JP2003327262A - キャップ及びボトル缶並びにネジ式密封ボトル - Google Patents
キャップ及びボトル缶並びにネジ式密封ボトルInfo
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Abstract
度を高めることのできるキャップ及びボトル缶並びにネ
ジ式密封ボトル缶を得、ネジ式密封ボトル缶の耐圧性を
向上させる。 【解決手段】 口金部23にカール部と雄ねじ部25と
が形成されたボトル缶21の開口部を密封するピルファ
ープルーフ用の金属製のキャップ27であって、キャッ
プ27を形成する金属の引張強度SCが、220≦SC
≦300N/mm 2の範囲にあり、ボトル缶21の雄ね
じ部25におけるネジ部座屈強度SBとして、軸線方向
の耐圧縮荷重を2000≦SB≦4000Nの範囲のに
設定した。
Description
材の筒部に雌ネジが形成されてなるキャップと、口金部
にカール部と雄ねじ部とが形成されたボトル缶と、この
ボトル缶にキャップが冠着されてなるネジ式密封ボトル
に関する。
いるボトル缶は、アルミニウムやアルミニウム合金製の
金属板を絞り加工(Drawing)と、次いで行われ
るしごき加工(Ironing)とによって形成され
る、一般にDI缶と呼ばれている缶の上部に、口金部が
形成されて製造されている。このボトル缶に内容物を充
填した後、ボトル缶の口金部にキャップが冠着され、ネ
ジ式密封ボトル(キャップ付きボトル缶)とされる。
部には雄ねじ部1、カール部2、及び膨出部17が形成
されている。図6(b)に示すように、キャップ3が取
り付けられ、キャップ3の天面部3aの内面に設けられ
たライナー(図示せず)とカール部2とが密接すること
でボトル缶の開口部が密封される。図6(c)に示すよ
うに、キャップ3は、ボトル缶の雄ねじ部1に倣って雌
ねじ部5が形成される筒部を有したキャップ本体7と、
このキャップ本体7の下端に、破断部9を介して連設さ
れたピルファープルーフ部11とからなる。ピルファー
プルーフ部11は、膨出部17の下方を巻き込むように
折り曲げられて形成されている。
とピルファープルーフ部11とを連結するブリッジ15
と、周方向に連続して設けられた複数の切り込みである
スコア13とを有して構成されている。このキャップ3
は、ネジ式密封ボトルの開栓時にボトル缶に対して回転
されると、ボトル缶の口金部に形成された雄ねじ部1の
リードに従いキャップ本体7が上方に移動されながら回
転する一方で、ピルファープルーフ部11がボトル缶の
口金部の膨出部17に係止されているので、ブリッジ1
5が破断されるようになっている。このようにして、キ
ャップ3が、ボトル缶から離脱されるキャップ本体7
と、口金部に残されるピルファープルーフ部11とに分
離されることで、ネジ式密封ボトルは開栓される。(例
えば、特許文献1参照。)
1図)
の内容物を密封した場合にネジ式密封ボトル缶の内部は
陽圧となっており、この圧力によるキャップの天面部を
押し上げる力がキャップの雌ねじ部を引っ張るとともに
径方向へ拡がるように作用して、キャップが拡径方向に
変形してしまう虞があった。このようなキャップの変形
によって、雄ねじ部と雌ねじ部との嵌合強度が低下して
しまい、キャップが上方に押し上げられるようにズレて
しまってライナーとカール部との密着性が低下すること
により、ネジ式密封ボトル缶の密封性が低下してしまう
という問題があった。このため、ネジ式密封ボトルで
は、キャップと口金部との冠着強度、即ち、雄ねじ部と
雌ねじ部との嵌合強度を十分に確保する必要性がある。
この場合、キャップの雌ねじ部と、口金部の雄ねじ部と
の嵌合強度を高めるには、例えばネジ長を長くしたり、
ネジを深くしたり、キャップを拡径方向に変形し難くし
たりする対策が考えられる。
は、開栓時のキャップ回転回数が増えるため、開栓性の
低下する不利がある。また、ネジ深さを深く形成するに
はネジ成形上、キャップ素材の強度を低くしなければな
らず、同時に内圧上昇時のキャップ膨出変形が生じ易く
なり、シール面が減少してシール性を低下させる虞があ
る。また、キャップの拡径方向の変形を防止するには、
キャップの板厚を増したり、素材強度を高めたりする対
策が考えられるが、キャップの素材強度が高強度になり
過ぎると、キャップをボトル缶の口金部に巻き締めるキ
ャッピング時の荷重によって口金部の雄ねじ部が変形し
てしまい、開栓性が低下する虞がある。
で、開栓性を低下させることなくネジの嵌合強度を高め
ることのできるキャップ及びボトル缶並びにネジ式密封
ボトルを提供し、もって、ネジ式密封ボトルの密封性向
上を図ることを目的とする。
の本発明に係る請求項1記載のキャップは、口金部にカ
ール部と雄ねじ部とが形成されたボトル缶の開口部を密
封するピルファープルーフ用の金属製のキャップであっ
て、ボトル缶のカール部に密接されるライナーが設けら
れた天面部と、ボトル缶の雄ねじ部に嵌合する雌ねじ部
が形成される筒部とを有する構成とされ、キャップを形
成する金属の引張強度SCが、220≦SC≦300N
/mm2の範囲にあることを特徴とする。
属の引張強度SCが従来より高い220≦SC≦300
N/mm2の範囲に設定されることで、キャップの拡径
方向の拡がり変形が防止され、雄ねじ部と雌ねじ部の嵌
合強度が高められる。これにより、内圧によってキャッ
プがズレることを防止することができ、ライナーとカー
ル部との密着性が低下することもなく、良好な密封性を
得ることができる。また、引張強度SCが300N/m
m2以下に設定されることで、巻き締め時に雄ネジ部が
変形する程の荷重を加えることなく雌ねじ部を成形する
ことができ、良好な開栓性が確保される。
って開口部が密封される金属製のボトル缶であって、口
金部の周縁を折り返して形成されたカール部と、口金部
の周壁に形成された雄ねじ部とを有する構成とされ、雄
ねじ部におけるネジ部座屈強度SBとして、軸線方向の
耐圧縮荷重が2000≦SB≦4000Nの範囲にある
ことを特徴とする。
部座屈強度SBとしての軸線方向の耐圧縮荷重を、従来
より高い2000≦SB≦4000Nの範囲に設定した
従来より硬い金属が使用され形成される。これにより、
口金部に外挿したキャップ材を半径方向外側から押圧成
形してキャップの筒部に雌ねじ部を形成する際(所謂キ
ャッピング時)、キャップの引張強度を高めた分、外側
からの押圧成形荷重(所謂RO荷重)が増大しても、ボ
トル缶の雄ねじ部がRO荷重によって変形しなくなる。
したがって、雄ねじ部が変形することによって生じる開
栓トルクの上昇や、雄ねじ部の座屈(軸線方向の潰れ)
が防止される。また、上述したようにネジ部座屈強度S
Bが設定されることで、キャッピング時における絞り加
工の良好な加工性も確保される。
項1記載のキャップ及び請求項2記載のボトル缶からな
るネジ式密封ボトルであって、ボトル缶の雄ねじ部にキ
ャップ材の筒部が巻き締められることで、ボトル缶に冠
着するようにキャップが形成され、ボトル缶のカール部
にライナーが密接されることで、ボトル缶の開口部を密
封するようにキャップが冠着されてなることを特徴とす
る。
のキャップが請求項2記載のボトル缶に巻き締めること
で、キャップの拡径方向の拡がり変形が防止されて、キ
ャップのズレが防止されると共に、キャッピング時にお
ける雄ねじ部の変形も防止される。つまり、高強度のキ
ャップを、雄ねじ部の変形なしにキャッピングすること
ができる。これにより、キャップと口金部とのネジ嵌合
強度が高まり、開栓性が損なわれることなくネジ式密封
ボトルの密封性が向上することになる。
ボトル缶並びにネジ式密封ボトルの好適な実施の形態を
図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るネ
ジ式密封ボトルの一部分を切り欠いた側面図、図2は図
1に示したキャップと口金部の要部拡大断面図、図3は
図1に示したボトル缶の製造工程説明図、図4は図1に
示したキャップの巻締工程説明図、図5は図1に示した
ネジ式密封ボトルにおけるネジ部の作用説明図である。
なお、図6に示した部材と同一の部材には同一の符号を
付し、重複する説明は省略するものとする。
材からなる飲料用のボトル缶21は、口金部23の周壁
に雄ねじ部25を有する。ボトル缶21は、内容物の充
填後に、この雄ねじ部25にキャップ27を装着して内
容物を密封する。キャップ27は、金属(例えばアルミ
合金素材)からなるキャップ材43を口金部23に被
せ、このキャップ材43を口金部23の雄ねじ部25に
倣って押圧成形することで、雌ねじ部47がボトル缶2
1に巻き締められ、雌ねじ部47の成形と装着とを同時
に完了する。このようにしてキャップ27を冠着したボ
トル缶21は、ネジ式密封ボトル28を構成する。
49の内面には、シール材であるライナー29を貼設し
ている。キャップ27は、ボトル缶21の口金部23に
装着されると、このライナー29を口金部23に密接し
て、口金部23との間のシール性を高める。ライナー2
9が密接するボトル缶21の口金部23には、口金部2
3の周縁を外側に折り返して形成したカール部31を設
けている。つまり、ライナー29は、このカール部31
の外面に密接することになる。
平行となるように外面側輪郭部に、ライナー29と密接
する直線部33を形成している。このような直線部33
を設けることで、ボトル缶21の口金部23は、ライナ
ー29との良好なシール性が確保でき、ネジ式密封ボト
ル28の内部における内容物の密封性を高めている。
る金属の引張強度SCを、従来の値(200±15N/
mm2)より、所定の範囲となるように高く設定してい
る。即ち、その引張強度SCの範囲は、220≦SC≦
300N/mm2となるように設定している。なお、本
実施の形態では、キャップ27の素材が3000系若し
くは5000系のアルミ材である場合を例に説明する
が、引張強度SCが上記の範囲に設定されるものであれ
ば、その素材は特にアルミ材に限定されるものではな
く、その他の金属、例えば鉄等であってもよい。
キャップ27の主要部の寸法は、板厚を0.22〜0.
30mm、外径を28〜38mmとしている。
線方向の耐圧縮荷重を、従来の値より、所定の範囲とな
るように高く設定している。即ち、そのネジ部座屈強度
SBは、2000≦SB≦4000Nの範囲の圧縮荷重
に耐えられるように設定している。なお、本実施の形態
では、ボトル缶21の素材がアルミ材である場合を例に
説明するが、ネジ部座屈強度SBが上記の範囲に設定さ
れるものであれば、その素材は特にアルミ材に限定され
るものではなく、その他の金属、例えば鉄等であっても
よい。
を、このキャップ27を冠着するボトル缶21の製造手
順と共に説明する。先ず、ボトル缶21を製造するに
は、アルミ合金素材からなる素板を円形状に打ち抜き、
それを絞りしごき加工して図3(a)に示す有底筒状体
41を得る。更にそれを再絞りしごき加工して所定肉厚
の平底缶を得た後、縮径機によるネックイン加工によっ
て、缶先端開口を、缶外径より小さい内径の円筒状絞り
型内へ押込む。これにより、先端開口から所定長を縮径
した図3(b)に示すボトル形状体を成形する。
イン加工の完了した後、一旦縮径されたボトル形状体の
口金部23を拡径機によって再び拡径する。拡径加工の
施されたボトル形状体は、次いでネジ形成機によって開
口端から一定の距離で拡径部に雄ねじ部25が成形され
る。
は、カール加工機によって開口端を外方向に折り返し、
次いでスロット加工機によって、この折り返し部(カー
ル部31)を外面側より潰して直線部33を形成する。
には、ボトル缶21の内部への内容物の充填後に、キャ
ップ27となるキャップ材43が雄ねじ部25に被せら
れ巻き締めされる。つまり、このキャップ材43の筒部
43aを、缶軸と同方向の回転軸回りに回転する円盤状
の成形ロール45で半径方向外側から雄ねじ部25に沿
って押圧変形させ、雄ねじ部25に倣った雌ねじ部47
を筒部43aに形成する。このようなキャッピング時に
おいて、ライナー29とカール部31とを密着させるた
めに、図7に示すような平板19からの軸線方向の荷重
(所謂平板コラム荷重)によって、キャップの天面を押
圧しつつ雌ねじ部47が成形される。
形成される小径絞り部48(図2参照)は、キャップ材
43の成形と同時に成形される。また、ライナー29
も、キャップ材43を口金部23に被せる前工程におい
て、天面部49に貼設されている。
部47の成形と、口金部23への装着とを同時に完了す
る。従って、キャップ27の天面部49には、シール材
であるライナー29を貼設しているので、キャップ27
は、ボトル缶21の口金部23に装着されることで、こ
のライナー29をカール部31に密接してネジ式密封ボ
トル28内の内容物を密封する。
の引張強度SCが従来より高い220≦SC≦300N
/mm2の範囲に設定されることで、図5に破線で示す
ようにキャップ27の拡径方向(同図中の矢印方向)の
拡がり変形が防止され、ネジ同士の嵌合強度が高められ
る。これにより、雄ねじ部25に対する雌ねじ部47の
乗り越えが阻止され、キャップのズレが確実に防止でき
るようになる。また、引張強度SCが300N/mm2
以下に設定されることで、雌ねじ部47の成形性が確保
されると共に、開栓時のブリッジの破断も容易にして良
好な開栓性が確保される。
5のネジ部座屈強度SBが従来より高い2000≦SB
≦4000Nの範囲の軸線方向の耐圧縮荷重に設定され
ることで、従来より硬い金属を用いて形成される。これ
により、雄ねじ部25に外挿したキャップ材43を外側
から押圧成形してキャップ27の雌ねじ部47を形成す
る際(所謂キャッピング時)、キャップ27の引張強度
を高めた分、外側からの押圧成形荷重(所謂RO荷重)
が増大しても、ボトル缶21の雄ねじ部25がRO荷重
によって変形しなくなるとともに、平板コラム荷重によ
る座屈(軸線方向の潰れ)も防止される。したがって、
雄ねじ部25が変形することによって生じる、開栓トル
クの上昇が防止される。また、上述したようにネジ部座
屈強度S Bが設定されることで、キャッピング時におけ
るキャップ27の絞り加工の良好な加工性も確保され
る。
21からなるネジ式密封ボトル28によれば、キャップ
27の拡径方向の拡がり変形が防止され、キャップのズ
レが防止されると共に、キャッピング時における雄ねじ
部25の変形も防止される。つまり、高強度のキャップ
27を、雄ねじ部25の変形なしにキャッピングするこ
とができる。これにより、キャップ27と口金部23と
のネジ嵌合強度が高まり、ネジ式密封ボトル28の密封
性を向上させることができる。
キャップ及びボトル缶を異なる種々の引張強度SCと、
異なるネジ部座屈強度SBとで実際に製作し、ボトル缶
内圧を0.12MPaとした場合の評価結果を下表1に
示す。評価は、キャッピング時の雄ねじ部25の変形お
よび上記内圧時のキャップ27の拡径方向の拡がり変形
がまったく見られず非常に良好であったものを◎、上記
変形が若干は見られたものの使用の問題とならない程度
に良好であったものとを○、上記変形があり改善の余地
のあるものを△、内圧が異常に上昇するようなキャップ
付きボトル缶に使用不可なものを×、ボトル缶を良好に
加工できずに測定不可であったものを―――とした。
Bを1900Nとしたボトル缶では、口金部23の変形
がみられたが、ネジ部座屈強度SBを1900N以上と
することで口金部23の変形が生じなかった。また、ネ
ジ部座屈強度SBを4000N以上としたボトル缶21
では、ボトル缶21の製造が困難となった。たとえば、
強度を確保するために板厚を増加させた場合では、良好
に加工することのできる板厚より厚くなり過ぎてしまう
が、ネジ部座屈強度SBが4000N以下となる板厚で
良好に加工することができた。一方、引張強度SCを2
10N/mm2以下としたキャップでは、キャップに拡
径方向の変形が生じ、キャップがズレ易い状態となった
が、引張強度SCを210N/mm2以上とすることで
このような変形が生じなかった。また、引張強度SCを
305N/mm2以上としたキャップでは、雌ネジの成
形性が著しく低下し、かつ開栓時にブリッジが破断し難
くなって(開栓トルクが高まって)開栓性が低下した。
または、雌ネジを形成することのできる荷重を加えて加
工した場合に、この荷重にボトル口金部が耐えることが
できずに変形してしまい、変形したボトル口金部とキャ
ップとが開栓時に擦り合うことによって、開栓トルクが
増加してしまうが、引張強度SCを305N/mm2以
下とすることで口金部を変形させるほどの荷重を加えな
くてもキャップを良好に成形することができた。これに
より、ボトル缶21のネジ部座屈強度SBを2000≦
SB≦4000Nの範囲とし、キャップ27の引張強度
SCを220≦SC≦300N/mm2の範囲とするこ
とで、キャップの良好な巻締め性にピーク的効果の発揮
されることが知見できた。
ボトル缶21に巻き締められたネジ式密封ボトル28の
キャップ27の引張強度SCに対する密封性の評価結果
を示す。評価は、ブリッジの形成されていないキャップ
を410mlのボトル缶に所定の巻き締め条件で巻き締
めた後、内部に流体を流し込んでボトル缶内圧を550
kPaとした状態で、開栓する方向に回転角度45°間
隔でキャップを回転させる開栓角度が、0〜180°の
範囲における各開栓角度でのリークの有無を調べ、リー
クが無かったものを○、リークが有ったものを×とし
た。
場合において、いずれの引張強度S Cのキャップもリー
クは無かったが、開栓角度が90°となった場合におい
て、引張強度SCが210および310N/mm2のキ
ャップでリークが有り、220,250,および300
N/mm2のキャップでリークが無かった。また、25
0および300N/mm2のキャップでは、開栓角度を
135°としてもリークは無かった。このような評価の
総合評価より、引張強度SCを220≦SC≦300N
/mm2の範囲とすることで、良好な密封性が確保され
ることが分かる。
金素材の引張強度SCが上記範囲を確保することのでき
る実施例を示す。引張強度SCを決定する要因として、
アルミ合金素材の化学成分、圧下率、および最終焼鈍温
度が挙げられる。アルミ合金素材の化学成分とは、アル
ミニウム(Al)に含まれる不純物(S,Fe,Cuな
ど)の含有量のことで、その割合によって各種特性が決
定する。圧下率とは、アルミ合金素材の製造工程におい
て、アルミ合金スラブを熱間粗圧延および冷間粗圧延し
た後に中間焼鈍を行って得られるアルミ板材に対して施
される圧延工程での圧延圧下率で、圧下率を高くするこ
とで圧延に伴う加工硬化によって強度が増加する。圧下
率は、圧延工程前の板厚をt1、圧延工程後の板厚をt
2とした場合に、(t1―t2)/t1×100の式で
求められる。最終焼鈍温度とは、上記製造工程の圧延工
程を施されたアルミ板材を低温加熱によって安定化処理
を施す焼鈍での温度で、最終焼鈍温度を高くすることで
強度が低下するとともに伸びが増加する。また、最終焼
鈍温度は、製造工程後においてキャップを加熱する工程
のオーブンの温度である200℃前後が好ましく、これ
によりオーブンによる加熱によってキャップの強度が変
化することが防止される。
より製造された一定の板厚を有する板材について、製造
工程の圧下率と最終焼鈍温度との条件を変えた場合にお
ける、引張強度、耐力、伸び、および耳率の値を示す。
アルミ合金素材として、5051合金,5151合金,
5052合金,3004合金,1200合金,3003
合金、5005合金が用いられ、圧延圧下率として30
〜70%の範囲が選択的に用いられ、最終焼鈍温度とし
て160℃または200℃が用いられた。また、耳率と
は、円筒状に絞ったカップの周縁部に山部および谷部
(これらの凹凸を耳と呼ぶ)が生じた場合のカップ高さ
に対する耳高さの割合のことで、カップの耳率は、山部
の平均高さをh1、谷部の平均高さをh2、カップの平
均高さをh3とした場合、(h1−h2)/h3×10
0の式で求められる。
C≦300N/mm2の範囲内となるアルミ合金素材を
強度確保例(5051合金,5151合金,5052合
金,3004合金)とし、引張強度が220N/mm2
未満のアルミ合金素材を強度不足例(1200合金,3
003合金、5005合金)とした。強度不足例とされ
たアルミ合金素材であっても、圧下率をさらに上げるこ
とによって強度を向上させることができると考えられる
が、強度を向上させると耳率が上がって成形特性が悪く
なることが知られており、キャップの形成に適していな
い。また、表4にこれらのアルミ合金素材の化学成分を
示す。
て、圧下率と最終焼鈍温度との組み合わせにおける引張
強度および成形特性の判定を行った結果を示す。引張強
度SCが220≦SC≦300N/mm2の範囲内のも
のを○、範囲外のものを×とし、成形特性が成形良好の
ものを◎、成形可能のものを○、成形不良のものを×と
した。形成特性は、耳率および加工性から判断された。
は、引張強度SCが220≦SC≦300N/mm2の
範囲内となる圧下率と最終焼鈍温度との組み合わせの範
囲で、強度確保例である各アルミ合金素材で最終焼鈍温
度が160〜220℃の範囲において強度が確保され、
この温度範囲内で5051合金において圧下率が50〜
70%、5151合金において圧下率が60〜70%、
5052合金において圧下率が30〜70%、3004
合金において圧下率が40〜70%の範囲において強度
が確保された。
ャップ27を形成した実施例において、上記強度確保例
とされた各アルミ合金素材を上記条件で製造することに
より、引張強度SCを220≦SC≦300N/mm2
の範囲で確保することができ、ネジの嵌合強度を高める
ことができるとともに、良好な雌ねじ部47の成形特性
を確保することができる。
るキャップによれば、基材となるキャップ材を金属で形
成し、かつこの金属の引張強度SCを、従来より高い2
20≦SC≦300N/mm2の範囲に設定したので、
キャップの拡径方向の拡がり変形を防止して、ネジの嵌
合強度を高めることができる。この結果、雄ねじ部に対
する雌ねじ部の乗り越えを阻止し、キャップのズレを確
実に防止することができる。また、引張強度SCを、3
00N/mm2以下に設定することで、雌ねじ部の成形
性を確保できると共に、開栓時のブリッジの破断も容易
にして良好な開栓性も確保することができる。
周壁に雄ねじ部を有し、かつこの雄ねじ部のネジ部座屈
強度SBを、従来より高い2000≦SB≦4000N
の範囲の軸線方向の耐圧縮荷重に設定したので、雄ねじ
部に外挿したキャップ材を外側から押圧成形してキャッ
プの雌ねじ部を形成する際(所謂キャッピング時)、キ
ャップの引張強度を高めた分、外側からの押圧成形荷重
(所謂RO荷重)が増大しても、ボトル缶の雄ねじ部に
おける変形を防止することができる。この結果、雄ねじ
部が変形することによって生じる開栓トルクの上昇や雄
ねじ部の座屈(軸線方向の潰れ)を防止することができ
る。また、上述したようにネジ部座屈強度SB設定する
ことで、絞りしごき加工によるボトル缶の良好な加工性
も確保することができる。
請求項1記載のキャップ及び請求項2記載のボトル缶か
らなるので、キャップの拡径方向の拡がり変形を防止し
て、キャップのズレを防止することができると共に、キ
ャッピング時における雄ねじ部の変形を防止することが
できる。この結果、開栓性を低下させることなくキャッ
プと口金部とのネジ嵌合強度を高めて、密封性を向上さ
せることができる。
り欠いた側面図である。
面図である。
る。
る。
部の作用説明図である。
倣って雌ねじ部が形成される従来のキャップの説明図で
ある。
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 口金部にカール部と雄ねじ部とが形成さ
れたボトル缶の開口部を密封するピルファープルーフ用
の金属製のキャップであって、 ボトル缶のカール部に密接されるライナーが設けられた
天面部と、 ボトル缶の雄ねじ部に嵌合する雌ねじ部が形成される筒
部とを有する構成とされ、 キャップを形成する金属の引張強度SCが、220≦S
C≦300N/mm2の範囲にあることを特徴とするキ
ャップ。 - 【請求項2】 キャップによって開口部が密封される金
属製のボトル缶であって、 口金部の周縁を折り返して形成されたカール部と、 口金部の周壁に形成された雄ねじ部とを有する構成とさ
れ、 雄ねじ部におけるネジ部座屈強度SBとして、軸線方向
の耐圧縮荷重が2000≦SB≦4000Nの範囲にあ
ることを特徴とするボトル缶。 - 【請求項3】 請求項1記載のキャップ及び請求項2記
載のボトル缶からなるネジ式密封ボトルであって、 ボトル缶の雄ねじ部にキャップ材の筒部が巻き締められ
ることで、ボトル缶に冠着するようにキャップが形成さ
れ、 ボトル缶のカール部にライナーが密接されることで、ボ
トル缶の開口部を密封するようにキャップが冠着されて
なることを特徴とするネジ式密封ボトル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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