JP2003327990A - グリース組成物、転がり軸受及びスピンドルモータ - Google Patents

グリース組成物、転がり軸受及びスピンドルモータ

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JP2003327990A
JP2003327990A JP2002146299A JP2002146299A JP2003327990A JP 2003327990 A JP2003327990 A JP 2003327990A JP 2002146299 A JP2002146299 A JP 2002146299A JP 2002146299 A JP2002146299 A JP 2002146299A JP 2003327990 A JP2003327990 A JP 2003327990A
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acid
grease composition
mass
compound
additive
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JP2002146299A
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Yasunobu Fujita
安伸 藤田
Masahiko Yamazaki
雅彦 山崎
Michiharu Naka
道治 中
Yoichiro Sugimori
庸一郎 杉森
Takehiro Kudo
丈洋 工藤
Hiroyuki Yamada
裕普 山田
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 低トルク性、耐フレッチング摩耗性能、低ア
ウトガス性能、音響特性に関して従来よりも総合的に優
れる転がり軸受、前記転がり軸受に好適なグリース組成
物を提供する。 【解決手段】 特定の分子構造を有する炭酸エステル化
合物を必須成分として含む基油に、アルカリ金属の水酸
化物もしくはアルカリ土類金属の水酸化物と、炭素数1
0以上の高級脂肪酸または1個以上の水酸基を有する炭
素数10以上の高級ヒドロキシ脂肪酸とから合成された
アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、もしくはウ
レア化合物を増ちょう剤として配合したグリース組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスクド
ライブ装置(HDD)、フロッピー(登録商標)ディス
クドライブ装置(FDD)、光ディスクドライブ装置
(MOD)、CPUファン、ビデオテープレコーダ(V
TR)等の小型機器の駆動モータや、空気調製装置(エ
アコン)等の比較的大型の機器の駆動モータ等、小型モ
ータから大型モータまで幅広く使用可能で、摩擦による
ロスが小さく、低騒音で、特に音響寿命を改善した転が
り軸受、前記転がり軸受に好適なグリース組成物及び前
記転がり軸受を備えるスピンドルモータに関する。
【0002】
【従来の技術】本発明の対象の一つであるHDDのスピ
ンドルモータの玉軸受用に封入されるグリースとして、
本出願人は先に、摩擦係数が低く、音響寿命の延長を目
的として、基油の50〜100質量%が炭酸エステル化
合物からなり、増ちょう剤がリチウム石けん等からなる
潤滑グリース組成物を提案している(特開2000−2
6875号公報)。
【0003】同様の用途に適したグリースとして、発塵
(飛散)が少なく、トルクが小さく、音響特性に優れ、
また長寿命化を目的として、炭酸エステル化合物と、ア
ルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化
物と、炭素数10以上の高級脂肪酸又は1個以上の水酸
基を有する炭素数10以上の高級ヒドロキシ脂肪酸とか
ら合成された増ちょう剤とを含む潤滑グリース組成物
(特開2000−63874号公報)や、アルカリ金属
の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物と、炭素
数10以上の高級脂肪酸又は1個以上の水酸基を有する
炭素数10以上の高級ヒドロキシ脂肪酸とから合成され
たアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩と、炭酸エ
ステル化合物と、ジエステル系合成油、トリエステル系
合成油、テトラエステル系合成油及び他のネオペンチル
ポリオールエステル系合成油からなる群より選ばれた少
なくとも1種のエステル系合成油とを含むグリース組成
物(特開2001−72988号公報、特開2001−
72989号公報、特開2001−81492号公報)
が知られている。また、炭酸エステル油を基油とし、増
ちょう剤としてリチウム石けんを含む組成物に有機モリ
ブデン化合物を添加したグリース組成物(特開2001
−139979号公報)や、このグリース組成物を封入
した情報機器用転動装置(特開2001−139969
号公報)も知られている。
【0004】一方で、HDDのスピンドルモータやエア
コン用送風ファン、冷却ファンのスピンドルモータで
は、高性能化や多機能化、小型化が進んでおり、それに
伴う問題への対処が重要になってきている。例えば、H
DDでは、高記録密度化に伴いスピンドルをより高精度
に回転支持する要求に加えて、磁気ヘッドと磁気ディス
クとの間隔(フライングハイト)が極端に狭くなってい
ることから、潤滑剤のアウトガスがディスク等の表面を
汚染して読み取り/書き込みに支障を来たすおそれがあ
るため、潤滑剤の低アウトガス化の要求が強くなってき
ている。、エアコンでは、インバータ制御により一定温
度に達すると低速運転でその状態を維持することが行わ
れるが、低速運転では潤滑油膜が確保し難くなることか
ら、低速運転での長期にわたる低騒音性能の要求が強ま
っている。また、HDD、エアコンに共通して、小型化
に伴って装置内部の冷却効率が低下するため、モータに
組み込まれた転がり軸受が温度上昇を起こしてグリース
が劣化するという問題もある。更には、環境への配慮か
ら、モータを低出力化して発熱を抑制することも要求さ
れており、使用される転がり軸受ではトルク特性も重要
な要素になってきている。
【0005】更に、最近では、これらの機器の輸送時
に、軸受の内輪軌道面や外輪軌道面と転動体との間で繰
り返し起こる微小振動による摩耗(フレッチング摩耗)
が重要な問題になってきている。特に電機機器や情報機
器においては、内輪軌道面、外輪軌道面、転動体の微小
な摩耗痕でも音響不良とされる厳しい仕様が要求されて
おり、このフレッチング摩耗に対する耐久性も要求され
ている。
【0006】このような種々の要求や問題に対して、上
記に挙げたような各グリース組成物は、ある程度有効な
性能を示す。特に、特開2001−139979号公報
や特開2001−139969号公報に記載されたグリ
ース組成物は、基油の主成分となる炭酸エステル油が、
分岐状アルキル基で、炭素長も炭素数13〜15と短い
ため、基油動粘度も低く低トルクであり、油膜補修性の
面からもフレッチング摩耗に対して有効であると考えら
れる。しかし、公報記載の試験例のように常温での蒸発
性評価では蒸発量、耐久性に問題がないものの、実使用
条件下では炭酸エステル油の分子量が低いため、揮発し
易く(アウトガス性能低い)、潤滑油膜を確保し難く
(長期間の転がり軸受音響特性低い)、耐熱性が低いと
考えられ、市場が要求している低アウトガス性や長期間
にわたる音響耐久性を充分に満足し得るものではない。
【0007】このように、従来のグリース組成物を封入
した転がり軸受は、低トルク性、耐フレッチング摩耗性
についてはある程度満足するものの、組み込まれる機器
の高性能化や多機能化、小型化に伴う要求に関しては充
分とは言えない状況にある。また、低トルク化や耐フレ
ッチング摩耗性についても更なる改善要求は必至であ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような状
況に鑑みてなされたものであり、低トルク性、耐フレッ
チング摩耗性能、低アウトガス性能、音響特性に関して
従来よりも総合的に優れる転がり軸受、前記転がり軸受
に好適なグリース組成物及び前記転がり軸受を備えるス
ピンドルモータを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、一般式:R1−O−CO−O−R
2(R 1、R2はアルキル基であり、互いに同一でもよい
し、異なっていてもよい)で表される炭酸エステル化合
物を必須成分として含む基油に、アルカリ金属の水酸化
物もしくはアルカリ土類金属の水酸化物と、炭素数10
以上の高級脂肪酸または1個以上の水酸基を有する炭素
数10以上の高級ヒドロキシ脂肪酸とから合成されたア
ルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、もしくはウレ
ア化合物を増ちょう剤として配合してなることを特徴と
するグリース組成物を提供する。
【0010】本発明はまた、内周面に外輪軌道を有する
外輪と、外周面に内輪軌道を有する内輪と、外輪軌道と
内輪軌道との間に転動自在に設けた複数個の転動体と、
複数個の転動体を転動自在に保持する保持器とを備え、
外輪軌道と内輪軌道との間の空間内に上記に記載のグリ
ース組成物を封入したことを特徴とする転がり軸受を提
供する。
【0011】本発明は更に、上記に記載の転がり軸受を
備えることを特徴とするスピンドルモータを提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の関して図面を参照
して詳細に説明する。
【0013】本発明の転がり軸受は、その構成自体には
制限はなく、例えば図1に示すような玉軸受を例示する
ことができる。図示される玉軸受1は、内輪10と外輪
11との間に保持器12を介して複数の玉13を転動自
在に保持してなり、更に内輪10と外輪11との間に形
成される軸受内部空間Sに、後述するグリースを封入
し、シール部材14で密封して概略構成される。
【0014】尚、グリースの封入量は、軸受内部空間S
の5〜35%を占める量とすることが好ましい。5%よ
り少ないと耐久性が低下するおそれがあり、35%を越
えるとグリースの攪拌抵抗が大きくなり、低トルク性を
損なうことが考えられる。
【0015】グリースの基油は、下記一般式(1)で表
される炭酸エステル化合物を必須成分として含む。 R1−O−CO−O−R2 ・・・(1)
【0016】一般式(1)において、R1、R2はアルキ
ル基であり、互いに同一でもよいし、異なっていてもよ
い。好ましくは、R1、R2は独立して炭素数18〜30
の飽和または不飽和の、直鎖または分岐アルキル基であ
り、分岐アルキル基としては−CH2CHR34で表さ
れるものが好ましく、R3は炭素数1〜12の飽和直鎖
アルキル基、R4は炭素数4〜17の飽和直鎖アルキル
基である。耐フレッチング特性には低動粘度の基油が有
効であり、特にR1とR2は、炭素数13〜15のアルキ
ル基が有効である。
【0017】また、基油は、上記の炭酸エステル油と、
ジエステル系合成油、トリエステル系合成油、テトラエ
ステル系合成油、エーテル系合成油の少なくとも1種と
を混合した混合油とすることもできる。以下に、それぞ
れの好ましい具体例を例示する。
【0018】ジエステル系合成油としては、ジオクチル
アジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DI
BA)、ジブチルアジペート(DBA)、ジオクチルア
ジペート(DOZ)、ジブチルセバケート(DBS)、
ジオクチルセバケート(DOS)、メチル・アセチルリ
シノレート(MAR−N)等が挙げられる。
【0019】トリエステル系合成油及びテトラエステル
系合成油としては、以下に示す多価アルコールと一塩基
酸とを適宜反応させて得られるポリオールエステル油が
挙げられる。多価アルコールに反応させる一塩基酸は単
独でもよいし、複数用いてもよい。更に、多価アルコー
ルと二塩基酸・一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステ
ルであるコンプレックスエステルとして用いてもよい。
多価アルコールとしては、トリメチロールプロパン(T
MP)、ペンタエリスリトール(PE)、ジペンタエリ
スリトール(DPE)、ネオペンチルグリコール(NP
G)、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジ
オール(MPPD)等が挙げられる。一塩基酸として
は、主にC4〜C16の一価脂肪酸が用いられ、具体的に
は酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、エナント
酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリ
ン酸、ミステリン酸、パルミチン酸、牛脂脂肪酸、スレ
アリン酸、カプロレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロ
セリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスクレピン
酸、バクセン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン
酸、サビニン酸、リシノール酸等が挙げられる。
【0020】また、ポリオールエステル油として、トリ
オクチルトリメリテート(TOTM)、トリデシルトリ
メリテート、テトラオクチルピロメリテート等の芳香族
エステルも使用可能である。
【0021】エーテル系合成油としては、ジフェニル、
トリフェニル、テトラフェニル、のC12〜C20の(ジ)
アルキル基が誘導されたフェニルエーテル油が挙げられ
る。特に、低トルク性を考慮すると、アルキルジフェニ
ルエーテル油が好ましい。
【0022】基油を炭酸エステル化合物とこれらの合成
油との混合油とする場合、炭酸エステル化合物が基油全
体の50質量%を占めるように混合する。
【0023】また、基油は、炭酸エステル化合物単独及
び混合油の場合とも、40℃における動粘度で20〜4
0mm2/sとすることが好ましい。40℃における動粘
度が20mm2/s未満では、油膜強度が低く、音響特性
に劣り、アウトガス性能が悪くなる、一方、40℃にお
ける動粘度が40mm2/sを越える場合には、回転トル
クが増大し、耐フレッチング性能に劣るようになる。特
に、40℃における動粘度は、24〜35mm2/sであ
ることが好ましい。
【0024】一方、増ちょう剤は、アルカリ金属の水酸
化物またはアルカリ土類金属の水酸化物と、炭素数10
以上の高級脂肪酸または1個以上の水酸基を有する炭素
数10以上の高級ヒドロキシ脂肪酸とを合成して得られ
るアルカリ金属石けんまたはアルカリ土類石けんであ
る。特に、1価及び/または2価の高級有機脂肪酸また
は高級有機ヒドロキシ脂肪酸と、アルカリ金属水酸化物
またはアルカリ土類金属水酸化物とを合成して得られる
有機脂肪酸金属塩または有機ヒドロキシ脂肪酸金属塩が
好ましい。好ましい高級有機脂肪酸としては、ラウリン
酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C
16)、マルガン酸(C17)、ステアリン酸(C18)、ア
ラキジン酸(C20)、ベヘン酸(C22)、リグノセリン
酸(C24)、牛脂脂肪酸等等が挙げられる。好ましい高
級有機ヒドロキシ脂肪酸としては、9−ヒドロキシステ
アリン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒド
ロキシステアリン酸、9,10−ジヒドロキシステアリ
ン酸、リシノール酸、リシノエライジン酸等が挙げられ
る。一方、アルカリ金属水酸化物としては水酸化リチウ
ム、水酸化ナトリウムが好ましく、アルカリ土類水酸化
物としては水酸化アルミニウム、水酸化バリウム、水酸
化カルシウムが好ましい。
【0025】高級有機脂肪酸または高級有機ヒドロキシ
脂肪酸と、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金
属水酸化物との組み合わせは制限されるものではない
が、ステアリン酸、牛脂脂肪酸またはヒドロキシステア
リン酸(特に12−ヒドロキシステアリン酸)と、水酸
化リチウムとの組み合わせが、軸受性能に優れることか
ら好ましい。また、必要に応じて、複数種を併用しても
よい。
【0026】これらアルカリ金属石けんまたはアルカリ
土類石けんは、基油と増ちょう剤の合計量に対して5〜
30質量%が好ましく、高級有機脂肪酸、高級有機ヒド
ロキシ脂肪酸、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金
属水酸化物の配合量を適宜選択する。増ちょう剤が5質
量%未満ではグリース状態になり難く、離油し易い。ま
た、30質量%を超えるとグリースのちょう度が低下し
て潤滑性能が悪くなり、耐フレッチング摩耗性能に劣る
ようになる。
【0027】また、増ちょう剤としてウレア化合物も使
用できる。このウレア化合物としては、ジウレア、トリ
ウレア、テトラウレア、ポリウレア等が使用できる。好
ましくは、モノアミンとジイソシアネートとの反応で生
成するジウレア化合物を使用できる。更に好適に使用で
きるウレア化合物としては、ステアリルアミン、アクチ
ルアミン等の脂肪族アミン、シクロヘキシルアミン等の
脂環族アミン、アニリン、トルイジン、ドデシルアミン
等の芳香族アミンを単独もしくは混合して用い、ジイソ
シアネートとして4,4´−ジフェニルメタンジイソシ
アネートもしくはトリレンジイソシアネートを単独もし
くは混合して用いて反応させて得られるものを挙げるこ
とができる。これらの中でも、脂肪族系ウレアは軸受音
響も良好であり、好適である。
【0028】ウレア化合物の量は、アルカリ金属石けん
またはアルカリ土類石けんと同様に、基油と増ちょう剤
の合計量に対して5〜30質量%が好ましい。5質量%
未満ではグリース状態になり難く、離油し易い。また、
30質量%を超えるとグリースのちょう度が低下して潤
滑性能が悪くなり、耐フレッチング摩耗性能に劣るよう
になる。
【0029】また、グリース組成物には、上記した基油
及び増ちょう剤以外に、第1の添加剤として、バリウ
ム、カルシウムまたは亜鉛のスルフォン酸金属塩の少な
くとも1つが添加される。第1の添加剤の添加量は、基
油と増ちょう剤の合計量を100質量%としたときに
1.1〜6質量%が好ましく、特に1.5〜5質量%が
好ましい。第1の添加剤をこの範囲量で添加することに
より、耐フレッチング性が向上する。
【0030】更に、グリース組成物には、第2の添加剤
として、有機モリブデン化合物、有機亜鉛化合物、有機
脂肪酸化合物及びその誘導体、有機リン化合物の少なく
とも1つが添加される。これら第2の添加剤により、歌
境界潤滑下における金属表面の摩擦特性が改善されて軸
受摩耗の低減に更に効果的となり、耐フレッチング特性
の更なる向上を図ることができる。
【0031】有機モリブデン化合物、有機亜鉛化合物と
しては、それぞれモリブデンまたは亜鉛を金属種とす
る、ジアルキルジチオリン酸塩やジアリルジチオリン酸
塩のようなチオリン酸金属塩、ジアルキルジチオカルバ
ミン酸塩やジアリルジチオカルバミン酸塩のようなチオ
カルバミン酸金属塩が好ましい。これらチオリン酸金属
塩やチオカルバミン酸金属塩は、金属表面と反応して硫
黄やリン等を含む化合物を生成し、剪断力の小さい被膜
となって摩耗、焼付きを防ぐ。また、音響性能を考慮す
ると、油溶性を有するチオリン酸金属塩が特に好ましい
といえる。
【0032】有機脂肪酸化合物または有機脂肪酸誘導体
としては、オレイン酸、ナフテン酸、アビチエン酸(樹
脂酸)、ラノリン脂肪酸、コハク酸、コハク酸誘導体、
アミノ酸誘導体等が挙げられ、中でもコハク酸及びコハ
ク酸誘導体が好ましい。コハク酸誘導体としては、アル
キルコハク酸、アルキルコハク酸ハーフエステル、アル
ケニルコハク酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル、
コハク酸イミド等が挙げられるが、中でもアルケニルコ
ハク酸は空気中の水分、結露等の水分の影響を受ける場
合でも、金属材料である軌道面、摺動面に良好に吸着し
て薄膜を形成するため好ましい。また、コハク酸誘導体
も同様の作用があり、好ましい。
【0033】有機リン酸化合物としては、C1〜C18
炭化水素鎖(例えば、アルキル基、フェニル基、ベンジ
ル基、クレジル基、シンナミル基、アリル基)を有する
亜リン酸エステル類が好ましい。具体的には、トリオク
チルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、ト
リクレジルフォスファイト、ビス−2−エチルヘキシル
フォスファイト、トリデシルフォスファイト、ジブチル
ハイドロジェンフォスファイト、トリス(ノニルフェニ
ル)フォスファイト、ジラウリルハイドロジェンフォス
ファイト、ジフェニルモノデシルフォスファイト、トリ
ラウリルトリチオフォスファイト、ジフェニルハイドロ
ジェンフォスファイト等が挙げられる。
【0034】また、有機リン酸化合物として、C1〜C
18の炭化水素鎖(例えば、アルキル基、フェニル基、ベ
ンジル基、クレジル基、シンナミル基、アリル基)を有
する正リン酸エステルも使用できる。具体的には、トリ
フェニルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、
トリブチルフォスフェート、トリス(2−エチルヘキシ
ル)フォスフェート、トリデシルフォスフェート、ジフ
ェニルモノ(2−ヘキシル)フォスフェート、トリクレ
ジルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、ト
リステアリルフォスフェート等が挙げられる。
【0035】また、有機リン酸化合物として、C1〜C
20のモノまたはジヒドロカルピルアシッドフォスフェー
ト等の酸性リン酸エステルも使用できる。具体的には、
メチルアシッドフォスフェート、イソプロピルアシッド
フォスフェート、ブチルアシッドフォスフェート、2−
エチルヘキシルアシッドフォスフェート、イソデシルア
シッドフォスフェート、トリデシルアシッドフォスフェ
ート、ラウリルアシッドフォスフェート等が挙げられ
る。
【0036】これら有機リン化合物の中でも亜リン酸ジ
エステルが特に好ましく、金属表面との適度な反応性を
有し、極圧性や耐摩耗性に優れる反応性の薄膜を転動面
や軌道面に良好に形成する。
【0037】特に、第2の添加剤としては、モリブデン
または亜鉛のジチオリン酸金属塩またはジチオカルバミ
ン酸金属塩が好ましい。
【0038】また、これらの添加剤は単独使用でも構わ
ないが、併用することで相乗効果が得られる。そのとき
の混合比率は、制限されるものではないが、1:1〜
1:3とすることが好ましい。相乗効果を得るためには
できるだけ等しい量を組み合わせることが望ましく、有
機モリブデン化合物、有機亜鉛化合物、有機リン化合物
がコロージョンに及ぼす影響を考慮すると、後述される
添加量の範囲内で、有機脂肪酸化合物、有機脂肪酸誘導
体をより多く含有することが望ましい。但し、併用する
場合は、合計で後述される添加量の範囲を満たす必要が
ある。
【0039】第2の添加剤は、基油と増ちょう剤の合計
量を100質量%としたときに0.1〜5質量%の範囲
で添加することが好ましい。添加量が0.1質量%未満
では、転動面や軌道面(金属表面)での反応膜が均一に
充分に形成されず、所期の耐フレッチング摩耗性能や耐
摩耗性能が充分に達成されない。特に、耐フレッチング
摩耗性能を考慮すると、0.4質量%以上添加すること
が望ましい。また、5質量%を越えて添加しても、耐フ
レッチング摩耗性能が飽和しすることに加え、転動面や
軌道面のコロージョンが生じ易くなり、軸受音響の劣化
につながる。
【0040】尚、第1の添加剤と、第2の添加剤とは、
トルクの増大を誘発しないために、合計量で、基油と増
ちょう剤の合計量を100質量%としたときに6質量%
以下とすることが好ましい。
【0041】更に、グリース組成物には、その他にも、
酸化防止剤、防錆剤、金属不活性化剤、油性剤、極圧
剤、摩耗防止剤、粘度指数向上剤等を、単独または2種
以上を組み合わせて添加することもできる。これらは何
れも公知のもので構わず、その添加量も本発明の効果を
損なわない範囲で適宜選択できる。
【0042】例えば、酸化防止剤としては、ゴムやプラ
スチック、潤滑油等に通常添加される老化防止剤、オゾ
ン劣化防止剤、酸化防止剤の中から適宜選択することが
できる。
【0043】防錆剤としては、有機スルフォン酸のアン
モニウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、バリウム塩、有機
カルボン酸塩、フェネート、ホスホネート、アルキルも
しくはアルケニルこはく酸エステル等のアルキル、アル
ケニルこはく酸誘導体、ソルビタンモノオレエート等の
多価アルコールの部分エステル、オレオイルザルコシン
等のヒドロキシ脂肪酸類、1−メルカプトステアリン酸
等のメルカプト脂肪酸類あるいはその金属塩、ステアリ
ン酸等の高級脂肪酸類、イソステアリルアルコール等の
高級アルコール類、高級アルコールと高級脂肪酸とのエ
ステル、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジア
ゾール、2−メルカプトチアジアゾール等のチアゾール
類、2−(デシルジチオ)−ベンゾイミダゾール、ベン
ズイミダゾール等のイミダゾール系化合物、あるいは、
2,5−ビス(ドデシルジチオ)ベンズイミダゾール等
のジスルフィド系化合物、あるいは、トリスノニルフェ
ニルフォスファイト等のリン酸エステル類、ジラウリル
チオプロピオネート等のチオカルボン酸エステル系化合
物等を使用することができる。また、亜硝酸塩等も使用
することができる。中でも、スルフォン酸金属塩のカル
シウム塩、ガリウム塩、亜鉛塩が防錆性以外の特性とし
て潤滑性に優れるため好適であり、これらをグリース組
成物全量に対して2質量%以上添加することにより耐フ
レッチング特性に更に効果的となる。
【0044】金属不活性化剤として、例えばベンゾトリ
アゾールやトリルトリアゾール等のトリアゾール系化合
物を使用することができる。
【0045】油性剤として、オレイン酸やステアリン酸
等の脂肪酸、オレイルアルコール等の脂肪酸アルコー
ル、ポリオキシエチレンステアリン酸エステルやポリグ
リセリルオレイン酸エステル等の脂肪酸エステル、リン
酸、トリクレジルホスフェート、ラウリル酸エステルま
たはポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸等のリ
ン酸エステル等を使用することができる。
【0046】極圧剤、摩耗防止剤としては、有機金属系
のものとしては、亜鉛フェネート等の有機亜鉛化合物、
ジチオカルバミン酸アンチモン、ジチオリン酸アンチモ
ン等の有機アンチモン化合物、ジチオカルバミン酸セレ
ン等の有機セレン化合物、ナフテン酸ビスマス、ジチオ
カルバミン酸ビスマス等の有機ビスマス化合物、ジチオ
カルバミン酸鉄、オクチル酸鉄等の有機鉄化合物、ジチ
オカルバミン酸銅、ナフテン酸銅等の有機銅化合物、ナ
フテン酸鉛、ジチオカルバミン酸鉛等の有機鉛化合物、
マレイン酸スズ、ジブチルスズスルファイド等の有機ス
ズ化合物、あるいは、アルカリ金属、アルカリ土類金属
の有機スルホネート、フェネート、ホスホネート、金、
銀、チタン、カドミウム等の有機金属化合物も必要なら
使用できる。硫黄系化合物としては、ジベンジルジスル
フィド等のスルフィドあるいはポリスルフィド化合物、
硫化油脂類、無灰系カルバミン酸化合物類、チオウレア
系化合物、もしくはチオカーボネート類等を使用ことが
できる。また、その他、塩素化パラフィン等のハロゲン
系の極圧剤、あるいは、二硫化モリブデン、二硫化タン
グステン、グラファイト、PTFE、硫化アンチモン、
窒化硼素などの硼素化合物等の固体潤滑剤を使用するこ
とができる。
【0047】尚、グリースのちょう度は用途により異な
るが、転がり軸受用とする場合は150〜350の範囲
であり、特にスピンドルモータの転がり軸受用としては
180〜300が好ましい。
【0048】本発明は更に、上記の転がり軸受を備える
スピンドルモータを提供する。スピンドルモータの種類
には制限が無く、何れも図示は省略するが、例えば上記
したHDD、FDD、MOD、CPUファン、VTR、
エアコン等に組み込まれるスピンドルモータを例示でき
る。
【0049】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるもの
ではない。
【0050】[実施例1〜8、比較例1〜4]表1に示す
配合にて、実施例1〜8及び比較例1〜4の各試験グリ
ースを調製した。尚、配合は、基油と増ちょう剤につい
ては両者の合計量を100質量%としたときのそれぞれ
の比率(質量%)であり、添加物については基油と増ち
ょう剤の合計量を100質量%としたときの比率(質量
%)で示してある。また、添加剤のMoDTPはモリブ
デンジチオホスフェート、MoDTCはモリブデンジチ
オカルバメート、ZnDTPは亜鉛ジチオホスフェート
を示す。また、比較例4は市販のグリースであり、表中
の「+」はその成分が含まれていることを示す。
【0051】(評価試験)内径5mm、外径13mm、
幅5mm、プラスチック保持器付き玉軸受(図1参照;
日本精工(株)製呼び番号695)に、軸受内部空間の
15体積%を占めるように上記の試験グリースを封入し
て試験軸受とした。そして、試験軸受を用いて下記に示
す各試験を行った。
【0052】(1)音響耐久性能評価 図2に示すように、試験軸受Aを一対、モータ23のシ
ャフト21に取り付け、ケーシング22で固定した。そ
して、70℃で、19.6Nのアキシアル荷重を負荷し
た状態で試験軸受Aの内輪を7200min-1にて50
0時間回転させた後、軸受ラジアル方向加速度を測定し
た。
【0053】(2)トルク性能評価 図3に示すトルク測定装置を用い、試験軸受の起動トル
ク及び安定時におけるトルクを測定した。図3におい
て、試験軸受Aはその内輪がエアスピンドル31にアー
バ32を介して固定され、外輪がエアベアリング33を
備えたアルミキャップ34に固定されている。そして、
エアスピンドル31を回転させると、試験軸受Aの内輪
も回転し、そのときのトルク値をアルミキャップ34に
接続したストレインゲージ35で測定し、測定値がスト
レインアンプ36及びローパスフィルタ37を経由して
レコーダ38にて記録される。試験は、室温で、アキシ
アル荷重19.6Nを負荷した状態で内輪を7200m
in-1で回転させ、そのときの起動トルクを測定した。
また、室温で回転を続け、安定した時のトルクを測定し
た。
【0054】(3)低アウトガス性能評価 試験グリースを10mg採取して120℃で、720時
間保持し、そのときの蒸発減量を測定した。
【0055】(4)耐フレッチング性能評価 図4に示すフレッチング試験装置を用い、試験軸受の耐
フレッチング性能を評価した。図示される試験装置は、
フレーム40に取り付けられ、ACサーボモータなどの
駆動源を含む駆動機構41と、フレーム40に固定され
た固定軸42と、下端部43が駆動機構41の駆動軸4
4に連結され、該駆動機構41の駆動力により軸線の周
りに回転駆動される外筒45とを備える。固定軸42は
外筒45に挿入され、その下端部はサポート軸受46を
介して外筒45に支持されている。固定軸42の上端部
は予圧ばね機構47により支持され、その上端部と下端
部との間の途中部位には、被試験軸受固定部48が設け
られている。この被試験軸受固定部48には、複数の試
験軸受Aの内輪が固定され、各試験軸受Aの外輪は外筒
45に固定される。予圧ばね機構47は、固定軸42を
その上端部から所定の圧力で押し付けることによって、
試験軸受Aに予圧を掛けるように構成されている。そし
て、フレッチング試験時には、予圧ばね機構47により
試験軸受Aに予圧を掛け、駆動機構41により外筒45
をその軸線の周りに所定の周期でかつ所定の角度で所定
回数揺動させることにより、外筒45の揺動により試験
軸受Aには揺動運動が与えられる。耐フレッチング性能
を評価する指標として、フレッチング試験前後の軸受ラ
ジアル方向加速度を測定し、その測定値の比較を行っ
た。尚、指標として軸受ラジアル方向加速度を採用した
のは、試験軸受Aの内・外輪及びボールに発生した微小
なフレッチング摩耗痕を感度良く測定できるためであ
る。また、試験条件は以下の通りである。 ・周波数:50Hz ・振幅:100μm ・予圧(アキシアル荷重):19.6N ・振動回数:1.8×104
【0056】上記の各評価結果において、特に良好
「◎」、良好「○」、やや劣る「△」、劣る「×」の4
段階評価を行い、さらに総合評価として優、良、可、不
可の4段階評価を行った。結果を表1に併記した。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】表1に示すように、本発明に従う実施例1
〜8では、総合評価に優れることに加え、試験項目毎に
みても総じて優れた結果が得られている。これに対し、
比較例1〜3では、何れも、基油として40℃における
動粘度が20mm2/s未満(18mm2/s)の炭酸エ
ステル化合物を用いているために、耐フレッチング摩耗
性能及び音響耐久性が劣っている。また、市販のグリー
スを用いた比較例4でも、同様に耐フレッチング摩耗性
能及び音響耐久性が劣っている。
【0060】(実施例9〜20、比較例5〜10)表2
に示す配合にて、実施例9〜20及び比較例5〜10試
験グリースを調製した。尚、配合は、基油と増ちょう剤
については両者の合計量を100質量%としたときのそ
れぞれの比率(質量%)であり、添加物については基油
と増ちょう剤の合計量を100質量%としたときの比率
(質量%)で示してある。ウレア化合物として、4,4
−ジフェニルメタンジイソシアネートとオクチルアミン
とをモル比1:2で反応させ得た脂肪族ジウレア(ウレ
アA)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートと
シクロヘキシルアミンとをモル比1:2で反応させて得
た脂環族ジウレア(ウレアB)、4,4−ジフェニルメ
タンジイソシアネートとp−トルイジンとオクチルアミ
ンとをモル比1:1:1で反応させて得た芳香−脂肪族
ジウレア(ウレアC)を使用した。尚、使用した基油、
添加物は実施例1〜8と同様であり、比較例9、10は
市販のグリースであり、表中の「+」はその成分が含ま
れていることを示す。
【0061】そして、各試験グリースを、上記試験軸受
(日本精工(株)製呼び番号695)に軸受内部空間の
15体積%を占めるように封入して試験軸受とし、上記
と同様の(1)音響耐久性能評価(但し、回転速度54
00min-1、雰囲気温度60℃)、(2)トルク性能
評価、(3)耐フレッチング性能評価(但し、周波数6
0Hz、振幅50μm)を行った。同様の評価基準によ
る評価結果を表2に示す。
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】表2に示すように、本発明に従う各実施例
では、総合評価に優れることに加え、試験項目毎にみて
も総じて優れた結果が得られている。これに対し、比較
例5〜8、並びに市販のグリースを用いた比較例9、1
0では、何れも、第1の添加剤、第2の添加剤を含まな
い、もしくは添加量が不足しているため、耐フレッチン
グ摩耗性能及び音響耐久性が劣っている。
【0066】また、図5に、グリース中の第1の添加剤
の含有量(基油と増ちょう剤の合計量を100質量%と
したときの値)と、耐フレッチング性能及びトルクとの
関係を示す。尚、第1の添加剤の含有量が2.5質量%
のときの耐フレッチング及びトルクを1とし、その相対
値で示してある。図示されるように、耐フレッチング性
能については、第1の添加剤の含有量が1.1質量%以
上、特に1.5質量%以上の範囲で良好な結果が得られ
ている。トルクについても、第1の添加剤の含有量が6
質量%以下、好ましくは5質量%以下とすることにより
小さく抑えることができる。これらのことから、第1の
添加剤の含有量を1.1〜6質量%、特に1.5〜5質
量%とすることが好ましいこといえる。尚、図示はしな
いが、第2の添加剤を併用する場合は、これらの合計添
加量がトルク特性に影響するため、合計量で6質量%以
下とすることが好ましい。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
低トルク性能、耐フレッチング摩耗性能、低アウトガス
性能及び音響耐久性能等に総合的に優れる転がり軸受が
得られ、更にはこれらの優れた諸性能を備えるスピンド
ルモータが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転がり軸受の一実施形態である玉軸受
を示す断面図である。
【図2】実施例で用いたモータ試験機の構成を示す断面
図である。
【図3】実施例で用いたトルク測定装置の構成を示す断
面図である。
【図4】実施例で用いたフレッチング試験用装置の構成
を示す断面図である。
【図5】第1の添加剤の添加量と、耐フレッチング及び
トルクとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 玉軸受 10 内輪 11 外輪 12 保持器 13 玉 14 シール部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 107/34 C10M 107/34 115/08 115/08 117/02 117/02 117/04 117/04 135/10 135/10 135/18 135/18 159/24 159/24 F16C 33/66 F16C 33/66 Z H02K 29/00 H02K 29/00 Z // C10M 137/10 C10M 137/10 A C10N 10:04 C10N 10:04 10:12 10:12 20:02 20:02 50:10 50:10 (72)発明者 中 道治 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 杉森 庸一郎 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 工藤 丈洋 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 山田 裕普 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 3J101 AA02 AA32 AA42 AA52 AA62 EA64 FA01 GA53 4H104 BB16B BB17B BB19B BB33A BB34A BB37A BE13B BG06C BG10C BH02C BH03C BH07C DB07C EA02A FA01 FA02 FA06 PA01 QA18 5H019 AA04 AA06 FF03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式:R1−O−CO−O−R
    2(R1、R2はアルキル基であり、互いに同一でもよい
    し、異なっていてもよい)で表される炭酸エステル化合
    物を必須成分として含む基油に、アルカリ金属の水酸化
    物もしくはアルカリ土類金属の水酸化物と、炭素数10
    以上の高級脂肪酸または1個以上の水酸基を有する炭素
    数10以上の高級ヒドロキシ脂肪酸とから合成されたア
    ルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、もしくはウレ
    ア化合物を増ちょう剤として配合してなることを特徴と
    するグリース組成物。
  2. 【請求項2】 一般式:R1−O−CO−O−R2におい
    て、R1、R2は独立して炭素数18〜30の飽和または
    不飽和の、直鎖または分岐アルキル基を表し、少なくと
    も一方のアルキル基は−CH2CHR34(R3は炭素数
    1〜12の飽和直鎖アルキル基、R4は炭素数4〜17
    の飽和直鎖アルキル基である)で表され、かつ炭酸エス
    テル化合物の40℃における動粘度が20〜40mm2/
    sであることを特徴とする請求項1記載のグリース組成
    物。
  3. 【請求項3】 第1の添加剤として、バリウム、カルシ
    ウムまたは亜鉛のスルフォン酸金属塩の少なくとも1つ
    を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の
    グリース組成物。
  4. 【請求項4】 第2の添加剤として、有機モリブデン化
    合物、有機亜鉛化合物、有機脂肪酸化合物及びその誘導
    体、有機リン化合物の少なくとも1つを含有することを
    特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のグリース
    組成物。
  5. 【請求項5】 モリブデンまたは亜鉛のジチオリン酸金
    属塩またはジチオカルバミン酸金属塩の少なくとも1つ
    を含有することを特徴とする請求項4に記載のグリース
    組成物。
  6. 【請求項6】 基油と増ちょう剤の合計量を100質量
    %としたときに、炭酸エステル化合物が70〜95質量
    %、増ちょう剤が5〜30質量%、第1の添加剤が1.
    1〜6質量%の割合でそれぞれ含有されていることを特
    徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のグリース組
    成物。
  7. 【請求項7】 基油と増ちょう剤の合計量を100質量
    %としたときに、第2の添加剤が0.1〜5質量%で、
    かつ第1の添加剤と第2の添加剤との合計で6質量%以
    下となるように含有されていることを特徴とする請求項
    3〜6の何れか1項に記載のグリース組成物。
  8. 【請求項8】 基油が、ジエステル系合成油、トリエス
    テル系合成油、テトラエステル系合成油、エーテル系合
    成油の少なくとも1種を、構成比で炭酸エステル化合物
    が基油全体の50質量%を占めるように混合してなる混
    合油であり、かつ該混合油の40℃における動粘度が2
    0〜40mm2/sであることを特徴とする請求項1〜7
    記載のグリース組成物。
  9. 【請求項9】 内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周
    面に内輪軌道を有する内輪と、外輪軌道と内輪軌道との
    間に転動自在に設けた複数個の転動体と、複数個の転動
    体を転動自在に保持する保持器とを備え、外輪軌道と内
    輪軌道との間の空間内に請求項1〜8の何れか1項に記
    載のグリース組成物を封入したことを特徴とする転がり
    軸受。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の転がり軸受を備える
    ことを特徴とするスピンドルモータ。
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