JP2003343567A - 深溝玉軸受 - Google Patents
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Abstract
提供することである。 【解決手段】 外輪と内輪間にボール3を組込み、その
ボール3を保持する保持器4を2枚の樹脂成形された環
状体6で形成する。各環状体6を弧状のポケット壁部7
とその端部から周方向に延びる結合板部8とが周方向に
交互に設けられた波形とし、その波形環状体6をポケッ
ト壁部7が対向するよう組合わせ、互に衝合する結合板
部8を結合することにより保持器4を形成して、高速回
転時の遠心力による保持器4の変形を防止し、ポケット
面7aがボール3に強く接触したり、保持器4が密封板
に接触するのを防止する。
Description
組込まれた複数のボールを合成樹脂から成る保持器で保
持した深溝玉軸受に関するものである。
リース封入タイプの深溝玉軸受が使用されている。
ボールを保持する保持器に大きな遠心力が作用するた
め、普通、金属板から成る波形保持器が採用される。
がかかると共に、ボールに対する保持器の衝突によって
比較的大きい衝突音(保持器音)が発生する場合があ
る。
滑性を有する合成樹脂製の保持器が採用されるようにな
ってきている。
(I)、(II)に示したものが知られている。図7
(I)に示す保持器は冠形保持器と称せられ、保持器本
体20の一側面に対向一対の爪21を周方向に等間隔に
設け、その対向一対の爪21間にポケット22を形成し
ている。
は、図7(I)に示す保持器と同一の構成にすると共
に、ポケット22の内周対向位置に保持器径方向に延び
る溝状のグリース溜り24を形成している。
(I)、(II)に示す冠形保持器においては、軸受内径
と回転数の積(軸受内径×回転数)で表されるdn値が
35万を超える高速回転域において、遠心力による変形
が発生し、ポケット22の内面がボール24に強く接触
したり、あるいは、軸受のグリースの漏洩を防止する密
封板に干渉して、その接触部での摩擦による発熱により
軸受が急激に温度上昇すると共に、回転抵抗が大きくな
るという問題があった。
ール25を組込むため、開口部22aはボール25の球
径の約80%以上が必要となる。このため、保持器の軸
方向の動き量を小さな値に管理することが困難であり、
保持器の軸方向の動き量が比較的大きく、ボールに対す
る衝突時に、比較的大きな衝突音(保持器音)を発生さ
せるという問題もある。
ト22の内面にグリース溜り24を設けると、そのグリ
ース溜り24にグリースを保持させることができるた
め、ボールとポケット22の内面の接触部を良好に潤滑
することができるが、上記グリース溜り24は保持器の
成形後における離型の際のアンダーカットとなり、爪2
1の変形を考慮すると0.2mm程度が限度であって、
深さの深いグリース溜り24を形成することができず、
グリースの保持量を多くできず、保持量に限界がある。
よって合成樹脂製の保持器が変形するのを防止するよう
にして、ポケット面とボール、保持器と密封板の干渉に
よる温度上昇を抑制することができるようにすると共
に、保持器の動き量を抑え、ボールとの衝突音を抑制で
きるようにした深溝玉軸受を提供することである。
めに、この発明においては、外輪と内輪との間に複数の
ボールと、そのボールを保持する保持器とを組込み、前
記外輪の内周と内輪の外周間に形成された環状空間の両
端開口部に密封板を設けた深溝玉軸受において、前記保
持器が、2枚の樹脂成形された環状体から成り、各環状
体は、半球状のポケット面を内周に有する弧状のポケッ
ト壁部と、そのポケット壁部の端部から周方向に延びる
結合板部とが周方向に交互に設けられた波形とされ、そ
の波形環状体をポケット面間にボールを保持するポケッ
トが形成されるよう組合わせて結合板部を互に連結した
構成を採用したのである。
体を弧状のポケット壁部と結合板部が周方向に交互に連
続する波形とすることによって、強度的に強い環状体を
得ることができ、その波形環状体を結合板部で結合する
ことにより、剛性の高い保持器を得ることができる。
が遠心力によって変形することはなく、ポケット面がボ
ールに強く接触し、あるいは保持器が軸受内のグリース
漏洩を防止する密封板に接触するのを防止することがで
き、接触部での発熱による軸受の温度上昇を抑制するこ
とができる。
圧はほぼ一定し、しかも保持器が密封板に干渉すること
がないため、軸受の回転抵抗が増大することもなく、外
輪と内輪とを常に円滑に相対回転させることができる。
ポケットを形成する一対のポケット面の対向端部間に保
持器径方向に延びる溝状のグリース溜りを形成すること
により、そのグリース溜りに封入するグリースによって
ポケット面とボールの接触部を良好に潤滑することがで
きる。
溜りを形成することにより、環状体の成形に影響を与え
ることがなく、容積の大きなグリース溜りの形成を可能
とすることができる。
ット面の両端部を円弧面とし、その円弧面の対向部間を
グリース溜りとしてもよく、あるいは、ポケット面の両
端部に凹部を設け、その凹部間をグリース溜りとしても
よい。
て、保持器の軸方向、径方向および周方向の動き量をボ
ール径比の0.2〜1.0%とすることによって、保持
器の移動によってその保持器がボールに衝突する際の衝
突力が小さく、保持器音の発生防止に効果を挙げること
ができる。
1乃至図6に基づいて説明する。図1に示すように深溝
玉軸受は、外輪1と、内輪2と、その両輪1、2間に組
込まれた複数のボール3およびそのボール3を保持する
保持器4を有している。
た環状空間の軸方向両端の開口は、外輪1の内周両端部
に取付けられたシールド板等の密封板5により閉鎖さ
れ、その密封板5間に潤滑用グリースが封入されてい
る。
2枚の環状体6、6から成る。各環状体6は、弧状のポ
ケット壁部7と、そのポケット壁部7の端部から周方向
に延びる結合板部8とが周方向に交互に形成された波形
とされ、合成樹脂の成形品から成っている。
A46等のポリアミド樹脂やポリフェニルサルファイド
樹脂等の滑り性の良好な合成樹脂が採用され、必要に応
じて、グラスファイバ等の繊維強化材が混入される。
外周に沿う半球状のポケット面7aが形成され、そのポ
ケット面7aの両端部に円弧面7bが設けられている。
が対向する組み合わせとされ、互に衝合する結合板部8
を連結することによって結合一体化されている。その環
状体6、6の連結によって対向するポケット面7a間に
ポケット9が形成されると共に、対向する円弧面7b間
に保持器径方向に延びる溝状のグリース溜り10が形成
される。
は、互に衝合する結合板部8にピン孔11を形成し、そ
のピン孔11に挿入したリベット12の先端を加締める
ようにしている。
合成樹脂製環状体6を弧状のポケット壁部7と結合板部
8が周方向に交互に連続する波形とすることによって、
強度的に強い環状体6を得ることができる。このため、
2枚の環状体6を結合一体化することによって、剛性の
高い保持器4を形成することができ、軸受が高速回転し
ても遠心力によって保持器4が変形することはない。
ト面7aがボール3に強く接触したり、あるいは、保持
器4が密封板5に干渉することがなく、接触部での摩擦
による発熱を防止し、軸受の温度上昇を抑制することが
できる。また、軸受の回転抵抗も増大することがなく、
外輪1と内輪2とをきわめて円滑に相対回転することが
できる。
7bを形成し、軸方向で対向する円弧面7b間にグリー
ス溜り10を形成することにより、そのグリース溜り1
0に封入されるグリースによってボール3とポケット面
7aの接触部を良好に潤滑することができる。
ポケット面7aの両端部に設けられているため、環状体
6はアンダーカットのない成形品となり、型開きされた
成形型から成形後の環状体6を容易に取り出すことがで
きる。
7aは成形によって形成されているため、寸法精度の高
いポケット9を得ることができ、ボール3とポケット9
間のポケットすきま13の管理が容易である。
内において、軸方向、径方向および円周方向に移動可能
であり、そのすきま量δが適正な範囲を超えると、保持
器4の移動時に、その保持器4はボール3に強く衝突し
て保持器音が発生する。その保持器音の発生を抑制する
ため、上記すきま量δは、(すきま量/ボール径)×1
00で表されるボール径比の1.0%以下、好ましく
は、0.6%以下とするのが好ましい。
成形精度のバラツキおよび保持器4の組立て時の組立て
誤差によってボール3に円滑な回転が得られないことに
なるため、すきま量δの下限値は0.2%以上とするの
が好ましい。
持器4は、ポケット面7aの両端部に凹部14を形成
し、軸方向で対向する凹部14間にグリース溜り10を
形成している点で図2に示す保持器4と相違する。
には同一の符号を付して説明する。
てグリース溜り10を形成することにより、容積の大き
なグリース溜り10を形成することができ、ボール3と
ポケット面7aの接触部を長期にわたって良好に潤滑す
ることができる。
の隅における厚みt1 が薄くなり、図2に示す保持器4
に比較して強度的に不利になり、その保持器4に所定の
強度を確保するため、ポケット壁部7の厚みt2 を実績
のある図7(I)に示す冠形保持器のポケット壁部の厚
みt0 と同等の厚みとしている。また、凹部14の隅に
おける厚みt1 および凹部14の側面からピン孔11ま
での厚みt3 をポケット壁部7の厚みt2 以上となるよ
う凹部14の深さおよび幅を設定している。
を1.0%とした図5に示す合成樹脂製の波形保持器4
を深溝玉軸受内に組込んで、軸受内径と回転速度の積で
表されるdn値を変化させつつ軸受外輪1の温度を測定
したところ、図6に示す結果を得た。その比較として、
図7(II)に示す合成樹脂製の冠形保持器を深溝玉軸受
内に組込んで外輪温度を測定した結果を同時に掲載す
る。
る4種類の波形保持器および動き量の異なる3種類の冠
形保持器を用意し、これらの各保持器を深溝玉軸受内に
組込んで保持器動き量と保持器音発生の評価試験を行な
ったところ、表1に示す結果を得た。
が少ない深溝玉軸受であることを示し、×印は保持器音
の発生の多い深溝玉軸受であることを示す。
受外径90mm、軸受内径40mmの深溝玉軸受であ
る。
に、冠形保持器を組込んだ深溝玉軸受はdn値が35万
を超えると急激に温度上昇したが、波形保持器を組込ん
だ深溝玉軸受は、dn値が35万を超えても温度上昇の
少ないことが理解できる。
明らかなように、ポケットすきま量を0.4%、0.6
%、1.0%とした波形保持器を組込んだ深溝玉軸受は
音響の発生の少ない深溝玉軸受であることが理解でき
る。
輪と内輪間に組込まれた複数のボールを保持する保持器
を2枚の樹脂成形された波形環状体で形成したことによ
り、きわめて剛性の高い保持器を得ることができる。
心力により変形してポケット面がボールに強く接触した
り、あるいは保持器が密封板に接触したりすることがな
く、発熱の少ない回転抵抗の小さい深溝玉軸受を得るこ
とができる。
リース溜りを形成したことにより、容積の大きいグリー
ス溜りの形成を可能とすることができ、ポケット面とボ
ールの接触部を長期にわたって良好に潤滑することがで
き、長寿命の深溝玉軸受を得ることができる。
方向の動き量をボール径比の0.2〜1.0%としたこ
とにより、保持器音の発生のきわめて少ない深溝玉軸受
を得ることができる。
面図
示すグラフ
Claims (5)
- 【請求項1】 外輪と内輪との間に複数のボールと、そ
のボールを保持する保持器とを組込み、前記外輪の内周
と内輪の外周間に形成された環状空間の両端開口部に密
封板を設けた深溝玉軸受において、前記保持器が、2枚
の樹脂成形された環状体から成り、各環状体は、半球状
のポケット面を内周に有する弧状のポケット壁部と、そ
のポケット壁部の端部から周方向に延びる結合板部とが
周方向に交互に設けられた波形とされ、その波形環状体
をポケット面間にボールを保持するポケットが形成され
るよう組合わせて結合板部を互に連結したことを特徴と
する深溝玉軸受。 - 【請求項2】 前記ポケットを形成する一対のポケット
面の対向端部間に保持器径方向に延びる溝状のグリース
溜りを形成したことを特徴とする請求項1に記載の深溝
玉軸受。 - 【請求項3】 前記ポケット面の両端部を円弧面とし、
その円弧面間にグリース溜りを形成した請求項2に記載
の深溝玉軸受。 - 【請求項4】 前記ポケット面の両端部に凹部を設け、
その凹部間にグリース溜りを形成した請求項2に記載の
深溝玉軸受。 - 【請求項5】 前記保持器の軸方向、径方向および周方
向の動き量をボール径比の0.2〜1.0%としたこと
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の深溝玉
軸受。
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2002
- 2002-05-27 JP JP2002152599A patent/JP4216002B2/ja not_active Expired - Fee Related
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