JP2003524129A - マルチリブドｃｖｔベルト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、抗張部材（２０）あるいはコアベルトの周りに設けられた複数のクリップ（１０）を備える。抗張部材は、マルチリブドベルトである。マルチリブドベルトは、この技術分野において利用されるいかなる標準的なマルチリブドベルトであってもよい。クリップは略Ｕ字形を有し、ＣＶＴプーリの側面と協働する、反対側に位置する傾斜した側面を有する。各クリップの反対側に位置する傾斜面は、所定の摩擦係数を得るために、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂あるいはフェノール樹脂の被覆を有してもよい。各クリップは、コアベルトのマルチリブド部分と協働するマルチリブドプロフィールの支持面を有する。クリップはエラストマーバンド（２２，３１）により、マルチリブドベルトに対して適当な位置に保持される。エラストマーバンドは、スロット（１１，１８）を介してクリップ内に固定され、クリップを圧縮する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 この発明は、無段変速機（ＣＶＴ）に用いられるベルトに関し、特にマルチリ
ブドベルトを備える無端部材を有する側面駆動ＣＶＴベルトに関する。

【０００２】 （発明の背景） ギア型変速機が自動車、オートバイ等を走行させるために利用されることが、
この技術分野においてよく知られている。しかしながら、ギア型変速機は一定の
数のギアを有し、一般的に、ギアのひとつにおいて最も効率的に動作するように
設計されており、他のギアはエンジンを低い効率で駆動する。したがって、効率
を改善する目的のため、無段変速機（ＣＶＴ）が好ましい。種々のタイプのベル
トが無段変速機において使用するために開発されてきた。

【０００３】 一般に、ＣＶＴベルトは従来のＶベルトのそれと同様な輪郭形状を有する。特
に、ＣＶＴベルトは上部において広く、下部において狭く、また環状溝を有する
プーリの滑車（sheaves）の間に係合するように設計される。ベルトが掛け回さ
れるプーリは、可動滑車と固定滑車を有し、両者は切頭円錐形状を有する。一般
に、滑車の一方が動き、他方は静止する。

【０００４】 ひとつの滑車が他の滑車に対して移動することにより、ベルトが作動するプー
リの有効径φが変化する。このため、ベルトスピードはプーリの有効径の関数で
あり、プーリの有効径は、滑車の相互間における軸方向位置の関数である。

【０００５】 従来技術におけるＣＶＴベルトは、単一（monolithic）金属ベルトとともに抗
張部材を横切って設けられた複数のブロックを備えるベルトを含む。コグ型ベル
トのいくつかの形状も公知である。

【０００６】 この技術の代表的なものは、ドヘレット等（Douhairet et al.）の米国特許第
5,147,253号明細書に開示され、無端コア（core）の周りに設けられた複数の横
方向リンクを備えるＣＶＴベルトが開示されている。無端コアはＶベルトである
。Ｖベルトはリンクの内面に接触する斜めの壁面を有する。リンクの外部斜面は
変速機プーリのフランジに接触する。この装置は、比較的低い動力伝達性能を有
するＶベルトの使用にのみ適している。さらに、各リンクはＶベルトが各リンク
の底部に当接しないように構成されている。したがってＶベルトは、ベルトが負
荷を受けるとき、リンクの底部に押し込まれる。これは、ベルトのピッチライン
径を変化させ、これにより、ベルトとプーリの間が不適当に係合し、早く損傷す
ることとなる。

【０００７】 また、この技術の代表的なものは、ドヘレット等（Douhairet et al.）の米国
特許第5,242,332号明細書であり、無端コアの周りに設けられた複数の横方向リ
ンクを備えるＣＶＴベルトが開示されている。各リンクはストラップを含み、こ
れにより、各リンクは無端コアに接続させる手段として閉塞可能となる。ストラ
ップはベルトに対して面倒な付加物であり、重量を増加させる。重量はベルトの
作動限界を制限する。無端コアはＶベルトである。Ｖベルトはリンクの内面に接
触する斜めの壁面を有する。リンクの外部斜面は変速機プーリのフランジに接触
する。

【０００８】 従来技術のベルトにおいて、コア部材ベルトは、クリップあるいはブロック内
に強固に保持され、摩耗あるいは損傷したときに交換できない。コア部材ベルト
はベルトの一体的な部分である。コアの損傷により、使用者はベルト全体を交換
しなければならなくなる。

【０００９】 必要なものは、マルチリブドベルトコアを有するマルチリブドＣＶＴベルトで
ある。必要なものは、マルチリブドコアに係合するために対となる形状面を有す
る複数の協働横方向クリップを有するマルチリブドＣＶＴベルトである。必要な
ものは、プラスチックの横方向クリップを有するマルチリブドＣＶＴベルトであ
る。必要なものは、金属成形された横方向クリップを有するマルチリブドＣＶＴ
ベルトである。必要なものは、容易に利用可能なベルトを備えたコア部材を有す
るマルチリブドＣＶＴベルトである。必要なものは、容易に交換できるコアベル
トを有するマルチリブドＣＶＴベルトである。本発明はこれらのニーズに合致す
る。

【００１０】 （発明の概要） 本発明の主な特徴は、マルチリブドベルトコアを有するマルチリブドＣＶＴベ
ルトを提供することである。

【００１１】 本発明の他の特徴は、マルチリブドコアに係合する対となる形状を有する複数
の協働する横方向クリップを有するマルチリブドＣＶＴベルトを提供することで
ある。

【００１２】 本発明の他の特徴は、プラスチックの横方向クリップを有するマルチリブドＣ
ＶＴベルトを提供することである。

【００１３】 本発明の他の特徴は、金属成形された横方向クリップを有するマルチリブドＣ
ＶＴベルトを提供することである。

【００１４】 本発明の他の特徴は、容易に利用可能なベルトを備えたコア部材を有するマル
チリブドＣＶＴベルトを提供することである。

【００１５】 本発明の他の特徴は、容易に交換できるコアベルトを有するマルチリブドＣＶ
Ｔベルトを提供することである。

【００１６】 本発明の他の特徴は、本発明の以下の記載と添付する図面によって明らかにな
るであろう。

【００１７】 本発明は、コア抗張部材の周りに設けられた複数のクリップを備える。コア抗
張部材はマルチリブドベルトである。マルチリブドベルトは、この技術分野にお
いて容易に利用できる標準的なマルチリブドベルトであってもよい。クリップは
略Ｕ字形であり、プーリの側面と協働する反対側に位置する傾斜面を有する。各
クリップは、ベルトのマルチリブド部分と協働する、中間に位置するマルチリブ
ドプロフィール面を有する。各クリップの反対側に位置する傾斜面は、所定の摩
擦係数を与える非金属被覆を有する。クリップはエラストマーのバンドによって
マルチリブドベルトに係合して保持される。エラストマーのバンドは、ベルトの
いずれかの側面のスロットを介して各クリップ内に固定され、これにより、クリ
ップを保持する。

【００１８】 （好ましい実施形態の説明） 図１は本発明の一部の側面図である。図２はクリップの上方斜視図である。ク
リップ１０は相互に近接して配設され、可撓性コア抗張部材すなわちベルト２０
の主軸を横切る。ベルト２０は、動力伝達の技術分野おいて利用できる、いかな
るマルチリブドベルトであってもよい。クリップ１０は略Ｕ字形を有する。各ク
リップ１０は、反対側に位置するスロット１１、１８を有する。クリップ１０の
スロット１１、１８の間およびＵ字形断面内は、支持面すなわち内面１２である
。好ましい実施形態では、面１２はベルト２０が係合する面である。好ましい実
施形態では、マルチリブドのプロフィールは、ベルト２０用として表される（図
３参照）。ベルト２０はまた、同期ベルトのプロフィールを有する同期ベルトあ
るいはＶベルトのプロフィールを有するＶベルトであってもよい。

【００１９】 下側支持面１２はまた、プロフィールにおいてクリップ１０の側面から見たと
き、半径Ｒの曲面を有する。曲率中心すなわちＲの原点は、ベルトが掛け回され
るプーリの回転中心、すなわちベルトの回転中心にあってもよい。半径Ｒは、プ
ーリが最大駆動条件で作動するとき（プーリ上のベルトにとって最小作動半径）
、Ｒがそのような最小作動半径に等しくなるように選択される。この条件は、ベ
ルト２０にとって高応力条件である。したがって、下側支持面１２はコア部材ベ
ルトが係合するための連続的な曲面を備える。これは、ベルト２０の寿命ひいて
はＣＶＴベルトの寿命を引き伸ばす。

【００２０】 クリップ１０の側面１４、１５は相互に角度αだけ傾斜している。角度αは、
ＣＶＴベルトが最大駆動条件で作動されているときに、側面１４が隣接する側面
１５に十分に当接するように設定される。そしてこれは、ベルトが掛け回される
プーリの直径の相関的要素である。さらに、エラストマーバンドは適当なベルト
の中においてクリップを保持するので（図３参照）、各クリップは隣接するクリ
ップの間に、エラストマーバンドの張力によって位置決め保持されることが理解
される。最大駆動条件において、クリップ１０は肩部２７、２８、および２６、
２９および側面１４、１５を介して相互に当接する。最大駆動条件以外では、各
クリップ１０は肩部２６、２７および２８、２９で当接し、かつ回転変位する。

【００２１】 クリップ１０は、いかなる金属材料を有していてもよく、また熱硬化性樹脂、
熱可塑性樹脂、あるいはこの技術分野で知られている他の合成材料等の非金属材
料で成形された金属材料コアを有していてもよい。金属材料は、いかなる高張力
・軽量材料、例えば、限定するものではないが、スチール、アルミニウムあるい
はチタニウムの合金を有していてもよい。クリップ１０はまた、この技術分野で
利用される熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、合成樹脂あるいはフェノール樹脂等の
非金属材料を有していてもよい。

【００２２】 図２はクリップの上方斜視図である。クリップ１０は、スロット１１、１８を
形成る上側アーム１３、１９を有する。スロット１１、１８は、クリップ内にエ
ラストマーバンド２２、３１を保持するため、あるいはこれに代えて、クリップ
がエラストマーバンドに取り付けられる手段をもたらすために用いられる。側面
１４、１５（図示せず）は相互に角度αをなす。反対側に位置する傾斜面１６、
１７はプーリの側面に係合する。支持面１２は、マルチリブドコア部材ベルトあ
るいは抗張部材上の同様な面に係合するマルチリブドのプロフィールとともに示
される。傾斜面１６、１７は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、合成樹脂あるいは
フェノール樹脂等の、所定の摩擦係数を有する金属材料あるいは非金属材料を有
する材料Ａによって被覆されてもよい。

【００２３】 図３はプーリ内のクリップの正面断面図である。エラストマーバンド２２、３
１は、それぞれスロット１１、１８の中に係合して示される。好ましい実施形態
において、クリップ１０はベルト２０に対して横方向に係合している。ベルト２
０は各クリップ１０の表面１２に係合するが、クリップ１０はコア部材ベルト２
０に機械的に固定されない。クリップ１０はエラストマーバンド２２、３１によ
って適当なベルトに保持される。ベルト２０はクリップ１０の中に適当に係合し
て示される。マルチリブドベルト２０の面２１はクリップ１０の面１２に係合す
る。ベルト２０はまた、さらに、ベルト本体内において長手方向に延びる抗張力
部材２３を有していてもよい。傾斜面１６、１７間の角度βは、ベルトが駆動に
おいて掛け回されるプーリの側面５の傾斜角と協働する。圧縮すなわち軸方向負
荷と動力がプーリの側面からベルトまで傾斜面１６、１７を介して伝達されるの
で、傾斜面１６、１７のそれぞれの全表面はプーリの側面５に当接する。

【００２４】 図４ａ、４ｂ、４ｃ、および４ｄは、ベルト組立て工程の模式図である。図４
ａにおいて、エラストマーバンド３１、２２は、それぞれスロット１１、１８に
挿入して示される。次のステップである図４ｂにおいて、エラストマーバンドは
スロット内に着座して示される。図４ｃにおいて、無端部材すなわちベルト２０
は上方の隙間２５を通ってクリップ１０内に挿入される。組立ての間、エラスト
マーバンドによって形状が保持されるベルトは、蛇行した形状に押され、ベルト
２０は隙間２５から外れ、最終的には隙間２５内に挿入されるかもしれない。図
４ｄは、ベルト２０のいずれかの側面においてクリップ１０内のエラストマーバ
ンド２２、３１とともに組み付けられたベルト２０を示す。好ましい実施形態で
は、コア部材ベルト２０は、ベルト２０の各側面がエラストマーバンド２２、３
１の対応する面に係合し、対応するスロット１８、１１内にエラストマーバンド
２２、３１が保持されるような幅Ｗである。

【００２５】 図５は本発明の斜視図である。完全に組み立てられた発明品を示す図５ａにお
いて、クリップ１０はベルト２０の周囲に係合して示される。図５ｂにおいて、
クリップ１０はベルト２０の主軸Ａに対する関係を示す断面として示される。

【００２６】 コア部材ベルト２０はこの技術分野において利用できるいくつかのベルトの任
意のひとつである。それは、支持面１２の形状と適当に協働するように、形状に
おいて制限されるだけである。この形状は、歯付きのプロフィール、Ｖベルトの
プロフィール、あるいは平らなプロフィールと同様に、マルチリブドのプロフィ
ールを含む。コア部材ベルト２０が損傷したら、古いコア部材ベルト２０は単に
除去され、新しいものと交換される。

【００２７】 本発明の単純な形態が説明されたが、本発明の精神と範囲から逸脱することな
く、変形が各部分の構成と関係に施されることは当業者にとって自明である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一部の側断面図である。

【図２】 クリップの上方斜視図である。

【図３】 プーリ内におけるクリップの正面断面図である。

【図４ａ】

【図４ｂ】

【図４ｃ】

【図４ｄ】 ベルト組立て工程の模式図である。

【図５】 本発明の斜視図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ，ＴＲ)，ＡＥ，Ａ Ｌ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＲ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ， ＤＫ，ＤＭ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，Ｇ Ｈ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ， ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＡ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，Ｍ Ｎ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ， ＴＲ，ＴＴ，ＴＺ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，Ｚ Ａ，ＺＷ

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内面を有し、前記内面が内面プロフィールを有する無端抗張
   部材と、 それぞれが支持面を有し、前記支持面が前記内面プロフィールに係合するため
   のプロフィールを有する複数のクリップとを備え、 前記クリップのそれぞれが前記支持面のいずれかの側に少なくとも１のスロッ
   トを有し、 前記クリップのそれぞれが前記無端抗張部材に対して横方向に係合し、 無端エラストマー部材が各クリップ内において各スロットに係合することによ
   って、前記クリップが相互に係合関係に保持され、 前記クリップがプーリに係合するための反対側に位置する傾斜面を有する ベルト。
2. 【請求項２】 前記内面プロフィールがマルチリブドプロフィールを有し、 前記支持面が前記マルチリブドプロフィールに協働的に係合するプロフィール
   を有する 請求項１に記載のベルト。
3. 【請求項３】 前記傾斜面が非金属材料を備える請求項１に記載のベルト。
4. 【請求項４】 前記内面プロフィールが歯付きのプロフィールを備え、 前記支持面が前記歯付きのプロフィールに協働的に係合するプロフィールを有
   する 請求項１に記載のベルト。
5. 【請求項５】 前記内面プロフィールがＶベルトのプロフィールを備え、 前記支持面が前記Ｖベルトのプロフィールに協働的に係合するプロフィールを
   有する 請求項１に記載のベルト。
6. 【請求項６】 前記支持面がさらに、半径とプーリの回転軸上に位置する曲
   率中心とを有する曲面を備える 請求項１に記載のベルト。
7. 【請求項７】 前記半径がさらに、一定の半径を有する請求項６に記載のベ
   ルト。