JP2003501611A - 冶金用の溶解容器を傾倒により空にするための方法及び装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 溶解容器（１）を空にする際、傾倒工程を通して、出湯開口部（４）及びスラグ越流縁部（５）が、ほとんど、それらの出口位置から離間しないということを保証するために、本発明によれば、溶解容器（１）を柱状の基礎（６）上に配設すること、また、溶解容器（１）を傾倒工程の際に横を持ち上げること、そしてその際、対置する側の基礎架台を支点もしくは回転軸として利用することを提案する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、例えば電気アーク溶解炉及び電気抵抗溶解炉のような、基礎上に載
置されている下部炉フレーム、傾倒装置、炉底において配設された閉鎖可能な出
湯開口部、及び炉の横に配設されたスラグ越流縁部を有する冶金用の溶解容器を
傾倒により空にするための方法及び装置に関する。

【０００２】 冶金用の溶解容器において金属の熱冶金反応を実施する際、この反応の完了の
後は、金属が溶融液状の形態で存在し、溶融液状のスラグが上層を成す。鋳造容
器内のデスラグ並びに融成物の排出をするために、この冶金用の溶解容器は、大
抵の場合傾倒装置を備えており、この傾倒装置によって、全溶解容器は、元々水
平のその基本位置から傾いた位置へともたらされる。

【０００３】 独国特許発明明細書第３２ ４１ ９８７号から公知の三相交流アーク炉にお
いては、炉容器が、その下部炉フレームによって２つのロッカー上に載置されて
いる。炉の傾倒の際は、円形に形成された歯切りされたロッカーが、同様に歯切
りされた水平の下部構造上で展開し、その際、出湯開口部が、傾倒の間、炉の中
心点からずれることが欠点である。

【０００４】 独国特許発明明細書第４２ ４４ ２２８号から公知の溶解容器の構成におい
ては、炉のロッカーが、円弧状に形成され、かつ走行ローラ上に支持されており
、これらの走行ローラは、炉の基礎上に載置されている基礎フレーム内で回転可
能に支承されている。炉を安定させるために、この炉は、付加的に少なくとも１
つの液圧式の傾倒シリンダによって支持される。説明した溶解容器の構成によっ
て、溶解容器が、デスラグ及び鋼材出湯のために、両方の方向に向かって傾倒可
能であり、その際、スクラップ供給シュートのシュート中心点は、傾倒運動の間
の溶解容器の回転支点でもある。更に走行ローラ上で支承するロッカーには、定
義された領域内にカムが取り付けられており、このカムは、デスラグ側の傾倒領
域を超過した際に、走行ローラに接しており、この走行ローラに沿って上に向か
って滑走する。

【０００５】 この公知の傾倒装置の構成においては、架台上に支持された下部炉フレームに
よって、出湯開口部及びスラグ越流縁部の位置が傾倒の際に著しく変化し、例え
ば、溶解容器と出湯開口部との間の間隔を大きくし、従って出湯の間の窒素収容
を促進することが欠点である。更に、走行ローラ上に支承された炉を安定させる
傾倒シリンダは、炉の運転の間、装入プロセス及び溶解プロセスの際に引き起こ
される衝撃及び振動によって不利な作用を受ける。

【０００６】 本発明の課題は、公知の従来技術から出発して、前記欠点、特に、出湯開口部
及びスラグ越流縁部の位置ズレを傾倒工程の間十分回避する、冶金用の溶解容器
を傾倒により空にするための方法及び装置を提供することにある。

【０００７】 提起された課題は、前記様式の冶金用の溶解容器にあっては、請求項１及び２
を特徴付ける特徴によって解決される。本発明の有利な形態は、従属請求項にお
いて提供されている。

【０００８】 本発明によれば、溶解容器の下部炉フレームの一方の側が、その上で下部炉フ
レームが、溶解容器の基本位置にある状態で支持されている基礎架台から持ち上
げられ、対置する支点もしくは回転軸としての基礎架台を中心として回転するよ
うに傾倒される。柱状の基礎の上端部において配設されている基礎架台は、皿上
に形成されている。この皿状の基礎架台において、下部炉フレームが、基礎架台
において回転可能に形成された下部炉フレームの支持要素によって支持される。

【０００９】 柱状の基礎には、傾倒シリンダが付設されており、この傾倒シリンダによって
、下部炉フレームもしくは全溶解容器の個々の任意の側の持ち上げが、それぞれ
対置する支点もしくは回転軸としての基礎架台を介する傾倒運動（回転運動）に
よって可能になる。

【００１０】 本発明の有利な形態によれば、出湯開口部及びスラグ越流縁部が、この回転軸
の直近に配設されており、従って傾倒工程の間、全く又はほとんど出湯開口部及
びスラグ越流縁部の位置の変化が行なわれないことが有利である。

【００１１】 本発明の有利な別の形態によれば、出湯開口部及びスラグ越流縁部が、デスラ
グも融成物の排出も、傾倒運動を通して一方の側にしか可能でないように、溶解
容器に配設されている。この際、出湯開口部が、溶解容器の基本位置にある状態
で、出湯口に向かって残留する液状の残余液相のレベルの上方に存在するように
配設されていることが有利である。

【００１２】 傾倒工程の間、炉の重量の一部を担持しなければならない、また相応に強固に
寸法設定されている傾倒シリンダは、溶解容器が全ての基礎架台上で支持されて
いる溶解容器の基本位置にある間、完全に徐荷されている。

【００１３】 本発明の別の利点、詳細及び特徴を、以下に、図面の図において図示された実
施例に沿って詳細に説明する。

【００１４】 図１においては、本発明に対応した溶解容器１が、その基本位置にある状態で
図示されている。この際、溶解容器１は、下部炉２の支持要素８によって、柱状
に形成された基礎架台７上に支持されており、この基礎架台は、上方の閉鎖部を
、柱状に形成された基礎６によって形成する。基礎６の直近には、それぞれ１つ
の傾倒シリンダ３が存在し、この傾倒シリンダは、図示された基本位置にある状
態で完全に徐荷されている。何故なら、下部炉フレーム２が、存在する全ての基
礎架台７上に支持されているからである。基礎６は、その基礎架台７によって、
基礎がスラグ越流縁部５（図面の図にあっては左）及び出湯開口部４（図面の図
にあっては右）のできるだけ近くに達するように、配設されている。

【００１５】 図２においては、溶解容器１が、デスラグをするために右に配設された傾倒シ
リンダ３によって下部炉フレーム２を持ち上げることによって、持ち上げられて
いるか、もしくは傾倒されている。一方、出湯開口部４を有する下部炉フレーム
２の右の部分は、基礎架台から持ち上げられ、その支持要素８を有する下部炉フ
レーム２の左の部分は、左に配設された基礎架台７内で回転し、従ってこの基礎
架台は、支点もしくは回転軸である。スラグ越流縁部５は、図示された傾倒工程
によって、ほとんどその位置を図１に対応した基本位置にある状態の出口位置に
対して変化させない。何故ならスラグ越流縁部５が基礎架台７の回転軸の直近に
配設されているからである。

【００１６】 図３においては、図２に対応した反対側への傾倒位置が図示されている。下部
炉フレーム２の左側は、出湯開口部４を介して融成物を溶解容器１から排出する
ために持ち上げられている。この例においても、出湯開口部４が基礎架台７の回
転軸と実際に一致するので、出湯開口部４の位置を、傾倒運動によって、ほとん
ど変化させない。

【００１７】 図示された実施例においては、向かい合って位置する２つの側に向かう傾倒が
図示されている。溶解容器１の実施形に応じて、唯一方の側に向かって傾倒させ
ることが、本発明によればまた可能である。更に、本発明による傾倒装置の構成
は、任意のそれぞれの側に向かって傾倒工程を実施することを許容し、これは、
例えば修理及び整備作業にとって有利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による溶解容器を、その基本位置にある状態で示す。

【図２】 デスラグをするために傾倒された、図１に対応した溶解容器を示す。

【図３】 融成物の排出をするために傾倒された、図１に対応した溶解容器を示す。

【符号の説明】

１ 溶解容器 ２ 下部炉フレーム ３ 傾倒シリンダ ４ 出湯開口部 ５ スラグ越流縁部 ６ 基礎 ７ 基礎架台 ８ 支持要素

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 4E014 CA00 NA14 4K045 AA04 BA01 CA01 RC12 RC18 4K055 AA03 JA19

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 例えば電気アーク溶解炉及び電気抵抗溶解炉のような、基礎
   上に載置されている下部炉フレーム、傾倒装置、炉底において配設された閉鎖可
   能な出湯開口部、及び炉の横に配設されたスラグ越流縁部を有する冶金用の溶解
   容器を傾倒により空にするための方法において、 溶解容器（１）が、出湯開口部（４）もしくはスラグ越流縁部（５）に対置す
   る下部炉フレーム（２）の側を持ち上げることによって、基礎架台（７）の横が
   解放され、対置する支点もしくは回転軸としての基礎架台（７）を中心として傾
   倒され、その際、出湯開口部（４）及び／又はスラグ越流縁部（５）の位置が、
   傾倒工程の間、全く又はほとんど変化しないようにすることを特徴とする方法。
2. 【請求項２】 請求項１による方法を実施するための、例えば電気アーク溶
   解炉及び電気抵抗溶解炉のような、基礎（６）上に載置されている下部炉フレー
   ム（２）、傾倒装置、炉底において配設された閉鎖可能な出湯開口部（４）、及
   び炉（１）の横に配設されたスラグ越流縁部（５）を有する冶金用の溶解容器（
   １）を傾倒により空にするための装置において、 その上端部において皿状に形成された基礎架台（７）を有する柱状の基礎（６
   ）であって、この基礎架台上で、下部炉フレーム（２）が、炉の基本位置にある
   状態で、基礎架台（７）の形状に適合させられた下部炉フレームの支持要素（８
   ）によって回転可能に支承されており、またこの基礎架台上で、下部炉フレーム
   （２）が、基礎架台（７）を支点もしくは回転軸として利用するように、傾倒工
   程の際に一方の側で支持されるように構成されている基礎（６）と、 柱状の基礎（６）に付設された傾倒シリンダ（３）であって、この傾倒シリン
   ダによって、下部炉フレーム（２）が、横を持ち上げることによってそれぞれの
   側に向かって傾倒可能であるように構成されている傾倒シリンダ（３）と、が設
   けられていることを特徴とする装置。
3. 【請求項３】 支点もしくは回転軸を形成するその基礎架台（７）を有する
   柱状の基礎（６）が、出湯開口部（４）の下縁部もしくはスラグ越流縁部（５）
   の直近に設けられていることを特徴とする請求項２に記載の装置。
4. 【請求項４】 出湯開口部（４）及びスラグ越流縁部（５）が、僅かに共通
   の一方の側に向かう傾倒しか必要でないように、溶解容器（１）に配設されてい
   ることを特徴とする請求項２又は３に記載の装置。
5. 【請求項５】 炉の基本位置にある状態で、出湯開口部（４）が、出湯口に
   向かって残留する液状の残余液相のレベルの上方に設けられていることを特徴と
   する請求項２〜４のいずれか１つに記載の装置。