JP2023018129A - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】陽極ワイヤと桁部材との間のレーザ溶接の際に生じる熱が素子本体に与える悪影響を低減もしくは回避した固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供する。【解決手段】素子本体200およびこれから突出する陽極ワイヤ300を含むコンデンサ素子100と、陰極実装端子500と、陽極ワイヤに300桁部材410を介して導通接続されている陽極実装端子400と、を含む固体電解コンデンサA1であって、桁部材410には、当該桁部材410と陽極ワイヤ300との接合部430よりも素子本体200側に、陽極ワイヤ300の軸線Lと交差する方向に延びる壁部411が形成されている。【選択図】 図7

Description

本発明は、固体電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
固体電解コンデンサは、一般には面実装型に構成され、例えば特許文献1に示されているように、多孔質焼結体を含む素子本体とこれから突出させた陽極ワイヤとを有するコンデンサ素子を陽極実装端子と陰極実装端子に導通させたうえでこれらを樹脂製パッケージで包み込んだ構成を有する。陽極ワイヤは陽極実装端子上に配置した桁部材に対し、これに載せた状態で溶接される。素子本体の外面が形成する陰極は導電接着剤等により陰極実装端子に導通させられる。
陽極ワイヤは、桁部材との接触部に高出力レーザ光を照射し、それにより生じる熱により桁部材に対して溶接される。近年、樹脂製パッケージの小型化が進展し、桁部材と陽極ワイヤとの溶接部と素子本体とが近接しているため、レーザ光照射により生る熱、あるいは反射により素子本体に向かうレーザ光により素子本体表面に発生する熱が素子本体にダメージを与えることがある。
特開2017-59652号公報
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、陽極ワイヤと桁部材との間のレーザ溶接の際に生じる熱が素子本体に与える悪影響を低減もしくは回避した固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することをその目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
すなわち、本発明の第1の側面により提供される固体電解コンデンサは、素子本体およびこれから突出する陽極ワイヤを含むコンデンサ素子と、陰極実装端子と、上記陽極ワイヤに桁部材を介して導通接続されている陽極実装端子と、を含む固体電解コンデンサであって、上記桁部材には、当該桁部材と上記陽極ワイヤとの接合部よりも上記素子本体側に、上記陽極ワイヤの軸線と交差する方向に延びる壁部が形成されていることを特徴とする。
好ましい実施の形態では、上記陰極実装端子および上記陽極実装端子の各一部を外面に露出させて上記コンデンサ素子、上記桁部材、上記陰極実装端子および上記陽極実装端子を包み込む樹脂製パッケージを含む。
好ましい実施の形態では、上記樹脂製パッケージは、上記陰極実装端子および上記陽極実装端子の各一部を面一状に露出させる第1外面と、当該第1外面の反対側において当該第1外面と平行な第2外面とを有し、上記陽極ワイヤは上記第1外面および上記第2外面と平行に延びている。
好ましい実施の形態では、上記壁部は、上記樹脂製パッケージの上記第2外面に向けて
延びており、当該壁部の先端は、上記桁部材と上記陽極ワイヤとの接合部よりも上記第2外面側に位置している。
好ましい実施の形態では、上記陽極ワイヤは、上記桁部材に設けた凹溝に着座した状態で当該桁部材に接合されており、上記壁部は、上記桁部材と上記陽極ワイヤとの接合部よりも上記素子本体側において、上記陽極ワイヤの一方側方または両側方において上記樹脂製パッケージの上記第2外面に向けて延びている。
好ましい実施の形態では、上記凹溝は、V字状をしている。
好ましい実施の形態では、上記凹溝は、U字状をしている。
好ましい実施の形態では、上記桁部材と上記陽極ワイヤとの接合部は、レーザ溶接により形成されたものである。
好ましい実施の形態では、上記壁部は、上記桁部材と上記陽極ワイヤとの接合部をレーザ溶接により形成する際に、溶融せずに残った上記桁部材の部分により形成されている。
本発明の第2の側面により提供される固体電解コンデンサの製造方法は、素子本体およびこれから突出する陽極ワイヤを含むコンデンサ素子と、陰極実装端子と、上記陽極ワイヤに桁部材を介して導通接続されている陽極実装端子と、を含む固体電解コンデンサの製造方法であって、上記桁部材に対する上記陽極ワイヤの接合をレーザ照射による溶接により行うにあたり、レーザ照射部よりも上記素子本体側に、上記桁部材と一体的な熱遮蔽用壁部を設けることを特徴とする。
好ましい実施の形態では、上記熱遮蔽用壁部は、上記桁部材にあらかじめ形成しておく。
好ましい実施の形態では、上記熱遮蔽用壁部は、レーザ照射により溶融させずに残した上記桁部材の部分により形成する。
好ましい実施の形態では、上記固体電解コンデンサは、上記陰極実装端子および上記陽極実装端子の各一部を外面に露出させて上記コンデンサ素子、上記桁部材、上記陰極実装端子および上記陽極実装端子を包み込む樹脂製パッケージを含む。
好ましい実施の形態では、上記樹脂製パッケージは、上記陰極実装端子および上記陽極実装端子の各一部を面一状に露出させる第1外面と、当該第1外面の反対側において当該第1外面と平行な第2外面とを有し、上記陽極ワイヤは上記第1外面および上記第2外面と平行に延びている。
好ましい実施の形態では、上記熱遮蔽用壁部は、上記樹脂製パッケージの上記第2外面に向けて延びており、当該熱遮蔽用壁部の先端は、上記桁部材と上記陽極ワイヤとの接合部よりも上記第2外面側に位置している。
好ましい実施の形態では、上記陽極ワイヤは、上記桁部材に設けた凹溝に着座した状態で当該桁部材に接合されており、上記熱遮蔽用壁部は、上記接合部よりも上記素子本体側において、上記陽極ワイヤの一方側方または両側方において上記樹脂製パッケージの上記第2外面に向けて延びている。
好ましい実施の形態では、上記凹溝は、V字状をしている。
好ましい実施の形態では、上記凹溝は、U字状をしている。
好ましい実施の形態では、上記レーザ照射は、上記陽極ワイヤの一方側方または両側方において、当該陽極ワイヤと上記凹溝との接触部に対して行う。
本発明のその他の特徴および利点は、図面を参照して以下に行う詳細な説明から、より明らかとなろう。
本発明の第1実施形態に係る固体電解コンデンサの平面図である。 図1に示す固体電解コンデンサの正面図である。 図1に示す固体電解コンデンサの左側面図である。 図1のIV-IV線に沿う断面図である。 図1のV-V線に沿う断面図である。 図1のVI-VI線に沿う断面図である。 図1に示す固体電解コンデンサの要部透視斜視図である。 コンデンサ素子の部分拡大断面図である。 図1に示す固体電解コンデンサの製造方法の説明図である。 図1に示す固体電解コンデンサの製造方法の説明図である。 図1に示す固体電解コンデンサの製造方法の説明図である。 図1に示す固体電解コンデンサの製造方法の説明図である。 図1に示す固体電解コンデンサの製造方法の説明図である。 図1に示す固体電解コンデンサの変形例を示す図であり、図1のVI-VI線に沿う断面に相当する図である。 図14に示す固体電解コンデンサの要部透視斜視図である。 図1に示す固体電解コンデンサの他の変形例を示す図であり、図1のVI-VI線に沿う断面に相当する図である。 図16に示す固体電解コンデンサの要部透視斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る固体電解コンデンサの縦断面図である。 図18に示す固体電解コンデンサの要部透視斜視図である。 図18に示す固体電解コンデンサの製造方法の説明図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1~図7は、本発明の第1実施形態に係る固体電解コンデンサA1を示している。この固体電解コンデンサA1は、コンデンサ素子100と、陽極実装端子400と、陰極実装端子500と、桁部材410と、樹脂製パッケージ600とを含む。
コンデンサ素子100は、素子本体200と、この素子本体200から突出する陽極ワイヤ300とを含む。素子本体200は、多孔質焼結体210、誘電体層221、固体電解質層222、および導電層223を含む。陽極ワイヤ300の根元部には、しみ上がり防止リング230が装着されている。
図4、図5に示すように、素子本体200は、多孔質焼結体210の形状が反映された直方体形状に形成されている。すなわち、素子本体200は、底面205と、この底面205に対して所定距離上位に離間し、かつ当該底面205に対して平行な上面206と、陽極ワイヤ300が突出する第1側面201と、この第1側面201の反対側の第2側面202と、第1側面201と第2側面202とをつなぐ第3側面203およびこれと反対
側の第4側面204とを有する。陽極ワイヤ300は、断面円形の棒状であり、第1側面201の幅方向および高さ方向の略中央位置において、底面205、上面206、第3および第4側面203,204と平行に突出している。陽極ワイヤ300は、後記する多孔質焼結体210を構成する材質である弁作用金属と同じ材質で形成されている。しみ上がり防止リング230は、電気絶縁性を有する、たとえばフッ素樹脂よりなる。
図4、図5、図8に示すように、誘電体層221は、多孔質焼結体210の細孔211の内表面から、素子本体200の第1側面201におけるしみ上がり防止リング230が被さらない領域、底面205、上面206、第2側面202、第3側面203および第4側面204にかけて形成されている。誘電体層221は、多孔質焼結体210を構成する弁作用金属の酸化物よりなる。多孔質焼結体210を構成する弁作用金属としては、たとえば、タンタル(Ta)やニオブ(Nb)が挙げられる。したがって、誘電体層221を構成する材質としては、五酸化タンタルあるいは五酸化ニオブが挙げられる。
図4、図5、図8に示すように、固体電解質層222は、誘電体層221に積層形成されている。固体電解質層222の一部は、多孔質焼結体210の細孔211に入り込んでこの細孔211内の誘電体層221を覆いつつこの細孔211を埋め、その一部は素子本体200の表面において誘電体層221を覆っている。ただし、固体電解質層222は、素子本体200の第1側面201において、しみ上がり防止リング230によって陽極ワイヤ300との直接導通が遮断されている。固体電解質層222は、たとえば、二酸化マンガンあるいは導電性ポリマーよりなる。固体電解コンデンサA1の動作時には、誘電体層221と固体電解質層222との界面に電荷が保持される。
図4、図5、図8に示すように、導電層223は、固体電解質層222に積層形成され、当該固体電解質層222に導通している。導電層223は、たとえば、グラファイト層と銀(Ag)層とからなる層構造を有する。導電層223は、素子本体200の表面において固体電解質層222に積層されるが、固体電解質層222について上記したのと同様、素子本体200の第1側面201において、しみ上がり防止リング230によって陽極ワイヤ300との直接導通が遮断されている。この導電層223は、陰極層として機能する。
図4、図5に示すように、本実施形態では、導電層223の表面の一部には、保護層250が形成されている。保護層250は、たとえば、Si、SiO2、またはSi34
どの硬質材料からなり、好ましくは、スパッタリング法により、0.01~100μmの厚みで緻密形成されている。この保護層250は、絶縁性を有しているため、導電層223の表面のうち、後記する陰極実装端子500が接続される領域を避けて、素子本体200の第2側面202、第3側面203、第4側面204および上面206に形成されている。
陽極実装端子400は、製造用フレームに由来し、たとえば42アロイ等のNi-Fe合金からなり、その一部が樹脂製パッケージ600の底面(第1外面)605に面一状に露出している。この陽極実装端子400には、これと同じ材質で形成された桁部材410がたとえば導電性接着剤540により接合されている。桁部材410は、陽極ワイヤ300の軸線Lと直交する方向に延びる長手棒状をしている。この桁部材410には、その上面に着座させた状態で陽極ワイヤ300が接合されている。本発明は、桁部材410と陽極ワイヤ300との接合構造および接合方法に特徴づけられるが、これについてはさらに後述する。
陰極実装端子500は、素子本体200の底面205にたとえば導電性接着剤540によって接合されており、一部が樹脂製パッケージ600の底面(第1外面)605に面一
状に露出している。この陰極実装端子500もまた、製造用フレームに由来し、たとえば42アロイ等のNi-Fe合金からなる。
樹脂製パッケージ600は、コンデンサ素子100、陽極実装端子400、桁部材410、および陰極実装端子500を包み込んでおり、たとえば、エポキシ樹脂からなる。好ましくは、エポキシ樹脂にはガラスフリットが分散混入されて、その機械強度が保持されている。樹脂製パッケージ600は、コンデンサ素子100を包み込む直方体形状をしている。この樹脂製パッケージ600は、底面(第1外面)605と、この底面605に対して反対側に所定距離離間し、当該底面605と平行な上面(第2外面)606と、底面605および上面606間をつなぐ4つの側面、すなわち、素子本体200の第1側面201と対応してこれと平行な第1側面601、この第1側面601の反対側においてこれと平行な第2側面602、ならびに、素子本体200の第3側面203および第4側面204とそれぞれ対応してそれらと平行な第3側面603および第4側面604を有している。樹脂製パッケージ600の底面(第1外面)605の一方寄りには陽極実装端子400が露出しており、他方寄りには陰極実装端子500が露出している。
コンデンサ素子100の陽極ワイヤ300は、桁部材410の上面に形成した凹溝420内に着座した状態で当該桁部材410に接合されている。本実施形態では、凹溝420は、V字状をしている。陽極ワイヤ300と桁部材410との間の接合は、陽極ワイヤ300の両側部において、当該陽極ワイヤ300と凹溝420の内面との接触部付近に高出力レーザを照射することによる、レーザ溶接により行われる。これにより、レーザ照射により生じる高熱で陽極ワイヤ300および桁部材410の双方の一部が溶融するとともに固化し、接合部430が形成される。
桁部材410には、上記接合部430よりも素子本体200側に、陽極ワイヤ300の軸線Lと交差する方向に延びる壁部411が形成されている。本実施形態において、この壁部411は、桁部材410の上面から上方に向けて、すなわち樹脂製パッケージ600の上面(第2外面)606に向けて、桁部材410と一体に延出させて設けられている。本実施形態では、この壁部411はあらかじめ桁部材410と一体に形成されるのであり、陽極ワイヤ300を上記凹溝420に着座させる必要から、この壁部411にもV字状の凹溝420が一連に形成されている。そのため、壁部411は、陽極ワイヤ300を挟んでその両側部において上方に延出する。なお、この壁部411の高さは、陽極ワイヤ300と桁部材410との接合部430よりも上位(樹脂製パッケージ600の上面606側)となるように設定される。なお、壁部411は、別体に形成したものを桁部材410の上面適所に取り付けてもよい。
次に、本実施形態に係る固体電解コンデンサA1の製造方法の一例について、図9~図13を参照して説明する。
まず、上記構成のコンデンサ素子100を準備する(図9)。この段階でのコンデンサ素子100の陽極ワイヤ300は十分な長さで延出しており、複数のコンデンサ素子100がそれらの陽極ワイヤ300の一端を溶接するなどして長手状の支持バー730に吊持されている。
本方法例では、この段階で桁部材410が溶接により陽極ワイヤ300に接合されている。上記したように、桁部材410と陽極ワイヤ300との接合は、レーザ溶接により行われるが、これについて、以下に詳説する。
すでに説明したように、桁部材410は、長手棒状を呈しており、その底面は陽極実装端子400の上面に接合するべく平坦面なっている。当該桁部材410の上面には当該桁
部材410の短手方向に延びるV字状の凹溝420が形成されているとともに、接合後に素子本体200の第1側面201に近くなる部位に上記した壁部411が形成されている。この壁部411は、凹溝420を挟んでその両側に形成されている。
次に、図10に示すように、桁部材410を適当な冶具800を用いるなどして適正な姿勢に保持し、陽極ワイヤ300を凹溝420に嵌め込むように位置させ、この状態で陽極ワイヤ300と凹溝420の内面との接触部に向けてレーザ光Sを照射する。レーザ光Sを照射する部位は、壁部411よりも陽極ワイヤ300の先端方である。具体的には、図10に示すように、平面視において壁部411よりも陽極ワイヤ300の先端方における陽極ワイヤ300の両側部の2か所にレーザ光Sを照射する。このようなレーザ光照射により生じる熱により、陽極ワイヤ300と桁部材410の双方が溶融して合金化し、これが固化して溶接による接合部430が形成される。
ところで、上記のレーザ光Sの照射期間中、接合部430となる部位付近から高熱が周囲に放散され、またレーザ光S自体の反射光が周囲に放散されるが、接合部430となる部位と素子本体200の第1側面201との間には壁部411が位置するため、この壁部411が熱遮蔽用壁部として機能し、レーザ光Sによる素子本体200表面の熱損傷を回避または軽減することができる。
次いで、図11に示すように、コンデンサ素子100の素子本体200の表面、すなわち、導電層223を覆うようにして、保護層250を形成する。保護層250は、陰極実装端子500が接合されるべき領域をマスクしつつ、SiO2、またはSi34などを形
成薄膜としたスパッタリング法により形成する。
次に、図12に示すように、陽極ワイヤ300を必要長さに切断した上、上記保護層250を形成済みであり、陽極ワイヤ300に桁部材410が接合されたコンデンサ素子100を、リードフレーム710,720上に、たとえば、導電性接着剤440,540を用いて設置する。
次に、図13に示すように、樹脂製パッケージ600を形成して、この樹脂製パッケージ600内に上記コンデンサ素子100、リードフレーム710,720のうちの陽極実装端子400となるべき部分、および陰極実装端子500となるべき部分を包み込む。樹脂製パッケージ600の形成は、トランスファ・モールド法により行うことができる。最後に、リードフレーム710,720の不要部分を切断除去して、固体電解コンデンサA1が完成する。
上記構成の固体電解コンデンサA1およびその製造方法によれば、桁部材410と陽極ワイヤ300とをレーザ溶接するに際して、レーザ光照射時に生じる高熱が素子本体200に与える熱損傷などの悪影響を低減または回避し、製品の歩留まりの低下を防止することができる。このことは、ますます小型化する固体電解コンデンサの製造において、顕著な利点となる。
図14、図15は、第1実施形態に係る固体電解コンデンサA1の変形例に係る固体電解コンデンサA11を示す。
この固体電解コンデンサA11は、桁部材410に設ける壁部411の構成が上記固体
電解コンデンサA1と異なる。すなわち、図に表れているように、桁部材410の先端方に設ける凹溝420と連続するように壁部411間に設ける凹溝421は、桁部材410の先端方の上面と対応する高さまではV字状であるが、それより上位は、一定幅で上方に延びている。こうして形成される壁部411間のスリット幅は、陽極ワイヤ300の外径
と略同一である。この固体電解コンデンサA11のその余の構成は上記した固体電解コン
デンサA1と同じである。
この固体電解コンデンサA11においては、陽極ワイヤ300を挟んで上方に延びる壁
部411間の幅を小さくできるので、上記のように陽極ワイヤ300と桁部材410間をレーザ溶接する際の熱およびレーザ反射光の素子本体200に対する遮蔽効率を高めつつ、固体電解コンデンサA1について上記したのと同様の利点を享受することができる。
図16、図17は、第1実施形態に係る固体電解コンデンサA1の他の変形例に係る固体電解コンデンサA12を示す。
この固体電解コンデンサA12は、上記変形例に係る固体電解コンデンサA11に対し、桁部材410の先端方上面から壁部411間にいたる凹溝420がU字状である点が異なり、その余の構成は上記変形例に係る固体電解コンデンサA11を同じである。この凹溝
420の底部は、陽極ワイヤ300の外周面と対応した円筒内面であることが好ましい。
この固体電解コンデンサA12においては、桁部材410に設ける凹溝420をV字状
とした上記固体電解コンデンサA1および固体電解コンデンサA11と比較して、凹溝4
20の底部と陽極ワイヤ300とのすきまから熱およびレーザ反射光が素子本体200に至ることをも回避することができ、壁部411による熱またはレーザ反射光の遮蔽効果に加え、陽極ワイヤ300と桁部材410との間のレーザ溶接における素子本体200への悪影響をより効果的に低減または回避することができる。
図18~図20は、本発明の第2実施形態に係る固体電解コンデンサA2を示している。この固体電解コンデンサA2は、桁部材410の形態、壁部411の形態および陽極ワイヤ300との接合構造ならびに接合方法が第1実施形態に係る固体電解コンデンサA1と異なる。すなわち、本実施形態に係る固体電解コンデンサA2においては、壁部411は、桁部材410と陽極ワイヤ300とのレーザ溶接時に形成し、こうして形成される壁部411に、素子本体200への熱による悪影響を軽減または回避するための遮蔽機能を与える。なお、この固体電解コンデンサA2におけるその余の構成は、第1実施形態に係る固体電解コンデンサA1と基本的に同じである。
本実施形態に係る固体電解コンデンサA2における桁部材410は、第1実施形態のものと同様、陽極ワイヤ300の軸線Lと直交する方向に延びる棒状をしているが、第1実施形態のもののように壁部411があらかじめ形成されておらず、単に上面に短手方向に延びるV字状の凹溝422が形成されているだけのものが用いられている。
陽極ワイヤ300は、桁部材410の上面に形成した凹溝422内に着座した状態で当該桁部材410に接合されている。陽極ワイヤ300と桁部材410との間の接合は、陽極ワイヤ300の両側部において、当該陽極ワイヤ300と凹溝422の内面との接触部付近にレーザ光Sを照射することによる、レーザ溶接により行われる(図20参照)。これにより、レーザ照射により生じる高熱で陽極ワイヤ300および桁部材410の双方の一部が溶融するとともに固化し、接合部430が形成されるが、本実施形態では、レーザ光Sの照射位置は、桁部材410の短手方向の先端方とする。これにより、桁部材410の凹溝422の内面が一部溶融してV字の底部を埋めることとなり、接合部430では凹溝422の内面にへこみ部423が形成されるが、桁部材410の短手方向後方、すなわち素子本体200の第1側面201に近い方は、V字状の凹溝形態がそのまま残り、この部が壁部411’として機能する。
次に、本実施形態に係る固体電解コンデンサA2の製造方法の一例について説明する。
第1実施形態に係る固体電解コンデンサA1についてその製造方法の一例を前述したように、本実施形態においても同様に、陽極ワイヤ300が十分な長さで延出した複数のコンデンサ素子100がそれらの陽極ワイヤ300の一端を溶接するなどして長手状の支持バー730に吊持されるが(図9参照)、第1実施形態と同様に、この段階で、桁部材410と陽極ワイヤ300とが、次のようにして、レーザ溶接により接合される。
すなわち、図20に示すように、桁部材410を適当な冶具800を用いるなどして適正な姿勢に保持し、陽極ワイヤ300を凹溝422に嵌め込むように位置させ、この状態で陽極ワイヤ300と凹溝422の内面との接触部に向けてレーザ光Sを照射する。レーザ光Sを照射する位置は、桁部材410の短手方向先端方であり、桁部材410の短手方向後方、すなわち素子本体200に近い領域へは、レーザ光Sを照射しない。
そうすると、レーザ光Sの照射位置において、レーザ光Sに起因した生じる熱により、陽極ワイヤ300と桁部材410の双方が溶融して合金化し、これが固化して接合部430が形成されるが、その過程で凹溝422の内面が溶融するとともに溶融した桁部材材料の一部が消失するなどすることにより、接合部430では凹溝422の内面にへこみ部423が形成される。一方、桁部材410の短手方向後方、すなわち素子本体200に近い方は、V字状の凹溝422の形態がそのまま残り、この部が壁部411’となって、レーザ光照射により生じる熱あるいはレーザ光Sの反射光の素子本体200への到達を阻害する遮蔽壁部として機能する。これにより、レーザ光Sによる素子本体200表面の熱損傷を回避または軽減することができる。
以後の製造工程は、第1実施形態に係る固体電解コンデンサA1について図11~図13を参照して上記したのと同様である。
本実施形態に係る固体電解コンデンサA2においても、第1実施形態に係る固体電解コンデンサについて上記したのと同様の利点を享受することができる。
もちろん、本発明が上記した各実施形態および変形例に限定されることはなく、各請求項に記載した範囲内でのあらゆる変更は、すべて本発明の範囲に含まれる。
すなわち、本発明は、固体電解コンデンサA1,A11,A12,A2において、陽極ワイヤ300と桁部材410との接合構造および接合方法に特徴づけられるのであって、素子本体200の構成や、樹脂製パッケージ600の全体構成は、何ら限定されない。
A1,A2 固体電解コンデンサ
A11,A12 固体電解コンデンサ
L 軸線(陽極ワイヤの)
S レーザ光
100 コンデンサ素子
200 素子本体
201 第1側面
202 第2側面
203 第3側面
204 第4側面
205 底面
206 上面
210 多孔質焼結体
211 細孔
221 誘電体層
222 固体電解質層
223 導電層
230 しみ上がり防止リング
300 陽極ワイヤ
250 保護層
400 陽極実装端子
410 桁部材
411,411' 壁部
420 凹溝
421 凹溝
422 凹溝
423 へこみ部
430 接合部
440 導電性接着剤
500 陰極実装端子
540 導電性接着剤
600 樹脂製パッケージ
601 第1側面
602 第2側面
603 第3側面
604 第4側面
605 底面(第1外面)
606 上面(第2外面)
710 リードフレーム
720 リードフレーム
730 支持バー
800 冶具

Claims (19)

  1. 素子本体およびこれから突出する陽極ワイヤを含むコンデンサ素子と、陰極実装端子と、上記陽極ワイヤに桁部材を介して導通接続されている陽極実装端子と、を含む固体電解コンデンサであって、
    上記桁部材には、当該桁部材と上記陽極ワイヤとの接合部よりも上記素子本体側に、上記陽極ワイヤの軸線と交差する方向に延びる壁部が形成されていることを特徴とする、固体電解コンデンサ。
  2. 上記陰極実装端子および上記陽極実装端子の各一部を外面に露出させて上記コンデンサ素子、上記桁部材、上記陰極実装端子および上記陽極実装端子を包み込む樹脂製パッケージを含む、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 上記樹脂製パッケージは、上記陰極実装端子および上記陽極実装端子の各一部を面一状に露出させる第1外面と、当該第1外面の反対側において当該第1外面と平行な第2外面とを有し、上記陽極ワイヤは上記第1外面および上記第2外面と平行に延びている、請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 上記壁部は、上記樹脂製パッケージの上記第2外面に向けて延びており、当該壁部の先端は、上記桁部材と上記陽極ワイヤとの接合部よりも上記第2外面側に位置している、請求項3に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 上記陽極ワイヤは、上記桁部材に設けた凹溝に着座した状態で当該桁部材に接合されており、上記壁部は、上記桁部材と上記陽極ワイヤとの接合部よりも上記素子本体側において、上記陽極ワイヤの一方側方または両側方において上記樹脂製パッケージの上記第2外面に向けて延びている、請求項4に記載の固体電解コンデンサ。
  6. 上記凹溝は、V字状をしている、請求項5に記載の固体電解コンデンサ。
  7. 上記凹溝は、U字状をしている、請求項5に記載の固体電解コンデンサ。
  8. 上記桁部材と上記陽極ワイヤとの接合部は、レーザ溶接により形成されたものである、請求項1ないし7のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
  9. 上記壁部は、上記桁部材と上記陽極ワイヤとの接合部をレーザ溶接により形成する際に、溶融せずに残った上記桁部材の部分により形成されている、請求項8に記載の固体電解コンデンサ。
  10. 素子本体およびこれから突出する陽極ワイヤを含むコンデンサ素子と、陰極実装端子と、上記陽極ワイヤに桁部材を介して導通接続されている陽極実装端子と、を含む固体電解コンデンサの製造方法であって、
    上記桁部材に対する上記陽極ワイヤの接合をレーザ照射による溶接により行うにあたり、レーザ照射部よりも上記素子本体側に、上記桁部材と一体的な熱遮蔽用壁部を設けることを特徴とする、固体電解コンデンサの製造方法。
  11. 上記熱遮蔽用壁部は、上記桁部材にあらかじめ形成しておく、請求項10に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  12. 上記熱遮蔽用壁部は、レーザ照射により溶融させずに残した上記桁部材の部分により形成する、請求項10に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  13. 上記固体電解コンデンサは、上記陰極実装端子および上記陽極実装端子の各一部を外面に露出させて上記コンデンサ素子、上記桁部材、上記陰極実装端子および上記陽極実装端子を包み込む樹脂製パッケージを含む、請求項10ないし12のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  14. 上記樹脂製パッケージは、上記陰極実装端子および上記陽極実装端子の各一部を面一状に露出させる第1外面と、当該第1外面の反対側において当該第1外面と平行な第2外面とを有し、上記陽極ワイヤは上記第1外面および上記第2外面と平行に延びている、請求項13に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  15. 上記熱遮蔽用壁部は、上記樹脂製パッケージの上記第2外面に向けて延びており、当該熱遮蔽用壁部の先端は、上記桁部材と上記陽極ワイヤとの接合部よりも上記第2外面側に位置している、請求項14に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  16. 上記陽極ワイヤは、上記桁部材に設けた凹溝に着座した状態で当該桁部材に接合されており、上記熱遮蔽用壁部は、上記接合部よりも上記素子本体側において、上記陽極ワイヤの一方側方または両側方において上記樹脂製パッケージの上記第2外面に向けて延びている、請求項15に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  17. 上記凹溝は、V字状をしている、請求項16に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  18. 上記凹溝は、U字状をしている、請求項16に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  19. 上記レーザ照射は、上記陽極ワイヤの一方側方または両側方において、当該陽極ワイヤと上記凹溝との接触部に対して行う、請求項16ないし18のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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