JP2004071633A - 固体電解コンデンサにおけるコンデンサ素子及びこのコンデンサ素子の製造方法並びにこのコンデンサ素子を用いた固体電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】弁作用金属の粉末を焼結した陽極チップ体2と、この陽極チップ体2における一端面2aに固着した陽極ワイヤ3と、前記陽極チップ体2に対して誘電体膜及び固体電解質層を下地として形成した陰極側電極膜4とから成るコンデンサ素子2において、前記陽極チップ体に固体電解質層を形成する工程での不良品の発生率を、コンデンサ容量の減少を招来することなく、低減するとともに、小型・軽量化を図る。
【解決手段】前記陽極ワイヤ3に撥水性と熱収縮性とを有する熱可塑性合成樹脂製のリング体14を被嵌し、このリング体14の内径dを、当該リング体14を熱収縮した場合に陽極ワイヤ3に対して密着するように前記陽極ワイヤ3における直径d0よりも大きくされており、更に前記リング体14を、前記陽極チップ体2における一端面2aに接触した状態で加熱溶融する。
【選択図】 図10
【解決手段】前記陽極ワイヤ3に撥水性と熱収縮性とを有する熱可塑性合成樹脂製のリング体14を被嵌し、このリング体14の内径dを、当該リング体14を熱収縮した場合に陽極ワイヤ3に対して密着するように前記陽極ワイヤ3における直径d0よりも大きくされており、更に前記リング体14を、前記陽極チップ体2における一端面2aに接触した状態で加熱溶融する。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンタル、ニオブ又はアルミニウム等の弁作用金属を使用した固体電解コンデンサにおいて、これに使用するコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を製造する方法と、このコンデンサ素子を用いた固体電解コンデンサとに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の固体電解コンデンサには、おおまかに言って、例えば、特開昭60−220922号公報等に記載され、且つ、図1に示すように構成した固体電解コンデンサ100′と、例えば、特開平2−105513号公報等に記載され、且つ、図2に示すように構成した安全ヒューズ付き固体電解コンデンサ200′とがある。
【0003】
前者の固体電解コンデンサ100′は、弁作用金属の粉末を固め焼結した多孔質の陽極チップ体2′と、この陽極チップ体2′における一端面2a′に固着した弁作用金属製の陽極ワイヤ3′と、前記陽極チップ体2′に対して誘電体膜及び固体電解質層を下地として形成した陰極側電極膜4′とから成るコンデンサ素子1′を、左右一対のリード端子5′,6′の間に、当該コンデンサ素子1′における陽極ワイヤ3′を一方の陽極側リード端子5′に対して溶接等に固着するように配設し、このコンデンサ素子1′における陰極側電極膜4′に、他方の陰極側リード端子6′を直接に電気的に接続する一方、これらの全体を合成樹脂製のパッケージ体7′にて密封して成る構造である。
【0004】
また、後者の安全ヒューズ付き固体電解コンデンサ200′は、同じく弁作用金属の粉末を固め焼結した多孔質の陽極チップ体2′と、この陽極チップ体2′における一端面2a′に固着した弁作用金属製の陽極ワイヤ3′と、前記陽極チップ体2′に対して誘電体膜及び固体電解質層を下地として形成した陰極側電極膜4′とから成るコンデンサ素子1′を、左右一対のリード端子5′,6′の間に、当該コンデンサ素子1′における陽極ワイヤ3′を一方の陽極側リード端子5′に対して溶接等に固着するように配設し、このコンデンサ素子1′における陰極側電極膜4′と、他方の陰極側リード端子6′との間を、過電流又は温度の上昇によって溶断するようにした安全ヒューズ線8′を介して電気的に接続する一方、これらの全体を合成樹脂製のパッケージ体9′にて密封して成る構造である。
【0005】
また、従来、この種の固体電解コンデンサに使用するコンデンサ素子を製造するに際しては、以下に述べる方法を採用している。
【0006】
すなわち、先ず、タンタル等のような弁作用金属の粉末を、図3に示すように、多孔質の陽極チップ体2′に、当該陽極チップ体2′における一端面2a′からタンタル等のような弁作用金属による陽極ワイヤ3′が突出するように固め成形したのち焼結し、次いで、この多孔質の陽極チップ体2′を、図4に示すように、りん酸水溶液等の化成液A中に、当該陽極チップ体2′における一端面2a′を上向きにして浸漬し、この状態で、前記化成液A中の電極Bと、前記陽極ワイヤ3′との間に直流電流を印加するという陽極酸化処理を行うことにより、前記陽極チップ体2′における各金属粒子の表面に五酸化タンタル等の誘電体膜2bを形成するとともに、前記陽極ワイヤ3′のうち陽極チップ体2′に対する付け根部にも五酸化タンタル等の誘電体膜を形成する。
【0007】
次いで、前記陽極チップ体2′を、図5に示すように、硝酸マンガン水溶液Cに対し、当該陽極チップ体2′における一端面2a′を上向きにして浸漬して、硝酸マンガン水溶液Cを陽極チップ体2の内部まで浸透したのち硝酸マンガン水溶液Cから引き揚げて焼成することを複数回にわたって繰り返すことにより、前記陽極チップ体2′における誘電体膜2a′の表面に、二酸化マンガン等の金属酸化物による固体電解質層4a′を形成する。
【0008】
次いで、前記陽極チップ体2′における表面のうち前記一端面2a′を除く部分に、グラファイト層と下地とし銀又はニッケル等の金属層を上層として成る前記陰極側電極膜4′を、前記固体電解質層4a′に重ねて形成するようにしている。
【0009】
ところで、前記したコンデンサ素子の製造行程において、二酸化マンガン等の金属酸化物による固体電解質層4a′を形成するとき、硝酸マンガン水溶液Cが、前記陽極ワイヤ3′における表面のうち陽極チップ体2′に対する付け根部の部分にまで伝い上がることにより、この付け根部の部分にも、二酸化マンガン等の固体電解質層が、陽極チップ体2における固体電解質層4aと連続した状態で形成されることになるから、前記固体電解コンデンサ100′,200′の完成品として組み立てるに際して、前記陽極ワイヤ3′を、金属板製の陽極側リード端子5′に対して溶接等にて固着したとき、この陽極側リード端子5′に対して前記したように陽極ワイヤ3′の付け根部にまで連続して形成される固体電解質層が接触することになって、電気的なショートが発生し、多数の不良品が発生するのであった。
【0010】
そこで、従来は、前記陽極酸化処理による五酸化タンタル等の誘電体膜2b′を形成する工程の前か、或いは、誘電体膜2a′を形成する工程の後において、前記陽極ワイヤ3′における付け根部に、図6(a)に示すように、フッ素樹脂等の撥水性を有する合成樹脂製のリング体10′を被嵌・装着するか、或いは、図6(b)に示すように、撥水性を有する合成樹脂を溶剤にて溶解した状態で塗布したのち乾燥することによって被膜11′を形成し、この状態で、前記した硝酸マンガン水溶液Cへの浸漬・引き揚げ・焼成にて固体電解質層4a′を形成する工程を行うことにより、硝酸マンガン水溶液が陽極ワイヤ3′における付け根部の部分にまで伝い上がることを、ひいては、陽極ワイヤ3′における付け根部にまで固体電解質層が連続して形成されることを、前記撥水性合成樹脂のリング体10′又は被膜11′にて防止するようにして、固体電解コンデンサの完成品として組み立てる場合における不良品の発生率を低減するようにしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前者のように、リング体10′を陽極ワイヤ2′の付け根部に対して被嵌・装着した場合、このリング体10′の下面と陽極チップ体2′の一端面2a ′との間に隙間が、陽極チップ体2′の一端面2a ′に存在する凹凸のために、必然的に存在していることに加えて、陽極ワイヤ3′の外周面とのリング体10′の内周面との間にも隙間が存在している。
【0012】
このために、前記陽極チップ体2′を、固体電解質層4a′を形成するための工程において、図5に示すように、硝酸マンガン水溶液C等の固体電解質用溶液に浸漬したとき、この硝酸マンガン水溶液等の固体電解質用溶液が、毛細管現象により、前記リング体10′の下面と陽極チップ体2′の一端面2a′との間における隙間内に流入し、次いでリング体10′の内周面と陽極ワイヤ3′の外周面との間における隙間内を通って、リング体10′の上面側にまで伝い上がることになるから、前記硝酸マンガン水溶液の伝い上がりをリング体10′にて完全に阻止することができず、ひいては、固体電解質層が陽極ワイヤ3′のうち前記リング体10′の上面側の部分にも、陽極チップ体2′における固体電解質層4a′と連続した状態で形成されることになるから、固体電解コンデンサの完成品として組み立てる場合における不良品の発生率がまだ可成り高いのである。
【0013】
しかも、前記固体電解コンデンサ100′,200′の完成品として組み立てるに際して、前記陽極ワイヤ3′を、金属板製の陽極側リード端子5′に対して溶接等にて固着する場合において、前記陽極チップ体2′における一端面2a′から陽極側リード端子5′までの首下寸法S′を、前記リング体10′の厚さ寸法T′の分だけ大きくしなければならないから、完成品としての固体電解コンデンサ100′,200′における全長寸法L1′,L2′が予め決まっているときには、前記リング体10が、前記陽極チップ体2′の長さ寸法H′を大きくすること、ひいては、コンデンサ容量を大きくすることの妨げになり、また、コンデンサ容量が予め決まっているとには、前記全長寸法L1′,L2′が、前記リング体10′の厚さの分だけ増大し、大型化と重量のアップとを招来するのであった。
【0014】
これに対し、後者のように、陽極ワイヤ3′における付け根部に対して、溶剤にて溶解した合成樹脂の塗布・乾燥により被膜11′を形成する方法は、この被膜11′を、陽極チップ体2′の一端面2a′と陽極ワイヤ3′の外周面との両方に対して隙間なく完全に密着することができるから、固体電解質用溶液に浸漬したときに、この固体電解質用溶液が陽極ワイヤ3′の付け根部にまで伝い上がること、ひいては、陽極ワイヤ3′のうち前記被膜11′より上側の部分にまで固体電解質層が連続して形成することを大幅に低減できる。
【0015】
しかし、その反面、合成樹脂を溶剤に溶解した状態で塗布したとき、この溶剤に溶解した合成樹脂が、乾燥するまでの間に、陽極チップ体2′における多孔質の組織内に奥深く染み込むことになり、この部分に固体電解質層を形成することができず、固体電解質層を形成することができない領域が前記溶剤に溶解した合成樹脂の染み込にて増大し、換言すると、陽極チップ体のうちコンデンサとしての機能を得ることができる実効体積が減少し、ひいては、コンデンサの容量が減少するばかりか、前記陽極ワイヤ3′の付け根部に対して、溶剤に溶解した合成樹脂を陽極ワイヤ3′の全周囲にわたって塗布することに多大の手数を必要としてコストの大幅なアップを招来する。その上、前記被膜11′における陽極チップ体2′の一端面2a′からの突出高さ寸法T″が大きくなり、ひいては、前記図1及び図2に示す固体電解コンデンサ100′,200′の完成品として組み立てるに際して、陽極チップ体2′における一端面2a′から陽極側リード端子5′までの首下寸法S′が、前記リング体10′の場合よりも更に大きくなるから、コンデンサの大容量を妨げることが更に増大するばかりか、大型化及び重量が更に増大するのであった。
【0016】
本発明は、これらの問題を解消することを技術的課題とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため本発明のコンデンサ素子は、
「弁作用金属の粉末を焼結した陽極チップ体と、この陽極チップ体における一端面に固着した陽極ワイヤと、前記陽極チップ体に対して誘電体膜及び固体電解質層を下地として形成した陰極側電極膜とから成るコンデンサ素子において、
前記陽極ワイヤに、撥水性と熱収縮性とを有する熱可塑性合成樹脂製のリング体が被嵌され、このリング体における内径は、当該リング体を熱収縮した場合に陽極ワイヤに対して密着するように前記陽極ワイヤにおける直径よりも大きくされており、更に前記リング体は、前記陽極チップ体における一端面に接触した状態で加熱溶融されている。」
ことを特徴としている。
【0018】
また、本発明の製造方法は、
「弁作用金属の粉末による陽極チップ体を、その一端面に陽極ワイヤを固着して製造する工程と、前記陽極ワイヤに撥水性と熱収縮性とを有する熱可塑性合成樹脂製のリング体を、当該リング体を熱収縮した場合に陽極ワイヤに対して密着するように前記陽極ワイヤにおける直径よりも大きくした内径にして被嵌する工程と、前記リング体を前記陽極チップ体の一端面に接触した状態で加熱溶融する工程と、前記陽極チップ体に対して化成液への浸漬しての陽極酸化処理にて誘電体膜を形成する工程と、これらに次いで、前記陽極チップ体に対して固体電解質用溶液への浸漬・引き揚げ・焼成にて固体電解質を形成する工程とから成る。」
ことを特徴としている。
【0019】
更にまた、本発明の固体電解コンデンサは、
「弁作用金属の粉末を焼結した陽極チップ体と、この陽極チップ体における一端面に固着した陽極ワイヤと、前記陽極チップ体に対して誘電体膜及び固体電解質層を下地として形成した陰極側電極膜とで構成したコンデンサ素子を、陽極側リード端子と陰極側リード端子との間に配設し、このコンデンサ素子における陽極ワイヤを、前記陽極側リード端子に固着する一方、前記コンデンサ素子における陰極側電極膜を、前記陰極側リード端子に電気的に接続して成る固体電解コンデンサにおいて、
前記陽極ワイヤに撥水性を有する熱可塑性合成樹脂製のリング体が被嵌され、このリング体における内径は、当該リング体を熱収縮した場合に陽極ワイヤに対して密着するように前記陽極ワイヤにおける直径よりも大きくされており、更に前記リング体は、前記陽極チップ体における一端面に接触した状態で加熱溶融されている。」
ことを特徴としている。
【0020】
【発明の作用・効果】
このように、陽極ワイヤに被嵌したリング体を、陽極チップ体における一端面に接触した状態で加熱溶融することにより、前記リング体は、陽極チップ体の一端面における凹凸形状の通りに変形しながら、多孔質の組織内への染み込みが溶剤で溶解した合成樹脂を塗布する場合よりも遥かに少ないか、殆どない状態のもとで、この一端面に対して、恰も熱融着するというように、隙間なく密着することになる。
【0021】
これに加えて、前記リンク体は、その加熱溶融にて陽極ワイヤに向かって収縮することにより、前記陽極ワイヤの外周面に対しても、前記同様に、恰も熱融着するというように、隙間なく強く密着するのであるが、この場合において、前記リング体における内径が、陽極ワイヤの直径よりも大きいことにより、このリング体のうち陽極ワイヤに密着する内周部分が、陽極ワイヤに向かっての収縮により陽極ワイヤ3に密着したのち当該リング体における上面側に突出するように盛り上がることを低減でき、換言すると、前記陽極チップ体の一端面からの突出高さ寸法が、前記熱収縮にて高くなることを確実に低減できるのである。
【0022】
従って、本発明によると、陽極チップ体に対する固体電解質層の形成に際して、固体電解質用溶液が、前記リング体と陽極チップ体及び陽極ワイヤとの間から当該リング体の上面側にまで伝い上がることを確実に阻止でき、換言すると、固体電解質層が陽極ワイヤのうちリング体の上面側の部分に形成されることを確実に防止できるから、固体電解コンデンサの完成品として組み立てるに際して、陽極ワイヤに固着する陽極側リード端子と前記固体電解質層との間が電気的にショートして不良品になるという不良品の発生率を大幅に低減でき、この際において、陽極チップ体のうちコンデンサとしての機能を得ることができる実効体積が減少することを、大幅に低減できるのである。
【0023】
しかも、前記リング体の陽極チップ体における一端面からの突出高さ寸法を低減できることにより、固体電解コンデンサとしての完成品に組み立てるに際して、陽極ワイヤに対して陽極リード端子を固着する場合に、陽極チップ体の一端面から陽極リード端子までの首下寸法を小さくできるから、完成品としての固体電解コンデンサにおける全長寸法が予め決まっている場合には、前記首下寸法を小さくできる分だけ陽極チップ体における長さ寸法を大きくできて、コンデンサ容量の増大を図ることができる。また、コンデンサ容量が予め決まっている場合には、固体電解コンデンサにおける全長寸法を、前記首下寸法を小さくできる分だけ短くできて、小型・軽量化できるのである。
【0024】
特に、請求項2に記載したように、前記リング体における内径を、陽極ワイヤにおける直径の1.20〜1.60倍に大きくすることにより、リング体を、陽極チップ体の一端面と陽極ワイヤの外周面との両方に対して隙間なく確実に密着できる状態のもとで、陽極チップ体における一端面からの突出高さ寸法を、リンク体における元々の厚さ寸法よりも低くすることができるから、前記した効果をより助長できる利点がある。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、タンタル固体電解コンデンサにおけるコンデンサ素子に適用した場合の図面(図7〜図12)について説明する。
【0026】
先ず、タンタルの粉末を、図7に示すように、多孔質の陽極チップ体2に固め成形したのち焼結し、且つ、この陽極チップ体2における一端面2aからタンタルによる直径d0(約150〜200ミクロン)の陽極ワイヤ3を突出する。
【0027】
一方、例えば、融点が約270℃のフッ素樹脂等のように、撥水性を有し、且つ、熱による収縮性を有する透明な熱可塑性合成樹脂による素材の板材から打ち抜く等することにより、図7に示すように、内径dの貫通孔14aを備えた厚さ寸法T(約100ミクロン)で直径D(約600ミクロン)にしたリング体14を予め製作しておき、このリング体14を、前記陽極チップ体2における一端面2aから突出する直径d0が200ミクロンの陽極ワイヤ3のうち陽極チップ体2に対する付け根部に対して、図8に示すように、当該リング体14が陽極チップ体2における一端面2aに接触するように被嵌・装着する。
【0028】
次いで、この陽極チップ体2を、その一端面2aを上向きにした姿勢に保持し、この姿勢で、図示しない密閉容器内に入れて、この密閉容器内を真空にするか、窒素ガス又はアルゴンガス等のような不活性ガスの雰囲気にした状態のもとで、前記リング体15の合成樹脂における融点か、或いはこれよりも高い温度、例えば、約270〜300℃に加熱することにより、前記リング体14を溶融した状態に約30分間程度維持したのち常温まで冷却する。
【0029】
このリング体14の加熱溶融により、このリング体14は、陽極チップ体2における一端面2aにおける凹凸形状の通りに変形しながら、多孔質の組織内への染み込むが溶剤で溶解した合成樹脂を塗布する場合よりも遥かに少ないか、殆どない状態のもとで、この一端面2aに対して、恰も熱融着するというように、隙間なく密着するとともに、前記した加熱により、陽極ワイヤ3に向かって収縮して、その内径dを窄めることにより、陽極ワイヤ3の外周面に対しても、同様に恰も熱融着するというように、隙間なく密着することになる。
【0030】
この場合において、前記リング体14における内径dが、陽極ワイヤ3の直径d0に対して近似する寸法である場合には、このリング体14のうち陽極ワイヤ3に対して密着する内周部分が、当該リング体14における陽極ワイヤ3に向かっての収縮に伴って、図9に示すように、陽極ワイヤ3に密着したのちリング体14の上面側に盛り上がることになるから、陽極チップ体2における一端面2aからの突出高さ寸法W′が、リング体14における元々の厚さ寸法Tよりも高くなる。
【0031】
そして、前記リング体14の内周部分における盛り上がり高さは、リング体14における貫通孔14aの内周面と陽極ワイヤ3における外周面との間の隙間寸法が小さいとき高く、隙間寸法が大きいとき低くなるというように、前記隙間寸法に比例する一方、前記隙間寸法は、リング体14における貫通孔14aの内径dに比例するから、このリング体14における内径dを、前記陽極ワイヤ3における直径d0よりも大きくすることにより、前記リング体14のうち陽極ワイヤ3に密着する内周部分が、陽極ワイヤ3に向かっての収縮により陽極ワイヤ3に密着したのち当該リング体14における上面側に突出するように盛り上がることを低減できるのである。
【0032】
この場合において、本発明者の実験によると、陽極ワイヤ3における直径d0が200ミクロンである場合に、これに被嵌するリング体14における内径dを、240ミクロン〜320ミクロンにした場合、つまり、リング体14の内径dを陽極ワイヤ3の直径d0の1.2〜1.6にした場合に限って、リング体14を、図10に示すように、陽極チップ体2の一端面2aと陽極ワイヤ3の外周面との両方に対して隙間なく強く確実に密着した状態のもとで、陽極チップ体2における一端面2aからの突出高さ寸法Wを、リンク体14における元々の厚さ寸法Tよりも低くすることができるのであった。
【0033】
すなわち、前記リング体14の内径dが、陽極ワイヤ3の直径d0の1.2未満である場合には前記突出高さ寸法Wはリング体14における元々の厚さ寸法Tよりも低くならない一方、リング体14の内径dが、陽極ワイヤ3の直径d0の1.6を越えている場合には、陽極ワイヤ3の外周面に対する密着力が弱くなるのであった。
【0034】
また、前記リング体14を、透明な合成樹脂製にすることにより、前記した加熱溶融にて陽極チップ体2と陽極ワイヤ3との両方に対して隙間なく確実に密着しているか否かを、外観から容易に識別することができる。
【0035】
次いで、前記陽極チップ体2を、前記従来と同様に、図4に示すように、りん酸水溶液等の化成液Aに浸漬し、この状態で、前記化成液A中の電極Bと、前記陽極ワイヤ2との間に直流電流を印加するという陽極酸化処理を行うことにより、前記陽極チップ体2における各金属粒子の表面に五酸化タンタル等の誘電体膜を形成するとともに、前記陽極ワイヤ3のうち陽極チップ体2に対する付け根部にも五酸化タンタル等の誘電体膜を形成する。
【0036】
なお、前記誘電体膜2aを形成するという陽極酸化処理の工程は、前記リング体14を被嵌したのち押圧しながら加熱溶融する工程の後において行うようにしてもよい。
【0037】
次いで、前記陽極チップ体2を、前記従来と同様に、図5に示すように、硝酸マンガン水溶液Cに対し浸漬して、硝酸マンガン水溶液Cを陽極チップ体2の内部まで浸透したのち硝酸マンガン水溶液Cから引き揚げて焼成することを複数回にわたって繰り返すことにより、前記陽極チップ体2における誘電体膜の表面に、二酸化マンガン等の金属酸化物による固体電解質層を形成する。
【0038】
前記リング体14は、撥水性を有する合成樹脂製であることに加えて、前記したように、陽極チップ体2における一端面2aに隙間なく密着していることに加えて、陽極ワイヤ3の外周面に対しても隙間なく強く密着していることにより、前記固体電解質層を形成する工程において、固体電解質用溶液であるところの硝酸マンガン水溶液が、リング体14と陽極チップ体2との間を通って当該リング体14の上面側にまで伝い上がることを確実に阻止することができるから、固体電解質層が陽極ワイヤ2のうちリング体14の上面側の部分にまでも陽極チップ体2における固体電解質層と連続した状態で形成されることを確実に低減できる。
【0039】
そして、前記固体電解質層を形成する工程を完了すると、前記従来と同様に、前記陽極チップ体2における表面のうち前記一端面2aを除く部分に、グラファイト層と下地とし銀又はニッケル等の金属層を上層とする陰極側電極膜4を形成することにより、コンデンサ素子1に仕上げられる。
【0040】
このようにして製造されたコンデンサ素子1を、図11に示すように、左右一対のリード端子5,6の間に、当該コンデンサ素子1における陽極ワイヤ3を一方の陽極側リード端子5に対して溶接等に固着するように配設し、このコンデンサ素子1における陰極側電極膜4に、他方の陰極側リード端子6を直接に電気的に接続する一方、これらの全体を合成樹脂製のパッケージ体7にて密封することにより、固体電解コンデンサ100に組み立てる。
【0041】
或いは、前記コンデンサ素子1を、図12に示すように、左右一対のリード端子5,6の間に、当該コンデンサ素子1における陽極ワイヤ3を一方の陽極側リード端子5に対して溶接等に固着するように配設し、このコンデンサ素子1における陰極側電極膜4と、他方の陰極側リード端子6との間を、過電流又は温度の上昇によって溶断するようにした安全ヒューズ線8を介して電気的に接続する一方、これらの全体を合成樹脂製のパッケージ体9にて密封することにより、安全ヒューズ付き固体電解コンデンサ200に組み立てる。
【0042】
この固体電解コンデンサ100,200への組み立てに際して、前記コンデンサ素子1において、その陽極チップ体2の一端面2aにおけるリング体14が前記一端面2aより突出する高さ寸法Wを、前記したように、陽極チップ体2における多孔質の組織内へ合成樹脂を染み込みを少なくできる状態のもとで、当該リング体15における厚さ寸法Tよりも低くすることができる。
【0043】
これにより、陽極チップ体2における一端面2aから陽極側リード端子5までの首下寸法Sを、前記リング体14における一端面2aからの突出高さ寸法Wを低くできる分だけ小さくできるから、完成品としての固体電解コンデンサ100,200における全長寸法L1,L2が予め決まっている場合には、前記首下寸法Sを小さくできる分だけ陽極チップ体2の長さ寸法Hを大きくできて、コンデンサ容量の増大を図ることができる。
【0044】
また、コンデンサ容量が予め決まっている場合には、固体電解コンデンサ100,200における全長寸法L1,L2を、前記首下寸法Sを小さくできる分だけ短くできて、小型・軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来における固体電解コンデンサを示す縦断正面図である。
【図2】従来における安全ヒューズ付き固体電解コンデンサを示す縦断正面図である。
【図3】コンデンサ素子を構成する陽極チップ体を示す斜視図である。
【図4】前記陽極チップ体に対して誘電体膜を形成するための陽極酸化処理を行っている状態を示す図である。
【図5】前記陽極チップ体に対して固体電解質層を形成している状態を示す図である。
【図6】従来の場合において、前記陽極チップ体の陽極ワイヤに合成樹脂によるリング体又は被覆を設けた状態を示す縦断正面図である。
【図7】本発明において陽極チップ体とリング体とを示す縦断正面図である。
【図8】本発明において陽極チップ体の陽極ワイヤの付け根部にリング体を被嵌した状態を示す縦断正面図である。
【図9】本発明に至る以前において前記陽極ワイヤに被嵌したリング体を加熱溶融した後の状態を示す縦断正面図である。
【図10】本発明において前記陽極ワイヤに被嵌したリング体を加熱溶融した後の状態を示す縦断正面図である。
【図11】本発明による固体電解コンデンサを示す縦断正面図である。
【図12】本発明による安全ヒューズ付き固体電解コンデンサを示す縦断正面図である。
【符号の説明】
1 コンデンサ素子
2 陽極チップ体
2a 陽極チップ体の一端面
3 陽極ワイヤ
4 陰極側電極膜
5 陽極側リード端子
6 陰極側リード端子
7,9 パッケージ体
8 安全ヒューズ線
14 リング体
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンタル、ニオブ又はアルミニウム等の弁作用金属を使用した固体電解コンデンサにおいて、これに使用するコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を製造する方法と、このコンデンサ素子を用いた固体電解コンデンサとに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の固体電解コンデンサには、おおまかに言って、例えば、特開昭60−220922号公報等に記載され、且つ、図1に示すように構成した固体電解コンデンサ100′と、例えば、特開平2−105513号公報等に記載され、且つ、図2に示すように構成した安全ヒューズ付き固体電解コンデンサ200′とがある。
【0003】
前者の固体電解コンデンサ100′は、弁作用金属の粉末を固め焼結した多孔質の陽極チップ体2′と、この陽極チップ体2′における一端面2a′に固着した弁作用金属製の陽極ワイヤ3′と、前記陽極チップ体2′に対して誘電体膜及び固体電解質層を下地として形成した陰極側電極膜4′とから成るコンデンサ素子1′を、左右一対のリード端子5′,6′の間に、当該コンデンサ素子1′における陽極ワイヤ3′を一方の陽極側リード端子5′に対して溶接等に固着するように配設し、このコンデンサ素子1′における陰極側電極膜4′に、他方の陰極側リード端子6′を直接に電気的に接続する一方、これらの全体を合成樹脂製のパッケージ体7′にて密封して成る構造である。
【0004】
また、後者の安全ヒューズ付き固体電解コンデンサ200′は、同じく弁作用金属の粉末を固め焼結した多孔質の陽極チップ体2′と、この陽極チップ体2′における一端面2a′に固着した弁作用金属製の陽極ワイヤ3′と、前記陽極チップ体2′に対して誘電体膜及び固体電解質層を下地として形成した陰極側電極膜4′とから成るコンデンサ素子1′を、左右一対のリード端子5′,6′の間に、当該コンデンサ素子1′における陽極ワイヤ3′を一方の陽極側リード端子5′に対して溶接等に固着するように配設し、このコンデンサ素子1′における陰極側電極膜4′と、他方の陰極側リード端子6′との間を、過電流又は温度の上昇によって溶断するようにした安全ヒューズ線8′を介して電気的に接続する一方、これらの全体を合成樹脂製のパッケージ体9′にて密封して成る構造である。
【0005】
また、従来、この種の固体電解コンデンサに使用するコンデンサ素子を製造するに際しては、以下に述べる方法を採用している。
【0006】
すなわち、先ず、タンタル等のような弁作用金属の粉末を、図3に示すように、多孔質の陽極チップ体2′に、当該陽極チップ体2′における一端面2a′からタンタル等のような弁作用金属による陽極ワイヤ3′が突出するように固め成形したのち焼結し、次いで、この多孔質の陽極チップ体2′を、図4に示すように、りん酸水溶液等の化成液A中に、当該陽極チップ体2′における一端面2a′を上向きにして浸漬し、この状態で、前記化成液A中の電極Bと、前記陽極ワイヤ3′との間に直流電流を印加するという陽極酸化処理を行うことにより、前記陽極チップ体2′における各金属粒子の表面に五酸化タンタル等の誘電体膜2bを形成するとともに、前記陽極ワイヤ3′のうち陽極チップ体2′に対する付け根部にも五酸化タンタル等の誘電体膜を形成する。
【0007】
次いで、前記陽極チップ体2′を、図5に示すように、硝酸マンガン水溶液Cに対し、当該陽極チップ体2′における一端面2a′を上向きにして浸漬して、硝酸マンガン水溶液Cを陽極チップ体2の内部まで浸透したのち硝酸マンガン水溶液Cから引き揚げて焼成することを複数回にわたって繰り返すことにより、前記陽極チップ体2′における誘電体膜2a′の表面に、二酸化マンガン等の金属酸化物による固体電解質層4a′を形成する。
【0008】
次いで、前記陽極チップ体2′における表面のうち前記一端面2a′を除く部分に、グラファイト層と下地とし銀又はニッケル等の金属層を上層として成る前記陰極側電極膜4′を、前記固体電解質層4a′に重ねて形成するようにしている。
【0009】
ところで、前記したコンデンサ素子の製造行程において、二酸化マンガン等の金属酸化物による固体電解質層4a′を形成するとき、硝酸マンガン水溶液Cが、前記陽極ワイヤ3′における表面のうち陽極チップ体2′に対する付け根部の部分にまで伝い上がることにより、この付け根部の部分にも、二酸化マンガン等の固体電解質層が、陽極チップ体2における固体電解質層4aと連続した状態で形成されることになるから、前記固体電解コンデンサ100′,200′の完成品として組み立てるに際して、前記陽極ワイヤ3′を、金属板製の陽極側リード端子5′に対して溶接等にて固着したとき、この陽極側リード端子5′に対して前記したように陽極ワイヤ3′の付け根部にまで連続して形成される固体電解質層が接触することになって、電気的なショートが発生し、多数の不良品が発生するのであった。
【0010】
そこで、従来は、前記陽極酸化処理による五酸化タンタル等の誘電体膜2b′を形成する工程の前か、或いは、誘電体膜2a′を形成する工程の後において、前記陽極ワイヤ3′における付け根部に、図6(a)に示すように、フッ素樹脂等の撥水性を有する合成樹脂製のリング体10′を被嵌・装着するか、或いは、図6(b)に示すように、撥水性を有する合成樹脂を溶剤にて溶解した状態で塗布したのち乾燥することによって被膜11′を形成し、この状態で、前記した硝酸マンガン水溶液Cへの浸漬・引き揚げ・焼成にて固体電解質層4a′を形成する工程を行うことにより、硝酸マンガン水溶液が陽極ワイヤ3′における付け根部の部分にまで伝い上がることを、ひいては、陽極ワイヤ3′における付け根部にまで固体電解質層が連続して形成されることを、前記撥水性合成樹脂のリング体10′又は被膜11′にて防止するようにして、固体電解コンデンサの完成品として組み立てる場合における不良品の発生率を低減するようにしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前者のように、リング体10′を陽極ワイヤ2′の付け根部に対して被嵌・装着した場合、このリング体10′の下面と陽極チップ体2′の一端面2a ′との間に隙間が、陽極チップ体2′の一端面2a ′に存在する凹凸のために、必然的に存在していることに加えて、陽極ワイヤ3′の外周面とのリング体10′の内周面との間にも隙間が存在している。
【0012】
このために、前記陽極チップ体2′を、固体電解質層4a′を形成するための工程において、図5に示すように、硝酸マンガン水溶液C等の固体電解質用溶液に浸漬したとき、この硝酸マンガン水溶液等の固体電解質用溶液が、毛細管現象により、前記リング体10′の下面と陽極チップ体2′の一端面2a′との間における隙間内に流入し、次いでリング体10′の内周面と陽極ワイヤ3′の外周面との間における隙間内を通って、リング体10′の上面側にまで伝い上がることになるから、前記硝酸マンガン水溶液の伝い上がりをリング体10′にて完全に阻止することができず、ひいては、固体電解質層が陽極ワイヤ3′のうち前記リング体10′の上面側の部分にも、陽極チップ体2′における固体電解質層4a′と連続した状態で形成されることになるから、固体電解コンデンサの完成品として組み立てる場合における不良品の発生率がまだ可成り高いのである。
【0013】
しかも、前記固体電解コンデンサ100′,200′の完成品として組み立てるに際して、前記陽極ワイヤ3′を、金属板製の陽極側リード端子5′に対して溶接等にて固着する場合において、前記陽極チップ体2′における一端面2a′から陽極側リード端子5′までの首下寸法S′を、前記リング体10′の厚さ寸法T′の分だけ大きくしなければならないから、完成品としての固体電解コンデンサ100′,200′における全長寸法L1′,L2′が予め決まっているときには、前記リング体10が、前記陽極チップ体2′の長さ寸法H′を大きくすること、ひいては、コンデンサ容量を大きくすることの妨げになり、また、コンデンサ容量が予め決まっているとには、前記全長寸法L1′,L2′が、前記リング体10′の厚さの分だけ増大し、大型化と重量のアップとを招来するのであった。
【0014】
これに対し、後者のように、陽極ワイヤ3′における付け根部に対して、溶剤にて溶解した合成樹脂の塗布・乾燥により被膜11′を形成する方法は、この被膜11′を、陽極チップ体2′の一端面2a′と陽極ワイヤ3′の外周面との両方に対して隙間なく完全に密着することができるから、固体電解質用溶液に浸漬したときに、この固体電解質用溶液が陽極ワイヤ3′の付け根部にまで伝い上がること、ひいては、陽極ワイヤ3′のうち前記被膜11′より上側の部分にまで固体電解質層が連続して形成することを大幅に低減できる。
【0015】
しかし、その反面、合成樹脂を溶剤に溶解した状態で塗布したとき、この溶剤に溶解した合成樹脂が、乾燥するまでの間に、陽極チップ体2′における多孔質の組織内に奥深く染み込むことになり、この部分に固体電解質層を形成することができず、固体電解質層を形成することができない領域が前記溶剤に溶解した合成樹脂の染み込にて増大し、換言すると、陽極チップ体のうちコンデンサとしての機能を得ることができる実効体積が減少し、ひいては、コンデンサの容量が減少するばかりか、前記陽極ワイヤ3′の付け根部に対して、溶剤に溶解した合成樹脂を陽極ワイヤ3′の全周囲にわたって塗布することに多大の手数を必要としてコストの大幅なアップを招来する。その上、前記被膜11′における陽極チップ体2′の一端面2a′からの突出高さ寸法T″が大きくなり、ひいては、前記図1及び図2に示す固体電解コンデンサ100′,200′の完成品として組み立てるに際して、陽極チップ体2′における一端面2a′から陽極側リード端子5′までの首下寸法S′が、前記リング体10′の場合よりも更に大きくなるから、コンデンサの大容量を妨げることが更に増大するばかりか、大型化及び重量が更に増大するのであった。
【0016】
本発明は、これらの問題を解消することを技術的課題とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため本発明のコンデンサ素子は、
「弁作用金属の粉末を焼結した陽極チップ体と、この陽極チップ体における一端面に固着した陽極ワイヤと、前記陽極チップ体に対して誘電体膜及び固体電解質層を下地として形成した陰極側電極膜とから成るコンデンサ素子において、
前記陽極ワイヤに、撥水性と熱収縮性とを有する熱可塑性合成樹脂製のリング体が被嵌され、このリング体における内径は、当該リング体を熱収縮した場合に陽極ワイヤに対して密着するように前記陽極ワイヤにおける直径よりも大きくされており、更に前記リング体は、前記陽極チップ体における一端面に接触した状態で加熱溶融されている。」
ことを特徴としている。
【0018】
また、本発明の製造方法は、
「弁作用金属の粉末による陽極チップ体を、その一端面に陽極ワイヤを固着して製造する工程と、前記陽極ワイヤに撥水性と熱収縮性とを有する熱可塑性合成樹脂製のリング体を、当該リング体を熱収縮した場合に陽極ワイヤに対して密着するように前記陽極ワイヤにおける直径よりも大きくした内径にして被嵌する工程と、前記リング体を前記陽極チップ体の一端面に接触した状態で加熱溶融する工程と、前記陽極チップ体に対して化成液への浸漬しての陽極酸化処理にて誘電体膜を形成する工程と、これらに次いで、前記陽極チップ体に対して固体電解質用溶液への浸漬・引き揚げ・焼成にて固体電解質を形成する工程とから成る。」
ことを特徴としている。
【0019】
更にまた、本発明の固体電解コンデンサは、
「弁作用金属の粉末を焼結した陽極チップ体と、この陽極チップ体における一端面に固着した陽極ワイヤと、前記陽極チップ体に対して誘電体膜及び固体電解質層を下地として形成した陰極側電極膜とで構成したコンデンサ素子を、陽極側リード端子と陰極側リード端子との間に配設し、このコンデンサ素子における陽極ワイヤを、前記陽極側リード端子に固着する一方、前記コンデンサ素子における陰極側電極膜を、前記陰極側リード端子に電気的に接続して成る固体電解コンデンサにおいて、
前記陽極ワイヤに撥水性を有する熱可塑性合成樹脂製のリング体が被嵌され、このリング体における内径は、当該リング体を熱収縮した場合に陽極ワイヤに対して密着するように前記陽極ワイヤにおける直径よりも大きくされており、更に前記リング体は、前記陽極チップ体における一端面に接触した状態で加熱溶融されている。」
ことを特徴としている。
【0020】
【発明の作用・効果】
このように、陽極ワイヤに被嵌したリング体を、陽極チップ体における一端面に接触した状態で加熱溶融することにより、前記リング体は、陽極チップ体の一端面における凹凸形状の通りに変形しながら、多孔質の組織内への染み込みが溶剤で溶解した合成樹脂を塗布する場合よりも遥かに少ないか、殆どない状態のもとで、この一端面に対して、恰も熱融着するというように、隙間なく密着することになる。
【0021】
これに加えて、前記リンク体は、その加熱溶融にて陽極ワイヤに向かって収縮することにより、前記陽極ワイヤの外周面に対しても、前記同様に、恰も熱融着するというように、隙間なく強く密着するのであるが、この場合において、前記リング体における内径が、陽極ワイヤの直径よりも大きいことにより、このリング体のうち陽極ワイヤに密着する内周部分が、陽極ワイヤに向かっての収縮により陽極ワイヤ3に密着したのち当該リング体における上面側に突出するように盛り上がることを低減でき、換言すると、前記陽極チップ体の一端面からの突出高さ寸法が、前記熱収縮にて高くなることを確実に低減できるのである。
【0022】
従って、本発明によると、陽極チップ体に対する固体電解質層の形成に際して、固体電解質用溶液が、前記リング体と陽極チップ体及び陽極ワイヤとの間から当該リング体の上面側にまで伝い上がることを確実に阻止でき、換言すると、固体電解質層が陽極ワイヤのうちリング体の上面側の部分に形成されることを確実に防止できるから、固体電解コンデンサの完成品として組み立てるに際して、陽極ワイヤに固着する陽極側リード端子と前記固体電解質層との間が電気的にショートして不良品になるという不良品の発生率を大幅に低減でき、この際において、陽極チップ体のうちコンデンサとしての機能を得ることができる実効体積が減少することを、大幅に低減できるのである。
【0023】
しかも、前記リング体の陽極チップ体における一端面からの突出高さ寸法を低減できることにより、固体電解コンデンサとしての完成品に組み立てるに際して、陽極ワイヤに対して陽極リード端子を固着する場合に、陽極チップ体の一端面から陽極リード端子までの首下寸法を小さくできるから、完成品としての固体電解コンデンサにおける全長寸法が予め決まっている場合には、前記首下寸法を小さくできる分だけ陽極チップ体における長さ寸法を大きくできて、コンデンサ容量の増大を図ることができる。また、コンデンサ容量が予め決まっている場合には、固体電解コンデンサにおける全長寸法を、前記首下寸法を小さくできる分だけ短くできて、小型・軽量化できるのである。
【0024】
特に、請求項2に記載したように、前記リング体における内径を、陽極ワイヤにおける直径の1.20〜1.60倍に大きくすることにより、リング体を、陽極チップ体の一端面と陽極ワイヤの外周面との両方に対して隙間なく確実に密着できる状態のもとで、陽極チップ体における一端面からの突出高さ寸法を、リンク体における元々の厚さ寸法よりも低くすることができるから、前記した効果をより助長できる利点がある。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、タンタル固体電解コンデンサにおけるコンデンサ素子に適用した場合の図面(図7〜図12)について説明する。
【0026】
先ず、タンタルの粉末を、図7に示すように、多孔質の陽極チップ体2に固め成形したのち焼結し、且つ、この陽極チップ体2における一端面2aからタンタルによる直径d0(約150〜200ミクロン)の陽極ワイヤ3を突出する。
【0027】
一方、例えば、融点が約270℃のフッ素樹脂等のように、撥水性を有し、且つ、熱による収縮性を有する透明な熱可塑性合成樹脂による素材の板材から打ち抜く等することにより、図7に示すように、内径dの貫通孔14aを備えた厚さ寸法T(約100ミクロン)で直径D(約600ミクロン)にしたリング体14を予め製作しておき、このリング体14を、前記陽極チップ体2における一端面2aから突出する直径d0が200ミクロンの陽極ワイヤ3のうち陽極チップ体2に対する付け根部に対して、図8に示すように、当該リング体14が陽極チップ体2における一端面2aに接触するように被嵌・装着する。
【0028】
次いで、この陽極チップ体2を、その一端面2aを上向きにした姿勢に保持し、この姿勢で、図示しない密閉容器内に入れて、この密閉容器内を真空にするか、窒素ガス又はアルゴンガス等のような不活性ガスの雰囲気にした状態のもとで、前記リング体15の合成樹脂における融点か、或いはこれよりも高い温度、例えば、約270〜300℃に加熱することにより、前記リング体14を溶融した状態に約30分間程度維持したのち常温まで冷却する。
【0029】
このリング体14の加熱溶融により、このリング体14は、陽極チップ体2における一端面2aにおける凹凸形状の通りに変形しながら、多孔質の組織内への染み込むが溶剤で溶解した合成樹脂を塗布する場合よりも遥かに少ないか、殆どない状態のもとで、この一端面2aに対して、恰も熱融着するというように、隙間なく密着するとともに、前記した加熱により、陽極ワイヤ3に向かって収縮して、その内径dを窄めることにより、陽極ワイヤ3の外周面に対しても、同様に恰も熱融着するというように、隙間なく密着することになる。
【0030】
この場合において、前記リング体14における内径dが、陽極ワイヤ3の直径d0に対して近似する寸法である場合には、このリング体14のうち陽極ワイヤ3に対して密着する内周部分が、当該リング体14における陽極ワイヤ3に向かっての収縮に伴って、図9に示すように、陽極ワイヤ3に密着したのちリング体14の上面側に盛り上がることになるから、陽極チップ体2における一端面2aからの突出高さ寸法W′が、リング体14における元々の厚さ寸法Tよりも高くなる。
【0031】
そして、前記リング体14の内周部分における盛り上がり高さは、リング体14における貫通孔14aの内周面と陽極ワイヤ3における外周面との間の隙間寸法が小さいとき高く、隙間寸法が大きいとき低くなるというように、前記隙間寸法に比例する一方、前記隙間寸法は、リング体14における貫通孔14aの内径dに比例するから、このリング体14における内径dを、前記陽極ワイヤ3における直径d0よりも大きくすることにより、前記リング体14のうち陽極ワイヤ3に密着する内周部分が、陽極ワイヤ3に向かっての収縮により陽極ワイヤ3に密着したのち当該リング体14における上面側に突出するように盛り上がることを低減できるのである。
【0032】
この場合において、本発明者の実験によると、陽極ワイヤ3における直径d0が200ミクロンである場合に、これに被嵌するリング体14における内径dを、240ミクロン〜320ミクロンにした場合、つまり、リング体14の内径dを陽極ワイヤ3の直径d0の1.2〜1.6にした場合に限って、リング体14を、図10に示すように、陽極チップ体2の一端面2aと陽極ワイヤ3の外周面との両方に対して隙間なく強く確実に密着した状態のもとで、陽極チップ体2における一端面2aからの突出高さ寸法Wを、リンク体14における元々の厚さ寸法Tよりも低くすることができるのであった。
【0033】
すなわち、前記リング体14の内径dが、陽極ワイヤ3の直径d0の1.2未満である場合には前記突出高さ寸法Wはリング体14における元々の厚さ寸法Tよりも低くならない一方、リング体14の内径dが、陽極ワイヤ3の直径d0の1.6を越えている場合には、陽極ワイヤ3の外周面に対する密着力が弱くなるのであった。
【0034】
また、前記リング体14を、透明な合成樹脂製にすることにより、前記した加熱溶融にて陽極チップ体2と陽極ワイヤ3との両方に対して隙間なく確実に密着しているか否かを、外観から容易に識別することができる。
【0035】
次いで、前記陽極チップ体2を、前記従来と同様に、図4に示すように、りん酸水溶液等の化成液Aに浸漬し、この状態で、前記化成液A中の電極Bと、前記陽極ワイヤ2との間に直流電流を印加するという陽極酸化処理を行うことにより、前記陽極チップ体2における各金属粒子の表面に五酸化タンタル等の誘電体膜を形成するとともに、前記陽極ワイヤ3のうち陽極チップ体2に対する付け根部にも五酸化タンタル等の誘電体膜を形成する。
【0036】
なお、前記誘電体膜2aを形成するという陽極酸化処理の工程は、前記リング体14を被嵌したのち押圧しながら加熱溶融する工程の後において行うようにしてもよい。
【0037】
次いで、前記陽極チップ体2を、前記従来と同様に、図5に示すように、硝酸マンガン水溶液Cに対し浸漬して、硝酸マンガン水溶液Cを陽極チップ体2の内部まで浸透したのち硝酸マンガン水溶液Cから引き揚げて焼成することを複数回にわたって繰り返すことにより、前記陽極チップ体2における誘電体膜の表面に、二酸化マンガン等の金属酸化物による固体電解質層を形成する。
【0038】
前記リング体14は、撥水性を有する合成樹脂製であることに加えて、前記したように、陽極チップ体2における一端面2aに隙間なく密着していることに加えて、陽極ワイヤ3の外周面に対しても隙間なく強く密着していることにより、前記固体電解質層を形成する工程において、固体電解質用溶液であるところの硝酸マンガン水溶液が、リング体14と陽極チップ体2との間を通って当該リング体14の上面側にまで伝い上がることを確実に阻止することができるから、固体電解質層が陽極ワイヤ2のうちリング体14の上面側の部分にまでも陽極チップ体2における固体電解質層と連続した状態で形成されることを確実に低減できる。
【0039】
そして、前記固体電解質層を形成する工程を完了すると、前記従来と同様に、前記陽極チップ体2における表面のうち前記一端面2aを除く部分に、グラファイト層と下地とし銀又はニッケル等の金属層を上層とする陰極側電極膜4を形成することにより、コンデンサ素子1に仕上げられる。
【0040】
このようにして製造されたコンデンサ素子1を、図11に示すように、左右一対のリード端子5,6の間に、当該コンデンサ素子1における陽極ワイヤ3を一方の陽極側リード端子5に対して溶接等に固着するように配設し、このコンデンサ素子1における陰極側電極膜4に、他方の陰極側リード端子6を直接に電気的に接続する一方、これらの全体を合成樹脂製のパッケージ体7にて密封することにより、固体電解コンデンサ100に組み立てる。
【0041】
或いは、前記コンデンサ素子1を、図12に示すように、左右一対のリード端子5,6の間に、当該コンデンサ素子1における陽極ワイヤ3を一方の陽極側リード端子5に対して溶接等に固着するように配設し、このコンデンサ素子1における陰極側電極膜4と、他方の陰極側リード端子6との間を、過電流又は温度の上昇によって溶断するようにした安全ヒューズ線8を介して電気的に接続する一方、これらの全体を合成樹脂製のパッケージ体9にて密封することにより、安全ヒューズ付き固体電解コンデンサ200に組み立てる。
【0042】
この固体電解コンデンサ100,200への組み立てに際して、前記コンデンサ素子1において、その陽極チップ体2の一端面2aにおけるリング体14が前記一端面2aより突出する高さ寸法Wを、前記したように、陽極チップ体2における多孔質の組織内へ合成樹脂を染み込みを少なくできる状態のもとで、当該リング体15における厚さ寸法Tよりも低くすることができる。
【0043】
これにより、陽極チップ体2における一端面2aから陽極側リード端子5までの首下寸法Sを、前記リング体14における一端面2aからの突出高さ寸法Wを低くできる分だけ小さくできるから、完成品としての固体電解コンデンサ100,200における全長寸法L1,L2が予め決まっている場合には、前記首下寸法Sを小さくできる分だけ陽極チップ体2の長さ寸法Hを大きくできて、コンデンサ容量の増大を図ることができる。
【0044】
また、コンデンサ容量が予め決まっている場合には、固体電解コンデンサ100,200における全長寸法L1,L2を、前記首下寸法Sを小さくできる分だけ短くできて、小型・軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来における固体電解コンデンサを示す縦断正面図である。
【図2】従来における安全ヒューズ付き固体電解コンデンサを示す縦断正面図である。
【図3】コンデンサ素子を構成する陽極チップ体を示す斜視図である。
【図4】前記陽極チップ体に対して誘電体膜を形成するための陽極酸化処理を行っている状態を示す図である。
【図5】前記陽極チップ体に対して固体電解質層を形成している状態を示す図である。
【図6】従来の場合において、前記陽極チップ体の陽極ワイヤに合成樹脂によるリング体又は被覆を設けた状態を示す縦断正面図である。
【図7】本発明において陽極チップ体とリング体とを示す縦断正面図である。
【図8】本発明において陽極チップ体の陽極ワイヤの付け根部にリング体を被嵌した状態を示す縦断正面図である。
【図9】本発明に至る以前において前記陽極ワイヤに被嵌したリング体を加熱溶融した後の状態を示す縦断正面図である。
【図10】本発明において前記陽極ワイヤに被嵌したリング体を加熱溶融した後の状態を示す縦断正面図である。
【図11】本発明による固体電解コンデンサを示す縦断正面図である。
【図12】本発明による安全ヒューズ付き固体電解コンデンサを示す縦断正面図である。
【符号の説明】
1 コンデンサ素子
2 陽極チップ体
2a 陽極チップ体の一端面
3 陽極ワイヤ
4 陰極側電極膜
5 陽極側リード端子
6 陰極側リード端子
7,9 パッケージ体
8 安全ヒューズ線
14 リング体
Claims (4)
- 弁作用金属の粉末を焼結した陽極チップ体と、この陽極チップ体における一端面に固着した陽極ワイヤと、前記陽極チップ体に対して誘電体膜及び固体電解質層を下地として形成した陰極側電極膜とから成るコンデンサ素子において、
前記陽極ワイヤに撥水性を有する熱可塑性合成樹脂製のリング体が被嵌され、このリング体における内径は、当該リング体を熱収縮した場合に陽極ワイヤに対して密着するように前記陽極ワイヤにおける直径よりも大きくされており、更に前記リング体は、前記陽極チップ体における一端面に接触した状態で加熱溶融されていることを特徴とする固体電解コンデンサにおけるコンデンサ素子。 - 前記請求項1の記載において、前記リング体における内径が、陽極ワイヤにおける直径の1.20〜1.60倍であることを特徴とする固体電解コンデンサにおけるコンデンサ素子。
- 弁作用金属の粉末による陽極チップ体を、その一端面に陽極ワイヤを固着して製造する工程と、前記陽極ワイヤに撥水性と熱収縮性とを有する熱可塑性合成樹脂製のリング体を、当該リング体を熱収縮した場合に陽極ワイヤに対して密着するように前記陽極ワイヤにおける直径よりも大きくした内径にして被嵌する工程と、前記リング体を前記陽極チップ体の一端面に接触した状態で加熱溶融する工程と、前記陽極チップ体に対して化成液への浸漬しての陽極酸化処理にて誘電体膜を形成する工程と、これらに次いで、前記陽極チップ体に対して固体電解質用溶液への浸漬・引き揚げ・焼成にて固体電解質を形成する工程とから成ることを特徴とする固体電解コンデンサにおけるコンデンサ素子の製造方法。
- 弁作用金属の粉末を焼結した陽極チップ体と、この陽極チップ体における一端面に固着した陽極ワイヤと、前記陽極チップ体に対して誘電体膜及び固体電解質層を下地として形成した陰極側電極膜とで構成したコンデンサ素子を、陽極側リード端子と陰極側リード端子との間に配設し、このコンデンサ素子における陽極ワイヤを、前記陽極側リード端子に固着する一方、前記コンデンサ素子における陰極側電極膜を、前記陰極側リード端子に電気的に接続して成る固体電解コンデンサにおいて、
前記陽極ワイヤに撥水性を有する熱可塑性合成樹脂製のリング体が被嵌され、このリング体における内径は、当該リング体を熱収縮した場合に陽極ワイヤに対して密着するように前記陽極ワイヤにおける直径よりも大きくされており、更に前記リング体は、前記陽極チップ体における一端面に接触した状態で加熱溶融されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
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