の光学レンズの外周縁の面取りを行う面取り加工工程を備えることを特徴とする光学レンズの製造方法。
  4. 請求項1から3の何れかに記載の光学レンズの製造方法により製造されたことを特徴とする光学レンズ。
  5. 光学レンズの製造に用いられる成形型の製造方法であって、
    形状創成後の成形面の最大表面粗さRmaxが0.010mm以下であり、形状創成後の光学レンズの表面の屈折力をDA、前記光学レンズの設計上の屈折力をDFとするとき、|DA―DF|≦0.25(単位:ディオプトリー)となるように形状創成する形状創成工程と、形状創成された成形面を研磨する研磨工程とを有することを特徴とする成形型の製造方法。
  6. 請求項5に記載の成形型の製造方法により製造されたことを特徴とする成形型。
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