JP2003328143A - ガスケット用表面処理ステンレス鋼板およびゴム被覆ステンレス鋼板 - Google Patents
ガスケット用表面処理ステンレス鋼板およびゴム被覆ステンレス鋼板Info
- Publication number
- JP2003328143A JP2003328143A JP2002135743A JP2002135743A JP2003328143A JP 2003328143 A JP2003328143 A JP 2003328143A JP 2002135743 A JP2002135743 A JP 2002135743A JP 2002135743 A JP2002135743 A JP 2002135743A JP 2003328143 A JP2003328143 A JP 2003328143A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- stainless steel
- rubber
- organic
- steel sheet
- inorganic composite
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Gasket Seals (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Chemical Treatment Of Metals (AREA)
- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
Abstract
密着性低下がなく、環境にも悪影響を及ぼさないシール
性,耐久性に優れたステンレス鋼製ガスケットを提供す
る。 【構成】 このガスケット用表面処理ステンレス鋼板
は、チタン化合物,フッ素化合物,ヒドロキシフェニル
化合物およびフォスフォニウム塩を含む有機−無機複合
皮膜がステンレス鋼板表面の一部または全面に形成され
ている。有機−無機複合皮膜は、さらにジルコニウム化
合物を含んでも良い。ガスケット用ゴム被覆ステンレス
鋼板は、この有機−無機複合皮膜を介して、ゴム被覆層
が形成されている。
Description
リンダヘッドに組み込まれるガスケットに適した表面処
理ステンレス鋼板、およびゴム被覆層の密着性に優れた
ゴム被覆ステンレス鋼板に関する。
ゴム被覆金属板の使用が一般的になってきている。シリ
ンダヘッド・ガスケットのゴム被覆金属板は、高温・高
圧でかつ過酷な腐食雰囲気に曝されることから、耐熱・
耐食性,機械的強度に優れたステンレス鋼が基材に使用
されている。ステンレス鋼の表面には、シール性を付与
するためにゴム被覆層が設けられているが、シリンダヘ
ッド・ガスケットは高温・高圧の湿潤環境で使用される
ため、基材のステンレス鋼からゴム被覆層が剥離し、シ
ール性が低下しやすい。ゴム被覆層の耐剥離性を改善す
るため、ゴム被覆層の形成に先立って基材のステンレス
鋼に粗面化,亜鉛めっき,クロメート処理等の表面処理
が施されている。なかでも、クロメート処理は、他の処
理法よりもゴム被覆層の密着性向上に有効であり、反応
型クロメート処理や電解クロメート処理に比較して操業
性,性能共に優れている塗布型クロメート処理が採用さ
れている(特開平3−227622号公報,特公平7−
92149号公報)。
によってゴム密着性に優れたステンレス鋼製ガスケット
が得られるものの、環境への配慮からCrを含まない材
料開発が強く望まれている。ステンレス鋼製ガスケット
の前処理に関しても同様な傾向にあり、早急な対応が望
まれている。しかし、ガスケット用途のステンレス鋼板
に適した実用的なCrフリーの表面処理方法はこれまで
のところ確立されていない。本発明は、このような問題
を解消すべく案出されたものであり、Crフリーの有機
−無機複合皮膜を基材のステンレス鋼の表面に設けるこ
とにより、長期にわたってステンレス鋼/ゴム被覆層の
密着性低下がなく、環境にも悪影響を及ぼさないシール
性,耐久性に優れたステンレス鋼製ガスケットを提供す
ることを目的とする。
面処理ステンレス鋼板は、その目的を達成するため、ゴ
ム被覆層を形成するステンレス鋼板表面の一部あるいは
全面に、チタン化合物,フッ素化合物,ヒドロキシフェ
ニル化合物およびフォスフォニウム塩を含む有機−無機
複合皮膜が形成されていることを特徴とする。有機−無
機複合皮膜は、さらにジルコニウム化合物を含んだもの
でよい。このような有機−無機複合皮膜を介して、ステ
ンレス鋼板表面にゴム被覆層を形成してガスケット用ゴ
ム被覆ステンレス鋼板を得る。
層の密着性低下は、エンジン冷却水に含まれるエチレン
グリコールが大きく影響していると考えられる。エチレ
ングリコールの影響は、溶解性パラメータを用いて説明
できる。例えば、ガスケット用ゴムに使用されているN
BRの溶解性パラメータは8.7〜10.3であり、フ
ッ素ゴムの溶解性パラメータは8〜10である。他方、
エチレングリコールの溶解性パラメータは14.2,水
の溶解性パラメータは23.4である。ゴム成分の溶解
性パラメータが溶液の溶解性パラメータに近いほど相溶
性が大きくなる。エチレングリコールを含む環境では、
水単独の環境に比較して溶解性パラメータがゴム成分の
溶解性パラメータに接近するため、ゴム被覆層へのエチ
レングリコールの浸透,ゴム被覆層の膨潤,水分の浸透
が生じやすい。
は120〜150℃程度に加熱される。加熱されたゴム
被覆層は、エチレングリコールによる膨潤作用を一層受
けやすくなる。このような状況では、水分がゴム被覆層
に浸透・透過しやすくなっている。基材のステンレス鋼
表面に形成した表面処理皮膜が浸透水との水和反応や浸
透水の吸着が生じると、ゴム/ステンレス鋼界面の浸透
圧が上昇し、微小な浸透圧フクレが発生しやすくなると
推察される。浸透圧フクレは、剥離の起点として作用し
ゴム被覆層の剥離を促進させる。
リコールがゴム被覆層の密着性低下に影響を及ぼしてい
るとの前提に立って、浸透水との水和反応および浸透水
の吸着が生じにくい、クロムフリーの表面処理方法を種
々調査・検討した。その結果、ステンレス鋼板の表面に
チタン化合物,フッ素化合物,ヒドロキシフェニル化合
物およびフォスフォニウム塩を含む難溶性の有機−無機
複合皮膜を形成することが有効であることを見出し、こ
の皮膜を介在させると、ゴム被覆層の密着性が高く、耐
久性に優れたガスケット用ゴム被覆ステンレス鋼板が得
られることに到達した。
鋼界面に2種類の難溶性生成物を含む皮膜を形成するこ
と、さらには、有機−無機複合皮膜とその上に被覆する
ゴム層とで架橋反応を行う成分を含有させることが有効
である。有機−無機複合皮膜は、チタン化合物,フッ素
化合物,有機樹脂成分等を含む処理液をステンレス鋼板
表面に塗布し乾燥することによって形成される。上記2
種類の難溶性生成物の一つは、処理液中のチタン化合物
さらにはジルコニウム化合物が、同時に処理液中に含ま
れている有機樹脂に対して架橋作用を及ぼし、複合化し
て生成する有機−無機複合化合物であり、もう一つは、
ステンレス鋼表面素地から処理液中の酸成分により溶出
したFe等のイオンと、フッ化物から解離したフッ化物
イオンとが反応したフッ化物である。これらの反応生成
物は,ゴム被覆層を透過する浸透水に対して水和作用を
示し難く、ステンレス鋼/ゴム被覆層の密着性低下を防
止する。
との間の結合を強化するために、有機−無機複合皮膜お
よびゴム被覆層の相互間で架橋反応を促進させる成分と
して、有機−無機複合皮膜にポリオールの一種であるヒ
ドロキシフェニル化合物を含有させるとともに、同時に
架橋反応の触媒的役割を担わせるフォスフォニウム塩を
含有させる。ゴム被覆層を加熱処理等で加硫させる際、
有機−無機複合皮膜中のヒドロキシフェニル化合物はゴ
ムと有機−無機複合皮膜との架橋反応を進行させて、強
固な一次結合が形成される。この点、従来のクロメート
皮膜/ゴム間の密着性が主として水素結合に拠っている
ことに比較し、本発明では共有結合によって有機−無機
複合皮膜/ゴム被覆層の密着性を高めているので、過酷
な環境下でも優れた密着性が長期にわたって維持され
る。
フッ素化合物,ヒドロキシフェニル化合物およびフォス
フォニウム塩を含む表面処理液を金属板に塗布,乾燥す
ることによって形成される。有機−無機複合皮膜は、好
ましくは乾燥付着量が40〜400mg/m2となる塗
布量で皮膜形成用処理液をステンレス鋼板に塗布し、乾
燥することによって形成される。有機−無機複合皮膜
は、40mg/m2以上の乾燥付着量で均一皮膜として
ステンレス鋼板表面に形成され、十分な保護作用を発現
する。しかし、400mg/m2を超える乾燥付着量で
は、性能が飽和し経済的でない。また加工性が低下す
る。
分としてチタン化合物およびフッ素化合物を含むことが
必要であり、さらにジルコニウム化合物を含むことが好
ましい。有機−無機複合皮膜形成用のクロムフリー処理
液中のチタン化合物は、酸化チタン,チタン酸,チタン
酸ナトリウム等のチタン酸塩、フッ化チタン酸,フッ化
チタン酸ナトリウム等のフッ化チタン酸塩等の化合物に
より導入される。フッ素化合物は、HF,H2TiF6,
H2ZrF6,H2HfF6,H2SiF6,HeGeF6,
H2SnF6,HBF4等のフルオロアシッドを単独ある
いは複合して配合することにより導入される。ジルコニ
ウム化合物は、酸化ジルコニウム,ジルコニウム酸,ジ
ルコニウム酸ナトリウム等のジルコニウム酸塩、フッ化
ジルコニウム酸,フッ化ジルコニウム酸ナトリウム等の
フッ化ジルコニウム酸塩等の化合物により導入される。
橋反応によってステンレス鋼板表面に対して密着性に優
れた難溶性の有機−無機複合皮膜を形成する。チタン化
合物の効果は、皮膜中のTi換算付着量3mg/m2以
上で顕著になり、ゴム密着耐久性および加工性が向上す
る。しかし、40mg/m2を超えるTi換算付着量で
は、チタン化合物による改善効果が飽和し、却って塗装
後の加工性低下,コスト上昇等の原因になりやすい。
ンに解離し、処理液中の酸成分とともにステンレス鋼板
表面をエッチングし、ステンレス鋼素地との密着性を向
上させる作用を呈する。フッ化物イオンによるエッチン
グ作用は皮膜中のF換算付着量7mg/m2以上で顕著
になって素地との密着性が向上するが、70mg/m2
を超える過剰量のフッ素化合物が含まれると却って有機
−無機複合皮膜が脆弱化してステンレス鋼板に対する密
着性が低下する傾向が窺われる。また、フッ化物イオン
は、界面のpH上昇に伴ってステンレス鋼板表面から溶
出した金属イオンと反応して難溶性のフッ化鉄等のフッ
化物を形成し、有機−無機複合皮膜の形成を促進させ
る。チタン化合物とフッ素化合物が共存すると、チタン
のフッ化物錯体が形成され、フッ化物イオンの解離が抑
制される。そのため、ステンレス鋼板表面に対する過剰
反応や処理液の急激な劣化も少ない。また、H2TiF6
を使用する場合、チタン成分およびフッ素化合物の双方
を処理液に同時導入できる。
着量10mg/m2以下のジルコニウム化合物を含むこ
とができる。ジルコニウム化合物は、チタン化合物と同
様な作用を呈し、有機樹脂との架橋反応によって難溶性
の有機−無機複合皮膜を形成する。ジルコニウム化合物
の添加によってゴム密着耐久性,加工性が向上するが、
多すぎるジルコニウム化合物の添加は、処理コスト上昇
の原因となるので、ジルコニウム化合物を添加する場合
には上限を10mg/m2に規制する。
合物としては、ビスフェノール類あるいはトリスフェノ
ール類が用いられる。例えば、ビスフェノールA,ビス
フェノールAF,4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)吉草
酸,4,4'-(α-メチルベンジリデン)ビスフェノール,
α,α'-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,4ジイソプロピ
レンベンゼン,α,α,α'-トリス(4-ヒドロキシフェニ
ル)-1エチル-4-イソプロピレンベンゼンなどが挙げられ
る。フォスフォニウム塩としては、ベンジルトリフェニ
ルフォスフォニウムクロライドなどが使用できる。フォ
スフォニウム塩は未加硫ゴムの炭素原子から結合してい
る水素原子などを引き抜き、不飽和二重結合を形成させ
る。ヒドロキシフェニル化合物は、この不飽和二重結合
部に付加することによって、三次元架橋構造を構築して
いく。フォスフォニウム塩およびヒドロキシフェニル化
合物を有機−無機複合皮膜中に含有させることで、次に
形成されるゴム被覆層との界面に相互の層間で橋架けを
生じさせることが可能となり、ゴム密着性を飛躍的に向
上させる。
ル化合物およびフォスフォニウム塩の合計量は、乾燥付
着量で10〜320mg/m2であることが好ましい。
10mg/m2に満たないと皮膜が不均一になり易く、
密着性が低下する。320mg/m2を超えると加工時
に皮膜のクラックやパウダリングが起こり易く、加工性
が低下する。皮膜形成用処理液には、ヒドロキシフェニ
ル化合物やフォスフォニウム塩の他に、有機化合物とし
てフェノール樹脂,タンニン酸やポリビニルフェノー
ル,ポリビニルアルコール,アクリル酸等の水溶性ある
いは水分散性ポリマーを含ませても良い。また溶剤とし
ては、水やアルコール類を使用でき、コロイダルシリ
カ,シランカップリング剤,化成処理に常用される消泡
剤,界面活性剤等を適宜添加することもできる。
覆層には、通常使用されているNBR,水素化NBR,
フッ素ゴム,シリコーンゴム,アクリルゴム,エピクロ
ルヒドリドンゴム,EPDM,塩素化ゴム,クロロスル
ホン化ポリエチレン等が使用される。ゴム被覆層を形成
するためには、ゴム塗料を塗布し乾燥する方法が簡便で
あり工業生産にも適している。有機−無機複合皮膜に含
まれるヒドロキシフェニル化合物は加硫剤、フォスフォ
ニウム塩は加硫促進剤として働き、次工程で形成するゴ
ム被覆層を加熱加硫する際、ゴム分子との架橋反応を促
進させて、層間接着力を強化する。シリンダヘッド・ガ
スケットのように高温・高圧でしかも部分的に水溶液と
接する環境下での使用に好適な材料であり、ゴム被覆層
の密着性に優れたガスケット用表面処理ステンレス鋼板
およびゴム被覆ステンレス鋼板が得られる。
は、ガスケット成形後に要求される機械的特性や耐食性
に優れている限り、鋼種に特段の制約が加わるものでは
ない。有機−無機複合皮膜の形成に先立って、必要に応
じてステンレス鋼板を洗浄することが好ましい。洗浄に
は、アルカリ系洗浄液,界面活性剤を含む洗浄液および
/またはリン酸,フッ酸,硝酸,塩酸等の酸性水溶液が
使用される。この洗浄によってステンレス鋼板表面から
油,表面酸化物等が除去され、皮膜形成用処理液に対す
る親和性の高い表面に改質される。したがって、洗浄さ
れたステンレス鋼板を処理すると、均一な有機−無機複
合皮膜で被覆されたガスケット基材が得られる。
ト,スプレー,浸漬等の公知の方法が採用される。塗布
に際し処理液を特に加熱する必要はなく,室温の処理液
をステンレス鋼板に塗布できる。処理液が塗布されたス
テンレス鋼板は、80〜240℃程度の温度域で乾燥さ
れる。有機−無機複合皮膜を形成した後、ゴム塗料を塗
布し加熱・乾燥することによりゴム被覆層を形成する。
ゴム塗料は、ロールコート,スプレー,浸漬等で塗布さ
れるが、予め加熱しておく必要はない。塗布されたゴム
塗料の乾燥・加硫方法はゴムや加硫剤の種類によって異
なるが、一般的には150〜200℃の温度域で30〜
60分加熱する方法が採用される。
301Hステンレス鋼板の圧延材をリン酸塩処理液で処
理した後、皮膜形成用処理液を塗布し、200℃で1分
乾燥することによって有機−無機複合皮膜を形成した。
皮膜形成用処理液には、表1に示したクロムフリー処理
液を使用した。次いで、パーオキサイド加硫の水素化N
BR塗料をロールコータで有機−無機複合皮膜の上に塗
布し、170℃×60分の加熱・加硫処理によって膜厚
20μmまたは5μmの水素化NBR被覆層を形成し
た。
ン酸塩で処理したSUS301Hステンレス鋼板に、表
1の処理液No.BあるいはCを用いて同様な条件下で
有機−無機複合皮膜を形成した。次いで、ポリオール加
硫フッ素ゴム塗料をロールコータで塗布し、200℃×
60分の加熱・加硫処理によって膜厚20μmまたは5
μmのフッ素ゴム被覆層を形成した。
塗料およびポリオール加硫フッ素ゴム塗料としては、次
の表2で示すものを使用した。
理したステンレス鋼板に六価クロムイオン:20g/
l,三価クロムイオン:20g/l,リン酸:40g/
l,シリカ:80g/l,ポリメタクリル酸メチル:4
0g/l組成の処理液を塗布し、80℃×1分の加熱・
乾燥によってCr換算付着量:40mg/m2のクロメ
ート皮膜を形成した。次いで、シランカップリング剤を
塗布し、180℃×10分の熱処理を施した後、ポリオ
ール加硫フッ素ゴム塗料を用いてゴム被覆層を設けた。
ォニウム塩を含有しない処理液No.Dを用いて有機−
無機複合皮膜を形成した後、ポリオール加硫フッ素ゴム
塗料を塗布し、ゴム被覆層を設けた。 〔比較例2〕比較例1と同様にヒドロキシフェニル化合
物を含有しない処理液No.Eを用いて有機−無機複合
皮膜を形成した後、パーオキサイド加硫の水素化NBR
塗料を塗布し、ゴム被覆層を設けた。
ス鋼板を、次に挙げる密着性試験および加工性試験に供
した。その結果を表3に示す。 〔密着性試験〕自動車エンジン用不凍液(トヨタ純正ロ
ングライフクーラント)を50%含む水溶液を120℃
に加熱し、膜厚20μmのゴム被覆層が設けられたステ
ンレス鋼板を浸漬した。浸漬時間が500時間に達した
時点で水溶液からゴム被覆ステンレス鋼板を引き上げ、
24時間後にゴム被覆層の密着試験を実施した。密着試
験では、カッターナイフにより下地のステンレス鋼に達
する間隔1mm,桝目100個の碁盤目状切込みを入
れ、接着テープの貼り付け・引き剥がし後にゴム被覆層
の剥離状況を観察した。ゴム被覆層が剥離した桝目の個
数をカウントし、剥離個数を剥離度(%)として密着性
を評価した。
成されたステンレス鋼板を加工すると、加工変形部分の
処理皮膜の状態を外観で直接観察できない。そこで、加
工変形によって処理皮膜に発生するクラックやパウダリ
ングに起因するゴム被覆層の密着性低下現象を加工性の
指標とした。膜厚5μmのゴム被覆層が形成されたステ
ンレス鋼から切り出された試験片を、ゴム被覆層が外側
になるように0t密着曲げ加工した。曲げ部外側に接着
テープを貼り付け、接着テープを強制的に引き剥がした
後、ゴム被覆層の剥離の有無を調査した。剥離が全く生
じていないゴム被覆層を○,一部でも剥離したゴム被覆
層を×としてゴム被覆ステンレス鋼板の加工性を評価し
た。
化合物,フッ素化合物,ヒドロキシフェニル化合物およ
びフォスフォニウム塩を含む有機−無機複合皮膜が形成
され、その上に水素化NBRゴムを被覆した本発明例
1,2、およびフッ素ゴムを被覆した本発明例3,4は
何れもゴム被覆層の剥離度が4%以下であり、加工性に
問題がなく、従来例に示した塗布型クロメート皮膜を形
成したものを凌駕する性能を呈した。優れた密着性およ
び加工性は、有機−無機複合皮膜/ゴム被覆層間で、架
橋反応が進行することにより、強固な層間密着性が発現
したことに起因する。加工部においても、クラック,パ
ウダリング等の欠陥が皮膜に発生することはなかった。
他方、有機−無機複合皮膜を形成しても、有機−無機複
合皮膜にヒドロキシフェニル化合物あるいはフォスフォ
ニウム塩が含まれない比較例1,2では、本発明例5と
の対比から明らかなように密着性に劣っていた。密着性
は、クロメート皮膜を介してゴム被覆層を形成した従来
例よりさらに低い値であった。
ット用表面処理ステンレス鋼板は、基材のステンレス鋼
板の表面にチタン化合物,フッ素化合物,ヒドロキシフ
ェニル化合物およびフォスフォニウム塩を含む有機−無
機複合皮膜を形成している。この表面処理ステンレス鋼
板をゴム被覆すると、架橋反応によって有機−無機複合
皮膜/ゴム被覆層間で一次結合されるためゴム被覆層の
密着性が高く、ガスケットの要求特性を満足するゴム被
覆ステンレス鋼板が得られる。ゴム密着性は、エンジン
冷却水に接触する環境下でも長期にわたって高位に維持
される。しかも、有機−無機複合皮膜はバリア性が高く
高温安定性にも優れているので、ステンレス鋼本来の優
れた耐食性を活用しながら、シール性,耐久性に優れた
自動車エンジンのシリンダヘッド・ガスケットとして使
用される。
Claims (3)
- 【請求項1】 ステンレス鋼板表面の一部あるいは全面
に、チタン化合物,フッ素化合物,ヒドロキシフェニル
化合物およびフォスフォニウム塩を含む有機−無機複合
皮膜が形成されていることを特徴とするガスケット用表
面処理ステンレス鋼板。 - 【請求項2】 有機−無機複合皮膜がさらにジルコニウ
ム化合物を含んだものである請求項1に記載のガスケッ
ト用表面処理ステンレス鋼板。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の有機−無機複
合皮膜を介して、ゴム被覆層が形成されていることを特
徴とするガスケット用ゴム被覆ステンレス鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002135743A JP3951795B2 (ja) | 2002-05-10 | 2002-05-10 | ガスケット用表面処理ステンレス鋼板およびゴム被覆ステンレス鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002135743A JP3951795B2 (ja) | 2002-05-10 | 2002-05-10 | ガスケット用表面処理ステンレス鋼板およびゴム被覆ステンレス鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003328143A true JP2003328143A (ja) | 2003-11-19 |
JP3951795B2 JP3951795B2 (ja) | 2007-08-01 |
Family
ID=29697989
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002135743A Expired - Lifetime JP3951795B2 (ja) | 2002-05-10 | 2002-05-10 | ガスケット用表面処理ステンレス鋼板およびゴム被覆ステンレス鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3951795B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006137991A (ja) * | 2004-11-12 | 2006-06-01 | Nok Corp | ステンレス鋼用クロムフリー表面処理剤 |
JP2006265708A (ja) * | 2005-03-25 | 2006-10-05 | Nichias Corp | 化成処理膜被覆鋼板及びその製造方法 |
JP2007285513A (ja) * | 2006-03-22 | 2007-11-01 | Tokai Rubber Ind Ltd | 金具付きゴム部材およびその製法 |
WO2015045513A1 (ja) * | 2013-09-24 | 2015-04-02 | Nok株式会社 | ニトリルゴム-金属積層ガスケット素材 |
WO2020137007A1 (ja) * | 2018-12-28 | 2020-07-02 | 日鉄日新製鋼株式会社 | プレコートされた金属素形材、複合体の製造方法および複合体 |
-
2002
- 2002-05-10 JP JP2002135743A patent/JP3951795B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006137991A (ja) * | 2004-11-12 | 2006-06-01 | Nok Corp | ステンレス鋼用クロムフリー表面処理剤 |
JP2006265708A (ja) * | 2005-03-25 | 2006-10-05 | Nichias Corp | 化成処理膜被覆鋼板及びその製造方法 |
JP2007285513A (ja) * | 2006-03-22 | 2007-11-01 | Tokai Rubber Ind Ltd | 金具付きゴム部材およびその製法 |
WO2015045513A1 (ja) * | 2013-09-24 | 2015-04-02 | Nok株式会社 | ニトリルゴム-金属積層ガスケット素材 |
WO2020137007A1 (ja) * | 2018-12-28 | 2020-07-02 | 日鉄日新製鋼株式会社 | プレコートされた金属素形材、複合体の製造方法および複合体 |
JP2020105615A (ja) * | 2018-12-28 | 2020-07-09 | 日鉄日新製鋼株式会社 | プレコートされた金属素形材、複合体の製造方法および複合体 |
JP7163769B2 (ja) | 2018-12-28 | 2022-11-01 | 日本製鉄株式会社 | プレコートされた金属素形材、および複合体の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3951795B2 (ja) | 2007-08-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1902157B1 (en) | Chrome-free composition of low temperature curing for treating a metal surface and a metal sheet using the same | |
JP5623632B2 (ja) | 金属表面上の腐食保護層の形成方法 | |
JP5252925B2 (ja) | 表面化成処理液および化成処理金属板の製造方法 | |
JP2001240979A (ja) | Pcm用ノンクロメート金属表面処理剤、pcm表面処理方法および処理されたpcm鋼板 | |
JPH11106945A (ja) | 金属材料用表面処理剤組成物および処理方法 | |
JPH0873775A (ja) | 耐指紋性、耐食性、塗装密着性にすぐれた皮膜形成用金属表面処理剤および処理方法 | |
JPWO2007100018A1 (ja) | 金属表面処理用組成物、金属表面処理方法、及び金属材料 | |
JP4483610B2 (ja) | フッ素ゴム−金属積層ガスケット素材 | |
JPH03128986A (ja) | ラバーラミネートガスケット用素材 | |
JP5050316B2 (ja) | メタルガスケット用表面処理ステンレス鋼板とその製造方法。 | |
JP4483611B2 (ja) | ニトリルゴム−金属積層ガスケット素材 | |
KR101280634B1 (ko) | 화성처리막 피복 강판 및 이의 제조 방법 | |
JP2002264253A (ja) | ガスケット用表面処理ステンレス鋼板およびガスケット | |
JP2003328143A (ja) | ガスケット用表面処理ステンレス鋼板およびゴム被覆ステンレス鋼板 | |
KR100625404B1 (ko) | 개스킷용 재료 | |
JP4566535B2 (ja) | ガスケット用素材 | |
JP3895203B2 (ja) | ガスケット用表面処理ステンレス鋼板及びゴム被覆ステンレス鋼板 | |
JP2006169550A (ja) | ガスケット用表面処理ステンレス鋼板およびガスケット用ゴム被覆ステンレス鋼板 | |
JP2000064057A (ja) | マグネシウム材またはマグネシウム合金材の表面処理方法 | |
JP2001234350A (ja) | 耐食性、塗装性、耐指紋性及び加工性に優れた金属板材料及びその製造方法 | |
JP3528742B2 (ja) | 樹脂被覆表面処理鋼板 | |
TWI500813B (zh) | 在金屬表面形成腐蝕保護層之方法 | |
KR100979950B1 (ko) | 아연도 강판용 친환경 크롬프리 피막 조성물 | |
JP4905382B2 (ja) | 絶縁被膜を有する電磁鋼板 | |
JP4096595B2 (ja) | 表面処理ステンレス鋼板とその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050217 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050721 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070327 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20070416 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20070417 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20070417 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070416 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 3951795 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100511 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110511 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110511 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120511 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130511 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140511 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |