JP2003314501A - 油圧駆動機械の制御装置 - Google Patents
油圧駆動機械の制御装置Info
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Abstract
上を図る。特に操作レバー操作開始時の操作性を向上さ
せ、作業効率を向上させる。 【構成】操作弁7、8のいずれもがニュートラル位置N
になっているときに、操作弁7、8のうちいずれかの操
作弁が操作されているときの差圧ΔPLSaよりも小さ
く、かつエンジン回転数ωEが大きくなるほど小さくな
るように差圧ΔPLSnが設定される。
Description
機械を含む油圧駆動機械の制御装置に関し、特に流量操
作弁の操作量の一定操作量当たりの作業機アクチュエー
タの駆動速度の変化量を、油圧駆動機械の運転状態に応
じて変化させることができる制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来にあって、建設機械の作業内容に応
じた操作レバーの操作性を得るべく、油圧ポンプの吐出
圧と作業機アクチュエータの負荷圧との差圧を、外部よ
り指示された作業種類を示す作業モードに応じて変化さ
せるよう制御する技術が、たとえば特開平2−7690
4号公報に開示されている。 【0003】この公報記載の技術は、「通常作業」モー
ドから「微操作」モードに作業モードの変更がなされる
と、上記差圧が「通常作業」時よりも小さくなり、操作
レバーの一定操作量当たりの作業機アクチュエータの駆
動速度の変化量が「通常作業」時よりも小さくなり、
「微操作」モードに適合した、より細やかな作業をなし
得ることができるというものである。 【0004】この種の制御方式として、また特開平2−
164941号公報に開示されたものがあり、エンジン
の回転数の低下に応じて上記差圧を小さくするよう制御
することにより、エンジン回転の低下に応じて小さくな
るいわゆるメータリング領域を大きくしてやり(逆にい
うと回転数低下に応じて大きくなるデッドバンドを小さ
くしてやり)、操作レバーの操作性の向上を図らんとし
ている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】このように、これら従
来技術は、作業モードあるいはエンジン回転に応じて差
圧を変化させ、これにより操作レバー操作量対作業機ア
クチュエータ速度の関係(以下「操作特性」という)を
変化させ、操作レバーの操作性を改善しようとする制御
方式ではあるが、これら従来技術は、作業モードあるい
はエンジン回転に応じて一義的に差圧を変化させている
だけである。作業モードあるいはエンジンの回転数に応
じて差圧を低下させているだけで、実際の操作レバーの
操作状態に応じて制御するものではない。たとえば、複
数の操作弁(流量制御弁)がすべてニュートラル位置に
されているときに、そのまま従来技術を適用すると、エ
ンジン高回転時には、操作レバーの操作開始時にいわゆ
る作業機アクチュエータが急に動き出すという「飛び出
し」現象が発生することになり、またエンジン低回転時
には、操作レバーの操作開始時に無駄時間や不感帯の増
加を招くこととなり、いずれも操作性を悪化させる。 【0006】本発明は、こうした実状に鑑みてなされた
ものであり、ニュートラル位置から操作レバーが操作さ
れたときに操作性の悪化が招来することがない装置を提
供することをその目的としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】そこで、この発明では、
原動機により駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプの
吐出圧油が圧油供給路を介して供給されることにより駆
動される複数の油圧アクチュエータと、前記圧油供給路
に設けられ、前記複数の作業機アクチュエータに対して
供給される圧油の流量を操作量に応じて制御する複数の
流量制御弁とを有し、前記油圧ポンプの吐出圧力と前記
複数の作業機アクチュエータの負荷圧力との差圧が設定
された値になるように前記油圧ポンプの吐出流量を制御
するようにした油圧駆動機械の制御装置において、前記
複数の流量制御弁の各操作位置がニュートラル位置にな
っていることを検出するニュートラル位置検出手段と、
前記原動機の回転数を検出する回転数検出手段と、前記
ニュートラル位置検出手段によって前記複数の流量制御
弁のすべての操作位置がニュートラル位置になっている
ことが検出されている場合に、前記複数の流量制御弁の
うちいずれかの流量制御弁が操作されている際の差圧設
定値よりも小さく、かつ前記回転数検出手段によって検
出された回転数が大きくなるほど差圧設定値が小さくな
るように差圧設定値を変化させる手段とを具えるように
している。 【0008】 【作用】かかる本発明の構成によれば、ニュートラル位
置検出手段によって複数の流量制御弁のすべての操作位
置がニュートラル位置になっていることが検出されてい
る場合に、複数の流量制御弁のうちいずれかの流量制御
弁が操作されている際の差圧設定値よりも小さく、かつ
回転数検出手段によって検出された回転数が大きくなる
ほど差圧設定値が小さくなるように差圧設定値が変化す
る。すなわち、流量制御弁をニュートラル位置から操作
開始したとしても、ニュートラル位置のときの差圧がニ
ュートラル位置以外のときの差圧よりも小さくしかも原
動機の回転数に応じて設定されているので、高回転時に
は操作開始時の「飛び出し」現象が発生することがな
く、また低回転時にも無駄時間や不感帯の増加が生じる
こともなく操作開始時の操作性が向上する。 【0009】 【実施例】以下、図面を参照して本発明に係る油圧駆動
機械の制御装置の実施例について説明する。なお、実施
例では油圧駆動機械としてパワーショベルを想定してい
る。 【0010】図1はパワーショベルの作業機のうち2種
類の作業機(ブームおよびアーム)を駆動する作業機油
圧回路の構成を示している。なお、実施例では図面の煩
雑を避けるために2種類の作業機にそれぞれ対応する2
つの操作弁のみを示している。 【0011】同図に示すように可変容量型油圧ポンプ2
はエンジン1によって駆動され、斜板駆動用のレギュレ
ータ12のピストン12aの移動に応じてその斜板2a
の傾転角が変化される。そして、この斜板2aの傾転角
の変化に応じて油圧ポンプ2の1回転当たりの吐出流量
D(cc/rev)が変化される。エンジン1には該エ
ンジン1の回転数(r・p・m)ωEを検出する回転セ
ンサ32が付設されており、この回転センサ32の検出
信号ωEはコントローラ33に加えられる。 【0012】油圧ポンプ2の吐出圧油は、管路9および
該管路9を分岐する管路9a、9bを介して操作弁7、
8にそれぞれ供給される。操作弁7、8は図示せぬ操作
レバーの操作量S1、S2に応じてスプールが駆動され、
このスプールの移動量に応じて各操作弁の開口面積A
1、A2が変化し、その変化に応じた流量の圧油が作業機
アクチュエータたる油圧シリンダ3、4にそれぞれ供給
される。このとき操作弁7から流出される圧油は管路3
a、3bを介して油圧シリンダ3の伸張側のシリンダ
室、縮退側のシリンダ室にそれぞれ供給され、油圧シリ
ンダ3をそれぞれ伸張、縮退させる。 【0013】同様に操作弁8から流出される圧油は管路
4a、4bを介して油圧シリンダ4の伸張側のシリンダ
室、縮退側のシリンダ室に供給され、油圧シリンダ4を
それぞれ伸張、縮退させる。 【0014】操作弁7、8は位置N、M、Lからなり、
中立位置Nではポンプ2から吐出される圧油が流入する
ポンプポートはクローズ状態であり、切換位置Nから切
換位置L、Mまでの途中の状態では操作弁を流れる圧油
はスプールに設けられたロットリングの可変の絞り20
で絞られる。また、切換位置L、Mでは絞り20は一定
の面積になっているとともに、各位置で油圧シリンダ
3、4の負荷圧、つまり管路3a、3b、4aおよび4
bにそれぞれ配設された減圧弁25a、25b、26a
および26bの出口側の圧力がポートRを介してチェッ
ク弁21、22にそれぞれ導かれる。 【0015】チェック弁21はパイロット管路23aに
接続され、このパイロット管路23aはパイロット管路
23bに接続されている。パイロット管路23bにはチ
ェック弁22が接続されている。そして、パイロット管
路23bはパイロット管路24に接続されている。よっ
てパイロット管路24には、油圧シリンダ3、4のうち
高圧PLS側の圧油がチェック弁21、22のいずれかを
通過して導かれることになる。パイロット管路24は減
圧弁25a、25b、26aおよび26bのバネ位置側
に接続されており、結局、減圧弁25a、25b、26
aおよび26bのバネ位置側には油圧シリンダ3、4の
高圧側の負荷圧PLSが加えられることになる。バネに対
向する側には減圧弁の入口側の圧油、つまり操作弁7、
8の出口側の圧力がパイロット圧として加えられてい
る。なお、管路10は操作弁7、8の圧油をタンク11
にリリーフすべく設けられている。 【0016】定容量型油圧ポンプ34は所定圧力の圧油
を吐出するものであり、この吐出圧油は管路35、制御
弁36(いわゆる「LS−EPC弁」と称されるもの)
を介して制御弁37のパイロットポート37aに制御圧
Pcの圧油として供給される。ここで、制御弁36は、
電磁ソレノイド36aに対してコントローラ33から加
えられる制御信号に応じて弁位置が変化され、これによ
って上記パイロットポート36aに供給される圧油の流
量が変化される。 【0017】なお、管路35には、リリーフ弁38が配
設されていて、油圧ポンプ34の吐出圧油の圧力がリリ
ーフ弁38で設定された圧力以上の圧力になると、リリ
ーフ弁38によりリリーフされる。 【0018】油圧ポンプ2の吐出側の管路9はパイロッ
ト管路14に分岐され、このパイロット管路14はレギ
ュレータ12の小径側のシリンダ室に接続されるととも
に、制御弁37のパイロットポート37bに接続されて
いる。パイロット管路23bは延長されて制御弁37の
バネ37dが位置されている側のパイロットポート37
cに接続されている。このため、制御弁37のバネ37
dが無い側の端部には油圧ポンプ2の吐出圧Ppおよび
制御弁36からの制御圧Pcが、また制御弁37の他方
のバネ37dがある側の端部には油圧シリンダ3、4の
負荷圧のうち高圧側の圧力PLSがパイロット圧として、
またバネ37dの付勢力がオフセット圧として加えられ
る。そして制御弁37では、該制御弁37の各端部に加
えられる圧力の差圧に応じて弁位置が切り換えられ、切
換位置に応じた吐出量の圧油がレギュレータ12の大径
側のシリンダ室に供給または排出され、斜板2aの傾転
角が制御される。 【0019】この場合、油圧ポンプ圧Ppとシリンダ負
荷圧PLSとの差圧ΔPLSが、後述するような設定値に保
持されるように斜板2aの傾転角が制御されることにな
る。この場合、差圧ΔPLSの設定値は、上記制御圧P
c、つまりコントローラ33から電磁ソレノイド36a
に加えられる制御信号に応じて変化される。 【0020】このとき圧力Pp、PLSと油圧ポンプ2の
吐出量(容積)Dの関係は下記(1)式で表される。 【0021】D=C・A・√(Pp−PLS) …(1) ここでCは定数であり、Aは絞り20の開口面積であ
る。 【0022】さて、エンジン1には燃料噴射ポンプ38
とガバナ39が併設されている。ガバナ39の燃料コン
トロールレバー39aはモータ40で駆動され、該レバ
ー39aの駆動位置は位置センサ41で検出される。位
置センサ41の検出信号はモータ40を駆動制御する際
のフィードバック位置信号としてコントローラ33に加
えられる。 【0023】スロットルダイヤル42はエンジン1の目
標回転数を設定するものであり、目標回転数ωTHに応じ
たスロットル信号はコントローラ33に加えられる。ま
た、モニタパネル43はパワーショベルで行われる作業
モードM、つまり「重堀削」モードM1、「堀削」モー
ドM2、「整正」モードM3、「微操作」モードM4を選
択、指示するものであり、選択された作業モードM1、
M2、M3、M4を示す信号がコントローラ33に加えら
れる。 【0024】また、管路14にはポンプ圧力センサ44
が配設されており、このセンサ44によって管路14内
の圧油の圧力、つまり油圧ポンプ2の吐出圧油Ppが検
出される。この検出値Ppはコントローラ33に加えら
れる。 【0025】また、操作弁7、8には、それぞれ操作ス
トローク量(以下「操作量」という)S1、S2を検出す
る操作量センサ45、46が配設されており、検出値S
1、S2はコントローラ33に加えられる。 【0026】コントローラ33は、入力された各種信号
に基づいてモータ40に対して駆動制御信号を出力し、
エンジン1の出力トルクを制御する。すなわち、図5に
示すように、入力された目標回転数ωTHとエンジン回転
センサ32で検出された現在のエンジン回転数ωEとに
応じたレギュレーションラインl1、l2、l3…が設定
されるようモータ40に駆動制御信号が加えられ、燃料
コントロールレバー39aが作動されることになる。 【0027】一方、コントローラ33は、入力された各
種信号に基づいて後述するような演算処理を実行して、
その結果得られた制御信号を制御弁36のソレノイド3
6aに出力し、制御弁37、レギュレータ12を介して
油圧ポンプ2の斜板2aの傾転角、つまり油圧ポンプ2
の吐出量D(cc/rev)を制御する。 【0028】この場合、コントローラ33は油圧ポンプ
2の吸収馬力を一定値にする制御信号を出力している。
すなわち、油圧ポンプ2が、入力された作業モードM1
…に応じた一定馬力が得られるような制御信号を制御弁
36に出力し、制御弁37を介して油圧ポンプ2の斜板
2aを制御する。このようにして、現在の負荷状態に応
じて、最も効率のよい点にマッチング点が移動すること
になる(図5のF参照)。 【0029】一方、コントローラ33は後述するように
して設定された差圧ΔPLSが得られるような制御信号を
出力している。すなわち、コントローラ33は上記ポン
プ吸収馬力の制御とともに差圧の制御も同一の制御信号
により行っており、この場合制御弁36のソレノイド3
6aに加える制御信号に応じて制御弁37のパイロット
ポート37aに加えられる制御圧Pcが変化し、これに
よって差圧ΔPLSが変化される。この実施例では、この
差圧ΔPLSを後述するように変化させることで、操作弁
7、8の図示せぬ操作レバーの操作性向上を図ってい
る。 【0030】以下、かかる差圧ΔPLSの可変制御の内容
について詳述する。 【0031】・第1の制御 この第1の制御では、差圧ΔPLSを作業機アクチュエー
タに現在かかっている負荷およびエンジンの回転数に応
じて変化させることで、上述したいわゆる「圧油リー
ク」があったとしてもレバー操作性が損なわれない制御
を行おうとするものである。 【0032】ところで、一般的に、上記圧油リークが操
作特性に与える影響は油圧ポンプ2の油圧管路における
漏れ量qLの吐出量Q(cc/min)に対する比率qL
/Qに比例するといわれている。この比率qL/Qが大
きくなることで油圧ポンプ2の実質的な容積効率が低下
し、作業機アクチュエータの実速度が低下してしまい、
操作レバーの操作特性が所望の操作特性から差圧が低下
する方向に変化してしまう。よって、上記比率qL/Q
を小さくすることにより操作特性を所望の特性に維持で
きレバー操作性を損なわずに済むことができる。 【0033】いま、ポンプ吐出量Qは、 Q=D・ωE …(2) であり、エンジン回転数ωEに比例している。一方、漏
れ量qL自体は作業機アクチュエータ7、8にかかって
いる負荷、つまり油圧ポンプ2の吐出圧Ppに比例して
いることがわかっている。したがって、上記比率qL/
Qは、 qL/Q=Pp/ωE …(3) と表され、結局、油圧ポンプ吐出圧Ppが大きくなるほ
ど比率qL/Qが大きくなるので、これによる差圧の低
下を防止するために、圧Ppが大なるほど差圧を大きく
する方向に補正することで、所望の操作特性を維持する
ことができ、またエンジン回転数ωEが小さくなるほど
比率qL/Qが大きくなるので、これによる差圧の低下
を防止するために、回転数ωEが小なるほど差圧を大き
くする方向に補正することで、所望の操作特性を維持す
ることができる。 【0034】図2はこの第1の制御を行うための、操作
レバー操作量S1、S2(あるいは操作弁の開口面積S
1、S2)と差圧ΔPLSとの関係を、ポンプ吐出圧Pp小
さい場合(図2(a))、ポンプ吐出圧Ppが中間値を
とる場合(図2(b))、ポンプ吐出圧Ppが大きい場
合(図2(c))とに分けて示すとともに、エンジン回
転数ωEが小さい場合(一点鎖線A)、エンジン回転数
ωEが大きい場合(実線B)ごとに示したものである。 【0035】この図2より明かなように図2の(a)か
ら(b)へ、そして(c)へと、ポンプ吐出圧Ppが大
きいほど差圧ΔPLSは大きくなるとともに、BからAへ
と、エンジン回転数ωEが小さくなるほど差圧ΔPLSは
大きく設定されるのがわかる。 【0036】この図2の内容はコントローラ33内の図
示せぬメモリに予め記憶されており、上記ポンプ圧力セ
ンサ44で検出されたポンプ吐出圧Ppと回転センサ3
2で検出されたエンジン回転数ωEとに基づいて上記図
2のそれら検出値に対応する差圧ΔPLSが読み出され、
この差圧ΔPLSが得られるよう制御信号が制御弁36に
出力されることになる。この結果、レバーの操作特性は
圧油リークが生じたとしたとしても変化せず、所望の操
作特性に維持されることになる。 【0037】なお、この第1の制御では油圧ポンプ2の
吐出圧Ppに基づき差圧を変化させるようにしている
が、要は作業機にかかる負荷に基づき差圧を変化させる
ことができればよく、作業機の負荷PLSに基づき差圧を
変化させる実施も当然可能である。 【0038】・第2の制御 この第2の制御では、差圧ΔPLSを、操作弁がニュート
ラル位置になっているときに、ニュートラル位置以外の
ときの設定差圧よりも小さくししかもエンジン回転数に
応じて変化させることにより、上述したエンジン高回転
時の「飛び出し」および低回転時の「無駄時間増大等」
の発生を有効に防止して、レバー操作開始時の操作性を
向上させようとするものである。 【0039】さて、前述したように特開平2−1649
41号においては、エンジン回転数の低下に応じて差圧
ΔPLSを低下させるように制御することで操作性向上を
図るものであるが、操作弁がすべてニュートラル位置N
に操作されているときに、上記制御をそのまま行ったと
すると、図3(a)のGに示すように操作レバーの操作
開始時において、同図3(b)のHに示すようにエンジ
ン高回転時には差圧ΔPLSが大きくなっているので、作
業機アクチュエータの駆動速度が急激に立ち上がる「飛
び出し」現象が発生することになる。これはニュートラ
ル位置Nにおいて設定される差圧とニュートラル位置N
以外の位置に操作されたときに設定される差圧との間に
差がないことによるもので、図3(c)のIに示すよう
にレバー操作開始時において差圧ΔPLSが急激に立ち上
がることによることに生ずるものである。 【0040】したがって、操作レバー、つまり操作弁
7、8がニュートラル位置Nのときの差圧をΔPLSnと
し、ニュートラル位置N以外の操作状態のときの差圧を
ΔPLSaとしたとき、 ΔPLSn<ΔPLSa …(4) のごとくニュートラル時の差圧ΔPLSnが操作時の差圧
ΔPLSaよりも小さくなるように差をつけることで、図
3(c)の破線Jで示すごとに過渡的にも緩やかな勾配
をもって差圧が立ち上がり、図3(b)の破線Kに示す
ごとく上記「飛び出し」現象が除去されることとなる。 【0041】一方、エンジン低回転時には上記従来のも
のでは、ニュートラル位置Nのときもエンジン回転数低
下に応じて差圧ΔPLSが小さくなっており、図3(b)
の一点鎖線Lに示すごとくレバー操作開始時において作
業機アクチュエータの駆動速度がなかなか立ち上がら
ず、無駄時間や不感帯増加が発生している。よってニュ
ートラル位置Nにあるときはそれ以外の位置にあるとき
とは逆に、図4に示すようにエンジン回転数ωEの低下
に応じて差圧ΔPLSnを上昇させることで、上記無駄時
間の増加等の不都合を除去することができる。また、こ
の図4のようにエンジン回転数ωEの増大に応じて差圧
ΔPLSnが小さくなるように変化させることで、エンジ
ン回転数増大に伴ない顕著となる「飛び出し」現象を有
効に防止することができる。 【0042】結局、上記(4)式および図4に示すごと
く、操作弁7、8のいずれもがニュートラル位置Nにな
っているときに、操作弁7、8のうちいずれかの操作弁
が操作されているときの差圧ΔPLSaよりも小さく、か
つエンジン回転数ωEが大きくなるほど小さくなるよう
に差圧ΔPLSnが設定され、上記不都合のいずれもが除
去され、レバー操作開始時の操作性改善を図ることがで
きる。 【0043】上記(4)式および図4の内容は、コント
ローラ33内の図示せぬメモリに予め記憶されており、
上記操作量検出センサ45、46の出力に基づき操作弁
7、8のいずれもがニュートラル位置Nにあることを検
出し、このニュートラル位置Nが検出された際に、回転
センサ32の出力ωEに応じた差圧ΔPLSnを上記メモリ
から読み出し、この差圧ΔPLSnが得られるよう制御信
号が制御弁36に出力されることになる。この結果、レ
バーの操作開始時において上記「飛び出し」現象等はな
くなり、操作性が従来よりも改善されることとなる。 【0044】なお、この第2の制御は、エンジン回転数
低下に応じて差圧を小さくするという従来技術を適用す
る場合のみならず、レバー操作中はエンジン回転数によ
らないで差圧が設定される場合に適用しても好適である
ことは明かである。 【0045】 【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
操作弁がニュートラル位置にあるときに、操作弁が操作
されているときの差圧よりも小さく、かつエンジン回転
数が大きくなるほど差圧が小さくなるように差圧を変化
させるようにしたので、操作レバー操作開始時の操作性
が向上するとともに、作業効率が向上する。
実施例における作業機油圧回路の構成を示す回路図であ
る。 【図2】図2はエンジン回転数とポンプ吐出圧に応じて
差圧が変化する様子を示すグラフである。 【図3】図3は操作レバーの操作量と作業機アクチュエ
ータの駆動速度と差圧の時間変化の様子をそれぞれ示す
グラフであり、この実施例による効果を従来技術との比
較において説明するために用いたグラフである。 【図4】図4は操作レバーがニュートラル位置にあると
きのエンジン回転数と差圧設定値との関係を示すグラフ
である。 【図5】図5は実施例における等馬力制御を説明するた
めに用いた、エンジン回転数と出力トルクとの関係を示
すグラフである。 【符号の説明】 2 油圧ポンプ 3 油圧シリンダ 4 油圧シリンダ 7 操作弁 8 操作弁 12 レギュレータ 33 コントローラ 36 制御弁 37 制御弁 44 ポンプ圧力センサ 45 操作量センサ 46 操作量センサ
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 原動機により駆動される油圧ポンプ
と、該油圧ポンプの吐出圧油が圧油供給路を介して供給
されることにより駆動される複数の油圧アクチュエータ
と、前記圧油供給路に設けられ、前記複数の作業機アク
チュエータに対して供給される圧油の流量を操作量に応
じて制御する複数の流量制御弁とを有し、前記油圧ポン
プの吐出圧力と前記複数の作業機アクチュエータの負荷
圧力との差圧が設定された値になるように前記油圧ポン
プの吐出流量を制御するようにした油圧駆動機械の制御
装置において、 前記複数の流量制御弁の各操作位置がニュートラル位置
になっていることを検出するニュートラル位置検出手段
と、 前記原動機の回転数を検出する回転数検出手段と、 前記ニュートラル位置検出手段によって前記複数の流量
制御弁のすべての操作位置がニュートラル位置になって
いることが検出されている場合に、前記複数の流量制御
弁のうちいずれかの流量制御弁が操作されている際の差
圧設定値よりも小さく、かつ前記回転数検出手段によっ
て検出された回転数が大きくなるほど差圧設定値が小さ
くなるように差圧設定値を変化させる手段とを具えた油
圧駆動機械の制御装置。
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