JP2003308748A - 摺動部を有する入力装置 - Google Patents
摺動部を有する入力装置Info
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Abstract
点寿命の長い摺動部を有する入力装置を提供する。 【解決手段】 基板2の表面にスクリーン印刷して形成
した電極2aと、摺動子4a,4b,4cとの間に、動
粘度が所定の範囲のシリコーンオイルからなる潤滑剤を
塗布する。電極や摺動子表面の微細な孔や凹凸にシリコ
ーンオイルが付着することで、摺動抵抗を低減でき、摺
動子と電極間の磨耗を最小にできる。よって、摺動子と
電極との間の接点寿命を延ばすことができる。
Description
接触しながら切り換えを行うスイッチやエンコーダなど
の摺動部を有する入力装置に係わり、特に摺動子と電極
間の磨耗を少なくして接点寿命を延ばすことを可能とし
た摺動部を有する入力装置に関する。
は、絶縁基板の表面に設けられた電極に、ブラシ状の摺
動子が対向しており、前記摺動子が絶縁基板および電極
の表面上を摺動して、摺動子と電極との接触が繰り返さ
れる。
た銅系金属板から所定形状に形成された電極を金型内に
セットして、金型内に絶縁性の溶融樹脂を流し込んでイ
ンサート成型したものや、絶縁性のプリント基板の表面
の銅系金属箔をエッチングしたものなどが使用されてい
る。また、摺動子は高弾性を有するりん青銅の表面に銀
メッキを施したものなどが使用される。
るときの磨耗により発生した金属粉が、前記電極と摺動
子との間の接触抵抗を大きくし、電気信号にチャタリン
グ等のノイズを発生させることがある。このため、前記
電極と摺動子との間に潤滑剤を塗布し、前記磨耗を小さ
くして金属粉の発生を抑え込むようにしているのが一般
的である。
ル、オレフィンオイルまたは鉱物油などのベースオイル
(基油)に、シリカや酸化防止剤、さらには金属石けん
などの増ちょう剤を配合したグリースなどが用いられて
いる。前記電極と摺動子との摺動により前記メッキが剥
がれて銅系金属が露出したときに、前記酸化防止剤によ
り前記銅系金属の酸化を防止し、または前記シリカによ
って銅系金属の表面の酸化膜を除去できるようにしてい
る。また前記増ちょう剤を用いることで、電極表面にグ
リースが長時間付着した状態を維持できるようにしてい
る。
って摺動子が電極表面を摺動すると、電極や摺動子の表
面、特に摺動子の表面が平坦な状態に摩耗しやすい。こ
の場合に、摺動子の平坦面と電極との間に、電極などか
らの削れ粉やシリカが挟まって、摺動子と電極との実質
的な接触面積が低下して、ノイズが発生しやすくなり、
あるいは摺動子の平坦面と電極との間に増ちょう剤が挟
まって、摺動子の摺動抵抗を増大させる、などの問題が
生じやすくなる。
ものであり、摺動子と電極の磨耗を最小にして接点寿命
を延ばすことを可能とした摺動部を有する入力装置を提
供することを目的としている。
された電極と、前記電極に接触しながら摺動する摺動子
とを有する入力装置において、前記電極と摺動子間に、
動粘度が、5×10-3m2/s以上で、且つ10×10
-3m2/s以下の範囲内のシリコーンオイルが塗布され
ていることを特徴とする摺動部を有するものである。
ンオイルを用いると、摺動子と電極との間に前記オイル
が長期に渡って残留できるようになるため、摺動子と電
極の摩耗を最小限にできるようになる。摺動子と電極の
摩耗が少ないため、前記シリコーンオイルにシリカや酸
化防止剤さらに増ちょう剤を含ませる必要がなくなる。
したがって、電極と摺動子の間にシリカや削れ粉が介在
することがなくなり、摺動子と電極との接触を良好にで
き、ノイズを低減できる。また摺動子と電極との間に増
ちょう剤が介在しなくなるため、摺動抵抗の増大も防止
できる。
存性が少なく、長時間にわたって前記のような最適な摺
動状態を維持できる。
電性樹脂組成物をスクリーン印刷し、その後に加熱硬化
したものであり、さらには、前記電極の表面が、所定の
温度で熱プレスされたものである。
m以下であることが好ましい。電極の表面粗さが前記以
下であると、摺動子が摺動したときに、電極表面の削れ
等が生じる確率を低くできる。
iメッキを施し、さらにその表面に銀メッキをしたもの
である。
ークライトまたはガラス繊維強化ポリエチレンテレフタ
レートのうちのいずれかの有機系絶縁基板である。
力装置の実施の形態としてロータリー型のエンコーダの
内部の機械的構造を示しており、Aはエンコーダの平面
図、BはエンコーダのB−B線断面図である。
のエアコンの温度や風量調整などに使用されるものであ
る。前記エンコーダはケース6に設けられた回転部と固
定部とを有しており、前記回転部には回転部材3が設け
られている。前記回転部材3の中心には、ケース6の外
方に延びる摘み部が設けられ、この摘み部を回すことで
前記回転部材3が正逆両方向へ回転できるようになって
いる。
固定されて、回転部材3と共に前記基板2が回転できる
ようになっている。前記基板2は、例えば硝子エポキシ
基板、ベークライトまたはガラス繊維強化ポリエチレン
テレフタレートなどの有機系絶縁基板で形成されてい
る。
は所定形状の電極2aが形成されている。なお、電極2
a以外の部分は、基板2の表面が露出された絶縁部2b
である。なお、図1Aでは、前記電極2aの範囲をドッ
ト模様で示している。
り、この支持部材4に3本の摺動子4a,4b,4cが
固定されている。例えば、前記支持部材4は、前記基板
2を覆うカバーとして兼用されていてもよい。
の高い板ばね材料であり、例えばりん青銅である。この
りん青銅板の表面に、ニッケル下地膜がメッキで形成さ
れており、さらにその表面に銀メッキが施されている。
前記摺動子4a,4b,4cの先端には、プレス加工に
よって略U字形状に曲げられた摺動接点4a1,4b
1,4c1が形成されている。
b,4cが基板2の表面に接触しており、回転部材3お
よび基板2が回転すると、各摺動子4a,4b,4cが
電極2aと絶縁部2b上に弾圧された状態で摺動する。
図1Aでは、前記摺動子4aの摺動軌跡をL1で示し、
摺動子4bの摺動軌跡をL2で、摺動子4cの摺動軌跡
をL3でそれぞれ示している。
動軌跡L3において常に電極2aと接触するコモン電極
となっている。また、摺動子4aと4bは、前記摺動軌
跡L2とL3において、互いに異なるタイミングで、電
極2aと絶縁部2bを交互に摺動する。したがって、コ
モンとなる前記摺動子4cと前記摺動子4aとの間でロ
ータリーエンコードが可能であり、また前記摺動子4c
と前記摺動子4bとの間で、前記と異なるタイミングの
ロータリーエンコードが可能である。
硬化性のバインダー樹脂に導電粉としての銀粉と補強材
とを混ぜ合わせた導電性樹脂組成物をスクリーン印刷
し、その後に所定の温度で焼成することにより形成され
る。なお、前記導電粉として、カーボンブラックや黒鉛
などを用いることもできる。
で4.5以下のもので、Ni粉または無機粉体、ウィス
カ(微細繊維)などである。前記補強剤の配合比率は、
導電性樹脂組成物内の固形分を100体積%としたとき
に2〜4体積%であり、好ましくは3体積%である。
乾燥後に熱プレスし、更に加熱硬化されたものが好まし
く使用される。
ンダーとし銀粉を導電粉として焼成した電極の断面を示
すものであり、それぞれ1000倍および3000倍の
SEM写真である。図2は乾燥後の熱プレス前、図3は
熱プレス後を示している。図4および図5は電極表面の
粗さの測定値を示しており、図4は熱プレス前、図5は
熱プレス後である。
加えるとプレス前に比べて電極2aの表面の粗さが低下
し平滑表面を有することがわかる。
スを加える前における電極表面の板圧方向の平均的な平
面に対する表面粗さは、中心線平均粗さで7μm程度ま
で大きいが、熱プレスを加えた後は、中心線平均粗さが
3μm以下となる。
の表面粗さを小さくできるため、電極2aと、摺動子4
a,4b,4cとの摺動抵抗を小さくでき、よって電極
2aと摺動子4a,4b,4cの磨耗量を低減させるこ
とができ、エンコーダ1の接点寿命を延ばすことが可能
となる。
aおよび絶縁部2bからなる基板2の表面との間に潤滑
剤が塗布される。
2/s(5,000cSt)から10×10-3m2/s(1
0,000cSt)の範囲内のシリコーンオイルが使用さ
れる。前記シリコーンオイルは、高粘度であり、また温
度による粘性の変化が少ない。また動粘度が前記範囲内
であると、電極2aと摺動子4a,4b,4cとの間に
前記シリコーンオイルが介在した状態を長く維持でき、
電極と摺動子との摺動抵抗を長期間にわたって低下させ
ることができる。
を含む銀インクで乾燥し、熱プレスして図5に示すよう
に、表面粗さが中心線平均粗さで3μ以下のものであ
り、摺動子4a,4b,4cが、りん青銅板の表面にN
iメッキおよび銀メッキを施したものとする。この場
合、シリコーンオイルの動粘度が前記範囲であると、シ
リコーンオイルが、電極と摺動子の表面のきわめて微細
な凹凸や細孔の内部に保持され、その位置での付着性を
維持しやすくなる。よって、電極表面と摺動子との表面
が常にシリコーンオイルで濡れた状態を維持できる。
と、電極表面が削られることが少ないものの、やはり電
極表面がわずかに削られることを避けることはできな
い。電極が前記銀インクで、摺動子が銀メッキしたりん
青銅板の場合、摺動により電極が一方的に摩耗を受けや
すい。ここで、銀インクを焼成した電極は、銀粉と補強
材およびバインダーとの複合物であるため、摺動面の全
面が均一に削られることがなく、表面に微細な凹凸が形
成される程度である。よって、この微細な凹凸によりシ
リコーンオイルの濡れ性をさらに高くできる。
い、また動粘度が前記範囲のシリコーンオイルが用いら
れると、本来電極と摺動子との摩擦係数が小さいため、
電極が大きく削られることがなく、むしろ摺動により電
極表面に適度な微細な凹凸が形成されるようになる。こ
の微細な凹凸がシリコーンオイルの濡れ性に寄与でき、
電極と摺動子との間に、常にシリコーンオイルが介在し
た状態となる。このようにシリコーンオイルが常に滞在
することにより、摺動抵抗の増大を防止でき、電極が大
きく削られるのを防止できて、削り粉が発生するのを防
止できるようになる。
であると、シリコーンオイルの流動性が良すぎて、前記
微細な凹凸に対する付着性が低下しやすい。また前記範
囲を超えると、低温時の粘性抵抗が高くなりすぎ、電極
と摺動子の間にオイルが厚く残りやすくなって、接触不
良が発生、電気的ノイズが生成されやすくなる。
て、電極と摺動子との摺動抵抗を低減できるため、電極
および摺動子が、酸化されるような大きな損傷を受けに
くい。よって酸化防止剤が不要であり、また酸化皮膜を
除去するためのシリカを含ませる必要がない。よって、
シリコーンオイルのみを潤滑剤として使用することがで
き、従来のように前記シリカや削り粉による電極表面な
どへのダメージが生じにくくなり、これによっても長期
間最適な摺動状態を維持できるようになる。
されるシリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイル
またはメチルフェニルシリコーンオイルなどである。
造した。
た。
を、補強材としてNi粉を含ませ、溶媒としてカルビト
ールを含む銀インクを基板表面にスクリーン印刷し、こ
れを175℃で15分乾燥後180℃、圧力15MPa
で1分熱プレスし、更に180℃で1時間加熱硬化し
た。電極の固形物での前記銀粉の体積率は29%で、補
強材の体積率は3%であった。またプレス後の電極表面
の中心線平均粗さは3μ以下であった。
にNiメッキと銀メッキを施したものを使用した。
4a−4c間の出力波形および、摺動子4b−4c間の
出力波形を得た。この波形は、初期状態のときと、回転
部材3を360度の角度で6万回往復回転させた後の、
双方について得た。
オイルを、電極2aおよび基板2の表面に薄く均一に塗
布した。常温(25℃)での、初期状態の出力波形を図
6Aに、6万回往復回転させた後の出力波形を図6Bに
示す。
のシリコーンオイルを、電極2aおよび基板2の表面に
薄く均一に塗布した。常温(25℃)での、初期状態の
出力波形を図7Aに、6万回往復回転させた後の出力波
形を図7Bに示す。また低温(−40℃)での初期状態
の出力波形を図10Aに示す。
のシリコーンオイルを、電極2aおよび基板2の表面に
薄く均一に塗布した。常温(25℃)での、初期状態の
出力波形を図8Aに、6万回往復回転させた後の出力波
形を図8Bに示す。
sのシリコーンオイルを、電極2aおよび基板2の表面
に薄く均一に塗布した。常温(25℃)での、初期状態
の出力波形を図9Aに、6万回往復回転させた後の出力
波形を図9Bに示す。また低温(−40℃)での初期状
態の出力波形を図10Bに示す。
なわち動粘度が1.5×10-3m2/sのシリコーンオ
イルに、腐食防止剤、金属石けんを含んだものを115
μmの厚さで塗布した。
を図11Aに、6万回往復回転させた後の出力波形を図
11Bに示す。
-3m2/s以上で、10×10-3m2/s以下のシリコー
ンオイルを用いると、6万回の往復摺動によっても出力
の劣化が生じていないことを確認できる。
間の磨耗を最小にすることができ、長期にわたって接点
部分からのノイズの発生を防止できる。また温度変化に
よる摺動性の劣化も少なく、接点の寿命を延ばすことが
できる。
ー型のエンコーダの内部の機械的構造を示し、Aはエン
コーダの平面図、BはエンコーダのB−B線断面図、
図、
図、
温での初期状態、Bは6万回の往復回転後、
温での初期状態、Bは6万回の往復回転後、
温での初期状態、Bは6万回の往復回転後、
温での初期状態、Bは6万回の往復回転後、
は実施例3、
常温での初期状態、Bは6万回の往復回転後、
Claims (6)
- 【請求項1】 基板上に印刷された電極と、前記電極に
接触しながら摺動する摺動子とを有する入力装置におい
て、 前記電極と摺動子間に、動粘度が、5×10-3m2/s
以上で、且つ10×10-3m2/s以下の範囲内のシリ
コーンオイルが塗布されていることを特徴とする摺動部
を有する入力装置。 - 【請求項2】 前記電極が、前記基板の表面に導電性樹
脂組成物をスクリーン印刷し、その後に加熱硬化したも
のである請求項1記載の摺動部を有する入力装置。 - 【請求項3】 前記電極の表面が、所定の温度で熱プレ
スされたものである請求項1または3記載の摺動部を有
する入力装置。 - 【請求項4】 電極表面の中心線平均粗さが3μm以下
である請求項3記載の摺動部を有する入力装置。 - 【請求項5】 前記摺動子が、りん青銅の表面にNiメ
ッキを施し、さらにその表面に銀メッキをしたものであ
る請求項1ないし4のいずれかに記載の摺動部を有する
入力装置。 - 【請求項6】 前記基板が、硝子エポキシ基板、ベーク
ライトまたはガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレー
トのうちのいずれかの有機系絶縁基板である請求項1な
いし5のいずれかに記載の摺動部を有する入力装置。
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