JPH0237309Y2

JPH0237309Y2 -

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Publication number: JPH0237309Y2
Application number: JP1985032961U
Authority: JP
Priority date: 1985-03-07
Filing date: 1985-03-07
Publication date: 1990-10-09
Also published as: JPS61148937U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は主として自動車、農業機械等における
乾式の変速装置に用いられる高負荷伝動用Ｖベル
トに関する。

（従来技術）現在、自動車の走行用変送装置には歯車式変速
装置と油圧式変速装置が使用されている。これら
の長所を兼ね備えた変速装置として、操作性に優
れ且つ燃費の良いベルト式無段変速装置の開発が
進められている。

このベルト式無段変速装置は、駆動軸と従動軸
に溝間隔が可変の変速プーリをそれぞれ取付け、
２個の変速プーリ間にＶベルトを巻掛けて構成
し、溝間隔を調整して回転ピツチ径を変化させ、
無段階に変速させるものである。

また、このベルト式無段変速装置には２種類が
あり、１つは金属Ｖベルトを使用する湿式の変速
装置（例えば特公昭55−6783号公報参照）であ
り、他方はゴムＶベルトを使用する乾式の変速装
置（例えば実公昭32−10408号公報参照）である。
一般に、変速プーリは鋳鉄、鋼、アルミニウム合
金等の金属材料で構成されるため、金属Ｖベルト
は摩擦面の焼付きや摩耗対策として潤滑油の中で
使用しなければならないが、ゴムＶベルトはその
必要がなくコストやメンテナンス面で有利であ
る。

ところで、自動車の走行用変速装置は極めて高
トルクの伝動能力が要求される。例えば1000ccエ
ンジンの最大トルクをＶベルトで伝達する場合、
Ｖベルトは20Kg／cm²前後の側圧力に耐えなければ
ならない。

しかしながら、現在、実用化されている標準的
なゴムＶベルトは、通常４〜５Kg／cm²以下で使用
され、高負荷用のゴムＶベルトにおいても10Kg／
cm²程度が限界である。この原因は、ゴムＶベルト
が高側圧において座屈変形し、Ｖベルトの発熱を
伴ない破壊されるためである。

そこで、出願人はエンドレスの一対の張力帯に
複数の略Ｖ形状のブロツクを係止して構成される
高負荷伝動用Ｖベルト（特願昭58−139895号参
照）を開発した。

（考案が解決しようとする課題）上述した如きＶベルトでは、耐側圧性を高める
ために、プラスチツクスまたは硬質ゴム等の高弾
性率材料よりなるブロツクを用いているので、高
負荷伝動が可能となる反面、ブロツクが変速プー
リのプーリ溝に進入して係合する際の打撃音およ
びブロツク間の打撃音によつて、ベルト走行時の
騒音が大きいという問題が生じる。

そこで、出願人は、上記騒音の低減のために、
ブロツクの表面を低弾性率の軟質体で被覆したＶ
ベルトを開発し、別途出願したが（実願昭59−
33442号参照）、走行中に軟質体がブロツクより剥
離し、比較的早期に寿命となるという別の問題が
生ずる。

本考案は、騒音を軽減でき、しかも高寿命であ
る高負荷伝動用のＶベルトを提供することを目的
とするものである。

（課題を解決するための手段）本考案は、上述した目的を達成するために、エ
ンドレスの１対の張力帯と、該張力帯が挿入係止
される溝が、プーリ溝と係合する左右の傾斜側面
に形成された複数のブロツクとにより構成され、
前記ブロツクが張力体に対しベルト長手方向にお
いて係止されたＶベルトであつて、前記ブロツク
は、複数の補強部材にて補強されたエラストマー
材料によつて積層構造体に形成され、該各補強部
材が、補強部材間にエラストマー材料が介在する
ように、上下方向に略平行に配置されてなり、前
記ブロツクの傾斜側面には補強部材が露出してい
ないことを特徴とするものである。

放熱性の点からは、補強部材の一部が、ブロツ
クの上面または下面より突出していることが望ま
しい。また、ブロツクにおけるエラストマー材料
と補強部材とのよりよい一体化のために、補強部
材に貫通孔が穿孔されていることが望ましい。

（作用）Ｖベルトが変速プーリと係合し、側圧力を受け
たときの動力伝達状態では、ブロツクの側面に変
速プーリとの摩擦伝達力が発生する。この場合、
過大の側圧力がかかつても補強部材にて支持され
るので坐屈変形せず、Ｖベルトは高側圧に耐え摩
擦伝達力が大きくなる。

Ｖベルトが変速プーリとの離間状態から係合状
態に移行するとき、変速プーリとの係合はブロツ
クのエラストマー材料で行われるため、ブロツク
と変速プーリとの係合による証撃に起因する打撃
音が緩和され、Ｖベルトの騒音が軽減される。そ
れと共に、ブロツク同志が衝突しても、エラスト
マー材料にてその衝突による打撃音が緩和される
ため、この点においても、騒音は軽減される。

（実施例）以下、本考案の実施例を図面に沿つて詳細に説
明する。

第１図および第２図に示すように、本考案に係
るＶベルト１は１対の張力帯２，３と、この張力
帯２，３にベルト長手方向に係止された複数の略
Ｖ形状のブロツク４とにより構成されている。ブ
ロツク４の傾斜側面４ａ，４ｂは傾斜して変速プ
ーリの溝角度と実質的に合致する角度αをなして
いる。ブロツク同士の下側対向面４ｃ，４ｄは、
変速プーリの最小ピツチ径に適合する角度βをな
している。

また、第３図および第４図に示すように、ブロ
ツク４は、複数の補強部材５（補強板）にて補強
されたエラストマー６にて形成されたもので、各
補強部材５の間にエラストマー６が一様に介在し
てなる積層構造体である。各補強部材５は、ブロ
ツク４の外形と略合致した薄い板状で（第５図お
よび第６図参照）、プーリ溝と係合する傾斜側面
４ａ，４ｂより露出していない。

上記補強部材５（第５図および第６図参照）
は、金属、プラスチツクス等の高弾性率材料より
なる一方、上記エラストマー６は、ゴム単独また
はゴムとプラスチツクとの混合材料等の低弾性率
材料よりなり、その弾性率は、伝動能力と騒音と
を考慮して適当な値に調整されている。また、補
強部材５の表面５ａ，５ｂは、接着剤等の塗布に
よりエラストマー６と接着しているが、接着効果
を高めるために、第７図に示すように補強部材１
４に貫通孔１４ａを適当位置に設け、該貫通孔１
４ａにエラストマー６を充填させるようにしても
よい。

ブロツク４の左右側部には傾斜側面４ａ，４ｂ
に開口する溝７，８がそれぞれ形成され、各溝の
上面７ａ，８ａおよび下面７ｂ，８ｂには凹部
（上面７ａおよび下面７ｂに形成された凹部７ｃ
および７ｄのみ図示）がそれぞれ設けられてい
る。なお、下面７ｂ，８ｂは最小ピツチ径に適合
する曲率半径Ｒとなつている。

張力帯２，３は、それぞれ実質的に同一平面内
に配列された非伸張性の心体９，９と、この心体
９，９を保持するゴム部材１０，１１と、上面お
よび下面付近に埋設された織布１２，１２および
１３，１３により構成されている。

張力帯２，３の一方の側面２ａ，３ａは、ブロ
ツク４の傾斜側面４ａ，４ｂと実質的に同一勾配
の傾斜を有する。上記張力帯２，３の側面２ａ，
３ａとブロツク４の傾斜側面４ａ，４ｂは、変速
プーリの溝と係合させたとき（動力伝達の状態）
に、それぞれ実質的に同一平面となるように調整
されている。

また、第１図に示すように、張力帯２，３の上
面および下面には、ブロツク４の溝７，８に設け
られた凸部と噛合う凹部（張力帯３についての凸
部３ｃ，３ｄのみ図示）が設けられ、ブロツク４
と張力帯２，３とのベルト長手方向における固定
手段を構成している。

上記のように構成すれば、Ｖベルト１が変速プ
ーリと係合し、側圧力を受けたときの動力伝達状
態では、主としてブロツク４の傾斜側面４ａ，４
ｂに変速プーリとの摩擦伝達力が発生する。この
場合、ブロツク４に高弾性率材料を使用するので
Ｖベルト１は高側圧に耐え摩擦伝達力（伝動容
量）も大きくなる。

Ｖベルト１が変速プーリとの離間状態から係合
状態に移行するとき、傾斜側面４ａ，４ｂには補
強部材５が露出しておらず、低弾性率のエラスト
マー６のみが変速プーリのプーリ溝と係合するの
で、打撃音が小さく、Ｖベルト１の騒音が軽減さ
れる。

ブロツク４が、補強部材５の間にエラストマー
６が介在する積層構造体であるので、各ブロツク
４は、ブロツク前後方向Ａ（第４図参照）の相対
変位は生じ難いが、ブロツク左右方向Ｂ（第３図
参照）の相対変位は比較的自由になし得るので、
変速プーリのプーリ溝への適合性が良く、ミスア
ライメントによりＶベルトの耐久性が低下するこ
ともない。

補強部材５に熱伝導率の大きい材料にすれば、
Ｖベルト１内部に発生した熱は容易に外部に放出
され、放熱性が良い。特に、第８図および賃９図
に示すように、補強部材１５の一部１５ａを、ブ
ロツク１６の上面１６ａ（下面１６ｂでもよい）
より突出させて露出させることにより、より一層
放熱効果を高めることもできる。

本考案は、ブロツクの傾斜側面および張力帯の
側面において変速プーリとの摩擦伝達力を得るＶ
ベルトだけでなく、ブロツクの側面のみで上記摩
擦伝達力を得るＶベルトに対しても適用可能であ
る。

なお、本考案のＶベルトは、自動車用無段変速
機に用いられるほか、農業機械および土木建設機
械等のエンジンを搭載した車両の無段又は有段変
速機用のＶベルトとして適用することができる。
また、電動機で駆動する一般産業機械の高負荷用
Ｖベルトにも最適である。更に、ブロツクの上面
を利用し、搬送や印字用ベルトとしても利用でき
る。

（考案の効果）本考案は上記のように構成したから、ブロツク
間の打撃音、プーリとブロツクとの打撃音が抑制
され、騒音が軽減され、しかも高寿命となる。ま
た、ブロツクが積層構造体であるので、プーリ溝
への適合性が良く、ミスアライメントによりベル
トの耐久性が低下することもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示すＶベルトの一部
を示す側面図、第２図は第１図の−線におけ
る断面図、第３図は第１図のＶベルトに使用され
るブロツクの正面図、第４図は第３図の−線
における断面図、第５図および第６図はブロツク
の補強部材の正面図および側面図、第７図はブロ
ツクの補強部材の変形例の正面図、第８図および
第９図はブロツクの変形例の正面図および側面図
である。１……Ｖベルト、２，３……張力帯、４，１６
……ブロツク、４ａ，４ｂ……傾斜側面、５，１
４，１５……補強部材、６……エラストマー、１
４ａ……貫通孔、１５ａ……補強部材の一部、１
６ａ……上面。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】 (1) エンドレスの１対の張力帯と、該張力帯が挿
入係止される溝が、プーリ溝と係合する左右の
傾斜側面に形成された複数のブロツクとにより
構成され、前記ブロツクが張力体に対しベルト
長手方向において係止されたＶベルトであつ
て、前記ブロツクは、複数の補強部材にて補強
されたエラストマー材料によつて積層構造体に
形成され、該各補強部材が、補強部材間にエラ
ストマー材料が介在するように、上下方向に略
平行に配置されてなり、前記ブロツクの傾斜側
面には補強部材が露出していないことを特徴と
するＶベルト。 (2) ブロツクは、上面または下面より補強部材の
一部が露出しているところの実用新案登録請求
の範囲第(1)項記載のＶベルト。 (3) 補強部材は、エラストマー材料が充填してい
る貫通孔を有するところの実用新案登録請求の
範囲第(1)項または第(2)項記載のＶベルト。