JP2003338430A - 固体電解コンデンサにおけるコンデンサ素子及びその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサにおけるコンデンサ素子及びその製造方法

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JP2003338430A JP2002144198A JP2002144198A JP2003338430A JP 2003338430 A JP2003338430 A JP 2003338430A JP 2002144198 A JP2002144198 A JP 2002144198A JP 2002144198 A JP2002144198 A JP 2002144198A JP 2003338430 A JP2003338430 A JP 2003338430A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 弁作用金属の粉末を焼結した陽極チップ体1
と、この陽極チップ体1における一端面1aから突出す
る陽極ワイヤ2とから成り、前記陽極ワイヤ2の付け根
部に、撥水性を有する熱可塑性合成樹脂製のリング体8
を被嵌・装着して成るコンデンサ素子において、前記陽
極チップ体1に対して固体電解質層を形成する工程での
不良品の発生率を低減する。 【解決手段】 前記陽極ワイヤ2に対して被嵌・装着し
たリング体8を、陽極ワイヤ2に被嵌した状態で加熱溶
融することにより、陽極チップ体1と陽極ワイヤ2との
両方に対して隙間なく密着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タンタル又はアル
ミニウム等の弁作用金属を使用した固体電解コンデンサ
において、これに使用するコンデンサ素子と、その製造
方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種の固体電解コンデンサに
使用するコンデンサ素子を製造するに際しては、以下に
述べる方法を採用している。
【0003】すなわち、先ず、タンタル等のような弁作
用金属の粉末を、図1に示すように、多孔質の陽極チッ
プ体1に、当該陽極チップ体1における一端面1aから
タンタル等のような弁作用金属による陽極ワイヤ2が突
出するように固め成形したのち焼結し、次いで、この多
孔質の陽極チップ体1を、図2に示すように、りん酸水
溶液等の化成液A中に、当該陽極チップ体1における一
端面1aを上向きにし且つこの一端面1aが液面A′よ
り適宜深さHだけ沈むように浸漬し、この状態で、前記
化成液A中の電極Bと、前記陽極ワイヤ2との間に直流
電流を印加するという陽極酸化処理を行うことにより、
前記陽極チップ体1における各金属粒子の表面に五酸化
タンタル等の誘電体膜3を形成するとともに、前記陽極
ワイヤ2の陽極チップ体1に対する付け根部における適
宜長さHの部分にも、五酸化タンタル等の誘電体膜を形
成する。
【0004】次いで、前記陽極チップ体1を、図3に示
すように、硝酸マンガン水溶液Cに対し、当該陽極チッ
プ体1における一端面1aを上向きにし且つこの一端面
1aが略液面C′の付近に位置する深さまで浸漬して、
硝酸マンガン水溶液Cを陽極チップ体1の内部まで浸透
したのち硝酸マンガン水溶液Cから引き揚げて焼成する
ことを複数回にわたって繰り返すことにより、前記陽極
チップ体1における誘電体膜3の表面に、二酸化マンガ
ン等の金属酸化物による固体電解質層4を形成する。
【0005】次いで、前記陽極チップ体1における表面
のうち前記一端面1aを除く部分に、グラファイト層と
下地とし銀又はニッケル等の金属層を上層とする陰極膜
を形成するという採用している。
【0006】ところで、前記したコンデンサ素子の製造
行程において、二酸化マンガン等の金属酸化物による固
体電解質層4を形成するとき、硝酸マンガン水溶液C
が、前記陽極ワイヤ2における付け根部に適宜な長さH
にわたって形成した五酸化タンタル等の誘電体膜3を越
えてその上方における部分にまで伝い上がることによ
り、陽極ワイヤ2における表面のうち前記五酸化タンタ
ル等の誘電体膜3を形成されている部分及びこれよりも
先の部分にも、二酸化マンガン等の固体電解質層4が形
成されることになるから、固体電解コンデンサの完成品
として組み立てるに際して、前記陽極ワイヤ2を、図4
及び図5に二点鎖線で示すように、金属板製の陽極側リ
ード端子7,7′に対して溶接等にて固着したとき、こ
の陽極側リード端子7,7′に対して前記したように陽
極ワイヤ2の付け根部にまで形成される固体電解質層4
が接触することになって、電気的なショートが発生し、
多数の不良品が発生するのであった。
【0007】そこで、従来は、前記陽極酸化処理による
五酸化タンタル等の誘電体膜3を形成する工程の前か、
或いは、誘電体膜3を形成する工程の後において、前記
陽極ワイヤ2における付け根部に、図4に示すように、
フッ素樹脂等の撥水性を有する合成樹脂製のリング体5
を被嵌・装着するか、或いは、図5に示すように、撥水
性を有する合成樹脂を溶剤に溶解した状態で塗布したの
ち乾燥することによって被膜6を形成し、この状態で、
前記した硝酸マンガン水溶液Cへの浸漬・引き揚げ・焼
成にて固体電解質層4を形成する工程を行うことによ
り、硝酸マンガン水溶液が陽極ワイヤ2における付け根
部の部分にまで伝い上がることを、ひいては、陽極ワイ
ヤ2における付け根部にまで固体電解質層4が形成され
ることを、前記撥水性合成樹脂のリング体5又は被膜6
にて防止するようにして、固体電解コンデンサの完成品
として組み立てる場合における不良品の発生率を低減す
るようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者のよう
に、陽極ワイヤ2における付け根部に対して、合成樹脂
のリング体5を被嵌・装着する方法は、陽極チップ体1
における一端面1aからリング体5の上面までの高さ寸
法Sを、小さく、且つ、略一定にすることができるか
ら、前記陰極膜を形成する工程を終わったコンデンサ素
子において、その陽極ワイヤ2に対して、図4に二点鎖
線で示すように、陽極リード端子7を固着して固体電解
コンデンサとしての完成品にする場合に、この陽極リー
ド端子7から陽極チップ体1の一端面1aまで首下寸法
Lを小さくでき、完成品としての固体電解コンデンサに
おける小型化及び大容量化を図ることができるという利
点を有する。
【0009】しかし、その反面、以下に述べるような問
題を有する。
【0010】すなわち、前記陽極ワイヤ2に対して被嵌
・装着したリング体5は、これを陽極チップ体1におけ
る一端面1a に対して接触しただけであることにより、
このリング体5の下面と陽極チップ体1の一端面1a と
の間に隙間が、陽極チップ体1の一端面1a に存在する
凹凸のために、必然的にできている。
【0011】これに加えて、前記陽極ワイヤ2の外周面
とこれに被嵌したリング体5の内周面との間にも、リン
グ体5の陽極ワイヤ2に対する被嵌作業を容易にするこ
とのために当該リング体5における貫通孔の内径を陽極
ワイヤ2の直径よりも大きくすることのため、及び、当
該リング体5を素材の板材から打ち抜くときに発生する
バリ等のために隙間が必然的にできている。
【0012】このために、前記陽極チップ体1を、固体
電解質層4を形成するための工程において、図3に示す
ように、硝酸マンガン水溶液C等の固体電解質用溶液に
浸漬したとき、この硝酸マンガン水溶液等の固体電解質
用溶液が、毛細管現象により、前記リング体5の下面と
陽極チップ体1の一端面1aとの間における隙間内に流
入し、次いでリング体5の内周面と陽極ワイヤ2の外周
面との間における隙間内を通って、リング体5の上面側
にまで伝い上がることになるから、前記硝酸マンガン水
溶液の伝い上がりをリング体4にて完全に阻止すること
ができず、ひいては、固体電解質層が陽極ワイヤ2のう
ち前記リング体5の上面側の部分にも形成されることに
なるから、固体電解コンデンサの完成品として組み立て
る場合における不良品の発生率がまだ可成り高いのであ
る。
【0013】しかも、前記リング体5は、陽極チップ体
1における一端面1aに対して接触しているだけである
ことにより、陽極チップ体1の一端面1aのうち前記リ
ング体5に接触している部分には、誘電体層及び固体電
解質層がその各々に工程において同時に形成されること
になるから、陽極ワイヤ2に対してこれを曲げるような
外力が作用したときに、前記陽極チップ体1の一端面1
aのうちリング体5に接触している部分における誘電体
層及び固体電解質層が破損し、この間に絶縁破壊が発生
し、不良品になるおそれも大きいのであった。
【0014】これに対し、後者のように、陽極ワイヤ2
における付け根部に対して、溶剤にて溶解した合成樹脂
の塗布・乾燥により被膜6を形成する方法は、この被膜
6を、陽極チップ体1の一端面1aと陽極ワイヤ2の外
周面との両方に対して隙間なく完全に密着することがで
きることができるから、硝酸マンガン水溶液の陽極ワイ
ヤ2への伝い上がりを確実に阻止でき、しかも、陽極チ
ップ体1の一端面1aのうち前記被膜6の部分に誘電体
層及び固体電解質層が形成されることを確実に阻止でき
る。
【0015】しかし、その反面、 .合成樹脂を溶剤に溶解した状態で塗布したとき、こ
の溶剤に溶解した合成樹脂が、乾燥するまでの間に、陽
極チップ体1における多孔質の組織内に奥深く染み込む
ことになり、この部分に固体電解質層を形成することが
できず、固体電解質層を形成することができない領域が
前記溶剤に溶解した合成樹脂の染み込にて増大するか
ら、コンデンサの容量が減少する。 .陽極ワイヤ2における付け根部に対して、溶剤に溶
解した合成樹脂を陽極ワイヤ2の全周囲にわたって塗布
することに多大の手数を必要としてコストの大幅なアッ
プを招来する。 .陽極ワイヤ2における付け根部に対して、溶剤に溶
解した合成樹脂を塗布するときにおける塗布量の精度が
低いことにより、被膜6における陽極チップ体1の一端
面1aからの高さ寸法S′が、大きくなるばかりか、こ
の高さ寸法S′に大きなバラ付きが存在することにな
り、前記陽極ワイヤ2に対して、図5に二点鎖線で示す
ように、陽極リード端子7′を固着して固体電解コンデ
ンサの完成品にする場合に、この陽極リード端子7′か
ら陽極チップ体1の一端面1aまで首下寸法L′を、前
記被膜6における高さ寸法S′が大きくなること、及び
その高さ寸法S′の大きなバラ付きに応じて大きくしな
ければならないから、完成品としての固体電解コンデン
サの容量が決められている場合にはその大型化を招来
し、また、固体電解コンデンサの大きさが決められてい
る場合には、その小容量化を招来する。という問題があ
った。
【0016】本発明は、これらの問題を解消することを
技術的課題とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】この技術的課題を達成す
るため本発明のコンデンサ素子は、「弁作用金属の粉末
を焼結した陽極チップ体と、この陽極チップ体における
一端面から突出する陽極ワイヤとから成り、前記陽極ワ
イヤのうち陽極チップ体に対する付け根部に、撥水性を
有する熱可塑性合成樹脂製のリング体を被嵌・装着して
成るコンデンサ素子において、前記陽極ワイヤに対して
被嵌・装着したリング体は、陽極ワイヤに被嵌した状態
で加熱溶融されている。」ことを特徴としている。
【0018】また、本発明の製造方法は、「弁作用金属
の粉末を焼結して成る陽極チップ体における一端面に固
着した陽極ワイヤの付け根部に撥水性を有する熱可塑性
合成樹脂製のリング体を被嵌する工程と、このリング体
を陽極ワイヤに被嵌した状態で加熱溶融する工程と、前
記陽極チップ体に対して化成液への浸漬しての陽極酸化
処理にて誘電体膜を形成する工程と、これらの工程に次
いで、前記陽極チップ体に対して固体電解質用溶液への
浸漬・引き揚げ・焼成にて固体電解質層を形成する工程
とから成る。」ことを特徴としている。
【0019】
【発明の作用・効果】陽極ワイヤのうち陽極チップ体に
対する付け根部に被嵌・装着したリング体を、陽極ワイ
ヤに被嵌した状態で加熱溶融することにより、このリン
グ体は、その加熱溶融によって、陽極チップ体の一端面
における形状の通りに変形しながら当該一端面に対し
て、陽極チップ体における多孔質の組織内に浸透するこ
とがないか、或いは多孔質の組織内への浸透が極めて少
ない状態のもとで、恰も熱融着するというように、隙間
なく密着することになる。
【0020】これに加えて、前記リング体は、陽極ワイ
ヤにおける外周面の全体に対しても、その加熱溶融によ
って、当該リング体を素材の板材から打ち抜くときに発
生するバリを消失し、且つ、当該リング体における貫通
孔の内径を縮めながら、恰も熱融着するというように、
隙間なく密着することになる。
【0021】従って、本発明によると、陽極チップ体に
対する固体電解質層の形成に際して、固体電解質用溶液
が、前記リング体の上面側にまで伝い上がることを確実
に阻止でき、換言すると、固体電解質層が陽極ワイヤの
うちリング体の上面側の部分に形成されることを確実に
防止できるから、固体電解コンデンサの完成品として組
み立てるに際して、陽極ワイヤに固着する陽極側リード
端子と前記固体電解質層との間が電気的にショートして
不良品になるという不良品の発生率を、コンデンサ容量
の減少を招来することなく、大幅に低減できる。
【0022】しかも、前記リング体は、陽極チップ体の
一端面と陽極ワイヤの外周面との両方に対して隙間なく
密着していることで、前記陽極チップ体における一端面
のうちリング体の部分に、固体電解質層が形成されるこ
とを阻止できるから、コンデンサ素子としての取り扱い
中に陽極ワイヤに対してこれを曲げるような外力が作用
したときに、この部分に絶縁破壊が発生するおそれを確
実に回避できて、コンデンサ素子としての製造中等で発
生する絶縁破壊による不良品の発生を大幅に低減でき
る。
【0023】その上、本発明によると、陽極ワイヤにリ
ング体を被嵌したのち加熱するだけで良く、工程が至極
簡単であるから、コストのアップを僅少にとどめること
ができ、更に、陽極チップ体における一端面から前記リ
ング体の上面までの高さ寸法を、リング体の当初におけ
る厚さ寸法を越えることがないように低くできるととも
に、高さ寸法のバラ付きを小さくでき、ひいては、固体
電解コンデンサとしての完成品に組み立てるに際して、
陽極ワイヤに対して陽極リード端子を固着する場合に、
陽極チップ体の一端面から陽極リード端子までの首下長
さ寸法を小さくできるから、完成品としての固体電解コ
ンデンサの大型化、或いは、固体電解コンデンサの小容
量化を回避できる。
【0024】特に、請求項2に記載したように、前記リ
ング体を、透明の合成樹脂製にしたことにより、このリ
ング体が陽極チップ体の一端面と陽極ワイヤの外周面と
に密着しているか否かの点、及び、固体電解質層を形成
するに際して固体電解質用溶液が前記リング体と陽極チ
ップ体及び陽極ワイヤとの間に侵入しているか否かの点
を、外観から識別できるから、良否の選別が容易にでき
る利点がある。
【0025】また、請求項3に記載したように、前記リ
ング体に、内径孔から半径方向外向きに延びて外周面に
到達するようにした切り開き溝を設けるという構成する
ことにより、陽極ワイヤに対してリング体を被嵌・装着
するときに、このリング体を陽極ワイヤに対して串刺し
状に通すようにすることなく、陽極ワイヤの付け根部に
対して横方向から嵌め込むことができ、そして、前記リ
ング体における切り開き溝は、リング体を加熱溶融した
ときにおいて埋まって消失し、リング体が陽極ワイヤの
全周囲に対して密着することになるから、リング体の陽
極ワイヤへの被嵌・装着が、所定の効果を保った状態の
もとで、容易にできる利点がある。
【0026】更にまた、請求項5に記載したように、前
記リング体に対する加熱溶融を、真空中で行うか、或い
は、不活性ガスの雰囲気で行うことにより、前記リング
体を加熱溶融する処理に際して、陽極体チップ体におけ
る金属粉末の表面及び陽極ワイヤの表面に酸化膜が発生
したり、誘電体膜に変質が発生したりすることを確実に
回避乃至低減できる利点がある。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、タ
ンタル固体電解コンデンサにおけるコンデンサ素子に適
用した場合の図面(図6〜図9)について説明する。
【0028】先ず、タンタルの粉末を、図6に示すよう
に、多孔質の陽極チップ体1に固め形成したのち焼結
し、且つ、この陽極チップ体1における一端面1aから
タンタルによる陽極ワイヤ2を突出する。
【0029】一方、例えば、融点が約270℃のフッ素
樹脂等のように、撥水性を有する透明な熱可塑性合成樹
脂による素材の板材より、図6に示すように、貫通孔8
aを備えたリング体8を、打ち抜くよって製作してお
き、このリング体8を、前記陽極酸化処理を終わった陽
極チップ体1において、その一端面1aから突出する陽
極ワイヤ2のうち陽極チップ体1に対する付け根部に対
して、図7に示すように、被嵌・装着する。
【0030】次いで、この陽極チップ体1の全体を、図
示しない密閉容器内に入れて、この密閉容器内を真空に
するか、窒素ガス又はアルゴンガス等のような不活性ガ
スの雰囲気にした状態で、約30分の時間だけ、前記リ
ング体8の合成樹脂における融点か、或いはこれよりも
高い温度、例えば、約270〜300℃に加熱し、この
温度で約30分間維持したのち常温まで冷却する。
【0031】この加熱にて前記リング体8は、一旦溶融
して、陽極チップ体1の一端面1aにおける形状の通り
に変形することにより、陽極チップ体1の一端面1aに
対して、恰も熱融着するように隙間なく密接することが
できる。
【0032】この場合、前記リング体8の加熱溶融であ
ることにより、溶融した合成樹脂が陽極チップ体1にお
ける多孔質の組織内に浸透することを皆無にできるか、
或いは多孔質の組織内への浸透を極めて少なくできる。
【0033】これに加えて、前記リング体8は、これを
加熱溶融したとき、当該リング体8を素材の板材から打
ち抜くときに発生するバリが消失するとともに、その貫
通孔8aの内径が陽極ワイヤ2に対して縮まることにな
るから、陽極ワイヤ2における外周面の全体に対して、
恰も熱融着するように、隙間なく密接することができる
のである(図8及び図9参照)。
【0034】次いで、前記陽極チップ体1を、前記従来
と同様に、図2に示すように、りん酸水溶液等の化成液
Aに、当該陽極チップ体1における一端面1aが液面
A′より適宜深さHだけ沈むように浸漬し、この状態
で、前記化成液A中の電極Bと、前記陽極ワイヤ2との
間に直流電流を印加するという陽極酸化処理を行うこと
により、前記陽極チップ体1における各金属粒子の表面
に五酸化タンタル等の誘電体膜3を形成するとともに、
前記陽極ワイヤ2の陽極チップ体1に対する付け根部に
おける適宜長さHの部分にも、五酸化タンタル等の誘電
体膜を形成する。
【0035】なお、前記誘電体膜3を形成するという陽
極酸化処理の工程は、前記リング体8を被嵌したのち加
熱溶融する工程の前において行うようにしてもよい。
【0036】次いで、前記陽極チップ体1を、前記従来
と同様に、図3に示すように、硝酸マンガン水溶液Cに
対し、当該陽極チップ体1における一端面1aを上向き
にし且つこの一端面1aが略液面C′の付近に位置する
深さまで浸漬して、硝酸マンガン水溶液Cを陽極チップ
体1の内部まで浸透したのち硝酸マンガン水溶液Cから
引き揚げて焼成することを複数回にわたって繰り返すこ
とにより、前記陽極チップ体1における誘電体膜3の表
面に、二酸化マンガン等の金属酸化物による固体電解質
層4を形成する。
【0037】前記したように、陽極チップ体1の一端面
1aから突出の陽極ワイヤ2における付け根部に対して
予め被嵌・装着され、且つ、この被嵌した状態で加熱溶
融したリング体8は、陽極チップ体1の一端面1aと陽
極ワイヤ2の外周面との両方に対して密着していること
により、前記固体電解質層4を形成する工程において、
固体電解質用溶液であるところの硝酸マンガン水溶液
が、リング体8と陽極チップ体1の一端面1a及び陽極
ワイヤ2の外周面との間を通って当該リング体8の上面
側にまで伝い上がることを確実に阻止することができる
から、固体電解質層が陽極ワイヤ2のうちリング体8の
上面側の部分にまでも形成されることを確実に低減でき
る。
【0038】しかも、前記リング体8は、陽極チップ体
1の一端面1aと陽極ワイヤ2の外周面との両方に対し
て密着していることにより、前記陽極チップ体1におけ
る一端面1aのうちリング体8の部分に、誘電体膜3を
形成する工程において誘電体膜が形成されること、及
び、固体電解質層4を形成する工程において固体電解質
層が形成されることを略完全に阻止できるから、コンデ
ンサ素子としての取り扱い中に陽極ワイヤに対してこれ
を曲げるような外力が作用したときに、この部分に絶縁
破壊が発生するおそれを確実に回避できる。
【0039】これに加えて、前記リング体8は、陽極チ
ップ体1の一端面1aに密着していることで、その間
に、前記固体電解質層4を形成する工程において、硝酸
マンガン水溶液が侵入することを阻止することにより、
前記陽極チップ体1を前記硝酸マンガン水溶液C中に浸
漬するとき、図3に二点鎖線で示すように、硝酸マンガ
ン水溶液Cにおける液面C″を前記リング体8の位置に
するとういように、多少深くしても良いことになるか
ら、前記陽極チップ体1を前記硝酸マンガン水溶液に浸
漬する深さの精度を下げることができる利点もある。
【0040】一方、前記リング体8を、透明の合成樹脂
製にしたことにより、このリング体8が陽極チップ体1
の一端面1aと陽極ワイヤ2の外周面との両方に密着し
ているか否かの点、及び、前記固体電解質層4を形成す
るに際して硝酸マンガン水溶液が前記リング体4と陽極
チップ体1及び陽極ワイヤ2との間に侵入しているか否
かの点、並びに、前記誘電体膜3の形成に際して化成液
が前記リング体8と陽極チップ体2との間に侵入してい
るか否かの点を、外観から確実に識別できるから、良否
の選別が容易にできる。
【0041】このように、固体電解質層4を形成する工
程を完了すると、前記従来と同様に、前記陽極チップ体
1における表面のうち前記一端面1aを除く部分に、グ
ラファイト層と下地とし銀又はニッケル等の金属層を上
層とする陰極膜を形成することにより、コンデンサ素子
に仕上げられる。
【0042】ところで、前記の実施の形態において、固
体電解質層4を形成するときにおける焼成温度が約23
0℃程度であることから、前記リング体8に使用する熱
可塑性合成樹脂としては、前記した焼成温度よりも高い
融点を有するものに選択することが好ましい。
【0043】また、このリング体8を一旦溶融する場合
における加熱処理を、前記したように、真空中で行う
か、或いは、窒素ガス又はアルゴンガス等のような不活
性ガスの雰囲気の中で行うことにより、前記リング体8
の加熱処理に際して、陽極チップ体1における金属粉末
の表面、及び、陽極ワイヤ2の表面に酸化膜が発生した
り、或いは、誘電体膜3に変質が発生したりすることを
確実に回避乃至低減できる。
【0044】次に、図10は、本発明において使用する
別途形態のリング体8′を示す。
【0045】このリング体8′は、その貫通孔8a′か
ら半径方向外向きに延びて外周面に到達するようにした
切り開き溝8b′を設けたものである。
【0046】この構成によると、陽極ワイヤ2に対して
リング体8′を被嵌・装着するときに、このリング体
8′を陽極ワイヤ2に対して串刺し状に通すようにする
ことなく、陽極ワイヤ2の付け根部に対して、図10に
矢印aで示すように、横方向から嵌め込むことができ、
そして、前記リング体8′における切り開き溝8b′
は、リング体8′を加熱溶融したときにおいて埋まって
消失し、リング体8′が陽極ワイヤ2の全周囲に対して
密着することになるから、リング体8′の陽極ワイヤへ
の被嵌・装着が、所定の効果を保った状態のもとで、容
易にできる。
【0047】なお、このリング体8′の切り開き溝8
b′における幅寸法Wは、加熱溶融による陽極ワイヤ2
に対する密着性、及び、陽極ワイヤ2への被嵌作業の容
易性の両方を考慮して、貫通孔8aの部分では、陽極ワ
イヤ2の直径と等しくするかこれよりも小さくする一
方、リング体8′の外周の部分では陽極ワイヤ2の直径
よりも大きくすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】多孔質の陽極チップ体を示す斜視図である。
【図2】前記陽極チップ体に対して誘電体膜を形成する
ための陽極酸化処理を行っている状態を示す図である。
【図3】前記陽極チップ体に対して固体電解質層を形成
している状態を示す図である。
【図4】従来の場合において、前記陽極チップ体の陽極
ワイヤに合成樹脂のリング体を被嵌・装着した状態を示
す斜視図である。
【図5】従来の場合において、前記陽極チップ体の陽極
ワイヤに合成樹脂の被膜を形成した状態を示す斜視図で
ある。
【図6】本発明において陽極チップ体とリング体とを示
す斜視図である。
【図7】本発明において陽極チップ体の陽極ワイヤにリ
ング体を被嵌・装着した状態を示す斜視図である。
【図8】本発明において前記陽極ワイヤに被嵌・装着し
たリング体を加熱溶融した後の状態示す斜視図である。
【図9】図8のIX−IX視拡大断面図である。
【図10】本発明において別にリング体を示す斜視図で
ある。
【符号の説明】
1 陽極チップ体 1a 陽極チップ体の一端面 2 陽極ワイヤ 3,3′ 誘電体膜 4 固体電解質層 8,8′ リング体 8a,8a′ 貫通孔 8b′ 切り開き溝
【手続補正書】
【提出日】平成14年5月23日(2002.5.2
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】次いで、前記陽極チップ体1を、前記従来
と同様に、りん酸水溶液等の化成液Aに、当該陽極チッ
プ体1における一端面1aのリング体8の箇所に液面
A′が来る深さまで浸漬し、この状態で、前記化成液A
中の電極Bと、前記陽極ワイヤ2との間に直流電流を印
加するという陽極酸化処理を行うことにより、前記陽極
チップ体1における各金属粒子の表面に五酸化タンタル
等の誘電体膜3を形成する
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】なお、前記誘電体膜3を形成するという陽
極酸化処理の工程は、図2に示すように、前記リング体
8を被嵌したのち加熱溶融する工程の前において行う
とにより、前記陽極ワイヤ2の陽極チップ体1に対する
付け根部における適宜長さHの部分にも、五酸化タンタ
ル等の誘電体膜を形成し、その後で前記リング体8を被
嵌するようにしてもよい。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弁作用金属の粉末を焼結した陽極チップ体
    と、この陽極チップ体における一端面から突出する陽極
    ワイヤとから成り、前記陽極ワイヤのうち陽極チップ体
    に対する付け根部に、撥水性を有する熱可塑性合成樹脂
    製のリング体を被嵌・装着して成るコンデンサ素子にお
    いて、 前記陽極ワイヤに対して被嵌・装着したリング体は、陽
    極ワイヤに被嵌した状態で加熱溶融されていることを特
    徴とする固体電解コンデンサにおけるコンデンサ素子。
  2. 【請求項2】前記請求項1の記載において、前記リング
    体が、透明合成樹脂製であることを特徴とする固体電解
    コンデンサにおけるコンデンサ素子。
  3. 【請求項3】前記請求項1又は2の記載において、前記
    リング体に、その貫通孔から半径方向外向きに延びて外
    周面に到達するようにした切り開き溝を設けることを特
    徴とする固体電解コンデンサにおけるコンデンサ素子。
  4. 【請求項4】弁作用金属の粉末を焼結して成る陽極チッ
    プ体における一端面に固着した陽極ワイヤの付け根部に
    撥水性を有する熱可塑性合成樹脂製のリング体を被嵌す
    る工程と、このリング体を陽極ワイヤに被嵌した状態で
    加熱溶融する工程と、前記陽極チップ体に対して化成液
    への浸漬しての陽極酸化処理にて誘電体膜を形成する工
    程と、これらの工程に次いで、前記陽極チップ体に対し
    て固体電解質用溶液への浸漬・引き揚げ・焼成にて固体
    電解質層を形成する工程とから成ることを特徴とする固
    体電解コンデンサにおけるコンデンサ素子の製造方法。
  5. 【請求項5】前記請求項4の記載において、前記リング
    体に対する加熱溶融を、真空中で行うか、或いは、不活
    性ガスの雰囲気で行うことを特徴とする固体電解コンデ
    ンサにおけるコンデンサ素子の製造方法。
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