JP2019198908A - 合成樹脂板加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工性を損なうことなく、合成樹脂板を光学部品に加工することができる合成樹脂板加工方法を提供する。【解決手段】本発明によれば、合成樹脂板10を所望の厚みに加工する合成樹脂板加工方法であって、合成樹脂板10を保持手段によって保持し、合成樹脂板10の上面10aを露出させバイト43の切り刃によって上面10aを旋削するバイト加工工程と、バイト加工された合成樹脂板10’の上面10’aに遊離砥粒Sを供給して研磨パッド94によって研磨し、バイト加工による旋削痕100を除去して鏡面に仕上げ、所望の厚みとする研磨加工工程と、から少なくとも構成される合成樹脂板加工方法が提供される。【選択図】図5
Description
本発明は、合成樹脂板を薄化して上面を鏡面に加工する合成樹脂板加工方法に関する。
スマートホン、携帯電話等で使用される液晶素材には、ガラス板が光学部品として用いられている。また、近年では、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の透明な合成樹脂板が、上記ガラス板の代替え品として検討されている(例えば、特許文献1を参照。)。
合成樹脂板をガラス板の代替え品として使用する場合、合成樹脂板を薄化加工し、さらに、表面を研磨加工して鏡面に仕上げる必要がある。しかし、合成樹脂板は、剛性が低く柔軟性があることから、研磨加工の前に薄化すべく研削砥石で研削すると、研削面にムシレ(研削面の欠損、窪み)が生じるため、通常の研磨加工では該ムシレが除去しきれず、光学部品として満足できる鏡面に仕上げることが困難であり、ガラス板に比べ加工性が悪いという問題がある。
また、液晶画面を構成する光学部品として、下面に対して上面が傾斜した形態を呈した透明板に加工する必要がある場合は、更に加工が困難となり、加工性に問題がある。
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、加工性を損なうことなく、合成樹脂板を光学部品に加工することができる合成樹脂板加工方法を提供することにある。
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、合成樹脂板を所望の厚みに加工する合成樹脂板加工方法であって、合成樹脂板を保持手段によって保持し、該合成樹脂板の上面を露出させバイトの切り刃によって該上面を旋削するバイト加工工程と、バイト加工された合成樹脂板の上面に遊離砥粒を供給して研磨パッドによって研磨し、バイト加工による旋削痕を除去して鏡面に仕上げ、所望の厚みとする研磨加工工程と、から少なくとも構成される合成樹脂板加工方法が提供される。
該合成樹脂板の所望の厚みは、該下面に対して該上面が所定角度傾斜する形態を呈し、該バイト加工工程において、該形態と同一の所定角度傾斜した保持治具を該保持手段の保持面と合成樹脂板の下面との間に配設し、該バイトの切り刃を該保持手段の保持面に対して平行に移動して合成樹脂板の上面を旋削することが好ましい。また、該合成樹脂板は、透明のポリエチレンテレフタレートからなる板とすることができる。
本発明の合成樹脂板加工方法は、合成樹脂板を保持手段によって保持し、該合成樹脂板の上面を露出させバイトの切り刃によって該上面を旋削するバイト加工工程と、バイト加工された合成樹脂板の上面に遊離砥粒を供給して研磨パッドによって研磨し、バイト加工による旋削痕を除去して鏡面に仕上げ、所望の厚みとする研磨加工工程と、から少なくとも構成されることにより、研磨加工工程前に合成樹脂板を薄化する際に、上面にムシレを生じさせることなく加工性が向上する。また、該合成樹脂板の所望の厚みが、該下面に対して該上面が所定角度傾斜する形態を呈するようにし、該バイト加工工程において、該形態と同一の所定角度傾斜した保持治具を該保持手段の保持面と合成樹脂板の下面との間に配設し、該バイトの切り刃を該保持手段の保持面に対して平行に移動して合成樹脂板の上面を旋削するようにすることで、合成樹脂板の下面に対して上面が傾斜した形態を呈する光学部品を容易に得ることができる。
以下、本発明に基づき実施される合成樹脂板加工方法の一実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態の合成樹脂加工方法は、合成樹脂板の上面を旋削するバイト加工工程と、バイト加工された合成樹脂板の上面を鏡面に仕上げ、所望の厚みとする研磨加工工程と、を備えている。
(バイト加工工程)
本実施形態の合成樹脂加工方法では、まず、合成樹脂板10の上面10aをバイトの切り刃によって旋削するバイト加工工程を実施する。バイト加工工程を実施するに際し、図1に示すように、被加工物となるバイト加工前の合成樹脂板10を用意する。合成樹脂板10は、一辺が40mmの正方形の板であり、全体的に均一な50μmの厚みを有している。合成樹脂板10は、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)から構成された透明な板である。
本実施形態の合成樹脂加工方法では、まず、合成樹脂板10の上面10aをバイトの切り刃によって旋削するバイト加工工程を実施する。バイト加工工程を実施するに際し、図1に示すように、被加工物となるバイト加工前の合成樹脂板10を用意する。合成樹脂板10は、一辺が40mmの正方形の板であり、全体的に均一な50μmの厚みを有している。合成樹脂板10は、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)から構成された透明な板である。
旋削装置2に搬送される合成樹脂板10を支持する形態は、特に限定されないが、たとえば図1に示すように、合成樹脂板10よりも若干大きく形成された正方形の保持治具12と、保持治具12の対角線よりも若干大きな直径を有する円盤形状の支持部材14とを用意し、保持治具12上に合成樹脂板10を配設し、合成樹脂板10が上面に配設された保持治具12を支持部材14の上面の中央に配設する。保持治具12の合成樹脂板10を載置する面、及び支持部材14の保持治具12を載置する面にはワックスが塗布され、いわゆるワックスダウン処理によって、保持治具12を介して合成樹脂板10が支持部材14に支持され、一体化ユニット16が形成される。
なお、本実施形態の合成樹脂加工方法によって得ようとする加工後の合成樹脂板10の所望の厚みは、合成樹脂板10の下面10bに対して上面10aが所定角度(0.015°)傾斜する形態であるため、保持治具12は、前記した加工後の合成樹脂板10と同様に下面に対して上面が所定角度(0.015°)だけ傾斜させられている。したがって、保持治具12上に配設された合成樹脂板10の上面10aは、水平方向に対して図中矢印Pで示す方向(以下「傾斜方向P」という。)において下る方向に上記所定角度で傾斜した状態で支持される。
上記したように、バイト加工前の合成樹脂板10を支持する一体化ユニット16を用意したならば、図2(a)に一部のみを示す旋削装置2に一体化ユニット16を搬送する。図2(a)を参照しながら、旋削装置2について説明する。
旋削装置2には、ベース3上に配設され矢印Yで示す方向(Y軸方向)に移動可能な保持手段を構成するチャックテーブル7と、ベース3の後部側に配設された旋削ユニット4と、旋削ユニット4を上下方向(Z軸方向)に上下動させる切込み送り手段5とが備えられている。切り込み送り手段5は、Z軸方向の軸心を有するボールねじ50を回動させるモータ52と、内部のナットがボールねじに螺合して底部がガイドレール51に摺設する可動板53とを備えている。切込み送り手段5において、モータ52がボールねじ50を回動させると、これに伴い可動板53がガイドレール51にガイドされてZ軸方向に上下動する。可動板53に旋削ユニット4が取付けられていることから、可動板53の上下動に伴い旋削ユニット4がZ軸方向に切込み送りされる。
旋削ユニット4は、スピンドル40と、スピンドル40を回転させる駆動機構41と、スピンドル40の下端部に装着された円盤状のバイトホイール42と、バイトホイール42に対し着脱可能で、バイトホイール42に対する突出量を調整可能に構成されたバイト43とを備えている。バイト43は、例えば、ダイヤモンドの粉末と金属バインダー等を高温高圧合成法で焼き固めた焼結体ダイヤモンドから構成されるチップ形状の切り刃を先端部に備えるタイプを採用することができる。旋削装置2は概略以上のように構成されており、合成樹脂板10に対するバイト加工について、図2、図3を参照しながら説明する。
合成樹脂板10は、図2(b)に示す搬入位置A1に移動させられたチャックテーブル7の保持面7a上に、合成樹脂板10を支持する支持部材14を下にして載置され、合成樹脂板10の上面10aが露出した状態で保持される。この際、本実施形態では、図2(b)に示すように、チャックテーブル7のバイトホイール42に対する移動方向(図中A1−A2−A3)であるY軸方向に、合成樹脂板10の上面10aの傾斜方向Pが一致させられている。
支持部材14の直径は、円形状に形成されたチャックテーブル7の保持面7aと略同一か、保持面7aよりも僅かに大きく形成されており、合成樹脂板10は、支持部材14を介してチャックテーブル7に接続された図示しない吸引手段の作用により吸引保持される。
支持部材14の直径は、円形状に形成されたチャックテーブル7の保持面7aと略同一か、保持面7aよりも僅かに大きく形成されており、合成樹脂板10は、支持部材14を介してチャックテーブル7に接続された図示しない吸引手段の作用により吸引保持される。
合成樹脂板10が支持部材14を介してチャックテーブル7に吸引保持されたならば、切込み送り手段5を作動して、旋削ユニット4のバイト43の切り刃の先端(下端)位置を、チャックテーブル7上の合成樹脂板10の上面10aの最も低い高さ位置にセットする。その状態で駆動機構41を作動させてスピンドル40を回転させ、バイト43を保持したバイトホイール42を矢印R1で示す方向に回転する。バイトホイール42の回転速度は、たとえば、6000rpmで設定される。
次いで、搬入位置A1にあるチャックテーブル7を、Y軸方向にある旋削ユニット4のバイトホイール42に向けて移動させると共に、切込み送り手段5を作動させて、予め設定された切込み送り量に基づいてバイト43の切り刃の先端位置をZ軸方向で調整する。チャックテーブル7をY軸方向でバイト加工位置A2に向けて水平に移動することで、チャックテーブル7の保持面7aに対してバイト43の切り刃による加工位置が平行に移動させられる。バイト加工開始位置A2では、傾斜方向Pにおいて合成樹脂板10の上面10aが最も低くなる位置で旋削が開始されるようになっている。該切込み送り量は、加工開始位置A2となる位置で約8μmに設定され、合成樹脂板10の最大厚みが42μmに、最少厚みが12μmになるようにしている。チャックテーブル7のY軸方向における移動速度は、たとえば、14〜15mm/secで設定され、該バイト加工は、バイト43の切り刃が合成樹脂板10の上面10aをY軸方向で完全に通過した時点で完了し、バイト加工が完了したならば、バイトホイール42が上昇させられ、合成樹脂板10’がバイト加工終了位置A3に移動させられる。
図3(a)は、バイト加工前の合成樹脂板10の側面図を示し、図3(b)は、バイト加工後の合成樹脂板10’の側面図を示している。図3(a)、及び図3(b)から理解されるように、バイト加工工程を実施することで、合成樹脂板10の上面10aが旋削装置2によって水平に旋削され、バイト加工後の合成樹脂板10’が得られる。
本実施形態では、図3(b)において2点鎖線で示すように、合成樹脂板10の上面10aがチャックテーブル7の保持面7aに対して平行に旋削され、バイト加工後の合成樹脂板10’の上面10’aは、裏面10’bに対して0.015°だけ傾斜した形態となる。すなわち、バイト加工後の合成樹脂板10’の厚みは、上記した傾斜角度と、切込み送り量とによって、最も厚い位置(図中右端部)で42μm、最も薄い位置(図中左端部)で12μmとなる。
図3(c)に、図3(b)に示した合成樹脂板10’の2点鎖線Fで囲った領域を拡大して示す。上記したバイト加工工程によれば、被加工物が合成樹脂板10であったとしても、ムシレ等を発生させることなく合成樹脂板10を薄化する加工を実施することができる。しかし、図3(c)から理解されるように、上記したバイト加工工程によって、加工後の合成樹脂板10’の上面10’aには、140〜150μm間隔で、深さが0.2〜0.3μm程度の凹凸形状からなる縞状の旋削痕100が形成される。よって、バイト加工された合成樹脂板10’の上面10’aを研磨し、旋削痕100を除去して鏡面に仕上げる研磨加工工程を実施する。なお、図3(c)は、説明の都合上、縦及び横方向の寸法比を実際の寸法比に対して変更しており、実際の寸法比に従ったものではない。
(研磨加工工程)
図4、及び図5を参照しながら研磨装置20、及び研磨装置20を用いて実施される研磨加工工程について説明する。
図4、及び図5を参照しながら研磨装置20、及び研磨装置20を用いて実施される研磨加工工程について説明する。
図4には、本実施形態に係る研磨装置20の一部が示されている。研磨装置20は、図に示すように、 ベース22上に配設され前後方向(Y軸方向)に移動可能であり、回転駆動される保持手段を構成するチャックテーブル8と、ベース22の後部側に配設された研磨ユニット9と、研磨ユニット9を上下方向(Z軸方向)に上下動させる研磨送り機構6とが備えられている。研磨送り機構6は、Z軸方向の軸心を有するボールねじ60を回動させるパルスモータ62と、内部のナットがボールねじに螺合して底部がガイドレール61に摺設する可動板63とを備えている。研磨送り機構6は、パルスモータ62がボールねじ60を回動させると、これに伴い可動板63がガイドレール61にガイドされてZ軸方向に上下動する構成となっている。研磨ユニット9は可動板63に取付けられており、可動板63の上下動に伴い研磨ユニット9がZ軸方向に研磨送りされる。
研磨ユニット9は、スピンドル90と、スピンドル90を回転させる図示しないサーボモータを内蔵する駆動機構91と、スピンドル90の下端部に装着されたホイールマウント92と、ホイールマウント92に基台93を介して装着される研磨パッド94と、を備えている。スピンドル90の中心には、スピンドル90を上下に貫通して遊離砥粒(スラリー)Sを研磨パッド94に供給するスラリー供給路95が形成されており、スラリー供給路95の上端には、遊離砥粒Sを導入するための、スラリー導入口96が形成されている。
研磨パッド94は、たとえば発泡ウレタンシートで構成され、基台93の下面に両面テープ等の接着手段により接着される。研磨パッド94の中央には、図5に示すように、開口部94aが形成されており、スラリー供給路95を介して、この開口部94aから研磨パッド94による被加工物の研磨面に対して遊離砥粒Sが供給される。研磨パッド94は、所定時間使用された後、基台93から剥がされ、新しい研磨パッド94に交換することができる。
チャックテーブル8は、図示しない回転駆動手段によって回転可能に構成されると共に、図示しないチャックテーブル移動手段によって、被加工物をチャックテーブル8に載置する載置域と、研磨パッド94と対向し研磨加工が施される研磨域との間で移動させられる。なお、図には示されていないが、スピンドル90の中心において上下方向に貫通する空間にスラリー供給路95となる別部材としての管を挿入して、スラリー供給路95とすることも可能である。
スラリー導入口96には、遊離砥粒Sをスラリー導入口96に導入する図示しないスラリー導入手段が接続される。該スラリー導入手段は、遊離砥粒Sが貯蔵されるスラリー貯蔵タンクや、スラリー貯蔵タンクから遊離砥粒Sを吸引して吐出するスラリー圧送ポンプ、さらに、遊離砥粒Sの導入量を制御するスラリーコントロールバルブ等を備えている。本実施形態において使用される遊離砥粒Sは、たとえば、化学機械研磨(CMP:chemical mechanical polishing)スラリーであり、より具体的には、粒径が0.1μm以下のアルミナ(Al2O3)10〜20wt%、水酸化カリウム(KOH)1〜2wt%、及び水(H2O)89〜78wt%で構成される。なお、遊離砥粒Sは、被加工物である合成樹脂板10を形成する素材に応じて周知のCMPスラリーから適宜選択される。研磨装置20は、概ね上記したとおりの構成を備えており、上記したバイト加工工程に続いて実施される研磨加工工程について、以下に具体的に説明する。
バイト加工工程を経て、上面が旋削された合成樹脂板10’を支持する一体化ユニット16’を、研磨装置20のチャックテーブル8の保持面8aに載置し、図示しない吸引手段を作動させて、吸引保持する。次に、図示しない移動手段を作動し、チャックテーブル8を移動して研磨パッド94と対向する研磨域に位置付けることにより、研磨パッド94の直下にチャックテーブル8に吸引保持された合成樹脂板10’を位置付け、平面視で、研磨パッド94の中心と、チャックテーブル8の中心(=合成樹脂板10’の中心)とをずらした状態とする。
上記したように、研磨パッド94の直下にチャックテーブル8を位置付けたならば、図5(a)に示すように、研磨パッド94を合成樹脂板10’の上面10’aに所定の力で押圧しつつ、上記した図示しないスラリー導入手段を作動させて、スラリー供給路95に遊離砥粒Sを導入する。スラリー供給路95に導入される遊離砥粒Sの流量は、遊離砥粒Sの表面張力によってスラリー供給路95の内壁を伝って研磨パッド94の開口部94aに達し、研磨パッド94の開口部94aから被加工物に遊離砥粒Sが少しずつ供給される程度の所定の流量(例えば、0.1L/分)に設定される。このようにして、スラリー供給路95を介して、研磨パッド94と合成樹脂板10’の上面10’aとの境界部に対して遊離砥粒Sを供給するのと同時に、スピンドル90を、たとえば、矢印R2で示す方向に1000rpmの回転速度で回転し、同時に、図示しない回転駆動手段を駆動してチャックテーブル8を、たとえば、矢印R3で示す方向に500rpmの回転速度で回転し、合成樹脂板10’の上面10’aを2μm程度研磨する。これにより、図5(b)に示すように、バイト加工工程において形成された旋削痕100を除去して鏡面10”aとすることができる。
上記した研磨加工により研磨される合成樹脂板10’は、上面10’aが2μm程度研磨されて旋削痕100が除去され、上面10’aが鏡面10”aとされた合成樹脂板10”となる。研磨加工後の合成樹脂板10”は、図5(b)に示されているように、傾斜方向Pにおいて0.015°の傾斜が付与されており、最も厚い位置で40μm、最も薄い位置で10μm程度の厚みとなる。以上により、研磨加工工程が完了したならば、保持治具12から合成樹脂板10”が取り出されて洗浄され、次工程に搬送される等して、液晶素材の光学部品として使用される。
上記した実施形態によれば、バイト加工工程を経て研磨加工工程を実施していることから、バイト加工工程によって合成樹脂板10を薄化する際に表面の欠損、窪み等のムシレを生じさせることがなく、研磨加工工程を良好に実施することができ、合成樹脂板10から光学部品を形成する際の加工性が向上する。また、加工前の合成樹脂板10を、加工後に得ようとする合成樹脂板10の所望の形態と同一角度だけ傾斜した保持治具12を介して支持部材14によって支持することにより、合成樹脂板10の下面10bに対して上面が所定の角度だけ傾斜した形態を呈する光学部品を容易に得ることができる。
なお、上記した実施形態では、合成樹脂板10の上面10aをバイトの切り刃によって旋削するバイト加工工程を実施し、バイト加工工程の後に研磨加工工程を実施する例を示したが、これは、上記したバイト加工工程の前に、研削加工工程等の他の工程を実施することを除外するものではない。加工前の合成樹脂板10の厚みが、仕上がりの所望の厚みに対して相当厚い場合は、バイト加工工程の前に、研削砥石による研削工程を実施して、研削工程によって発生するムシレが、バイト加工工程によって除去できる程度まで薄くしてからバイト加工工程、及び研磨加工工程を実施してもよい。
上記した実施形態では、旋削装置2、研磨装置20の保持手段として配設されたチャックテーブル7、チャックテーブル8の保持面7a、保持面8aに支持部材14、保持治具12を介して合成樹脂板10を保持している。しかし、本発明において合成樹脂板10を保持手段によって保持する形態はこれに限定されず、合成樹脂板10を所望の厚みに加工する際に、傾斜を有する形態とする必要がない場合(全面に亘り均一の厚みとする場合)は、保持治具12を全面に亘り均一の厚みであるものとするか、又は、保持治具12を使用せずに支持部材14に直接支持させることができる。さらに、各チャックテーブル7、チャックテーブル8の保持面7a、保持面8aが吸引手段によって吸引保持する手段を持たず、単なる平坦面で構成され、たとえば、ワックスダウン処理等によって合成樹脂板10を直接保持できる場合は、合成樹脂板10を保持手段に直接的に保持する形態としてもよい。
2:旋削装置
4:旋削ユニット
5:切込み送り手段
6:研磨送り機構
7、8:チャックテーブル
9:研磨ユニット
10:合成樹脂板
12:治具
14:支持部材
16:一体化ユニット
20:研磨装置
40:スピンドル
43:バイト
90:スピンドル
91:駆動機構
92:ホイールマウント
94:研磨パッド
95:スラリー供給路
96:スラリー導入口
100:旋削痕
4:旋削ユニット
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94:研磨パッド
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96:スラリー導入口
100:旋削痕
Claims (3)
- 合成樹脂板を所望の厚みに加工する合成樹脂板加工方法であって、
合成樹脂板を保持手段によって保持し、該合成樹脂板の上面を露出させバイトの切り刃によって該上面を旋削するバイト加工工程と、
バイト加工された合成樹脂板の上面に遊離砥粒を供給して研磨パッドによって研磨し、バイト加工による旋削痕を除去して鏡面に仕上げ、所望の厚みとする研磨加工工程と、
から少なくとも構成される合成樹脂板加工方法。 - 合成樹脂板の所望の厚みは、該下面に対して該上面が所定角度傾斜する形態を呈し、
該バイト加工工程において、該形態と同一の所定角度傾斜した保持治具を該保持手段の保持面と合成樹脂板の下面との間に配設し、該バイトの切り刃を該保持手段の保持面に対して平行に移動して合成樹脂板の上面を旋削する請求項1に記載の合成樹脂板加工方法。 - 該合成樹脂板は、透明のポリエチレンテレフタレートからなる板である、請求項1、又は2に記載の合成樹脂板加工方法。
Priority Applications (1)
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- 2018-05-15 JP JP2018093622A patent/JP2019198908A/ja active Pending
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