JP2003309253A - Soiウエーハ及びsoiウエーハの製造方法 - Google Patents

Soiウエーハ及びsoiウエーハの製造方法

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JP2003309253A
JP2003309253A JP2003038908A JP2003038908A JP2003309253A JP 2003309253 A JP2003309253 A JP 2003309253A JP 2003038908 A JP2003038908 A JP 2003038908A JP 2003038908 A JP2003038908 A JP 2003038908A JP 2003309253 A JP2003309253 A JP 2003309253A
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soi layer
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JP2003038908A
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Shigeyoshi Nezu
茂義 祢津
Tatsuo Ito
辰夫 伊藤
Nobuo Katsuoka
信生 勝岡
Katsuya Okumura
勝弥 奥村
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Shin Etsu Handotai Co Ltd
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Shin Etsu Handotai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 SOIウエーハの製造プロセスやデバイス製
造プロセスにおいて、SOI層への静電気の帯電を防止
することのできるSOIウエーハ、およびSOIウエー
ハの製造方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも、SOI層、絶縁層、支持基
板で形成されたSOIウエーハであって、前記SOI層
の一部分に該SOI層の帯電を防止する帯電防止手段を
設けたSOIウエーハ。特にSOI層、絶縁層、支持基
板からなるSOI構造を形成する工程の後に、前記SO
I層の外周端と前記支持基板の間を導通させるための連
結部を形成することにより製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、SOI層、絶縁
層、支持基板で形成されたSOI(Silicon on Insulat
or)ウエーハに関し、特にSOI層の静電気の帯電を防
止できるSOIウエーハ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、集積回路はその集積度を著しく増
し、それに伴い鏡面研磨された半導体単結晶ウエーハ表
面の平坦度や平滑度のような加工精度もより厳しい条件
が課されるようになった。しかも、性能・信頼性・歩留
まりの高い集積回路を得る為には、機械的な精度だけで
はなく、電気的な特性についても高いことが要請される
ようになった。中でもSOIウエーハについて言えば、
理想的な誘電体分離基板なので、主に移動通信機器や医
療機器関係で高周波、高速系デバイスとして利用され、
今後の大幅な需要拡大が予想されている。
【0003】SOIウエーハ15は、図4に示すように
単結晶シリコン層のような素子を形成するためのSOI
層3(半導体層や活性層ともいう)が、シリコン酸化膜
のような絶縁層2(BOX酸化膜層(埋め込み酸化膜)
や単に酸化膜層ともいう)の上に形成された構造をも
つ。また酸化膜は支持基板1(基板層ともいう)上に形
成され、SOI層3、絶縁層2、支持基板1が順次形成
された構造となっている。
【0004】従来、SOI層及び支持基板が例えばシリ
コン、及び絶縁層が例えばシリコン酸化膜からなる上記
SOI構造を持つSOIウエーハの製造方法としては、
酸素イオンをシリコン単結晶に高濃度で打ち込んだ後
に、高温で熱処理を行ない、酸化膜を形成するSIMO
X(Separation by implanted oxygen)法によるもの
と、2枚の鏡面研磨したウエーハのうち少なくとも一方
に酸化膜を形成した後に、接着剤を用いることなく結合
し、片方のウエーハを薄膜化する結合法(貼り合わせ
法)がある。
【0005】SIMOX法は、デバイス活性領域となる
活性層部(SOI層)の膜厚を、酸素イオン打ち込み時
の加速電圧で決定、制御できるために、薄層でかつ膜厚
均一性の高い活性層を容易に得る事ができる利点がある
が、埋め込み酸化膜(絶縁層)の信頼性や、活性層の結
晶性等問題が多い。
【0006】一方、ウエーハ結合法は、単結晶のシリコ
ン鏡面ウエーハ2枚のうち少なくとも一方に酸化膜(絶
縁層)を形成し、接着剤を用いずに貼り合わせ、次いで
熱処理(通常は1100℃〜1200℃)を加えること
で結合を強化し、その後片方のウエーハを研削や湿式エ
ッチングにより薄膜化した後、薄膜の表面を鏡面研磨し
てSOI層を形成するものであるので、埋め込み酸化膜
(絶縁層)の信頼性が高くSOI層の結晶性も良好であ
るという利点がある。しかし、このようにして貼り合わ
されたSOIウエーハは研削や研磨により機械的な加工
を行ない薄膜化しているため、得られるSOI層の膜厚
およびその均一性に限界がある。
【0007】また最近SOIウエーハの製造方法とし
て、イオン注入したウエーハを結合及び分離してSOI
ウエーハを作製する方法が新たに注目され始めている。
この方法は貼り合わせ法の一種であるがイオン注入剥離
法などとも言われ、図5(a)に示すように2枚のシリ
コンウエーハのうち、少なくとも一方に酸化膜(絶縁
層)を形成(図5(b))すると共に、一方のシリコン
ウエーハの上面から水素イオンまたは希ガスイオンを注
入(図5(c))し、該ウエーハ内部に微小気泡層(封
入層)を形成させた後、該イオンを注入した方の面を、
酸化膜を介して他方のシリコンウエーハと密着(図5
(d))させ、その後熱処理を加えて微小気泡層を劈開
面として一方のウエーハを薄膜状に分離(図5(e))
し、さらに熱処理を加えて(図5(f))、強固に結合
してSOIウエーハとする技術(特開平5−21112
8号参照)である。そして、該劈開面は良好な鏡面であ
り、SOI層の膜厚の均一性も高いSOIウエーハが比
較的容易に得られている。
【0008】また、シリコンウエーハ表面を多孔質化し
た後、水素処理等によりウエーハ表面を平滑化し、エピ
タキシャル成長によりエピ層を形成し、さらにエピ層に
酸化膜を形成し、他のシリコンウエーハと貼り合わせ、
多孔質化した部分から剥離するなどの方法によりSOI
ウエーハを製造する方法もある。このようにSOIウエ
ーハの製造には多くの方法が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】SOIウエーハを用い
デバイスを製造するにあたり、デバイスの歩留まりが低
下するという問題があった。この原因について鋭意調査
したところ、SOI層に静電気が帯電し、これによりS
OI層や絶縁層又は、デバイスそのものが破壊され、歩
留まりの低下につながると考えられた。
【0010】つまり、図4に示すようなSOIウエーハ
15は、SOI層3が絶縁層2により完全に分離された
構造となっているため、SOIウエーハの製造中、また
はデバイスの製造過程でSOI層中に静電気が帯電し、
その静電気がショートし、SOI層または絶縁層、更に
は作製中のデバイスそのものを破壊してしまうと考えら
れる。
【0011】このような帯電の発生はあらゆる工程で考
えられる。例えば洗浄後にスピン乾燥等を行なうとSO
I層に静電気が帯電しやすい。
【0012】SOI層や絶縁層の酸化膜が厚い厚膜SO
Iウエーハでは、これらの静電気の影響は少ないが(但
し厚膜SOIウエーハでも同様に発生している)、特に
近年では、SOI層も大変薄くなり、例えば50nm程
度、更には20〜30nm等のSOI層を持つ薄膜SO
Iウエーハ等の要求がでている。
【0013】このようなSOIウエーハでは特に静電気
の影響が大きく、このようなSOI層に対する帯電を防
止する必要が急務であると考えられる。
【0014】またSOIウエーハの製造過程やデバイス
製造過程を通して静電気の防止をする必要があり、なる
べくデバイスを形成する部分に影響の無い部分での改善
が必要である。
【0015】本発明は、上記問題に対してなされたもの
で、SOI層の帯電を防止し、かつ生産性および歩留り
の高いSOIウエーハの製造方法及びSOIウエーハを
提供することを主たる目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明のSOIウエーハは、少なくとも、SOI
層、絶縁層、支持基板で形成されたSOIウエーハであ
って、前記SOI層の一部分に該SOI層の帯電を防止
する帯電防止手段を設けたことを特徴とするSOIウエ
ーハである(請求項1)。
【0017】このようにSOIウエーハにおいて、SO
I層に静電気等が帯電しない構造としたことにより、S
OIウエーハを用いた各種処理過程、例えば洗浄後スピ
ン乾燥等を行なってもSOI層に静電気が帯電すること
が無くなり、静電気によるSOI層又は絶縁層、更には
デバイスの破壊を防止することができる。特にSOIウ
エーハのSOI層の外周端にこのような帯電防止手段を
形成することで、SOIウエーハのデバイス形成エリア
に影響することなく、どのようなデバイスを製造する場
合にも使用でき汎用性があり好ましい(請求項2)。但
し、帯電防止手段は、必ずしもSOI層の外周端に設け
なければならないものではなく、たとえウエーハの内側
であっても、デバイス製造に影響を与えない位置であれ
ばよい。たとえば、デバイス製造後ダイシングにおいて
切断されてしまうところに設置するようにしてもよい。
【0018】特に、前記帯電防止手段が、前記SOI層
と前記支持基板とを、SOI層及び支持基板の抵抗率と
同等又はそれ以下の抵抗率を有する物質を用い連結させ
導通させた構造であることが好ましい(請求項3)。
【0019】SOI層及び支持基板の抵抗率と同等又は
それ以下の抵抗率とは、SOI層に帯電した静電気が支
持基板側に流れる程度の抵抗率をいう。このような物質
を用い、更にSOI層と支持基板を連結させ導通するよ
うにすれば、常温でも帯電を防止することができる帯電
防止手段となる。
【0020】特に、少なくとも、SOI層、絶縁層、支
持基板で形成されたSOIウエーハであって、前記SO
I層の少なくとも一部分に前記支持基板と接触する導通
部を設けたことを特徴とするSOIウエーハである(請
求項4)。
【0021】静電気を防止するためにSOI層の少なく
とも一部分に支持基板と接触する導通部を設けた構造と
すれば、SOI層に静電気が帯電することが無くなり、
SOI層又は絶縁層、更にはデバイスの破壊を防止する
ことができる。SOI層の外周端にこのような帯電防止
手段を形成するようにすれば、SOIウエーハのデバイ
ス形成エリアに影響することなく、どのようなデバイス
を製造するにも使用でき汎用性があり好ましい。
【0022】特に、前記導通部が、前記SOI層の外周
端全域に形成されていることが好ましい(請求項5)。
【0023】SOIウエーハを丸形状のまま処理してい
る間は、一部に帯電防止手段(SOI層と支持基板の導
通部)を形成しておけば良い。しかしデバイスの形成
中、SOIウエーハ面内(SOI層面内)で切断等が行
なわれ、電気的に断線される部分がでてくることがあ
る。このようにウエーハ外周部全域に導通部を形成して
おくことにより、デバイス工程の多くの工程で帯電を防
止した形で処理することができる。
【0024】また、前記導通部の材質が、シリコンであ
ることが好ましい(請求項6)。SOI層及び支持基板
は主にシリコンが用いられており、SOI層や支持基板
と同質のシリコンを用いれば汚染等の問題も無く、また
SOI層又は支持基板のシリコンを利用しSOI層の外
周端と支持基板を結合することも可能である。また材質
が同じであり静電気の防止も容易である。
【0025】このようなSOIウエーハを製造するため
に、本発明のSOIウエーハの製造方法は、SOI層、
絶縁層、支持基板からなるSOI構造を形成する工程の
後に、少なくとも前記SOI層の一部分と前記支持基板
の間を導通させるための連結部を形成する工程を有する
ことを特徴とする(請求項7)。
【0026】SOI層、絶縁層、支持基板からなるSO
I構造を形成する工程とは、SOI構造が形成できれば
特に限定するものではなく、従来のSIMOX法や結合
法(貼り合わせ法)、例えばイオン注入したウエーハを
結合及び分離してSOIウエーハを作製する方法(イオ
ン注入剥離法)などの工程で良い。
【0027】また、このような工程で製造されたSOI
ウエーハのSOI層表面にはダメージ等が残存すること
があり、SOI構造を形成後SOI層の表面の改質が行
なわれることがある。またSOI層の更なる薄膜化(厚
さ調整)なども行なわれることがある。従って更に、S
OI層の表面の改質及び/または厚さを調整する工程を
有しても良い(請求項8)。
【0028】SOI層の表面の改質及び/または厚さを
調整する工程とは、従来のSOIウエーハの製造過程で
行なわれている表面粗さ等の改善を行なうためのタッチ
ポリッシュといわれる研磨や、厚さの調整を行なう研削
や研磨、更にはアルゴンガス(Ar)雰囲気での熱処理
工程などのことである。これらの工程も種々の形態があ
り、本発明では特に限定するものではない。
【0029】これらの工程は通常連続して行なわれる
が、本発明では前記SOI構造を形成した後、SOI層
の外周端等の一部分と支持基板の間を導通させるための
連結部を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0030】特にSOI層の外周端等の一部分に帯電防
止手段を設けるには、SOI構造を形成した後、なるべ
く早い段階が好ましい。少なくともデバイスを形成(製
造)する前に帯電防止手段を設けることが重要である
が、SOIウエーハの製造過程でも静電気を帯電しやす
い工程があればその前に形成しておくことが好ましい。
例えばスピン乾燥等の静電気を帯電しやすい工程を有す
る場合、この工程でSOIウエーハを処理する前にSO
Iウエーハ自身に帯電防止手段を形成しておくことが好
ましい。
【0031】このSOI構造を形成した後、SOI層の
一部分と支持基板の間を導通させるための連結部を形成
する工程は、高温リフロー工程によりSOI層の外周端
を連結するものとして実施できる(請求項9)。
【0032】本発明でいう高温リフロー工程とは、水素
ガスなどの還元性雰囲気またはアルゴン(Ar)ガスな
どの不活性ガス雰囲気、あるいは、これらの混合ガスな
どの還元性雰囲気中で長時間の熱処理を施すことによ
り、SOI層の外周端の一部、または全域がその自重に
よる撓みやシリコン原子のリフローにより支持基板と結
合させる処理工程をいう。還元性雰囲気としては、特に
水素雰囲気下によるものが好ましい。
【0033】この際、リフローを十分に発生させるため
には1150℃以上の高温とすることが好ましく、より
好ましくは1200℃以上シリコンの融点(約1420
℃)以下である。また、SOI層の外周部をリフローに
より支持基板と確実に連結するためには、SOI層の外
周部が絶縁層の外周部よりウエーハの外周方向に延出し
たいわゆるオーバーハング形状として高温熱処理する必
要がある。
【0034】このようにSOI構造を形成後、例えば還
元性雰囲気中で高温、長時間の熱処理を施すことによ
り、ウエーハ外周端の一部、または外周端全域で、SO
I層と支持基板とが連結し、SOI層と支持基板が導通
状態となる。
【0035】このような熱処理はシリコンのリフローが
生じれば熱処理条件、熱処理装置等は特に限定されるも
のではないが、前記熱処理は、急速加熱・急速冷却装置
を用いて、水素を含む還元性雰囲気中で行なうことが好
ましい。このように、急速加熱・急速冷却装置を用い
て、水素を含む還元性雰囲気中で行なえば、シリコンの
リフローが生じやすくなるので、SOI層の外周部が支
持基板側に付着し易くなる。さらに熱処理時間が短くて
済むのでウエーハ面内のSOI層中の結晶欠陥から雰囲
気中の水素が侵入し酸化膜をエッチングするという問題
も生じないためデバイス形成エリアの品質を維持でき
る。
【0036】尚、急速加熱・急速冷却装置とは、ランプ
加熱器等で直ちに加熱処理する方法や、熱処理炉への出
し入れや昇降温を極めて短時間に行なう熱処理方法のこ
とである。RTA(Rapid Thermal Annealing)装置な
どが知られている。
【0037】SOI構造を形成する方法は種々の方法が
提案されており、本発明では特に限定するものではない
が、SOI層、絶縁層、支持基板からなるSOI構造を
形成する工程が、ベースウエーハ及びボンドウエーハを
用意し、該ボンドウエーハの表面に熱酸化により酸化膜
を形成する工程と、該酸化膜が形成されたボンドウエー
ハに対し水素イオンまたは希ガスイオンを注入して封入
層を形成する工程と、該封入層が形成されたボンドウエ
ーハを前記ベースウエーハと貼り付ける工程と、該封入
層部でボンドウエーハを剥離する工程とを有するいわゆ
るイオン注入剥離法を用いることが好ましい(請求項1
3)。
【0038】このようなSOI構造の製造方法は、剥離
後のSOI層の表面が良好な鏡面であり、SOI層の膜
厚の均一性も高いSOIウエーハが比較的容易に得られ
るからである。
【0039】また、前記SOI層の表面の改質及び/ま
たは厚さを調整する工程が、SOI層の表面を改質する
ためのアルゴンガス雰囲気による熱処理工程、CMP装
置によりSOI層の表面を研磨する研磨工程、SOI層
を犠牲酸化し薄膜化する工程のいずれか一以上の工程を
有するものとすることが好ましい(請求項14)。
【0040】このような工程を加えSOIウエーハを製
造することで、SOIウエーハの表面(SOI層の表
面)の品質(面粗さや歪)及びSOI層の厚さが精度よ
く制御され、特にSOI層および絶縁膜がたいへん薄く
(例えば、SOI層:20〜100nm、絶縁膜:90
〜100nm)、表面特性の良好な薄膜SOIウエーハ
が製造できる。
【0041】また、前記したようにSOI層の外周端に
帯電防止手段を設けるには、SOI構造を形成した段階
でなるべく早い段階が好ましい。例えば上記工程で言え
ばSOI構造を形成し、表面を改質するためのアルゴン
ガス雰囲気での熱処理工程後に、高温リフロー工程を実
施するのが好ましい。
【0042】また帯電防止手段は上記方法に限らず、S
OI構造を形成後、SOI層の一部分と支持基板の間を
導通させるための連結部を形成する工程が、CVD法に
よるエピタキシャル成長、多結晶成長、アモルファス成
長工程のいずれかにより少なくともSOIウエーハの外
周部(SOI層の外周端)にシリコンを堆積し、ウエー
ハ外周部のSOI層と支持基板とを連結して導通させて
も良い(請求項10)。
【0043】SOIウエーハはそのSOI構造の製造方
法により、支持基板が絶縁層やSOI層に比べ大きな径
となっている。そこで支持基板の絶縁層等が形成されて
いない部分に、例えばエピタキシャル成長により絶縁膜
の厚さ以上の単結晶シリコンを堆積させることによっ
て、SOI層と支持基板を導通させることができる。こ
の場合堆積させるシリコンは、必ずしもエピタキシャル
膜である必要はなく、多結晶、アモルファスであっても
よい。
【0044】さらに、SOI構造を形成した後、SOI
層の一部分と支持基板の間を導通させるための連結部を
形成する工程としては、絶縁層にイオン注入することに
より、注入部を導通させるものとすることもできる(請
求項11)。イオン注入であれば注入深さ、注入位置を
正確に制御することができるので、例えば外周端部のみ
ならず、デバイス工程で影響を及ぼさない位置であれ
ば、ウエーハ面内の任意の位置でSOI層と支持基板と
の間を導通させることができる。具体的には、例えばホ
トレジスト等でSOI層をマスクし、外周端部のみのレ
ジスト除去あるいはウエーハ面内所定位置の窓開け加工
を行って部分的にSOI層を露出させ、当該露出部分の
埋め込み酸化膜に、シリコンとともにドーパント元素で
あるP、B、As、Sb等をイオン注入する、あるいは
シリコン中で拡散の遅い金属であるMo、Au等をイオ
ンを注入することにより連結部を形成することができ
る。必要に応じてイオン注入後にアニール処理を行えば
よい。
【0045】また、SOI構造を形成した後、SOI層
の一部分と支持基板の間を導通させるための連結部を形
成する工程として、SOI層と支持基板の間に電圧を印
加しつつ、SOI層の表面からレーザ光を照射すること
によって、照射部の絶縁層に絶縁破壊を生じさせること
により形成するものとすることもできる(請求項1
2)。この方法では、SOI層と支持基板の間に電圧を
印加しつつ、SOI層の表面からレーザ光を照射するこ
とで、照射部の温度が上昇し、絶縁破壊が生じる。この
方法でもレーザ照射位置を正確に制御することができる
ことから、SOIウエーハの所望位置で導通部を形成す
ることができる。
【0046】このような方法で製造した帯電防止手段を
有するSOIウエーハは、SOIウエーハの製造過程や
デバイスの製造過程の各種処理装置を用い処理される。
この時、SOIウエーハの支持基板を各種処理装置のウ
エーハ保持盤に保持して処理されるのが通常である。従
ってSOIウエーハに帯電している静電気はこのような
ウエーハ保持盤によりアースされる。例えば、洗浄後の
乾燥工程(特にスピン乾燥等)では静電気の帯電が生じ
やすいが、支持基板側を吸着保持することでアースの役
目を果たし、SOI層中に帯電した静電気が帯電防止手
段であるSOI層と支持基板の間の連結部を導通し、支
持基板、更にはウエーハ保持盤を経て除かれる。
【0047】このような構造のSOIウエーハを用い、
SOIウエーハの製造過程やデバイスの製造過程(半導
体回路製造過程)で各種処理を行なうことで静電気によ
る帯電を防止できる。これによりSOI層や絶縁層又は
デバイスの破壊を防止することができ、歩留まりの良い
デバイスの製造が行なえる。
【0048】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を用いて説明する。図1は、本発明に係るSOI
ウエーハの一実施形態を示す概略説明図である。図1
(a)は平面図、図1(b)は断面図である。支持基板
1の一主面(表面)に絶縁層2が積層され、絶縁層2の
表面上にSOI層3が積層された構造となっている。本
発明のSOIウエーハ5は更にSOI層3の外周端に帯
電防止手段4が形成されている。本実施の形態はSOI
層3の外周端全域に支持基板1とSOI層3との連結部
を形成した例である。なお帯電防止手段4は、SOI層
3の外周端の一部に形成するだけでも良い。このような
構造をしているためSOI層3での静電気等の帯電が防
止できる。
【0049】支持基板1としては、特に限定されない
が、SOI層3と同一の材質であるシリコン(単結晶シ
リコンウエーハ)やシリコン単結晶ウエーハの表面にポ
リシリコン層を形成したものなどが使用できる。また、
絶縁層2としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜が
用いられる。
【0050】次に、本発明に係るSOIウエーハの製造
方法の一実施形態について図面を用い説明する。図2
は、図5に示すような従来のSOIウエーハの製造工程
に帯電防止手段4を形成する工程を付加した例で、貼り
合わせ法(イオン注入剥離法)によりSOI構造を形成
し、更にアルゴンガス雰囲気中での熱処理やCMP研
磨、更には犠牲酸化を行なうことによってSOI層3の
表面の改質及び薄膜化を行ない、薄膜SOIウエーハを
製造する工程を示した流れ図である。この本発明のフロ
ーでは、SOI層3の外周端に支持基板1との導通部分
を形成する還元雰囲気熱処理(高温リフロー)工程が付
加されている。
【0051】SOI構造を形成する工程の主な工程を説
明すると、まず、支持基板1となるベースウエーハ10
とボンドウエーハ11を用意する(図2(a))。これ
らはいずれも鏡面研磨されたシリコン単結晶ウエーハで
ある。
【0052】次に、ボンドウエーハ11の表面には後に
埋め込み酸化膜(絶縁層2)となる酸化膜12を形成す
る(図2(b))。これは例えば熱酸化によりシリコン
酸化膜を形成する。
【0053】次に該酸化膜12の上からボンドウエーハ
11に水素イオンを注入し、微小気泡層(封入層)13
を形成する(図2(c))。
【0054】微小気泡層(封入層)13を形成したボン
ドウエーハ11のイオン注入をした面の酸化膜12を介
して、ベースウエーハ10と室温で密着させる(図2
(d))。
【0055】次に500℃以上の熱処理(剥離熱処理)
を加えることによりボンドウエーハ11を封入層13よ
り剥離することによって薄膜化し(図2(e))、次い
で結合熱処理(図2(f))を施して強固に結合するこ
とによってSOI構造を持つウエーハが作製される。
【0056】上記した貼り合わせ法を用いて製造された
SOIウエーハは、この段階では、図4に模式的に示す
通り支持基板1の一主表面に絶縁膜(層)2とSOI層
3がそれぞれ分離して順次積層された構造の断面形状を
有する。また、貼り合わせられる2枚の鏡面研磨ウエー
ハ表面の外周部には研磨ダレと呼ばれる領域が存在し、
その部分は結合が不十分となるため除去される。したが
って、絶縁層2とSOI層3は、支持基板1に対して数
mm程度小径となるのが一般的である。
【0057】本実施の形態では、イオン注入剥離法を用
いた例を示すが、SOI層、絶縁層、支持基板からなる
SOI構造を形成する工程については、種々の工程が開
発されておりこれに限るものではない。
【0058】次に、上記SOI構造を有するウエーハの
SOI層3の表面を改質及びSOI層3の厚さを制御す
る工程について示す。
【0059】図2(f)によって得られたSOI構造を
持つウエーハのSOI層表面(剥離面)には水素イオン
注入によるダメージ17が残留しているので、通常はタ
ッチポリッシュと呼ばれる研磨しろの少ない研磨を行な
ってダメージ層を除去する(例えば図5(i)の工
程)。また、タッチポリッシュの代替として、アルゴン
ガス雰囲気下での熱処理を行なったり、SOI層の膜厚
を薄くするため熱酸化と酸化膜除去をおこなう犠牲酸化
処理を行なったり、あるいはこれらを適宜組み合わせる
ことによって、表面にダメージのない薄膜のSOI層を
有するSOIウエーハを作製する場合もある。
【0060】本実施の形態では、SOI層の表面を改質
及びSOI層の厚さを制御する工程として、SOI層の
表面を改質するためのアルゴンガス雰囲気中での熱処理
工程と、CMP研磨によりSOI層の表面を研磨する工
程と、SOI層を犠牲酸化する工程を有する工程を例に
説明する。
【0061】SOI層3の表面を改質するため、例えば
多数枚を一度に熱処理可能な縦型または横型のヒーター
加熱式熱処理装置(バッチ炉)を用いアルゴンガス雰囲
気中1100℃〜1200℃程度で約1時間程度の熱処
理を行なう(図2(g))。これにより水素イオン注入
によるダメージ17やSOI層表面の粗さが改善され
る。
【0062】更にCMP研磨機を用いSOI層3の表面
を研磨することにより、ウエーハ表面の粗さや平滑度を
さらに改善する(図2(i))。CMP研磨(装置)と
は、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:
CMP)のことであり、その装置は、表面に研磨布が貼
設された円盤状の定盤と、被加工物を保持する研磨ヘッ
ドとを平行に対向配置させたものであり、定盤の回転運
動と研磨ヘッドの回転運動とを組み合わせることにより
被加工物の表面を研磨するようにされたものである。機
械的作用と研磨スラリーによる化学的作用とが複合した
研磨でウエーハ表面の粗さや平滑度を改善できる。
【0063】次にSOI層を更に薄膜化するためにSO
I層3の犠牲酸化を行なう(図2(j))。犠牲酸化と
はSOI層のシリコンの一部を酸化し、それを除去する
ことにより薄膜化する処理のことで、酸化を行なった
後、フッ酸処理することで薄膜のSOIウエーハ5が製
造できる(図2(k))。
【0064】なお上記例では、SOI構造の作製にイオ
ン注入剥離法を用い、更にCMP研磨装置による研磨
や、犠牲酸化等の手法によりSOIウエーハを薄膜化し
ているが、これらは研削、研磨、気相エッチング、通常
のエッチング等一般に用いられている方法で薄膜化を行
なう場合もある。これらのSOI構造の作製方法及びS
OI層の厚さ制御の方法等は特に限定するものではな
い。
【0065】さらに、本案ではSOI層3の外周端にS
OI層3と支持基板1を連結するための処理を行なう。
例えば還元雰囲気中での熱処理によりシリコンをリフロ
ーする高温リフロー工程を有する(図2(h))。この
工程はSOI構造を形成した後であれば、原則としてど
の段階で実施しても良いが、上記のようなアルゴンガス
雰囲気中での熱処理や、CMP研磨を有する工程では例
えばアルゴンガス雰囲気中での熱処理(図2(g))の
後に実施すると好ましい。但し、SOI層の表面を改質
及びSOI層の厚さを制御する工程では必ずしもアルゴ
ンガス雰囲気中での熱処理(図2(g))工程を含まな
い場合もあり、上記のような工程後に限らずデバイス形
成前や、CMP研磨またはその他の工程の前後で実施し
ても良い。
【0066】アルゴンガス雰囲気中での熱処理がある場
合、アルゴンガス雰囲気中での熱処理(図2(g))の
後に行なえば、SOI構造を形成した後の比較的早い段
階であり、静電気による絶縁層2やSOI層3の破壊も
起きていない。また熱処理条件を変えるだけで熱処理装
置をそのまま使用し実施することも可能である。高温リ
フロー工程(図2(h))は、アルゴンガス雰囲気中で
の熱処理(図2(g))と同様な工程であるが、アルゴ
ンガス雰囲気中での熱処理(図2(g))に比べ、高
温、長時間に設定する。特にSOI層3の外周端が支持
基板1と付着しやすくなるような条件に設定する。十分
なリフローを起こすためには、処理するウエーハの仕様
(SOI層の厚さ等)や熱処理装置の種類などにより適
宜設定する必要があるが例えば多数枚を一度に熱処理可
能な縦型または横型のヒーター加熱式熱処理装置(バッ
チ炉)を用いた場合1時間以上、好ましくは更に長時間
の熱処理時間で行なうと良い。
【0067】更に高温リフロー工程の好ましい方法とし
ては、SOI層3の外周端が支持基板1と付着させる為
に、SOI層の外周部が絶縁層の外周部よりウエーハの
外周方向に延出したいわゆるオーバーハング形状として
おき、熱処理装置として急速加熱・急速冷却装置を用い
て、水素を含む還元性雰囲気中で熱処理を行なうことも
できる。このようにすると、短時間でシリコンのリフロ
ーが生じやすくなり、SOI層3の外周端が支持基板1
側に付着し易くなる。また、急速加熱・急速冷却装置を
用いた場合は熱処理時間が極めて短いため、SOI層中
の結晶欠陥から雰囲気中の水素が侵入し、埋め込み酸化
膜をエッチングするようなことは生じない。このような
SOIウエーハを還元性雰囲気下で急速加熱・急速冷却
することができる装置としては、熱放射によるランプ加
熱器のような装置を挙げることができる。また、市販さ
れているものとして、例えばシュティアック マイクロ
テック インターナショナル社製、SHS−2800の
ような装置を挙げることができる。ランプ加熱式のRT
A装置等を用いた場合、十分なリフローを起こすために
は、30秒以上、好ましくは60秒以上の熱処理を行な
うことが好ましい。
【0068】また、高温リフロー工程の条件は、SOI
層3の膜厚や絶縁層2の膜厚等を考慮し設定する必要が
ある。絶縁層(膜)2の厚さが薄ければリフローは起こ
りやすいが、厚い場合は形成が困難になる。また、SO
I層3の膜厚があまりにも薄い場合、リフローして支持
基板と接続するためのシリコンが不足する場合もある。
通常SOI層が厚い段階でリフローすることが好まし
い。その点でも図2(h)の段階で行なうのが良い。こ
のような段階で行なえば少なくともSOI層3の外周端
の一部が支持基板1と接触し導通部が形成され、帯電防
止手段4として働く。
【0069】また、前記SOI層の外周部が絶縁層の外
周部よりウエーハの外周方向に延出したいわゆるオーバ
ーハング形状とすべく、例えばSOI構造を形成した
後、HF(フッ酸)を含有する水溶液中に浸漬すること
により絶縁層(酸化膜)2の外周方向から内側にエッチ
ングし、SOI層3の外周端が、隣接する絶縁層2の外
周端よりも外周方向にわずかに延出したいわゆるオーバ
ーハング部を形成する工程を付加し、その後リフローを
行なうなどしてもよい。この場合、絶縁層2が厚い場合
やSOI層3が薄くてもSOI層3の飛び出した部分が
リフローして支持基板1と接続しやすくなるので容易に
帯電防止手段4(導通部)を形成することができる。ま
たSOI層3の外周端全域に形成しやすく好ましい。
【0070】また、帯電防止手段4はデバイスを形成す
る部分に影響しない場所に形成することが好ましく、特
にSOI層3の外周端の一部または全域に形成すること
が好ましい。帯電防止手段4はSOI層3の面内にも形
成することは可能であるが、デバイスの形成場所等を考
慮する必要があり、本案のようにSOI層3の外周端に
このような帯電防止手段4を設けることで、デバイスの
種類等を考慮することなく、種々のデバイスを製造する
原材料として用いる事ができ、その汎用性が向上する。
また、SOI層3の外周端に帯電防止手段を形成するこ
とは比較的簡単に実施できコストダウンにもつながる。
【0071】更に本発明に係るSOIウエーハの製造方
法の別な実施形態について説明する。図3はエピタキシ
ャル成長を利用し、SOI層3の外周端にSOI層3と
支持基板1を連結するためのシリコン単結晶(帯電防止
手段)を作製する例である。
【0072】SOI構造を形成する工程(図3(a)〜
図3(f))は、図2で説明した工程と同様であるので
説明を省略する。本実施例ではSOI層3の表面を改質
するためアルゴンガス雰囲気中の熱処理(図3(g))
を行なった後、エピタキシャル成長によりシリコン(エ
ピ層18)を堆積させ、SOI層3の外周端にSOI層
3と支持基板1を連結するためのシリコン単結晶(帯電
防止手段4)を形成した(図3(h‘)。もちろん、こ
のとき形成する堆積層はエピタキシャル成長である場合
に限られず、多結晶を成長させてもよいし、アモルファ
スを成長させてもよい。要するにCVD法により気相か
ら堆積させることができるものならばよい。
【0073】更にSOI層表面に堆積したシリコン(エ
ピ層18)の除去やウエーハ表面の粗さ、平滑度及び厚
さを調整する為、CMP研磨機を用いSOI層3を研磨
する(図3(i))ことにより、SOIウエーハ5を得
る(図3(k))ことができる。この場合、SOIウエ
ーハを酸化してSOI層に酸化膜を形成した後、支持基
板とSOI層の外周端部をわずかに露出させてからエピ
タキシャル成長、多結晶成長、あるいはアモルファス成
長を行ってもよい。酸化膜はシリコンよりも研磨速度が
遅いので、SOI層に堆積したシリコン層の研磨による
除去時に酸化膜が研磨ストップ層となり、研磨量の面内
バラツキを小さくすることができる。研磨除去後には酸
化膜をフッ酸で除去すればよい。
【0074】エピタキシャル成長、多結晶成長、あるい
はアモルファス成長工程の条件は、特に限定するもので
はないが、トリクロロシラン又はシラン及び水素ガス等
のシリコンソースガスを用いる化学気相堆積により、単
結晶シリコン膜(エピタキシャルシリコン)、多結晶シ
リコン膜、あるいはアモルファスシリコン膜を形成す
る。このシリコン膜は、所望の任意の厚さに形成するこ
とができ、任意の導電型及び所望抵抗率に形成すること
ができる。
【0075】このようにすることで、任意の抵抗率をも
つシリコン、例えば支持基板やSOI層の抵抗率と同等
もしくはより低い抵抗率を有するシリコンを堆積するこ
とができSOI層と支持基板の連結部を導通しやすくす
ることができる。この場合、SOI層と支持基板の連結
部の抵抗率は、必ずしも当該SOI層あるいは支持基板
の抵抗率と同等もしくは低くなければならないわけでは
ない。絶縁層より抵抗率が低く、SOI層に生じる静電
気を有効に支持基板に除去できるならば、SOI層ある
いは支持基板より抵抗率が高くともよい。
【0076】
【実施例】以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0077】(実施例1)図2に示す方法でSOIウエ
ーハを製造した。まず、CZ法で作製された直径200
mm、p型、方位〈100〉、抵抗率10Ω・cmの鏡面
研磨されたシリコンウエーハをベースウエーハ10及び
ボンドウエーハ11として用意した。
【0078】ボンドウエーハ11の表面に熱酸化により
膜厚150nmの酸化膜12を形成した。更に水素イオ
ンを注入し封入層13を形成した。
【0079】次にボンドウエーハ11のイオン注入をし
た面とベースウエーハ10とを室温で密着させた。
【0080】次に、窒素雰囲気下で500℃、30分間
の剥離熱処理を加えて、ボンドウエーハ11を剥離・薄
膜化し、厚さ約250nmのSOI層3を得た。
【0081】その後、窒素雰囲気下で1100℃、2時
間の結合熱処理を加えてSOI層3を強固に結合し、S
OI構造を有するウエーハを作製した。
【0082】次に、SOI層の面粗さや歪みを除去する
ため、アルゴンガス雰囲気による熱処理を行なった。こ
れは縦型のヒーター加熱式熱処理装置(バッチ炉)を用
いアルゴンガス雰囲気下で1200℃、1時間の熱処理
を行なっている。これによりイオン注入で生じたダメー
ジやSOI層表面の粗さがある程度改善される。
【0083】次いで、本発明の帯電防止手段として、S
OI層の外周端にシリコンの導通部を形成する。これは
あらかじめ、5%(重量濃度)のフッ酸溶液で絶縁層
(酸化膜)の外周端をエッチング処理し、約1μmのオ
ーバーハング部を形成し、水素雰囲気下で1200℃、
60秒の急速加熱急速冷却装置による水素アニールを行
ない、SOI層3の外周端を支持基板1側に付着させ、
SOI層3と支持基板1を導通させるためのシリコン層
(部)を形成した。
【0084】次に更にSOI層の表面の品質を改善する
ため、CMP研磨装置によりSOI層を研磨した。これ
は研磨代40nm程度行なった。
【0085】更にSOI層3を犠牲酸化し、SOI層中
のシリコンを酸化し、約360nmの酸化膜14を形成
し、それをフッ酸により処理することで、最終的にSO
I層3が約50nm程度の薄膜SOIウエーハ5を製造
した。
【0086】このようにして、図1に示すようなSOI
ウエーハのSOI層3の外周端が支持基板1と導通した
SOIウエーハ5が製造できた。
【0087】本発明のSOIウエーハ5を用い、デバイ
スの製造を行なった場合、静電気が起因すると思われる
不良の発生は低減し、歩留まりが向上した。
【0088】(比較例1)高温リフロー工程を除いた以
外は実施例1と同様にSOIウエーハを製造した。
【0089】このような方法で製造したSOIウエーハ
(帯電防止手段をもたないSOIウエーハ)は図4に示
すようにSOI層3、絶縁層2及び支持基板1が完全に
分離された構造となったSOIウエーハ15となってお
り、このSOIウエーハ15を用いスピン乾燥等を行な
うとSOI層に静電気の帯電が観察された。このSOI
ウエーハ15を用い、デバイスを製造すると実施例1の
SOIウエーハ5より50%程度歩留まりが悪かった。
【0090】(実施例2)図3に示す方法でSOIウエ
ーハを製造した。まず、CZ法で作製された直径200
mm、p型、方位〈100〉、抵抗率10Ω・cmの鏡面
研磨されたシリコンウエーハをベースウエーハ10及び
ボンドウエーハ11として用意した。
【0091】ボンドウエーハ11の表面に熱酸化により
膜厚100nmの酸化膜12を形成した。更に水素イオ
ンを注入し封入層13を形成した。
【0092】次にボンドウエーハ11のイオン注入をし
た面とベースウエーハ10とを室温で密着させた。
【0093】次に、窒素雰囲気下で500℃、30分間
の剥離熱処理を加えて、ボンドウエーハ11を剥離・薄
膜化し、厚さ約200nmのSOI層3を得た。
【0094】その後、窒素雰囲気下で1100℃、2時
間の結合熱処理を加えてSOI層3を強固に結合し、S
OI構造を有するウエーハを作製した。
【0095】次に、SOI層の面粗さや歪みを除去する
ため、アルゴンガス雰囲気による熱処理を行なった。こ
れは縦型のヒーター加熱式熱処理装置(バッチ炉)を用
いアルゴンガス雰囲気下で1200℃、1時間の熱処理
を行なっている。これによりイオン注入で生じたダメー
ジやSOI層表面の粗さが改善される。
【0096】次いで、本発明の帯電防止手段として、S
OI層の外周端にシリコンの導通部を形成する。これに
はエピタキシャル成長を利用した。抵抗率がSOI層や
支持基板より低い0.1Ω・cmとなるように調整し支持
基板の外周部に単結晶シリコンが成長するようにした。
これにより絶縁層(酸化膜)の厚さ以上(本実施例では
約150nm)のシリコンを堆積することでSOI層3
の外周端と支持基板1側が接続されSOI層3と支持基
板1を導通させるためのシリコン層(部)が形成され
た。
【0097】次にSOI層表面に堆積したエピタキシャ
ル層の除去及びSOI層の表面品質の改質、薄膜化のた
め、CMP研磨装置によりSOI層を研磨した。これは
研磨代200nm行ない、最終的にSOI層3が約15
0nm程度のSOIウエーハ5を製造した。
【0098】このようにして、図1に示すようなSOI
ウエーハのSOI層3の外周端が支持基板1と導通した
SOIウエーハ5が製造できた。
【0099】本案のSOIウエーハ5を用い、デバイス
の製造を行なった場合、静電気が起因すると思われる不
良の発生は低減し、歩留まりが向上した。
【0100】このように、帯電防止手段を形成する方法
として、SOI構造を形成した後、エピタキシャル成長
を行ない、少なくともSOI層の外周端に支持基板と結
合するようにエピ層を形成し導通させるなどしても同様
な効果が得られる。
【0101】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明
の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同
一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いか
なるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0102】例えば、上記実施形態で示した製造工程は
例示列挙したにとどまり、この他の洗浄、熱処理等種々
の工程が付加したものでもよく、また工程順の一部変
更、更にはCMP研磨などの工程の一部を省略した工程
など目的に応じ適宜工程は変更使用することができる。
つまりSOI構造を形成する工程やSOI層の表面を改
質、またはSOI層の厚さを制御する工程は特に限定さ
れない。例えばSIMOX法等、他の形態の製造方法に
よりSOIウエーハを作製した場合でも適用できる。
【0103】また、SOI構造を形成した後、SOI層
の一部分と支持基板の間を導通させるための連結部を形
成する工程も、前記のものに限定されず、絶縁層にイオ
ン注入することにより、注入部を導通させるようにして
もよいし、SOI層と支持基板の間に電圧を印加しつ
つ、SOI層の表面からレーザ光を照射することによっ
て、照射部の絶縁層に絶縁破壊を生じさせることにより
形成することもできる。
【0104】
【発明の効果】以上説明したように、帯電防止手段を有
するSOIウエーハを用い、デバイス製造を行なうこと
によりSOI層での、静電気の帯電がなくなり、静電気
によるデバイスの破壊等が防止でき、歩留まりの良いS
OIウエーハを高い生産性で生産することができる。
【0105】また、本発明の製造方法によりSOIウエ
ーハを製造することにより、SOI層の外周部に導通部
(帯電防止手段)を有したSOIウエーハを簡便に製造
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るSOIウエーハの一実施形態を示
す概略説明図で、(a)は平面図、(b)は断面図であ
る。
【図2】本発明に係るSOIウエーハの製造方法の一実
施形態を示す流れ図である。
【図3】本発明に係るSOIウエーハの製造方法の別な
実施形態を示す流れ図である。
【図4】従来のSOIウエーハの形態を示す概略説明図
で、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図5】従来のSOIウエーハの製造方法の一実施形態
を示す流れ図である。
【符号の説明】
1…支持基板、 2…絶縁層、 3…SOI層、 4…
帯電防止手段、5…SOIウエーハ、 10…ベースウ
エーハ、 11…ボンドウエーハ、12…酸化膜、 1
3…微小気泡層(封入層)、 14…犠牲酸化膜、15
…SOIウエーハ、 17…ダメージ、 18…エピ
層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 勝岡 信生 福島県西白河郡西郷村大字小田倉字大平 150番地 信越半導体株式会社半導体白河 研究所内 (72)発明者 奥村 勝弥 東京都新宿区若葉一丁目22番1号 Fターム(参考) 5F032 AA06 AA07 AA91 CA09 DA02 DA12 DA21 DA22 DA23 DA33 DA41 DA53 DA60 DA71 DA74

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、SOI層、絶縁層、支持基
    板で形成されたSOIウエーハであって、前記SOI層
    の一部分に該SOI層の帯電を防止する帯電防止手段を
    設けたことを特徴とするSOIウエーハ。
  2. 【請求項2】 前記帯電防止手段は、前記SOI層の外
    周端に設けられていることを特徴とする請求項1に記載
    のSOIウエーハ。
  3. 【請求項3】 前記帯電防止手段が、前記SOI層と前
    記支持基板とを前記SOI層及び前記支持基板の抵抗率
    と同等又はそれ以下の抵抗率を有する物質を用い連結さ
    せ導通させた構造であることを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載のSOIウエーハ。
  4. 【請求項4】 少なくとも、SOI層、絶縁層、支持基
    板で形成されたSOIウエーハであって、前記SOI層
    の少なくとも一部分に前記支持基板と接触する導通部を
    設けたことを特徴とするSOIウエーハ。
  5. 【請求項5】 前記導通部が、前記SOI層の外周端全
    域に形成されていることを特徴とする請求項4記載のS
    OIウエーハ。
  6. 【請求項6】 前記導通部の材質が、シリコンであるこ
    とを特徴とする請求項4又は請求項5記載のSOIウエ
    ーハ。
  7. 【請求項7】 SOIウエーハの製造方法において、S
    OI層、絶縁層、支持基板からなるSOI構造を形成す
    る工程の後に、少なくとも前記SOI層の一部分と前記
    支持基板の間を導通させるための連結部を形成する工程
    を有することを特徴とするSOIウエーハの製造方法。
  8. 【請求項8】 更に、前記SOI層の表面の改質及び/
    または厚さを調整する工程を有することを特徴とする請
    求項7記載のSOIウエーハの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記SOI構造を形成した後、SOI層
    の一部分と支持基板の間を導通させるための連結部を形
    成する工程が、高温リフロー工程によりSOI層の外周
    端を連結するものであることを特徴とする請求項7又は
    請求項8に記載のSOIウエーハの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記SOI構造を形成した後、SOI
    層の一部分と支持基板の間を導通させるための連結部を
    形成する工程が、CVD法によるエピタキシャル成長、
    多結晶成長、アモルファス成長工程のいずれかによりS
    OI層の外周端を連結するものであることを特徴とする
    請求項7又は請求項8に記載のSOIウエーハの製造方
    法。
  11. 【請求項11】 前記SOI構造を形成した後、SOI
    層の一部分と支持基板の間を導通させるための連結部を
    形成する工程が、前記絶縁層にイオン注入することによ
    り、注入部を導通させるものであることを特徴とする請
    求項7又は請求項8に記載のSOIウエーハの製造方
    法。
  12. 【請求項12】 前記SOI構造を形成した後、SOI
    層の一部分と支持基板の間を導通させるための連結部を
    形成する工程が、SOI層と支持基板の間に電圧を印加
    しつつ、SOI層の表面からレーザ光を照射することに
    よって、照射部の絶縁層に絶縁破壊を生じさせることに
    より形成するものであることを特徴とする請求項7又は
    請求項8に記載のSOIウエーハの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記SOI層、絶縁層、支持基板から
    なるSOI構造を形成する工程が、ベースウエーハ及び
    ボンドウエーハを用意し、該ボンドウエーハの表面に熱
    酸化により酸化膜を形成する工程と、該酸化膜が形成さ
    れたボンドウエーハに対し水素イオンまたは希ガスイオ
    ンを注入して封入層を形成する工程と、該封入層が形成
    されたボンドウエーハを前記ベースウエーハと貼り付け
    る工程と、該封入層部でボンドウエーハを剥離する工程
    とを有することを特徴とする請求項7から請求項12の
    いずれか1項に記載のSOIウエーハの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記SOI層の表面の改質及び/また
    は厚さを調整する工程が、SOI層の表面を改質するた
    めのアルゴンガス雰囲気による熱処理工程、CMP装置
    によりSOI層の表面を研磨する研磨工程、SOI層を
    犠牲酸化し薄膜化する工程のいずれか一以上の工程を有
    することを特徴とする請求項8から請求項13のいずれ
    か1項に記載のSOIウエーハの製造方法。
  15. 【請求項15】 前記請求項7ないし請求項14のいず
    れか1項に記載のSOIウエーハの製造方法により得ら
    れたSOIウエーハに半導体回路を作製することを特徴
    とする半導体デバイスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005340574A (ja) * 2004-05-28 2005-12-08 Semiconductor Leading Edge Technologies Inc 半導体基板および荷電粒子線露光方法
JP2006519504A (ja) * 2003-03-04 2006-08-24 エス.オー.アイ.テック、シリコン、オン、インシュレター、テクノロジーズ 多層ウェハのリングの予防処理方法

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