JP2003524468A - 筋電気信号を評価しアーティファクトを特定するための方法及び装置 - Google Patents

筋電気信号を評価しアーティファクトを特定するための方法及び装置

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Abstract

(57)【要約】 検出された筋電気活動を示す信号におけるアーティファクトを特定する装置及び方法が提供される。この方法には、第1の信号(15)をある時間にわたって取得する電極(12)を設けることが含まれる。第1の信号は、生体の腹腔内の内臓から生成される。第1の信号は、アーティファクトによる疑似信号を含む。センサ(22)は、第1の信号が取得されるのと同時に、第2の信号(26)を取得する。第2の信号は、生体の呼吸機能を示すものであり、アーティファクトを示す疑似信号を含んでいる。第1及び第2の信号は同時に記録される。アーティファクトの発生は、特定のタイムフレームの間に記録された第1及び第2の信号の両方における不規則性を知ることによって特定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の背景) 本発明は、一般的には色々の疾患の診断を助けるため、組織からの筋電信号を
モニターする方法と装置に関する。本発明のシステムの一般的な用語は、腹腔内
の色々の組織からの筋電活動を測定する内臓筋電図(electroviscerogram)(E
VG)システムである。特に、本発明は、胃筋電図(EGG)の使用と、胃筋電
図を解析して、機能的な消化不良、及び胃腸と尿路の他の機能的又は神経筋の疾
患に伴う記録された信号を診断することに関する。 吐き気は、はっきりせずときには「胃の病気」と記述するのが困難であるが、
吐き気が重くなると嘔吐したくなることがある。吐き気は、衰弱し憂鬱になる症
状である。吐き気と嘔吐は、色々の病気と疾患を伴う急性の限定された症状とし
て存在するかもしれない。吐き気と嘔吐により患者を診断する家庭医、内科医、
胃腸病専門医にとって、考慮すべき原因は多くある。特に吐き気と嘔吐が慢性的
になれば、胃腸病専門医は、このような患者を診るように頼まれることがある。
胆嚢、膵臓の超音波、上部内視鏡、腹部CAT走査等の標準検査が正常であるか
、又は経験的な治療により症状が緩和されないと、これらの患者は扱うのが難し
い。
【0002】 胃の疾患を診断するのに、胃筋電図が用いられてきた。しかし、典型的にはE
GG信号には、患者の移動、呼吸等による疑似の(偽の)信号が存在する。これ
らの疑似信号は、EGG信号を解析するのに使用する信号からは除くべきである
。典型的には、心電図(EKG)信号等の疑似信号は、EGG信号を濾波するこ
とにより除去される。しかし、ある例では、疑似信号は、対象とする周波数範囲
で起こる呼吸信号である。
【0003】 従って、疾患の診断を助け、疑似信号を正確に識別し除去するため、胃又は他
の腹腔内組織からの筋電信号を評価する方法と装置の必要性がある。 (発明の概要) 本発明の1つの目的は、上述した必要性を満足することである。この目的は、
本発明の原理によれば、検出された筋電気活動を示す信号を処理するためのシス
テムを提供することにより得られる。このシステムは時間にわたって第1信号を
得るための電極を含む。第1信号は生体の腹腔内の内蔵から発生され、そしてア
ーティファクトの結果としての擬似信号をも含み得る。センサーは、第1信号が
得られるのと同時的に第2信号を得る。第2信号は生体の呼吸機能を示し、そし
て身体又は四肢の動きなどのアーティファクトを示す擬似信号を含む。プロセッ
サは、第1及び第2信号の両方にアーティファクトが存在しない時に発生する第
1信号を解析する。
【0004】 本発明の別の観点によれば、検出された筋電気活動を示す信号中のアーティフ
ァクトを識別する方法は、 時間にわたって第1信号を得るための電極を設け、第1信号は生体の腹腔内の
内蔵から発生され、そして第1信号はアーティファクトの結果としての擬似信号
を含み、 第1信号が得られるのと同時に第2信号を得るためのセンサーを設け、第2信
号は生体の呼吸機能を示しそしてアーティファクトを示す擬似信号を含み、 第1及び第2信号を同時的に記録し、 特定のタイムフレーム内で記録された第1及び第2信号の両方の中の不規則性
に注目することにより、アーティファクトの発生する時を識別する、 ことを含む。
【0005】 本発明の別の観点によれば、人の胃の筋電気活動を監視する方法は、 時間にわたって胃から複数の第1アナログ信号を得るために人の腹部に電極を
装着し、第1アナログ信号はアーティファクトの結果としての擬似信号を含み、 第1アナログ信号が得られるのと同時に複数の第2アナログ信号を得るために
人にセンサーを装着し、第2アナログ信号は人の呼吸機能を示しそしてアーティ
ファクトを示す擬似信号を含み、 第1及び第2アナログ信号が同時に記憶されている時、胃の電気的収縮性活動
を刺激するために実質的に胃が満たされるまで、人が特定のタイムフレーム内で
水を飲み、 水の飲み終えた後、ある時間の間、第1及び第2アナログ信号を同時に記録し
続け、 特定のタイムフレーム内で、第1及び第2アナログ信号の両方の中の不規則性
に着目することにより、第1及び第2信号の記録の間、アーティファクトの発生
を識別し、 第1アナログ信号をデジタル信号に変換し、 アーティファクトが存在しない時に発生するデジタル信号を解析する、 ことを含む。
【0006】 本発明のさらに別の観点においては、人の胃の筋電気活動を記録するのに使用
するキットが提供される。このキットは、複数の使い捨て電極と、さまざまな時
間において選ばれた症状の強度を記録するための視覚アナログ目盛りと、2つの
わき水の1リットルびんであって、びんから飲まれた水の量を正確に測定するた
めにミリ・リットルの記録を各々有するびんを含む。
【0007】 本発明のその他の目的、特徴、及び特性は、構成の関連要素の機能と操作方法
、部品の組合せ、及び製造の経済性と同様に、本明細書を構成する添付した図面
を参照した以下の詳細な説明及び特許請求の範囲の記載を読むことにより、より
明らかとなる。 (例示的な実施形態の詳細な説明) 図1を参照する。本発明の原理に従って提供されるシステムが、一般的に10
で示されており、これは、臓器からの筋電信号をモニタして、種々の疾患の診断
の補助を行う。本発明のシステム10の一般的用語は、内臓筋電図(EVG)シ
ステムであり、これは、腹腔内の種々の臓器からの筋電活動を測定する。この装
置は、関心のある選択された臓器からの電気的活動を記録するために、腹部の関
連する領域の上に設置されたEKG型電極を使用する。
【0008】 EVGシステムは、以下の記録を提供する様に設計された装置の一群を含む。 1)電気胃測定(EGG) −−胃からの筋電活動 2)電気十二指腸測定(EDG) −−十二指腸からの筋電活動 3)電気腸測定(EIG) −−小腸からの筋電活動 4)電気S状結腸測定(ESSG) −−S状結腸及び結腸の他の領域からの筋
電活動 5)電気嚢測定(EVEG) −−尿膀胱からの筋電活動、及び 6)電気卵管測定(EFG) −−卵管からの筋電活動 図示された実施形態において、システム10は、電気胃測定(EGG)として
構成されている。特に、EGG信号は、胃の筋電活動を反映する皮膚表面から記
録される生体電気信号である。
【0009】 システム10は、絶縁ケーブルを介して、増幅器14に接続された少なくとも
銀−塩化銀電極12から成る。図3に示される様に、電極#1は、左肋軟骨の縁
の略2インチ(5.08センチ)下の鎖骨中央線(左側)に位置している。電極
#2は、剣状突起と臍との間の中点上に位置している。電極#3は、電極1及び
2によって形成されたライン及び鎖骨中央線(右側)から右肋軟骨の縁の一般的
に2インチ下の点に至るラインの上に設置される。電極#3は、基準又は「グラ
ンド」電極である。電極12は、生のアナログEGG信号を反映する。増幅器1
4は、生体増幅器であり、アナログEGG信号を増幅するのに使用される。増幅
されたEGG信号15は、ストリップチャートレコーダ16の上位チャネル(図
2)に、ハードコピーのために送られる。更に、増幅されたEGG15は、ソフ
トウエア解析のためのアナログEGG信号のデジタル化のためにコンピュータ2
0のA/Dコンバータ18に送られる。図示された実施形態において、A/Dコ
ンバータ18は、コンピュータ20のカードである。A/Dコンバータ18は、
コンピュータ20から分離された装置とすることができることは理解し得よう。
【0010】 本発明の特徴及び利点は、図面を参照する以下の記載から当業者ににとって明
瞭であろう。
【0011】 増幅器14は従来の生理的増幅器である。この増幅器のフィルタ特性は、1〜
15サイクル/分(cpm)の適当な周波数レンジを有するどのような生物学信
号も記録及びデジタル化のために確立ウィンドウを通過させるように調整されて
いる。これらのフィルタレンジは、胃筋電図(EGG)信号を記録することに生
理的に関連するレンジを含む。
【0012】 本発明によれば、呼吸ベルト22が設けられており、この呼吸ベルトは患者の
上部の胸(アームピット(腕のくぼみ)の下)に快適な状態でなじむ。増幅器2
4は好ましくは従来の圧力トランスジューサ増幅器であり、これは、呼吸ベルト
22からのアナログ呼吸信号を増幅するために使用される。増幅された呼吸信号
26は、帯形記録計(図2)の低位チャネルに送られる。ストリップチャートペ
ーパー27は、1分間隔で付されるマークを伴って印刷される。一旦、呼吸信号
26とEGG信号15の記録が開始されると、各「分」をストリップチャートペ
ーパーに手で番号付けしなければならないが、この機能は後に説明する。更に、
増幅されたアナログ呼吸信号26は、コンピュータ20のA/Dコンバータ18
に送られ、デジタル信号に変換される。呼吸信号26は、呼吸活動を記録するた
めに用いられ、また、呼吸の変化は、現在記録されているEGG信号15におけ
るアーティファクト(スプリアス信号状態)を反映する。更に言えば、呼吸信号
26の検査によって、オペレータはEGG信号における以下の重要なアーティフ
ァクトを検出することができる。
【0013】 1)患者の肢又は胴の運動によって生じる、EGG信号におけるアーティファ
クト 2)深呼吸、ため息、咳き、おしゃべりのような呼吸運動によって生じる、E
GG信号におけるアーティファクト 3)速い状態の胃(tachygastria)と一致するが実際には遅い呼吸信号であっ
て、10サイクル/分(cpm)よりも小さな律動信号である、EGG信号にお
ける呼吸アーティファクト 4)十二指腸周期と一致するが実際には呼吸信号であって、10cpmよりも
大きな律動信号である、EGG信号における呼吸アーティファクト アーティファクトの検出を以下により詳細に説明する。
【0014】 確実且つ再現可能なEGG記録のために、患者は、EGG記録工程を開始する
2時間前に、8オンスのリンゴジュースと2切れの乾いたトーストを摂取して準
備する。その後、患者はセッションの直前2時間は絶食するものとする。複数の
患者を完全に一致させる場合には、筋電性若しくは収縮性活動を生み出す薬剤(
例えば、麻酔薬、プロキネティック(prokinetic)剤は記録前の48時間は中止
するものとする。
【0015】 以下の実用的な点が、高質のEGG記録を保証する助けとなる。 1)やわらかな光とした静かな部屋でEGGを記録すること。 2)大きな雑音や気の散る音声を回避すること。 3)患者を心地よい椅子若しくはリクライニングチェアに位置づけること。 4)腕と肢を静止したままとし、特に、素早い体の運動を避けるよう患者に命
ずること。 5)患者は記録中はおしゃべりを避けるものとする。
【0016】 一旦患者に記録のための準備をさせたらなら、EGG信号の記録を開始するこ
とができる。ストリップチャートは、EGG信号15と呼吸信号26を同時に記
録する。上述したように、経過時間の各「分」を示すためにストリップチャート
ペーパー上にマークがある。コンピュータ20にて、オペレータはソフトウェア
を実行して、EGG信号15と呼吸信号26をデジタル化することができる。こ
のプログラムは、チャートペーパー27上部のマークによって示されているよう
に、ストリップチャート上のデータの新たな「分」の記録と可能な限り接近する
ように一致させて実行されるものとする。これはEGG信号15のデジタル化を
開始する。オペレータは、ストリップチャートペーパー27上の最初の「分」に
0を記し、この時点から記録セッションの終わりまで、チャートペーパー27上
に経過「分」を直接記録し続けるものとする。2個〜4個のチャネルが定期的に
デジタル化される。
【0017】 記録を行っている間中、オペレータは患者を継続的に観察し、EGG信号にア
ーティファクトを作り出してしまうような、肢の運動や、おしゃべりをしたこと
、咳きをしたことのような、いずれの事象をも書き留めておかねばならない。い
ずれのアーティファクトも、通常は、EGG波(信号)の輪郭における突然の変
化として明白であり、これらのEGG波の輪郭は、EGG信号15を目盛りの外
に動かしてしまったり、鋭角的に変形させてしまうようなゆがみを伴う。アーテ
ィファクトはしばしば、しかし常にではないが、呼吸チャネルで同時妨害を受け
る。記録セッション中にストリップチャートペーパーに成された記録は、後に再
検討し、データ解析によってアーティファクトを排除する。この基線、即ち、記
録の食前部分は、使用可能なデータの約15分を得るために継続されるものとす
る。
【0018】 一旦ベースラインデータが記録されると、以下に記述されているように、水負
荷テストが行われる。EGG記録は、患者が水を摂取している間、中断されない
【0019】 本発明に従って提供される水負荷テストは、胃の電気収縮活動を刺激する、刺
激的な事象を提供する。患者は、一つの32オンスの水の容器を与えられ、、彼
あるいは彼女のお腹が“一杯”と感じるまで、5分間以内でその水を飲むことに
なる。患者は全ての32オンスの水を消費する必要は無い。しかし、幾人かの患
者が“一杯”と感じるように、別の32オンスの水の容器の部分が必要である。
水負荷テストによって、胃の活動のための、そして引き続く筋電気的活動のため
の、カロリーの無しの物理的容積が得られる。オペレータは、グラフ用紙上に、
その全期間中、飲む作業の開始及び終了時間を記録する。そして、消費された水
の量をオンス及びmlで、グラフ用紙上に記録する。水負荷テストの前と後で、
いくつかの症状(吐き気, 満腹,お腹の膨張感,及び胃内ガス貯留)が記録される
。それらの症状の強さが、視覚的なアナログの目盛上で記録される。
【0020】 水負荷テスト中の細長いグラフの例が、図4に示される。これから分かるよう
に、呼吸信号26チャンネルの妨害は、EGG信号15の定量的変化と、振幅及び頻
度の双方で一致する。この例では、15分と16分は、引き続く計算から除外される
べきである。EGG記録は、水負荷の摂取が完了した後、更に追加の30分間継
続する。人為現象を生成しうる事象のために、オペレータは、患者の観察を継続
し、それらの発生をグラフ用紙上に記録する。図5は、呼吸チャンネル26で患者
が、EGG信号15を妨害せずに、彼の足を動かしたことを示す、細長いグラフ用
紙を示す。従って人為現象は何の結果ももたらさなかった。EGG信号15と呼吸
信号26の双方に人為現象が発生する時間帯(分)は、更なる計算から除外される
べきである。しかし、もし、EGG信号15の不規則性が起こり、対応する呼吸信
号26が一定に落ち着いているなら、EGG信号が不規則であった数分間は更なる
計算に含ませ得る。
【0021】 30分後、EGG記録は完了する。コンピュータの内部ハードドライブに格納
された、デジタル化されたEGGファイルは、次のレポートを得るために、専用
ソフトウェアを用いて、今解析される。パワー,パワーの百分率分配,及び、興味
の対象である4つの頻度範囲における比率を含む、要約データシートが生成され
る。
【0022】 1.0-2.5cpm(遅い胃の状態) 2.5-3.75cpm(通常) 3.75-10.0cpm(粘着性の胃の状態) 10.0-15.0cpm(十二指腸)(注:この頻度範囲では遅い呼吸リズムが発生
し得る。) 第一に、生のEGGリズムの(記録グラフからの)記録が、EGGリズム記録
からコンピュータ分析のために適切な時間帯(分)を選択するために、EGG信
号15と対応する呼吸信号26の双方を観察することによって、EGG信号中の人為
行為を特定するために検査される。説明用に、以下の分析は、仮定的な患者“ジ
ョン・ドー氏”(JD)を含む。
【0023】 基準(準備)期間 生のEGG記録が、EGG信号中の明らかな人為動作(の区別)のために、一
分毎に検討される。上述のように、これらの人為行為は、EGG信号15及び呼吸
信号24が、チャンネルの上限あるいは下限の目盛を飛び越えた場合、あるいは、
突然の極端な狭い変化が、波動構成内で発生した場合を含む。EGG信号に影響
を与えうる、動作あるいは他の活動を示す、オペレータによる注意もまた検討さ
れる。速い胃の活動の範囲での、これらのEGG頻度が、呼吸頻度でないことを
確認するために、3.75-10.0cpmの範囲のEGG頻度は、呼吸頻度と比較され
る。10-15cpmのEGG信号の頻度のために、EGGと呼吸頻度の類似の比較
が実行される。この計画は、データ解析の目的のために、人為現象を含む数分が
破棄されることを許容する。
【0024】 患者JDでは、第0分から第10分がベースライン記録から選ばれる。このよ
うにアーティファクト(偽信号)のないベースライン記録は10分間であった。
第10〜15分からのベースライン記録の期間が最適である。(少なくとも連続
5分のアーティファクトのないEGG信号がコンピュータ分析のためには必要で
ある。) 水摂取期間 EGG信号の水摂取間隔を次に検討する。一杯まで水を飲むまでに、患者JD
は4分を要した。第11、第12、第13及び第14分の間に、合計1000c
cが摂取された。アーティファクトは、EGG記録のこの期間の間にほとんどい
つも発生し、そのため、これらの分(ふん)については分析から除外されること
になる。
【0025】 水摂取後の期間(食後の期間) 水摂取が完了した後、EGG信号の3つの連続10分の期間を分析することに
なる。アーティファクトは、これらの分(ふん)の期間の間のいずれの時におい
ても発生し得るので、コンピュータ分析のために選択される実際の分(ふん)は
、それぞれの期間について10分未満であればよい。EGGリズムのストリップ
(strip)を、これらの食後の期間について、これから検討する。最初の食後の1
0分の期間は、第15から第24分を含んでいる。図示の例では、EGG信号は
安定であり、動作によるアーティファクト(movement artifact)が認められた第
24分を除きアーティファクトは見られなかった。このようにして、第15から
23分がコンピュータ分析のために選ばれる;第24分は除外される。
【0026】 第2の10分の期間(すなわち水摂取後の第10から20分)は、第25から
34分を含んでいる。第25及び26分はアーティファクトを含んでおり、その
ため選択されていない。コンピュータ分析のために選択された分(ふん)は、第
27から33分である;第34分は、ストリップチャート紙に反映されているよ
うに、咳を原因とするアーティファクトを含んでいるため、それは除外される。
【0027】 最後に、第3の10分の期間(すなわち、水摂取後の第20から30分)は、
第35から44分を含んでいる。コンピュータ分析のプログラムは、計算上の理
由から、通常最後の1〜2分を削除するということに注意が必要である。このよ
うに、合計42〜43分がコンピュータ分析のために利用可能である。EGG信
号のこれらの分(ふん)にはアーティファクトは存在しなかった。従って、コン
ピュータ分析のために、第35から43分が選択されることになる。
【0028】 要約して、生のEGGリズムのストリップ及び呼吸の信号の検討の後に、検討
から除外されたEGG信号の分(ふん)、及び上記の例についてのコンピュータ
分析のために選択されたEGG信号の分(ふん)を、図6にチャート形式で示す
。またそれは、以下のようにいえる: 食前のベースラインには、第0から10分を選択、 水の摂取、アーティファクト;第11から14分を除外、 食後は第15から23分を選択、 アーティファクト:第24分を除外、 アーティファクト:第25及び26分を除外、 食後は第27から33分を選択、 食後は第35から43分を選択。
【0029】 EGG信号15のA/D変換の間に生成されたデータファイルは、EGG信号
に含まれる周波数の分析であるフーリエ変換(FT)にかけられる。そのFTが
計算され、次に3次元プロットであるRSA(Running Spectral Analysis)とし
て再計算される。選択された周波数帯におけるパワーのパーセンテージの計算は
、EGG分析システム10を通じて生成されるレポートである。EGGデータは
、公表されそして多くの臨床研究者がそれに従っている4つの主要な周波数範囲
に表わされる。その周波数範囲とは、例えば、通常状態(normal)(2.5から3
.75cpm)、緩慢胃状態(bradygastria)(1.0から2.5cpm)、急速
胃状態(tachygastria)(3.75から10.0cpm)、及び十二指腸−呼吸状
態(duodenal-respiratory)(10.0から15.0cpm)である。これらの範
囲のデータは、以下の4つの方法で記述される:1)生のパワー(log μV2 );2)上述の特定の範囲のパワーのパーセンテージ分布;3)食後から食前の
パワーに基づいたパワーの比率;そして最後に4)擬似3次元フォーマットで表
わされるEGG記録のRSA。
【0030】 このように、一旦EGG信号に基づいてRSAが展開されると、RSAが分析
され、解釈される。アーティファクトは、他のピークと比較して明らかに目立つ
広帯域で高パワーの輪郭として、又は同じ時間の期間内に多くの異なるピークを
有する鋸歯状の型の輪郭として現れる。これらのアーティファクトのピークが発
生するところの分(ふん)は、生EGG記録中にアーティファクトが発生したと
ころの分(ふん)と比較される。次に生データセットの中のアーティファクトの
分(ふん)は削除され、新しいアーティファクトのない(あるいはアーティファ
クトが減少した)RSAを取得するためにプログラムが再び実行される。EGG
データの元のデジタル化されたファイルは、完全なままでセーブされる。次に新
しいRSAが、定性的な方法、すなわち通常状態、急速胃状態、緩慢胃状態、水
(の摂取)の前後の混合急速不整脈状態(mixed tachyarrhythmia)のパターン、
の負荷試験で再検討されて解釈される。その解釈は、以下においてより完全に説
明するように、RSA中のピークが位置している周波数、生アナログEGG信号
、及びパーセンテージ分布に基づくものである。
【0031】 図7〜11は、胃の律動異常(gastric dysrhythmias)に関連するRSAを図で
表わす。図7は、水を飲む前後の健康な患者から記録した通常のEGG記録のR
SAを示す。図8は、機能的な消化不良症(dyspepsia)を持つ患者から記録した
、低振幅の緩慢胃状態(Bradygastria)のRSAを示す。図9は、機能的な消化不
良症を持つ患者から記録した、高振幅の緩慢胃状態(Bradygastria)のRSAを示
す。図10は、特発性の胃不全麻痺(idiopathic gastroparesis)を持つ患者から
の急速胃状態(Tachygastria)のRSAを示す。図11は、胃の排出閉塞症(gastr
ic outlet obstruction)を持つ患者からのRSAを示す。
【0032】 次に、EGG信号15の量的な解釈は、周波数1〜5cpmの全域にわたるE
GG電力の百分率分布を用いて実行される。電力の百分率分布は、計算された後
、グラフにプロットされる。このグラフは、上述した4つの範囲、すなわち、正
常周波数、急速性胃状態(bradygastria)周波数、緩慢性胃状態(tachygastria
)周波数および十二指腸呼吸性の周波数についての水負荷試験前ならびに該試験
の30分後において、通常の範囲のEGG百分率分布(平均±1SD)を有する
。摂取される水の容量もまた記録される。個々の患者のデータは、正常な患者の
範囲と対照させてプロットされる。これらのプロットに基づいて、正常なEGG
、緩慢性胃状態、急速性胃状態または混合性律動異常の診断がなされる。臨床的
EGGの記録および解釈を行う際には、生のEGG信号を高品質となるよう記録
すること、ならびに、呼吸信号比較、人工産物を除去するRSA、および、関連
した周波数範囲におけるEGG電力の百分率分布の分析を用いて信号における人
工産物を適切に認識することが必要となる。
【0033】 よって、システム10は、以下に示す3つの機能を実行する。 1)呼吸信号の随伴性の記録のために解釈することが可能な生のEGG信号を生
成すること。 2)人工産物のEGG信号が認識および除去されるので、解釈することが可能な
RSAを行うこと。 3)EGG信号の臨床解釈のために患者および被験者(control subjects)につ
いての百分率分布を生成すること。
【0034】 ストリップチャート16に表示されるような呼吸信号26および対応するEG
G信号15に不規則性を検出することに関して、人工産物を検出する方法を説明
してきたが、呼吸信号26およびEGG信号15は、A/D変換器18ひいては
コンピュータ20に送られるので、人工産物の決定をコンピュータ20において
実行できる、ということを認識することができる。例えば、コンピュータソフト
ウェアは、呼吸信号26および対応するEGG信号15を受信することができ、
許容振幅および周波数と、信号15および26の振幅および周波数との比較に基
づいて、人工産物を決定することができる。さらに、信号(波形)15および2
6をコンピュータのモニタに表示させることができるので、人工産物が現われれ
ば、該人工産物を表示することができる。
【0035】 図12を参照するに、本発明によれば、全体を50と示した、EGG記録で用
いるための試験キットが提供される。EGG試験キット50は、水負荷試験を用
いてEGG試験を実行するために用いられる、使い捨て構成要素を含む。実行す
るEGG試験毎にこれらの構成要素を用いることが、EGG記録の信頼性および
再現性を高めることに寄与する。このキットは、1)5つの使い捨て高品質電極
12、2)水負荷の摂取前後における、選択された症状の顕著さ(intensity)
を記録するための視覚式アナログスケール52、3)水負荷試験中に消費される
水の容量を正確に記録するために、20ml毎にmlマークが記録された、わき
水を含んだ2つの1リットルボトル54、を含む。消費される水の容量を記録す
るためのはがせる接着ラベル56もまた、患者のEGG記録またはEGGレポー
トにおいて配置するためのボトルそれぞれに、貼り付けられる。また、わき水の
水源および味の一貫性が、全EGG記録について確実に保たれている。炭水化物
、たんぱく質、脂肪またはその他の材料に対する胃(腸または結腸)の特定反応
を試験するために、様々な栄養素またはその他のマーカ(marker)を、別々にわ
き水に付与および添加してもよい。
【0036】 本発明の一実施形態を参照して本発明を説明してきたが、当業者は、本発明の
本質的な思想および範囲から逸脱することなく、上述した本発明の実施形態に対
して様々な変更を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の原理に従って提供されるEGGシステムの概略図、
【図2】 図1のシステムによって得られるストリップチャートチャネルからのデータ図
であり、EGG信号を記録する上位チャネル及び同時に呼吸信号を記録する下位
チャネルを示している。
【図3】 人の腹部とその上の本発明に従っての電極の設置を図示する。
【図4】 患者が水を摂取している間のEGG信号におけるアーチファクトと、呼吸速度
の対応する変化を示す。
【図5】 EGG信号に重大な変化が無く、呼吸チャネルによって記録された手足の移動
を示す。
【図6】 コンピュータ解析用EGG記録のアーチファクトの識別及び数分間の選択を示
すチャートを示す。
【図7】 被験者が水を飲む前及び後のEGG記録の連続スペクトル解析(RSA)を示
す。
【図8】 機能性消化不良を有する患者から記録された低振幅遅い胃部(Bradygastria)
RSAを示す。
【図9】 機能性消化不良を有する患者から記録された高振幅遅い胃部(Bradygastria)
RSAを示す。
【図10】 特発性胃不全麻痺を有する患者からの速い胃部(Tachgastria)RSAを示す
【図11】 幽門閉鎖を有する患者からのRSAを示す。
【図12】 本発明に従うEGGを達成するに使用するための物品を含むキットを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,UZ,VN,YU,ZA,ZW

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筋電気活動の検出を示す信号を処理するシステムであって、 ある時間にわたり生体の腹腔内の内臓からアーティファクトによる疑似信号を
    含む第1の信号を取得する電極と、 第1の信号が取得されるのと同時に、生体の呼吸機能を示すとともにアーティ
    ファクトを示す疑似信号を含む第2の信号を取得するセンサと、 第1及び第2の信号の両方にアーティファクトは存在しないと決定されたとき
    に現れる第1の信号を解析するソフトウェアを含んだプロセッサと、 を有するものであるシステム。
  2. 【請求項2】 さらに、疑似信号を含む第1及び第2の信号を受信し表示す
    るレコーダを含むものである、請求項1に記載のシステム。
  3. 【請求項3】 前記レコーダはストリップチャートレコーダである請求項2
    に記載のシステム。
  4. 【請求項4】 プロセッサはコンピュータである請求項1に記載のシステム
  5. 【請求項5】 第1の信号はアナログ信号であり、このアナログ信号をディ
    ジタル信号に変換するとともに、プロセッサでディジタル信号を解析するもので
    ある、請求項4に記載のシステム。
  6. 【請求項6】 A/D変換器がアナログ信号を変換するものである請求項5
    に記載のシステム。
  7. 【請求項7】 第2の信号はアナログ信号であり、このアナログ信号をディ
    ジタル信号に変換するものである、請求項1に記載のシステム。
  8. 【請求項8】 センサは、生体の胸部に備え付けられるよう構成され調整さ
    れた呼吸ベルトの一部である、請求項1に記載のシステム。
  9. 【請求項9】 少なくとも三つの電極が設けられている、請求項1に記載の
    システム。
  10. 【請求項10】 さらに、第1及び第2の信号を増幅する増幅器を有してい
    る請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 検出された筋電気活動を示す信号におけるアーティファク
    トを特定するための方法であって、 ある時間にわたり生体の腹腔内の内臓からアーティファクトによる疑似信号を
    含む第1の信号を取得する電極を設ける工程と、 第1の信号が取得されるのと同時に、生体の呼吸機能を示すとともにアーティ
    ファクトを示す疑似信号を含む第2の信号を取得するセンサを設ける工程と、 第1及び第2の信号を同時に記録する工程と、 特定のタイムフレームの間に、記録された第1及び第2の信号の両方における
    不規則を知ることによって、アーティファクトが起こった時を特定する工程と、 を含む方法。
  12. 【請求項12】 第1の信号を取得するステップは、胃から筋電気信号を取
    得することを含んでいる請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 記録するステップは、第1及び第2の信号をストリップチ
    ャートレコーダ上に記録することを含んでいる請求項11に記載の方法。
  14. 【請求項14】 センサは、生体の胸部に接続された呼吸ベルトに設けられ
    ている請求項11に記載の方法。
  15. 【請求項15】 検出された筋電気活動を示す信号を解析する方法であって
    、 ある時間にわたり生体の内臓から、アーティファクトによる疑似信号を含んで
    いる第1のアナログ信号を取得する電極を設ける工程と、 第1のアナログ信号が取得されるのと同時に、生体の呼吸機能を示すとともに
    アーティファクトを示す疑似信号を含む第2のアナログ信号を取得するセンサを
    設ける工程と、 第1及び第2のアナログ信号を同時に記録する工程と、 特定のタイムフレームのあいだに、記録された第1及び第2のアナログ信号の
    両方における不規則性を知ることによってアーティファクトが生じた時を特定す
    る工程と、 第1のアナログ信号をディジタル信号に変換する工程と、 アーティファクトが存在しないときのこのディジタル信号を解析する工程と、 を含む方法。
  16. 【請求項16】 第1の信号を取得するステップは、胃の信号を取得するこ
    とを含んでいる請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 記録するステップは、第1及び第2の信号をストリップチ
    ャートレコーダ上に記録することを含んでいる請求項15に記載の方法。
  18. 【請求項18】 センサは、生体の胸部に接続された呼吸ベルトに設けられ
    ている請求項15に記載の方法。
  19. 【請求項19】 ディジタル信号は、アーティファクトが存在しないときに
    生じるディジタル信号のみを解析するソフトウェアによって解析されるものであ
    る請求項15に記載の方法。
  20. 【請求項20】 人の胃の筋電気活動をモニターする方法であって、 人の腹部に電極を取り付けて、ある時間にわたり、アーティファクトに起因す
    る疑似信号を含む第1のアナログ信号を胃から取得する工程と、 人にセンサを取り付けて、第1のアナログ信号を取得するのと同時に、人の呼
    吸機能を示すとともにアーティファクトを示す疑似信号を含む複数の第2のアナ
    ログ信号を取得する工程と、 特定のタイムフレームにおいて胃が実質的に満たされるまで人が水を飲んで、
    第1及び第2のアナログ信号を同時に記録しながら、胃の電気的な収縮活動を刺
    激する工程と、 水を飲んだ後の一定期間にわたって第1及び第2のアナログ信号を同時に記録
    し続ける工程と、 第1及び第2のアナログ信号を記録している間に、第1及び第2のアナログ信
    号の両方における不規則性を知ることによって、特定のタイムフレームにおいて
    、アーティファクトの発生を特定する工程と、 第1のアナログ信号をディジタル信号に変換する工程と、 アーティファクトが存在しない時間に生じるディジタル信号を解析する工程と
    、 を有する方法。
  21. 【請求項21】 タイムフレームは約5分である請求項20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 第1及び第2の信号はストリップチャートレコーダ上に記
    録され、さらに、チャート上に飲水の開始と終了並びに飲んだ水の量をマークす
    る工程を含んでいる請求項20に記載の方法。
  23. 【請求項23】 人の胃の筋電気活動を記録する際に用いるキットであって
    、 複数の使い捨て可能の電極と、 種々の時刻において選択した症状の強度を記録するための目に見えるアナログ
    メモリと、 飲んだ水の体積を正確に測定するためにmlのマークが記されている、1リッ
    トルのわき水のボトル二つと、 を有するキット。
  24. 【請求項24】 5つの電極が設けられている請求項23に記載のキット。
  25. 【請求項25】 各ボトルは、飲んだ水の体積を記録するための剥がせる接
    着ラベルを含んでいる請求項23に記載のキット。
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