JP2003346705A - 遅延引き出し付きタンデム飛行時間型質量分析計および使用方法 - Google Patents
遅延引き出し付きタンデム飛行時間型質量分析計および使用方法Info
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Abstract
供するのみならず、分子構造の情報を提供し、ペプチド
またはオリゴヌクレオチドの配列決定などの生物学的適
用に必要な感度および分解能を提供する。 【解決手段】 本発明に従って、パルス化イオン発生器
と、パルス化イオン発生器と連絡するタイミング制御イ
オンセレクタと、イオンセレクタと連絡するイオンフラ
グメント器と、フラグメンテーションチャンバと連絡す
る分析器とを有する、タンデム飛行時間型質量分析計を
提供する。
Description
書中に援用する、1998年2月6日付出願の米国特許
出願第09/020,142号の一部継続出願である。
して質量分析計に関し、特にタンデム質量分析計に関す
る。
を気化してイオン化し、得られたイオンの質量電荷比を
決定する。1つの形態の質量分析計は、電場の影響下に
おいて、与えられたイオン、すなわちイオン化され気化
したサンプルがイオン源から検出器まで移動するために
要する時間を測定することにより、イオンの質量電荷比
を決定する。与えられた強度の電場においてイオンが検
出器に到達するために要する時間は、質量の一次関数で
あり電荷の逆関数である。この形態の質量分析計は飛行
時間型質量分析計と呼ばれる。
分析、ならびに高速度、高感度および/または広い質量
範囲を必要とする他の適用分野において、飛行時間(T
OF)型質量分析計が広く受け入れられるようになって
きた。マトリクス支援レーザデソープション/イオン化
(MALDI)および電子スプレー(ESI)などの新
しいイオン化技術は、気相で完全な分子イオンを生成す
るようにされ得る、分子の質量範囲を大幅に拡大し、T
OFはこれらの適用分野において独自の利点を有する。
例えば米国特許第5,625,184号および第5,6
27,360号に記載の遅延引き出しの最近の開発は、
高分解能で精密な質量測定をMALDI−TOFで日常
的に使用可能にし、パルス化引き出しによる直交注入
は、ESI−TOFに対して同様の性能向上を提供して
いる。
て優れたデータを提供するが、分子構造に関してはほと
んど情報を提供しない。従来、タンデム質量分析計(M
S−MS)は、構造情報を提供するために用いられてき
た。MS−MS装置において、第1の質量分析器が、注
目する一次イオン、例えば、特定のサンプルの分子イオ
ンを選択するために用いられる。内部エネルギを増加さ
せることにより、例えばイオンを中性分子と衝突させる
ことにより、そのイオンがフラグメントされる。その後
フラグメントイオンのスペクトルが、第2の質量分析器
によって分析され、一次イオンの構造はしばしば、フラ
グメンテーションパターンを解釈することにより決定さ
れ得る。MALDI−TOFにおいて、ポストソース分
解(PSD)として知られる技術が用いられ得るが、フ
ラグメンテーションスペクトルはしばしば弱く、解釈す
ることが困難である。イオンが中性分子と高エネルギ衝
突する衝突セルを追加することは、低質量フラグメント
イオンの生成を向上させ、ある程度の追加のフラグメン
テーションを引き起こす。しかし、そのスペクトルは解
釈が困難である。直交ESI−TOFにおいて、フラグ
メンテーションは、大気圧電子スプレーと排気された質
量分析計との間の界面でエネルギ衝突を引き起こすこと
により起こるが、今のところ特定の一次イオンを選択す
る手段はない。
は、一次イオンが第1の四重極により選択され、フラグ
メントイオンスペクトルが第3の四重極を走査すること
により分析される、トリプル四重極である。第2の四重
極は典型的には、複数の低エネルギ衝突が起こるのに十
分高い圧力および電圧に維持されている。得られたスペ
クトルは概して、解釈が容易であり、例えば、このよう
なスペクトルからペプチドのアミノ酸配列を決定する技
術が開発されている。最近、第3の四重極が飛行時間型
分析器に置きかえられたハイブリッド装置が記載されて
いる。
分析および検出との両方に飛行時間技術を用いるいくつ
かのアプローチが、これまでに記載されている。例え
ば、表面誘起解離(SID)を用いた、2つの線形飛行
時間型質量分析器を組み込んだタンデム装置が、生成品
としてのイオンを生成するために用いられてきた。後に
開発されたバージョンにおいて、第2の質量分析器にイ
オンミラーが追加された。米国特許第5,206,50
8号は、線形または反射型分析器を用いたタンデム質量
分析計を開示している。このタンデム質量分析計は、互
いに異なる質量を有する親イオンの分離を必要とするこ
となく、各親イオンに関してタンデム質量スペクトルを
得ることができる。米国特許第5,202,563号
は、接地された真空ハウジングと、フラグメンテーショ
ンチャンバを介して連結された2つの反射型質量分析器
と、接地された真空ハウジングに対して電気的に浮遊し
ている飛行チャネルとを含むタンデム飛行時間型質量分
析計を開示している。これらのデバイスの適用は概し
て、比較的小さい分子に限られており、ペプチドまたは
オリゴヌクレオチドの配列決定などの生物学的適用に必
要な感度および分解能を提供するものはないと考えられ
る。
決定および構造決定にとって、両方の質量分析器は、注
目する質量範囲に亘って、少なくとも単位質量分解能と
良好なイオン伝達とを有していなければならない。分子
量1000を超えると、この要件は、高質量範囲を有す
る2つの二重焦点磁気偏向質量分析計からなるMS−M
Sシステムによって最も良好に満たされる。これらの装
置は最高の質量範囲と質量精度とを提供するが、飛行時
間に比べると感度に限度があり、MALDIおよび電子
スプレーなどの最新のイオン化技術による使用には容易
に適応可能でない。これらの装置はさらに、非常に複雑
であり高価である。
ルス化イオン発生器と、パルス化イオン発生器と連絡す
るタイミング制御イオンセレクタと、イオンセレクタと
連絡するイオンフラグメント器と、フラグメンテーショ
ンチャンバと連絡する分析器とを有する、タンデム飛行
時間型質量分析計を提供することを目的とする。
発明は、以下: a)所定の質量電荷比範囲のイオンを焦点面上に集束さ
せる、パルス化イオン源と; b)この焦点面に位置され、このパルス化イオン源から
のこの集束されたイオンを受け取るタイミング制御イオ
ンセレクタであって、この所定の質量電荷比範囲のイオ
ンのみがイオンフラグメント器まで移動することを可能
にする、タイミング制御イオンセレクタと; c)このタイミング制御イオンセレクタと連絡するイオ
ンフラグメント器と; d)このイオンフラグメント器に結合されたタイミング
制御パルス化引き出し器であって、この所定のイオンお
よびそのフラグメントを加速する、タイミング制御パル
ス化引き出し器と; e)このタイミング制御パルス化引き出し器と連絡する
飛行時間分析器であって、この予め選択されたイオンお
よびそのフラグメントの質量電荷比を決定する、飛行時
間分析器と;を備える、タンデム飛行時間型質量分析計
を提供する。
析計は、上記タイミング制御パルス化引き出し器は、実
質的に電場を有さない領域によって上記イオンフラグメ
ント器に結合されており、この電場を有さない領域は、
このイオンフラグメント器中の衝突によって励起された
イオンがフラグメンテーションを実質的に完了すること
を可能にし得る。
計は、上記実質的に電場を有さない領域内に位置された
イオンガイドをさらに備え得る。
計は、上記イオンガイドはガイドワイヤを包含し得る。
計は、上記イオンガイドは孔があけられた複数のプレー
トを包含し、この複数のプレートのうちの1つおきのプ
レートに正のDC電位が印加され、この複数のプレート
のうちの残りのプレートに負のDC電位が印加され得
る。
計は、上記イオンガイドはRF励起される多重極レンズ
を包含し得る。
計は、上記イオンフラグメント器と上記タイミング制御
パルス化引き出し器との間に位置されたグリッドをさら
に備え、このグリッドは上記実質的に電場を有さない領
域を生成するようにバイアスされている。
析計は、上記タイミング制御イオンセレクタは、ドリフ
ト管およびタイミング制御イオンデフレクタを包含し得
る。
計は、上記ドリフト管はイオンガイドを含み得る。
計は、上記イオンガイドはガイドワイヤを包含し得る。
計は、上記イオンガイドは孔があけられた複数のプレー
トを包含し、この複数のプレートのうちの1つおきのプ
レートに正のDC電位が印加され、この複数のプレート
のうちの残りのプレートに負のDC電位が印加され得
る。
計は、上記イオンガイドはRF励起される多重極レンズ
を包含し得る。
計は、上記タイミング制御イオンデフレクタは、電位差
が印加される1対の偏向電極を包含し、この電位は、上
記選択された質量電荷比範囲内のイオンがこの電極間を
通過する時間区間中以外において、イオンが上記イオン
フラグメント器に到達することを防ぎ得る。
計は、上記タイミング制御イオンデフレクタは2対の偏
向電極を包含し、低い質量電荷比のイオンが上記イオン
フラグメント器に到達することを防ぐための電位差が第
1の偏向電極対に印加され、高い質量電荷比のイオンが
このイオンフラグメント器に到達することを防ぐための
電位差が第2の偏向電極対に印加され得る。
計は、上記パルス化イオン源は、遅延引き出しマトリッ
クス支援レーザデソープション/イオン化(MALD
I)イオン源を包含し得る。
計は、上記パルス化イオン源は、電場を有さない領域中
にイオンを注入するインジェクタおよび、注入方向に対
して直交方向にこのイオンを引き出すパルス化イオン引
き出し器を包含し得る。
計は、上記イオンフラグメント器に入る上記イオンのエ
ネルギーは、このイオンフラグメント器に電位を印加す
ることにより制御され得る。
計は、上記イオンフラグメント器は、イオンが中性分子
と衝突させられる衝突セルを包含し得る。
計は、上記イオンフラグメント器は、イオンに光子ビー
ムが照射される光解離セルを包含し得る。
計は、上記イオンフラグメント器は、イオンが固体また
は液体表面に衝突する表面解離手段を包含し得る。
計は、上記質量分析器は、上記タイミング制御パルス化
引き出し器をイオン検出器に結合するドリフト管を備え
得る。
計は、上記ドリフト管は、イオン伝達効率を増加させる
ためのイオンガイドを含み得る。
計は、上記イオンガイドは孔があけられた複数のプレー
トを包含し、この複数のプレートのうちの1つおきのプ
レートに正のDC電位が印加され、この複数のプレート
のうちの残りのプレートに負のDC電位が印加され得
る。
計は、上記イオンガイドはRF励起される多重極レンズ
を包含し得る。
計は、上記ドリフト管と上記検出器との間にイオンミラ
ーが設けられ得る。
計は、上記タイミング制御パルス化引き出し器は、上記
質量分析器のための遅延引き出しイオン源を包含するこ
とにより、各質量電荷比のイオンが、上記イオンフラグ
メント器から出射したときの速度に関わらず、狭い時間
間隔内で上記検出器に到達するように、イオンが時間的
に集束され得る。
計は、上記パルス化源、上記タイミング制御イオンセレ
クタ、および上記イオンフラグメント器は、同じ真空ハ
ウジング中に納められている。
オンを、イオンセレクタ内に集束させる工程と; c)このイオンセレクタを活性化することにより、この
所定の質量電荷比範囲を有するこの集束されたイオンを
選択する工程と; d)この選択されたイオンを励起することにより、この
イオンをフラグメントする工程と; e)飛行時間型質量分析を用いてこのフラグメントイオ
ンを分析する工程と;を包含する、高性能タンデム質量
分析方法を提供する。
析計は、上記飛行時間型質量分析を用いて上記フラグメ
ントイオンを分析する工程は、遅延引き出し飛行時間型
質量分析を用いてこのフラグメントイオンを分析する工
程を包含し得る。
計は、ほぼ電場を有さない領域を通って上記励起された
イオンを通過させることにより、この励起されたイオン
がそこにおいてフラグメンテーションを実質的に完了す
ることを可能にする工程をさらに包含し得る。
計は、上記選択されたイオンを励起する工程は、イオン
を中性ガス分子に衝突させることを包含し得る。
計は、上記イオンパルスを生成する工程は、電子スプレ
ー、気圧支援電子スプレー、化学的イオン化、MALD
I、およびICPからなる群より選択された方法を包含
し得る。
下: a)パルス化イオン源と; b)このパルス化イオン源からイオンを受け取るように
位置されたタイミング制御イオンセレクタであって、所
定の質量電荷比範囲のイオンのみがイオンフラグメント
器まで移動することを可能にする、タイミング制御イオ
ンセレクタと; c)このタイミング制御イオンセレクタと連絡するイオ
ンフラグメント器と; d)実質的に電場を有さない領域によってこのイオンフ
ラグメント器に結合されたタイミング制御パルス化引き
出し器であって、この所定のイオンおよびそのフラグメ
ントを加速する、タイミング制御パルス化引き出し器
と; e)このタイミング制御パルス化引き出し器と連絡する
飛行時間分析器であって、この予め選択されたイオンお
よびそのフラグメントの質量電荷比を決定する、飛行時
間分析器と;を備える、タンデム飛行時間型質量分析計
を提供する。
析計は、上記実質的に電場を有さない領域は、上記イオ
ンフラグメント器中の衝突によって励起されたイオンが
フラグメンテーションを実質的に完了することを可能に
し得る。
計は、上記イオンフラグメント器と上記タイミング制御
パルス化引き出し器との間に位置されたグリッドをさら
に備え、このグリッドは上記実質的に電場を有さない領
域を生成するようにバイアスされている。
計は、上記タイミング制御イオンセレクタは、ドリフト
管およびタイミング制御イオンデフレクタを包含し得
る。
計は、上記パルス化イオン源は、電場を有さない領域中
にイオンを注入するインジェクタおよび、注入方向に対
して直交方向にこのイオンを引き出すパルス化イオン引
き出し器を包含し得る。
イオン生成器と、(2)イオン生成器と連絡するタイミ
ング制御イオンセレクタと、(3)イオンセレクタと連
絡するイオンフラグメンテーションチャンバと、(4)
フラグメンテーションチャンバと連絡する分析器とを含
むタンデム飛行時間型質量分析計に関する。一実施形態
において、イオン生成器は、イオンの速度が質量電荷比
に依存するようにイオンが加速される、パルス化イオン
源を含む。パルス化イオン源は、レーザデソープション
イオン化またはパルス化電子スプレー源を含む。別の実
施形態において、イオン生成器は、連続電子スプレー、
電子インパクト、誘起結合プラズマ、または化学的イオ
ン化源などの連続イオン化源を含む。この実施形態にお
いて、イオンは、ドリフト空間内のイオンの移動方向に
実質的に直交する方向で、パルス化イオン源に注入され
る。イオンは、パルス化イオンビームに変換され、周期
的に電圧パルスを印加することによってドリフト空間方
向に加速される。
ンセレクタは、一端にパルス化イオン生成器に連結され
たフィールドフリーのドリフト空間を含み、他端でパル
ス化イオンデフレクタに連結されている。ドリフト空間
は、イオン伝達を向上させるためにイオンビームをドリ
フト空間の中央近傍に閉じ込めるビームガイドを含み得
る。パルス化イオンデフレクタは、選択された質量電荷
比範囲内のイオンのみが、イオンフラグメンテーション
チャンバを介して伝達されることを可能にする。一実施
形態において、分析器が、飛行時間型質量分析計であ
り、フラグメンテーションチャンバが、イオンのフラグ
メンテーションを引き起こし、かつ、引き出しを遅延さ
せるように設計された衝突セルである。別の実施形態に
おいて、分析器がイオンミラーを含む。
成するためだけでなく、飛行時間型質量分析計によるフ
ラグメントイオンの分析のための遅延引き出しイオン源
として作用するためにも、フラグメンテーションチャン
バを用いることである。このことは、フラグメントイオ
ンの高分解能飛行時間型質量スペクトルが、単一の収集
で質量範囲全体に亘って記録されることを可能にする。
本発明の別の特徴は、衝突セルと加速領域との間のフィ
ールドフリーの領域を生成するグリッドの追加である。
フィールドフリーの領域は、衝突セル内での衝突によっ
て励起されたイオンにフラグメンテーションを完了する
ための時間を与える。
び高感度でフラグメント質量スペクトルを測定すること
に関する。一実施形態において、方法は、(1)パルス
化イオン源を生成する工程と、(2)特定の範囲の質量
電荷比のイオンを選択する工程と、(3)イオンをフラ
グメントする工程と、(4)遅延引き出し飛行時間型質
量分析法を用いてフラグメントイオンを分析する工程と
を含む。一実施形態において、パルス化イオン源を生成
する工程は、MALDIによって行われる。一実施形態
において、イオンをフラグメントする工程は、イオンを
気体の分子と衝突させることによって行われる。一実施
形態において、イオンをフラグメントする工程は、イオ
ンを励起させ、その後励起したイオンをほぼフィールド
フリーの領域を通過させることにより、励起したイオン
に、実質的にフラグメンテーションを完了するために十
分な時間を与える工程を含む。
は、一次イオンの選択を含む。パルス化イオン生成器を
制御するパラメータは、注目する一次イオンがパルス化
イオンデフレクタにおいて最小ピーク幅に集束するよう
に、調整される。デフレクタは、選択されたイオンが伝
達されることを可能にするが、すべての他のイオンは偏
向され従って伝達されない。選択されたイオンは所定量
だけ減速され得る。選択されたイオンは、衝突セルに入
り、そこで中性分子との衝突により励起されて解離す
る。フラグメントイオンおよび残りのすべての選択され
たイオンは、衝突セルを出て、セルと、セルとほぼ同一
の電位に維持されているグリッドプレートとの間のほぼ
フィールドフリーの領域に向かう。この時点でのイオン
パケットは、すべてのイオンが、速度および位置では多
少のばらつきがあるが、ほぼ同一の平均速度を有してい
るという点で、MALDIによって最初に生成されたも
のに酷似している。
を通過してから短い遅延期間の後に、所定振幅の加速パ
ルスが、グリッドプレートに印加される。生成品として
のイオンのスペクトルは記録され得、正確な質量が決定
され得る。理論によると、伝達効率の損失を最小限に抑
えながら、一次イオン選択のための3000に近い分解
能が達成可能である。フラグメントイオンの理論的分解
能は、質量2000まではフラグメント質量の少なくと
も10倍である。
S装置、および一次イオン選択とフラグメントイオン決
定との両方のための飛行時間技術を用いた方法を提供す
ることである。本発明は、MALDIおよび電子スプレ
ーなどのいずれのパルス化または連続イオン化源にも適
用可能である。本発明は、ペプチド、オリゴヌクレオチ
ドおよびオリゴ糖などの生物学的サンプルに関する配列
および構造情報を提供するために特に有用である。
請求の範囲に照らして説明する。本発明の上記および他
の利点は、添付の図面と共に以下の記載を参照すること
により、よりよく理解され得る。
本発明の遅延引き出しを用いるタンデム飛行時間型質量
分析計10は、以下を含む。すなわち、(1)パルス化
イオン生成器12、(2)パルス化イオン生成器12と
連絡するタイミング制御イオンセレクタ14、(3)タ
イミング制御イオンセレクタ14と連絡するイオンフラ
グメント器またはフラグメンテーションチャンバ18、
そして(4)イオン分析器24である。動作中、分析対
象サンプルは、パルス化イオン生成器12によりイオン
化される。調査対象イオンは、タイミング制御イオンセ
レクタ14により選択され、フラグメンテーションチャ
ンバ18に渡される。ここで、選択されたイオンはフラ
グメントされ、分析器24に渡される。フラグメンテー
ションチャンバ18は、分析器24の遅延引き出し源と
して機能するよう設計されている。
き出しを用いるタンデム飛行時間型質量分析計10の1
つの実施形態は、パルス化イオン生成器12を含む。パ
ルス化イオン生成器は、レーザ27およびソース引き出
しグリッド36を含む。タイミング制御イオンセレクタ
14は、イオン生成器12と連絡している。イオンセレ
クタ14は、電場を有さないドリフト管16およびパル
ス化イオンデフレクタ52を含む。電場を有さないドリ
フト管16は、図7に関連して示されるようにイオンガ
イドを含んでもよい。
は、イオンセレクタ14と連絡している。図2Aに示さ
れるイオンフラグメンテーションチャンバは、衝突セル
44を含む。しかしながら、フラグメンテーションチャ
ンバ18は、光解離チャンバまたは表面誘起解離チャン
バのような、対象分野において公知の他のあらゆるタイ
プのフラグメンテーションチャンバであってもよい。パ
ルス化イオンデフレクタ52への入口における小さなア
パーチャ54は、イオンビームをフラグメンテーション
チャンバ18へ自由に通過させるが、中性ガスの流れは
制限する。フラグメンテーションチャンバ18は、イオ
ン分析器24と連絡している。フラグメンテーションチ
ャンバ18の出口における小さなアパーチャ58は、イ
オンビームを自由に通過させるが、中性ガスの流れは制
限する。
ト53は、衝突セル44に隣接して配置され、電場を有
さない領域57を形成するようにバイアスされる。電場
を有さない領域57は、図2Aにおいて四角で示し、関
連する図7においてさらに詳細に説明するイオンガイド
57’を含んでもよい。フラグメント器引き出しグリッ
ド56は、グリッドプレート53および分析器24への
入口58に隣接して配置される。別の実施形態におい
て、グリッドプレート53が排除され、フラグメント器
引き出しグリッド56は、出口アパーチャに直接隣接し
て配置される。この実施形態は、フラグメンテーション
が衝突セル44内で実質的に完了する測定において用い
られる。分析器24は、イオンミラー64と連絡してい
る第2の電場を有さないドリフト管16’を含む。第2
の電場を有さないドリフト管16’は、図7に関連して
示すようにイオンガイドを含んでもよい。反射イオンを
受け取るように検出器68が配置される。
管16は、ガス放出口22を通じて真空ポンプ(図示せ
ず)に接続される真空ハウジング20に封入されてい
る。また、フラグメンテーションチャンバ18およびパ
ルス化イオンデフレクタ52も、ガス放出口48を介し
て真空ポンプ(図示せず)に接続される真空ハウジング
19に封入されている。同様に、分析器24は、ガス放
出口28を介して真空ポンプ(図示せず)に接続される
真空ハウジング26に封入されている。真空ポンプは、
イオンと中性分子との衝突が起こり難くなるように、真
空ハウジング20、19および26内の中性ガスのバッ
クグランド圧力を十分に低く維持する。
のパルスを生成するパルス化イオン生成器12によりイ
オン化される。1つの実施形態において、パルス化イオ
ン生成器12は、マトリックス支援レーザデソープショ
ン/イオン化(MALDI)を用いる。この実施形態に
おいて、レーザビーム27’は、入射レーザビーム28
の波長を選択的に吸収可能なマトリックスと混合された
サンプル32を有するサンプル板に衝突する。
2とソース引き出しグリッド36との間、およびソース
引き出しグリッド36とドリフト管16との間に放出電
位を印加することにより、イオンを加速する。1つの実
施形態において、ドリフト管16は接地電位にある。こ
の加速の後、イオンは、その電荷質量比の平方根にほぼ
比例した速度で、ドリフト管16を移動する。すなわ
ち、イオンは重いほどゆっくりと移動する。従って、質
量の大きいイオンは、質量の小さいイオンよりもよりゆ
っくりと移動するので、イオンは、ドリフト管16内で
その質量電荷比に応じて分離する。
化から所定の時間後に、ある時間窓だけ開く。これによ
り、パルス化イオンデフレクタ52が衝突セル44への
アクセスを可能としている間の所定の時間窓内にパルス
化イオンデフレクタ52に達する選択された質量電荷比
のイオンのみが伝達される。従って、パルス化イオンデ
フレクタ52により、選択された質量電荷比を有する所
定のイオンのみが、衝突セル44に入ることができる。
質量がより大きいまたは小さいその他のイオンは阻止さ
れる。
吸入口40を通じて流入する中性ガスと衝突する。これ
らの衝突が、イオンのフラグメントを引き起こす。衝突
のエネルギーは、サンプル32と衝突セル44との間の
印加電位差に比例する。1つの実施形態において、衝突
セル44における中性ガスの圧力は約10−3Torr
に維持され、衝突セル44の周囲の空間における圧力は
約10−5Torrに維持されている。イオン入口アパ
ーチャ46およびイオン出口アパーチャ50を介して衝
突セル44からのガス拡散は、ガス放出口48に接続さ
れた真空ポンプ(図示せず)により促進される。別の実
施形態においては、ガス吸入口40に高速パルス化バル
ブ(図示せず)が配置され、これによりイオンがフラグ
メンテーションチャンバ18に達する間は、中性ガスの
高圧パルスを生成し、それ以外の間は、フラグメンテー
ションチャンバ18を真空状態に保つ。中性ガスは、ヘ
リウム、空気、窒素、アルゴン、クリプトンまたはキセ
ノンのような任意の中性ガスであり得る。
オンがグリッドプレート53内のアパーチャ50’を通
過し、グリッドプレート53とフラグメント器引き出し
グリッド56との間のほぼ電場を有さないの領域59に
入るまで、グリッドプレート53およびフラグメント器
引き出しグリッド56は、衝突セル44と実質的に同じ
電位にてバイアスされる。イオンがグリッドプレート5
3を通過してから所定の時間後に、グリッドプレート5
3上の電位が高電圧へと急速に切り換えられ、これによ
りイオンは加速される。加速されたイオンは、分析器2
4への入口58を通過し、第2の電場を有さないドリフ
ト管16’に入り、イオンミラー64に入り、そして反
射イオンを受け取るように配置された検出器68へと進
む。
られた時から、検出器68によるイオンの検出までの、
イオンフラグメントの飛行時間が測定される。測定され
た時間から、イオンフラグメントの質量電荷比が、決定
される。フラグメンテーションチャンバ18がイオンフ
ラグメントの遅延引き出しソースとして機能するように
動作パラメータを正しく選択することで、質量電荷比を
非常に高い分解能にて決定することができる。動作パラ
メータは、以下を含む。すなわち、(1)グリッドプレ
ート53内のアパーチャ50’を通じてのフラグメント
イオンの通過と、グリッドプレート53への加速電位の
印加との間における遅延、および(2)グリッドプレー
ト53とフラグメント器引き出しグリッド56との間に
おける引き出し電界の大きさ、である。
用いられないか、または存在しない。この実施形態は、
衝突セル44内でフラグメンテーションが実質的に完了
する測定において用いられる。この実施形態において、
フラグメント器引き出しグリッド56は、衝突セル44
と実質的に同じ電位にてバイアスされる。イオンが衝突
セル44を出てから所定の時間後に、衝突セル44への
高電圧接続が、第2の高電圧供給(図示せず)へと急速
に切り換えられ、これにより、イオンは加速される。加
速されたイオンは、分析器24への入口58を通過し、
第2の電場を有さないドリフト管16’に入り、イオン
ミラー64に入り、そして反射イオンを受け取るように
配置された検出器68へと進む。
から、検出器68によるイオンの検出までの、イオンフ
ラグメントの飛行時間が測定される。イオンフラグメン
トの質量電荷比は、測定された時間から決定される。フ
ラグメンテーションチャンバ18がイオンフラグメント
の遅延引き出しソースとして機能するように動作パラメ
ータを正しく選択することで、質量電荷比を非常に高い
分解能にて決定することができる。動作パラメータは、
以下を含む。すなわち、(1)高電圧が第2の高電圧に
急速に切り換えられる前に、イオンが衝突セル44を出
てから所定の時間後、および(2)衝突セル44とフラ
グメント器引き出しグリッド56との間における引き出
し電界の大きさ、である。
計の実施形態の各部分においてイオンが経る電位を示
す。電圧70がサンプル32に印加され、電圧71が引
き出しグリッド36に印加される。電圧71は、電圧7
2とほぼ等しい。レーザービーム28がサンプル32に
衝突するのに応答して、イオンのパルスが形成され、サ
ンプル32と引き出しグリッド36との間にある実質的
に電場を有さないの空間61内に放出される。イオン
は、その質量電荷比とほぼ無関係な特徴的な速度分布
で、サンプル32から放出される。イオンが、サンプル
32と引き出しグリッド36との間のほぼ電場を有さな
いの空間61内をドリフトするに従い、イオンは空間的
に分布し、より速いイオンは引き出しグリッド36に近
くなり、そしてより遅いイオンはサンプル32に近くな
る。イオン化から所定の時間後に、サンプル32に印加
された電圧は、より高い電圧72へと急速に切り換えら
れ、これにより、サンプル32と引き出しグリッド36
との間に電界を確立する。サンプル32と引き出しグリ
ッド36との間の電界により、サンプル32に最も近く
て初期的により遅いイオンが、初期的により速いイオン
よりも大きな加速を受ける。
よりも低い電位73にあるため、引き出しグリッドとド
リフト管との間に第2の電界が確立される。1つの実施
形態において、電圧73は、接地電位にある。これによ
り、イオンは、第2の電界によりさらに加速される。電
圧71および72、ならびにイオンパルスの形成と引き
出し電圧72のスイッチングとの間の時間遅延を適切に
選択することにより、81の初期的により遅いイオン
は、82の初期的により速いイオンよりも加速されるた
め、初期的により遅いイオンは、最終的に選択集束点8
3にて、初期的により速いイオンを追い抜く。選択集束
点83としては、パルス化イオンデフレクタ52、衝突
セル44、またはイオン行路沿いのその他の任意の点が
選ばれ得る。
的な速度分布の場合、ある特定の質量電荷比のイオン
が、選択集束点83に到達する時間の総時間幅は、典型
的には約1ナノ秒以下である。選択集束点83が、パル
ス化イオンデフレクタ52と同じ位置に選択された場
合、パルス化イオンデフレクタ52のゲートは、選択さ
れた質量電荷比のイオンの到達時間に対応する短い時間
間隔で開けられ、これ以外の時間は、他のすべてのイオ
ンを阻止するために閉じられる。本発明の遅延引き出し
は、イオンパケットの時間幅を非常に小さくすることが
可能なことから、イオン選択の分解能が、パルス化イオ
ンデフレクタ52の特性によってしか制限されないた
め、有利である。従って、高分解能のイオン選択が可能
である。対照的に、継続的な引き出しを用いた場合に
は、すべてのイオンが電界から同一の加速を受け、速度
集束は起こらない。これにより、特定の質量電荷比のイ
オンパケットの時間幅は、サンプルから行路沿いの任意
の点へのイオンの移動時間に比例して拡大し、イオン選
択の分解能は非常に高くはなり得ない。
は、選択された質量電荷比のイオンが到達するまでの
間、質量の小さいイオンを偏向する横電界を確立する。
選択された質量電荷比のイオンが到達すると、横電界は
急速にゼロへと下げられため、選択されたイオンは通過
可能となる。選択されたイオンの通過後、横電界は元に
戻り、より質量の大きいあらゆるイオンは偏向される。
選択されたイオンは、フラグメンテーションチャンバ1
8内へ偏向されずに伝達される。
突セル44に入る前に、イオンの運動エネルギーを下げ
るために電圧74が衝突セル44に印加され得る。衝突
セル44内のイオンのエネルギーは、電圧74およびイ
オンの初速度と関連する運動エネルギーに対する初期電
位81または82により決定される。衝突セル44内で
イオンが中性分子と衝突する際のエネルギーは、電圧7
4を変えることで多様にすることができる。
する際、イオンの運動エネルギーの一部は、イオンがフ
ラグメントするのに十分な内部エネルギーに変換され得
る。衝突セル44内における衝突により、エネルギーを
与えられたイオンおよびフラグメントは、幾分遅い速度
にて衝突セル44内を移動し続け、依然短い時間間隔内
で、遅延引き出しおよび衝突により変更された初速度分
布に対応する速度分布にて、出口アパーチャ50を通っ
て最終的に出てくる。
ト53に印加された電圧74、およびフラグメント器引
き出しグリッド56に印加された電圧75が等しくある
ため、衝突セル44とフラグメント器引き出しグリッド
56との間に電場を有さない領域を形成する。電場を有
さない領域内をイオンがドリフトするに従い、イオンは
空間的に分布し、より速いイオンはフラグメント器引き
出しグリッド56に近くなり、そしてより遅いイオンは
グリッドプレート53に近くなる。
3に印加された電圧は、より高い電圧76へと急速に切
り換えられ、これにより、グリッドプレート53とフラ
グメント器引き出しグリッド56との間に電界が確立さ
れる。その結果、初期的により遅いイオンは、初期的に
より速いイオンよりも大きな加速を受ける。1つの実施
形態において、グリッドプレート53および衝突セル4
4は、その両方が同時に切り換えられるように電気的に
接続されている。別の実施形態において、衝突セル44
に印加される電圧は一定であり、グリッドプレート53
に印加される電圧のみが切り換えられる。
53は用いられないか、または存在しない。この実施形
態は、フラグメンテーションが衝突セル44内で実質的
に完了する測定において用いられる。この実施形態で
は、衝突セル44とフラグメント器引き出しグリッド5
6との間に電場を有さない領域はない。所定の時間遅延
の後、衝突セル44に印加された電圧は、より高い電圧
76へと急速に切り換えられ、これにより、衝突セル4
4とフラグメント器引き出しグリッド56との間に電界
を確立する。その結果、初期的により遅いイオンは、初
期的により速いイオンよりも大きな加速を受ける。
ド56とドリフト管16’との間の電界内でさらに加速
される。1つの実施形態において、電圧77は、接地電
位にあってもよい。電圧76および74、ならびに衝突
セル44の切り換え時間を適切に選択することで、84
の初期的により遅いイオンは十分に加速され、85の初
期的により速いイオンを選択集束点89にて追い抜く。
分析器24への入口58、あるいはその付近に選択され
る。この実施形態において、イオンは、第2の電場を有
さない領域16’を移動し、イオンミラー64に入る。
イオンミラー64内において、イオンは、電圧79で反
射され、最終的に検出器68に衝突する。ドリフト管1
6’の所定の長さおよびミラー64の長さに対して、電
圧78は、検出器68にてイオンを時間的に再集束する
ように調整可能である。このように、フラグメンテーシ
ョンチャンバ18は、分析器24の遅延引き出し源とし
ての役割を果たし、フラグメントイオンの高分解能スペ
クトルが測定可能となる。
ンチャンバ18の1つの実施形態の模式図である。衝突
セル44は、衝突セル44内にガスを導入するガス吸入
口40、および衝突セル44から外へとガスを拡散する
(矢印D)入口アパーチャ46および出口アパーチャ5
0をそれぞれ含む。これらのアパーチャ46および50
は、衝突セル44内に外部の電界が侵入するのを回避す
るために、透明度の高いグリッド47で覆われてもよ
い。外部に拡散するガスは、フラグメンテーションチャ
ンバ18のガス放出口48(図2)に取り付けられた真
空ポンプにより引き出される。1つの実施形態におい
て、均一な電界が、衝突セル44とフラグメンテーショ
ンチャンバ18への入口アパーチャ51との間、ならび
にフラグメント器引き出しグリッド56と分析器24へ
の入口アパーチャ58との間に確立される。
および抵抗型分圧器53’に接続されている。分圧器5
3’は、電気的に絶縁した保護環55に取り付けられて
いる。保護環55は、引き出しグリッド56と分析器2
4への入口アパーチャ58との間、ならびに衝突セル4
4とフラグメンテーションチャンバ18への入口アパー
チャ51との間の空間に、均一間隔で置かれている。分
圧器53’は、これらの空間にほぼ均一の電界を提供す
るように調整されている。高電圧電源90は、衝突セル
44に電気的に接続され、電圧74(図2B)に設定さ
れている。グリッドプレート53上の電圧は、スイッチ
80により設定される。スイッチ80は、電圧74に設
定された高電圧電源90、および電圧76に設定された
高電圧電源91のそれぞれ(図2B)と電気的に連絡し
ている。
号により制御される。遅延発生器87は、制御器(図示
せず)から受け取ったスタート信号に応答して、制御信
号をスイッチ80に供給する。制御器は、1つの実施形
態においては、デジタルコンピュータである。スイッチ
80が、グリッドプレート53への高電圧接続を高電圧
電源90により生じる電圧74から、高電圧電源91に
より生じる電圧76へと切り換えるために起動される直
前に、選択された質量電荷比のイオンが、グリッドプレ
ート53におけるアパーチャ50’を通過できるように
遅延が設定される。
おいて、パルス化イオンデフレクタ52は、透明度の高
いグリッドで覆われたアパーチャ51と54との間に配
置される、2つの直列デフレクタ100および102を
含む。アパーチャ54はまた、ドリフト管16の出口ア
パーチャとして機能し、アパーチャ51もまた、フラグ
メンテーションチャンバ18への入口アパーチャ51と
して機能する。グリッド状のアパーチャ51および54
は、デフレクタ100および102により形成された電
界が、パルス化イオンデフレクタ52より先へと伝搬す
ることを回避する。デフレクタ100および102は、
電気的破壊を引き起こすことなく、できる限りアパーチ
ャ51および54上のグリッド面の近くに配置される。
最も近いデフレクタ100は、デフレクタ100の電極
101Aと101Bがこれらの電極間に電位差を有す
る、通常閉(NC)または充電状態の構成で動作され
る。第2のデフレクタ102は、電極105Aと105
Bとの間に電圧差がない、通常開(NO)または放電状
態の構成により動作される。イオンの生成と、デフレク
タ100における所望の質量電荷比のイオンの到達時間
との間の遅延を正しく選択することにより、入口電極1
01Aおよび101Bは、所望のイオンのみがデフレク
タ100に達するように開くため、非充電状態にされ得
る。その一方で、第2のデフレクタ102の電極105
Aおよび105Bは、対象イオンがデフレクタ102を
通過する直後に閉じられるように非充電状態される。こ
の方法にて、質量の小さいイオンは、第1のデフレクタ
100により阻止され、質量の大きいイオンは、第2の
デフレクタ102により阻止される。イオンは、臨界ア
パーチャからそれるような、十分に大きな角度で偏向さ
れることにより、阻止される。様々な実施形態において
(例えば、図2)、臨界アパーチャは、衝突セル44へ
の入口アパーチャ46、分析器24または検出器68
(最小の偏向角度を有する方)への入口アパーチャ58
と一致し得る。
イオン行路沿いにおける任意の2つの点の間のあらゆる
イオンの飛行時間を正確に計算することができる。図2
Aおよび図2Bに示される1つの実施形態において用い
られたような均一の電界の場合、これらの方程式は、特
に正確に計算することができ、電圧、距離、および初速
度が正確に知られている条件においては、2つの点の間
のあらゆるイオンの飛行時間を正確に計算することがで
きる。具体的には、イオンが均一加速電界を横断する時
間は、以下の方程式で示される。
度、そしてtはイオンが電界内で過ごす時間を示す。加
速度は、以下の方程式で示される。
およびV2は印加電圧、そしてdは電界の全長を示す。
電場を有さない空間において、加速度はゼロであり、以
下の式で示される。 t=D/v 式中、Dは、電場を有さない空間の全長、vはイオンの
速度を示す。
において、運動エネルギーおよび位置エネルギーの総和
は一定である。電界における荷電粒子の運動は、以下の
式で示される。 T2−T1=z(V1−V2) 式中、運動エネルギーT=mv2/2である。この式を
Vについて解くことによって、任意の点における荷電粒
子の速度の明確な式を示し得る。
て、上記の方程式は、イオンの質量、電荷、電位、距離
と、初期の位置および速度との関数として飛行時間を正
確に提供する。距離がメートルで、電位がボルトで、質
量がkgで、電荷がクーロンで、そして時間が秒で表さ
れるSI系が用いられる場合、さらなる定数は必要な
い。
先験的に十分な正確さで知られないこともあり、そのよ
うな場合は、計算された飛行時間の補正を経験的に決定
する必要もあり得る。
た質量電荷比のイオンの飛行時間は、十分な正確さで決
定でき、これにより、パルス化イオン生成器12におけ
るイオンの生成と、タイミング制御イオンセレクタ14
におけるイオンの選択、または衝突セル44からのイオ
ンのパルス引き出しとの間に必要とされる時間遅延を正
確に決定することが可能となる。
おいて、4チャネル遅延発生器162は、スタートパル
ス150により開始される。スタートパルス150は、
パルス化イオン生成器12におけるイオンの生成と同期
している。1つの実施形態において、スタートパルス
は、レーザビーム28からの光のパルスを検出すること
により生成される。第1の遅延期間の後、パルス151
が遅延発生器162により生成される。遅延発生器16
2は、電圧70および72をそれぞれ供給する電圧源と
連絡しているスイッチ155をオンにする。パルス15
1を受け取る前、スイッチ155は、電圧70の供給源
をサンプル32へと接続する位置160にある。パルス
151を受け取ると、スイッチ155は、電圧72の電
圧源をサンプル32へと接続する位置161に急速に移
動する。第1の遅延は、パルス化イオン生成器12によ
り生成された選択された質量電荷比のイオンが、選択点
(例えばパルス化イオンデフレクタ52)において、時
間的に集束するように選択される。
び157をトリガするパルス152が生成される。パル
ス152を受け取る前、スイッチ156は電圧源120
を偏向板101Aに接続し、スイッチ157は電圧源1
21を偏向板101Bに接続する。パルス152を受け
取ると、スイッチ156および157は、急速に動いて
偏向板101Aおよび101Bの両方を接地に接続す
る。
初期的には電極105Aおよび10Bを接地接続し、そ
して第3の遅延期間の後に起こる遅延パルス153に応
答して、電極105Aおよび105Bを電圧源122お
よび123にそれぞれ接続する。1つの実施形態におい
て、電圧源120および122は等しい電圧を供給し、
電圧源121および123は、電圧源120より供給さ
れる電圧と大きさが等しく符号は反対である電圧源を供
給する。第2の遅延期間は、パルスイオン偏向器52の
入口アパーチャ54、またはその付近に選択された質量
電荷比のイオンが到達することに対応するように選択さ
れる。そして、第3の遅延期間は、パルスイオン偏向器
52の出口アパーチャ51、またはその付近に選択され
た質量電荷比のイオンが到達することに対応するように
選択される。
ガするパルス154が生成される。パルス154を受け
取る前、スイッチ79は、電圧源供給電圧74をグリッ
ド板53に接続する。そして、パルス154を受け取る
と、スイッチ79は、電圧源供給電圧76をグリッド板
53に接続するために急速に切り換える。第4の遅延期
間は、グリッド板53のアパーチャ50’、またはその
付近に選択された質量電荷比のイオンが到達することに
対応するように選択される。第4の遅延期間を適切に選
択することで、フラグメンテーションチャンバ18は、
分析器24の遅延引き出し源として作用し、一次イオン
およびフラグメントイオンの両方が、時間的に検出器6
8に集束する。各スイッチ79、155、156、15
7、158および159は、次のスタートパルスが開始
されるよりも前に、初期状態にリセットされなければな
らない。スイッチをリセットする時間および速度は重要
ではなく、各スイッチに組み込まれた固定遅延の後に実
行してもよいし、あるいは別の外部の遅延チャネル(図
示せず)からの遅延パルスを用いてもよい。
解能は、定められた距離、電圧および遅延時間を有す
る、図2に示した実施形態のような、あらゆる機器構成
(instrumental geometory)に
対して計算できる。図6に示すプロットは、20キロボ
ルトのサンプル電圧72および19.8キロボルトの衝
突セル電圧74(実験室基準系(laboratory
referenceframe)における200ボル
トのイオン中性衝突エネルギーに対応)で、パルス化イ
オン生成器12において生じる質量電荷比(m/z)が
2000のイオンについてのフラグメント質量の関数と
しての分解能の計算に対応する。(図2Aおよび図2
B)。m/zが2000の一次イオンがアパーチャ5
0’を通過すると計算された時点から858ナノ秒の遅
延後に、グリッド板53をより高い電圧76に切り換え
た。この電圧76は、この計算の目的においては25キ
ロボルトであった。
ラグメント器引き出しグリッド56に印加された電圧7
5もまた、19.8キロボルトであったため、引き出し
グリッド56と衝突セル44との間の領域は電場を有さ
なかった。別の事例にて(図6の曲線112)、フラグ
メント器引き出しグリッド56に印加された電圧75は
19.9キロボルトであったため、衝突セル44の出口
50から出てくるイオンは多少減速された。図6からも
わかるように、後者の事例である112は、比較的大き
い質量の場合に理論的分解能が若干低くなるが、比較的
低いフラグメント質量においては幾分良好な分解能が得
られる。
ては、イオンガイド99が、1つ以上のフィールドフリ
ー領域に配置されることを含む。イオンガイドは、イオ
ンの伝達を増加させるため、ドリフト管16または1
6’のうちの少なくとも1つに、あるいはフィールドフ
リー領域57に配置され得る。ワイヤインシリンダ型
(wire−in−cylinder type)およ
び4極、6極または8極から成るRF励起多極レンズを
含む、いくつかの型のイオンガイドが、当該分野におい
て公知である。イオンガイドの1つの実施形態におい
て、スタックリング静電イオンガイド(stacked
ring electrostatic ion g
uide)が用いられる。スタックリングイオンガイド
は、それぞれ中央アパーチャ110を有し、各組のリン
グ108の間に均一の間隔で重ねられた同一の板または
リング108および108’の積層体を含む。リング1
08’は1つおきに正の電圧電源109に接続され、そ
の間のリング108は、それぞれ、負の電圧電源107
に接続される。
配置されるドリフト管16の端板は、ガイドの隣接し合
うリングの間の距離の半分に相当する距離だけ、スタッ
クリングイオンガイドの端部から離れている。イオンガ
イド99を通過する際のイオン飛行時間が不安定になる
のを回避するため、正にバイアスされた電極の数を、負
にバイアスされた電極の数と等しくすることが重要であ
る。入射イオンビームのエネルギーと比例する電圧電源
107および109からの印加電圧の、適切な大きさを
選択することにより、イオンビームは、ガイドの軸付近
で閉じ込められる。例えば、ワイヤインシリンダ型イオ
ンガイドよりもスタックリングイオンガイドの方が優位
である点は、イオンの飛行時間に著しい影響を与えるこ
となく、エネルギーおよび質量の広い範囲にわたり、効
率的にイオンを伝達させることである。
を参照して、パルス化イオン生成器12へイオンを供給
するために、連続またはパルス源のイオン128のいず
れを用いてもよい。この実施形態において、電気スプレ
ー、化学イオン化、電子衝撃、誘導結合プラズマ(IC
P)およびMALDIを含む、当該分野において公知の
あらゆるイオン化技術を用いることができる。この実施
形態においては、イオンのビーム129を、電極130
と引き出しグリッド36との間のフィールドフリー空間
内に注入し、周期的に電圧パルスを電極130に印加
し、これにより、初期ビームの方向と直交する方向へイ
オンを加速させる。イオンは、引き出しグリッド36と
グリッド136との間に形成された第2の電界において
さらに加速される。
続され、グリッド36と136との間に均一な電界を形
成するための補助として用いられ得る。イオンは、フィ
ールドフリー空間16を通過し、フラグメンテーション
チャンバ18内に入る。フラグメンテーションチャンバ
18内において、イオンは衝突セル44に入り、その中
で中性分子との衝突によりフラグメントされる。この実
施形態において、以下でさらに説明するように、パルス
イオン偏向器は衝突セル44内に配置され、フラグメン
テーションチャンバ18は、分析器24の遅延引き出し
源として機能する。フラグメンテーションチャンバ18
から出ていくイオンは、フィールドフリー空間16’を
通過し、イオンミラー64により反射され、フィールド
フリー空間16’に再び入り、検出器68により検出さ
れる。
変更を加えれば、図8に示される1つの実施形態にも適
用される。サンプル32(図2)は、電極130(図
8)に置き換えられ、パルスイオン偏向器52は、衝突
セル44(図8)内に配置される。連続イオン源128
内で生成されたイオンビーム129は、点81と82の
間にある、電極130と引き出しグリッド36との間の
空間に入る。電極130における電圧70は、初期的に
は引き出しグリッド36上の電圧71と等しく、電極1
30を周期的に切り換えることにより、イオンを引き出
す。70と72との間の電圧差は、ビーム内のイオン
が、時間内に衝突セル44からの出口、またはその付近
に集束するように選択される。1つの実施形態におい
て、引き出しグリッド36上の電圧71は接地電位にあ
り、ドリフト管16および16’上の電圧73は、対象
イオンとは反対符号の電圧である。
電圧74にそれらの初速度に関連付けられた運動エネル
ギーを足したものに対して、それらの初期電位81また
は82により決定される。従って、衝突セル44内でイ
オンが中性分子と衝突する際のエネルギーは、電圧74
を変えることで変化させることができる。1つの実施形
態において、電圧71および電圧74は、接地電位にあ
る。この実施形態において、衝突セル44とフラグメン
ト器引き出しグリッド56との間の引き出し電界は、初
期的に接地の、または接地付近の電圧75を、より低い
電圧に切り換えることで形成される。
て、パルスイオン偏向器52は、衝突セル44内に配置
される。パルス化イオン生成器12(図8)からのイオ
ンは、衝突セル44の出口104、またはその付近に集
束される。選択された質量電荷比を有するイオンのパル
スが、衝突セル44への入口103、またはその付近に
到達したとき、パルスイオン偏向器100を停止状態に
し、これにより、選択されたイオンを無偏向で通過させ
る。選択された質量電荷比を有するイオンのパルスが、
衝突セル44への出口104、またはその付近に到達し
たとき、パルスイオン偏向器102を活性化し、これに
より、パルス偏向器102に遅れて到達する、より大き
い質量のイオンを偏向する。このように、質量電荷比の
より低いイオンは、パルスイオン偏向器100により偏
向され、質量電荷比のより高いイオンは、パルスイオン
偏向器102により偏向され、そして選択された質量電
荷比の範囲内のイオンは、偏向されずに伝達される。パ
ルスイオン偏向器100および102に印加された電圧
は、偏向されたイオンおよび衝突セル内で生成されたあ
らゆるフラグメントが、臨界アパーチャを通過すること
がないように調整される。臨界アパーチャは、この実施
形態において、分析器24への入口アパーチャ58であ
る。
オン源128からのビームは、断面が円筒状であり、ビ
ームの軸に垂直な方向における速度成分が非常に小さく
なるように、十分に平行化されている。その結果、パル
ス化イオン生成器12により生成されたパルスビーム3
9は、連続イオン源128からイオンが移動する方向に
おいて比較的幅が広くなっているが、直交方向において
狭くなっている。すなわち、ビームの方向がx軸沿いの
場合、これに直交するビームの幅は狭くなる。アパーチ
ャ36、136、138、103、104、56および
142の幅は、本質的にパルスビーム全体が透過される
ように、連続ビーム129およびパルスビーム32の方
向により規定される平面において、十分に広くなければ
ならない。しかし、この平面に垂直の方向においては、
狭くてもよい。これは、衝突セル44の断面図を示す図
9Aに示されている。この図において、出口アパーチャ
104の全長は、連続イオン源128からのビームに平
行する方向において25mmで、連続イオン源128か
らのビームおよびパルスビーム39で規定される平面に
対して直交する方向においては1.5mmである。その
他のアパーチャ36、136、138、103、56お
よび142は、同様の寸法を有していてもよい。また、
連続イオンビーム129の初速度は、パルス化イオン生
成器12内での加速により与えれた速度にベクトル的に
加算される。その結果、パルスイオンビーム39の行路
は、加速の方向に対して小さな角度にあり、スリット
は、その長手方向沿いにオフセットされており、これに
より、パルスイオンビーム39の中心が、各アパーチャ
の中心付近を通過する。
態は、フラグメンテーションチャンバ18内で、光解離
セル152を用いる。1つに実施形態において、光解離
セルは、衝突セル44に類似するが、中性ガスが吸入口
40を通じて流入するのではなく、パルスレーザビーム
150がアパーチャまたは窓160を通じて流入し、ア
パーチャまたは窓161を通じてセルから出ていく。レ
ーザパルスは、選択された質量電荷比のイオンパルスと
同時にレーザパルスが光解離セルの中心に到達するよう
に、スタートパルスおよび遅延発生器(図示せず)と同
期している。
収するようにレーザの波長は選択されている。1つの実
施形態において、266nmのレーザ光線の波長を有す
る4倍Nd:YAGレーザが用いられる。別の実施形態
において、193nmの波長を有するエキシマレーザが
用いられる。対象イオンにより吸収されることを条件と
して、あらゆる波長の放射を用いることができる。対象
イオンは、パルスレーザビーム150からの1つ以上の
光子の吸収により励起され、フラグメント化される。フ
ラグメントは、上記にて詳述したように、分析器24の
遅延引き出し源として機能を果たすフラグメンテーショ
ンチャンバ18で分析される。光解離セル152はま
た、パルスイオン偏向器100および102を備え、選
択されたイオンと異なる質量電荷比を有するイオンが分
析器24に伝達されるのを回避する。
態は、フラグメンテーションチャンバ18内で表面誘起
解離セル154を用いる。この実施形態において、対象
イオンは、パルスイオン偏向器52により選択され、そ
の他の質量電荷比のイオンは、表面誘導誘起解離セル1
54に入らないように偏向される。選択されたイオン
が、入射のグレージング角度にて電極156の表面15
9と衝突するように選択されたイオンを偏向するよう
に、電極158と156との間に電位差が印加される。
イオンは、表面159との衝突により励起され、フラグ
メントされる。1つの実施形態において、表面159
は、フラグメンテーションを促進する、あるいは、表面
との電荷交換の可能性を低減するように、ペルフルオロ
化等の高分子量の比較的不揮発性である液体でコーティ
ングされる。フラグメントイオンは、分析器24の遅延
引き出し源として機能を果たすフラグメンテーションチ
ャンバ18で分析される。
て、タイミング制御イオン選択器14およびイオンフラ
グメンテーションチャンバ18は、パルス化イオン生成
器12と同じ真空ハウジング20内に封入されている。
グリッド板53およびフラグメント器引き出しグリッド
56を含むパルスイオン引き出し器は、分析器24を封
入する真空ハウジング26に配置される。フラグメンテ
ーションチャンバ18とグリッド板53との間のほぼフ
ィールドフリーの空間57に配置される小さなアパーチ
ャ58により、中性ガスの流れは制限されるが、イオン
ビームは自由に通過できる。1つの実施形態において、
アパーチャ58を通過するイオンを集束させるために、
パルス化イオン生成器12とタイミング制御イオン選択
器14との間にeinzelレンズが配置される。この
実施形態において、真空ハウジング19(図2)および
これに関連する真空ポンプは、必要とされない。1つの
実施形態において、フラグメンテーションチャンバ18
内の衝突セル44は、フラグメント器引き出しグリッド
56と同様、接地電位に接続されている。グリッド板5
3も同様に、最初は接地されており、対象イオンが、グ
リッド板53とフラグメント器引き出しグリッド56と
の間のほぼフィールドフリーの空間59に達した後、高
電圧に切り換えられる。
れらの概念を取り入れた他の実施形態も用いられ得るこ
とが、当業者には明らかである。従って、これらの実施
形態は、開示された実施形態に限定されるものではな
く、添付の請求項の趣旨と範囲によってのみ限定される
ものである。
と、パルス化イオン発生器と連絡するタイミング制御イ
オンセレクタと、イオンセレクタと連絡するイオンフラ
グメント器と、フラグメンテーションチャンバと連絡す
る分析器とを有する、タンデム飛行時間型質量分析計が
提供される。
る。
図である。
の、各点に存在する電圧を示すグラフである。
の一実施形態の模式図である。
び関連するゲーティング電位の一実施形態の模式図であ
る。
イミング制御イオンセレクタ、およびタイミング制御引
き出しにおいて用いられる電圧スイッチング回路の一実
施形態のブロック図である。
質量電荷比2000を有する仮定的イオンフラグメンテ
ーションにより得られたフラグメントイオンの、分解能
と質量電荷比との関係を示すグラフである。
フィールドフリーの領域に位置し得る積層プレートアレ
イを含むイオンガイドの実施形態の模式図である。
図である。
の、フラグメンテーションチャンバとしての衝突セルの
実施形態の模式図である。
フラグメンテーションチャンバとしての光解離セルの実
施形態の模式図である。
フラグメンテーションチャンバ内での、イオンと固体ま
たは液体表面との衝突を用いた実施形態の模式図であ
る。
図であって、タイミング制御イオンセレクタと、イオン
フラグメンテーションチャンバと、パルス化イオン生成
器とが同一の真空ハウジング内に収容されている実施形
態の模式図である。
Claims (57)
- 【請求項1】 a)第1の実質的に電場を有さない領域
にイオンを引き出し、所定の質量電荷比範囲のイオンを
焦点面上に集束させるように位置された第1のタイミン
グ制御イオン引き出し器に結合された、パルス化イオン
源と; b)該第1の実質的に電場を有さない領域と流体連絡す
る、イオンフラグメント器と; c)該イオンフラグメント器と流体連絡する、第2の実
質的に電場を有さない領域と; d)該イオンフラグメント器と、該第2の実質的に電場
を有さない領域との間に位置された第2のタイミング制
御イオン引き出し器であって、該第2のタイミング制御
イオン引き出し器は、所定の時間後に、イオンおよびそ
のフラグメントイオンを、該イオンフラグメント器から
該第2の実質的に電場を有さない領域へと加速するよう
に位置された、第2のタイミング制御イオン引き出し器
と; e)該第2の実質的に電場を有さない領域と流体連絡す
るイオンミラーであって、該イオンミラーは、該第2の
タイミング制御イオン引き出し器によって該第2の実質
的に電場を有さない領域へと加速された該フラグメント
イオンの少なくとも一部を、イオン検出器上に集束させ
るように位置された、イオンミラーと;を備える、タン
デム飛行時間型質量分析計。 - 【請求項2】 前記パルス化イオン源は、マトリックス
支援レーザデソープション/イオン化(MALDI)イ
オン源を包含する、請求項1に記載の質量分析計。 - 【請求項3】 前記パルス化イオン源は、電場を有さな
い領域中にイオンを注入するインジェクタおよび、注入
方向に対して実質的に直交である方向に該イオンを引き
出すように位置された第1のタイミング制御イオン引き
出し器を包含する、請求項1に記載の質量分析計。 - 【請求項4】 前記パルス化イオン源からイオンを受け
取るように位置されたタイミング制御イオンセレクタを
さらに備える請求項1に記載の質量分析計であって、該
タイミング制御イオンセレクタは、所定の質量電荷比範
囲のイオンのみが前記イオンフラグメント器まで移動す
ることを可能にする、質量分析計。 - 【請求項5】 前記タイミング制御イオンセレクタは、
イオンデフレクタを包含する、請求項4に記載の質量分
析計。 - 【請求項6】 前記イオンデフレクタは、電位差が印加
される1対の偏向電極を包含し、該電位差は、前記所定
の質量電荷比範囲内のイオンが該電極間を通過する時間
区間中以外において、イオンが前記イオンフラグメント
器に到達することを防ぐ、請求項5に記載の質量分析
計。 - 【請求項7】 前記イオンデフレクタは2対の偏向電極
を包含し、より低い質量電荷比のイオンが前記イオンフ
ラグメント器に到達することを防ぐための電位差が第1
の偏向電極対に印加され、より高い質量電荷比のイオン
が該イオンフラグメント器に到達することを防ぐための
電位差が第2の偏向電極対に印加される、請求項4に記
載の質量分析計。 - 【請求項8】 前記タイミング制御イオンセレクタは、
前記第1の実質的に電場を有さない領域内に位置され
た、請求項4に記載の質量分析計。 - 【請求項9】 前記第1の実質的に電場を有さない領域
は、ドリフト管を備える、請求項1に記載の質量分析
計。 - 【請求項10】 前記第1の実質的に電場を有さない領
域内に位置されたイオンガイドをさらに備える、請求項
1に記載の質量分析計。 - 【請求項11】 前記イオンガイドはガイドワイヤを包
含する、請求項10に記載の質量分析計。 - 【請求項12】 前記イオンガイドは孔があけられた複
数のプレートを包含し、該複数のプレートのうちの1つ
おきのプレートに正のDC電位が印加され、該複数のプ
レートのうちの残りのプレートに負のDC電位が印加さ
れる、請求項10に記載の質量分析計。 - 【請求項13】 前記イオンガイドはRF励起される多
重極レンズを包含する、請求項10に記載の質量分析
計。 - 【請求項14】 実質的に電場を有さない領域は、前記
イオンフラグメント器と、前記第2のタイミング制御イ
オン引き出し器との間に位置された、請求項1に記載の
質量分析計。 - 【請求項15】 前記イオンフラグメント器と電気的に
連絡され、該イオンフラグメント器に入るイオンのエネ
ルギーを変化させるように調節される、電源をさらに備
える、請求項1に記載の質量分析計。 - 【請求項16】 前記イオンフラグメント器は、ガス衝
突セルを包含する、請求項1に記載の質量分析計。 - 【請求項17】 前記イオンフラグメント器は、光解離
セルを包含する、請求項1に記載の質量分析計。 - 【請求項18】 前記フラグメント器は、イオンが固体
または液体表面に衝突する表面解離手段を包含する、請
求項1に記載の質量分析計。 - 【請求項19】 前記第2の実質的に電場を有さない領
域は、ドリフト管を備える、請求項1に記載の質量分析
計。 - 【請求項20】 前記第2の実質的に電場を有さない領
域は、イオンガイドを備える、請求項1に記載の質量分
析計。 - 【請求項21】 前記イオンガイドはガイドワイヤを包
含する、請求項20に記載の質量分析計。 - 【請求項22】 前記イオンガイドは孔があけられた複
数のプレートを包含し、該複数のプレートのうちの1つ
おきのプレートに正のDC電位が印加され、該複数のプ
レートのうちの残りのプレートに負のDC電位が印加さ
れる、請求項20に記載の質量分析計。 - 【請求項23】 前記イオンガイドはRF励起される多
重極レンズを包含する、請求項20に記載の質量分析
計。 - 【請求項24】 前記所定の時間は、前記第2のタイミ
ング制御イオン引き出し器が、選択された質量電荷比範
囲内のイオンを第2の焦点面上に集束させるような時間
である、請求項1に記載の質量分析計。 - 【請求項25】 前記第2の実質的に電場を有さない領
域は入口を有し、前記第2の焦点面は、該入口と実質的
に一致するように位置された、請求項24に記載の質量
分析計。 - 【請求項26】 前記所定の時間は、前記第2のタイミ
ング制御イオン引き出し器が、選択された質量電荷比範
囲内のイオンを集束させるような時間であり、該集束さ
れたイオンが、前記イオンフラグメント器から出射した
ときの速度に実質的に関わらず、時間間隔内で前記イオ
ン検出器に到達するような時間である、請求項1に記載
の質量分析計。 - 【請求項27】 前記第2のタイミング制御イオン引き
出し器と電気的に連絡され、該第2のタイミング制御イ
オン引き出し器に電位を印加し、素早く変化させるよう
に調節される電源をさらに備える、請求項1に記載の質
量分析計。 - 【請求項28】 a)所定の質量電荷比範囲のイオンを
焦点面上に集束させる、パルス化イオン源と; b)該所定の質量電荷比範囲のイオンの少なくとも一部
を受け取るように位置された、第1の実質的に電場を有
さない領域と; c)該パルス化イオン源から間隔が開けられ、かつ、該
第1の実質的に電場を有さない領域に入るイオンの少な
くとも一部を受け取るように位置されたイオンフラグメ
ント器であって、該イオンフラグメント器に入る該イオ
ンの運動エネルギーを変更するように調節されている、
イオンフラグメント器と; d)該イオンフラグメント器から間隔が開けられ、か
つ、流体連絡するタイミング制御パルス化引き出し器で
あって、所定の時間後に、該所定の質量電荷比範囲のイ
オンおよびそのフラグメントイオンを加速する、タイミ
ング制御パルス化引き出し器と; e)該タイミング制御パルス化引き出し器と流体連絡す
る飛行時間分析器であって、該タイミング制御パルス化
引き出し器によって加速される該イオンの質量電荷比を
決定するように調節される、飛行時間分析器と;を備え
る、タンデム飛行時間型質量分析計。 - 【請求項29】 前記パルス化イオン源は、遅延引き出
しマトリックス支援レーザデソープション/イオン化
(MALDI)イオン源を包含する、請求項28に記載
の質量分析計。 - 【請求項30】 前記パルス化イオン源は、電場を有さ
ない領域中にイオンを注入するインジェクタおよび、注
入方向に対して直交である方向に該イオンを引き出すパ
ルス化イオン引き出し器を包含する、請求項28に記載
の質量分析計。 - 【請求項31】 該パルス化イオン源からイオンを受け
取るように位置されたタイミング制御イオンセレクタを
さらに備える、請求項28に記載の質量分析計であっ
て、該タイミング制御イオンセレクタは、前記所定の質
量電荷比範囲のイオンのみが前記イオンフラグメント器
まで移動することを可能にする、質量分析計。 - 【請求項32】 前記タイミング制御イオンセレクタ
は、前記第1の実質的に電場を有さない領域内に位置さ
れた、請求項31に記載の質量分析計。 - 【請求項33】 前記タイミング制御イオンセレクタ
は、イオンデフレクタを包含する、請求項31に記載の
質量分析計。 - 【請求項34】 前記タイミング制御イオンデフレクタ
は、電位差が印加される1対の偏向電極を包含し、該電
位は、前記所定の質量電荷比範囲内のイオンが該電極間
を通過する時間区間中以外において、イオンが前記イオ
ンフラグメント器に到達することを防ぐ、請求項31に
記載の質量分析計。 - 【請求項35】 前記タイミング制御イオンデフレクタ
は2対の偏向電極を包含し、より低い質量電荷比のイオ
ンが前記イオンフラグメント器に到達することを防ぐた
めの電位差が第1の偏向電極対に印加され、より高い質
量電荷比のイオンが該イオンフラグメント器に到達する
ことを防ぐための電位差が第2の偏向電極対に印加され
る、請求項31に記載の質量分析計。 - 【請求項36】 前記第1の実質的に電場を有さない領
域は、ドリフト管を備える、請求項28に記載の質量分
析計。 - 【請求項37】 前記第1の実質的に電場を有さない領
域内に位置されたイオンガイドをさらに備える、請求項
28に記載の質量分析計。 - 【請求項38】 前記イオンガイドはガイドワイヤを包
含する、請求項37に記載の質量分析計。 - 【請求項39】 前記イオンガイドは孔があけられた複
数のプレートを包含し、該複数のプレートのうちの1つ
おきのプレートに正のDC電位が印加され、該複数のプ
レートのうちの残りのプレートに負のDC電位が印加さ
れる、請求項37に記載の質量分析計。 - 【請求項40】 前記イオンガイドはRF励起される多
重極レンズを包含する、請求項37に記載の質量分析
計。 - 【請求項41】 前記イオンフラグメント器と前記タイ
ミング制御パルス化引き出し器との間に位置されたグリ
ッドをさらに備え、該グリッドは該イオンフラグメント
器とタイミング制御パルス化引き出し器との間に実質的
に電場を有さない領域を生成するようにバイアスされて
いる、請求項28に記載の質量分析計。 - 【請求項42】 前記イオンフラグメント器は、ガス衝
突セルを包含する、請求項28に記載の質量分析計。 - 【請求項43】 前記イオンフラグメント器は、光解離
セルを包含する、請求項28に記載の質量分析計。 - 【請求項44】 前記イオンフラグメント器は、イオン
が固体または液体表面に衝突する表面解離手段を包含す
る、請求項28に記載の質量分析計。 - 【請求項45】 前記イオンフラグメント器は、前記イ
オンが該イオンフラグメント器に入る前に運動エネルギ
ーを低減するように調節されている、イオン請求項28
に記載の質量分析計。 - 【請求項46】 前記イオンフラグメント器と電気的に
連絡され、該イオンフラグメント器に入るイオンのエネ
ルギーを変化させるように調節される、電源をさらに備
える、請求項28に記載の質量分析計。 - 【請求項47】 前記飛行時間分析器は、ドリフト管お
よびイオン検出器を含む、請求項28に記載の質量分析
計。 - 【請求項48】 前記ドリフト管はイオンガイドを含
む、請求項47に記載の質量分析計。 - 【請求項49】 前記イオンガイドは孔があけられた複
数のプレートを包含し、該複数のプレートのうちの1つ
おきのプレートに正のDC電位が印加され、該複数のプ
レートのうちの残りのプレートに負のDC電位が印加さ
れる、請求項48に記載の質量分析計。 - 【請求項50】 前記イオンガイドはRF励起される多
重極レンズを包含する、請求項48に記載の質量分析
計。 - 【請求項51】 前記ドリフト管と前記イオン検出器と
の間にイオンミラーが設けられた、請求項47に記載の
質量分析計。 - 【請求項52】 前記タイミング制御パルス化引き出し
器は、前記飛行時間分析器のための遅延引き出しイオン
源を包含することにより、該飛行時間分析器に入る各質
量電荷比のイオンが、前記イオンフラグメント器から出
射したときの速度に実質的に関わらず、狭い時間間隔内
で前記検出器に到達するように、イオンが時間的に集束
される、請求項28に記載の質量分析計。 - 【請求項53】 a)パルス化イオン源と; b)該パルス化イオン源からイオンを受け取るように位
置されたタイミング制御イオンセレクタであって、所定
の質量電荷比範囲のイオンのみがイオンフラグメント器
を通って移動することを可能にする、タイミング制御イ
オンセレクタと; c)実質的に電場を有さない領域によって該イオンフラ
グメント器と間隔が開けられ、かつ、結合されたタイミ
ング制御パルス化引き出し器であって、所定の時間後
に、該所定の質量電荷比のイオンおよびそのフラグメン
トイオンを加速する、タイミング制御パルス化引き出し
器と; d)該タイミング制御パルス化引き出し器と流体連絡す
る飛行時間分析器であって、該タイミング制御パルス化
引き出し器によって加速されるフラグメントイオンの質
量電荷比を決定する、飛行時間分析器と;を備える、タ
ンデム飛行時間型質量分析計。 - 【請求項54】 前記パルス化イオン源は、所定の質量
電荷比範囲のイオンを焦点面上に集束させる、請求項5
3に記載の質量分析計。 - 【請求項55】 前記イオンフラグメント器は、入口お
よび出口を有し、前記焦点面は、該イオンフラグメント
器の該出口に実質的に一致するように位置された、請求
項54に記載の質量分析計。 - 【請求項56】 前記タイミング制御イオンセレクタ
は、前記イオンフラグメント器内にあり、該イオンフラ
グメント器入口に近似する、請求項55に記載の質量分
析計。 - 【請求項57】 前記タイミング制御イオンセレクタ
は、イオンデフレクタを包含する、請求項53に記載の
質量分析計。
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