JP2003328193A - 電気メッキ装置におけるクリップ式のワークハンガー - Google Patents

電気メッキ装置におけるクリップ式のワークハンガー

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JP2003328193A JP2002139183A JP2002139183A JP2003328193A JP 2003328193 A JP2003328193 A JP 2003328193A JP 2002139183 A JP2002139183 A JP 2002139183A JP 2002139183 A JP2002139183 A JP 2002139183A JP 2003328193 A JP2003328193 A JP 2003328193A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚さの異なるワークに対しても接点が確実に
面接触されるクリップ式のワークハンガーを提供する。
また、メッキ液中に入れられる部分をワークとの接点を
除いて確実に絶縁被覆できるようにし、且つ絶縁被覆体
を簡単に取り替え出来るようにしたワークハンガーを提
供する。 【解決手段】 ワークハンガーの各挟持用クリップ4
は、固定側接点7を持つ固定側挟持杆5と、前記固定側
接点に対して閉じる方向に付勢された可動側接点8を持
つ可動側挟持杆6とを備え、前記可動側接点を可動体1
3の対向面にて形成し、前記可動体は支持軸14を介し
て前記可動側接点が上下方向に回動されるように構成し
た。また、前記挟持用クリップの下部側は各接点7,8
を除いてシリコンゴム製の絶縁キャップ20で脱着自在
に被嵌した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気メッキ装置に
おけるクリップ式のワークハンガーに係るものであり、
陰極バーからワークへの通電効率を高めると共に、ワー
クをクランプする接点部の接触不良を防止して確実な通
電を行えるようにし、特に略平板状のワークの厚さの変
化に対しても安定して通電及び支持できるようにしたワ
ークハンガーに関する。
【0002】
【従来の技術】電気メッキ装置において用いられるワー
クハンガーは、メッキ液中に入れられてメッキ処理され
るワークを支持し、電流を陰極バーから前記ワークへ通
電するものである。プリント基板などの略平板状のワー
クに使用されるワークハンガーとして、本出願人は従来
から、前記陰極バーに横移動自在に吊り下げ支持される
支持機能と該陰極バーに導電的に接続される接触機能と
を併せ持つ支持部材と、この支持部材の下部に該支持部
材と一体的に構成されるか又は前記支持部材の下部に導
電的に接続されるように面接触状態に固着され、前記ワ
ークの横長辺の方向に沿って延ばされた横長基板と、こ
の横長基板にそれぞれ取付けられ、前記ワークの上部を
挟持し、該ワークを懸垂状態に吊り下げ支持する複数の
挟持用クリップとから構成したものを用いている。
【0003】そして、前記挟持用クリップとして、本出
願人は従来から、上部を前記横長基板に導電的に接続さ
れるように面接触状態に固着され下部に固定側接点を設
けた固定側挟持杆と、この固定側挟持杆の中間部に軸ピ
ンを介してその中間部を枢着された可動側挟持杆とを備
え、この可動側挟持杆の下部に前記固定側接点と対向す
る可動側接点を設け、前記固定側挟持杆の上部側と前記
可動側挟持杆の上部側の間にコイルバネなどの弾性部材
を介装し、この弾性部材の弾力によって前記軸ピンを支
点として前記可動側接点を前記固定側接点に対して閉じ
る方向に付勢してあり、前記固定側接点に対して閉じら
れた前記可動側接点との間で前記ワークの上部を懸垂状
態に挟持できるように構成したものを用いている。
【0004】本出願人がすでに用いている前述したクリ
ップ式のワークハンガーは、図9にその接点部を示すよ
うに、略平板状のワークWと共にメッキ液A中に入れら
れる挟持用クリップの下部側すなわち前記固定側挟持杆
5及び前記可動側挟持杆6の各下部側を各接点(固定側
接点7と可動側接点8)を除いて塩化ビニル樹脂から成
る非導電性層30にて被覆し、各接点7,8を前記非導
電性層30からわずかに突出させるか、又は前記非導電
性層30の表面とほぼ同じ高さに形成している。また、
図9に示したクリップ式のワークハンガーは、各接点
7,8を前記固定側挟持杆5及び前記可動側挟持杆6に
対して両接点とも固定的に設けた、いわゆる両接点固定
型に構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術で述べた、
いわゆる両接点固定型のクリップ式のワークハンガー
は、クランプされるワークの厚さが一定の場合に面接触
されるように設定してあるため、平板状のワークの厚さ
が変化した場合、この厚さの変化によって挟持位置が変
位される前記可動側挟持杆6の可動側接点8が前記ワー
クWのワーク面と面接触されずに線接触あるいは点接触
となってしまう。したがって、ワークが設定以外の厚さ
に変化した場合、ワークを確実に挟持できず安定した支
持ができず、しかも、陰極バーから挟持用クリップを経
てワークへ電流を通電する場合、ワーク面に対して面接
触状態にある固定側接点を介してワークへ主に通電さ
れ、ワーク面に対して線接触あるいは点接触状態にある
可動側接点からはワークへ余り通電されず、全体として
挟持用クリップからワークへの通電効率が劣るものであ
った。このような実情に鑑み、本発明の第一の課題は略
平板状のワークを設定以外の厚さのワークに交換した場
合でも可動側接点がワーク面に対して確実に面接触され
るようにして、固定側接点との間でワークを確実に挟持
できるようにすると共に可動側接点側からもワークへ効
率良く通電されるようにし、全体として前記挟持用クリ
ップからワークへの導電効率を上げることができるよう
にしたクリップ式のワークハンガーを提供することであ
る。
【0006】また、従来の技術で述べたクリップ式のワ
ークハンガーは、ワークと共にメッキ液中に入れられる
挟持用クリップの下部側すなわち前記固定側挟持杆5及
び前記可動側挟持杆6の各下部側を各接点(固定側接点
7と可動側接点8)を除いて塩化ビニル樹脂から成る非
導電性層30にて被覆し、各接点7,8を前記非導電性
層30からわずかに突出させるか、又は前記非導電性層
30の表面とほぼ同じ高さに形成している。このため、
図9に示したように、前記非導電性層30からわずかに
突出された各接点7,8によって前記ワークW面と前記
非導電性層30との間に各接点7,8の周壁を露出させ
た隙間が生じ、この隙間から絶縁されていない各接点の
周壁はもとよりワーク面に接触された各接点7,8にも
メッキ液が浸入し、各接点及び各接点の周壁に貝殻形状
のメッキ塊Pが生成され付着される弊害があった。この
ため、各接点及び各接点の周壁に付着された貝殻形状の
メッキ塊Pによってワークとの接触不良が生じ通電不良
を生じる弊害があった。しかも、貝殻形状のメッキ塊P
を各接点及び各接点の周壁から取り除く作業を行う必要
があるが、貝殻形状のメッキ塊Pは各接点及び各接点の
周壁にしっかり付着されているため取り除き作業は極め
て困難であった。また、長期の使用により劣化した被覆
体(前記非導電性層30)は約6ヶ月のサイクルで交換
されているが、弾力性に乏しい塩化ビニル樹脂から成る
被覆体では取り替え作業が困難であった。このような実
情に鑑み、本発明の第二の課題はメッキ液中に入れられ
る挟持用クリップの下部側をワークと接触される各接点
を除いて確実に絶縁できるようにし、従来のワークハン
ガーのように各接点及び各接点の周壁に貝殻形状のメッ
キ塊が生成され付着される弊害を解消し、ワークをクラ
ンプする各接点の接触不良を防止して確実な通電を行え
るようにし、更に消耗品である絶縁被覆体を簡単に取り
替えることが出来るようにしたクリップ式のワークハン
ガーを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電気メッキ
装置におけるクリップ式のワークハンガーは、メッキ液
(A)中に入れられてメッキ処理される略平板状のワー
ク(W)を懸垂状態に支持し、電流を陰極バー(B)か
ら前記ワークへ通電する電気メッキ装置におけるワーク
ハンガー(1)であり、このワークハンガーは、前記陰
極バーに横移動自在に吊り下げ支持される支持機能と該
陰極バーに導電的に接続される接触機能とを併せ持つ支
持部材(2)と、この支持部材の下部に該支持部材と一
体的に構成されるか又は前記支持部材の下部に導電的に
接続されるように面接触状態に固着され、前記ワークの
横長辺の方向に沿って延ばされた横長基板(3)と、こ
の横長基板にそれぞれ取付けられ、前記ワークの上部を
挟持し、該ワークを懸垂状態に吊り下げ支持する複数の
挟持用クリップ(4)とから構成され、電流を前記陰極
バーから前記支持部材、前記横長基板、前記挟持用クリ
ップを経て、各挟持用クリップから前記ワークへ通電さ
れるように前記ワークハンガーの前記各構成部分である
前記支持部材、前記横長基板及び前記挟持用クリップを
導電性材料で形成してあり、前記挟持用クリップ(4)
は、上部を前記横長基板に導電的に接続されるように面
接触状態に固着され下部に固定側接点(7)を設けた固
定側挟持杆(5)と、この固定側挟持杆の中間部に軸ピ
ン(10)を介してその中間部を枢着された可動側挟持
杆(6)とを備え、この可動側挟持杆の下部に前記固定
側接点と対向する可動側接点(8)を設け、前記固定側
挟持杆の上部側と前記可動側挟持杆の上部側の間にコイ
ルバネなどの弾性部材(11)を介装し、この弾性部材
の弾力によって前記軸ピンを支点として前記可動側接点
を前記固定側接点に対して閉じる方向に付勢してあり、
前記固定側接点に対して閉じられた前記可動側接点との
間で前記ワークの上部を挟持できるように構成したもの
であり、特に、前記した第一の課題を解決するため、前
記固定側接点を前記固定側挟持杆の下部から対向方向へ
向けて突出された突部(12)の対向面にて形成し、前
記可動側接点を前記可動側挟持杆の下部に取付けられた
可動体(13)の対向面にて形成し、前記可動体の対向
面すなわち可動側接点を前記可動側挟持杆から対向方向
へ向けて突出するように配設し、前記可動体は該可動体
の対向面すなわち前記可動側接点を前記固定側接点に対
して互いの接触面が正対して向き合う角度に変位可能と
なるように前記可動側挟持杆の下部に支持軸(14)を
介して該可動体の対向面すなわち可動側接点が上下方向
に回動されるように軸支され、前記可動体の対向面すな
わち前記可動側接点を前記ワークの厚さの変化に対応さ
せて前記ワークのワーク面と面接触される回動角度でワ
ークを挟持できるように構成し、前記ワークと共にメッ
キ液中に入れられる前記固定側挟持杆と前記可動側挟持
杆の各下部側をそれぞれ着脱自在に被嵌する絶縁キャッ
プ(20)を設け、これらの絶縁キャップは、弾力性を
有する非導電性物質で形成され、前記固定側接点と可動
側接点の被嵌部位にこれらの接点のみ露出させる開口部
(21)を形成したことを特徴としている。
【0008】また、本発明に係る電気メッキ装置におけ
るクリップ式のワークハンガーは、前記した第二の課題
を解決するため、前記絶縁キャップ(20)は弾力性を
有する非導電性物質であるゴム材で形成され、このゴム
製の絶縁キャップに前記開口部(21)を囲む突縁部
(22)を一体に形成し、前記突縁部は、前記突部(1
2)の周壁又は前記可動体の突出部分の周壁を密接的に
被うように形成され、且つ各接点の突出位置よりわずか
に突出させて形成したことを特徴とする。更に、前記絶
縁キャップ(20)は弾力性を有する非導電性物質であ
るシリコンゴムで形成されたことを特徴とするものであ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面
を参照して説明する。図1は本発明の一部縦断側面図、
図2は本発明の正面図、図3は薄板状ワークの挟持状態
を示した本発明の挟持用クリップ部の拡大側面図、図4
は厚板状ワークの挟持状態を示した本発明の挟持用クリ
ップ部の拡大側面図、図5は本発明の挟持用クリップ部
を固定側と可動側に分離し、それぞれ挟持方向から看た
拡大分解正面図、図6は可動側挟持杆の下部側を拡大し
て示す側面図、図7は可動側挟持杆の下部側を挟持方向
から看た拡大正面図、図8は可動側挟持杆の下部側に絶
縁キャップを装着する状態を説明的に示した側面図であ
る。
【0010】図中、符号1は電気メッキ装置において用
いられるワークハンガーであり、このワークハンガー1
は、メッキ液A中に入れられてメッキ処理されるプリン
ト基板などの略平板状のワークWを懸垂状態に支持し、
電流を陰極バーBから前記ワークWへ通電するものであ
る。このワークハンガー1は、前記陰極バーBに横移動
自在に吊り下げ支持される支持機能と該陰極バーBに導
電的に接続される接触機能とを併せ持つ支持部材2と、
この支持部材2の下部に導電的に接続されるように固定
ボルトC1によって面接触状態に固着され、前記ワーク
Wの横長辺の方向に沿って延ばされた長方形状の横長基
板3と、この横長基板3に該横長基板3の横長方向に適
宜間隔を配してそれぞれ取付けられ、前記ワークWの上
部を挟持し、該ワークWを懸垂状態に吊り下げ支持する
複数(図では4個)の挟持用クリップ4とから構成され
ている。電流を前記陰極バーBから前記支持部材2、前
記横長基板3、前記挟持用クリップ4を経て、各挟持用
クリップ4から前記ワークWへ通電されるように前記ワ
ークハンガー1の前記各構成部分(前記支持部材2、前
記横長基板3及び前記挟持用クリップ4)を導電性材料
で形成してある。具体的には電導度や引張り強さを考慮
して、前記支持部材2と前記挟持用クリップ4はステン
レス鋼、前記横長基板3は銅又は黄銅で形成している。
【0011】前記挟持用クリップ4は、上部を前記横長
基板3に導電的に接続されるように面接触状態に固定ボ
ルトC2によって固着され、下部に固定側接点7を設け
た固定側挟持杆5と、この固定側挟持杆5の中間部に固
着されたブラケット9に軸ピン10を介してその中間部
を枢着された可動側挟持杆6とを備え、この可動側挟持
杆6の下部に前記固定側接点7と対向する可動側接点8
を設けている。更に、前記固定側挟持杆5の上部側と前
記可動側挟持杆6の上部側の間にコイルバネから成る弾
性部材11を介装し、この弾性部材(コイルバネ)11
の弾力によって前記軸ピン10を支点として前記可動側
接点8を前記固定側接点7に対して閉じる方向に付勢し
てあり、前記固定側接点7に対して閉じられた前記可動
側接点8との間で前記ワークWの上部を懸垂状態に挟持
できるように構成してある。前記弾性部材(コイルバ
ネ)11の弾力に抵抗して前記可動側挟持杆6の上部側
を前記固定側挟持杆5の上部側に向けて押圧すれば、前
記可動側接点8は前記固定側接点7から離れる方向に移
動され、各接点は開放される。なお、前記挟持用クリッ
プ4に対する前記ワークWの装着又は脱着に際して、各
挟持用クリップ4の可動側挟持杆6の上部側を前記弾性
部材(コイルバネ)11の弾力に抵抗して同時に押圧し
て行うが、この押圧は図示しない機械的な強制力を用い
て行われる。
【0012】前記固定側接点7は、前記固定側挟持杆5
の下部から対向方向へ向けて突出された突部12の対向
面(頂部面)にて形成される。この対向面(頂部面)す
なわち前記固定側接点7は、図5(a)に示すように接
触面を矩形状とした矩形状接点に形成してある。前記突
部12(前記固定側接点7)の形成手段として図示した
実施形態では、前記固定側挟持杆5と成るステンレス鋼
製の板体の対向面側の下方部を前記突部12の形態を残
して切削し、前記固定側挟持杆5と前記突部12(前記
固定側接点7)とを一体的に形成してある。このように
前記突部12(前記固定側接点7)を前記固定側挟持杆
5から一体形成してあるため、前記可動側挟持杆6に比
して構造的にワークへの通電効率が本来的に高い前記固
定側挟持杆5側からの通電効率を更に高めることが出来
る。尚、図面に示した前記突部12の突出幅は約3mm
に形成してある。
【0013】前記可動側接点8は、前記可動側挟持杆6
の下部に取付けられた可動体13の対向面にて形成さ
れ、この可動体13の対向面すなわち可動側接点8は前
記可動側挟持杆6から対向方向へ向けて突出するように
配設される。この配設状態において、前記可動体13
は、該可動体13の対向面すなわち可動側接点8を前記
固定側接点7に対して互いの接触面が正対して向き合う
角度に変位可能となるように前記可動側挟持杆6の下部
に支持軸14を介して該可動体13の対向面すなわち可
動側接点8が上下方向に回動(図6に矢印で示す)され
るように軸支され、前記可動体13の対向面すなわち可
動側接点8を前記ワークWの厚さの変化に対応させて前
記ワークWのワーク面と面接触される回動角度でワーク
Wを挟持できるように構成されている。
【0014】前記可動体13すなわち可動側接点8につ
いて図示の実施形態に基づいて更に具体的に説明する。
前記可動体13は直方形態に形成され、この可動体13
の一面を前記可動側接点8として機能させている。この
可動側接点8は図5(b)及び図7で示すように接触面
を矩形状とした矩形状接点に形成されている。前記可動
側挟持杆6の下端部に対向方向に向けられた断面逆凹部
状の溝部15を形成している。この溝部15内に前記可
動体13を該可動体13の前記可動側接点8が前記溝部
15内から対向方向へ向けて突出されるように配設し、
この配設状態において、前記溝部15内に該溝部15と
直交する方向に架設されて固着された前記支持軸14を
前記可動体13に形成した貫通孔16内に軸通させるこ
とによって該可動体13の前記可動側接点8が前記支持
軸14を中心にして上下方向に回動(図6に矢印で示
す)されるように構成されている。前記貫通孔16の内
面は前記支持軸14の周りを回転方向に摺動されるよう
に構成され、また前記可動体13は該可動体13の両側
壁が前記溝部15の対向側壁に沿って摺動されながら回
動されるように構成されている。このように前記可動体
13を摺動的に回動させることによって、前記可動体1
3への導電効率の低下を防止している。前記溝部15内
の頂部面と前記可動体の頂部面との間に前記可動体の回
動を許容し且つその回動範囲を前記可動側接点8が前記
固定側接点7の方向に向けられた上下範囲に規制する隙
間17を形成してある。尚、図面に示した前記可動体1
3の突出幅は約3mmに形成してある。
【0015】前記ワークWと共にメッキ液A中に入れら
れる前記固定側挟持杆5と前記可動側挟持杆6の各下部
側をそれぞれ着脱自在に被嵌する絶縁キャップ20を設
け、これらの絶縁キャップ20は、弾力性を有する非導
電性物質で形成され、前記固定側接点7と可動側接点8
の被嵌部位にこれらの接点のみ露出させる開口部21を
形成してある。前記絶縁キャップ20は弾力性を有する
非導電性物質であるゴム材(シリコンゴム)で形成さ
れ、このシリコンゴム製の絶縁キャップ20に前記開口
部21を囲む突縁部22を一体的に形成してある。前記
突縁部22は、前記突部12の周壁又は前記可動体13
の突出部分の周壁を密接的に被うように形成され、且つ
各接点7,8の突出位置よりわずかに突出させて形成し
てある。前記突縁部22は、各接点7,8の突出位置よ
りわずかに突出させて形成してあるが、各接点7,8を
開けた状態では各接点7,8より突出された状態にあ
り、各接点7,8を閉じた状態では前記ワークWを挟ん
で各接点7,8が圧接されるように変形される。このよ
うにして、前記ワークWと共にメッキ液A中に入れられ
る前記固定側挟持杆5と前記可動側挟持杆6の各下部側
は、各接点7,8を除いて前記絶縁キャップ20によっ
てメッキ液Aから確実に隔絶され確実に絶縁される。ま
た、シリコンゴム製の前記キャップ20は、特に優れた
弾力性を有しているため、図8に示したように、その装
脱着に際しては、各接点7,8の突出形態に対応して容
易に変形されることから、挟持用クリップへの装着ある
いは挟持用クリップからの脱着が容易であり、絶縁被覆
体(絶縁キャップ)の取り替え作業を簡単に行うことが
出来る。
【0016】図1,2において、符号25は導電線であ
り、この導電線25を介して前記挟持用クリップ4の各
可動側挟持杆6の上部側と前記横長基板3とをそれぞれ
導電的に接続している。前記導電線25は例えば銅線を
塩化ビニル樹脂で被覆したもので、この導電線25の接
続端部は固定ボルトを介して前記横長基板3や前記可動
側挟持杆6の上部側に固着されている。前記挟持用クリ
ップ4の各可動側挟持杆6の上部側と前記横長基板3と
を前記導電線25を介してそれぞれ導電的に接続したこ
とによって、陰極バーBから前記挟持用クリップ4を経
てワークWへ電流を通電する場合、陰極バーBから導電
性部材(前記支持部材2や前記横長基板3)の面接触部
を経由して通電された電流は、前記導電性部材に面接触
状態に固着された前記挟持用クリップ4の一方の挟持杆
(前記固定側挟持杆5)を介してワークWへ通電される
と共に、前記挟持用クリップ4の他方の挟持杆(前記可
動側挟持杆6)からもワークWへ効率良く通電され、全
体として前記挟持用クリップ4からワークWへの導電効
率を上げることができ、陰極バーBからワークWへの導
電効率を高めることができる。
【0017】
【発明の効果】請求項1、2に記載した本発明に係る電
気メッキ装置におけるクリップ式のワークハンガーによ
れば、前記固定側接点を前記固定側挟持杆の下部から対
向方向へ向けて突出された突部(12)の対向面にて形
成し、前記可動側接点を前記可動側挟持杆の下部に取付
けられた可動体(13)の対向面にて形成し、前記可動
体の対向面すなわち可動側接点を前記可動側挟持杆から
対向方向へ向けて突出するように配設し、前記可動体は
該可動体の対向面すなわち前記可動側接点を前記固定側
接点に対して互いの接触面が正対して向き合う角度に変
位可能となるように前記可動側挟持杆の下部に支持軸
(14)を介して該可動体の対向面すなわち可動側接点
が上下方向に回動されるように軸支され、前記可動体の
対向面すなわち前記可動側接点を前記ワークの厚さの変
化に対応させて前記ワークのワーク面と面接触される回
動角度でワークを挟持できるように構成したことによっ
て、略平板状のワークを設定以外の厚さのワークに交換
した場合でも可動側接点がワーク面に対して確実に面接
触され、固定側接点との間でワークを確実に挟持できる
と共に可動側接点側からもワークへ効率良く通電され、
全体として前記挟持用クリップからワークへの導電効率
を上げることができ、陰極バーからワークへの導電効率
を高めることができる。
【0018】また、請求項4、5に記載した本発明に係
る電気メッキ装置におけるクリップ式のワークハンガー
によれば、ワークと共にメッキ液中に入れられる挟持用
クリップの下部側において、各接点(前記固定側接点,
前記可動側接点)はワーク面に対して確実に面接触され
ており、各接点を除く前記固定側挟持杆と前記可動側挟
持杆の各下部側は弾力性を有する非導電性物質であるゴ
ム材(好ましくは優れた弾力性を有するシリコンゴム)
で形成された絶縁キャップ(20)で被嵌されることに
よって、各接点む含む挟持用クリップの下部側をメッキ
液から確実に隔絶でき確実に絶縁できる。したがって、
本考案によれば、従来のワークハンガーのように接点を
含む接点周りに貝殻形状のメッキ塊が生成され付着され
る弊害を解消でき、ワークをクランプする接点の接触不
良を防止して確実な通電を可能にするものである。更
に、シリコンゴムで形成された前記絶縁キャップによれ
ば、特に優れた弾力性を有しているため、その装脱着に
際しては、各接点の突出形態に対応して容易に変形され
ることから、挟持用クリップへの装着あるいは挟持用ク
リップからの脱着が容易であり、絶縁被覆体(絶縁キャ
ップ)の取り替え作業を簡単に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一部縦断側面図である。
【図2】本発明の正面図である。
【図3】薄板状ワークの挟持状態を示した本発明の挟持
用クリップ部の拡大側面図である。
【図4】厚板状ワークの挟持状態を示した本発明の挟持
用クリップ部の拡大側面図である。
【図5】本発明の挟持用クリップ部を固定側と可動側に
分離し、それぞれ挟持方向から看た拡大分解正面図であ
る。
【図6】本発明の可動側挟持杆の下部側を拡大して示す
側面図である。
【図7】本発明の可動側挟持杆の下部側を挟持方向から
看た拡大正面図である。
【図8】本発明の可動側挟持杆の下部側に絶縁キャップ
を装着する状態を説明的に示した側面図である。
【図9】従来のワークハンガーの接点部を示す拡大縦断
側面図である。
【符号の説明】
1 ワークハンガー W ワーク A メッキ液 B 陰極バー 2 支持部材 3 横長基板 4 挟持用クリップ 5 固定側挟持杆 6 可動側挟持杆 7 固定側接点 8 可動側接点 10 軸ピン 11 弾性部材(コイルバネ) 12 突部 13 可動体 14 支持軸 15 溝部 16 貫通孔 17 隙間 20 絶縁キャップ 21 開口部 22 突縁部 25 導電線

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メッキ液(A)中に入れられてメッキ処
    理される略平板状のワーク(W)を懸垂状態に支持し、
    電流を陰極バー(B)から前記ワークへ通電する電気メ
    ッキ装置におけるワークハンガー(1)であり、このワ
    ークハンガーは、前記陰極バーに横移動自在に吊り下げ
    支持される支持機能と該陰極バーに導電的に接続される
    接触機能とを併せ持つ支持部材(2)と、この支持部材
    の下部に該支持部材と一体的に構成されるか又は前記支
    持部材の下部に導電的に接続されるように面接触状態に
    固着され、前記ワークの横長辺の方向に沿って延ばされ
    た横長基板(3)と、この横長基板にそれぞれ取付けら
    れ、前記ワークの上部を挟持し、該ワークを懸垂状態に
    吊り下げ支持する複数の挟持用クリップ(4)とから構
    成され、電流を前記陰極バーから前記支持部材、前記横
    長基板、前記挟持用クリップを経て、各挟持用クリップ
    から前記ワークへ通電されるように前記ワークハンガー
    の前記各構成部分である前記支持部材、前記横長基板及
    び前記挟持用クリップを導電性材料で形成してあり、前
    記挟持用クリップ(4)は、上部を前記横長基板に導電
    的に接続されるように面接触状態に固着され下部に固定
    側接点(7)を設けた固定側挟持杆(5)と、この固定
    側挟持杆の中間部に軸ピン(10)を介してその中間部
    を枢着された可動側挟持杆(6)とを備え、この可動側
    挟持杆の下部に前記固定側接点と対向する可動側接点
    (8)を設け、前記固定側挟持杆の上部側と前記可動側
    挟持杆の上部側の間にコイルバネなどの弾性部材(1
    1)を介装し、この弾性部材の弾力によって前記軸ピン
    を支点として前記可動側接点を前記固定側接点に対して
    閉じる方向に付勢してあり、前記固定側接点に対して閉
    じられた前記可動側接点との間で前記ワークの上部を挟
    持できるように構成してあり、前記固定側接点を前記固
    定側挟持杆の下部から対向方向へ向けて突出された突部
    (12)の対向面にて形成し、前記可動側接点を前記可
    動側挟持杆の下部に取付けられた可動体(13)の対向
    面にて形成し、前記可動体の対向面すなわち可動側接点
    を前記可動側挟持杆から対向方向へ向けて突出するよう
    に配設し、前記可動体は該可動体の対向面すなわち前記
    可動側接点を前記固定側接点に対して互いの接触面が正
    対して向き合う角度に変位可能となるように前記可動側
    挟持杆の下部に支持軸(14)を介して該可動体の対向
    面すなわち可動側接点が上下方向に回動されるように軸
    支され、前記可動体の対向面すなわち前記可動側接点を
    前記ワークの厚さの変化に対応させて前記ワークのワー
    ク面と面接触される回動角度でワークを挟持できるよう
    に構成し、前記ワークと共にメッキ液中に入れられる前
    記固定側挟持杆と前記可動側挟持杆の各下部側をそれぞ
    れ着脱自在に被嵌する絶縁キャップ(20)を設け、こ
    れらの絶縁キャップは、弾力性を有する非導電性物質で
    形成され、前記固定側接点と可動側接点の被嵌部位にこ
    れらの接点のみ露出させる開口部(21)を形成したこ
    とを特徴とする電気メッキ装置におけるクリップ式のワ
    ークハンガー。
  2. 【請求項2】 請求項1のワークハンガーにおいて、前
    記可動体(13)を直方形態に形成し、この可動体の一
    面を前記可動側接点(8)として機能させ、前記可動側
    挟持杆(6)の下端部に対向方向に向けられた断面逆凹
    部状の溝部(15)を形成し、この溝部内に前記可動体
    を該可動体の前記可動側接点が前記溝部内から対向方向
    へ向けて突出されるように配設し、この配設状態におい
    て前記溝部内に該溝部と直交する方向に架設されて固着
    された前記支持軸(14)を前記可動体に形成した貫通
    孔(16)内に軸通させることによって該可動体の前記
    可動側接点が前記支持軸を中心にして上下方向に回動さ
    れるように構成し、前記可動体は該可動体の両側壁が前
    記溝部の対向側壁に沿って摺動されながら回動されるよ
    うに構成され、前記溝部内の頂部面と前記可動体の頂部
    面との間に前記可動体の回動を許容し且つ回動範囲を規
    制する隙間(17)を形成したことを特徴とする電気メ
    ッキ装置におけるクリップ式のワークハンガー。
  3. 【請求項3】 請求項1のワークハンガーにおいて、前
    記固定側接点(7)は、前記固定側挟持杆(5)と成る
    板状部材の対向面側の下方部を前記突部(12)の形態
    を残して切削し、その突部の頂部面を固定側接点(7)
    として形成したことを特徴とする電気メッキ装置におけ
    るクリップ式のワークハンガー。
  4. 【請求項4】 請求項1のワークハンガーにおいて、前
    記絶縁キャップ(20)は弾力性を有する非導電性物質
    であるゴム材で形成され、このゴム製の絶縁キャップに
    前記開口部(21)を囲む突縁部(22)を一体に形成
    し、前記突縁部は、前記突部(12)の周壁又は前記可
    動体の突出部分の周壁を密接的に被うように形成され、
    且つ各接点の突出位置よりわずかに突出させて形成した
    ことを特徴とする電気メッキ装置におけるクリップ式の
    ワークハンガー。
  5. 【請求項5】 請求項4のワークハンガーにおいて、前
    記絶縁キャップ(20)は弾力性を有する非導電性物質
    であるシリコンゴムで形成されたことを特徴とする電気
    メッキ装置におけるクリップ式のワークハンガー。
  6. 【請求項6】 請求項1、2又は3のワークハンガーに
    おいて、前記固定側接点(7)及び前記可動側接点
    (8)を矩形状接点に形成したことを特徴とする電気メ
    ッキ装置におけるクリップ式のワークハンガー。
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