JPH025150Y2

JPH025150Y2 -

Info

Publication number: JPH025150Y2
Application number: JP1983139743U
Authority: JP
Priority date: 1983-09-08
Filing date: 1983-09-08
Publication date: 1990-02-07
Also published as: JPS6047948U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は、主として自動車等の車両において用
いられる高負荷伝動用の動力伝動装置の改良に関
するものである。

（従来の技術）一般に、自動車において、エンジンの出力特性
を、要求される走行特性に適合させる変速装置と
しては歯車式変速機と油圧式変速機とが知られて
いる。歯車式変速機は有段変速であり、別系統の
クラツチ装置と連動させて変速操作を行うため操
作性に問題がある。一方、油圧式変速機は通常ト
ルクコンバータと呼ばれており、無段変速でノー
クラツチ操作が可能であるため、極めて操作性が
良く、最近増加の傾向にある。半面、歯車式に比
べて伝動ロスが大きく、燃費が悪いという欠点を
有する。

また、近年、操作性に優れかつ燃費の良い変速
装置としてベルト式無段変速装置が着目され、自
動車メーカーや変速機メーカで研究されている。
このようなベルト式無段変速装置としては２種類
あり、１つは金属Ｖベルト（例えば特公昭55−
6783号公報参照）を使用する湿式の変速装置であ
り、他方はゴムＶベルト（例えば実公昭32−
10408号公報参照）を使用する乾式の変速装置で
ある。なお、金属Ｖベルトを使用する場合に湿式
となるのは、ベルト伝動に使用されるプーリの材
質が鋼材、鋳物、アルミニウム合金等の金属材料
であるから、金属Ｖベルトとプーリとの摩擦面の
焼付きや摩耗対策として潤滑油の中で使用しなけ
ればならないためである。一方、ゴムＶベルトを
使用する場合にはその必要がないため、乾式で使
用できる。

（考案が解決しようとする課題）ところで、自動車用変速装置として使用される
ベルト式変速装置は極めて高トルクの伝動能力が
必要であり、一般産業用途の変速ベルトに比較し
て数倍の伝動能力が要求される。

本考案はかかる点に鑑みてなされたもので、プ
ーリに改良を加えてスリツプの発生を抑制し、伝
動能力の向上を図つた乾式の動力伝動装置を提供
することを目的とするものである。

（課題を解決するための手段）本考案は、上記目的を達成するために、複数の
プーリにＶベルトが巻回されてなる装置であつ
て、前記各プーリが、プーリ面に高摩擦係数の弾
性材を装着して構成される一方、前記Ｖベルト
が、エンドレスの１対の弾性張力帯に複数の硬質
ブロツクを係止して構成され、前記Ｖベルトがプ
ーリに係合するときに弾性張力帯の側面がプーリ
のプーリ面に装着された弾性材に接触することを
特徴とする。

（作用）耐側圧強度は硬質ブロツクが受け持ち、伝動に
必要な摩擦力は主として弾性張力帯側面が受け持
ち、特にプーリ面の高摩擦係数の被覆層によつて
より大きな摩擦力が得られる。

（実施例）以下、本考案の実施例を図面に沿つて詳細に説
明する。

第１図及び第２図に示すＶベルト１は、１対の
弾性張力帯２，３と、該弾性張力帯２，３にそれ
らの長さ方向に隙間なく係止された複数の硬質ブ
ロツク４とにより構成されている。

前記硬質ブロツク４は、アルミニウム合金、マ
グネシウム合金等の軽量の金属材料、あるいはプ
ラスチツクス、硬質ゴム等の非金属材料であつて
対摩耗性に優れた材料が適用される。硬質ブロツ
ク４の両側面４ａ，４ｂは傾斜してプーリの溝角
度と合致するベルト角度αをなしている。硬質ブ
ロツク４同士の下側対向面４ｃ，４ｄは、弾性張
力帯２，３に対し一方の面４ｃが傾斜し、他方の
面４ｄが略直交して、Ｖベルト１の最小ピツチ径
に適合する角度βをなすように構成されている。

また、硬質ブロツク４の側部には、側面４ａ，
４ｂに開口する溝５，６が形成され、該各溝５，
６の上面及び下面に断面半円形状の凸部５ａ，５
ａ，６ａ，６ａが形成されている（第３図参照）。
さらに、硬質ブロツク４の上下面４ｅ，４ｆは、
それぞれ、軽量化などを目的としてアーチ状の凸
面及び凹面に形成されている。

前記弾性張力帯２，３はそれぞれ、実質的に同
一平面内に配列された非伸長性の心体７，７と、
該心帯７，７を保持するゴム部材８，９と、上面
及び下面付近に埋設された上織布１０，１０及び
下織布１１，１１により基本的に構成されてい
る。弾性張力帯２，３の一方の側面２ａ，３ａの
みが硬質ブロツク４の側面４ａ，４ｂと実質的に
同一勾配の傾斜を有し、該側面４ａ，４ｂと同一
平面をなしている。また、上面及び下面には硬質
ブロツク４の溝５，６における凸部５ａ，６ａに
着脱可能に係止される凹部（弾性張力帯３の凹部
３ｂのみ示す）が形成されている（第４図参照）。

前記心体７には、一般に、ポリアミド、ポリエ
ステル、ポリアラミド等の合成繊維、スチール、
ガラス、カーボン等の無機繊維、またはこれらの
混紡による撚りコードもしくは織物、シート状の
ものが使用される。

前記ゴム部材８，９には、短繊維で補強された
周知の合成ゴムが使用される。

前記織布１０，１１には、屈曲性、対摩耗性に
優れた材料である、例えば綿、ポリアミド、ポリ
エステル、ポリアラミド等の紡織繊維またはこれ
らの混紡が使用される。なお、織布１０，１１の
代りに合成樹脂シートを用いても良いし、比較的
低負荷の場合など、場合によつては、織布１０，
１１そのものを省略しても良い。

一方、前記Ｖベルト１が巻回される変速プーリ
２０のプーリ面には、全面に亘つて高摩擦係数の
弾性材（例えばウレタン、ゴム）からなる表面層
２１が、焼付けなどにより設けられている。

上記のように構成すれば、Ｖベルト１が変速プ
ーリ２０と係合する動力伝達状態（第３図参照）
では、硬質ブロツク４の側面４ａ，４ｂ（溝５，
６の上下の側面）が、変速プーリ２０のプーリ面
から受ける側圧力Ｓを受ける一方、弾性張力帯
２，３の側面２ａ，３ａが、変速プーリ２０のプ
ーリ面に接触し、該プーリ面との間に牽引力とな
る摩擦力（圧着力）が発生する。特に、変速プー
リ２０のプーリ面には高摩擦係数の弾性材よりな
る表面層２１が設けられているので、弾性張力帯
２，３の側面２ａ，３ａにはプーリ面（表面層２
１）との間に極めて大きい摩擦伝動力が発生す
る。なお、弾性張力帯２，３の側面２ａ，３ａ
は、硬質ブロツク４の側面４ａ，４ｂと実質的に
同一勾配を有しかつ同一平面をなすので、大きな
面圧は存在せず、高摩擦係数の部材同士の摺動に
より発生する異常な摩耗の恐れもない。

上記実施例では、変速プーリ２０のプーリ面全
体に亘つて高摩擦係数の弾性材からなる表面層２
１を設けているが、焼付きのおそれがないプラス
チツクス等にて硬質ブロツク４が形成されている
場合には、第６図に示すように、変速プーリ３０
のプーリ面に高摩擦係数の弾性材３１を同心状に
装着しても良く、そのほか、螺旋状、放射状など
対称な配置を採用することもできる。なお、第６
図に示す場合は、弾性材３１の表面３１ａがプー
リ面よりも若干突出しており、Ｖベルトと変速プ
ーリとが係合しＶベルト１が側圧力を受ける動力
伝達状態でプーリ面と実質的に同一となるように
構成され、弾性張力帯２，３の側面２ａ，３ａと
の間に発生する摩擦力を高めるようになつてい
る。

（考案の効果）本考案は上記のように構成したから、変速プー
リのプーリ面に装着した高摩擦係数の弾性材によ
つてスリツプの発生が抑制され、伝動能力の向上
を図ることができる。また、硬質ブロツクがアル
ミニウム合金、マグネシウム合金などの金属材料
であつても、焼付けなどが発生するおそれがな
く、乾式として用いることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図はそれぞれ本考案の実施例
を示すもので、第１図はＶベルトの側面図、第２
図は第１図の−線における断面図、第３図は
硬質ブロツクの斜視図、第４図は弾性張力帯の斜
視図、第５図はＶベルトが変速プーリと係合した
動力伝動状態のあるときの断面図、第６図は変速
プーリの変形例を示す説明図である。１……Ｖベルト、２，３……弾性張力帯、４…
…硬質ブロツク、２０……変速プーリ、２１……
表面層、３０……変速プーリ、３１……弾性材。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

複数のプーリにＶベルトが巻回されてなる装置
であつて、前記各プーリが、プーリ面に高摩擦係
数の弾性材を装着して構成される一方、前記Ｖベ
ルトが、エンドレスの１対の弾性張力帯に複数の
硬質ブロツクを係止して構成され、前記Ｖベルト
がプーリに係合するときに弾性張力帯の側面がプ
ーリのプーリ面に装着された弾性材に接触するこ
とを特徴とする動力伝動装置。