JP6808669B2 - 質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は質量分析装置に関し、特に、コリジョンセルを有する質量分析装置に関する。
質量分析装置として様々なものが実用化されている。その中で三連四重極質量分析装置は、一般に、イオン源、第1質量分析器、コリジョンセル(衝突室)、第2質量分析器、及び、検出器により構成される。
それらについて具体的に説明する。第1質量分析器は、イオン源で生成されたイオンから特定の質量電荷比(m/z)を有するプリカーサーイオンを選択する第1の四重極装置として構成される。コリジョンセルは、プリカーサーイオンを衝突ガス(CIDガス)に衝突させてその解裂(解離)を生じさせ、これによりプリカーサーイオンからプロダクトイオン(フラグメントイオンとも言う)を生成するものであり、それは四重極イオンガイドを有する第2の四重極装置として構成される。第2質量分析器は、コリジョンセルで生成されたプロダクトイオンの中から目的イオンとしての特定のプロダクトイオンを選択する第3の四重極装置として構成される。検出器は電子増倍管により構成される。電子増倍管の近傍にコンバージョンダイノードが配置されることもある。
特許文献1乃至3に開示された質量分析装置においては、高感度化のためにコリジョンセルが蓄積動作及び排出動作を周期的に実行する。コリジョンセルが上記以外の衝突室により構成されることもある。
特開2010−127714号公報 特開2011−249069号公報 特開2012−138270号公報 特開2013−254668号公報 特表2004−0507875公報 特表2010−531031号公報
質量分析装置のイオン源では、試料にエネルギーを与えることによりイオンが生成される。その際、エネルギーをもらったがイオンになれなかった電気的に中性で励起状態にある粒子(中性励起粒子)も生じ得る。また、コリジョンセル内において、イオンと同時に中性励起粒子も生じ得る。
中性励起粒子は、電場や磁場の影響を受けずに質量分析装置の中を直進する。例えば、その中性励起粒子が検出器付近に存在するガス粒子をイオン化し、これによりイオンが生じると、それが検出器で検出されてしまう。特に、コンバージョンダイノードが設けられている場合、中性励起粒子に起因するイオンも取り込まれ易くなるので、上記問題が顕著となる。中性励起粒子それ自体がイオン化し、それがノイズとなることも考えられる。
その対策として、検出器の前段に中性励起粒子を遮断する偏向器を設けることが考えられる。しかし、コリジョンセルの動作条件によらずに、そのような偏向器を動作させると、偏向器において目的イオンが正しく取り出せなくなるおそれがある。なお、特許文献4には、中性粒子による問題があまり生じないように電場を形成することが記載されている。特許文献5及び特許文献6には、中性粒子を遮断する機構が記載されている。
本発明の目的は、質量分析装置において、コリジョンセルの動作条件が変化しても中性粒子を遮断しつつ目的イオンを適切に検出できるようにすることにある。
実施形態に係る質量分析装置は、プリカーサーイオンからプロダクトイオンを生成するコリジョンセルと、前記プロダクトイオンの中から選択された目的イオンを検出する検出器と、前記コリジョンセルと前記検出器との間に設けられ、前記目的イオンに対して偏向作用を及ぼす偏向器と、前記コリジョンセルの基準電位の変更に連動させて前記偏向器の基準電位を変更する制御部と、を含む。
上記構成においては、例えば、プリカーサーイオンに応じて、それを生じさせた化合物に応じて、又は、他の条件に応じて、コリジョンセルの基準電位が切り替えられる。その場合において、仮に偏向器の基準電位が固定値とされているならば、偏向器に入ってくる目的イオンの運動エネルギーが変化してしまい、偏向器の偏向作用を維持できなくなる。制御部は、偏向器における偏向作用が維持されるように、あるいは、その偏向作用が適正化されるように、コリジョンセルの基準電位の変更に連動させて、偏向器の基準電位を変更する。実施形態においては、コリジョンセルの基準電位と偏向器の基準電位との差が一定値となるように、偏向器の基準電位が制御される。このように、偏向器に入ってくる目的イオンの運動エネルギーを一定とすることにより、偏向器において目的イオンが適正に偏向されるようにするものである。偏向器で中性粒子を適切に分離又は遮断した上で、目的イオンを適切に検出することが可能となるので、SN比を向上できる。
実施形態において、前記コリジョンセルの基準電位は前記コリジョンセル中のイオン軌道電位であり、前記偏向器の基準電位は前記偏向器中のイオン軌道電位又は前記偏向器中の入口電極電位である。例えば、コリジョンセルは四重極型の装置として構成される。その装置は、平行に配置された4つのポール(電極)を有し、それらに囲まれる中心線がイオン軌道となる。イオン軌道における電位がコリジョンセルの基準電位である。その基準電位はオフセット電位に相当する。偏向器の基準電位は、偏向器のタイプに応じて定まり、例えば、入口電極を有しない平行平板型の偏向器の場合、2枚の電極間の中間電位が基準電位である。入口電極を有する平行平板型の偏向器の場合、入口電極電位が基準電位となる。
実施形態において、前記制御部は、前記コリジョンセルの基準電位の変更によらずに前記偏向器中での前記目的イオンの偏向角度が一定になるように、前記コリジョンセルの基準電位の変更に連動させて前記偏向器の基準電位を変更する。実施形態において、前記制御部は、前記コリジョンセルの基準電位と前記偏向器の基準電位との間の電位差が一定になるように、前記コリジョンセルの基準電位の変更に連動させて前記偏向器の基準電位を変更する。
実施形態において、前記コリジョンセルはイオン蓄積動作とイオン排出動作とを繰り返し実行し、前記偏向器において前記目的イオンがパルスイオンとして通過し、前記制御部は、前記偏向器において前記目的イオンに対して電場による偏向作用が及んでいる期間以外の期間において前記偏向器の基準電位を変更する。この構成によれば、偏向器が作用していない期間においてその基準電位が変更されるので、目的イオンに対して基準電位変更の影響が及ぶことを回避できる。
実施形態において、試料をイオン化するイオン源と、前記イオン源で生成されたイオンの中から前記プリカーサーイオンを選択する第1質量分析器と、前記コリジョンセルで生成されたプロダクトイオンの中から前記目的イオンを選択する第2質量分析器と、を含み、前記偏向器は前記第2質量分析器と前記検出器との間に設けられる。第2質量分析器においては、通常、特定のプロダクトイオンが目的イオンとして選択されるが、一部又は全部のプロダクトイオンが目的イオンとして選択されてもよい。
本発明によれば、質量分析装置において、コリジョンセルの動作条件が変化しても中性粒子を遮断しつつ目的イオンを適切に検出できる。
実施形態に係る質量分析装置を示すブロック図である。 偏向器の第1実施例を示す模式図である。 電位の関係を示す図である。 動作条件を示す図である。 コリジョンセル及び偏向器の動作を示すタイミングチャートである。 偏向器の第2実施例を示す図である。 偏向器の第3実施例を示す図である。 偏向器の第4実施例を示す図である。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、実施形態に係る質量分析装置が示されている。この質量分析装置は、蓄積型三連四重極質量分析装置である。例えば、ガスクロマトグラフ等の試料導入装置において時間的に分離された複数の化合物が質量分析装置へ順次導入される(符号12を参照)。
イオン源10は、導入された化合物をイオン化する装置である。イオン化法として、電子衝突イオン化、化学イオン化(CI)、マトリックスレーザー脱離イオン化(MALDI)、エレクトロスプレーイオン化(ESI)等が知られている。イオン源の基準電位がV0と表現されている。イオン源10の基準電位は、例えば、イオン源10のチャンバー内における中間電位又は中心電位である。イオン源10の後段には、アパーチャー電極等を有するレンズ14が設けられている。図1において、符号11はイオン軌道を示している。
第1質量分析器16は、質量電荷比の違いを利用して、イオン源で生じた化合物由来の複数のプリカーサーイオン(親イオン)の中から、コリジョンセル18に送り込む第1目的イオンを選択する装置である。実施形態において、第1質量分析器16は、4つのポール(電極)17を有する四重極型質量分析器である。四重極型の装置においては、対向関係にある2つのポールに同位相の高周波信号を印加し、且つ、隣り合う2つのポールに逆位相の高周波信号を印加する条件が満たされるように、各ポールに対して、同じ振幅で同じ周波数を有する高周波信号が印加される。各ポールには、高周波信号以外に直流信号とオフセット信号が印加される。直流信号の符号は上記条件に従って定められる。オフセット信号は4つの高周波数信号において共通である。例えば、直流信号のレベルの変更により、選択対象となるm/zが変更される。オフセット信号はオフセット電位を定めるものである。第1質量分析器16として、イオン選択機能を有する他のタイプの質量分析器が設けられてもよい。第1質量分析器16の後段には、コリジョンセル18が設けられている。
コリジョンセル18は、外部から導入される衝突ガス20に対して、第1目的イオンであるプリカーサーイオンを衝突させることにより、そのプリカーサーイオンにおいて開裂(解離)を生じさせ、これにより複数のフラグメントイオンを生じさせる装置である。衝突ガスとしては、例えば、ヘリウムガス、窒素ガス、アルゴンガス等が利用される。実施形態において、コリジョンセルは、4つのポール(電極)からなるイオンガイド22を有する四重極型の装置である。
実施形態に係るコリジョンセル18は蓄積動作と排出動作とを交互に繰り返すものである。蓄積期間においてコリジョンセル18内にイオンが蓄積され、その後の排出期間において蓄積されたイオンがイオンパルスとして後段へ出力される。コリジョンセル18は、入口電極24及び出口電極26を有し、それらの電位の制御により、蓄積動作と排出動作とが切り替えられる。具体的には、出口電極26に対しては、パルス電圧が周期的に印加されている。出口電極26の電位がイオン源10の電位(基準電位V0)よりも高くなると、出口電極26が閉鎖状態となる。出口電極26の電位がイオンガイド22の軸電位(基準電位V1)よりも低くなると、出口電極26が開放状態となる。
入口電極24に対してパルス電圧が周期的に印加されるようにしてもよい。イオン排出期間において入口電極24を閉鎖状態とすれば、目的外イオンがコリジョンセルに入ることを防止できる。その場合、イオン蓄積期間において、入口電極24が開放状態とされる。入口電極24の電位がイオン源10の電位よりも高くなると、入口電極24が閉鎖状態となる。入口電極24の電位がイオン源10の電位よりも低くなると、入口電極24が開放状態となる。
基準電位V1は、4つのポールに囲まれた中心線上つまりイオン軌道上での電位であり、オフセット電位である。実施形態において、基準電位V1つまりオフセット電位は、化合物又は第1目的イオン(選択するプリカーサーイオン)に応じて切り替えられる。例えば、制御部44は、記憶部46に格納されたテーブルを参照し、化合物又は第1目的イオンに対応するオフセット電位を特定し、コリジョンセル18に対してそのオフセット電位が実際に印加されるように、電源部42を制御する。テーブルは、例えば、複数の化合物(又は第1目的イオン)と複数のオフセット電位との関係を管理するためのものである。オフセット電位を変更すると、第1目的イオンの速度が変化し、衝突時の衝撃力が変化する。コリジョンセル18の後段には第2質量分析器30が設けられている。
第2質量分析器30は、第1質量分析器16と同様、質量電荷比の違いを利用して、コリジョンセル18で生じた複数のプロダクトイオンの中から、検出対象となる第2目的イオンを選択する装置である。実施形態において、第2質量分析器30は、4つのポール(電極)32を有する四重極型質量分析器により構成されている。第2質量分析器30として、イオン選択機能を有する他のタイプの質量分析器が設けられてもよい。第2質量分析器30の後段には、偏向器34が設けられている。
偏向器34は、中性励起粒子を分離、遮断し、且つ、第2目的イオンを取り出すための機器である。偏向器34は、後に図2に示すように、平行平板型偏向器であり、電場によって第2目的イオンを偏向させるものである。偏向角度が図1においてθで示されている。中性励起粒子は、電場に無関係に直進し、検出器へ向かうイオン軌道36から逸らされることになる。偏向器34として、平行平板型偏向器以外の偏向器を用いてもよい。
偏向器34の基準電位がV2で示されている。基準電位は、2つの平行平板の間の中間レベルでの電位であり、つまりイオン軌道上の電位である。入口電極を有する平行平板型の偏向器の場合、基準電位は、入口電極の電位は基準電位と同じにする。実施形態においては、制御部44が、電源部42を制御することにより、コリジョンセル18の基準電位V1の変更に連動するように、偏向器34の基準電位V2を変更している。具体的には、基準電位V1と基準電位V2との間の電位差ΔVが一定となるように、基準電位V2を適応的に設定している。この制御により、偏向器34に入ってくる第2目的イオンの運動エネルギーがコリジョンセル18の基準電位V1によらずに一定となる。これにより、偏向器34における偏向作用を一定に維持できる。
第2目的イオンの運動エネルギーの変化に応じて、電場の強さを適応的に変更し、これによって偏向角度θを維持する変形例も考えられる。そのような変形例を採用する場合に比べて、実施形態によれば、制御が簡素化される。偏向器34の後段には検出器38が設けられている。
検出器38は、実施形態において、コンバージョンダイノード及び電子増倍管を有している。第2目的イオンがコンバージョンダイノードに衝突することで電子が生成される。その電子が電子増倍管において検出され、また増幅される。これにより検出信号が生じる。偏向器34により、中性励起分子が遮断されており、中性励起粒子が検出器38付近又はその内部に到達しないので、中性励起粒子に起因するバックグラウンドイオンの発生が防止され又は大幅に軽減される。これによりS/N比を向上することが可能となる。なお、検出器38として上記以外の構成が採用されてもよい。
データ処理部40は、アンプ、A/D変換器等の電子回路、及び、プロセッサを備え、検出データを処理するモジュールである。制御部44は、図1に示されている各構成の動作を制御するものであり、それはCPU及び動作プログラムにより構成される。記憶部46上には、上記テーブルが格納されており、また必要なプログラムが格納されている。上記のように、制御部44は、電源部42の制御を通じて、基準電位(オフセット電位)V1及び基準電位V2を管理及び制御している。データ処理部40、制御部44及び記憶部 46がPCによって構成されてもよい。
図1に示した構成において、偏向器34を他の位置、例えば、コリジョンセル18と第2質量分析器30との間の位置、に設けてもよい。もっとも、コリジョンセル18で生じる中性粒子やそれよりも後段で生じる諸々の中性粒子を想定した場合、検出器38の直前に偏向器34を設置するのが望ましい。
なお、以上の説明は、プリカーサーイオン選択及びプロダクトイオン選択を行う動作モードについての説明である。実施形態に係る質量分析装置は他の動作モードでも動作し得る。実施形態においては、コリジョンセルが蓄積動作及び排出動作を周期的に繰り返しているが、そのような周期的動作を行わないコリジョンセルを備えた質量分析装置に対して偏向器を設けるようにしてもよい。その場合においても、コリジョンセルの基準電位と偏向器の基準電位との電位差が常に一定となるように各基準電位が設定される。
図2には、図1に示した偏向器34の具体例(第1実施例)が示されている。偏向器34は、平行関係にある平板状の電極50及び平板状の電極52を有する。それらの電極50,52の間に電界Eが生じている。電界Eにより第2目的イオンに対して偏向作用が及ぶ。具体的には、イオン軌道11からイオン軌道36への偏向が生じる。偏向角度はθである。図2においては、第2目的イオンとしての正イオン58が示されている。
電極50は第2目的イオンを通過させるための開口50aを有する。開口50aの形状は例えば四角形である。図示された偏向器34には、必要に応じて、電極50と直交関係を有する電極54が設けられる。それらの電位は同じである。電極50と電極54とが一体化されて、L字形電極が構成されてもよい。電極54は第2目的イオンを通過させる開口54aを有している。その開口54aの形状は例えば四角形である。また、図示された偏向器34は入口電極56を有している。入口電極56は平板形を有し、その中央部には開口56aが設けられている。開口56aの形状は例えば円形である。開口56aを通じて第2目的イオンが偏向器34内へ進入する。
図示された偏向器34においては、入口電極56の電位が基準電位V2となる。2つの電極50,52の間は例えば数cmである。電極50の電位はV3であり、電極52の電位はV4である。例えば、コリジョンセルの基準電位V1がある電位である場合、V2は−100Vであり、V3は−130Vであり、V4は−70Vである。その場合、2つの電極50,52の間の中間点(中間レベル)での電位V2’は−100Vである。入口電極56が設けられない構成では、電位V2’が偏向器34の基準電位となる。基準電位V2は、基準電位V1に応じて設定される。具体的には、V1とV2の差ΔVが一定になるようにV2,V3,V4が変更される。
図3には電位関係が示されている。具体的には、イオン源10の基準電位V0、コリジョンセル18の基準電位V1、及び、偏向器34の基準電位V2が示されている。基準電位V1は、化合物又は選択するプリカーサーイオンに応じて変更される。それに伴って、基準電位V1と基準電位V2の差ΔVが常に一定となるように、基準電位V2が適応的に変更される。差ΔVは、イオンが消費したポテンシャルエネルギーであり、それが運動エネルギーに相当する。つまり、差ΔVを一定にすることはイオンの運動エネルギーを一定にすることに相当する。イオンの運動エネルギーが一定であれば偏向角度θが一定となる。
図4には動作条件が示されている。図示の例では、化合物ごとに、第1質量分析器(Q1)において特定のm/zを有するプリカーサーイオンが選択され、また、第2質量分析器(Q3)において特定のm/zを有するプロダクトイオンが選択される。化合物に応じて、コリジョンセル(q2)の基準電位(オフセット電位)V1が変更される。これに伴って、電位差ΔVが一定となるように、偏向器の基準電位V2が変更される。図示の例ではΔVは−80Vである。なお、本願明細書に記載した数値はいずれも例示である。
図5において、(A)はコリジョンセルの動作を示しており、(B)は偏向器においてイオンパルスが通過する時間を示している。コリジョンセルでは蓄積期間t1と排出期間t2とが繰り返し設定される。各排出期間t2でイオンパルスが生じ、それが通過期間t4において偏向器を通過する。符号60Aは、イオンパルスが通過していない空き時間を示している。コリジョンセルにおける期間t5は、オフセット電圧の変更等が行われる非稼働期間である。偏向器において、非稼働期間に対応する期間が期間60Bである。偏向器の基準電位V2の変更は、偏向器をイオンパルスが通過していない期間内において実行される。例えば、期間60Bにおいてそれが実行される。期間60Aにおいてそれが実行されてもよい。基準電位変更に要する時間は一般に0.1ms以下である。
図6には偏向器の第2実施例が示されている。図示された偏向器は、軸外し型の静電レンズによって構成されている。それは平行に配置された3つの平板形電極62,64,66を有し、それらには第2目的イオンを通過させる開口62a,64a,66aが形成されている。3つの開口62a,64a,66aの全部が一直線上に並んではおらず、図示の例では、開口62aが他の開口64a,66aに対して横方向にずれている。3つの電極62,64,66の電位がV5,V6,V7で示されている。図示の例では、基準電位はV5である。コリジョンセルの電位の上下に応じて、3つの電位V5,V6,V7が上下に変更される。符号68はイオン軌道を示している。
図7には偏向器の第3実施例が示されている。図示された偏向器は、屈曲型イオンガイドによって構成されている。それは屈曲した4つのポール70〜76を有する。それらに囲まれる中心線上を目的イオン78が飛行する。中心線上の電位V8が基準電位であり、それはオフセット電位である。
図8には偏向器の第4実施例が示されている。図示された偏向器は、湾曲形の静電偏向器である。それは湾曲した平板状の外側電極80と湾曲した平板状の内側電極82により構成されている。符号84はイオン軌道を示している。イオン軌道上の電位が基準電位となる。
上記実施形態によれば、偏向器により中性励起粒子を分離、遮断できる。その場合において、コリジョンセルの基準電位の変更に連動させて、偏向器の基準電位が変更されるので、偏向器に入ってくるイオンの運動エネルギーが一定となり、偏向器の偏向作用が維持される。また、偏向器が作用していない期間においてその基準電位が変更されるので、目的イオンに対して基準電位変更の影響が及ぶことを回避できる。
10 イオン源、16 第1質量分析器、18 コリジョンセル、30 第2質量分析器、34 偏向器、38 検出器、42 電源部、44 制御部。

Claims (7)

  1. プリカーサーイオンからプロダクトイオンを生成するコリジョンセルと、
    前記プロダクトイオンの中から選択された目的イオンを検出する検出器と、
    前記コリジョンセルと前記検出器との間に設けられ、前記目的イオンに対して偏向作用を及ぼす偏向器と、
    前記コリジョンセルの基準電位の変更に連動させて前記偏向器の基準電位を変更する制御部と、
    を含むことを特徴とする質量分析装置。
  2. 請求項1記載の装置において、
    前記コリジョンセルの基準電位は前記コリジョンセル中のイオン軌道電位であり、
    前記偏向器の基準電位は前記偏向器中のイオン軌道電位又は前記偏向器中の入口電極電位である、
    ことを特徴とする質量分析装置。
  3. 請求項1記載の装置において、
    前記制御部は、前記コリジョンセルの基準電位の変化によらずに前記偏向器中での前記目的イオンの偏向角度が一定になるように、前記コリジョンセルの基準電位の変更に連動させて前記偏向器の基準電位を変更する、
    ことを特徴とする質量分析装置。
  4. 請求項1記載の装置において、
    前記制御部は、前記コリジョンセルの基準電位と前記偏向器の基準電位との間の電位差が一定になるように、前記コリジョンセルの基準電位の変更に連動させて前記偏向器の基準電位を変更する、
    ことを特徴とする質量分析装置。
  5. 請求項1記載の装置において、
    前記コリジョンセルはイオン蓄積動作とイオン排出動作とを繰り返し実行し、
    前記偏向器において前記目的イオンがパルスイオンとして通過し、
    前記制御部は、前記偏向器において前記目的イオンに対して電場による偏向作用が及んでいる期間以外の期間において前記偏向器の基準電位を変更する、
    ことを特徴とする質量分析装置。
  6. 請求項1記載の装置において、
    前記制御部は、前記プリカーサーイオン又はそれを生じさせた化合物に応じて前記コリジョンセルの基準電位を変更する、
    ことを特徴とする質量分析装置。
  7. 請求項1記載の装置において、
    試料をイオン化するイオン源と、
    前記イオン源で生成されたイオンの中から前記プリカーサーイオンを選択する第1質量分析器と、
    前記コリジョンセルで生成されたプロダクトイオンの中から前記目的イオンを選択する第2質量分析器と、
    を含み、
    前記偏向器は前記第2質量分析器と前記検出器との間に設けられた、
    ことを特徴とする質量分析装置。
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