JP2003316054A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

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JP2003316054A
JP2003316054A JP2002117322A JP2002117322A JP2003316054A JP 2003316054 A JP2003316054 A JP 2003316054A JP 2002117322 A JP2002117322 A JP 2002117322A JP 2002117322 A JP2002117322 A JP 2002117322A JP 2003316054 A JP2003316054 A JP 2003316054A
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charging
particles
photosensitive member
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electrophotographic photosensitive
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Daisuke Tanaka
大介 田中
公博 ▲吉▼村
Kimihiro Yoshimura
Tatsuya Ikesue
龍哉 池末
Koichi Nakada
浩一 中田
Yosuke Morikawa
陽介 森川
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Canon Inc
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  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像濃度の差が殆どなく、高安定性で高品位
な画像を得ることができる電子写真感光体、プロセスカ
ートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。 【解決手段】 導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送
層及び保護層を順次積層してなり、該保護層が導電性粒
子、電荷輸送材料の少なくとも一方及び硬化性樹脂を有
する電子写真感光体において、導電性支持体上における
母線方向中心部位置の電荷発生層の膜厚をa0、保護層
の膜厚をb0(μm)とし、電荷発生層の膜厚aがa0
a≧0.03を満たす領域で、該表面保護層の膜厚b
(μm)が以下の関係式(1)を満たす電子写真感光
体、この電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ
及び電子写真装置。 b0×(a/a09≦b≦b0×(a/a01/6
(1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体、
プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関し、詳しく
は、電荷発生層と表面保護層を特定の膜厚に制御した電
子写真感光体、この電子写真感光体を有するプロセスカ
ートリッジ及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真方式を用いた複写機、プ
リンター及びファクシミリ等の発展は目覚しく、それに
伴い、より良い品質の画像を高速で出力可能な電子写真
装置を実現させることのできる、優れた特性を持つ電子
写真感光体への期待も高まっている。
【0003】従来、電子写真感光体としては、アモルフ
ァスシリコン等の無機電子写真感光体と、有機電荷発生
材料と有機電荷輸送材料を用いた有機電子写真感光体が
広く知られている。このうち有機電子写真感光体は、簡
便かつ安価に製造可能であり、また使用する材料の選択
の幅が広い等、多くの利点があるため、数多くの提案が
これまでになされ、その一部は実用化されている。
【0004】電子写真感光体に求められる特性には様々
なものがあるが、露光光の波長域において十分な感度を
有することは特に重要である。電子写真感光体の感度
は、使用される電荷発生材料の種類に大きく依存するこ
とが知られており、過去に様々な電荷発生材料が提案さ
れてきた。
【0005】電子写真感光体に用いられる代表的な電荷
発生材料の例としては、ピリリウム、チオピリリウム染
料、フタロシアニン顔料、アントアントロン顔料、ジベ
ンズピレンキノン顔料、ピラトロン顔料、アゾ顔料、イ
ンジゴ顔料、キナクリドン系顔料、非対称キノシアニン
及びキノシアニン等が挙げられる。
【0006】中でもフタロシアニン顔料は、いわゆるデ
ジタル複写機やレーザービームプリンター(LBP)に
おいて現在主に用いられる半導体レーザーの発振波長で
ある、650〜820nm程度の比較的長波長の光に対
する感度に優れることが知られており、その中でもガリ
ウムフタロシアニン化合物とオキシチタニウムフタロシ
アニン化合物は特に高感度を示すことが知られている。
つまり、膜厚の差が、感度となって表れ易い。
【0007】ガリウムフタロシアニン化合物としては、
例を挙げれば特開平5−98181号公報等にはクロロ
ガリウムフタロシアニン結晶が、特開平5−26300
7号公報、特開平6−93203号公報及び特開平8−
100134号公報等には数種類のヒドロキシガリウム
フタロシアニン結晶の製造法が開示されている。一方、
オキシチタニウムフタロシアニン化合物としては、例え
ば、特開昭59−49544号公報(米国特許第4,4
44,861号明細書)、特開昭59−166959号
公報、特開昭61−239248号公報(米国特許第
4,728,592号明細書)、特開昭62−6709
4号公報(米国特許第4,664,997号明細書)、
特開昭63−366号公報、特開昭63−116158
号公報、特開昭63−198067号公報及び特開昭6
4−17066号公報等に各々結晶形の異なるオキシチ
タニウムフタロシアニンが開示されている。
【0008】これとは異なる電子写真特性改善の方法と
して、感光層の構成を改良することにより、感度や耐久
性を向上させる方法も知られている。電荷発生機能と電
荷輸送機能とをそれぞれ別々の物質に分担させた、いわ
ゆる機能分離型電子写真感光体は、従来の単層型の有機
感光体の欠点とされていた感度や耐久性に著しい改善を
もたらした。このような機能分離型感光体は、電荷発生
材料と電荷輸送材料の材料選択範囲が広く、所望の特性
を有する電子写真感光体を比較的容易に作製できるとい
う利点を有している。
【0009】一方で、電子写真装置や静電記録装置等の
電子写真装置において、電子写真感光体・静電記録誘電
体等の像担持体(電子写真感光体)を所要の極性・電位
に一様に帯電処理(除電処理も含む)する帯電装置とし
てはコロナ帯電器(コロナ放電器)が広く使用されてい
た。
【0010】コロナ帯電器は非接触型の帯電装置であ
り、例えば、ワイヤ電極等の放電電極と該放電電極を囲
むシールド電極を備え、放電開口部を電子写真感光体で
ある像担持体に対向させて非接触に配設し、放電電極と
シールド電極に高圧を印加することにより、生じる放電
電流(コロナシャワー)に像担持体面を晒すことで像担
持体面を所定に帯電させるものである。
【0011】しかし、近時はコロナ帯電器に比べて低オ
ゾン・低電力等の利点があることから、電子写真感光体
に電圧を印加した帯電部材を当接させて電子写真感光体
を帯電する接触方式の帯電装置(接触帯電装置)が実用
化されてきている。
【0012】接触帯電装置は、像担持体等の電子写真感
光体に、ローラ型(帯電ローラ)、ファーブラシ型、磁
気ブラシ型、ブレード型等の導電性の帯電部材を接触さ
せ、この帯電部材(接触帯電部材・接触帯電器、以下、
接触帯電部材と記す)に所定の帯電バイアスを印加し
て、電子写真感光体面を所定の極性・電位に帯電させる
ものである。
【0013】接触帯電の帯電機構(帯電のメカニズム、
帯電原理)には、(1)放電帯電機構と(2)直接注入
帯電機構の2種類の帯電機構が混在しており、どちらが
支配的であるかにより各々の特性が現れる。
【0014】(1)放電帯電機構 接触帯電部材と電子写真感光体との微少間隙に生じる放
電現象により電子写真感光体表面が帯電する機構であ
る。
【0015】放電帯電系は、接触帯電部材と電子写真感
光体に一定の放電閾値を有するため、帯電電位より大き
な電圧を接触帯電部材に印加する必要がある。また、コ
ロナ帯電器に比べれば発生量は格段に少ないけれども放
電生成物を生じることが原理的に避けられないため、オ
ゾン等の活性イオンによる弊害は避けられない。
【0016】例えば、接触帯電部材として導電ローラ
(帯電ローラ)を用いたローラ帯電方式は帯電の安定性
と言う点で好ましく、広く用いられているが、このロー
ラ帯電ではその帯電機構は放電帯電機構が支配的であ
る。
【0017】すなわち、帯電ローラは導電あるいは中抵
抗のゴム材あるいは発泡体を用いて生成される。更に、
これらを積層して所望の特性を得たものもある。帯電ロ
ーラは電子写真感光体との一定の接触を得るために弾性
を持たせているが、そのため摩擦抵抗が大きく、多くの
場合、電子写真感光体に従動あるいは若干の速度差をも
って駆動される。従って、ローラ上の形状のムラや電子
写真感光体の付着物により非接触状態が避けられないた
め、従来のローラ帯電ではその帯電機構は放電帯電機構
が支配的となる。
【0018】より具体的に説明すると、電子写真感光体
としての厚さ25μmのOPC感光体に対して帯電ロー
ラを加圧当接させて帯電処理を行わせる場合には、帯電
ローラに対して約640V以上の電圧を印加すれば感光
体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対し
て傾き1で線形に感光体表面電位が増加する。以降、こ
のしきい値電圧を放電開始電圧Vthと定義する。
【0019】つまり、電子写真に必要とされる感光体表
面電位Vdを得るためには帯電ローラにはVd+Vth
という必要とされる以上のDC電圧が必要となる。この
ようにしてDC電圧のみを接触帯電部材に印加して像担
持体の帯電を行う方式を「DC帯電方式」と称する。
【0020】しかし、DC帯電方式においては環境変動
等によって接触帯電部材の抵抗が変動するため、また像
担持体としての感光体が削れることによって膜厚が変化
するとVthが変動するため、感光体の電位を所望の値
にすることが難しかった。
【0021】このため更なる帯電の均一化を図るために
特開昭63−149669号公報等に開示されるよう
に、所望のVdに相当するDC電圧に2×Vth以上の
ピーク間電圧を持つAC成分を重畳した振動電圧を接触
帯電部材に印加して像担持体の帯電を行う「AC帯電方
式」が用いられる。これはACによる電位のならし効果
を目的としたものであり、像担持体の電位はAC電圧の
ピークの中央であるVdに収束し、環境等の外乱には影
響されることはない。
【0022】しかしながら、このような接触帯電装置に
おいても、その本質的な帯電機構は帯電部材から像担持
体への放電現象を用いているため、先に述べたように帯
電に必要とされる電圧は像担持体表面電位+放電しきい
値以上の値が必要とされ、微量のオゾンは発生する。
【0023】また、帯電均一化のためにAC帯電を行っ
た場合には更なるオゾンの発生、AC電圧の電界による
接触帯電部材と感光体の振動騒音(AC帯電音)の発
生、また、放電による電子写真感光体表面の劣化が顕著
になり、新たな問題点となっていた。
【0024】(2)直接注入帯電機構 接触帯電部材から電子写真感光体へ電荷が直接注入され
ることで、電子写真感光体表面を帯電する機構である。
特開平6−3921号公報等に開示されている。
【0025】中抵抗の接触帯電部材が電子写真感光体表
面に接触して、放電現象を介さずに、つまり放電機構を
基本的に用いないで、電子写真感光体表面に直接電荷注
入を行うものである。よって、接触帯電部材への印加電
圧が放電閾値以下であっても、電子写真感光体を印加電
圧相当の電位に帯電することができる。この直接注入帯
電機構は、イオンの発生を伴わないため放電生成による
弊害は生じない。
【0026】より具体的には、帯電ローラ、帯電ブラ
シ、帯電磁気ブラシ等の接触帯電部材に電圧を印加し、
電子写真感光体(像担持体)表面にあるトラップ順位又
は保護層の導電粒子等の電荷保持部材に電荷を注入して
直接注入帯電を行う機構である。放電現象が支配的でな
いため、帯電に必要とされる電圧は所望する像担持体表
面のみであり、オゾンの発生も無い。
【0027】(帯電部材に粉末塗布)一方、接触帯電装
置の帯電ムラを防止し安定した均一帯電を行うために、
帯電部材の電子写真感光体面との接触面に粉末を塗布す
る構成が特公平7−99442号公報に開示されている
が、帯電部材が従動回転であり、スコロトロン等のコロ
ナ帯電器と比べるとオゾン生成物の発生は格段に少なく
なっているものの、帯電原理は前記帯電ローラで述べた
ように依然として放電によるコロナ帯電を主としてい
る。特に、より安定した帯電均一性を得るためにはDC
にACを重畳した電圧を印加するために、より放電によ
るオゾン生成物は多くなってしまう。よって、長期に装
置を使用した場合や、クリーニング部材がない装置を長
期に使用した場合において、オゾン生成物による画像流
れ等の弊害が現れ易い。
【0028】これまでに記載したように、帯電ローラあ
るいはファーブラシを用いた簡易な構成で直接帯電をす
ることが難しく、絶対的帯電不良による画像のかぶり
(反転現像の場合には白地部が現像される)や帯電ムラ
等が生じる。
【0029】一方、帯電部材の電子写真感光体面との接
触面に粉末を塗布し、帯電ローラが従動でコロナ帯電を
主とする帯電器構成で、長期に装置を使用した場合や、
クリーニング装置のない画像形成装置にを長期に使用し
た場合に、オゾン生成物が蓄積することにより画像流れ
が生じ易くなる。
【0030】また、クリーニング装置のない画像形成装
置においては、転写残のトナーが帯電部において帯電不
良を引き起こしてしまう。
【0031】そこで、新たな帯電方式として以下に記載
する方法が提案されている。
【0032】電圧を印加した帯電部材を電子写真感光体
に接触させて電子写真感光体面を帯電する帯電装置であ
り、前記帯電部材が弾性体で構成され、かつ、前記帯電
部材表面は電子写真感光体面に対して速度差を持ってお
り、かつ、少なくとも前記帯電部材と電子写真感光体と
の接触面に導電粒子を担持する。これにより、直接帯電
において十分な接触性を得られ、均一な帯電が可能とな
る。
【0033】また、前記導電粒子を供給する手段を持
つ。これにより、本帯電装置を長期に使用した場合にお
いても帯電を安定して行うことができる。
【0034】前記導電粒子の抵抗値が、1×1010Ω・
cm以下である。これにより、直接帯電において均一で
且つ安定した帯電が可能となる。
【0035】前記導電粒子の粒径が、10nm以上1画
素の大きさ以下である。これにより、露光を阻害しない
良好な画像を得られる装置を提供できる。
【0036】電子写真感光体の最表面層の体積抵抗率が
1×1014Ω・cm以下である。更に好ましくは、1×
109Ω・cm以上1×1014Ω・cm以下である。こ
れにより、プロセススピードの速い装置においても、十
分な帯電性を与えることができる。
【0037】電子写真感光体の周りに配置された、該電
子写真感光体に接触し、該電子写真感光体を一様に帯電
する帯電器と、該電子写真感光体に露光により静電潜像
を形成する露光器と、該静電潜像を現像剤で可視化し、
かつ電子写真感光体上に残留したトナーを回収する現像
器と、該電子写真感光体上のトナー像を記録材に転写す
る転写帯電器から構成された電子写真方式の電子写真装
置に上述の帯電手段を用いる。これにより、クリーナレ
ス画像形成装置においても、均一な帯電性を与えること
ができる優れた帯電方式である。
【0038】このようにクリーナレスを達成するのも、
近年のスモールオフィス化、ホームオフィス化に対応す
るためであり、複写機やプリンターの小型化は市場から
のニーズによって、早急に行わなければならない。それ
に付随して電子写真感光体も小径化や母線方向の長さを
短くする必要がある。
【0039】前述の様に、装置の小型化がより進む状況
では、電子写真感光体の導電性支持体の母線方向の長さ
を短くする必要があるが、出力物のサイズはA4やLT
Rサイズが中心であり、現像領域自体はほとんど変化を
していないのが現状である。つまり、より短い導電性支
持体を用いて、従来の通紙幅や現像幅を保証しなければ
ならない。一方、電子写真感光体に置きかえて鑑みる
と、帯電性や感度を安定にするために均一な膜厚を作製
する必要があるが、導電性支持体が短くなればなるほ
ど、膜厚が一定な領域を端部から短い距離で築かなくて
はならない。特に、導電性支持体上に電荷発生層、電荷
輸送層、表面保護層を塗布する場合、電位のムラに直結
する電荷発生層の塗工は特にムラがあってはいけない。
しかし、近年高感度の電荷発生材料を用いた場合、余剰
なキャリアが発生することによる画像不良を発生させな
いように、薄膜に塗工する必要性も相まって、ムラなく
薄膜に塗工することが重要である。また、下引き層の乾
燥を5分間以下にすると次に塗工する電荷発生層が厚く
なり過ぎる傾向にあり、この薄膜制御は更に困難を極め
る。特に、塗布方法が浸積塗布方法等の垂直方向に移動
しながら感光層を塗布する場合は、その傾向が顕著に現
れる。更に、生産性まで考慮すると、コストを下げるた
めに、塗布速度を上げてより多くの電子写真感光体を作
製する必要があり、電荷発生層の塗料の粘度を下げる必
要があり、その結果膜厚のダレは更に大きくなり、感度
ムラが大きくなる問題があった。その一方で、近年のカ
ラー化に代表されるように、高画質化は必須であり、市
場の画質に対する評価は厳しくなっており、微妙は感度
ムラによる濃度ムラは許される状況にない。
【0040】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、市場
の厳しいニーズを更に高い次元で達成させるために、電
子写真感光体における電荷発生層の膜厚ムラを前提とし
て、ここから生み出される電位ムラを保護層の膜厚を制
御することにより、上記課題を解消し、画像濃度の差が
殆どなく、高安定性で高品位な画像を得ることができる
電子写真感光体を提供することにある。
【0041】本発明の別の目的は、上記電子写真感光体
を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供
することにある。
【0042】
【課題を解決するための手段】本発明に従って、導電性
支持体上に電荷発生層、電荷輸送層及び保護層を順次積
層してなり、該保護層が導電性粒子、電荷輸送材料の少
なくとも一方及び硬化性樹脂を有する電子写真感光体に
おいて、導電性支持体上における母線方向中心部位置の
電荷発生層の膜厚をa0、保護層の膜厚をb0(μm)と
し、電荷発生層の膜厚aがa0−a≧0.03を満たす
領域で、該表面保護層の膜厚b(μm)が以下の関係式
(1)を満たすことを特徴とする電子写真感光体が提供
される。 b0×(a/a09≦b≦b0×(a/a01/6 (1)
【0043】また、本発明に従って、上記電子写真感光
体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置が提
供される。
【0044】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
細に説明する。
【0045】図1は、本発明における電子写真感光体の
母線方向の断面図である。図1に示すように、導電性支
持体1上に少なくとも電荷発生層2、電荷輸送層(図1
では省略)及び表面保護層3を有する電子写真感光体で
あり、該導電性支持体上における母線方向中心部位置の
電荷発生層の膜厚をa0、保護層の膜厚をb0(μm)、
電荷発生層の膜厚をa、表面保護層の膜厚をb(μm)
とし、かつ該表面保護層の膜厚が以下の関係式(1)を
満たすことを特徴とする電子写真感光体であれば、上記
課題を解決できることを見出した; b0×(a/a09≦b≦b0×(a/a01/6 (1)
【0046】特に好ましくは、下記関係式(2)を満た
すことにより上記課題をより容易に解決することができ
る; b0×(a/a07≦b≦b0×(a/a01/3 (2)
【0047】導電性支持体上の電荷発生層の膜厚aが、
母線方向における中心部の電荷発生層の膜厚をa0と比
べ0.03μm以上薄くなる領域で、表面保護層の膜厚
を制御することで、電位ムラを抑え、高品位な画像を提
供することができる。電荷発生層の膜厚が、中心部の膜
厚より薄い場合は、特に近年の高感度の電荷発生材料を
用いている場合、例えわずかな差でも電位の差を生じ、
明部電位Vlが高くなり、画像として出力すると、濃度
が薄く見える。特に、ハーフトーン等の中間色を用い
て、出力した場合、濃度ムラが顕著に表れる。
【0048】上記関係式(1)、(2)が成立する領域
は、電子写真装置における現像域幅であることが好まし
い。これは、少なくとも、実画像上において、濃度差が
ないことが保証されることが重要であるからである。当
然のことながら、現像域での濃度差を発生させないため
に、現像域以外にも多くの塗料を使用した場合は、それ
だけコストが高くなる方向になる。
【0049】上記関係式(1)、(2)が成り立つ時、
導電性支持体上における母線方向中心部位置の電荷発生
層の膜厚a0、電荷発生層の膜厚aが以下の関係式
(3)を満たすことが好ましい; 0.03≦a0−a≦0.1 (3)
【0050】a0−aが0.03未満では電荷発生層の
濃度差がほとんどないため技術的課題が発生しないし、
0.1を超えると保護層の膜厚のみでは解決できなくな
る。
【0051】更に、電荷発生層の乾燥を5分以内にする
ことで、電荷発生材料の熱履歴を少なくすることがで
き、電荷発生材料が高感度になるため、電荷発生層をよ
り薄膜にすることができるため、余剰キャリアを発生さ
せなくてすむことや、コストの面から好ましい。
【0052】本発明は上記のような、微妙な膜厚ムラか
ら発生する電位ムラを表面保護層の膜厚を精密に制御す
ることで上記問題を解決できることを示したものであ
る。近年の表面保護層の開発により、著しく進歩してい
るものの、電荷発生層で発生した電荷は、電荷輸送層を
移動し、その後表面層に移行するが、表面層と電荷輸送
層の間に若干の電荷の蓄積を生んでしまっている。その
わずかな電荷の蓄積は、表面電位として表れ、表面層の
膜厚が厚いほど表面電位の上昇が大きくなり、薄いほど
上昇は小さくなる。そこで、本発明者等は、鋭意検討し
た結果、電荷発生層のわずかな膜厚の違いにより生み出
される電位ムラを、表面保護層の膜厚を精密に制御して
式(1)を満たす様な保護層を設けることで、著しく改
善することができた。表面保護層は、通常0.5〜5.
5μmにあれば制御が可能である。より好ましくは、1
〜4μmである。
【0053】本発明において、表面保護層の膜厚は、光
の干渉により測定知る瞬間マルチ測定システムMCPD
−2000(大塚電子(株)製)を用いて測定した。ま
た、電荷発生層の膜厚は表面保護層をキヤノン式研磨装
置で保護層を取り除いた後、電荷輸送層上から反射濃度
計X−rite504(X−rite inc.)を用
いて、青色濃度を測定し、膜厚とした。
【0054】表面保護層には、硬化性樹脂を有し、かつ
導電性粒子及び電荷輸送材料の少なくとも一方を含有す
るものを用いた。
【0055】本発明における表面保護層の結着樹脂とし
ての硬化性樹脂は、フェノール樹脂、ポリウレタン、シ
ロキサン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミ
ド、イソシアネート、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及び
メラミン樹脂からなる群から選ばれたものが好ましく、
特にはフェノール樹脂が好ましい。
【0056】硬化性樹脂に関しては、表面保護層の抵抗
の環境変動が小さく、表面硬度が硬く、耐摩耗性に優
れ、更に微粒子の分散性、分散後の安定性の点において
も優れているため、表面保護層の結着樹脂として従来か
ら多く用いられているものである。
【0057】特に、硬化型のフェノール樹脂は、高温高
湿及び常温低湿の環境下における表面保護層の抵抗変動
が少なく、耐使用環境性に優れた電子写真感光体及び電
子写真装置を提供することができる。
【0058】本発明において用いる表面保護層の結着樹
脂としては、硬化型のフェノール樹脂、特には熱硬化型
のレゾール型のフェノール樹脂を用いることがより好ま
しい。通常、レゾール型フェノール樹脂は、フェノール
類化合物とアルデヒド類化合物をアルカリ触媒下で合成
される。これに用いられる主なるフェノール類として
は、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアル
キルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシン
及びビスフェノール等があるが、これらに限定されるも
のではない。また、アルデヒド類としては、ホルムアル
デヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール及びアセ
トアルデヒド等があるが、これらに限定されるものでは
ない。これらのフェノール類とアルデヒド類をアルカリ
触媒下で反応させ、モノメチロールフェノール類、ジメ
チロールフェノール類、トリメチロールフェノール類の
モノマー、及びそれらの混合物、又はそれらをオリゴマ
ー化されたもの、及びモノマーとオリゴマーの混合物を
作製する。このうち、分子の構造単位の繰り返しが2〜
20程度の比較的大きな分子がオリゴマー、それ以下の
ものがモノマーである。この時用いられるアルカリ触媒
として、NaOH、KOH及びCa(OH)2等のアル
カリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物やアミン系触
媒が用いられるが、高湿下での抵抗の変動を考慮すると
アミン系触媒を用いることがより好ましい。アミン系触
媒として、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン、ト
リメチルアミン、トリエチルアミン及びトリエタノール
アミン等があるが、これらに限定されるものではない。
本発明においては、溶液の安定性よりアンモニアを除く
アミン系触媒を用いることがより好ましい。
【0059】本発明における保護層中には、保護層を設
けることによる電子写真感光体の感度の維持と残留電位
上昇の抑制を鑑みて、電荷輸送材料を含んでもよい。電
荷輸送材料は、フェノール樹脂と電荷輸送材の相溶性が
良好で、均一に分散されることを観点に選ぶことが好ま
しく、その相溶性を良好にし、高い電荷輸送性を持たせ
るために、トリフェニルアミン誘導体であることがより
好ましく、また、フェノール性残基の数が2個以上であ
ることが好ましい。電荷輸送材料と硬化性フェノール結
着樹脂の混合割合は、質量比で、電荷輸送材料/フェノ
ール結着樹脂=0.1/10〜20/10が好ましく、
特には0.5/10〜10/10が好ましい。フェノー
ル結着樹脂対して電荷輸送材料が少な過ぎると残留電位
低下の効果が小さくなり、多過ぎると保護層の強度を弱
める可能性がある。
【0060】本発明の表面保護層に用いられる、抵抗調
整剤である導電性粒子としては、ZnO、TiOx、S
nO2、In23、Sb32含有SnO2、In23含有
SnO2、V25、MoO3、NiO及びCuO等の金属
酸化物粒子、あるいは金属粒子が例示できる。これらの
導電性粒子は、2種以上混合してもかまわない。中でも
SnO2とアンチモン(Sb)あるいは、Sb32との
固溶体、又はSnO2は電気抵抗を低くすることがで
き、かつ表面保護層を実質的に透明とすることができる
ので好ましく用いられる。
【0061】硬化性樹脂と金属又は金属酸化物の導電性
粒子との割合は直接的に表面保護層の抵抗を決定する値
であり、表面保護層の体積抵抗率が109〜1014Ω・
cmとなる様に上記導電性粒子を含有させることが好ま
しい。体積抵抗率が1014Ω・cmを超えると、直接注
入帯電による電荷の注入効率が低下して帯電不良を招い
たり、更に残留電位が上昇しカブリの多い画像となって
しまい易く、逆に10 9Ω・cm未満になると画像のボ
ケ、解像力の低下が生じ易くなる。膜強度的には、通
常、金属又は金属酸化物の導電性粒子の量が増えれば増
えるほど弱くなるため、金属又は金属酸化物の導電性粒
子の量は、表面保護層の抵抗及び残留電位が許容できる
範囲において、少なくする方が好ましい。
【0062】また、表面保護層は露光に用いられる光の
通過を実質上妨げない様、構成されていなければならな
い。用いる導電性粒子の粒径が大き過ぎると表面保護層
が不透明になり、感度減少、像濃度の低下が生じてしま
う。粒径としては、露光に用いる光の波長(0.42〜
0.8μm)以下が好ましく、より好ましくはその1/
2以下の粒径、すなわち0.3μm以下、更に好ましく
は0.1μm以下の粒子を用いることである。
【0063】また、本発明で用いる導電性粒子を表面保
護層に含有させるにあたっては、分散性の向上や抵抗変
動の抑制等を目的として、界面活性剤を添加したり、更
にはシランカップリング剤、チタネートカップリング
剤、イソシアネート化合物、シロキサン系化合物又はフ
ッ素原子含有化合物等で導電性粒子を表面処理すること
も可能であり、中でもシロキサン系化合物又はフッ素原
子含有化合物が好ましい。
【0064】本発明において用いられる潤滑性粒子とし
ては、フッ素原子含有樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、
シリカ粒子及びアルミナ粒子が好ましく、より好ましく
はフッ素原子含有樹脂粒子である。更に、これらを2種
以上混合してもよい。フッ素原子含有樹脂粒子として
は、四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン樹脂、六
フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フ
ッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂及び
これらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜
選択するのが好ましいが、特に、四フッ化エチレン樹
脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。樹脂粒子の分子
量や粒子の粒径は適宜選択することができ、特に制限さ
れるものではない。
【0065】また、シリカ粒子やアルミナ粒子等の無機
粒子は、粒子単独としては潤滑性粒子として働かないか
もしれないが、これらを分散、添加することにより、表
面保護層の表面粗さが大きくなり、結果的に表面保護層
の潤滑性が増すことが、本発明者等の検討で明らかにな
っている。ここでいう潤滑性粒子とは、潤滑性を付与す
る粒子を含めて表している。
【0066】このフッ素原子含有樹脂粒子を金属又は金
属酸化物の導電性粒子と共に樹脂溶液中で相互の粒子を
凝集させないように、フッ素原子含有化合物を金属又は
金属酸化物の導電性粒子の分散時に添加したり、また、
金属又は金属酸化物の導電性粒子の表面をフッ素原子含
有化合物で表面処理するとよい。フッ素原子含有化合物
を添加又は金属又は金属酸化物の導電性粒子に表面処理
を行うことにより、フッ素原子含有化合物のない場合に
比べて、樹脂溶液中での金属又は金属酸化物の導電性粒
子とフッ素原子含有樹脂粒子の分散性及び分散安定性が
格段に向上する。また、フッ素原子含有化合物を添加し
金属又は金属酸化物の導電性粒子を分散した液、又は表
面処理を施した金属又は金属酸化物の導電性粒子を分散
した液に、フッ素原子含有樹脂粒子を分散することによ
って分散粒子の二次粒子の形成もなく、経時的にも非常
に安定した分散性の良好な塗工液が得られる。
【0067】フッ素原子含有化合物としては、含フッ素
シランカップリング剤、フッ素変性シリコーンオイル、
フッ素系界面活性剤等が挙げられる。表1〜表3に好ま
しい化合物例を挙げるが、これらの化合物に限定される
ものではない。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】更に、環境安定性のある表面保護層とする
ために、下記一般式(I)で示されるシロキサン化合物
を金属又は金属酸化物の導電性粒子分散時に添加した
り、又は、予め表面処理を施した金属又は金属酸化物の
導電性粒子を混合することにより、更に環境安定性によ
り優れた表面保護層を得ることができる。
【0072】
【化1】
【0073】式中、Aは水素原子又はメチル基であり、
かつ、Aの全部における水素原子の割合は0.1〜50
%の範囲、nは0以上の整数である。
【0074】このシロキサン化合物を添加後分散した塗
工液又はこれを表面処理した導電性粒子を溶剤に溶かし
た結着樹脂中に分散することによって、分散粒子の二次
粒子の形成もなく、経時的にも安定した分散性の良好な
塗工液が得られ、更にこの塗工液より形成した表面保護
層は透明性が高く、耐環境性に特に優れた膜が得られ
た。更に、表面保護層に用いる樹脂が硬化型フェノール
樹脂の場合、表面保護層の膜厚又はその他の条件によ
り、スジ状のムラになったりセルを形成したりする場合
も見られるが、前述のシロキサン化合物を添加、又はこ
れを表面処理した導電性粒子を用いることにより、スジ
状のムラやセルの形成を抑制することができ、レベリン
グ剤の効果という予期せぬ効果もある。
【0075】一般式(I)で示されるシロキサン化合物
の分子量は特に制限されるものではないが、表面処理を
する場合は、その容易さからは粘度が高過ぎない方がよ
く、重量平均分子量で数百〜数万程度が適当である。
【0076】表面処理の方法としては、湿式・乾式の二
通りがある。湿式では、金属又は金属酸化物の導電性粒
子を一般式(I)で示されるシロキサン化合物とを溶剤
中で分散し、該シロキサン化合物を粒子表面に付着させ
る。分散の手段としては、ボールミルやサンドミル等の
一般の分散手段を使用することができる。次に、この分
散溶液を導電性粒子表面に固着させる。この熱処理にお
いては、シロキサン中のSi−H結合が熱処理過程にお
いて空気中の酸素によって水素原子の酸化が起こり、新
たなシロキサン結合ができる。その結果、シロキサンが
三次元構造にまで発達し、金属又は金属酸化物の導電性
粒子表面がこの網状構造で包まれる。このように表面処
理は、該シロキサン化合物を金属及び金属酸化物の導電
性粒子表面に固着させることによって完了するが、必要
に応じて処理後の粒子に粉砕処理を施してもよい。乾式
処理においては、溶剤を用いずに該シロキサン化合物と
金属及び金属酸化物の導電性粒子とを混合し混練を行う
ことによってシロキサン化合物を粒子表面に付着させ
る。その後は湿式処理と同様に熱処理、粉砕処理を施し
て表面処理を完了する。
【0077】本発明における金属及び金属酸化物の導電
性粒子に対するシロキサン化合物の割合は、粒子の粒径
やシロキサン中のメチル基と水素原子の比率等に依存す
るが、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜
40質量%である。
【0078】本発明における表面保護層は、硬化型であ
り、より好ましくは熱硬化型であるため感光層上に塗布
した後に通常は熱風乾燥炉等で硬化させる。この時の、
硬化温度は100℃〜200℃が好ましく、より好まし
くは120℃〜180℃である。また、表面保護層の膜
厚は0.5μm〜10μmが好ましく、通常0.5〜
5.5μmにあれば制御が可能である。より好ましく
は、1〜4μmである。
【0079】本発明においては、前記表面保護層中に、
酸化防止剤等の添加物を加えてもよい。
【0080】本発明の保護層に含有することのできる電
子輸送材料は、分子内に水酸基を少なくとも一つ有する
化合物が好ましく、特には、分子内にフェノール基を少
なくとも一つ有する化合物、分子内にヒドロキシアルキ
ル基及びヒドロキシアルコキシ基より選ばれる置換基を
少なくとも1つ有する化合物が好ましい。
【0081】本発明に用いられるヒドロキシアルキル基
及びヒドロキシアルコキシ基より選ばれる置換基を少な
くとも1つ有する電荷輸送材料は、下記式(1)〜
(3)のいずれかで示される化合物であることが好まし
い。
【0082】
【化2】
【0083】式中、R1、R2及びR3はそれぞれ炭素数
1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、
α、β及びγはそれぞれ置換基としてハロゲン原子、置
換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよい
アルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基又は置
換基を有してもよい複素環基を1つ以上有してもよいベ
ンゼン環を示し、a、b及びdは0又は1であり、m及
びnは0又は1である。
【0084】
【化3】
【0085】式中、R4、R5及びR6はそれぞれ炭素数
1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、
δ及びεはそれぞれ置換基としてハロゲン原子、置換基
を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアル
コキシ基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基
を有してもよい複素環基を1つ以上有してもよいベンゼ
ン環を示し、e、f及びgは0又は1である。p、q及
びrは0又は1であり、総てが同時に0になることはな
い。Z1及びZ2はそれぞれハロゲン原子、置換基を有し
てもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ
基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有し
てもよい複素環基を示し、共同で環をなしてもよい。
【0086】
【化4】
【0087】式中、R7、R8、R9及びR10はそれぞれ
炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を
示し、ζ、η、θ及びιはそれぞれ置換基としてハロゲ
ン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有
してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリー
ル基又は置換基を有してもよい複素環基を1つ以上有し
てもよいベンゼン環を示し、h、i、j及びkは0又は
1であり、s、t及びuは0又は1である。Z3及びZ4
はそれぞれハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキ
ル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有
してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環
基を示し、共同で環をなしてもよい。
【0088】本発明に用いられるフェノール基を少なく
とも一つ有する電荷輸送材料は、下記式(4)〜(6)
のいずれかで示される化合物であることが好ましい。
【0089】
【化5】
【0090】式中、R11は炭素数1〜8の枝分かれして
もよい2価の炭化水素基を示し、R 12は水素原子、置換
基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいア
ラルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基を示
す。Ar1及びAr2は置換基を有してもよいアルキル
基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有し
てもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基
を示す。Ar3は置換基を有してもよいアリーレン基又
は2価の置換基を有してもよい複素環基を示す。v及び
wはそれぞれ0又は1である。但し、v=0の時、w=
0である。κ及びλはそれぞれ置換基としてハロゲン原
子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有して
もよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基
又は置換基を有してもよい複素環基を1つ以上有しても
よいベンゼン環を示す。
【0091】
【化6】
【0092】式中、R13は炭素数1〜8の枝分かれして
もよい2価の炭化水素基を示す。Ar4及びAr5は置換
基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいア
ラルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換
基を有してもよい複素環基を示す。μ及びνはそれぞれ
置換基としてハロゲン原子、置換基を有してもよいアル
キル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を
有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素
環基を1つ以上有してもよいベンゼン環を示す。なお、
μとνは置換基を介して共同で環をなしてもよい。xは
0又は1である。
【0093】
【化7】
【0094】式中、R14及びR15はそれぞれ炭素数1〜
8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar
6は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有して
もよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基
又は置換基を有してもよい複素環基を示す。ξ、π、ρ
及びσはそれぞれ置換基としてハロゲン原子、置換基を
有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコ
キシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有
してもよい複素環基を1つ以上有してもよいベンゼン環
を示す。なお、ξとπ及びρとσは置換基を介して共同
で環をなしてもよい。y及びzはそれぞれ0又は1であ
る。
【0095】上記式(1)〜(6)における置換基等の
構造について以下に詳しく説明する。
【0096】式中、R1〜R11及びR13〜R15はそれぞ
れ炭素数1〜8の枝分かれしてもよい、メチレン基、エ
チレン基、プロピレン基及びブチレン基等の2価の炭化
水素基を示す。R12は水素原子、置換基を有してもよい
メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアル
キル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル
基及びナフチルメチル基等のアラルキル基又はフェニル
基を示す。
【0097】式中、α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、
ι、κ、λ、μ、ν、ξ、π、ρ及びσが示すベンゼン
環が有してもよい置換基としては、フッ素、塩素、臭素
及びヨウ素等のハロゲン原子、置換基を有してもよいメ
チル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキ
ル基、置換基を有してもよいメトキシ基、エトキシ基、
プロポキシ基及びブトキシ基等のアルコキシ基、置換基
を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基
及びピレニル基等のアリール基、又は置換基を有しても
よいピリジル基、チエニル基、フリル基及びキノリル基
等の複素環基を示す。μとν、ξとπ、及びρとσは共
同でそれぞれが結合している置換基等を介して、フルオ
レン骨格やジヒドロフェナントレン骨格等の環状構造を
形成してもよい。
【0098】式中、Z1〜Z4はフッ素、塩素、臭素及び
ヨウ素等のハロゲン原子、置換基を有してもよいメチル
基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル
基、置換基を有してもよいメトキシ基、エトキシ基、プ
ロポキシ基及びブトキシ基等のアルコキシ基、置換基を
有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基及
びピレニル基等のアリール基、又は置換基を有してもよ
いピリジル基、チエニル基、フリル基及びキノリル基等
の複素環基を示す。Z1とZ2及びZ3とZ4は共同でそれ
ぞれが結合しているビフェニル骨格を介して、フルオレ
ン骨格やジヒドロフェナントレン骨格等の環状構造を形
成してもよい。
【0099】式中、Ar1、Ar2、Ar4、Ar5及びA
6は置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロ
ピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有しても
よいベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基等
のアラルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナ
フチル基、アンスリル基及びピレニル基等のアリール
基、又は置換基を有してもよいピリジル基、チエニル
基、フリル基及びキノリル基等の複素環基を示す。Ar
3は置換基を有してもよいフェニレン基、ナフチレン
基、アンスリレン基及びピレニレン基等のアリーレン
基、ピリジレン基又はチエニレン基等の2価の複素環基
を示す。
【0100】式(1)〜(6)において有してもよい置
換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブ
チル基等のアルキル基、ベンジル基、フェネチル基及び
ナフチルメチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフ
チル基、アンスリル基、ピレニル基、フルオレニル基、
カルバゾリル基、ジベンゾフリル基及びジベンゾチオフ
ェニル基等の芳香環基、メトキシ基、エトキシ基及びプ
ロポキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基及びナフト
キシ基等のアリールオキシ基、フッ素、塩素、臭素及び
ヨウ素等のハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基等が挙
げられる。
【0101】本発明において用いられる電荷輸送材料
は、フェノール樹脂との相溶性が良好で均一に分散され
た保護層膜を容易に作製できるが、その相溶性を更に良
好にするために、式(1)〜(3)においてはR1〜R
10で示される2価の炭化水素基は炭素数4以下であるこ
とが好ましく、また、ヒドロキシアルキル基及びヒドロ
キシアルコキシ基の数が2個以上であることが好まし
い。また、式(4)〜(6)においては、電荷輸送材料
に含まれるフェノール残基がフェノール樹脂と反応して
保護層マトリックス中に電荷輸送材料が取り込まれ、保
護層としての強度がより強くなる。
【0102】本発明に用いられる式(1)〜(6)の特
定の構造を有する電荷輸送材料は、保護層を作製するた
めの塗工液中に均一に溶解又は分散させ、塗布して形成
する。式(1)〜(6)の電荷輸送材料と結着樹脂の混
合割合は、質量比で、電荷輸送材料/結着樹脂=0.1
/10〜20/10が好ましく、特には0.5/10〜
10/10が好ましい。結着樹脂対して電荷輸送材料が
少な過ぎると残留電位低下の効果が小さくなり、多過ぎ
ると保護層の強度を弱める可能性がある。
【0103】以下に、本発明で用いられる式(1)〜
(6)で示される電荷輸送材料の具体例を示す。但し、
本発明における電荷輸送材料はこれらに限定されるもの
ではない。
【0104】
【化8】
【0105】
【化9】
【0106】
【化10】
【0107】
【化11】
【0108】
【化12】
【0109】
【化13】
【0110】
【化14】
【0111】
【化15】
【0112】
【化16】
【0113】
【化17】
【0114】
【化18】
【0115】
【化19】
【0116】
【化20】
【0117】保護層の塗工液を分散する溶剤としては、
結着樹脂を十分に溶解し、式(1)〜(6)で示される
電荷輸送材料も十分に溶解し、導電性粒子を用いる場合
はその分散性が良好で、フッ素原子含有化合物、フッ素
原子含有樹脂粒子及びシロキサン化合物等の潤滑性粒子
を用いる場合は相溶性や処理性が良好で、更に、保護層
の塗工液と接触する電荷輸送層に悪影響を与えない溶剤
が好ましい。
【0118】従って、溶剤としては、メタノール、エタ
ノール及び2−プロパノール等のアルコール類、アセト
ン及びメチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル及
び酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン及び
ジオキサン等のエーテル類、トルエン及びキシレン等の
芳香族炭化水素類、クロロベンゼン及びジクロロメタン
等のハロゲン系炭化水素類等が使用可能であり、更にこ
れらを混合して用いてもよい。これらの中でも、フェノ
ール樹脂の形態に最も好適な溶剤は、メタノール、エタ
ノール及び2−プロパノール等のアルコール類である。
【0119】従来の電荷輸送材料は、一般的にアルコー
ル類の溶剤には不溶又は難溶であり、一般のフェノール
樹脂への均一な分散は困難であるが、本発明に用いる電
荷輸送材料の多くはアルコール類を主成分とする溶剤に
可溶であるのでフェノール樹脂塗工液への分散が可能と
なる。
【0120】本発明の保護層の塗布方法としては、浸漬
コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナー
コーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバ
ーコーティング法及びブレードコーティング法等の一般
的な塗工方法を用いることができる。
【0121】次に、感光層について説明する。
【0122】本発明の電子写真感光体は、主に積層構造
を有することが好ましい。図2(a)の電子写真感光体
は、導電性支持体14の上に電荷発生層13、電荷輸送
層12が順に設けており、更に最表面に保護層11を設
けている。また、図2(b)及び(c)の様に導電性支
持体と電荷発生層の間に、結着層15、更には干渉縞防
止等を目的とする下引き層16を設けてもよい。
【0123】導電性支持体としては、支持体自身が導電
性を持つもの、例えばアルミニウム、アルミニウム合金
及びステンレス等の金属を用いることができ、その他に
アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸
化スズ合金等を真空蒸着によって被膜形成された層を有
する前記導電性支持体やプラスチック、導電性粒子(例
えば、カーボンブラック、酸化スズ、酸化チタン及び銀
粒子等)を適当な結着樹脂と共にプラスチックや紙に含
浸した支持体、導電性結着樹脂を有するプラスチック等
を用いることができる。
【0124】また、導電性支持体と感光層の間には、バ
リアー機能と接着機能を持つ結着層(接着層)を設ける
ことができる。結着層は、感光層の接着性改良、塗工性
改良、支持体の保護、支持体の欠陥の被覆、支持体から
の電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護等
のために形成される。結着層には、カゼイン、ポリビニ
ルアルコール、エチルセルロース、エチレン−アクリル
酸コポリマー、ポリアミド、変性ポリアミド、ポリウレ
タン、ゼラチン又は酸化アルミニウム等によって形成で
きる。結着層の膜厚は、5μm以下が好ましく、特には
0.1〜3μmが好ましい。
【0125】本発明に用いられる電荷発生材料として
は、(1)モノアゾ、ジスアゾ及びトリスアゾ等のアゾ
系顔料、(2)金属フタロシアニン及び非金属フタロシ
アニン等のフタロシアニン系顔料、(3)インジゴ及び
チオインジゴ等のインジゴ系顔料、(4)ペリレン酸無
水物及びペリレン酸イミド等のペリレン系顔料、(5)
アンスラキノン及びピレンキノン等の多環キノン系顔
料、(6)スクワリリウム色素、(7)ピリリウム塩及
びチアピリリウム塩類、(8)トリフェニルメタン系色
素、(9)セレン、セレン−テルル及びアモルファスシ
リコン等の無機物質、(10)キナクリドン顔料、(1
1)アズレニウム塩顔料、(12)シアニン染料、(1
3)キサンテン色素、(14)キノンイミン色素、(1
5)スチリル色素、(16)硫化カドミウム及び(1
7)酸化亜鉛等が挙げられる。
【0126】電荷発生層に用いる結着樹脂としては、例
えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
アリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、
ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、
アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェ
ノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチ
レン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポ
キシ樹脂、尿素樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものでは
ない。これらは単独、混合あるいは共重合体ポリマーと
して1種又は2種以上用いることができる。
【0127】電荷発生層用塗工液に用いる溶剤は、使用
する樹脂や電荷発生材料の溶解性や分散安定性から選択
されるが、有機溶剤としては、アルコール類、スルホキ
シド類、ケトン類、エーテル類、エステル類、脂肪族ハ
ロゲン化炭化水素類又は芳香族化合物等を用いることが
できる。
【0128】電荷発生層は、前記の電荷発生材料を0.
3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤と共に、ホモジナイザ
ー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター又
はロールミル等の方法で十分に分散し、塗布、乾燥され
て形成される。その厚みは、5μm以下が好ましく、特
には0.01〜1μmの範囲が好ましい。
【0129】また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤及び公知の電荷発生材
料を必要に応じて添加することもできる。
【0130】用いられる電荷輸送材料としては、各種ト
リアリールアミン系化合物、各種ヒドラゾン系化合物、
各種スチリル系化合物、各種スチルベン系化合物、各種
ピラゾリン系化合物、各種オキサゾール系化合物、各種
チアゾール系化合物及び各種トリアリールメタン系化合
物等が挙げられる。
【0131】電荷輸送層を形成するのに用いられる結着
樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエ
ステル、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート、ポリ
サルホン、ポリフェニレンオキシド、エポキシ樹脂、ポ
リウレタン樹脂、アルキド樹脂及び不飽和樹脂等から選
ばれる樹脂が好ましい。特に好ましい樹脂としては、ポ
リメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン−ア
クリロニトリル共重合体、ポリカーボネート樹脂及びジ
アリルフタレート樹脂が挙げられる。
【0132】電荷輸送層は一般的には前記の電荷輸送材
料と結着樹脂を溶剤に溶解し、塗布して形成する。電荷
輸送材料と結着樹脂との混合割合は2:1〜1:2程度
である。溶剤としては、アセトン及びメチルエチルケト
ン等のケトン類、酢酸メチル及び酢酸エチル等のエステ
ル類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ク
ロロベンゼン、クロロホルム及び四塩化炭素等の塩素系
炭化水素類等が用いられる。この溶液を塗布する際に
は、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティン
グ法及びスピンナーコーティング法等のコーティング法
を用いることができ、乾燥は10℃〜200℃が好まし
く、より好ましくは20℃〜150℃の範囲の温度で、
5分〜5時間が好ましく、より好ましくは10分〜2時
間の時間で送風乾燥又は静止乾燥下で行うことができ
る。
【0133】電荷輸送層は、上述の電荷発生層と電気的
の接続されており、電界の存在下で電荷発生層から注入
された電荷キャリアを受け取ると共に、これ等の電荷キ
ャリアを保護層との界面まで輸送する機能を有してい
る。この電荷輸送層は電荷キャリアを輸送する限界があ
るので必要以上に膜厚を厚くすることができないが、5
〜40μmが好ましく、特には7〜30μmの範囲が好
ましい。
【0134】更に、電荷輸送層中に酸化防止剤、紫外線
吸収剤、可塑剤及び公知の電荷輸送材料を必要に応じて
添加することもできる。
【0135】本発明では更に、この電荷輸送層の上に前
記保護層を塗布、硬化させて成膜することで完成され
る。
【0136】以下に、本発明の電子写真感光体を用いた
電子写真装置の具体的な実施形態を示す。
【0137】<実施形態1>図3に本発明の電子写真感
光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装
置の概略構成を示す。
【0138】図3において、21はドラム状の本発明の
電子写真感光体であり、軸22を中心に矢印方向に所定
の周速度で回転駆動される。電子写真感光体21は、回
転過程において、一次帯電手段23によりその周面に正
又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット
露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)
から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画
像信号に対応して強度変調された露光光24を受ける。
こうして電子写真感光体21の周面に対し、目的の画像
情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0139】形成された静電潜像は、次いで現像手段2
5によりトナー現像され、不図示の給紙部から電子写真
感光体21と転写手段26との間に電子写真感光体21
の回転と同期して取り出されて給送された転写材27
に、電子写真感光体21の表面に形成担持されているト
ナー画像が転写手段26により順次転写されていく。
【0140】トナー画像の転写を受けた転写材27は、
電子写真感光体面から分離されて像定着手段28へ導入
されて像定着を受けることにより画像形成物(プリン
ト、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0141】像転写後の電子写真感光体21の表面は、
クリーニング手段29によって転写残りトナーの除去を
受けて清浄面化される。近年、クリーナレスシステムも
研究され、転写残りトナーを直接、現像器等で回収する
こともできる。更に、前露光手段(不図示)からの前露
光光30により除電処理された後、繰り返し画像形成に
使用される。なお、一次帯電手段23が帯電ローラ等を
用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必
要ではない。
【0142】本発明においては、上述の電子写真感光体
21、一次帯電手段23、現像手段25及びクリーニン
グ手段29等の構成要素のうち、複数のものを容器に納
めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成
し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービー
ムプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に
構成してもよい。例えば、一次帯電手段23、現像手段
25及びクリーニング手段29の少なくとも1つを電子
写真感光体21と共に一体に支持してカートリッジ化し
て、装置本体のレール等の案内手段32を用いて装置本
体に着脱自在なプロセスカートリッジ31とすることが
できる。
【0143】また、露光光24は、電子写真装置が複写
機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透
過光、あるいは、センサで原稿を読取り、信号化し、こ
の信号に従って行われるレーザービームの走査、LED
アレイの駆動又は液晶シャッターアレイの駆動等により
照射される光である。また、必要に応じて他の補助プロ
セスを加えてもよい。
【0144】本発明の電子写真感光体は、電子写真複写
機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、
CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プ
リンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも幅
広く適用し得るものである。
【0145】<実施形態2>図4は本発明に従う電子写
真装置の概略構成図である。この電子写真装置は、転写
式電子写真プロセス利用、直接注入帯電方式のレーザプ
リンタである。
【0146】(1)電子写真装置の全体的な概略構成 本例ではφ24mmの回転ドラム型の負極性OPC感光
体(ネガ感光体、以下、電子写真感光体と記す)であ
り、この電子写真感光体41は矢印の方向に周速度47
mm/sec(=プロセススピードPS、印字速度)の
一定速度をもって回転駆動される。
【0147】帯電手段42は、本発明に従う粒子帯電タ
イプの接触帯電手段であり、接触帯電部材としての帯電
ローラ42Aと、該帯電ローラに対する帯電バイアス印
加電源S1と、該帯電ローラに対する帯電粒子供給器4
3を有する。
【0148】帯電ローラ42Aは、芯金42aと、この
芯金42aの外周りに同心一体にローラ状に形成した帯
電粒子担持体としてのゴムあるいは発泡体の弾性・中抵
抗層42bからなり、更に、弾性・中抵抗層42bの外
周面に帯電粒子(導電性粒子)mを担持させて構成され
る。この帯電ローラ42Aは、電子写真感光体41に所
定の侵入量をもって押圧当接させて、所定幅の帯電接触
部nを形成させている。帯電ローラ42Aに担持させた
帯電粒子mが帯電接触部nにおいて電子写真感光体41
面に接触する。
【0149】帯電ローラ42Aは、電子写真感光体41
と同じ矢印の方向に回転駆動され、帯電接触部nにおい
て電子写真感光体41の回転方向と逆方向(カウンタ
ー)で回転することで、帯電粒子mを介して電子写真感
光体41面に対して速度差を持って接触する。
【0150】電子写真感光体41に対する帯電ローラ4
2Aの相対速度差は、帯電ローラ42Aと逆方向(電子
写真感光体41の回転に順回転方向)に周速度を異なら
せて回転駆動させることでも持たせることができる。た
だ、直接注入帯電の帯電性は電子写真感光体41の周速
と帯電ローラ42Aの周速の比に依存するため、帯電ロ
ーラ42Aを電子写真感光体41と同じ方向に回転駆動
させる方が回転数の点で有利であると共に、粒子の保持
性の点でも、この構成にすることが好ましい。
【0151】電子写真装置の画像記録時には、該帯電ロ
ーラ42Aの芯金42aに帯電バイアス印加電源S1か
ら所定の帯電バイアスが印加される。
【0152】これにより、電子写真感光体41の周面が
直接注入帯電方式で所定の極性・電位に一様に接触帯電
処理される。本例では帯電ローラ42Aの芯金42aに
帯電バイアス印加電源S1から−600Vの帯電バイア
スを印加して、電子写真感光体41面にその印加帯電バ
イアスとほぼ同じ帯電電位を得た。
【0153】帯電ローラ42Aの外周面に塗布されてい
る帯電粒子mは、帯電ローラ42Aによる電子写真感光
体41の帯電と共に電子写真感光体41面に付着して持
ち去られる。従って、それを補うために帯電ローラ42
Aに対する帯電粒子供給器43を必要とする。帯電粒子
供給器43による帯電ローラ42Aに対する帯電粒子m
の塗布は、帯電粒子供給器43のハウジング容器43a
内に蓄えられた帯電粒子mを攪拌羽根43bにより攪拌
し帯電ローラ42Aの外周面に供給して行われる。そし
て、目標の塗布量に応じて過剰となる帯電粒子mをファ
ーブラシ43cに掻き取らせて適正量の帯電粒子塗布を
行う。帯電粒子塗布量の制御は、ファーブラシ43cの
回転数制御により随時調整可能である。上記の帯電手段
42及び直接注入帯電については更に別項で詳述する。
【0154】レーザダイオード・ポリゴンミラー等を含
むレーザビームスキャナ(露光装置)44は、目的の画
像情報の時系列電気ディジタル画素信号に対応して強度
変調されたレーザー光を出力し、該レーザー光で上記回
転電子写真感光体41の一様帯電面を走査露光Lする。
この走査露光Lにより回転電子写真感光体41の面に目
的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0155】本例の現像装置(現像器)45は、磁性キ
ャリアCdと非磁性トナーtから構成される二成分現像
剤Tを保持し、一定量を現像スリーブ51上にコーティ
ングする。トナーtは、キャリアCdとの摺擦により一
定の摩擦帯電を帯び、現像バイアス印加電源S2により
現像スリーブ51と電子写真感光体41との間に印加さ
れた現像バイアスにより現像領域aにおいて電子写真感
光体41上の静電潜像を顕像化する。上記の現像装置4
5については更に別項で詳述する。
【0156】接触転写手投としての中抵抗の転写ローラ
46は、電子写真感光体41に所定に圧接させて転写ニ
ップ部bを形成させてある。この転写ニップ部bに不図
示の給紙部から所定のタイミングで被記録体としての転
写材Pが給紙され、かつ転写ローラ46に転写バイアス
印加電源S3から所定の転写バイアス電圧が印加される
ことで、電子写真感光体41側のトナー像が転写ニップ
部bに給紙された転写材Pの面に順次に転写されてい
く。
【0157】本例で使用の転写ローラ46は、芯金46
aに中抵抗発泡層46bを形成した、ローラ抵抗値5×
108Ωのものであり、+2.0kVの電圧を芯金46
aに印加して転写を行なった。転写ニップ部bに導入さ
れた転写材Pはこの転写ニップ部bを挟持搬送されて、
その表面側に回転電子写真感光体41の表面に形成担持
されているトナー画像が順次に静電気力と押圧力にて転
写されていく。
【0158】転写ニップ部bに給紙されて電子写真感光
体41側のトナー画像の転写を受けた転写材Pは、回転
電子写真感光体41の面から分離されてこの定着装置4
7に導入され、トナー画像の定着を受けて画像形成物
(プリント・コピー)として装置外へ排出される。
【0159】電子写真感光体クリーニング装置48は、
電子写真感光体41上に残留した転写残トナーをクリー
ニングブレード48aで掻き落として廃トナー容器48
bに回収する。
【0160】そして、電子写真感光体41は再度帯電手
段42により帯電され、繰り返して画像形成に用いられ
る。
【0161】(2)電子写真感光体41 本実施形態に用いる電子写真感光体は、先述の通りであ
る。
【0162】(3)帯電ローラ42A 本例における接触帯電部材としての帯電ローラ42A
は、前記したように、芯金42aと、この芯金42aの
外周りに同心一体となるようローラ状に形成した帯電粒
子担持体としてのゴムあるいは発泡体の弾性・中抵抗層
42bからなる。そして、この帯電ローラ42Aの弾性
・中抵抗層42bの外周面に帯電粒子(導電性粒子)m
を担持させている。
【0163】弾性・中抵抗層42bは樹脂(例えばウレ
タン)、導電性粒子(例えばカーボンブラック)、硫化
剤、発泡剤等により処方され、芯金42aの上にローラ
状に形成した。その後、表面を研磨した。
【0164】本発明における接触帯電部材としての帯電
ローラ42Aは、一般的に用いられる放電用の帯電ロー
ラに対し以下の点で特に異なる。 1.表層に高密度の帯電粒子mを担持するための表面構
造や粗さ特性 2.直接注入帯電に必要な抵抗特性(体積抵抗、表面抵
抗)
【0165】(3)−1 表面構造及び粗さ特性 従来、放電によるローラ表面は平坦で表面の平均粗さR
aでサブμm以下であり、ローラ硬度も高い。放電を用
いた帯電において、放電現象はローラと被帯電体の接触
部から少し離れた数十μmの隙間で放電現象が起きる。
ローラ及び被帯電体表面に凹凸が存在する場合、部分的
に電界強度が異なるため放電現象が不安定になり、帯電
ムラを生じる。従って、従来の帯電ローラは平坦で高硬
度な表面を必要とする。
【0166】ではなぜ放電用帯電ローラでは注入帯電で
きないのかを考察するに、それは、前述のような表面構
造では外観上ドラムと密着しているように見えるが、電
荷注入に必要な分子レベルでのミクロな接触性という意
味ではほとんど接触していないのである。
【0167】一方、本発明における接触帯電部材として
帯電ローラ42Aは、帯電粒子mを高密度に担持する必
要からある程度の粗さが要求される。平均粗さRaにし
て、1μm〜500μmが好ましい。
【0168】1μmよりも小さいと帯電粒子mを担持す
るための表面積が不足すると共に、絶縁物(例えばトナ
ー)等がローラ表層に付着した場合その周辺がドラムに
接触できなくなり、帯電性能が低下し易い。また、粒子
の保持能力について考慮した場合、用いる帯電粒子の粒
子径より大きな粗さを持つことが好ましい。逆に500
μmよりも大きいと、ローラ表面の凹凸が被帯電体の面
内帯電均一性を低下させることになり易い。本実施形態
におけるRaは50μmであった。
【0169】平均粗さRaの測定には、キーエンス社製
表面形状測定顕微鏡VF−7500、VF7510を用
い対物レンズ250倍から1250倍を用い非接触にて
ローラ表面の形状及びRaの測定を行った。
【0170】(3)−2 抵抗特性 従来の放電を用いる帯電ローラは芯金に低抵抗の基層を
形成した後、表面を高抵抗層で被覆している。放電によ
るローラ帯電は印加電圧が高く、ピンホール(膜の損傷
による基盤の露出)があるとその周辺にまで電圧降下が
及び帯電不良を生じる。従って、1011Ω□以上にする
必要があった。
【0171】一方、本発明における直接注入帯電方式に
おいては、低電圧による帯電を可能とするため接触帯電
部材の表層を高抵抗にする必要がなく、ローラを単層で
構成することができる。むしろ、直接注入帯電において
帯電ローラ42Aの表面抵抗で104〜1010Ω□であ
ることが好ましい。1010Ω□よりも大きくなると、ロ
ーラ表面に大きな電位差を生じるため帯電粒子に吐き出
しバイアスが作用し吐き出され易くなる。また、帯電面
内の均一性が低下し、ローラの摺擦によるムラが中間調
画像にスジ状となって現れ、画像品位の低下が見られ
る。一方、104Ω□よりも小さい場合は、注入帯電で
あってもドラムピンホールによる周辺の電圧降下を生じ
ることがある。
【0172】更に、体積抵抗については、104〜107
Ω・cmの範囲である。104Ω・cmよりも小さい場
合は、ピンホールリークによる電源の電圧降下を生じ
る。一方、107Ω・cmよりも大きい場合は、帯電に
必要な電流が確保できなくなり、帯電電圧が低下する。
【0173】本実施形態に用いた帯電ローラ42Aの表
面抵抗及び体積抵抗率は、107Ω□及び106Ω・cm
であった。
【0174】帯電ローラ42Aの抵抗測定は以下の手順
で行った。測定時の構成について概略図を図5に示す。
ローラ抵抗は、帯電ローラ42Aの芯金42aに総圧
9.8N(1kgf)の加重がかかるよう外径24mm
の絶縁体ドラム93に電極を施し測定した。電極は主電
極92の周りにガード電極91を配し、図5(a)及び
(b)に示す配線図にて測定を行った。主電極92とガ
ード電極91間の距離はおよそ弾性・中抵抗層42bの
厚さ程度に調整し、主電極92はガード電極91に対し
十分な幅を確保した。測定は主電極92に電源S4から
+100Vを印加し電流計Av及びAsに流れる電流を
測定し、それぞれ体積抵抗、表面抵抗を測定した。
【0175】以上述べてきたように本発明における接触
帯電部材としての帯電ローラについては、 1.表層に高密度の帯電粒子を担持するために表面構造
粗さ特性 2.直接帯電に必要な抵抗特性(体積抵抗、表面抵抗)
が必要である。
【0176】(3)−3 その他のローラ特性 直接注入帯電方式において、接触帯電部材は柔軟な電極
として機能することが重要である。
【0177】本帯電手段42においては、帯電ローラ4
2Aの弾性・中抵抗層42bの弾性特性を調整して達成
している。アスカーC硬度で15度〜50度が好ましい
範囲である。更に好ましくは、20〜40度が好まし
い。高過ぎると、必要な侵入量が得られず、被帯電体と
の間に帯電接触部nを確保できないため帯電性能が低下
する。また、物質の分子レベルの接触性が得られないた
め異物の混入等によりその周辺への接触が妨げられる。
一方、硬度が低過ぎると、形伏が安定しないために被帯
電体との接触圧にムラを生じ帯電ムラを生じる。あるい
は、長期放置によるローラの永久変形ひずみによる帯電
不良を生じる。
【0178】本例ではアスカーC硬度で22度の帯電ロ
ーラ42Aを使用した。更に、帯電ローラ42Aは電子
写真感光体41に対して0.3mmの侵入量に配設し、
本例では約2mmの帯電接触部nを形成させてある。
【0179】(3)−4 帯電ローラの材質、構造、寸
法 帯電ローラ42Aの弾性・中抵抗層42bの材質として
は、EPDM、ウレタン、NBR、シリコーンゴムや、
IR等に抵抗調整のためのカーボンブラックや金属酸化
物等の導電性物質を分散したゴム材が挙げられる。導電
性物質を分散せずにイオン導電性の材料を用いて抵抗調
整をすることも可能である。その後、必要に応じて表面
の粗さ調整、研磨等による成型を行う。また、機能分離
した複数層による構成も可能である。
【0180】しかし、帯電ローラ42Aの弾性・中抵抗
層42bの形態としては多孔体構造がより好ましい。前
述の表面粗さをローラの成型と同時に得られるという点
で製造的にも有利である。発泡体のセル径としては、1
〜500μmが適切である。発泡成形した後に、その表
面を研磨することにより多孔体表面を露出させ、前述の
粗さを持った表面構造を作成可能である。
【0181】そして最終的に径6mm・長手長さ240
mmの芯金42aに、多孔体表面を有する、層厚3mm
の弾性・中抵抗層42bを形成し、外径12mm、中抵
抗層長手長さ220mmの帯電ローラ42Aを作製し
た。
【0182】帯電ローラ42Aは被帯電体としての電子
写真感光体41に対して0.3mmの侵入量にて配設
し、本実施例では接触幅約2mmの帯電接触部nを形成
させてある。
【0183】(4)帯電粒子m 帯電粒子mは帯電粒子供給器43のハウジング容器43
a内に収容される。
【0184】本発明に係る帯電粒子の好ましい体積抵抗
は、1×10-1〜1×109Ωcmである。1×109Ω
cmを超えると、接触帯電工程を含む画像形成方法にお
いて用いた場合帯電性の改良効果が見込まれない。一
方、1×10-1Ωcm未満の場合は高湿下でのトナーの
摩擦帯電特性を阻害してしまい、現像性の低下に加えて
カブリや転写性の悪化が見られ、現像同時クリーニング
システムにおいては帯電部材の汚染が悪化してしまうた
め、大きい比表面積による帯電性改良効果が見られなく
なってしまう。
【0185】ここで、粒子の抵抗の測定は以下のように
して行う。
【0186】円筒形の金属製セルに試料を充填し、試料
に接するように上下に電極を配し、上部電極には荷重7
kgf/cm2を加える。この状態で電極間に電圧Vを
印加し、その時に流れる電流I(A)から本発明の抵抗
(体積抵抗率Rv)を測定する。この時電極面積をS
(cm2)、試料厚みをM(cm)とすると、 Rv(Ω・cm)=V(V)×Scm2/I(A)/M
(cm) である。
【0187】本実施形態では、電極と試料の接触面積
2.26cm2とし、電圧V=100Vで測定した。
【0188】本発明における帯電粒子としては、例え
ば、銅、金、銀、アルミニウム、ニッケル等の金属微粉
末;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウ
ム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、
酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化タングス
テン等の金属酸化物;硫化モリブデン、硫化カドミウ
ム、チタン酸カリ等の金属化合物、あるいはこれらの複
合酸化物等の導電性微粉末が使用できる。
【0189】これらの中でも、酸化亜鉛、酸化スズ及び
酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の酸化物を含有
していることが、帯電粒子の抵抗を低く設定できるこ
と、白色或いは淡色であり、転写材上に転写される帯電
粒子がカブリとして目立たないこと、という点で好まし
い。
【0190】また、帯電粒子の抵抗値を制御する等の目
的で、アンチモンやアルミニウム等の元素を含有させた
金属酸化物の微粒子、導電性材料を表面に有する微粒子
等も帯電粒子として使用できる。例えば、アルミニウム
元素を含有する酸化亜鉛微粒子、アンチモン元素を含有
する酸化スズ微粒子等である。但し、一般にアンチモン
元素の導入による抵抗制御は粉末の青黒色性が増すため
好ましくない。
【0191】磁性を持つ帯電粒子であると、例えば磁性
トナーに添加した際、トナーから遊離した微粒子がトナ
ー担持体に付着して汚染する場合が多々あり、トナーの
摩擦帯電特性、そしてそのまま画像特性に悪影響を及ぼ
す恐れがある。
【0192】次に、帯電粒子とトナー粒子、及び帯電粒
子と帯電部材表面との接触密度について考察する。
【0193】一般に球形と仮定される粒子がほぼ平面と
仮定される部材と接触する場合、接点数は1である。こ
れは帯電粒子と、帯電部材やトナー粒子との接触につい
ても当てはまる。そこでトナー粒子や帯電部材との接点
数を増やすには、材料表面に多数の凹凸を形成すれば接
触する凸部が増加し、接触点を増やすことができる。但
し、例えばトナー粒子の表面に多数の凹凸を形成させる
ことは、摩擦帯電特性上決して好ましいとは言えない。
一方、帯電粒子表面に凹凸を形成すれば、トナー粒子の
みならず帯電部材との接触点も増加するため、帯電部材
の設計等は簡単化され好ましい。
【0194】すなわち帯電粒子の表面に多数の凹凸を形
成して使用することは、プリンター本体や用いるトナー
に特殊仕様の必要が無く、広い範囲で応用可能な技術な
のである。
【0195】この粒子表面の凹凸の数の指標として、粒
子粉末の比表面積が通常用いられる。但し、一般に用い
られる比表面積はその単位、cm2/g、からも分かる
ように、単位質量当たりの表面積であり、この数値を用
いる議論では比重の異なる材料での比較あるいは最適化
が容易ではない。
【0196】そこで本発明者らは比表面積として、微粒
子1個当たりの表面積に対応する物性である、cm2
cm3単位を採用し、帯電粒子とトナー及び帯電部材と
の接触点数と、画像特性及び帯電性との関係を鋭意検討
した。
【0197】その結果、接触帯電工程を含む画像形成方
法において、使用トナーに含有される帯電粒子の比表面
積が5×105cm2/cm3以上1×107cm2/cm3
以下である場合、帯電性並びに画像特性が大きく改善さ
れ、特に直接注入帯電機構を含む画像形成方法において
は、帯電部材が汚染されても良好な帯電性を維持できる
ことを見出した。これは、帯電粒子とトナー及び帯電部
材との接触点数を増加させた効果によることは間違いな
いと思われる。好ましくは1×106cm2/cm3以上
8×106cm2/cm3以下とすることで、より好まし
くは1.2×10 6cm2/cm3以上4×106cm2
cm3以下とすることで、帯電性及び画像特性がより一
層向上する。
【0198】ここで、帯電粒子の比表面積は以下のよう
にして求めた。まず、BET法に従い、比表面積測定装
置「ジェミニ2375 Ver.5.0」(島津製作所
社製)を用いて資料表面に窒素ガスを吸着させ、BET
多点法を用いてBET比表面積(cm2/g)を算出す
る。
【0199】次に、乾式自動密度計「Accupyc
1330」(島津製作所社製)を用いて真密度(g/c
3)を求める。この際、10cm3の試料容器を用い、
試料前処理としてはヘリウムガスパージを最高圧19.
5psigで10回行う。この後、容器内圧力が平衡に
達したか否かの圧力平衡判定値として、試料室内の圧力
の振れが0.0050/minを目安とし、この値以下
であれば平衡状態とみなして測定を開始し、真密度を自
動測定する。測定は5回行い、その平均値を求め、真密
度とする。
【0200】ここで、粉体の比表面積は以下のようにし
て求まる; 比表面積(cm2/cm3) =BET比表面積(cm2/g)×真密度(g/cm3
【0201】更に上記帯電粒子は、体積基準のメジアン
径(D50)が0.4μm以上4.0μmの導電性微粒子
である。
【0202】一般に粒子同士の相互作用による付着力
は、粒子同士の粒径差が大きいほど強い。本発明に係る
帯電粒子に期待される作用の1つとしては、トナーとの
接触による摩擦帯電特性の改良であるから、帯電粒子と
トナー粒子とが強く付着してはその作用が困難となる。
本実施形態ではトナー質量平均粒径が3.0μm〜1
2.0μmのを用いるが、対する帯電粒子の適正なD50
は0.4μm以上である。D50が0.4μm未満の帯電
粒子はトナー粒子と分離しにくく、摩擦帯電特性の改良
が見込めないため、例えば十分な画像濃度が得られな
い。
【0203】一方、D50が大きくなるとトナーとの相互
作用が弱くなり、摩擦帯電特性等の改良効果が低下す
る。帯電粒子のD50がトナーの質量平均粒径以上となる
と、相互作用の効果がほとんど見られなくなることに加
え、現像電界下でのトナーの動きをむしろ阻害するよう
になり、カブリが悪化したり、解像力が低下したりす
る。より好ましいD50は0.5μm以上3.5μm以下
である。
【0204】こういった意味では、帯電粒子の粒度分布
において、粒径の細かい粒子は少ない方が好ましい。粒
度分布における微粉側の分布の指標としては体積基準で
のD 10を用いることができ、このD10としては0.3μ
m以上がより好ましく、0.4μm以上が更に好まし
い。同様に粒径の大きい粒子も少ない方が好ましく、粗
粉側の分布の指標としてD90を用いれば、D90は4μm
以下がより好ましいと言える。
【0205】ここで、帯電粒子のD10、D50及びD90
以下のようにして測定する。レーザー回折式粒度分布測
定装置「LS−230型」(コールター社製)にリキッ
ドモジュールを取り付けて0.04〜2000μmの粒
径を測定範囲とし、得られる体積基準の粒度分布により
粒子のD10、D50及びD90を算出する。測定は、メタノ
ール10mlに粒子を約10mg加え、超音波分散機で
2分間分散した後、測定時間90秒間、測定回数1回の
条件で測定を行う。
【0206】ここで、トナー中に含まれる帯電粒子の諸
物性を測定する場合は、クリーナレスシステムにおいて
清掃モードの無い条件で多数枚の印字を行った後、トナ
ー容器を取り外してクリーナを取り付け、常時清掃モー
ドの状態で印字を行うことによりクリーナ容器で帯電粒
子を採取し、十分量を捕集してから各測定を行う。
【0207】(5)帯電粒子担持量 本実施形態では、粒子帯電における帯電粒子mの粒径を
小径化することにより帯電性能を向上するものである
が、帯電粒子mの電子写真感光体41ヘの脱落は顕著に
なる。帯電ローラ42A上に帯電粒子mを保持し得る力
は弱い付着力であるので、多くの粒子を供給しても、粒
子を拘束することは困難であり、電子写真感光体41に
脱落して、その後の現像行程や転写材上への画像不良の
影響を抑える。従って、理想的には帯電ローラ表層に一
層均一に塗布することが望ましいが、実際のところは、
担持量を調整することにより、帯電性を確保すると共に
付着する粒子を弊害のないレベルで減らすことが可能と
なる。
【0208】粒子の担持量はローラ表面の平均粗さRa
により適切に保つ必要がある。つまり担持量を平均粗さ
Raで除した値が以下1、更に好ましくは0.3以下で
あることが好ましい。
【0209】従来の磁気ブラシ帯電装置で用いる磁性の
導電粒子の担持量/Raが凡そ167mg/cm2/μ
m(200mg/cm2、Ra=1.2μm)であるの
に対して、本発明におけるの非磁性帯電粒子は1mg/
cm2/μm(50mg/cm2、Ra=50μm)以下
である。より好ましくは0.3mg/cm2/μm(1
5mg/cm2、Ra=50μm)以下である。一方、
帯電性能を確保する必要から最小担持量は同じく担持量
/Raの値で0.005mg/cm2/μm(0.25
mg/cm2、Ra=50μm)である。より好ましく
は、0.02mg/cm2/μm(1mg/cm2、Ra
=50μm)である。つまり、担持量/Raは0.00
5〜1mg/cm2/μmであり、0.02〜0.3m
g/cm2/μmであることが好ましい。
【0210】担持量の調整は、帯電粒子供給器43のフ
ァーブラシ43cの回転数を調整することにより行なっ
た。ブラシ速度が速いほど粒子担持量は低く設定可能で
ある。また、必要に応じて攪拌羽根43bの回転速度、
ファーブラシ43cの密度等により調整を行った。
【0211】(6)現像装置50 現像装置50は2成分現像器である。その構成につい詳
述する。現像装置50は、電子写真感光体41に対向し
て配置されており、その内部は垂直方向に延在する隔壁
57によって第1室(現像室)58aと第2室(攪拌
室)58bとに区画されている。
【0212】第1室58aの開口部には矢印方向に回転
する非磁性の現像スリーブ51が電子写真感光体41に
対向して配置されており、この現像スリーブ51内に磁
石52が固定配置されている。現像スリーブ51はブレ
ード59によって層厚規制された二成分現像剤(磁性キ
ャリアCdと非磁性トナーtを含む)Tの層を担持搬送
し、電子写真感光体41と対向する現像領域aで現像剤
を電子写真感光体41に供給して静電潜像をトナー画像
として現像する。現像スリーブ51には電源S2から直
流電圧を交流電圧に重畳した矩形波を有する現像バイア
ス電圧が印加されている。
【0213】第1室58a及び第2室58bには、それ
ぞれ現像剤攪拌スクリュー53a及び53bが配置され
ている。スクリュー53aは、第1室58a中の現像剤
Tを攪拌搬送する。また、スクリュー53bは、図示し
ないトナー補給槽のトナー排出口55から搬送スクリュ
ー56の回転によって第2室58bに供給されたトナー
tと既に第2室58b内にある現像剤Tとを攪拌搬送
し、トナー濃度を均一化する。隔壁57には図1におけ
る手前側と奥側の端部において第1室58aと第2室5
8bとを相互に連通させる現像剤通路(図示せず)が形
成されており、上記スクリュー53a・53bの搬送力
により、現像によってトナーtが消費されてトナー濃度
の低下した第1室58a内の現像剤Tが一方の通路から
第2室58b内へ移動し、第2室58b内でトナー濃度
の回復した現像剤Tが他方の通路から第1室58a内へ
移動するように構成されている。
【0214】一方、現像剤濃度制御装置は磁力センサに
より現像剤の透磁率をモニターすることにより現像装置
内の現像剤T中のトナーの割合を一定に保つように調節
する。すなわち、トナーtと現像キャリアCdの透磁率
の違いからその混合比により透磁率が異なる。従って、
事前に計測した磁気センサの出力と現出力との比較によ
りトナーの補給を制御して、現像装置内の現像剤T中の
トナーの割合を一定に保つものである。
【0215】現像剤Tはネガに摩擦帯電する非磁性トナ
ーTとポジに帯電する磁性キャリア粒子Cdからなる二
成分現像剤である。また、この現像剤Tのトナー混合比
は重量比で非磁性トナーが5%となるようにした。
【0216】a)トナーt:非磁性トナーtは、結着樹
脂、顔料、電荷制御剤を混合し混練、粉砕、分級の各行
程を経て作製し、更に流動化剤等を外添剤として添加し
て作製されたものである。トナーの平均粒径(D4)は
8μmであった。
【0217】b)キャリアCd:磁性キャリアはフェラ
イト粒子からなりその平均粒径は50μmであり、その
抵抗値は108Ω・cm以上の値を示す。
【0218】<実施形態3>図6は本発明における帯電
手段を用いた第3の実施形態の電子写真装置を示す概略
構成図である。本実施例の電子写真装置は、転写式電子
写真プロセス利用、直接注入帯電方式、トナーリサイク
ルプロセス(クリーナレスシステム)のレーザプリンタ
である。前述の実施形態2の電子写真装置と同様の点に
ついては再度の説明を省略し、異なる点について述べ
る。
【0219】帯電手段42について、帯電ローラ42A
に対する専用の帯電粒子供給器43は備えていない。そ
の代わりに、帯電粒子mは現像装置60の現像剤tに添
加してあり、電子写真感光体41に静電潜像の現像時に
トナーと共に電子写真感光体41面に付着し、電子写真
感光体41の回転で帯電接触部nに持ち運ばれること
で、電子写真感光体41を介して帯電ローラ42Aに供
給される。
【0220】現像装置60は一成分磁性トナー(ネガト
ナー)を用いた反転現像装置である。現像装置内にはそ
の現像剤tと帯電粒子mとの混合剤t+mを収容させて
ある。回転電子写真感光体41面の静電潜像はこの現像
装置60により現像部位aにてトナー画像として現像さ
れる。
【0221】すなわち、本例の電子写真装置はトナーリ
サイクルプロセスであり、画像転写後の電子写真感光体
41面上に残留した転写残トナーは専用のクリーナ(ク
リーニング装置)で除去されることなく電子写真感光体
41の回転に伴い帯電接触部nに持ち運ばれて、帯電接
触部nにおいて電子写真感光体41の回転に対してカウ
ンタ回転する帯電ローラ42Aに一時的に回収され、こ
の帯電ローラ外周を周回するにつれて、反転したトナー
電荷が正規化され、順次に電子写真感光体41に吐き出
されて現像部位aに至り、現像装置60において現像同
時クリーニングにて回収・再利用される。
【0222】(1)帯電手段42 帯電粒子供給器43を配していないことを除けば、実施
形態2の構成に準ずる。
【0223】(2)現像装置60 60aはマグネットロール60bを内包させた、現像剤
担持搬送部材としての非磁性回転現像スリーブであり、
現像容器60e内に備える現像前混合剤t+m内のトナ
ーtは回転現像スリーブ60a上を搬送される過程にお
いて、規制ブレード60cで層厚規制及び電荷付与を受
ける。60dは現像容器60e内のトナーの循環を行い
順次スリーブ周辺にトナーを搬送する攪拌部材である。
【0224】回転現像スリーブ60aにコートされたト
ナーtはスリーブ60aの回転により、電子写真感光体
41とスリーブ60aの対向部である現像部位(現像領
域部)aに搬送される。また、スリーブ60aには現像
バイアス印加電源S5より現像バイアス電圧が印加され
る。
【0225】本例において、現像バイアス電圧はDC電
圧とAC電圧の重畳電圧とした。これにより、電子写真
感光体41側の静電潜像がトナーtにより反転現像され
る。
【0226】a)トナーt:現像剤である1成分磁性ト
ナーtは、結着樹脂、磁性体粒子、電荷制御剤を混合し
混練、粉砕、分級の各行程を経て作製し、更に帯電粒子
mや流動化剤等を外添剤として添加して作製されたもの
である。トナーの平均粒径(D4)は8μmであった。
【0227】b)帯電粒子m:実施形態2に準ずる。
【0228】(3)帯電粒子担持量、被覆率 本実施形態においてはトナーリサイクル構成であるた
め、実施形態2に比べ多くのトナーが帯電ローラ表面を
汚染する。トナーは摩擦帯電による電荷を表面に維持す
るため抵抗値としては1013Ω・cm以上の抵抗を有す
る。従って、帯電ローラ42Aがトナーにより汚染され
ると、帯電ローラ42A上に担持している粒子抵抗が増
加し帯電性能が低下する。たとえ、帯電粒子の抵抗が低
くとも、トナーの混入により担持している粉体の抵抗は
上昇し帯電性に障害を生じる。従って、帯電粒子担持量
が実施形態2に準ずる担持量/Raで0.005〜1m
g/cm2/μm、好ましくは0.02〜0.3mg/
cm2/μmであっても、その成分に多くのトナーが含
まれていることがあり、当然帯電性能は低下する。この
場合、担持粒子の抵抗が上昇しその状況を捉えることが
できる。つまり、実使用状態において、帯電ローラ42
Aに担持している粒子(トナーや紙粉等の混入物も含
む)を前記した方法で抵抗測定を行いその値が、好まし
くは10-1〜109Ω・cmである。
【0229】更に、帯電粒子mの帯電における実効的な
存在量を把握するために、帯電粒子mの被覆率を調整す
ることが更に重要となる。帯電粒子mは白色であるため
磁性トナーの黒色と区別可能である。顕微鏡における観
察において白色を呈している領域を面積率として求め
る。被覆率が0.1以下の場合は帯電ローラ42Aの周
速度を高めても帯電性能としては不十分であることか
ら、帯電粒子mの被覆率を0.2〜1の範囲に保つこと
が好ましい。
【0230】また、担持量の調節は、基本的には帯電粒
子mの現像剤tへの添加量の調整により行なった。ま
た、必要に応じて、帯電ローラ42Aの外周の一部に弾
性ブレードを当接することにより調整を行った。部材を
当接することにより、トナーの摩擦帯電極性を正規化す
る効果があり、帯電ローラ42Aに担持されている粒子
量を調整することが可能となる。本実施例に置いては、
担持量/Raを0.02mg/cm2/μmに調節し
た。
【0231】<実施形態4>図7は本発明の帯電手段を
用い第4の実施形態の電子写真装置を示す概略構成図で
ある。本実施形態は、実施形態2に準ずる画像形成装置
において、二成分現像装置45の代わりに実施形態3に
準ずる一成分磁性現像剤による反転現像装置60を組み
合わせた場合の画像形成装置である。但し、現像装置6
0の現像剤tには帯電粒子mは混入させていない。帯電
ローラ42Aに対する帯電粒子mの塗布は帯電粒子供給
器43をもって塗布を行う。個々の装置の詳細について
は前述の実施形態2、3に従うものである。
【0232】
【実施例】以下に本発明における実施例を説明するが、
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。な
お、実施例中の「部」、「%」、はそれぞれ「質量
部」、「質量%」を示す。
【0233】(実施例1)φ30mm×261mmのア
ルミシリンダーを支持体として、共重合ナイロン樹脂
(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10
部をメタノール60部/ブタノール40部の混合液に溶
解した溶液を、浸漬塗布し、90℃で10分間加熱乾燥
して、膜厚が0.5μmの下引き層を形成した。
【0234】次に、下記式で示されるCuKαの特性X
線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.4
°及び28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリ
ウムフタロシアニン顔料(CuKαの特性X線回折のチ
ャート図を図8に示す)2部、
【0235】
【化21】 ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−
1、積水化学工業(株)製)1部、シクロヘキサノン1
20部からなる混合溶液をサンドミルで3時間分散した
後、酢酸エチル120部を加えて電荷発生層用塗工液を
調製した。この塗工液を上記で作製した下引き層上に浸
漬塗布し、100℃で10分間加熱乾燥した。浸積塗布
の際は、シリンダー下端から浸積し始め、シリンダー上
端から2mmの位置まで浸積し、上昇させた。この時の
上昇スピードは、500mm/minで、塗工液の固形
分は1.5%であった。
【0236】次に、下記式で示されるトリアリールアミ
ン系化合物7部、
【0237】
【化22】 ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ−200、三
菱ガス化学(株)製)10部をクロロベンゼン70部に
溶解して調製した溶液を、上記電荷発生層上に浸漬塗布
し、110℃で1時間加熱乾燥して、膜厚20μmの電
荷輸送層を形成した。
【0238】この時、電荷輸送層の上から反射濃度計を
用いて青色の濃度を測定した。シリンダー上端から20
mm位置(a)及び中心位置の膜厚(a0)を測定し、
比(a/a0)を求めたところ0.976であった。こ
の時、a0−a=0.03であった。
【0239】表面保護層用に、下記式で示される化合物
で表面処理した(処理量7%)アンチモンドープ酸化ス
ズ超微粒子50部、
【0240】
【化23】 エタノール150部を、サンドミルにて66時間かけて
分散を行った(平均粒径0.03μm)。その後、レゾ
ール型フェノール樹脂(商品名:PL−4804;アン
モニア以外のアミン系触媒使用、群栄化学工業(株)
製)を樹脂成分として30部を溶解し、調合液とし、浸
漬塗布法により、先の電荷輸送層上に、膜を形成し、1
45℃の温度で1時間熱風乾燥し、表面保護層膜を有す
る電子写真感光体1を得た。
【0241】保護層の浸積塗布は、先の電荷発生層の浸
積塗布と同様に、シリンダー下端から浸積し始め、上端
から3mmの位置まで浸積し、その位置から上昇させる
ことで保護層を得た。この時の上昇スピードは、5秒間
は300mm/minで、その後270mm/min、
更に10秒間は、250mm/min、その後200m
m/minで塗工終了までこの速度を一定に保った。こ
の時の塗布速度の変化を図9に示した。
【0242】この同じ条件で作製した感光体をシリンダ
ー上端から12mm(電荷発生層塗布上端から10m
m)、22mm、42mm、62mm、102mm及び
中央部130.5mmの位置の膜厚位置を瞬間マルチ測
光システムMCPD−2000(大塚電子(株)製)を
用いて測定した。測定は測定点の周方向に10点行い、
平均を膜厚とした。表面層の膜厚は、それぞれ1.88
μm、1.96μm、2.06μm、2.14μm、
2.16μm及び中央部2.20μmであった。
【0243】この感光体を実施形態1に示したように、
レーザージェット4000(ヒューレットパッカード社
製)を、現像器、紙パス等を改造してシリンダー上端か
ら12mmの位置から画像が判断できるようにした。初
期と耐久5000枚後の1200dpiのハーフトーン
画像で評価を行った。
【0244】(実施例2)実施例1において、試験の評
価装置を図の実施形態3に示すように改造を施して用い
た。
【0245】なお、帯電粒子は、体積抵抗率106Ω・
cm、体積基準の10%平均粒径(D10)0.8μm、
50%平均粒径(D50)1.4μm、90%平均粒径
(D90)2.32μm、比表面積2.8×106cm2
cm3の導電性酸化錫を用いた。更に、該担持体上に担
持した粒子の担持量を該帯電粒子担持体表面粗さRa
(μm)で除した値が0.1mg/cm2/μmになる
ようにした。
【0246】それ以外は実施例1と同様にして行った。
【0247】(実施例3及び4)実施例1及び2におい
て、表面保護層の結着樹脂をフェノール樹脂からメチル
フェニルポリシロキサン(商品名:KF−50700C
S、信越化学工業(株)製)に代え、ポリテトラフルオ
ロエチレン微粒子を小粒径シリコン粒子(平均粒径0.
2μm)に代え、塗布上昇速度を図10に示すように、
初期240mm/minとし、その後、徐々に速度を下
げて25秒後に200mm/minとなるように変化さ
せ、その後は200mm/minを一定に保ち、塗布を
終了させた以外は、実施例1及び2と同様にして行っ
た。この時の表面保護層の膜厚は、実施例1及び2と同
じ位置において、2.09μm、2.13μm、2.1
5μm、2.17μm、2.18μm及び中央部2.2
0μmであった。
【0248】(実施例5及び6)実施例1及び2におけ
る下引き層の乾燥を45℃で30秒間にした以外は、全
く同様にして電子写真感光体を塗布した。この時の電荷
発生層の膜厚は、シリンダー上端から20mm位置
(a)及び中心位置の膜厚(a0)を測定し、比(a/
0)を求めたところ0.936であった。この時、a0
−a=0.08であった。また、保護層調合液の固形分
を21.2%に代え、塗工時の初期の塗布上昇速度を2
90mm/minに代え、その後徐々にスピードを下
げ、25秒後に250mm/minで塗工終了までこの
速度を一定に保った。表面層の膜厚は、それぞれ1.3
2μm、1.48μm、1.68μm、1.92μm、
2.02μm及び中央部2.05μmであった。保護層
まで塗布した感光体を実施例1及び2と同様に評価を行
った。
【0249】(実施例7及び8)実施例3及び4におい
て、保護層の塗布上昇速度を初期240mm/minと
し、その後15秒間240mm/minを保ち、その
後、塗布終了まで200mm/minを一定に保った以
外は、実施例3及び4と全く同様にして行った。この時
の表面保護層の膜厚は、実施例3及び4と同じ位置にお
いて、2.18μm、2.18μm、2.19μm、
2.19μm及び中央部2.20μmであった。
【0250】(実施例9及び10)実施例5及び6にお
いて、保護層の初期の塗布上昇速度を270mm/mi
nに代え、その後徐々に速度を下げて25秒後に250
mm/minとなるように変化させ、その後は250m
m/minを一定に保って塗布を終了させた以外は、実
施例7及び8と全く同様にして行った。この時の表面保
護層の膜厚は、実施例7及び8と同じ位置において、
1.25μm、1.48μm、1.68μm、1.80
μm、1.92μm及び中央部2.05μmであった。
【0251】(比較例1及び2)実施例3及び4におい
て、表面保護層の塗布速度を250mm/minで一定
で行った以外は、実施例5及び6と同様にして行った。
その時の保護層の膜厚は、1.10μm、1.39μ
m、1.51μm、1.72μm、1.95μm及び中
央部2.05μmであった。
【0252】但し比較例2においては、帯電粒子を、体
積抵抗率106Ω・cm、50%平均粒径(D50)4.
2μm、比表面積2.8×106cm2/cm3の導電性
酸化錫を用い、該担持体上に担持した粒子の担持量を該
帯電粒子担持体表面粗さRa(μm)で除した値が1.
2mg/cm2/μmになるようにした装置に装着し
た。
【0253】(比較例3及び4)実施例3及び4におい
て、下記のように電荷輸送層、及び、表面保護層を得た
以外は、実施例3及び4と全く同様にして行った。導電
性支持体のアルミニウムシリンダーの長さを261mm
から359mmと長くし、電荷発生層を浸漬塗布する
時、シリンダー下端から浸漬し始め、上端から100m
mの位置まで浸漬し、その位置から実施例3及び4と同
様に上昇することにより電荷発生層を得た。その後、表
面保護層を塗布する時は、シリンダー上端から2mmの
位置まで浸漬し、その位置から200mm/minの一
定の速度で上昇することにより、表面保護層を得た。
【0254】その後、電荷発生層が塗布されていない部
分を上端から98mmの位置でカットして、261mm
の長さにして用いた。この状態での電荷発生層の膜厚
は、電荷輸送層の上から反射濃度計を用いて青色の濃度
を測定した。シリンダー上端から20mm位置(a)及
び中心位置の膜厚(a0)を測定し、比(a/a0)を求
めたところ0.976であった。この時、a0−a=
0.03であった。
【0255】また、表面保護層の膜厚は、2.19μ
m、2.19μm、2.19μm、2.20μm、2.
20μm及び中央部2.20μmであった。
【0256】但し、比較例4においては、帯電粒子を、
体積抵抗率106Ω・cm、50%平均粒径(D50
4.2μm、比表面積2.8×106cm2/cm3の導
電性酸化錫を用い、該担持体上に担持した粒子の担持量
を該帯電粒子担持体表面粗さRa(μm)で除した値が
1.2mg/cm2/μmになるようにした装置に装着
した。
【0257】(実施例11)実施例1で用いた電荷輸送
層の塗料を、下記式で示されるCuKαの特性X線回折
におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の9.0°及び
27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタ
ロシアニン顔料4部、
【0258】
【化24】 ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−
1、積水化学工業(株)製)2部、シクロヘキサノン7
0部からなる混合溶液をサンドミルで10時間分散した
後、酢酸エチル100部を加えて調製したものとした。
実施例1と同様な手法で、膜厚の比を求めたところ0.
960であった。この時、a0−a=0.05であっ
た。
【0259】更に、表面保護層の作製を下記にように代
えた以外は、実施例1と全く同様にして行った。表面保
護層用調合液を電荷輸送材として例示化合物No.8で
示される化合物を30部、レゾール型フェノール樹脂P
L−4852(群栄化学工業(株)製:アミン系化合物
含有)を樹脂成分として30部をエタノール220部に
溶解した。更に、ポリテトラフルオロエチレン微粒子
(平均粒径0.18μm)20部とエタノール20部で
マイクロフルイタイザーで分散を行ったものを添加し、
調合液とした。この調合液を用いて、表面保護層を浸漬
塗布する時の上昇速度を初期から10秒間は230mm
/minを一定に保ち、その後、更に10秒間は210
mm/minを保ち、その後は、200mm/minで
一定に保ち塗布終了した。実施例1と同様に保護層の膜
厚を測定したところ、表面保護層の膜厚は、2.47μ
m、2.65μm、2.84μm、2.92μm、2.
98μm及び中央部3.00μmであった。
【0260】(実施例12)実施例11において、レゾ
ール型フェノール樹脂PL−4852をレゾール型フェ
ノール樹脂PL−5294(群栄化学工業(株)製:ア
ルカリ金属含有)に代えた以外は、実施例11と全く同
様にして行った。この時の表面保護層の実施例11と同
位置での膜厚は、それぞれ、2.35μm、2.55μ
m、2.67μm、2.88μm、2.96μm及び中
央部3.00μmであった。
【0261】(実施例13)実施例11において、表面
保護層の樹脂をジャパンエポキシ社製のエピコート#8
15とエポメートB002を2:1で配合したエポキシ
樹脂に代えた以外は、実施例11と全く同様にして行っ
た。この時の表面保護層の実施例11と同位置での膜厚
は、それぞれ、2.84μm、3.08μm、3.35
μm、3.63μm、3.87μm及び中央部3.92
μmであった。
【0262】(実施例14)実施例11において、表面
保護層の樹脂を熱硬化性メラミン樹脂、(商品名:サイ
メルC−370、三井サイテック(株))に代えた以外
は、実施例11と全く同様にして行った。この時の表面
保護層の実施例11と同位置での膜厚は、それぞれ、
3.89μm、3.89μm、3.90μm、3.91
μm、3.92μm及び中央部3.92μmであった。
【0263】(比較例5)実施例11において、表面保
護層を塗布しなかった以外は、実施例11と全く同様に
して行った。
【0264】
【表4】
【0265】(実施例15)実施例11において、表面
保護層に用いる電荷輸送材を例示化合物No.8から例
示化合物No.18に代えた以外は、実施例11と全く
同様にして行った。この時の表面保護層の膜厚は、実施
例11と同様の位置での測定では、1.74μm、1.
83μm、1.96μm、2.02μm、2.04μm
及び中央部2.05μmであった。
【0266】(実施例16)実施例11において、表面
保護層に用いる電荷輸送材を例示化合物No.8から例
示化合物No.27に代え、表面保護層の塗布上昇速度
を初期250mm/minとし、その後、5秒間250
mm/minで一定とし、その後、徐々に速度を低下さ
せ、60秒後に200mm/minとなるように変化さ
せた以外は、実施例11と全く同様にして行った。この
時の表面保護層の膜厚は、実施例11と同様の位置での
測定では、1.86μm、1.93μm、2.01μ
m、2.03μm、2.06μm及び中央部2.08μ
mであった。
【0267】(実施例17)実施例11において、表面
保護層に用いる電荷輸送材を例示化合物No.8から例
示化合物No.36に代え、表面保護層の塗布上昇速度
を初期230mm/minとし、その後、20秒間は2
30mm/minを一定に保ち、その後、210mm/
minに代え、その後、塗布終了まで210mm/mi
nを一定に保ったまま塗布を終了した以外は、実施例1
1と全く同様にして行った。この時の表面保護層の膜厚
は、実施例11と同様の位置での測定では、2.55μ
m、2.65μm、2.73μm、2.86μm、2.
94μm及び中央部3.00μmであった。
【0268】(実施例18)実施例17において、表面
保護層に用いる電荷輸送材を例示化合物No.8から例
示化合物No.47に代えた以外は、実施例16と全く
同様に行った。この時の表面保護層の膜厚は、実施例1
7と同様の位置での測定では、2.78μm、2.86
μm、2.91μm、2.96μm、2.99μm及び
中央部3.00μmであった。
【0269】(実施例19)実施例18において、表面
保護層に用いる電荷輸送材を例示化合物No.8から例
示化合物No.57に代えた以外は、実施例17と全く
同様にして行った。この時の表面保護層の膜厚は、実施
例18と同様の位置での測定では、2.74μm、2.
82μm、2.88μm、3.09μm、3.18μm
及び中央部3.22μmであった。
【0270】
【表5】
【0271】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、非常に
高感度の電荷発生材料を用いた場合でも、将来の高画質
化に対応できるわずかな画像濃度の差もなく、高安定で
良好な画像を得ることができる電子写真感光体、電子写
真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装
置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の電子写真感光体(導電性支
持体、電荷発生層及び保護層のみ記載、他の層は省略)
の母線方向の断面図である。
【図2】本発明の電子写真感光体の層構成を示す図であ
る。
【図3】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカー
トリッジを備えた電子写真装置の概略構成を示す図であ
る。
【図4】実施形態2の電子写真装置の概略構成を示す図
である。
【図5】帯電ローラの抵抗値測定方法の説明図である。
【図6】実施形態3の電子写真装置の概略構成を示す図
である。
【図7】実施形態4の電子写真装置の概略構成を示す図
である。
【図8】本発明の実施例に用いたヒドロキシガリウムフ
タロシアニンのCuKαの特性X線回折のチャート図で
ある。
【図9】本発明における表面保護層の塗布上昇速度の時
間における制御図である。
【図10】本発明における表面保護層の塗布上昇速度の
時間における制御図である。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 感光層 3 表面保護層 11 表面保護層 12 電荷輸送層 13 電荷発生層 14 導電性支持体 15 結着層 16 下引き層 21 電子写真感光体 22 軸 23 帯電手段 24 露光光 25 現像手段 26 転写手段 27 転写材 28 定着手段 29 クリーニング手段 30 前露光光 31 プロセスカートリッジ 32 案内手段 41 電子写真感光体 42 帯電手段 42A 帯電ローラ 42a 芯金 42b 弾性・中抵抗層 44 露光手段 46 転写手段 47 定着手段 48 クリーニング手段 50 2成分磁性現像器 60 1成分磁性現像器 S1,S2,S3,S5 印加電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 21/18 G03G 15/00 556 (72)発明者 池末 龍哉 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 中田 浩一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 森川 陽介 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H068 AA03 AA04 AA08 AA20 AA28 BA11 BB28 BB29 BB30 BB31 BB33 BB35 BB37 CA06 CA33 CA37 2H171 FA02 FA09 FA11 FA13 FA24 FA25 FA26 FA27 GA01 JA02 JA04 JA23 JA27 JA29 JA31 KA05 KA22 PA05 PA13 QA02 QA08 QA15 QA16 QA18 QA20 QB03 QB05 QB07 QB09 QB15 QB21 QB32 QB49 QB53 QB54 QB56 QB57 QC03 QC11 QC22 QC26 QC36 QC42 SA12 TA02 TA03 TA08 TA15 TA17 TB02 TB04 TB12 TB13 UA03 UA04 UA05 UA06 UA07 UA08 UA10 UA12 UA16 UA22 UA23 UA26 UA27 VA04 VA06 2H200 FA16 GA16 GA23 GA34 GA45 GA46 GA57 GA59 GB12 GB37 HA03 HA28 HB12 HB17 HB22 HB45 HB46 HB47 HB48 JA02 JA25 JA26 JA28 MA03 MA08 MA14 MA20 MB06 MC02 MC06 MC15 NA02

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送
    層及び保護層を順次積層してなり、該保護層が導電性粒
    子、電荷輸送材料の少なくとも一方及び硬化性樹脂を有
    する電子写真感光体において、導電性支持体上における
    母線方向中心部位置の電荷発生層の膜厚をa0、保護層
    の膜厚をb0(μm)とし、電荷発生層の膜厚aがa0
    a≧0.03を満たす領域で、該表面保護層の膜厚b
    (μm)が下記関係式(1)を満たすことを特徴とする
    電子写真感光体。 b0×(a/a09≦b≦b0×(a/a01/6 (1)
  2. 【請求項2】 保護層の膜厚b(μm)が下記関係式
    (2)を満たす請求項1に記載の電子写真感光体。 b0×(a/a07≦b≦b0×(a/a01/3 (2)
  3. 【請求項3】 導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送
    層及び保護層を順次積層してなる電子写真感光体であ
    り、該電子写真感光体と接触する帯電部材を有する電子
    写真装置に用いる電子写真感光体において、導電性支持
    体上における母線方向中心部位置の電荷発生層の膜厚を
    0、保護層の膜厚をb0(μm)とし、電荷発生層の膜
    厚aがa0−a≧0.03を満たす領域で、該表面保護
    層の膜厚b(μm)が下記関係式(1)を満たすことを
    特徴とする電子写真感光体。 b0×(a/a09≦b≦b0×(a/a01/6 (1)
  4. 【請求項4】 保護層の膜厚b(μm)が下記関係式
    (2)を満たす請求項3に記載の電子写真感光体。 b0×(a/a07≦b≦b0×(a/a01/3 (2)
  5. 【請求項5】 前記電子写真装置における現像域幅で前
    記関係式(1)及び(2)が成立する請求項3又は4に
    記載の電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 前記導電性支持体上における母線方向中
    心部位置の電荷発生層の膜厚a0、電荷発生層の膜厚a
    が下記関係式(3)を満たす請求項1〜5のいずれかに
    記載の電子写真感光体。 0.03≦a0−a≦0.1 (3)
  7. 【請求項7】 電荷発生層が、円筒状導電性支持体に塗
    布後、熱風を5分間以内照射することにより層を形成し
    た請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
  8. 【請求項8】 硬化性樹脂がフェノール樹脂、ポリウレ
    タン、シロキサン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミ
    ドイミド、イソシアネート、エポキシ樹脂、アクリル樹
    脂及びメラミン樹脂からなる群から選ばれたものである
    請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 硬化性樹脂がフェノール樹脂を含有する
    請求項8に記載の電子写真感光体。
  10. 【請求項10】 前記フェノール樹脂がレゾール型フェ
    ノール樹脂である請求項9に記載の電子写真感光体。
  11. 【請求項11】 前記導電性粒子が金属又は金属酸化物
    粒子である請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真
    感光体。
  12. 【請求項12】 保護層に用いられる電荷輸送材料が、
    分子内に水酸基を少なくとも一つ有する請求項1〜11
    のいずれかに記載の電子写真感光体。
  13. 【請求項13】 保護層に用いられる電荷輸送材料が、
    分子内にヒドロキシアルキル基及びヒドロキシアルコキ
    シ基より選ばれる置換基を少なくとも一つ有する請求項
    12に記載の電子写真感光体。
  14. 【請求項14】 保護層に用いられる電荷輸送材料が、
    分子内にフェノール基を少なくとも一つ有する請求項1
    3に記載の電子写真感光体。
  15. 【請求項15】 前記表面保護層が潤滑性粒子を含有す
    る請求項1〜14のいずれかに記載の電子写真感光体。
  16. 【請求項16】 前記潤滑性粒子がフッ素原子含有樹脂
    粒子、シリコーン樹脂粒子、シリカ粒子及びアルミナ粒
    子の少なくとも一つである請求項15に記載の電子写真
    感光体。
  17. 【請求項17】 電子写真感光体と帯電手段を有する電
    子写真装置であって、該電子写真感光体が、支持体上に
    感光層及び保護層を有しており、該帯電手段が、導電性
    粒子を主成分とする帯電粒子と、該帯電粒子を担持する
    ための、導電性と弾性を有した表面を備えた帯電粒子担
    持体を有し、該帯電粒子が電子写真感光体に接触するこ
    とで該電子写真感光体を帯電する手段である電子写真装
    置において、該帯電手段の帯電粒子の体積抵抗が1×1
    9Ω・cm以下であり、該帯電手段の帯電粒子の比表
    面積が5×105cm2/cm3以上1×107cm 2/c
    3以下であり、該帯電手段の帯電粒子の体積基準のメ
    ジアン径(50%平均粒径)(D50)が0.4μm以上
    4.0μm以下であり、該帯電手段の帯電粒子担持体の
    帯電粒子の担持量を、該帯電粒子担持体の表面粗さRa
    (μm)で除した値が0.005mg/cm2/μm以
    上1mg/cm2/μm以下であり、該電子写真感光体
    が、請求項1〜16のいずれかに記載のものであること
    を特徴とする電子写真装置。
  18. 【請求項18】 前記帯電手段の帯電粒子担持体に担持
    される帯電粒子が該帯電粒子担持体の表面を被覆してい
    る割合(被覆率(Rc))が、0.2以上1以下である
    請求項17に記載の電子写真装置。
  19. 【請求項19】 前記帯電手段の帯電粒子担持体の表面
    抵抗が104Ω□以上1010Ω□以下である請求項17
    又は18に記載の電子写真装置。
  20. 【請求項20】 前記帯電手段の帯電粒子担持体が、多
    孔体表面を有する弾性体である請求項17〜19のいず
    れかに記載の電子写真装置。
  21. 【請求項21】 前記帯電手段の帯電粒子の体積抵抗
    が、10-1Ω・cm以上109Ω・cm以下であり、該
    帯電手段の帯電粒子担持体の表面に該帯電粒子を供給す
    る帯電粒子供給手段を有する請求項17〜20のいずれ
    かに記載の電子写真装置。
  22. 【請求項22】 前記帯電手段の帯電粒子の体積基準の
    メジアン径(50%平均粒径)(D50)が、0.4μm
    以上3.5μm以下である請求項17〜21のいずれか
    に記載の電子写真装置。
  23. 【請求項23】 前記帯電手段の帯電粒子の体積基準の
    90%平均粒径(D 90)が、4μm以下である請求項1
    7〜22のいずれかに記載の電子写真装置。
  24. 【請求項24】 前記帯電手段の帯電粒子の体積基準の
    10%平均粒径(D 10)が、0.3μm以上である請求
    項17〜23のいずれかに記載の電子写真装置。
  25. 【請求項25】 前記帯電手段の帯電粒子の体積基準の
    10%平均粒径(D 10)が、0.4μm以上である請求
    項24に記載の電子写真装置。
  26. 【請求項26】 前記帯電手段の帯電粒子の比表面積
    が、1.0×106cm2/cm3以上8.0×106cm
    2/cm3以下である請求項17〜25のいずれかに記載
    の電子写真装置。
  27. 【請求項27】 前記帯電手段の帯電粒子の比表面積
    が、1.2×106cm2/cm3以上4.0×106cm
    2/cm3以下である請求項26に記載の電子写真装置。
  28. 【請求項28】 少なくとも、請求項1〜16のいずれ
    かに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体に電圧
    を印可した帯電部材を接触させて該電子写真感光体を帯
    電する帯電手段とを一体に支持することを特徴とする電
    子写真装置。
  29. 【請求項29】 電子写真感光体と帯電手段を有するプ
    ロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が、支
    持体上に感光層及び保護層を有しており、該帯電手段
    が、導電性粒子を主成分とする帯電粒子と、該帯電粒子
    を担持するための、導電性と弾性を有した表面を備えた
    帯電粒子担持体を有し、該帯電粒子が電子写真感光体に
    接触することで該電子写真感光体を帯電させる手段であ
    り、電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッ
    ジにおいて、 該帯電手段の帯電粒子の体積抵抗が1×109Ω・cm
    以下であり、 該帯電手段の帯電粒子の比表面積が5×105cm2/c
    3以上1×107cm 2/cm3以下であり、 該帯電手段の帯電粒子の体積基準のメジアン径(50%
    平均粒径)(D50)が0.4μm以上4.0μm以下で
    あり、 該帯電手段の帯電粒子担持体の帯電粒子の担持量を、該
    帯電粒子担持体の表面粗さRa(μm)で除した値が
    0.005mg/cm2/μm以上1mg/cm2/μm
    以下であり、 該電子写真感光体が、請求項1〜16のいずれかに記載
    のものであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  30. 【請求項30】 前記の帯電粒子担持体に担持される帯
    電粒子が該帯電粒子担持体の表面を被覆している割合
    (被覆率(Rc))が、0.2以上1以下である請求項
    29に記載のプロセスカートリッジ。
  31. 【請求項31】 前記帯電手段の帯電粒子担持体の表面
    抵抗が104Ω□以上1010Ω□以下である請求項29
    又は30に記載のプロセスカートリッジ。
  32. 【請求項32】 前記帯電手段の帯電粒子担持体が、多
    孔体表面を有する弾性体である請求項29〜31のいず
    れかに記載のプロセスカートリッジ。
  33. 【請求項33】 前記帯電手段の帯電粒子の体積抵抗
    が、10-1Ω・cm以上109Ω・cm以下であり、該
    帯電手段の帯電粒子担持体の表面に該帯電粒子を供給す
    る帯電粒子供給手段を有する請求項29〜32のいずれ
    かに記載のプロセスカートリッジ。
  34. 【請求項34】 前記帯電手段の帯電粒子の体積基準の
    メジアン径(50%平均粒径)(D50)が、0.4μm
    以上3.5μm以下である請求項29〜33のいずれか
    に記載のプロセスカートリッジ。
  35. 【請求項35】 前記帯電手段の帯電粒子の体積基準の
    90%平均粒径(D 90)が、4μm以下である請求項2
    9〜34のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
  36. 【請求項36】 前記帯電手段の帯電粒子の体積基準の
    10%平均粒径(D 10)が、0.3μm以上である請求
    項29〜35のいずれかに記載のプロセスカートリッ
    ジ。
  37. 【請求項37】 前記帯電手段の帯電粒子の体積基準の
    10%平均粒径(D 10)が、0.4μm以上である請求
    項36に記載のプロセスカートリッジ。
  38. 【請求項38】 前記帯電手段の帯電粒子の比表面積
    が、1.0×106cm2/cm3以上8.0×106cm
    2/cm3以下である請求項29〜37のいずれかに記載
    のプロセスカートリッジ。
  39. 【請求項39】 前記帯電手段の帯電粒子の比表面積
    が、1.2×106cm2/cm3以上4.0×106cm
    2/cm3以下である請求項38に記載のプロセスカート
    リッジ。
  40. 【請求項40】 少なくとも、請求項1〜16のいずれ
    かに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体に電圧
    を印可した帯電部材を接触させて該電子写真感光体を帯
    電する帯電手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に
    着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッ
    ジ。
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