JP2003329958A - 回転偏向装置、これを用いた光書込み装置及びレーザ走査型ディスプレイ - Google Patents

回転偏向装置、これを用いた光書込み装置及びレーザ走査型ディスプレイ

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JP2003329958A
JP2003329958A JP2002138422A JP2002138422A JP2003329958A JP 2003329958 A JP2003329958 A JP 2003329958A JP 2002138422 A JP2002138422 A JP 2002138422A JP 2002138422 A JP2002138422 A JP 2002138422A JP 2003329958 A JP2003329958 A JP 2003329958A
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rotary
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外史 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より簡易な制御構成が可能な1軸制御型磁気
浮上軸受を用いて1軸方向のみの制御でロータ回転の安
定性向上、高速化及び小型化を図れる回転偏向装置を提
供する。 【解決手段】 2組の永久磁石21,24,25,28
の反発力を利用した1軸制御型磁気浮上軸受8を備える
インナーロータ構成において、ロータ5に対して軸方向
に離間させて取付けられた上下一対の吸引板43,27
とステータ3側に設けられて吸引板43,27を各々軸
方向外方に向けて吸引する上下一対のロータ浮上制御用
電磁石44,42とによる軸方向吸引制御機構41を備
え、ロータ5を上下から引っ張ることで電磁石が1つの
場合よりも制御剛性を上げることで、ロータ5自身の高
剛性化を可能とし、ロータ5の軸方向の姿勢制御が容易
となるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転偏向装置、こ
れを用いた光書込み装置及びレーザ走査型ディスプレイ
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えばレーザ光を一方向に偏向走
査して感光体上に潜像を形成するレーザプリンタなどで
は、レーザ光の偏向走査手段として回転多面鏡(ポリゴ
ンミラー)を用いた回転偏向装置が広く利用されてい
る。
【0003】ポリゴンミラーを用いた回転偏向装置の回
転駆動機構(軸受機構)としては、例えば、空気動圧軸
受機構がある。このような空気動圧軸受機構では、回転
速度30,000rpmレベルのものが実用化されてお
り、50,000rpmレベルの報告例もあり、汎用的
で量産コストが安いというメリットがある。
【0004】しかし、空気動圧軸受機構の場合、回転数
の上昇に伴い流体粘性抵抗に起因して軸部が発熱するの
で、これ以上の高速化が難しい。
【0005】より高速の回転速度が得られる軸受方式と
しては、磁気浮上軸受が注目されている。磁気浮上軸受
は、ロータとステータとが非接触であるため、接触によ
る摩擦熱が発生しないという特徴があり、高速回転に適
した方式と考えられる。製品としては、回転を安定させ
るために、6自由度のうち、回転を除く5軸の全てを能
動的に制御する5軸制御型磁気浮上軸受が提案、実用化
されており、100,000rpmを超える高速回転が
得られ、工作機械などの用途に利用されている。
【0006】この5軸制御型磁気浮上軸受に関する出願
も多数あり、ターボ分子ポンプ応用に関するものが多
い。ターボ分子ポンプ応用においては、ポンプ吸引動作
に伴いロータに負荷がかかるので、回転が不安定状態に
陥る場合があり、このような不安定状態を検知する技術
をもって一旦回転を止めるなどの方法により、危険を回
避しており、この課題に属する出願が多い。
【0007】しかし、5軸制御型磁気浮上軸受は、磁力
制御系が複雑であり、磁気によるエネルギー損失が比較
的多い上に、コストも高く、装置の小型化にも課題が多
い。このため、5軸制御型磁気浮上軸受を、ポリゴンミ
ラー等を用いた回転偏向装置の軸受として採用すること
は原理的には可能であるが、装置のコストや大きさの点
から課題があり、現実的には不適な方式である。
【0008】また、より高速の回転速度が得られる軸受
として、永久磁石による反発型磁気浮上軸受も提案され
ている。この反発型磁気浮上軸受は、ロータ側永久磁石
とステータ側永久磁石とを対向させることで生じる反発
力を利用して受動的にバランス制御を行う軸受であっ
て、上述の5軸制御型磁気浮上軸受に比べると、機構制
御に要する装置構成は極めて簡素である。即ち、反発型
磁気浮上軸受においては、回転を除く5軸のうちの1軸
のみを能動的に制御し、他の4軸においては永久磁石間
の反発力によって受動的に磁力バランスをとることがで
き、1軸制御型磁気浮上軸受として構成でき、ロータを
安定して回転させることができる。
【0009】このような反発型磁気浮上軸受を用いた1
軸制御型磁気浮上軸受として、ロータをステータの外側
に配設するアウターロータ構成のものが特開2002−
81445公報等により提案されている。
【0010】また、反発型磁気浮上軸受を用いた1軸制
御型磁気浮上軸受として、ロータをステータの内側に配
設するインナーロータ構成のものが特開平8−3326
9号公報、特開平9−105413号公報等により提案
されている。特開平8−33269号公報では、1軸制
御型インナーロータ構成のターボ分子ポンプにおいて、
受動型磁気軸受(反発型磁気浮上軸受)を軸方向の異な
る位置に2つ設け、各々に半径方向振動を抑制する減衰
機構を設けている。特開平9−105413号公報で
も、1軸制御型インナーロータ構成の軸受に関して複雑
な減衰部材保持機構をステータに設けることでロータの
径方向の振動を抑制するようにしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】特開2002−814
45公報等に示されるアウターロータ構成の1軸制御型
磁気浮上軸受は、ポリゴンミラー等を用いた回転偏向装
置の軸受として採用することはできるが、磁石径が大き
い場合、形状均一性や着磁均一性に優れたロータ磁石の
作製が必ずしも容易でない不具合がある。これらの特性
が悪いと、回転のむらやぶれが生じてしまう。
【0012】また、特開平8−33269号公報等に示
される構成例では、反発型磁気浮上軸受に関して、永久
磁石のSN極の磁極の方向を半径方向に配置させ、ロー
タ側永久磁石とステータ側永久磁石との対向面の極性を
同極とすることで反発力を生じさせているが、このよう
な構成では、装置の組付けが難しい上に、強い反発力を
出させることが難しい(反発力を強くするには永久磁石
を大きくする必要がある)等の不具合がある。特に、特
開平9−105413号公報の場合には、複雑な減衰部
材保持機構を設けているものでもあり、これらの点を考
慮すると、ターボ分子モータのように装置が比較的大き
い場合には実装可能といえるが、小型化を意図している
ポリゴンミラー等を用いた回転偏向装置の軸受としては
組付け・実装が困難といえる。
【0013】また、別の問題として、回転体固有の固有
振動によって回転動作が不安定になる回転速度(この速
度を、本明細書中では危険速度という)の問題がある。
このとき、ロータがステータに局所的に接触すると、回
転系のバランスが崩れて回転動作が不安定になり、回転
速度の向上を阻害することとなる。この点、従来の1軸
制御型で開示されているロータ振動に伴うステータとの
接触を回避する対策は、ステータの一部を可動的な構造
とすることで、ロータがステータに接近するとステータ
がロータから逃げるというようなダンパによる振動抑制
手段である。この場合、このようなダンパは特定の周波
数に対しては有効に機能するが、回転系が持つ共振周波
数は通常複数あるので、これらの複数の周波数全てに対
して有効に機能するダンパを構成することは難しいもの
と思われる。
【0014】即ち、永久磁石の反発力を利用した磁気浮
上軸受の場合、永久磁石対によって受動安定となる軸
は、能動制御での剛性に比べ、小さくかつ一定であるた
め、瞬時的な外乱や撹乱が加わる装置への応用には不向
きであり、回転のみを利用する装置への適用が不可欠と
されている。このような観点から、円筒型の永久磁石に
よる反発力を利用した完全非接触の磁気浮上軸受の事例
は、付帯的な使用や低回転若しくは無回転での使用など
があるが、小型かつ高速回転を実現した例としては上述
したようなターボ分子ポンプに限定されているのが現状
である。
【0015】本発明の目的は、より簡易な制御構成が可
能な1軸制御型磁気浮上軸受を用いて1軸方向のみの制
御でロータ回転の安定性向上、高速化及び小型化を図れ
る回転偏向装置を提供することである。
【0016】本発明の目的は、半径方向にロータ軸がず
れても戻りやすくし、浮上制御の容易化を図れる回転偏
向装置を提供することである。
【0017】本発明の目的は、回転トルクを下げ、回転
駆動機構の駆動電流値を下げることで、消費電力を低下
させ得る回転偏向装置を提供することである。
【0018】本発明の目的は、ロータ回転の安定性向上
を図り、高速化を実現するために、ロータの高剛性化を
図れる回転偏向装置を提供することである。
【0019】本発明の目的は、危険速度域を安定して脱
出できる回転偏向装置を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の回
転偏向装置は、位置固定されたステータと、このステー
タに内装されて回転軸方向を鉛直方向とするロータ軸を
有するロータと、前記ロータ軸を回転駆動する回転駆動
機構と、永久磁石の反発により前記ステータに対して前
記ロータ軸を浮上させるよう半径方向に軸受する1軸制
御型磁気浮上軸受と、前記ロータの浮上位置制御を含む
姿勢を制御する制御機構と、前記ロータ軸の重心付近に
結合されて入射した電磁波を反射させる偏向機能素子
と、を備える。
【0021】ここに、電磁波としてはレーザ光が該当す
るが、レーザ光に限らず、赤外線からX線に至る電磁波
全般が適用可能である。また、偏向機能素子としては、
入射した電磁波を直接的に反射させる回転多面鏡が典型
例となるが、このような回転多面鏡に限らず、入射した
電磁波を反射させるものであれば、その途中で透過・回
折等の過程を経るものであってもよい。
【0022】従って、ロータがステータに内装されるイ
ンナーロータ構成にするとともに偏向機能素子をロータ
軸の重心付近に結合させることにより、回転むらや回転
ぶれを少なくすることが容易となり、1軸方向のみの制
御でロータ回転の安定性向上、高速化及び小型化を図る
上で有利となる。即ち、1軸制御型磁気浮上軸受を構成
するロータ側磁石やステータ側磁石を小径で厚さを増し
た構造にすることが容易となり、この結果、これらの磁
石の形状精度や着磁均一性が高くなり、かつ、剛性が高
くなるとともに磁力分布の均一性も高くなることから回
転性能が安定することとなる。
【0023】請求項2記載の発明は、請求項1記載の回
転偏向装置において、前記1軸制御型磁気浮上軸受は、
前記ロータ軸の上下両端部付近に結合された一対のロー
タ磁石と、各々の前記ロータ磁石に対して永久磁石の反
発力が作用するよう対向させて前記ステータに取付けら
れた一対のステータ磁石と、により構成されている。
【0024】従って、磁気的な反発力が作用するロータ
磁石とステータ磁石との組を2組具備するが、これらを
ロータ軸の端の方に配設することによって、ロータ軸の
振動に対する剛性を高めることができ、1軸方向のみの
制御でロータ回転の安定性向上、高速化及び小型化を図
る上で有利となる。即ち、装置の小型化を図るためには
軸長を短く構成することとなるが、この際、ロータ磁石
とステータ磁石との2組の軸方向距離は、ロータ軸の姿
勢を安定化する上で重要なパラメータとなるもので、ロ
ータ軸の両端位置に設けるのが好適である。要するに、
これらのロータ磁石とステータ磁石との2組は極力離れ
て設けた方がロータの姿勢が安定することとなる。
【0025】請求項3記載の発明は、請求項2記載の回
転偏向装置において、前記ロータ磁石及び前記ステータ
磁石は、円筒形状で磁極の向きが前記ロータ軸の軸方向
に設定されている。
【0026】従って、ロータ磁石及びステータ磁石は、
円筒形状で磁極の向きがロータ軸の軸方向に設定されて
いるので、組付けが容易な上に強い反発力を出すことも
容易であり、1軸方向のみの制御でロータ回転の小型化
を図る上で有利となる。
【0027】請求項4記載の発明は、請求項1ないし3
の何れか一記載の回転偏向装置において、前記制御機構
は、少なくとも、前記ステータ側に設けられて前記ロー
タ軸の上下両端を各々軸方向外方に向けて付勢する上下
一対のロータ浮上制御用電磁石と、これらのロータ浮上
制御用電磁石に対する通電制御手段と、を備える。
【0028】従って、ロータ軸の上下両端を各々軸方向
外方に向けて磁気的に付勢する構造とし、上下から引っ
張ることで電磁石が1つの場合よりも制御剛性を上げる
ことで、ロータの高剛性化が可能で、ロータの軸方向の
制御が容易となり、1軸方向のみの制御でロータ回転の
安定性向上、高速化及び小型化を図る上で有利となる。
【0029】請求項5記載の発明は、請求項1ないし3
の何れか一記載の回転偏向装置において、前記制御機構
は、少なくとも、前記ロータに対して軸方向に離間させ
て取付けられた上下一対の吸引板と前記ステータ側に設
けられて前記吸引板を各々軸方向外方に向けて吸引する
上下一対のロータ浮上制御用電磁石とによる軸方向吸引
制御機構と、これらのロータ浮上制御用電磁石に対する
通電制御手段と、を備える。
【0030】従って、ロータ軸の上下両端を吸引板とロ
ータ浮上制御用電磁石との組合せで各々軸方向外方に向
けて磁気的に吸引する構造とし、その通電を制御するこ
とで、ロータの高剛性化が可能で、ロータの軸方向の制
御が容易となり、1軸方向のみの制御でロータ回転の安
定性向上、高速化及び小型化を図る上で有利となる。
【0031】請求項6記載の発明は、請求項5記載の回
転偏向装置において、下側の前記吸引板の電磁石対向面
は、下側の前記ロータ浮上制御用電磁石に向けて突出す
る前記ロータ軸中心の円錐形状又はR面形状に形成され
ている。
【0032】従って、ロータ軸の下端側に設ける吸引板
が平凸円盤形状の場合には、ロータ軸が半径方向にずれ
たときに自発的に軸中心方向に復帰する力が発生しない
か発生しても極めて微弱であり、ロータを浮上安定させ
ることができず、或いは、できても極めて不安定となっ
てしまう可能性があるが、ロータ浮上制御用電磁石に向
けて突出するロータ軸中心の円錐形状又はR面形状に形
成することで、磁気吸引力として半径方向に作用する分
力も含まれることとなり、受動剛性を動的に変化させ得
るため、ロータ軸が半径方向にずれたときの戻り剛性を
強くすることができ、浮上時の半径方向安定化が容易と
なり、1軸方向のみの制御でロータ回転の安定性向上、
高速化及び小型化を図る上で有利となる。
【0033】請求項7記載の発明は、請求項1ないし6
の何れか一記載の回転偏向装置において、前記偏向機能
素子は、外面に複数の反射面を有する回転多面鏡であ
る。
【0034】従って、いわゆるポリゴンミラーを用いる
回転偏向装置に関して、1軸方向のみの制御でロータ回
転の安定性向上、高速化及び小型化を図ることができ
る。
【0035】請求項8記載の発明は、請求項7記載の回
転偏向装置において、上側の前記吸引板は、前記ロータ
軸より径大な前記回転多面鏡の上面に一体化されて前記
ロータに取付けられている。
【0036】従って、上側の吸引板は回転多面鏡とは別
個に設けてもよいが、回転多面鏡に一体に設けること
で、装置構成の簡略化を図れ、かつ、一体構造により剛
性も増し、撓みも起こり難いため、回転性能(回転むら
や回転ぶれ)も安定するので、最も合理的な構成とな
る。この場合、回転多面鏡はロータ軸よりも径の大きな
ものとして、外周の反射面とは垂直となる平面部分の面
積を確保し、この平面部分に吸引板を焼き嵌めして埋め
込めばよい。また、このときの吸引板の形状はロータ軸
に対して同心円状の円盤となるので、これに対向するロ
ータ浮上制御用電磁石も同様にロータ軸に対して同軸対
称のドーナツ形状とすれば、吸引面が同心円状で平行に
対向しかつ吸引面積を広くとれるので吸引バランスも取
りやすくなる。
【0037】請求項9記載の発明は、請求項8記載の回
転偏向装置において、上側の前記吸引板は、前記回転多
面鏡の上面に焼き嵌めして埋め込まれることにより一体
化されている。
【0038】従って、吸引板を回転多面鏡に一体化する
上で、焼き嵌めして埋め込むことにより、隙間なく嵌合
させることができ、回転多面鏡を含むロータはガタツキ
のない剛性の高いものとなり、回転性能が安定し、1軸
方向のみの制御でロータ回転の安定性向上、高速化及び
小型化を図る上で有利となる。なお、回転多面鏡の外周
の反射面の鏡面加工は吸引板の焼き嵌め工程の後に行う
のがよい。
【0039】請求項10記載の発明は、請求項7ないし
9の何れか一記載の回転偏向装置において、前記回転多
面鏡は、前記ロータ軸に対して軽圧入されて一体に結合
されている。
【0040】従って、回転多面鏡をロータ軸に軽圧入し
て一体に結合させることにより、回転多面鏡を含むロー
タはガタツキのない剛性の高いものとなり、回転性能が
安定する。
【0041】請求項11記載の発明は、請求項7ないし
10の何れか一記載の回転偏向装置において、前記ロー
タ軸より径大でその上面に上側の前記吸引板が焼き嵌め
して埋め込まれた前記回転多面鏡が、前記ロータ軸に対
して軽圧入されて一体に結合されている。
【0042】従って、回転多面鏡をロータ軸に軽圧入し
て一体化させた後に吸引板を回転多面鏡に焼き嵌めする
と、この焼き嵌め処理時の温度上昇により軽圧入した回
転多面鏡がロータ軸から脱離してしまう可能性がある
が、吸引板が既に焼き嵌めされた回転多面鏡をロータ軸
に軽圧入させることで、このような不具合は生じない。
【0043】請求項12記載の発明は、請求項1ないし
6の何れか一記載の回転偏向装置において、前記偏向機
能素子は、複数の狭帯域の光干渉性反射膜を重ね合わせ
て互いに平行に形成された複数の光干渉型反射面を前記
ロータ軸の回転中心から放射状に配列した回転偏向器で
ある。
【0044】従って、外周面ではなく回転中心を通る光
干渉型反射面を利用して反射させることで電磁波の入射
幅に収まるような小型対応の回転偏向器と小型対応の軸
受構造との組合せ構造により、より一層の小型化が可能
な光偏向走査装置を構成することができる。
【0045】請求項13記載の発明は、請求項12記載
の回転偏向装置において、前記回転偏向器は、結合手段
により前記ロータ軸中に結合されている。
【0046】従って、ロータ軸の直径と同径に収まるよ
うな回転偏向器をロータ軸に対して確実に結合させるこ
とができる。
【0047】請求項14記載の発明は、請求項1ないし
13の何れか一記載の回転偏向装置において、前記ロー
タ構成部品を前記ロータ軸に結合するねじ溝は、前記ロ
ータ軸の回転方向と逆回転方向で締まるように切られて
いる。
【0048】従って、ロータ構成部品をロータ軸に結合
するねじ溝がロータ軸の回転方向とは逆回転方向で締ま
るように切ることによって、回転体の回転トルクは、部
品を締める方向に作用することとなり、ロータ軸からの
部品の脱離が起こらず、1軸方向のみの制御でロータ回
転の安定性向上及び高速化を図る上で有利となる。
【0049】請求項15記載の発明は、請求項1ないし
14の何れか一記載の回転偏向装置において、前記入・
反射窓が電磁波透過領域として閉止されるとともに、前
記偏向機能素子を含む前記ロータと前記ステータとの間
の空間を減圧封止する真空構造を備える。
【0050】従って、大気中でロータを回転させれば風
損が生ずるのは明らかであるが、磁気浮上軸受によれば
減圧環境下でも回転駆動可能な特徴を有するので、少な
くともステータとロータとの間や偏向機能素子周辺を減
圧封止する真空構造とすることにより、風損の抑制が可
能となり、この結果、ロータの回転に要するエネルギー
も下がるので、1軸方向のみの制御でロータ回転の安定
性向上、高速化及び低消費電力化を図る上で有利とな
る。この際、真空構造のため、ステータは筐体構造を採
ることとなるが、入・反射窓が確保されて電磁波透過領
域として閉止されているので、真空構造に支障なく、電
磁波の入・出射光路が確保され、回転偏向装置としての
機能が発揮される。
【0051】請求項16記載の発明は、請求項15記載
の回転偏向装置において、前記真空構造の構成部材は、
熱伝導性の高い非磁性金属により構成されている。
【0052】従って、減圧封止する真空構造を採る場
合、回転駆動機構部分等で発生する発熱に対する放熱対
策が必要となるが、真空構造の構成部材を熱伝導性の高
い非磁性金属により構成することにより、放熱効果を確
保できる。
【0053】請求項17記載の発明は、請求項15又は
16記載の回転偏向装置において、前記真空構造の構成
部材は、黒体輻射効果を呈示するよう表面が黒くされて
いる。
【0054】従って、構成部材の表面を黒くすること
で、黒体輻射効果により放熱効果が高くなる。
【0055】請求項18記載の発明は、請求項15ない
し17の何れか一記載の回転偏向装置において、前記ロ
ータと前記ステータとの間の空間は、粘性抵抗が低く熱
伝導性の高い不活性ガスで減圧封止されている。
【0056】従って、例えばヘリウム、アルゴン等の不
活性ガスを封止することで、真空雰囲気内の温度上昇を
抑制でき、結果的に放熱効果を高めることができる。
【0057】請求項19記載の発明は、請求項15ない
し18の何れか一記載の回転偏向装置において、前記ロ
ータと前記ステータとの対向面に、ヘリカル溝を有す
る。
【0058】従って、ロータとステータとの対向面にヘ
リカル溝を有することで、ロータの回転に伴いロータと
ステータとの間の対流循環の高い通風効果が得られ、結
果的に放熱効果を高めることができる。
【0059】請求項20記載の発明は、請求項5ないし
19の何れか一記載の回転偏向装置において、前記通電
制御手段は、上側の前記ロータ浮上制御用電磁石による
上方への吸引力をF1、下側の前記ロータ浮上制御用電
磁石による下方への定常吸引力をFd、前記ロータの自
重をm、重力をg、前記1軸制御型磁気浮上軸受におけ
る永久磁石の反発力をFpとしたとき、mg+Fp+F
1=0を常に満たすように前記吸引力F1を制御する上
側吸引力印加手段と、前記ロータ軸の回転速度が危険速
度域に達した時に下側の前記ロータ浮上制御用電磁石に
前記定常吸引力Fdを印加する下側吸引力印加手段と、
を備える。
【0060】従って、危険速度域を安全に脱出する目的
に対して、危険速度域に達した場合には、下側のロータ
浮上制御用電磁石に定常吸引力Fdを印加させるわけで
あるが、これは系に対して下向きの外乱を加えたことと
等価的であり、その振動を上側のロータ浮上制御用電磁
石で検知して、この上側のロータ浮上制御用電磁石に対
する通電を付与された外乱を吸収するように制御し、以
って、危険速度域を通過させる。即ち、危険速度域に達
した場合には、積極的に危険速度自体を変化させること
で、振動モードを回避するものであり、危険速度域が複
数(共振周波数が複数)ある回転体に対して振動制御手
段として効果的に機能する。特に、制御すべき量を見計
らって制御しているので、安全で制御性に優れた対応策
となる。
【0061】請求項21記載の発明は、請求項5ないし
19の何れか一記載の回転偏向装置において、前記通電
制御手段は、上側の前記ロータ浮上制御用電磁石による
上方への吸引力をF1、下側の前記ロータ浮上制御用電
磁石による下方への吸引力をF2、前記ロータの自重を
m、重力をg、前記1軸制御型磁気浮上軸受における永
久磁石の反発力をFpとしたとき、mg+Fp+F1+
F2=0を常に満たすように前記吸引力F1,F2をプ
ッシュプル制御するプッシュプル制御手段と、前記ロー
タ軸の回転速度が危険速度域に達した場合とそれ以外の
場合とでプッシュプル制御の制御電流値を切換える切換
え手段と、を備える。
【0062】従って、基本的には上側のロータ浮上制御
用電磁石による吸引力と下側のロータ浮上制御用電磁石
による吸引力とのプッシュプル制御によりロータ軸の浮
上量のバランス制御を行うが、危険速度域に達した場合
にはプッシュプル制御の制御電流値を切換えることで系
の剛性を高め、危険速度域の振動を抑制する。即ち、危
険速度域に達した場合には、積極的に危険速度自体を変
化させることで、振動モードを回避するものであり、危
険速度域が複数(共振周波数が複数)ある回転体に対し
て振動制御手段として効果的に機能する。
【0063】請求項22記載の発明は、請求項5ないし
19の何れか一記載の回転偏向装置において、前記通電
制御手段は、前記ロータ軸の回転速度が予め測定された
危険速度を超えた後に前記ロータを浮上させる浮上開始
制御手段を備える。
【0064】従って、予め当該装置の危険速度を測定
し、それ以上の回転速度からロータを浮上させるように
制御することによっても、危険速度域を安全に突破する
ことができる。例えば、回転速度に対する周波数分析を
行えば、当該装置の危険速度が例えば2,200rp
m,3.800rpm付近に存在することがわかるの
で、このような危険速度を超えた後にロータの浮上動作
を開始させると安定して浮上させることができ、その
後、安定状態を維持して高速回転に移行することとな
る。
【0065】請求項23記載の発明は、請求項1ないし
19の何れか一記載の回転偏向装置において、前記ステ
ータの底部にダンパを備える。
【0066】従って、ステータの底部にダンパを設ける
構成によっても、ロータとステータとの非接触状態を保
持したまま、危険速度域を突破して、高速回転域に移行
させることができる。
【0067】請求項24記載の発明は、請求項23記載
の回転偏向装置において、前記ダンパは、危険速度域に
おける振動に対して作用する。
【0068】従って、ダンパは危険速度域で比較的強い
振動が発生したときのみ作用すれば、十分な振動軽減効
果が得られる。
【0069】請求項25記載の発明の光書込み装置は、
電磁波としてレーザ光を発するレーザ光源と、このレー
ザ光源から発せられたレーザ光を入・反射させて被照射
面に向けて偏向走査する請求項1ないし24の何れか一
記載の回転偏向装置と、を備える。
【0070】従って、より簡易な制御構成が可能な1軸
制御型磁気浮上軸受を用いて1軸方向のみの制御でロー
タ回転の安定性向上、高速化及び小型化を図れる請求項
1ないし24の何れか一記載の回転偏向装置を備えるの
で、小型にして安定した高速書込みが可能となる。
【0071】請求項26記載の発明のレーザ走査型ディ
スプレイは、電磁波としてレーザ光を発するレーザ光源
と、このレーザ光源から発せられたレーザ光を画情報に
応じて変調する外部変調器と、変調されたレーザ光を入
・反射させて主走査方向に偏向走査する請求項1ないし
24の何れか一記載の回転偏向装置と、変調されたレー
ザ光を副走査方向に走査する副走査装置と、主走査方向
に偏向走査され副走査方向に走査されるレーザ光を投影
面に向けて照射する投影手段と、を備える。
【0072】従って、より簡易な制御構成が可能な1軸
制御型磁気浮上軸受を用いて1軸方向のみの制御でロー
タ回転の安定性向上、高速化及び小型化を図れる請求項
1ないし24の何れか一記載の回転偏向装置を備えるの
で、小型にして安定した高精細な表示が可能となる。
【0073】
【発明の実施の形態】本発明の第一の実施の形態を図1
ないし図10に基づいて説明する。本実施の形態は、後
述する光書込み装置等への応用に好適な回転偏向装置で
ある光偏向走査装置1への適用例であり、図1はこの光
偏向走査装置1の縦断正面図、図2はその水平端面図を
示す。
【0074】本実施の形態の光偏向走査装置1は、概略
的には、ベース板2上に位置固定された円筒筐体形状の
ステータ3と、このステータ3に内装されて回転軸方向
を鉛直方向(Z軸方向)とするロータ軸4を有するロー
タ5(インナーロータ構成)と、ロータ軸4を回転駆動
する回転駆動機構としてのモータ6と、ロータ軸4に結
合されて偏向機能素子として機能するポリゴンミラー
(回転多面鏡)7と、永久磁石の反発によりステータ3
に対してロータ軸4を浮上させるよう半径方向に軸受す
る1軸制御型磁気浮上軸受8と、ロータ5の浮上位置制
御を含む姿勢を制御する制御機構9等を含んで構成され
ている。軸受に着目した場合には、1辺が10cmの立
方体に収まる程度の小型でインナーロータ型の縦軸磁気
浮上軸受として構成されている。
【0075】まず、ステータ3は、ベース板2上に固定
される円筒形状の下部ステータ筐体11と、この下部ス
テータ筐体11上に一体となるように固定される頂部に
有底円筒形状の上部ステータ筐体12と、各々のステー
タ筐体11,12の内壁に一体となるよう固定されてロ
ータ軸4の上下両端の外周付近に接近するドーナツ状の
下部ステータ13と上部ステータ14とにより構成され
ている。上部ステータ筐体12の一部には図2に示すよ
うに電磁波であるレーザ光がポリゴンミラー7の外周の
反射面15に対して入射し、かつ、反射光が出射するた
めの入・反射窓16が形成され、電磁波透過領域となる
ガラス17により閉止されている。
【0076】一方、ロータ5は複数の構成部品をロータ
軸4に対してねじ止め、嵌合或いは圧入させることによ
り構成されている。まず、鉛直配置のロータ軸4の上端
部付近には永久磁石によるロータ磁石21が固定されて
いる。このロータ磁石21は図3等に示すように円筒形
状(リング形状)のもので、その外径はロータ軸4の外
径と等しく設定されている。このようなロータ磁石21
をロータ軸4の上端部付近に嵌め込み、その上部から固
定部材22によりねじ止め固定する場合、ねじの向きは
ロータ軸4の回転方向で締まる方向、即ち、逆回転方向
の向きに切られており、ロータ軸4が回転しても緩んで
抜けるようなことがないように構成される。固定部材2
2としては変位検出部を用い、その上面を平坦面とし、
この平坦面に対しては軸方向変位センサ23が対向する
ようステータ3の頂部に取付けられている。この軸方向
変位センサ23としては例えば渦電流式変位センサが用
いられている。この軸方向変位センサ23により検知さ
れるロータ5の上下方向(軸方向)移動量信号は後述す
る制御機構側に送られ、位置制御に供せられる。
【0077】ロータ磁石21は図3等に示すようにその
磁極S,Nの向きがロータ軸4の軸方向となるように着
磁されている。上部ステータ14にはこのようなロータ
磁石21の周縁を取り囲むように永久磁石による円筒形
状(リング形状)のステータ磁石24が同軸配置で固定
されている。このステータ磁石24も図3等に示すよう
にその磁極S,Nの向きがロータ軸4の軸方向となるよ
うに着磁されている。この着磁方向はロータ磁石21の
場合と同一方向であり、ロータ磁石21・ステータ磁石
24間には永久磁石の反発力が作用するように設定され
ている。これらのロータ磁石21、ステータ磁石24
は、材料的には、例えば、強磁性ネオジ材(Nd−Fe
−B)が好適であり、寸法的には、例えば、ロータ磁石
21は外径8mm、内径4mm、高さ8mm、ステータ
磁石24は外径14mm、内径10mm、高さ8mmの
如く形成されている。
【0078】ロータ軸4の下端部付近にも永久磁石によ
るロータ磁石25が固定されている。このロータ磁石2
5も図3等に示すように円筒形状(リング形状)のもの
で、その外径はロータ軸4の外径と等しく設定されてい
る。このようなロータ磁石25をロータ軸4の下端部付
近に嵌め込み、その下部からスペーサ26を嵌め込み、
さらに、下部側の吸引板27をロータ軸4の下端に固定
する。この場合も吸引板27をロータ軸4にねじ止め固
定する場合、ねじの向きはロータ軸4の回転方向で締ま
る方向、即ち、逆回転方向の向きに切られており、ロー
タ軸4が回転しても緩んで抜けるようなことがないよう
に構成される。
【0079】ロータ磁石25は図3等に示すようにその
磁極S,Nの向きがロータ軸4の軸方向となるように着
磁されている。下部ステータ13にはこのようなロータ
磁石25の周縁を取り囲むように永久磁石による円筒形
状(リング形状)のステータ磁石28が同軸配置で固定
されている。このステータ磁石28も図3等に示すよう
にその磁極S,Nの向きがロータ軸4の軸方向となるよ
うに着磁されている。この着磁方向はロータ磁石25の
場合と同一方向であり、ロータ磁石25・ステータ磁石
28間には永久磁石の反発力が作用するように設定され
ている。これらのロータ磁石25、ステータ磁石28
も、材料的には、例えば、強磁性ネオジ材(Nd−Fe
−B)が好適である。即ち、磁石21,24,25,2
8の材料は全て同一でよい。ロータ磁石25、ステータ
磁石28は、寸法的にも、ロータ磁石21、ステータ磁
石24の場合と同じとされる。
【0080】これらの磁石21,24,25,28によ
り、ステータ3に対してロータ軸4を浮上させるよう半
径方向に軸受する1軸制御型磁気浮上軸受8が構成され
ているが、ロータ軸4に対しては極力その上下両端にロ
ータ磁石・ステータ磁石の組が位置するよう離して配置
されている。
【0081】これにより、基本的に、ロータ軸4の振動
に対する剛性を高めることができ、1軸方向のみの制御
でロータ回転の安定性向上、高速化及び小型化を図る上
で有利となる。即ち、装置の小型化を図るためにはロー
タ軸4の軸長を短く構成することとなるが、この際、ロ
ータ磁石21,25とステータ磁石24,28との2組
の軸方向距離は、ロータ軸4の姿勢を安定化する上で重
要なパラメータとなるもので、ロータ軸4の両端位置に
設けるのが好適である。要するに、これらのロータ磁石
・ステータ磁石の組は極力離して設けた方がロータ5の
姿勢が安定することとなる。また、ロータ磁石21,2
5及びステータ磁石24,28は、円筒形状で磁極の向
きがロータ軸4の軸方向に設定されているので、組付け
が容易な上に強い反発力を出すことも容易であり、1軸
方向のみの制御でロータ回転の小型化を図る上で有利と
なる。
【0082】なお、磁石21,24,25,28が配置
される周辺部材、例えば、ステータ13,14等は非磁
性材料により構成される。具体的には、これらの永久磁
石が発生する磁場を乱さず、かつ、剛性も高いステンレ
ス材が好適であるが、アルミニウム等であってもよい。
【0083】また、ポリゴンミラー7はロータ軸4の重
心付近に位置させてロータ軸4に結合されている。この
際、ポリゴンミラー7はロータ軸4に対して軽圧入して
一体に結合させることが好ましい。これによれば、ポリ
ゴンミラー7を含むロータ5はガタツキのない剛性の高
いものとなり、回転性能が安定する。
【0084】モータ6はポリゴンミラー7の下部に配置
されており、ロータ側回転モータ機構31とステータ側
回転モータ機構32との組合せにより構成されている。
ロータ側回転モータ機構31は、内部が空洞構造で複数
枚のケイ素鋼板モータ用鉄リング33が内蔵されるモー
タ用銅リング34をポリゴンミラー7の下面側にねじ止
め固定することにより構成されている。この場合も、ね
じの向きはロータ軸4の回転方向で締まる方向、即ち、
逆回転方向の向きに切られており、ロータ軸4が回転し
ても緩んで抜けるようなことがないように構成される。
ステータ側回転モータ機構32はロータ側回転モータ機
構31の周縁を取り囲むようにステータ3側に構成され
たもので、図4等に示すように6個のモータ固定子35
は例えば厚さ0.3mmのケイ素鋼板を27枚(約8m
m)積層することにより構成され、その周囲に0.3m
m径の銅線36を200ターン巻くことにより、3相2
極モータとして構成されている。このようなモータ固定
子35の内径部には、モータ用銅リング34及びこれに
内蔵されたモータ用鉄リング33がロータ軸4の一部と
して構成されている。
【0085】このような構成に加えて、ロータ軸4の上
下両端付近にはその軸方向の制御を能動的に行わせるた
めの制御機構9中の軸方向吸引制御機構41が設けられ
ている。まず、ロータ軸4の下端側にあっては、前述の
吸引板27が端部に固定され、この吸引板27の下部に
はロータ浮上制御用電磁石42が対向配置されている。
ここに、吸引板27は鉄材により構成されており、ロー
タ浮上制御用電磁石42のコイル42aに通電したと
き、そのコア42bにより吸引板27に対して下向き
(軸方向外方)の吸引力が作用するように設定されてい
る。また、吸引板27の電磁石対向面(下面)は、電磁
石側に向けて突出する形状であって、ロータ軸4中心
(軸対称)の円錐形状(又は、R面形状)に形成されて
おり、ロータ浮上制御用電磁石42による吸引力を作用
させたとき、その吸引力の一部が半径方向(r方向)に
もベクトル分力として作用するように構成されている。
これにより、ロータ軸4が半径方向にずれても自発的に
中心方向に復帰する動作を行うこととなる。
【0086】また、ロータ軸4の上部側にあっては、ロ
ータ軸4よりも径が大きく形成されたポリゴンミラー7
の非偏向走査面となる上面にドーナツ円盤形状の吸引板
43が設けられている。この吸引板43はポリゴンミラ
ー7の上面に同心円状の溝を形成しておき、この溝に焼
き嵌めして表面がフラットになるように埋め込むことで
一体化させることが好ましい。これによれば、吸引板4
3を隙間なく嵌合させることができ、ポリゴンミラー7
を含むロータ5はガタツキのない剛性の高いものとな
り、回転性能が安定し、1軸方向のみの制御でロータ回
転の安定性向上、高速化及び小型化を図る上で有利とな
る。なお、ポリゴンミラー7の外周の反射面15の鏡面
加工は吸引板43の焼き嵌め工程の後に行うのがよい。
また、吸引板43が予め焼き嵌めして埋め込まれたポリ
ゴンミラー7を、ロータ軸4に対して軽圧入させて一体
に結合させることが好ましい。ポリゴンミラー7をロー
タ軸4に軽圧入して一体化させた後に吸引板43をポリ
ゴンミラー7に焼き嵌めすると、この焼き嵌め処理時の
温度上昇により軽圧入したポリゴンミラー7がロータ軸
4から脱離してしまう可能性があるためである。この吸
引板43としても鉄材が好ましい。
【0087】この吸引板43の上部にはステータ14に
取付けられたロータ浮上制御用電磁石44が対向配置さ
れている。ここに、ロータ浮上制御用電磁石44のコイ
ル44aに通電したとき、そのコア44bにより吸引板
43に対して上向き(軸方向外方)の吸引力が作用する
ように設定されている。これらの吸引板・ロータ浮上制
御用電磁石の組合せにより軸方向吸引制御機構が構成さ
れている。
【0088】また、本実施の形態の光偏向走査装置1で
は、ステータ3のステータ筐体11,12をチャンバ筐
体として密閉されて構成されており、ロータ5とステー
タ3との間の空間を圧力調整弁45を介して吸引ポンプ
46に連結することにより、減圧封止可能な真空構造と
されており、例えば、約15Torr程度の低真空状態にす
ることが可能とされている。なお、ステータ筐体11,
12内を減圧した後は吸引ポンプ46は不要であるの
で、圧力調整弁45を封止した後に吸引ポンプ46を取
り外すようにしてもよい。また、電磁石、コイル等に対
する通電制御のための制御系回路はステータ筐体11,
12外に設けられるが、その接続のための配線をステー
タ筐体11,12外に出すための開口(図示せず)を設
け、気体が外部から流入しないようにその開口と配線と
の隙間は封止するように構成すればよい。また、入・反
射窓16もガラス17により閉止されて真空用の閉止空
間が確保されているが、例えば、上側ステータ筐体12
全体を光透過性部材で構成することより閉止された入・
反射窓の機能を持たせてもよい。
【0089】このような構成において、ロータ5の回転
時の特性として、回転数(回転速度)に対する半径方向
振動幅のp−p(ピーク−ピーク)値(mm)を図5に
示す。この測定では上述の真空構造を利用し、吸引ポン
プ46で徐々に減圧し、低真空状態(約15Torr)とし
た雰囲気で測定したものである。4,500rpm以上
では安定回転となり、回転数の上昇に伴い振動幅は減少
する。最高回転数においては、半径方向振動は円軌道で
あり、20μm以下である。回転数を徐々に変化させ
て、振動幅が増大する回転数(危険速度域)を測定した
ところ、2,220rpm(並進モード)及び3,80
0rpm付近(傾きモード)であった。ちなみに、振動
幅が特に急激に増加する3,800rpm付近では浮上
方向への制御が不能となったため、図5では模擬的に点
線で図示した。
【0090】次に、このような危険速度を回避するため
の方法について説明する。ロータ5(回転体)の固有振
動数に起因する危険速度は剛体モードであれば、図5に
示したように低回転域で生ずる。また、永久磁石の反発
力による半径方向剛性は比較的小さいことから、弾性モ
ードなる回転数は高回転域となる。このような背景から
低回転域で振動を回避する方法としては、幾つか考えら
れるが、本実施の形態では、危険速度自体を変化(シフ
ト)させることで振動モードを回避するものである。
【0091】このようなロータ5の浮上位置制御を含む
姿勢制御(上下方向=軸方向の浮上安定制御)のとして
1軸制御の能動制御を行うためにロータ浮上制御用電磁
石42,44に対する通電制御(吸引力印加)を行う通
電制御手段51の動作制御例及びその制御系構成例を図
6及び図7を参照して説明する。
【0092】図6は系に作用する力を模式的に示す説明
図であり、実際には各作用力は回転周方向に対称分布し
ているが、便宜的にその一部を示したものである。ま
た、径方向の成分は省略している。まず、上部の吸引板
43に対向配置させたロータ浮上制御用電磁石44はこ
の吸引板43を上方に吸引する。一方、下部の吸引板2
7に対向配置させたロータ浮上制御用電磁石42はこの
吸引板27を下方に吸引する。この場合の上方への吸引
力をF1、下方への定常吸引力をFd、ロータ5の自重
をm、重力をg、永久磁石21,24,25,28の反
発力をFpとすると、mg+Fp+F1=0なる関係を
満たすように吸引力F1を制御し(ロータ浮上制御用電
磁石44に対する通電を制御し)、外乱がステップ状に
印加された場合でも、定常偏差が残らないように制御す
る。ここでいう“外乱”とは下方への定常吸引力Fdで
ある。なお、本実施の形態の光偏向走査装置1において
は、ロータ軸4の径方向の位置は上下2組の永久磁石リ
ング対によって自発的に(受動的に)制御されている。
【0093】このような制御系の設定下に、ロータ5の
回転速度が危険速度域に達した場合には、下方への定常
吸引力Fdを印加すると(ロータ浮上制御用電磁石42
に対して通電すると)、系の共振周波数が変化し、その
速度における共振を抑制することができる(つまり、危
険速度自体が変化する)。この時、定常吸引力Fdに対
応して上方への吸引力F1も強くなるようバランス制御
される。そして、当初の危険速度を通過した後に、定常
吸引力Fdを初期値(=0=ロータ浮上制御用電磁石4
2に対する通電をオフ)に戻すようにする。
【0094】図7は通電制御手段51の構成例を示すブ
ロック図である。まず、上部のロータ浮上制御用電磁石
44に対して吸引力F1を発生させるための電圧を印加
する第1のパワーアンプ52と、下部のロータ浮上制御
用電磁石42に対して定常吸引力Fdを発生させるため
にステップ状の電圧を印加する第2のパワーアンプ53
とが設けられている。第2のパワーアンプ53はモード
切換部54中のスイッチ55がオンの時のみ動作する。
一方、ロータ軸4の変位の状態を検知する変位センサ2
3の検知出力は、A/D変換器56によりA/D変換さ
れてコントローラ57のDSPによる演算処理で制御
量、つまり、その時点で発生すべき吸引力F1の算出に
供された後、D/A変換器58によりD/A変換されて
第1のパワーアンプ52の出力制御に供されるように構
成されている。また、ロータ5の回転速度を検知する回
転速度センサ59も設けられており、この回転速度セン
サ59により危険速度域に達したことが検知された場合
にモード切換部54中のスイッチ55が切換え制御され
るように構成されている。ここに、変位センサ23から
第1のパワーアンプ52に至るループ系により上側吸引
力印加手段60が構成され、第2のパワーアンプ53及
びモード切換部54により下側吸引力印加手段61が構
成されている。
【0095】このような構成において、変位センサ23
によって得られたロータ軸4のZ方向変位信号をA/D
変換器56によりA/D変換してコントローラ57にて
DSPで制御量つまり発生すべき吸引力F1を演算処理
し、D/A変換器58でD/A変換して第1のパワーア
ンプ52で吸引力F1を発生させる電圧を上部側のロー
タ浮上制御用電磁石44に出力する。回転速度センサ5
9による監視の下、回転数が危険速度域に達したときに
はモード切換部54のスイッチ55をオンにしてステッ
プ状の電圧を第1のパワーアンプ52と第2のパワーア
ンプ53とに同時に印加する。第2のパワーアンプ53
による増幅電圧を下部側のロータ浮上制御用電磁石42
に出力し外乱として下向きの定常吸引力Fdを発生させ
るとともに、バランスする上方向の吸引力F1を発生さ
せる電圧を第1のパワーアンプ52から上部側のロータ
浮上制御用電磁石44に出力することで、系の共振周波
数がシフトし、危険速度における共振を回避する。危険
速度を通過した後には、モード切換部54のスイッチ5
5をオフにする。このような制御は、例えば(積分形)
最適レギュレータ法によって実現できる。
【0096】いま、実際の測定例として、通常動作時で
の静止時におけるインパルス応答の周波数特性を図8に
示し、通常動作時と下部側のロータ浮上制御用電磁石4
2に対して2Aのステップ状の電流を与えた状態とで対
比させたインパルス応答の周波数特性を図9に示す。図
8により回転時の剛体モードにおけるピークが前述のよ
うに2箇所存在し、特に、38Hz付近での傾きモード
に対する振動が急峻かつ大きく、図5に示した回転体の
軸振動特性に合致することがわかる。また、図9によれ
ば、円錐形状を有する吸引板27の効果により、下部側
のロータ浮上制御用電磁石42に対して浮上位置を一体
に保ちつつ浮上方向への定常吸引力Fdを発生させるこ
とで、同時に半径方向への振動抑制、即ち半径方向剛性
を動的に増加させることが確認できる。
【0097】このように、本実施の形態によれば、危険
速度域を安全に脱出する目的に対して、危険速度域に達
した場合には、下側のロータ浮上制御用電磁石42に定
常吸引力Fdを印加させるわけであるが、これは系に対
して下向きの外乱を加えたことと等価的であり、その振
動を上側のロータ浮上制御用電磁石44で検知して、こ
の上側のロータ浮上制御用電磁石44に対する通電を付
与された外乱を吸収するように制御し、以って、危険速
度域を通過させる。即ち、危険速度域に達した場合に
は、積極的に危険速度自体を変化させることで、振動モ
ードを回避するものであり、危険速度域が複数(共振周
波数が複数)ある回転体(ロータ5)に対して振動制御
手段として効果的に機能する。特に、制御すべき量を見
計らって制御しているので、安全で制御性に優れた対応
策となる。
【0098】ちなみに、特開2002−81445公報
等に示されるアウターロータ構成の1軸制御型磁気浮上
軸受を用いた従来方式と本実施の形態方式とのロータ軸
の軸回り回転ブレ量(X方向軸ブレ量及びY方向軸ブレ
量)を測定した比較結果を図10に示す。図10(a)
が従来方式を示し、図10(b)が本実施の形態方式の
結果を示している。この結果によれば、従来の軸ブレ量
が±0.1mmであるのに対して、本実施の形態の軸ブ
レ量は±0.01mmに収まっている。つまり、アウタ
ーロータ型の10%以下に改善されたものである。
【0099】また、本実施の形態では、前述したように
減圧封止した低真空状態なる雰囲気中でロータ5を回転
させているので、ロータ5の回転風損が減り、必要とさ
れる回転エネルギーが省力化される。例えば、圧力を約
50Torrにすると回転消費電力値は大気圧時よりも75
%程度少なくなる(18,000rpm時)。減圧下で
は大気圧中に比べ、回転数が上昇するほど、省電力効果
が大きくなる。
【0100】結果として、光偏向走査装置1を主眼とし
た1軸制御型反発磁気浮上軸受方式で回転速度19,4
00rpmを実現できたものであり、その時のモータ消
費電力は約2Wで収まったものである。
【0101】ところで、本実施の形態では、風損低減等
のために真空構造を採用しているが、このよう減圧封止
する真空構造を採る場合、回転駆動機構であるモータ6
部分等で発生する発熱に対する放熱対策が必要となる。
このような対策として、例えば、真空構造の構成部材
(ステータ3等)を熱伝導性の高い非磁性金属により構
成するようにすれば、放熱効果を確保できる。或いは、
真空構造の構成部材の表面を黒くすることで、黒体輻射
効果を呈示し、より放熱効果が高くなる。又は、ロータ
5とステータ3との間の空間を、粘性抵抗が低く熱伝導
性の高い不活性ガス(例えば、ヘリウム、アルゴン等)
を封止することで、真空雰囲気内の温度上昇を抑制で
き、結果的に放熱効果を高めることができる。さらに
は、ロータ5とステータ3との対向面にヘリカル溝を有
する構成としても、ロータ5の回転に伴いロータ5とス
テータ3との間の対流循環の高い通風効果が得られ、結
果的に放熱効果を高めることができる。加えて、ステー
タ3を冷却、特にモータ6周りを冷却する水冷手段を併
用すれば、より放熱効果が高くなる。
【0102】本発明の第二の実施の形態を図11及び図
12に基づいて説明する。第一の実施の形態で示した部
分と同一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する
(以降の実施の形態でも同様とする)。
【0103】本実施の形態では、通電制御手段62の動
作制御例及びその制御系構成例を図6及び図7の場合と
は異ならせたものである。
【0104】図11は系に作用する力を模式的に示す説
明図であり、実際には各作用力は回転周方向に対称分布
しているが、便宜的にその一部を示したものである。ま
た、径方向の成分は省略している。前述のように、上部
の吸引板43に対向配置させたロータ浮上制御用電磁石
44はこの吸引板43を上方に吸引する。一方、下部の
吸引板27に対向配置させたロータ浮上制御用電磁石4
2はこの吸引板27を下方に吸引する。この場合の上方
への吸引力をF1、下方への吸引力をF2、ロータ5の
自重をm、重力をg、永久磁石21,24,25,28
の反発力をFpとすると、mg+Fp+F1+F2=0
を満たすように吸引力F1,F2をプッシュプル制御す
る。なお、本実施の形態の光偏向走査装置1においては
ロータ軸4の径方向の位置は2対の永久磁石リング対の
反発力Fpによって自発的に制御されている。
【0105】このようなプッシュプル制御系の設定下
に、ロータ5の回転速度が危険速度域に達した場合に
は、プッシュプル制御で系に与える吸引力のうち吸引力
F2を通常時よりも強くすると、系の共振周波数が変化
し、その速度における共振を抑制することができる。こ
のとき、吸引力F2を強くすることに対応して他方の吸
引力F1も強くしてバランスしている。危険速度通過
後、これらの吸引力F2,F1を初期値に戻すようにす
る。以上の制御方法によって危険速度における装置共振
を回避させることができる。
【0106】図12は通電制御手段62の構成例を示す
ブロック図である。本実施の形態の通電制御手段62で
は、コントローラ57に代えて通常時用の第1のコント
ローラ63と危険速度域用の第2のコントローラ64と
が設けられ、回転速度センサ59の検知出力により切換
え制御される切換え手段としてのモード切換え部5によ
り何れかのコントローラ63又は64が選択されるよう
に構成されている。ここに、変位センサ23から第1の
パワーアンプ52に至るループ系と変位センサ23から
第2のパワーアンプ53に至るループ系とによりプッシ
ュプル制御手段66が構成されている。
【0107】このような構成において、第1のパワーア
ンプ52、第2のパワーアンプ53は各々吸引力F1,
F2を生成しているが、回転数が回転速度センサ59に
よって危険速度域に達したことが検知された時には、モ
ード切換え部65により第1のコントローラ63による
制御から第2のコントローラ64による制御に切換え
る。ここに、第1のコントローラ63は回転速度が危険
速度でないときのプッシュプル信号を生成するのに対し
て、第2のコントローラ64は回転速度が危険速度域に
ある場合のプッシュプル信号を生成するものであり、第
2のコントローラ64を動作させるときには吸引力F
1,F2は危険速度でない場合よりも強くなっている。
危険速度を脱したときにはモード切換え部65を切換え
て第1のコントローラ63による制御に復帰させる。何
れのコントローラ63,64を用いる場合においても吸
引力F1,F2の双方を常にプッシュプル制御する点で
第一の実施の形態の場合の浮上安定制御方式とは異な
る。このような制御は、例えばプッシュプル形での積分
形最適レギュレータ法によって実現可能である。
【0108】なお、特に図示しないが、これらの実施の
形態に示した通電制御に代えて、ロータ軸4の回転速度
が予め測定された危険速度を超えた後にロータ5を浮上
させる浮上開始制御手段を備えることで危険速度域を回
避するようにしてもよい。即ち、予め当該光偏向走査装
置1の危険速度を測定し、それ以上の回転速度からロー
タ5を浮上させるように制御することによっても、危険
速度域を安全に突破することができる。例えば、回転速
度に対する周波数分析を行えば、当該光偏向走査装置1
の危険速度が例えば前述したように2,200rpm,
3,800rpm付近に存在することが分かるので、こ
のような危険速度を超えた後にロータ5の浮上動作を開
始させると安定して浮上させることができ、その後、安
定状態を維持して高速回転に移行することとなる。
【0109】また、図13に示すように、ステータ3と
ベース板2との間に4〜6本位のポール67を介在さ
せ、かつ、各ポール67中に例えばゴム製のダンパ68
を介在させる構成や、図14に示すように、ステータ3
とベース板2との間にダンパとしてのダンパプレート6
9を介在させた構成によっても、ロータ5とステータ3
との非接触状態を維持して危険速度を通過させることが
できる。即ち、ロータ5の回転速度が危険速度域にある
時に、ロータ5に発生する振動はステータ3に伝わる
が、ダンパによってその振動エネルギーを吸収すること
ができる。即ち、このようなダンパ68又は69を有し
ない場合には、図8に示したように33Hz付近に振動
エネルギーのピークがあるが、ダンパ68又は69を備
えた構成とした場合には図15に示すように33Hz付
近のピークが吸収されたものである。このようなダンパ
68又は69は、危険速度域で比較的強い振動が発生し
たときのみ作用すれば、十分な振動軽減効果が得られ
る。
【0110】本発明の第三の実施の形態を図16ないし
図19に基づいて説明する。本実施の形態は、回転駆動
機構としてのモータ6に代えて、高速対応モータとして
主流になりつつある静電モータ71を用いたものであ
る。
【0111】まず、この静電モータ71の動作原理につ
いて図16を参照して説明する。ここに、静電モータ7
1は原理的には多数の電極72が所定間隔で設けられた
固定子73とこの固定子73に対向配置させた移動子7
4と各電極72に対する電圧の印加状態を制御する電源
制御手段75とにより構成されている。そして、移動子
74を固定子73上に置き、初期充電を行い、電荷を蓄
積させた後、移動させるための駆動を行い、再度充電す
る、という動作制御を繰返すことで、移動子74をステ
ップ状に駆動させるものである。
【0112】最初、移動子74は電荷を持たないので、
初期充電を行う。即ち、図16(a)に示すように、固
定子73の電極72に3つを1組として、V(+),V
(−),V(0)なる(+,−,0)の組合せパターン
の電圧を印加し、移動子74上に電極72とは逆極性の
電荷を誘導する。この場合、固定子73の電極パターン
は電荷のパターンとして移動子74上に転写される。図
16(b)に示すように、充電されると、移動子74は
固定子73に吸引され、摩擦により強く保持される。
【0113】次に、図16(c)に示すように、電極7
2に印加する電圧のパターンをV(−),V(+),V
(−)なる(−,+,−)の組合せパターンに切換え
る。この時、電極72の電荷は瞬時に入れ替わるが、移
動子74の電荷配置は、新たな平衡状態に変化するまで
に或る程度時間がかかる。切換直後における移動子74
の電荷配置は、図16(c)に示すように、(−,+,
0)となる。この時、移動子74の電荷と、それに対向
する電極72の電荷とは同符号になるため、移動子74
には浮上力が作用する。それと同時に、斜め横の電極7
2の電荷の効果が加わり、移動子74は横方向への駆動
力が働く。結果として、移動子74は図16(d)に示
すように、電極72の1ピッチ分駆動される。
【0114】このような駆動中には、移動子74の電荷
が失われるため、連続駆動すると推力が減少する。そこ
で、移動子74が静止した状態で、図16(e)に示す
ように、電極72を1相ずらしたパターンの正負の電圧
を印加し、再充電する。失われる電荷は全体の一部であ
るので、再充電時間は初期充電より短い。
【0115】このような原理に従い、電圧を印加する電
極72を1相ずつずらしてこれらの制御ステップを繰返
すことにより、移動子74は連続的に駆動することにな
る。
【0116】このような原理の静電モータ71は、ロー
タ軸4に固定されたポリゴンミラー7を移動子74とす
る一方、固定子73を図19に示すように円盤状に形成
してその片面に電極72を72a,72b,72cで示
す如く3個1組となるように円周方向に周期的として放
射状に複数個、例えば、12個形成してロータ軸4中心
にポリゴンミラー7の下面に対向するように配置させる
ことにより構成される(図17及び図18参照)。そし
て、3個1組の電極72a,72b,72cへの電圧印
加によってポリゴンミラー7の下面側に電荷を発生させ
るものであり、電極72a,72b,72cへの電圧印
加のパターンを動作原理で説明したように順次切換える
ことによりポリゴンミラー7を回転させることができ
る。
【0117】なお、電極72は3相単位の構成であれば
よく、総数は図示例に限らない。また、図18に示す軸
方向断面図は、固定子73、ロータ軸4、ポリゴンミラ
ー7等の配置を示すためのものであり、永久磁石等、他
の構成要素は図示を省略してある。もっとも、固定子7
3は下側の永久磁石28よりも上方に位置するように配
置される。また、図17ないし図19もロータ軸4に対
する実装原理を誇張して示すもので、発生可能なトルク
に対して装置を大きめに示しているが、実際的には当該
静電モータ71は図示例よりも小型化された装置構成の
場合に適用される。
【0118】これにより、高速対応の軸受構造と高速対
応のモータとの組合せ構造による光偏向走査装置1を構
成することができる。
【0119】本発明の第四の実施の形態を図20ないし
図23に基づいて説明する。本実施の形態は、偏向機能
素子としてポリゴンミラー(回転多面鏡)7に代えて、
複数の狭帯域の光干渉性反射膜を重ね合わせて互いに平
行に形成された複数の光干渉型反射面81a〜81fを
中心Oから放射状に配列した回転偏向器82を用いたも
のである。即ち、反射面81a〜81fとして、特定の
角度範囲のみの入射光を完全反射し、その他の角度では
透明になる狭帯域の光干渉性反射膜を利用した平面反射
鏡として構成したものであり、光源からの光ビームは中
心Oに向かって入射させるように設定される。このよう
な回転偏向器82を中心O周りに回転させると、入射光
は各光干渉型反射面81a〜81fにより順次反射光が
偏向走査される。
【0120】ここに、反射面を構成する光干渉型反射面
81a〜81fは多層膜からなり、特定の方位の光のみ
を反射させる。このような多層膜は、表裏の特性が殆ど
同じであるので、1枚の光干渉型反射面81が1回転す
る間に表面と裏面とによる2回の光走査が可能である。
図示例では、6枚の光干渉型反射面81a〜81fが配
置された構成であるので、回転偏向器82が1周する間
に12回の走査が可能である。従って、従来の6角柱状
のポリゴンミラーに比べて回転数を1/2にすることが
でき、高速化を図る上で有利となる。
【0121】次に、従来のポリゴンミラーと回転偏向器
82との比較について図21を参照して説明する。図2
1は入射したビーム束が反射される様子を模式的に示し
たもので、図21(a)に示す従来の多角柱形状のポリ
ゴンミラー83の場合、入射ビームの束に比べてポリゴ
ンミラー83全体が何倍も大きい。これに対して、図2
1(b)に示す本実施の形態の回転偏向器82の場合、
ほぼ入射ビームの束に等しい直径の回転部を持っている
ことが分かる。即ち、図21において矢印の幅は入射光
束及び反射光束の幅を表しており、直感的にも、従来の
ポリゴンミラー83に比べて本実施の形態の回転偏向器
82の直径が極端に小さくなることが分かる。図21
(b)によれば、ほぼ光束幅の直径を有するロータがあ
ればよいことが推測できる。また、ロータ径の4乗に比
例して空気抵抗が増加するが、本実施の形態の回転偏向
器82によれば風損をかなり低減させ得ることも容易に
理解できる。
【0122】ところで、このような光干渉型反射面81
に利用される多層膜を構成する上では、2種類の屈折率
の異なる透明物質を多層に渡って重ねると、波長選択性
の高い反射膜が得られることが知られているので、この
技術を利用すればよい。よって、理論的には、任意の帯
域の、任意の波長幅の反射膜を設計できる。つまり、従
来から知られている多層反射(或いは、無反射)コーテ
ィング膜は、強い波長選択性を有しており、従来にあっ
ては、この波長選択性を除去するように工夫していた
が、ここではこれを積極的に利用するように設計するも
のである。例えば、特定の波長λに対して正面から入射
する光を完全反射するように設計した光干渉型反射膜が
あるとすれば、前後の特定角度θ分だけを完全反射し、
その他は透過させるようにするには、λ、及び、λ(1
−cosθ)の間の波長に対して完全反射させるように設
計すればよい。
【0123】実際的な透明物質の組合せ例は容易に見つ
けることができる。一般に、屈折率の近い透明物質は、
光学用ガラスを始めとして多様な組合せが存在する。ま
た、このような異なる屈折率の透明物質の交互層は、次
のような特殊な場合でも有効である。即ち、ガラスはそ
の酸化アルカリ元素を代表とする微量成分の組成によっ
て屈折率が変化するが、微量成分を層状に添加すること
によって、このような構成が達成可能である。
【0124】また、物質の混入の代わりに、空隙を設け
ることによって屈折率変化を持たせることもできる。即
ち、ガラス基質中に多数の空孔層を形成するか、或い
は、ポーラスシリカとして知られている低密度のガラス
を蒸着させて、多層膜を形成することも可能である。
【0125】このような回転偏向器82は円盤状の透明
基質中に6枚構成の光干渉型反射面81a〜81fを埋
め込む構成が作りやすく、かつ、回転偏向器82自体の
外周面形状は回転対称形(例えば、円盤形状)が好まし
い。
【0126】ところで、光偏向走査装置1の小型化等を
図る上で、実装される回転偏向器82も極力小さくする
わけであるが、前述したような動作原理に基づき、回転
偏向器82としては入射ビームの幅程度の直径にまで小
型化できるので、本実施の形態では、回転偏向器82の
直径をロータ軸4の直径と同径とするものである。ま
た、回転偏向器82はその中心Oを横切る形で光干渉型
反射面81a〜81fが存在するため、径大なポリゴン
ミラーの場合のようにロータ軸4の外周面上に嵌合させ
る形で結合させることはできない。そこで、本実施の形
態では、回転偏向器82は、図22に示すように結合手
段85を介してロータ軸4に結合される。即ち、回転偏
向器82の上下両面には中心部に凸状にねじ86a,8
6bを有する結合部材87a,87bが一体化されてお
り、上下2分割されたロータ軸4a,4bの端部に形成
されたねじ溝88a,88bにねじ86a,86bをね
じ込むことにより一体となるように結合されている。こ
の場合も、ねじ86a,86bの向きはロータ軸4の回
転方向で締まる方向、即ち、逆回転方向の向きに切られ
ており、ロータ軸4が回転しても緩んで抜けるようなこ
とがないように構成される。
【0127】従って、本実施の形態によれば、小型対応
の軸受構造と小型対応の回転偏向器82との組合せ構造
による、より一層の小型化が可能な光偏向走査装置1を
構成することができる。
【0128】本発明の第五の実施の形態を図23に基づ
いて説明する。本実施の形態は、レーザプリンタ、デジ
タル複写機のプリンタ部等に用いられる光書込み装置へ
の適用例を示す。
【0129】この光書込み装置は、レーザ光源としての
半導体レーザ91から出射されたレーザ光をカップリン
グレンズ92によりコリメートし、シリンドリカルレン
ズ93により副走査方向だけビームを絞ってポリゴンミ
ラー7の或る反射面15に入射させてその反射により主
走査方向に偏向走査させ、fθレンズ系94や面倒れ補
正用レンズ95で収差補正し、折返しミラー96により
被照射面となる感光体97の表面にレーザスポットを走
査させることで、静電潜像を形成するものである。半導
体レーザ91は画像データに基づき変調される。また、
主走査方向の終端又は始端では、同期検出器98により
レーザ光を検知することにより、書込み開始位置を決定
するようにしている。
【0130】ここに、本実施の形態では、主走査偏向用
のポリゴンミラー7を含む光偏向走査装置(回転偏向装
置)1として、例えば第一の実施の形態に示したものが
用いられている。これにより、低消費電力化、走査速度
の向上による書込み速度の高速化及び低騒音化等を図れ
る。即ち、最近ではプリンタの高速化を図る上で、光源
のマルチビーム化が検討・実施されているが、より一層
の高速化を図るためにビーム数が8以上になると光源自
体のコストアップが顕著となり、かつ、光学系の設計・
構成も難しくなってしまう。この点、本実施の形態によ
れば、光偏向走査装置1の高速化により対処できる。
【0131】なお、光書込み装置としての構成例は、図
示例に限らない。また、光偏向走査装置(回転偏向装
置)1としても第一の実施の形態に示したものに限ら
ず、静電モータ71を用いたもの、回転偏向器82を用
いたもの等、他の実施の形態によるもの等であってもよ
い。
【0132】本発明の第六の実施の形態を図24及び図
25に基づいて説明する。本実施の形態は、RGBフル
カラーによるレーザ走査型ディスプレイへの適用例を示
す。
【0133】まず、レーザ光を発するDPSSL(ダイ
オード・ポンプド・ソリッド・ステート・レーザ)によ
るRGB3波長のレーザ光源101(101R,101
G,101B)が設けられ、各々のレーザ光を外部変調
器102に集光させて入射させる集光レンズ103が設
けられている。外部変調器102により変調されコンデ
ンサレンズ104により捕捉された各々のレーザ光を合
成するミラー105a、ダイクロイックミラー105
b,105cが設けられている。これらのミラー105
a、ダイクロイックミラー105b,105cにより光
軸が揃えられて合成されたレーザ光の入射を受けて主走
査方向に偏向走査するポリゴンミラー7が設けられてい
る。このポリゴンミラー7の反射による出射側には、駆
動源(図示せず)による回動動作により副走査方向の走
査を受け持つ副走査手段としてのガルバノミラー106
が設けられている。このガルバノミラー106の出射側
には折返しミラー107を介して、投影面であるスクリ
ーン108にレーザ光を投影照射させる投影手段として
の投影レンズ109が設けられている。
【0134】このような構成において、1画面を順次的
に高速に描画するが、描画に要する時間(フレームレー
ト)を60Hz以上にすれば連続した1枚の画像に見え
る。
【0135】RGB3波長のレーザ光源101(101
R,101G,101B)は適宜入替えることができ
る。また、ガルバノミラー106と折返しミラー107
とは逆配置でもよいが、ガルバノミラー106がポリゴ
ンミラー7に近い方が収差が小さくなることが知られて
いる。また、特に図示していないが、主走査の走査線数
が所定回数に達したとき、副走査用のガルバノミラー1
06を高速でリターンさせて初期の走査開始位置にビー
ムが戻るようにするため、主・副走査の同期が取られ
る。このため、例えばレーザ光の主走査端を非画像領域
とし、その領域でレーザ光を検知して走査本数を計数
し、所定回数に達したところでガルバノミラー106を
高速でリターンさせる。
【0136】外部変調器102としては、例えば、汎用
されている音響光学変調素子(AOM)が用いられる。
この音響光学変調素子(AOM)は入射ビーム径と変調
速度が反比例するので、高速変調を想定して、本実施の
形態ではビームを集光レンズ103により集光させて入
射させている。外部変調器102としては、この他、電
気光学変調素子(EOM)も使用可能である。
【0137】ここに、本実施の形態では、主走査偏向用
のポリゴンミラー7を含む光偏向走査装置(回転偏向装
置)1として、例えば第一の実施の形態に示したものが
用いられている。これにより、低コスト化、装置の小型
化、低騒音化及び消費電力化等を図れる。
【0138】即ち、この種のレーザ走査型ディスプレイ
においては、描画再生する画像の解像度を上げると、画
素数が増えるが、1フレームを描画する時間(フレーム
レート)は長くできないので、高速に走査しなければな
らない(同時にレーザ光を高速変調する必要があるが、
変調に関しては外部変調器で高速タイプのものが実用化
されている)。高速に走査できない場合、複数本のレー
ザ光を同時に水平走査させる手段を講ずる必要があり、
技術的に不可能ではないが、走査系が非常に複雑にな
り、かつ、各レーザ光毎に変調が必要なため、外部変調
器の数も増えてしまう。外部変調器によるコストアップ
は装置全体のコストに大きく影響する。一方、半導体レ
ーザなどを直接変調させる技術はあるものの、変調速度
を上げるとビームパワーをあまり上げられず、結果とし
て、ビーム数を増やさないと明るい画像を形成できず、
装置が益々複雑化してしまう。また、半導体レーザとし
ては、G,B用がまだ実用化されておらず、発光しても
実使用に耐えられるレベルにはない。このようなことか
ら、残されたレーザ光源の選択として現在有力なのがD
PSSL(ダイオード・ポンプド・ソリッド・ステート
・レーザ)であり、RGB3色の発光が可能である。し
かし、直接変調は難しいので、外部変調器を使用するこ
ととなる。このようなことから、ハイパワーのDSSL
光源を外部変調器で高速変調し、3色を合成して高速走
査する、というが最も現実的な選択といえる。将来的に
RGB3色の半導体レーザを利用できるようになると、
半導体レーザのマルチビーム化、或いは、半導体レーザ
を合成してハイパワー化を図る、等の方法も現実性が出
てくるが、その場合においても、なお高速に走査できる
ことは優位である。ここで、高速というのは50,00
0rpm以上、望ましくは100,000rpmの領域
であり、このような高速領域を満たす回転軸受として5
軸制御型磁気浮上軸受、或いは、玉軸受があるが、何れ
の軸受においても制御機構が複雑でコストが非常に高い
ものである。この点、前述した光偏向走査装置(回転偏
向装置)1が有する軸受機構によれば、圧倒的に構成も
制御も簡素であり、コスト的にも優位である。
【0139】なお、図24及び図25はレーザ走査型デ
ィスプレイの構成の一例を示すものであり、これらに図
示例に限られない。また、主走査用の光偏向走査装置
(回転偏向装置)1としても第一の実施の形態に示した
ものに限らず、静電モータ71を用いたもの、回転偏向
器82を用いたもの等、他の実施の形態によるもの等で
あってもよい。
【0140】
【発明の効果】請求項1記載の発明の回転偏向装置によ
れば、位置固定されたステータと、このステータに内装
されて回転軸方向を鉛直方向とするロータ軸を有するロ
ータと、前記ロータ軸を回転駆動する回転駆動機構と、
永久磁石の反発により前記ステータに対して前記ロータ
軸を浮上させるよう半径方向に軸受する1軸制御型磁気
浮上軸受と、前記ロータの浮上位置制御を含む姿勢を制
御する制御機構と、前記ロータ軸の重心付近に結合され
て入射した電磁波を反射させる偏向機能素子と、を備え
ることで、ロータがステータに内装されるインナーロー
タ構成にするとともに偏向機能素子をロータ軸の重心付
近に結合させたので、回転むらや回転ぶれを少なくする
ことが容易となり、1軸方向のみの制御でロータ回転の
安定性向上、高速化及び小型化を図る上で有利となる。
即ち、1軸制御型磁気浮上軸受を構成するロータ側磁石
やステータ側磁石を小径で厚さを増した構造にすること
が容易となり、この結果、これらの磁石の形状精度や着
磁均一性が高くなり、かつ、剛性が高くなるとともに磁
力分布の均一性も高くなることから回転性能を安定させ
ることができる。
【0141】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の回転偏向装置において、磁気的な反発力が作用する
ロータ磁石とステータ磁石との組を2組具備するが、こ
れらをロータ軸の端の方に配設することによって、ロー
タ軸の振動に対する剛性を高めることができ、1軸方向
のみの制御でロータ回転の安定性向上、高速化及び小型
化を図る上で有利となる。
【0142】請求項3記載の発明によれば、請求項2記
載の回転偏向装置において、ロータ磁石及びステータ磁
石は、円筒形状で磁極の向きがロータ軸の軸方向に設定
されているので、組付けが容易な上に強い反発力を出す
ことも容易であり、1軸方向のみの制御でロータ回転の
小型化を図る上で有利となる。
【0143】請求項4記載の発明によれば、請求項1な
いし3の何れか一記載の回転偏向装置において、ロータ
軸の上下両端を各々軸方向外方に向けて磁気的に付勢す
る構造とし、上下から引っ張ることで電磁石が1つの場
合よりも制御剛性を上げることで、ロータの高剛性化が
可能で、ロータの軸方向の制御が容易となり、1軸方向
のみの制御でロータ回転の安定性向上、高速化及び小型
化を図る上で有利となる。
【0144】請求項5記載の発明によれば、請求項1な
いし3の何れか一記載の回転偏向装置において、ロータ
軸の上下両端を吸引板とロータ浮上制御用電磁石との組
合せで各々軸方向外方に向けて磁気的に吸引する構造と
し、その通電を制御することで、ロータの高剛性化が可
能で、ロータの軸方向の制御が容易となり、1軸方向の
みの制御でロータ回転の安定性向上、高速化及び小型化
を図る上で有利となる。
【0145】請求項6記載の発明によれば、請求項5記
載の回転偏向装置において、ロータ軸の下端側に設ける
吸引板が平凸円盤形状の場合には、ロータ軸が半径方向
にずれたときに自発的に軸中心方向に復帰する力が発生
しないか発生しても極めて微弱であり、ロータを浮上安
定させることができず、或いは、できても極めて不安定
となってしまう可能性があるが、ロータ浮上制御用電磁
石に向けて突出するロータ軸中心の円錐形状又はR面形
状に形成したので、磁気吸引力として半径方向に作用す
る分力も含まれることとなり、受動剛性を動的に変化さ
せ得るため、ロータ軸が半径方向にずれたときの戻り剛
性を強くすることができ、浮上時の半径方向安定化が容
易となり、1軸方向のみの制御でロータ回転の安定性向
上、高速化及び小型化を図る上で有利となる。
【0146】請求項7記載の発明によれば、請求項1な
いし6の何れか一記載の回転偏向装置において、いわゆ
るポリゴンミラーを用いる回転偏向装置に関して、1軸
方向のみの制御でロータ回転の安定性向上、高速化及び
小型化を図ることができる。
【0147】請求項8記載の発明によれば、請求項7記
載の回転偏向装置において、上側の吸引板は回転多面鏡
とは別個に設けてもよいが、回転多面鏡に一体に設ける
ことで、装置構成の簡略化を図れ、かつ、一体構造によ
り剛性も増し、撓みも起こり難いため、回転性能(回転
むらや回転ぶれ)も安定するので、最も合理的な構成と
なる。
【0148】請求項9記載の発明によれば、請求項8記
載の回転偏向装置において、吸引板を回転多面鏡に一体
化する上で、焼き嵌めして埋め込むことにより、隙間な
く嵌合させることができ、回転多面鏡を含むロータはガ
タツキのない剛性の高いものとなり、回転性能が安定
し、1軸方向のみの制御でロータ回転の安定性向上、高
速化及び小型化を図る上で有利となる。
【0149】請求項10記載の発明によれば、請求項7
ないし9の何れか一記載の回転偏向装置において、回転
多面鏡をロータ軸に軽圧入して一体に結合させることに
より、回転多面鏡を含むロータはガタツキのない剛性の
高いものとなり、回転性能を安定させることができる。
【0150】請求項11記載の発明によれば、請求項7
ないし10の何れか一記載の回転偏向装置において、回
転多面鏡をロータ軸に軽圧入して一体化させた後に吸引
板を回転多面鏡に焼き嵌めすると、この焼き嵌め処理時
の温度上昇により軽圧入した回転多面鏡がロータ軸から
脱離してしまう可能性があるが、吸引板が既に焼き嵌め
された回転多面鏡をロータ軸に軽圧入させることで、こ
のような不具合を生ずることなく一体化させることがで
きる。
【0151】請求項12記載の発明によれば、請求項1
ないし6の何れか一記載の回転偏向装置において、前記
偏向機能素子は、複数の狭帯域の光干渉性反射膜を重ね
合わせて互いに平行に形成された複数の光干渉型反射面
を前記ロータ軸の回転中心から放射状に配列した回転偏
向器であるので、外周面ではなく回転中心を通る光干渉
型反射面を利用して反射させることで電磁波の入射幅に
収まるような小型対応の回転偏向器と小型対応の軸受構
造との組合せ構造により、より一層の小型化が可能な光
偏向走査装置を構成することができる。
【0152】請求項13記載の発明によれば、請求項1
2記載の回転偏向装置において、ロータ軸の直径と同径
に収まるような回転偏向器をロータ軸に対して確実に結
合させることができる。
【0153】請求項14記載の発明によれば、請求項1
ないし13の何れか一記載の回転偏向装置において、ロ
ータ構成部品をロータ軸に結合するねじ溝がロータ軸の
回転方向とは逆回転方向で締まるように切ることによっ
て、回転体の回転トルクは、部品を締める方向に作用す
ることとなり、ロータ軸からの部品の脱離が起こらず、
1軸方向のみの制御でロータ回転の安定性向上及び高速
化を図る上で有利となる。
【0154】請求項15記載の発明によれば、請求項1
ないし14の何れか一記載の回転偏向装置において、大
気中でロータを回転させれば風損が生ずるのは明らかで
あるが、磁気浮上軸受によれば減圧環境下でも回転駆動
可能な特徴を有するので、少なくともステータとロータ
との間や偏向機能素子周辺を減圧封止する真空構造とす
ることにより、風損の抑制が可能となり、この結果、ロ
ータの回転に要するエネルギーも下がるので、1軸方向
のみの制御でロータ回転の安定性向上、高速化及び低消
費電力化を図る上で有利となる。この際、真空構造のた
め、ステータは筐体構造を採ることとなるが、入・反射
窓が確保されて電磁波透過領域として閉止されているの
で、真空構造に支障なく、電磁波の入・出射光路が確保
され、回転偏向装置としての機能が発揮される。
【0155】請求項16記載の発明によれば、請求項1
5記載の回転偏向装置において、減圧封止する真空構造
を採る場合、回転駆動機構部分等で発生する発熱に対す
る放熱対策が必要となるが、真空構造の構成部材を熱伝
導性の高い非磁性金属により構成することにより、放熱
効果を確保することができる。
【0156】請求項17記載の発明によれば、請求項1
5又は16記載の回転偏向装置において、前記真空構造
の構成部材の表面を黒くすることで、黒体輻射効果によ
り放熱効果を高くすることができる。
【0157】請求項18記載の発明によれば、請求項1
5ないし17の何れか一記載の回転偏向装置において、
例えばヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを封止するこ
とで、真空雰囲気内の温度上昇を抑制でき、結果的に放
熱効果を高めることができる。
【0158】請求項19記載の発明によれば、請求項1
5ないし18の何れか一記載の回転偏向装置において、
ロータとステータとの対向面にヘリカル溝を有すること
で、ロータの回転に伴いロータとステータとの間の対流
循環の高い通風効果が得られ、結果的に放熱効果を高め
ることができる。
【0159】請求項20記載の発明によれば、請求項5
ないし19の何れか一記載の回転偏向装置において、危
険速度域を安全に脱出する目的に対して、危険速度域に
達した場合には、下側のロータ浮上制御用電磁石に定常
吸引力を印加させるわけであるが、これは系に対して下
向きの外乱を加えたことと等価的であり、その振動を上
側のロータ浮上制御用電磁石で検知して、この上側のロ
ータ浮上制御用電磁石に対する通電を付与された外乱を
吸収するように制御し、以って、危険速度域を通過させ
る。即ち、危険速度域に達した場合には、積極的に危険
速度自体を変化させることで、振動モードを回避するも
のであり、危険速度域が複数(共振周波数が複数)ある
回転体に対して振動制御手段として効果的に機能する。
特に、制御すべき量を見計らって制御しているので、安
全で制御性に優れた対応策となる。
【0160】請求項21記載の発明によれば、請求項5
ないし19の何れか一記載の回転偏向装置において、基
本的には上側のロータ浮上制御用電磁石による吸引力と
下側のロータ浮上制御用電磁石による吸引力とのプッシ
ュプル制御によりロータ軸の浮上量のバランス制御を行
うが、危険速度域に達した場合にはプッシュプル制御の
制御電流値を切換えることで系の剛性を高め、危険速度
域の振動を抑制することができる。即ち、危険速度域に
達した場合には、積極的に危険速度自体を変化させるこ
とで、振動モードを回避するものであり、危険速度域が
複数(共振周波数が複数)ある回転体に対して振動制御
手段として効果的に機能させることができる。
【0161】請求項22記載の発明によれば、請求項5
ないし19の何れか一記載の回転偏向装置において、予
め当該装置の危険速度を測定し、それ以上の回転速度か
らロータを浮上させるように制御することによっても、
危険速度域を安全に突破することができる。
【0162】請求項23記載の発明によれば、請求項1
ないし19の何れか一記載の回転偏向装置において、ス
テータの底部にダンパを設ける構成によっても、ロータ
とステータとの非接触状態を保持したまま、危険速度域
を突破して、高速回転域に移行させることができる。
【0163】請求項24記載の発明によれば、請求項2
3記載の回転偏向装置において、ダンパは危険速度域で
比較的強い振動が発生したときのみ作用すれば、十分な
振動軽減効果が得られる。
【0164】請求項25記載の発明の光書込み装置によ
れば、より簡易な制御構成が可能な1軸制御型磁気浮上
軸受を用いて1軸方向のみの制御でロータ回転の安定性
向上、高速化及び小型化を図れる請求項1ないし24の
何れか一記載の回転偏向装置を備えるので、小型にして
安定した高速書込みが可能となる。
【0165】請求項26記載の発明のレーザ走査型ディ
スプレイによれば、より簡易な制御構成が可能な1軸制
御型磁気浮上軸受を用いて1軸方向のみの制御でロータ
回転の安定性向上、高速化及び小型化を図れる請求項1
ないし24の何れか一記載の回転偏向装置を備えるの
で、小型にして安定した高精細な表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態の光偏向走査装置を
示す縦断正面図である。
【図2】その水平端面図である。
【図3】永久磁石の組合せを示す分解斜視図である。
【図4】モータ付近の構成を示す水平断面図である。回
転数に対する半径方向振幅幅のP−P値を示すロータ回
転時の特性図である。
【図5】回転数に対する半径方向振幅幅のP−P値を示
すロータ回転時の特性図である。
【図6】系に作用する力を模式的に示す説明図である。
【図7】通信制御手段の構成例を示すブロック図であ
る。
【図8】通常動作時での静止時におけるインパルス応答
の周波数特性を示す特性図である。
【図9】通常動作時とステップ状の電流を与えた状態と
を対比させたインパルス応答の周波数特性を示す特性図
である。
【図10】アウターロータ構成の1軸制御型磁気浮上軸
受を用いた従来方式と本実施の形態方式とのロータ軸の
軸回り回転ブレ量の測定結果を示す特性図である。
【図11】本発明の第二の実施の形態において系に作用
する力を模式的に示す説明図である。
【図12】通信制御手段の構成例を示すブロック図であ
る。
【図13】ダンパが追加された光偏向走査装置の一例を
示す縦断正面図である。
【図14】ダンパが追加された光偏向走査装置の他例を
示す縦断正面図である。
【図15】ダンパ追加時の静止時におけるインパルス応
答の周波数特性を示す特性図である。
【図16】本発明の第三の実施の形態の静電モータの動
作原理を示す模式的な説明図である。
【図17】静電モータの概略斜視図である。
【図18】その軸方向断面図である。
【図19】固定子の平面図である。
【図20】本発明の第四の実施の形態の回転偏向器の動
作原理を示す概略平面図である。
【図21】ポリゴンミラーと対比させて示す特徴説明図
である。
【図22】回転偏向器の結合構造を示す分解正面図であ
る。
【図23】本発明の第五の実施の形態の光書込み装置を
示す斜視図である。
【図24】本発明の第六の実施の形態のレーザ走査型デ
ィスプレイを示す平面的構成図である。
【図25】その側面的構成図である。
【符号の説明】
1 回転偏向装置 3 ステータ 4 ロータ軸 5 ロータ 6 回転駆動機構 7 回転多面鏡、偏向機能素子 8 1軸制御型磁気浮上軸受 9 制御機構 15 反射面 16 入・反射窓 21 ロータ磁石 24 ステータ磁石 25 ロータ磁石 27 下側の吸引板 28 ステータ磁石 41 軸方向吸引制御機構 42 ロータ浮上制御用電磁石 43 上側の吸引板 44 ロータ浮上制御用電磁石 51 通電制御手段 60 上側吸引力制御手段 61 下側吸引力制御手段 62 通電制御手段 65 切換え手段 66 プッシュプル制御手段 68,69 ダンパ 71 回転駆動機構 81 光干渉型反射面 82 回転偏向器、偏向機能素子 85 結合手段 91 レーザ光源 97 被照射面 101 レーザ光源 102 外部変調器 106 副走査装置 108 投影面 109 投影手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 外史 石川県金沢市小立野2−40−20 金沢大学 工学部付属電磁場制御実験施設内 (72)発明者 大路 貴久 石川県金沢市小立野2−40−20 金沢大学 工学部付属電磁場制御実験施設内 Fターム(参考) 2C362 BA04 BA10 2H045 AA07 AA14 AA15 AA28 AA33 AA53 DA41 3J102 AA01 BA03 BA17 BA18 CA09 CA27 DA07 DA09 DB05 DB11 DB16 DB22 GA02 5H605 AA07 BB10 CC04 DD05 DD09 EA09 EA19 EB02 EB09 EC20 5H607 BB01 BB07 BB14 CC03 CC09 DD03 DD15 GG07 GG19 GG21 HH01 HH03 HH08

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 位置固定されたステータと、 このステータに内装されて回転軸方向を鉛直方向とする
    ロータ軸を有するロータと、 前記ロータ軸を回転駆動する回転駆動機構と、 永久磁石の反発により前記ステータに対して前記ロータ
    軸を浮上させるよう半径方向に軸受する1軸制御型磁気
    浮上軸受と、 前記ロータの浮上位置制御を含む姿勢を制御する制御機
    構と、 前記ロータ軸の重心付近に結合されて入射した電磁波を
    反射させる偏向機能素子と、を備える回転偏向装置。
  2. 【請求項2】 前記1軸制御型磁気浮上軸受は、 前記ロータ軸の上下両端部付近に結合された一対のロー
    タ磁石と、 各々の前記ロータ磁石に対して永久磁石の反発力が作用
    するよう対向させて前記ステータに取付けられた一対の
    ステータ磁石と、により構成されている請求項1記載の
    回転偏向装置。
  3. 【請求項3】 前記ロータ磁石及び前記ステータ磁石
    は、円筒形状で磁極の向きが前記ロータ軸の軸方向に設
    定されている請求項2記載の回転偏向装置。
  4. 【請求項4】 前記制御機構は、少なくとも、前記ステ
    ータ側に設けられて前記ロータ軸の上下両端を各々軸方
    向外方に向けて付勢する上下一対のロータ浮上制御用電
    磁石と、これらのロータ浮上制御用電磁石に対する通電
    制御手段と、を備える請求項1ないし3の何れか一記載
    の回転偏向装置。
  5. 【請求項5】 前記制御機構は、少なくとも、前記ロー
    タに対して軸方向に離間させて取付けられた上下一対の
    吸引板と前記ステータ側に設けられて前記吸引板を各々
    軸方向外方に向けて吸引する上下一対のロータ浮上制御
    用電磁石とによる軸方向吸引制御機構と、これらのロー
    タ浮上制御用電磁石に対する通電制御手段と、を備える
    請求項1ないし3の何れか一記載の回転偏向装置。
  6. 【請求項6】 下側の前記吸引板の電磁石対向面は、下
    側の前記ロータ浮上制御用電磁石に向けて突出する前記
    ロータ軸中心の円錐形状又はR面形状に形成されている
    請求項5記載の回転偏向装置。
  7. 【請求項7】 前記偏向機能素子は、外面に複数の反射
    面を有する回転多面鏡である請求項1ないし6の何れか
    一記載の回転偏向装置。
  8. 【請求項8】 上側の前記吸引板は、前記ロータ軸より
    径大な前記回転多面鏡の上面に一体化されて前記ロータ
    に取付けられている請求項7記載の回転偏向装置。
  9. 【請求項9】 上側の前記吸引板は、前記回転多面鏡の
    上面に焼き嵌めして埋め込まれることにより一体化され
    ている請求項8記載の回転偏向装置。
  10. 【請求項10】 前記回転多面鏡は、前記ロータ軸に対
    して軽圧入されて一体に結合されている請求項7ないし
    9の何れか一記載の回転偏向装置。
  11. 【請求項11】 前記ロータ軸より径大でその上面に上
    側の前記吸引板が焼き嵌めして埋め込まれた前記回転多
    面鏡が、前記ロータ軸に対して軽圧入されて一体に結合
    されている請求項7ないし10の何れか一記載の回転偏
    向装置。
  12. 【請求項12】 前記偏向機能素子は、複数の狭帯域の
    光干渉性反射膜を重ね合わせて互いに平行に形成された
    複数の光干渉型反射面を前記ロータ軸の回転中心から放
    射状に配列した回転偏向器である請求項1ないし6の何
    れか一記載の回転偏向装置。
  13. 【請求項13】 前記回転偏向器は、結合手段により前
    記ロータ軸中に結合されている請求項12記載の回転偏
    向装置。
  14. 【請求項14】 前記ロータ構成部品を前記ロータ軸に
    結合するねじ溝は、前記ロータ軸の回転方向と逆回転方
    向で締まるように切られている請求項1ないし13の何
    れか一記載の回転偏向装置。
  15. 【請求項15】 入・反射窓が電磁波透過領域として閉
    止されるとともに、前記偏向機能素子を含む前記ロータ
    と前記ステータとの間の空間を減圧封止する真空構造を
    備える請求項1ないし14の何れか一記載の回転偏向装
    置。
  16. 【請求項16】 前記真空構造の構成部材は、熱伝導性
    の高い非磁性金属により構成されている請求項15記載
    の回転偏向装置。
  17. 【請求項17】 前記真空構造の構成部材は、黒体輻射
    効果を呈示するよう表面が黒くされている請求項15又
    は16記載の回転偏向装置。
  18. 【請求項18】 前記ロータと前記ステータとの間の空
    間は、粘性抵抗が低く熱伝導性の高い不活性ガスで減圧
    封止されている請求項15ないし17の何れか一記載の
    回転偏向装置。
  19. 【請求項19】 前記ロータと前記ステータとの対向面
    に、ヘリカル溝を有する請求項15ないし18の何れか
    一記載の回転偏向装置。
  20. 【請求項20】 前記通電制御手段は、上側の前記ロー
    タ浮上制御用電磁石による上方への吸引力をF1、下側
    の前記ロータ浮上制御用電磁石による下方への定常吸引
    力をFd、前記ロータの自重をm、重力をg、前記1軸
    制御型磁気浮上軸受における永久磁石の反発力をFpと
    したとき、 mg+Fp+F1=0を常に満たすように前記吸引力F
    1を制御する上側吸引力印加手段と、 前記ロータ軸の回転速度が危険速度域に達した時に下側
    の前記ロータ浮上制御用電磁石に前記定常吸引力Fdを
    印加する下側吸引力印加手段と、を備える請求項5ない
    し19の何れか一記載の回転偏向装置。
  21. 【請求項21】 前記通電制御手段は、 上側の前記ロータ浮上制御用電磁石による上方への吸引
    力をF1、下側の前記ロータ浮上制御用電磁石による下
    方への吸引力をF2、前記ロータの自重をm、重力を
    g、前記1軸制御型磁気浮上軸受における永久磁石の反
    発力をFpとしたとき、 mg+Fp+F1+F2=0を常に満たすように前記吸
    引力F1,F2をプッシュプル制御するプッシュプル制
    御手段と、 前記ロータ軸の回転速度が危険速度域に達した場合とそ
    れ以外の場合とでプッシュプル制御の制御電流値を切換
    える切換え手段と、を備える請求項5ないし19の何れ
    か一記載の回転偏向装置。
  22. 【請求項22】 前記通電制御手段は、前記ロータ軸の
    回転速度が予め測定された危険速度を超えた後に前記ロ
    ータを浮上させる浮上開始制御手段を備える請求項5な
    いし19の何れか一記載の回転偏向装置。
  23. 【請求項23】 前記ステータの底部にダンパを備える
    請求項1ないし19の何れか一記載の回転偏向装置。
  24. 【請求項24】 前記ダンパは、危険速度域における振
    動に対して作用する請求項23記載の回転偏向装置。
  25. 【請求項25】 電磁波としてレーザ光を発するレーザ
    光源と、 このレーザ光源から発せられたレーザ光を入・反射させ
    て被照射面に向けて偏向走査する請求項1ないし24の
    何れか一記載の回転偏向装置と、を備える光書込み装
    置。
  26. 【請求項26】 電磁波としてレーザ光を発するレーザ
    光源と、 このレーザ光源から発せられたレーザ光を画情報に応じ
    て変調する外部変調器と、 変調されたレーザ光を入・反射させて主走査方向に偏向
    走査する請求項1ないし24の何れか一記載の回転偏向
    装置と、 変調されたレーザ光を副走査方向に走査する副走査装置
    と、 主走査方向に偏向走査され副走査方向に走査されるレー
    ザ光を投影面に向けて照射する投影手段と、を備えるレ
    ーザ走査型ディスプレイ。
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