JP2003328187A - アルミニウム材の表面処理方法 - Google Patents
アルミニウム材の表面処理方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 アルミニウム材の表面に、皮膜硬度(Hv)が少
なくとも500超であって、摺動部品等の分野において
も使用可能な程度に高度な耐摩耗性を有する陽極酸化皮
膜を形成することができるアルミニウム材の表面処理方
法を提供する。 【解決手段】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
なるアルミニウム材の表面に陽極酸化皮膜を生成せしめ
るアルミニウム材の表面処理方法であり、シュウ酸溶液
からなる電解浴中最終電圧100〜500Vの条件で陽
極酸化処理を行い、次いで雰囲気温度100〜300℃
で15〜300分間の加熱処理を行う、アルミニウム材
の表面処理方法である。
なくとも500超であって、摺動部品等の分野において
も使用可能な程度に高度な耐摩耗性を有する陽極酸化皮
膜を形成することができるアルミニウム材の表面処理方
法を提供する。 【解決手段】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
なるアルミニウム材の表面に陽極酸化皮膜を生成せしめ
るアルミニウム材の表面処理方法であり、シュウ酸溶液
からなる電解浴中最終電圧100〜500Vの条件で陽
極酸化処理を行い、次いで雰囲気温度100〜300℃
で15〜300分間の加熱処理を行う、アルミニウム材
の表面処理方法である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、アルミニウム又
はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に陽
極酸化皮膜を生成せしめるアルミニウム材の表面処理方
法に係り、特にアルミニウム材の表面に高い硬度の陽極
酸化皮膜を生成せしめることができるアルミニウム材の
表面処理方法に関する。
はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に陽
極酸化皮膜を生成せしめるアルミニウム材の表面処理方
法に係り、特にアルミニウム材の表面に高い硬度の陽極
酸化皮膜を生成せしめることができるアルミニウム材の
表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム材は、軽量であって加工性
に優れており、しかも、強靭であることから、船舶、車
両、機械等の種種の部品や、サッシ等の建築材料、電気
製品、事務用品等の多くの分野で利用されており、その
際に、一般に、アルマイトと称される陽極酸化皮膜を形
成する表面処理が行われている。
に優れており、しかも、強靭であることから、船舶、車
両、機械等の種種の部品や、サッシ等の建築材料、電気
製品、事務用品等の多くの分野で利用されており、その
際に、一般に、アルマイトと称される陽極酸化皮膜を形
成する表面処理が行われている。
【0003】そして、このアルミニウム材の表面に形成
される陽極酸化皮膜は、耐蝕性及び耐摩耗性に優れてお
り、また、ある程度の硬度を有するものではあるが、例
えば機械部品、工具、車両や航空機の部品等の用途で
は、より高い硬度の陽極酸化皮膜を形成せしめてより優
れた耐蝕性や耐摩耗性が求められる場合があり、従来に
おいても、この陽極酸化皮膜の硬度を高めるための幾つ
かの方法が提案されている。
される陽極酸化皮膜は、耐蝕性及び耐摩耗性に優れてお
り、また、ある程度の硬度を有するものではあるが、例
えば機械部品、工具、車両や航空機の部品等の用途で
は、より高い硬度の陽極酸化皮膜を形成せしめてより優
れた耐蝕性や耐摩耗性が求められる場合があり、従来に
おいても、この陽極酸化皮膜の硬度を高めるための幾つ
かの方法が提案されている。
【0004】例えば、特開昭52-99,939号公報には、陽
極酸化処理の際に、酒石酸を主成分とする組成の電解浴
を20〜60℃に維持し、電圧をその最高電圧が100
〜250Vになるまで連続して緩やかに上昇せしめるこ
とにより、硬質の陽極酸化皮膜を生成せしめることが記
載されており、また、特開昭62-137,724号公報には、ク
ロム酸やシュウ酸等を主成分とする組成の電解浴中で陽
極酸化処理して陽極酸化皮膜を形成した後、温度200
〜400℃で加熱処理することにより、形成された陽極
酸化皮膜の皮膜硬度を増大せしめることが記載されてい
る。
極酸化処理の際に、酒石酸を主成分とする組成の電解浴
を20〜60℃に維持し、電圧をその最高電圧が100
〜250Vになるまで連続して緩やかに上昇せしめるこ
とにより、硬質の陽極酸化皮膜を生成せしめることが記
載されており、また、特開昭62-137,724号公報には、ク
ロム酸やシュウ酸等を主成分とする組成の電解浴中で陽
極酸化処理して陽極酸化皮膜を形成した後、温度200
〜400℃で加熱処理することにより、形成された陽極
酸化皮膜の皮膜硬度を増大せしめることが記載されてい
る。
【0005】しかるに、近年、工作機械、自動車部品等
の分野において、特に高度な耐摩耗性が必要とされる軸
や軸受、搬送レール、ピストン等の摺動部品等について
も軽量化が求められるようになり、これら摺動部品等を
製造するための材料としてアルミニウム材が着目されて
いる。
の分野において、特に高度な耐摩耗性が必要とされる軸
や軸受、搬送レール、ピストン等の摺動部品等について
も軽量化が求められるようになり、これら摺動部品等を
製造するための材料としてアルミニウム材が着目されて
いる。
【0006】しかしながら、上記特開昭52-99,939号公
報記載の方法においては、厚い皮膜を得ることが困難で
あり、上記の摺動部品等の分野で所望の耐摩耗性を得る
ために目安とされている膜厚30μm以上を達成できな
いという問題がある。また、特開昭62-137,724号公報記
載の方法においては、皮膜硬度(Hv)が加熱処理前で38
0程度まで、加熱処理後で500程度までであって、高
度な耐摩耗性を有する陽極酸化皮膜を得ることが難し
く、上述した摺動部品等の分野で用いるためには、皮膜
硬度(Hv)が少なくとも500超、好ましくは550以
上、より好ましくは580以上、更に用途によっては6
00以上を必要とすることから、依然として陽極酸化皮
膜の皮膜硬度が不足するという問題があった。
報記載の方法においては、厚い皮膜を得ることが困難で
あり、上記の摺動部品等の分野で所望の耐摩耗性を得る
ために目安とされている膜厚30μm以上を達成できな
いという問題がある。また、特開昭62-137,724号公報記
載の方法においては、皮膜硬度(Hv)が加熱処理前で38
0程度まで、加熱処理後で500程度までであって、高
度な耐摩耗性を有する陽極酸化皮膜を得ることが難し
く、上述した摺動部品等の分野で用いるためには、皮膜
硬度(Hv)が少なくとも500超、好ましくは550以
上、より好ましくは580以上、更に用途によっては6
00以上を必要とすることから、依然として陽極酸化皮
膜の皮膜硬度が不足するという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、アルミニウム材の表面に、皮膜硬度(Hv)が少なくと
も500超であって、摺動部品等の分野においても使用
可能な程度に高度な耐摩耗性を有する皮膜を形成せしめ
る方法について鋭意検討した結果、電解浴としてシュウ
酸溶液を用い、最終電圧100〜550Vという高い電
圧で陽極酸化処理を行い、引き続いて雰囲気温度100
〜300℃の加熱処理を行うことにより、課題を解決で
きることを見出し、本発明を完成した。
は、アルミニウム材の表面に、皮膜硬度(Hv)が少なくと
も500超であって、摺動部品等の分野においても使用
可能な程度に高度な耐摩耗性を有する皮膜を形成せしめ
る方法について鋭意検討した結果、電解浴としてシュウ
酸溶液を用い、最終電圧100〜550Vという高い電
圧で陽極酸化処理を行い、引き続いて雰囲気温度100
〜300℃の加熱処理を行うことにより、課題を解決で
きることを見出し、本発明を完成した。
【0008】従って、本発明の目的は、アルミニウム材
の表面に、JIS H-8603(1999)の皮膜硬度(Hv)が少なくと
も500超、好ましくは550以上であって、摺動部品
等の分野においても使用可能な程度に高度な耐摩耗性を
有する陽極酸化皮膜を形成することができるアルミニウ
ム材の表面処理方法を提供することにある。
の表面に、JIS H-8603(1999)の皮膜硬度(Hv)が少なくと
も500超、好ましくは550以上であって、摺動部品
等の分野においても使用可能な程度に高度な耐摩耗性を
有する陽極酸化皮膜を形成することができるアルミニウ
ム材の表面処理方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ア
ルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム
材の表面に陽極酸化皮膜を生成せしめるアルミニウム材
の表面処理方法であり、シュウ酸溶液からなる電解浴中
最終電圧100〜550Vの条件で陽極酸化処理を行
い、次いで雰囲気温度100〜300℃で15〜300
分間の加熱処理を行うアルミニウム材の表面処理方法で
ある。
ルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム
材の表面に陽極酸化皮膜を生成せしめるアルミニウム材
の表面処理方法であり、シュウ酸溶液からなる電解浴中
最終電圧100〜550Vの条件で陽極酸化処理を行
い、次いで雰囲気温度100〜300℃で15〜300
分間の加熱処理を行うアルミニウム材の表面処理方法で
ある。
【0010】本発明において、電解浴として用いるシュ
ウ酸溶液は、そのシュウ酸濃度が5〜80g/L、好まし
くは10〜50g/Lであり、5g/Lより薄いと電解浴の電
気伝導度が低くなりすぎて電流集中が起こり易くなり、
膜厚の均一性が低下し、反対に、80g/Lより濃くなる
と電解浴の皮膜に対する溶解力が強くなり、皮膜硬度が
低下する。そして、このシュウ酸溶液には、形成される
皮膜の色調を変化させるために、例えば、アジピン酸、
マロン酸、酒石酸、マレイン酸、リンゴ酸等のジカルボ
ン酸類や、クエン酸等のトリカルボン酸類等の有機酸を
添加してもよく、また、ミスト飛散防止を目的に界面活
性剤を添加してもよい。なお、硫酸等の無機酸の添加
は、電圧が低下して皮膜硬度が低下するという問題が生
じるので好ましくない。
ウ酸溶液は、そのシュウ酸濃度が5〜80g/L、好まし
くは10〜50g/Lであり、5g/Lより薄いと電解浴の電
気伝導度が低くなりすぎて電流集中が起こり易くなり、
膜厚の均一性が低下し、反対に、80g/Lより濃くなる
と電解浴の皮膜に対する溶解力が強くなり、皮膜硬度が
低下する。そして、このシュウ酸溶液には、形成される
皮膜の色調を変化させるために、例えば、アジピン酸、
マロン酸、酒石酸、マレイン酸、リンゴ酸等のジカルボ
ン酸類や、クエン酸等のトリカルボン酸類等の有機酸を
添加してもよく、また、ミスト飛散防止を目的に界面活
性剤を添加してもよい。なお、硫酸等の無機酸の添加
は、電圧が低下して皮膜硬度が低下するという問題が生
じるので好ましくない。
【0011】そして、このようなシュウ酸溶液からなる
電解浴を用いて行う陽極酸化処理については、少なくと
もその最終電圧が100〜550V、好ましくは120
〜500V、より好ましくは120〜450Vとなる条件
で行う必要があり、この陽極酸化処理の際の最終電圧が
100Vより低いと、陽極酸化処理後熱処理前の皮膜硬
度が低く、熱処理後にも皮膜硬度(Hv)が500超になら
ず、反対に、550Vより高くなると、焼けが生じ易く
なり、また、電圧上昇速度が速くなって消費電力量に対
する皮膜生成量が低下して好ましくない。
電解浴を用いて行う陽極酸化処理については、少なくと
もその最終電圧が100〜550V、好ましくは120
〜500V、より好ましくは120〜450Vとなる条件
で行う必要があり、この陽極酸化処理の際の最終電圧が
100Vより低いと、陽極酸化処理後熱処理前の皮膜硬
度が低く、熱処理後にも皮膜硬度(Hv)が500超になら
ず、反対に、550Vより高くなると、焼けが生じ易く
なり、また、電圧上昇速度が速くなって消費電力量に対
する皮膜生成量が低下して好ましくない。
【0012】また、この陽極酸化処理におけるその他の
処理条件については、浴温度が0〜15℃、好ましくは
3〜10℃であり、電流密度が1〜15A/dm2、好まし
くは2〜10A/dm2であり、また、求められる陽極酸化
皮膜の膜厚によっても異なるが、処理時間が3〜360
分、好ましくは5〜120分である。浴温度が0℃より
低いと電解浴が凍る場合があり、反対に、15℃より高
くなると電解浴の皮膜に対する溶解力が強くなって皮膜
硬度が低下し、また、電流密度が1A/dm2より低いと電
圧が高くならなくて皮膜硬度が低下し、更に、皮膜生成
速度も遅くなって生産性が低下し、反対に、15A/dm2
より高くなると発熱量が大きくなって電流集中が起こ
り、膜厚の均一性の低下や焼けなどの問題が発生し易く
なる。
処理条件については、浴温度が0〜15℃、好ましくは
3〜10℃であり、電流密度が1〜15A/dm2、好まし
くは2〜10A/dm2であり、また、求められる陽極酸化
皮膜の膜厚によっても異なるが、処理時間が3〜360
分、好ましくは5〜120分である。浴温度が0℃より
低いと電解浴が凍る場合があり、反対に、15℃より高
くなると電解浴の皮膜に対する溶解力が強くなって皮膜
硬度が低下し、また、電流密度が1A/dm2より低いと電
圧が高くならなくて皮膜硬度が低下し、更に、皮膜生成
速度も遅くなって生産性が低下し、反対に、15A/dm2
より高くなると発熱量が大きくなって電流集中が起こ
り、膜厚の均一性の低下や焼けなどの問題が発生し易く
なる。
【0013】ここで、本発明においては、アルミニウム
材の陽極酸化処理に際して、電解浴のシュウ酸濃度5〜
80g/L、浴温度0〜15℃、及び電流密度1〜15A/d
m2から選ばれた少なくとも1つ以上の条件を採用するの
が望ましく、これによって、100V以上の電解電圧を
達成でき、形成される皮膜のポロシティを低下させるこ
とができ、酸化物密度を高くして皮膜の硬度を高くする
ことができる。電解浴のシュウ酸濃度が低いほど、ま
た、浴温度が低いほど、電解浴の皮膜溶解性が低下し、
形成される皮膜の膜質が向上し、また、皮膜硬度も高く
なる傾向がある。
材の陽極酸化処理に際して、電解浴のシュウ酸濃度5〜
80g/L、浴温度0〜15℃、及び電流密度1〜15A/d
m2から選ばれた少なくとも1つ以上の条件を採用するの
が望ましく、これによって、100V以上の電解電圧を
達成でき、形成される皮膜のポロシティを低下させるこ
とができ、酸化物密度を高くして皮膜の硬度を高くする
ことができる。電解浴のシュウ酸濃度が低いほど、ま
た、浴温度が低いほど、電解浴の皮膜溶解性が低下し、
形成される皮膜の膜質が向上し、また、皮膜硬度も高く
なる傾向がある。
【0014】また、本発明において、上記の陽極酸化処
理に際しては、好ましくは、その開始から予め設定した
電流密度に到達するまでは電流密度を上昇させながら行
い、この予め設定した電流密度に到達した時点から終了
までは一定電流で行うのがよく、これによって、電解開
始時に電流集中が発生せず、皮膜の焼けを効果的に防止
することができる。
理に際しては、好ましくは、その開始から予め設定した
電流密度に到達するまでは電流密度を上昇させながら行
い、この予め設定した電流密度に到達した時点から終了
までは一定電流で行うのがよく、これによって、電解開
始時に電流集中が発生せず、皮膜の焼けを効果的に防止
することができる。
【0015】更に、この陽極酸化処理に際しては、好ま
しくは、その電解浴を電解槽の外部で予め浴温度に調整
し、この浴温度に調整された電解浴を電解槽中でアルミ
ニウム材に吹き付けてこのアルミニウム材表面の温度を
一定に維持するのがよく、これによって、膜厚が均一な
皮膜を生成せしめることができる。
しくは、その電解浴を電解槽の外部で予め浴温度に調整
し、この浴温度に調整された電解浴を電解槽中でアルミ
ニウム材に吹き付けてこのアルミニウム材表面の温度を
一定に維持するのがよく、これによって、膜厚が均一な
皮膜を生成せしめることができる。
【0016】このようにしてアルミニウム材の表面に陽
極酸化処理を施した後、好ましくは水洗し、次いで乾燥
してから次の加熱処理を行う。水洗後の乾燥について
は、濡れたままで加熱すると、表面の水分が熱水になっ
て皮膜表面が水和封孔されて水和皮膜が形成され、加熱
処理の際に水分を除去することが困難になる虞がある。
極酸化処理を施した後、好ましくは水洗し、次いで乾燥
してから次の加熱処理を行う。水洗後の乾燥について
は、濡れたままで加熱すると、表面の水分が熱水になっ
て皮膜表面が水和封孔されて水和皮膜が形成され、加熱
処理の際に水分を除去することが困難になる虞がある。
【0017】本発明においては、アルミニウム材の表面
に陽極酸化処理を施した後、引き続いて雰囲気温度10
0〜300℃、好ましくは150〜250℃及び処理時
間10〜480分、好ましくは20〜300分の条件で
加熱処理を行う。この加熱処理の際の雰囲気温度が10
0℃より低いと皮膜中の水分が除去されずに皮膜が硬化
しない場合があり、反対に、300℃より高くなると素
地のアルミニウム材が軟化し、変形する虞があり、ま
た、処理時間が10分より短いと硬化の効果が不十分に
なり、反対に、480分より長くしても硬化の効果が向
上しなくなる。
に陽極酸化処理を施した後、引き続いて雰囲気温度10
0〜300℃、好ましくは150〜250℃及び処理時
間10〜480分、好ましくは20〜300分の条件で
加熱処理を行う。この加熱処理の際の雰囲気温度が10
0℃より低いと皮膜中の水分が除去されずに皮膜が硬化
しない場合があり、反対に、300℃より高くなると素
地のアルミニウム材が軟化し、変形する虞があり、ま
た、処理時間が10分より短いと硬化の効果が不十分に
なり、反対に、480分より長くしても硬化の効果が向
上しなくなる。
【0018】本発明方法によれば、シュウ酸溶液からな
る電解浴中で最終電圧100〜550Vという非常に高
い電圧で陽極酸化処理を行うことにより、形成される陽
極酸化皮膜のポロシティを下げて酸化物密度を高くし、
次いで雰囲気温度100〜300℃及び加熱時間15〜
300分の条件で加熱処理を行うことにより、陽極酸化
皮膜中の水分を低減させて皮膜自体の硬度を高くするも
のであり、これら両処理の作用が相俟って始めて目標の
少なくとも皮膜硬度(Hv)500超、好ましくは550以
上を達成することができる。
る電解浴中で最終電圧100〜550Vという非常に高
い電圧で陽極酸化処理を行うことにより、形成される陽
極酸化皮膜のポロシティを下げて酸化物密度を高くし、
次いで雰囲気温度100〜300℃及び加熱時間15〜
300分の条件で加熱処理を行うことにより、陽極酸化
皮膜中の水分を低減させて皮膜自体の硬度を高くするも
のであり、これら両処理の作用が相俟って始めて目標の
少なくとも皮膜硬度(Hv)500超、好ましくは550以
上を達成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、実施例及び比較例に基づい
て、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
て、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
【0020】実施例1〜10
アルミニウム材として5052-H34(5052)を用い、
表1に示す処理条件で陽極酸化処理を行い、次いで20
0℃で120分の加熱処理を行い、実施例1〜10の表
面処理アルミニウム材を得た。得られた各実施例の表面
処理アルミニウム材について、加熱処理前後の皮膜硬度
(Hv)をJIS H-8603(1999)に準じて測定した。結果を表1
に示す。
表1に示す処理条件で陽極酸化処理を行い、次いで20
0℃で120分の加熱処理を行い、実施例1〜10の表
面処理アルミニウム材を得た。得られた各実施例の表面
処理アルミニウム材について、加熱処理前後の皮膜硬度
(Hv)をJIS H-8603(1999)に準じて測定した。結果を表1
に示す。
【0021】
【表1】
【0022】実施例11〜27
上記実施例1で得られた陽極酸化処理済のアルミニウム
材について、表2に示す加熱温度及び加熱時間で加熱処
理を行い、実施例11〜27の表面処理アルミニウム材
を得た。得られた各実施例の表面処理アルミニウム材に
ついて、加熱処理後の皮膜硬度(Hv)を上記実施例1の場
合と同様にして測定し、加熱処理前の皮膜硬度(Hv)48
8が加熱処理後にどのように変化したかを調べた。結果
を表2に示す。
材について、表2に示す加熱温度及び加熱時間で加熱処
理を行い、実施例11〜27の表面処理アルミニウム材
を得た。得られた各実施例の表面処理アルミニウム材に
ついて、加熱処理後の皮膜硬度(Hv)を上記実施例1の場
合と同様にして測定し、加熱処理前の皮膜硬度(Hv)48
8が加熱処理後にどのように変化したかを調べた。結果
を表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】比較例1〜12
上記実施例の場合と同じアルミニウム材(5052)を用い、
陽極酸化処理の際の電流密度を1.5A/dm2にまた電解
時間を90分に固定し、また、加熱処理の際の加熱温度
を200℃に固定し、表3に示す処理条件で陽極酸化処
理及び加熱処理を行い、比較例1〜12の表面処理アル
ミニウム材を得た。得られた各比較例の表面処理アルミ
ニウム材について、加熱処理前後の皮膜硬度(Hv)を上記
実施例1の場合と同様にして測定した。結果を表3に示
す。
陽極酸化処理の際の電流密度を1.5A/dm2にまた電解
時間を90分に固定し、また、加熱処理の際の加熱温度
を200℃に固定し、表3に示す処理条件で陽極酸化処
理及び加熱処理を行い、比較例1〜12の表面処理アル
ミニウム材を得た。得られた各比較例の表面処理アルミ
ニウム材について、加熱処理前後の皮膜硬度(Hv)を上記
実施例1の場合と同様にして測定した。結果を表3に示
す。
【0025】
【表3】
【0026】上記表1〜表3に示す結果から明らかなよ
うに、本発明の各実施例の表面処理アルミニウム材は、
その加熱処理後の皮膜硬度(Hv)がいずれも500を超え
ており、これに対して、各比較例の表面処理アルミニウ
ム材は、加熱処理を200℃、600分の条件で行って
もその加熱処理後の皮膜硬度(Hv)が480にまでしか到
達しない。
うに、本発明の各実施例の表面処理アルミニウム材は、
その加熱処理後の皮膜硬度(Hv)がいずれも500を超え
ており、これに対して、各比較例の表面処理アルミニウ
ム材は、加熱処理を200℃、600分の条件で行って
もその加熱処理後の皮膜硬度(Hv)が480にまでしか到
達しない。
【0027】比較例13、14
上記実施例の場合と同じアルミニウム材(5052)を用い、
シュウ酸濃度30g/L及び硫酸濃度10g/Lの電解液を使
用し、浴温度8℃及び電流密度7.5A/dm2で20分
(電流密度増加速度3.75A/dm2・分)の処理条件(比較
例13)又は浴温度8℃及び電流密度3A/dm2で45分
(電流密度増加速度3A/dm2・分)の処理条件(比較例1
4)で陽極酸化処理を行い、次いで200℃で120分
の加熱処理を行い、比較例13及び14の表面処理アル
ミニウム材を得た。
シュウ酸濃度30g/L及び硫酸濃度10g/Lの電解液を使
用し、浴温度8℃及び電流密度7.5A/dm2で20分
(電流密度増加速度3.75A/dm2・分)の処理条件(比較
例13)又は浴温度8℃及び電流密度3A/dm2で45分
(電流密度増加速度3A/dm2・分)の処理条件(比較例1
4)で陽極酸化処理を行い、次いで200℃で120分
の加熱処理を行い、比較例13及び14の表面処理アル
ミニウム材を得た。
【0028】得られた各実施例の表面処理アルミニウム
材について、加熱処理前後の皮膜硬度(Hv)を上記実施例
1の場合と同様にして測定した。結果は、比較例13の
場合に電解電圧は40Vであって比較例14の場合に電
解電圧は35Vであり、何れの場合も電解電圧が低くて
ポロシティが高くなり、加熱処理前の皮膜硬度(Hv)が3
80であって、加熱処理後の皮膜硬度(Hv)が440であ
った。
材について、加熱処理前後の皮膜硬度(Hv)を上記実施例
1の場合と同様にして測定した。結果は、比較例13の
場合に電解電圧は40Vであって比較例14の場合に電
解電圧は35Vであり、何れの場合も電解電圧が低くて
ポロシティが高くなり、加熱処理前の皮膜硬度(Hv)が3
80であって、加熱処理後の皮膜硬度(Hv)が440であ
った。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、アルミニウム材の表面
に、皮膜硬度(Hv)が少なくとも500超であって、摺動
部品等の分野においても使用可能な程度に高度な耐摩耗
性を有する陽極酸化皮膜を容易に形成することができ
る。
に、皮膜硬度(Hv)が少なくとも500超であって、摺動
部品等の分野においても使用可能な程度に高度な耐摩耗
性を有する陽極酸化皮膜を容易に形成することができ
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
なるアルミニウム材の表面に陽極酸化皮膜を生成せしめ
るアルミニウム材の表面処理方法であり、シュウ酸溶液
からなる電解浴中最終電圧100〜550Vの条件で陽
極酸化処理を行い、次いで雰囲気温度100〜300℃
で15〜300分間の加熱処理を行うことを特徴とする
アルミニウム材の表面処理方法。 - 【請求項2】 陽極酸化処理において、電解浴のシュウ
酸濃度5〜80g/L、浴温度0〜15℃、及び電流密度
2〜10A/dm2から選ばれた1つ又は2つ以上の条件が
採用される請求項1に記載のアルミニウム材の表面処理
方法。 - 【請求項3】 陽極酸化処理は、その開始から予め設定
した電流密度に到達するまでは電流密度を上昇させなが
ら行い、この予め設定した電流密度に到達した時点から
終了までは一定電流で行う請求項1又は2に記載のアル
ミニウム材の表面処理方法。 - 【請求項4】 陽極酸化処理は、その電解浴を電解槽の
外部で予め浴温度に調整し、この浴温度に調整された電
解浴を電解槽中でアルミニウム材に吹き付けてこのアル
ミニウム材表面の温度を一定に維持する請求項1〜3の
いずれかに記載のアルミニウム材の表面処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002142846A JP2003328187A (ja) | 2002-05-17 | 2002-05-17 | アルミニウム材の表面処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002142846A JP2003328187A (ja) | 2002-05-17 | 2002-05-17 | アルミニウム材の表面処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003328187A true JP2003328187A (ja) | 2003-11-19 |
Family
ID=29703014
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002142846A Pending JP2003328187A (ja) | 2002-05-17 | 2002-05-17 | アルミニウム材の表面処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003328187A (ja) |
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- 2002-05-17 JP JP2002142846A patent/JP2003328187A/ja active Pending
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