JP3856594B2 - スイッチ基板及びそのスイッチ基板を用いたエンコーダ - Google Patents

スイッチ基板及びそのスイッチ基板を用いたエンコーダ Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンコーダに用いられ、オン信号とオフ信号を繰り返し出力するパルススイッチのスイッチ基板、特にスイッチ基板の摺動子と摺接する表面の材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンコーダに用いられていたスイッチ基板は、表面に樹脂バインダー中に導電粒子を分散させた導電性塗膜と樹脂塗膜とを有し、金属からなる摺動子が導電性塗膜と接触したときに、オン信号が出力されるようになっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし従来のスイッチ基板では、金属からなる摺動子が導電性塗膜を削りとり、導電粒子を含有する樹脂の削れ粉が生じる。さらに削れ粉と摺動子との摩擦が繰り返されることにより、削れ粉中の導電粒子が脱落して削れ粉の樹脂成分が摺動子に付着して、摺動子に付着した樹脂(サードボディ)が、摺動子と導電性塗膜との接触不良を起こす原因となる問題があった。また、摺動子により削り取られた樹脂がそのまま摺動子に付着して、摺動子と導電性塗膜との接触不良を起こす原因となる問題もあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のスイッチ基板は、金属からなる摺動子と接触することによりオン、オフ信号が出力されるオン領域とオフ領域を有し、前記オン領域とオフ領域の両方が、樹脂を加熱処理により炭素化した炭素材からなり、前記オン領域の炭素材の比抵抗と前記オフ領域の炭素材の比抵抗とをそれぞれ異ならせた。
このため、前記摺動子が樹脂と接触しなければ前記摺動子に樹脂が付着することはなく、樹脂が前記オン領域と前記摺動子の間に介在することによる接触不良は起こらないので、信頼性の高いスイッチを提供することができる。
また、前記オン領域と前記オフ領域は硬度差が少なく、前記摺動子の摺接により均一に摩耗されるので、前記オン、オフ領域の境界に段差を生じない。前記オン、オフ領域の境界に段差があると、段差を通過する前記摺動子に加わるショックによって信号に乱れ(チャタリング)が生じる場合があるが、段差がないのでチャタリングのない信頼性の高いスイッチ基板を提供することができる。
また、オン信号とオフ信号の出力差の大きい信頼性の高いスイッチ基板を提供することができる。
【0005】
前記加熱処理は不活性ガス雰囲気中で500乃至850℃の温度で行うので、オン、オフ領域の材料とする樹脂を大きく収縮させることなく炭素化させることができる。前記オンあるいはオフ領域のパターンに形成した樹脂パターンは収縮により変形することなく炭素材となるから、パターン精度の高いスイッチ基板を提供することができる。また前記オンあるいはオフ領域の材料とする樹脂が基板や金属板等と接触している場合、樹脂の収縮により前記基板や前記金属板を変形させることや、樹脂が前記基板や前記金属板等から剥がれることがない。
【0008】
また、前記オン領域を構成する前記炭素材は導電粒子を含有するので、前記オン領域の比抵抗が下がり、オン信号とオフ信号の出力差がさらに大きい信頼性の高いスイッチ基板を提供することができる。
【0009】
前記導電粒子の樹脂中で占める割合は1乃至7.5体積%であるので、樹脂中に導電粒子を均一に分散させることができ、加熱処理中の樹脂の収縮による膨れ等の変形を生じたり、樹脂が前記基板から剥がれることがない。
【0010】
前記オフ領域の前記炭素材は絶縁粒子を含有するので比抵抗が上がり、オン信号とオフ信号の出力差がさらに大きい信頼性の高いスイッチ基板を提供することができる。
【0011】
前記絶縁粒子の樹脂中で占める割合は1乃至7.5体積%であるので、樹脂中に絶縁粒子を均一に分散させることができ、加熱処理中の樹脂の収縮によっても樹脂の変形が生じたり、樹脂が前記基板から剥がれることがない。
【0012】
本発明のスイッチ基板は、前記オン領域の前記炭素材は熱硬化性樹脂の一部を熱可塑性樹脂に置き換えたブレンド樹脂、前記オフ領域の前記炭素材は熱硬化性樹脂を材料としているので、前記オン及びオフ領域のパターンに形成された樹脂のパターンは溶融により変形することなく炭素化するので、パターン精度の高いスイッチ基板を提供することができる。しかも、オン領域の材料とするブレンド樹脂は熱可塑性樹脂の分子構造変化による比抵抗の低下が起こりやすいので、オン信号とオフ信号の出力差が大きい信頼性の高いスイッチ基板を提供することができる。
【0013】
また、本発明のスイッチ基板は、前記炭素材からなる基板部に前記オン領域の形状の金属板が埋設されており、前記オン領域は金属板の上に形成された前記炭素材から構成されている。摺動子はオン領域で炭素材を介して金属板と接続するので摩耗の少ない長寿命のスイッチ基板を提供することができ、また、前記金属板は前記オン領域の材料となる樹脂に覆われた状態で加熱処理されるから加熱によって樹脂から発生するガスが金属板を汚すことがない。
【0014】
本発明のスイッチ基板は、前記炭素材からなる基板部に前記オン領域の形状の金属板が埋設されており、前記金属板の上に形成されて前記オン領域を構成する前記炭素材の比抵抗は前記基板部の前記オフ領域を構成する前記炭素材の比抵抗よりも低いので、オン信号とオフ信号の出力差が大きい信頼性の高いスイッチ基板を提供することができる。
【0015】
本発明のスイッチ基板は、前記金属板の上に形成されて前記オン領域を構成する前記炭素材が前記金属板を覆う熱可塑性樹脂皮膜を炭素化したものである。熱硬化性樹脂は加熱により溶融するので、加熱処理中に前記金属板に与えるストレスが少なく前記金属板が変形することがない。また、前記オン領域は熱可塑性樹脂が炭素化した比抵抗の低い炭素材であるから、オン信号とオフ信号の出力差が大きい信頼性の高いスイッチ基板を提供することができる。
【0017】
本発明のスイッチ基板は、前記基板部を構成する前記炭素材が導電粒子を含有しているので、前記オン領域を構成する前記金属板上の炭素材の比抵抗が下がり、前記摺動子と前記金属板との接触抵抗を低下させることができる。
【0018】
前記導電粒子の樹脂中で占める割合は1乃至7.5体積%であるので、樹脂中に導電粒子を均一に分散させることができ、加熱処理中の樹脂の収縮によっても樹脂が膨らんだり、樹脂が前記金属板から剥がれることがない。
【0019】
本発明のエンコーダには、前記スイッチ基板のうちのいずれかを用いたので、信頼性が高く、長寿命である。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1及び図2に示すように本発明のスイッチ基板1は円形の平板状であり、スイッチ基板1の炭素材からなる表面1aには、円周に設けられた櫛歯状の第一の領域1bと、第一の領域1bに挟まれた第二の領域1cと、第一の領域1bと一体であるリング状のコモン領域1dとを有している。
【0021】
そして、このようなスイッチ基板1は図2に示すようなエンコーダに用いられる。エンコーダには、第一、第二の端子部2a、2bとコモン端子部2cが固定して取り付けられており、第一、第二の端子部2a、2bは金属からなる第一、第二の摺動子3a、3bと接続しており、コモン端子部2cはコモン摺動子3cと接続している。スイッチ基板1が回転すると、第一、第二の摺動子はそれぞれスイッチ基板1の第一の領域1bと第二の領域1cに交互に接続し、コモン摺動子2cは常にコモン領域1dと摺接する。
【0022】
このとき、スイッチ基板1の第一の領域1bは、第一の摺動子3aあるいは第二の摺動子3bと接続したときに第一の端子部2a、あるいは第二の端子部2bからからオン信号が出力されるオン領域であり、一方、スイッチ基板1の第二の領域1cは、第一の摺動子3aあるいは第二の摺動子3bと接続したときに第一の端子部2a、あるいは第二の端子部2bからからオフ信号が出力されるオフ領域である。
【0023】
このようなエンコーダでは、第一端子部2a出力とコモン端子部2c出力差分のA相パルス信号、第二端子部2b出力とコモン端子部2c出力差分のB相パルス信号、及びA相パルス信号とB相パルス信号の差信号より、スイッチ基板1の回転の状態を検知するようになっている。
【0024】
金属からなる摺動子4と摺接するスイッチ基板1の表面1aは、樹脂を炭素化した硬い炭素材からなるので削れにくく、また、たとえ削れたとしても炭素材は表面張力が低いので摺動子4に付着することがない。
【0025】
以下、本発明の第一から第四の実施の形態を説明する。なお、第一から第四の実施の形態のスイッチ基板の平面図は図1を共通に用いる。
【0026】
図3は図1を本発明の第一の実施としたときの点線での断面図である。図3に示すように、本発明の第一の実施の形態のスイッチ基板はオン領域とオフ領域がそれぞれ比抵抗の異なる2種類の第一、第二の炭素材膜4、5から構成され、第一、第二の炭素材膜4、5はアルミナ、ステンレス、黄銅等からなる耐熱基板6表面にパターニングされている。
【0027】
本発明の第一の実施の形態のスイッチ基板の製造方法は、図4に示すように、耐熱基板6の表面にスクリーン印刷、あるいはフォトリソグラフィー等によりオン領域形状の第一の樹脂パターン7とオフ領域のパターン形状の第二の樹脂パターン8をそれぞれ形成して、炭素化のための加熱処理をアルゴン、窒素等の不活性雰囲気中で行うものである。
【0028】
このとき、スイッチ基板1のそれぞれオン、オフ領域の形状に形成された第一、第二の樹脂パターン7、8は、加熱処理前の初期パターン精度を保持するため、加熱によっても溶融せずに固相のまま炭素化して、オン領域、オフ領域とする第一、第二の炭素材膜4、5となることが必要である。例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性樹脂およびこれらの混合体、またはキシレン変性フェノール樹脂やフェノール変性フラン樹脂等の変性樹脂、あるいは前記熱硬化性樹脂の一部を熱可塑性のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、キシレン樹脂、メシチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ケトン樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂等に置き換えたものをオン領域あるいはオフ領域の材料として使用することができる。
【0029】
上記のような樹脂は加熱により熱分解されて炭素化し、さらに分子構造が変化してミクログラファイト構造が形成されることにより比抵抗の低下が起こる。図5のグラフにポリイミド樹脂とフェノール樹脂の比抵抗低下の加熱処理温度依存性を示す。
【0030】
加熱処理温度は、低すぎるとオン、オフ領域の材料とする樹脂の炭素化及びオン領域の比抵抗の低下が不十分であり、高すぎるとオン、オフ領域の材料とする樹脂の収縮が進んで、耐熱基板との密着性が維持できなくなる。よって、前記のような樹脂をオン、オフ領域の構成材料とした場合、500乃至850℃、好ましくは660乃至750℃が最適である。
【0031】
樹脂の分子構造の変化、ミクログラファイトの形成のしやすさは樹脂の分子構造により異なるので、同一加熱処理条件でも樹脂の種類により炭素化後の比抵抗は異なる。例えば、熱硬化性樹脂のフェノール樹脂とフラン樹脂を窒素雰囲気中720℃で一時間加熱すると、炭素化したフェノール樹脂、フラン樹脂の比抵抗はそれぞれ約7.0Ω・cm、約1.5Ω・cmであった。
【0032】
また、分子構造の変化は、熱硬化性樹脂の三次元的に架橋している分子構造よりも熱可塑性樹脂の直鎖状の分子構造で起こりやすい。一般的に同条件で炭素化した熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂よりも高い比抵抗値をもつ。また、熱硬化性樹脂の一部を熱可塑性樹脂に置き換えて、分子構造の変化し易いブレンド樹脂を合成することができる。
【0033】
よって、オフ領域の材料には熱硬化性樹脂、オン領域の材料にはブレンド樹脂を用いることができる。例えば、熱硬化性樹脂のフェノール樹脂と、フェノール樹脂の50%をメシチレン樹脂に置き換えたブレンド樹脂を窒素雰囲気中660℃で一時間加熱すると、炭素化したフェノール樹脂、ブレンド樹脂の比抵抗はそれぞれ、1.3×104Ω・cm、2.5×103Ω・cmであった。
【0034】
炭素化したブレンド樹脂の比抵抗は、熱硬化性樹脂中の熱可塑性樹脂の割合を増すほど低くなるが、熱可塑性樹脂が50%を越えると、加熱処理での熱可塑性樹脂の液相炭化が顕著になるので適さない。
【0035】
ただし、熱可塑性樹脂であっても、ポリイミド樹脂のように融点よりも分解温度のほうが低ければ熱硬化性樹脂とブレンドすることなく単独で用いることが出来る。また、ポリイミド樹脂は耐熱性に優れているので高温まで分子構造の変化がなく、オフ領域の材料として使用することができる。
【0036】
例えば、ポリイミド樹脂と熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂を窒素雰囲気中660℃で一時間加熱すると、炭素化したポリイミド樹脂、フェノール樹脂の比抵抗はそれぞれ、105Ω・cm台、104Ω・cm台であり、ポリイミド樹脂とキシレン変性フェノール樹脂を窒素雰囲気中720℃で一時間加熱すると、炭素化したポリイミド樹脂、キシレン変性フェノール樹脂の比抵抗はそれぞれ、約19Ω・cmと約2Ω・cmと十倍近く異なるので、ポリイミド樹脂をオフ領域の材料、フェノール樹脂あるいはキシレン変性フェノール樹脂をオン領域の材料とすることができる。
【0037】
オン領域とオフ領域の比抵抗差拡大のために、オン領域に導電粒子を含有する炭素材を用いても良い。導電粒子は、Au、Ag、Cu、Ni、Pd、Ti、Sn等の金属粒子やグラファイト、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンビーズ、グラファイトフィブリルズ等炭素系の粒子を用いることができる。
【0038】
また、オン領域とオフ領域の比抵抗差拡大のために、オフ領域に絶縁粒子を含有する炭素材を用いても良い。絶縁粒子には、シリカ、ガラス、グラスファイバー、クレイ、アエロジル、アルミナ、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミウィスカー、ボロンナイトライド、酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0039】
また、オン領域とオフ領域の材料とする樹脂は同一として、オン領域には導電粒子、及び/または、オフ領域には絶縁粒子を分散させても良い。
【0040】
オン領域の材料として、例えばフェノール変性樹脂に導電粒子であるカーボンブラックを分散させた場合、図6のグラフで示すように、同一加熱処理条件下ではカーボンブラックの含有率が多いほど炭素化後の比抵抗は低減する。
【0041】
上記のようにオン、オフ領域構成材料に粒子を分散させる場合、樹脂膜を形成したときの粒子の樹脂膜に占める割合が10体積%以下、好ましくは1乃至7.5体積%が望ましい。10体積%を越えると樹脂膜中で粒子個々が完全にばらばらにはならず、粒子間に部分的な接触が生じる。このため、加熱処理中の樹脂の収縮による歪みが特定の粒子に集中して樹脂膜の膨れや耐熱基板からの剥がれが生じる。
【0042】
樹脂膜を形成したときの粒子の樹脂膜に占める割合が1乃至7.5体積%では、樹脂膜の膨れや剥がれが起こりにくく、オン、オフ領域構成材料の樹脂の種類や粒子の種類、膜厚、加熱処理条件等を比較的幅広く選択することができる。また、粒子の粒径は、60μm以下の微小粉が適しており、好ましくは5μm以下が良い。60μm以上であると、スクリーン印刷の際に溶剤に溶かした樹脂中で導電粒子の沈降現象がおきてスクリーン印刷適性の劣化が生じるが、5μm以下であればスクリーン印刷適性を良好に保つことができる。
【0043】
なお、加熱処理時の樹脂の収縮によりスイッチ基板1の摺動子が摺接する表面1aに微小な凹凸が生じた場合、この凹凸がスイッチ基板1aの性能に影響を及ぼすときには、加熱処理後に表面1aを研磨して平滑にすることができる。
【0044】
また、本発明の第一の実施の形態の別の製造方法として、金属基板上にオン、オフ領域とする第一、第二の樹脂パターンを形成して、炭素化後の第一、第二の樹脂パターンの表面にガラス布エポキシ積層板などを接着し、金属基板をエッチングして金属基板表面に接していた平滑な面をスイッチ基板1の摺動子と摺接する表面1aとする方法もある。
【0045】
次に、本発明のスイッチ基板の第二の実施の形態を説明する。図7は、図1を本発明の第二の実施としたときの点線での断面図である。図7に示すように耐熱基板6の上面には炭素材塗膜9が形成されており、炭素材塗膜9の上面にはオフ領域の形状に打ち抜かれたフィルム状炭素材10が表面が露出した状態で埋め込まれている。オフ領域となるフィルム状炭素材10はポリイミド樹脂あるいはアラミド樹脂等のフィルムを炭素化したものであり、炭素材塗膜9は、前記第一の実施の形態のオン領域に用いた炭素材からなる。よって、炭素材塗膜9の比抵抗はフィルム状炭素材10よりも低く、スイッチ基板1の表面1aに露出した炭素材塗膜9がオン領域となる。
【0046】
第二の実施の形態のスイッチ基板の製造方法は、図8に示すように第一の実施の形態で用いたようなオン領域の材料で樹脂塗膜11を形成し、オフ領域の形状に打ち抜いたポリイミド樹脂あるいはアラミド樹脂からなる樹脂フィルム12を、図9のように樹脂塗膜11の表面に載置して加熱圧着を行う。このとき、オフ領域の形状に打ち抜いた樹脂フィルム12の表面全体が樹脂塗膜11の表面から露出した状態で、樹脂塗膜11の表面と面一の状態となっている。加熱圧着の後、第一の実施の形態と同様な加熱処理を行い樹脂塗膜11と樹脂フィルム12を炭素化する。
【0047】
樹脂塗膜11および樹脂フィルム12の加熱処理温度は、第一の実施の形態と同様の理由で500乃至850℃、好ましくは660乃至750℃が適正である。
【0048】
第二の実施の形態の具体的な例として、図8のように、アルミナ基板上にオン領域の材料とするフェノール変性フラン樹脂をスクリーン印刷により15μmの厚さの樹脂塗膜11に形成する。そして、図9のようにオフ領域の形状に打ち抜いた厚さ6μmのアラミド樹脂フィルム12を樹脂塗膜11の表面に載置して、130℃程度に加熱しながら圧着する。そして、窒素雰囲気中で660℃の加熱処理を行うと、炭素化したフェノール変性フラン樹脂と炭素化したアラミド樹脂フィルムの比抵抗は、それぞれ約600Ω・cm、1×105Ω・cmであった。
【0049】
第二の実施の形態の具体的なもう一つの例として、アルミナ基板上に、オン領域の材料とするカーボンブラックを5体積%含有したフェノール変性フラン樹脂をスクリーン印刷を繰り返すことにより、図8のような約60μm厚さの樹脂塗膜11に形成する。そして、図9のようにオフ領域の形状に打ち抜いた厚さ25μmのポリイミド樹脂フィルム12をフェノール変性フラン樹脂塗膜11の表面に載置して、130℃程度に加熱しながら圧着する。そして、窒素雰囲気中で720℃の加熱処理を行うと、炭素化したフェノール変性フランと炭素化したポリイミド樹脂フィルムの比抵抗は、それぞれ約0.24Ω・cm、約25Ω・cmであった。
【0050】
第二の実施の形態のスイッチ基板1の表面1aには加熱処理時の樹脂の収縮により微小な凹凸が生じる場合がある。この凹凸がスイッチ基板1の性能に影響を及ぼすときは、炭素化加熱処理後に表面1aを研磨して平滑することができる。
【0051】
次に、本発明のスイッチ基板の第三の実施の形態を説明する。図10は、図1を本発明の第三の実施の形態としたときの点線での断面図である。本発明の第三の実施の形態のスイッチ基板1は、炭素材からなる円形の平板状の基板部13に、オン領域のパターン形状に打ち抜かれた平板状の金属板14が埋設されている。このとき、スイッチ基板1の摺動子と摺接する表面1aは金属板と平行な平面であり、金属板から表面1aまでには約10μmの炭素材が介在している。そして、摺動子が基板部13の炭素材を介して金属板14と接続する領域がオン領域となり、摺接面の下部に金属板14のない基板部13の領域がオフ領域となる。
【0052】
第三の実施の形態のスイッチ基板の製造方法は、図11に示すように、オン領域のパターン形状に打ち抜かれた金属板14を第一の実施の形態で挙げたような熱硬化性樹脂にカーボンブラック等の導電粒子を分散させた成形材15に埋設させた状態にインサート成形する。このとき、成形材15中の導電粒子含有率は、第一の実施の形態で示した理由により10体積%以下、好ましくは1乃至7.5体積%が良い。
【0053】
図11のようにインサート成形の後、不活性ガス雰囲気中で加熱処理を行うが、成形材15の厚み中央に金属板14を設置してインサート成形しておくことにより加熱処理時に金属板14は成形材15の収縮によるストレスを受けにくく、歪みにくい。ただし、加熱処理温度が高すぎると成形材15の収縮が大きく、金属板14に歪みが生じる。一方、加熱処理温度が低すぎると成形材15の炭素化と比抵抗の低下が不十分であるので、500乃至850℃、好ましくは660乃至750℃が最適である。
【0054】
金属板14からスイッチ基板1の摺動子と摺接する表面1aまでに介在する炭素材の厚さを薄くして摺動子と金属板14の接触抵抗を低下させる場合には、加熱処理後の基板部13の表面を研磨してもよい。
【0055】
図12は図1を本発明の第四の実施としたときの点線での断面図である。第一の実施の形態でオフ領域に用いた炭素材からなり、円形の平板状である基板部16と、オン領域の形状に打ち抜かれた金属板17と、金属板17の表面を覆い、熱可塑性樹脂を炭素化した炭素材皮膜18とを有している。金属板17は基板部16に埋設されて、スイッチ基板1の表面1aにおいて炭素材皮膜18が基板部16から面一の状態で露出している。
【0056】
スイッチ基板1の表面1aで、摺動子が炭素材膜18を介して金属板14と接続する領域がオン領域となり、摺接面の下部に金属板14のない基板部13の領域がオフ領域となる。オン領域において、摺動子は炭素材皮膜18を介して金属板17と接続するので、金属板17と摺動子との接触抵抗を考慮すると炭素材皮膜18の厚さは5μm以下が良い。
【0057】
次に図13から15を用いて第四の実施の形態のスイッチ基板の製造方法を説明する。まず図13のように金属板17をオン領域のパターンに打ち抜き、そして、熱可塑性樹脂を溶剤に溶かし、スプレーまたはディッピングにより、図14のように、金属板17の表面に樹脂皮膜19を形成する。このときの樹脂皮膜19厚さは10μm以下が良い。次に、窒素など不活性雰囲気中で第一回目の加熱処理を行い樹脂皮膜19を炭素化し、炭素材皮膜18を形成する。
【0058】
加熱処理の際、熱可塑性樹脂からなる樹脂皮膜は溶融してから炭素化するので、金属板17は樹脂の収縮によるストレスを受けにくく、歪みにくい。しかし、加熱処理温度が高すぎると、樹脂皮膜19の収縮が進み金属板17との密着性が悪くなる。一方、温度が低すぎると、オン領域とする炭素材皮膜18の比抵抗の低下が不十分であるから適正温度は500乃至850℃、好ましくは660乃至750℃である。
【0059】
次に第一の実施の形態で用いたようなオフ領域の材料を基板部樹脂材料20とし、図15のように、金属板17の炭素材皮膜18に覆われた表面が基板部樹脂材料20から露出するようにインサート成形を行い、第二回目の加熱処理により基板部樹脂材料20を炭素化する。第二回目の加熱処理温度は前記第三の実施の形態と同様の理由により、500乃至850℃、好ましくは660乃至750℃が最適である。
【0060】
第四の実施の形態ではオン領域を構成する炭素材皮膜18の材料を熱可塑性樹脂としたので、第一から第三の実施の形態に比較してオン領域の比抵抗は低くなるが、さらにオン領域とオフ領域の比抵抗差拡大のために、炭素材皮膜18に第一の実施の形態で挙げたような導電粒子、及び/または、基板部16に第一の実施の形態で挙げたような絶縁粒子を分散させてもよい。また、樹脂被覆19を金属板17にフィルム状の樹脂を貼り付けることにより形成しても良い。
【0061】
なお、第一から第四の実施の形態ではオン領域とオフ領域の両方を炭素材で構成したが、絶縁基板の上に炭素材をオン領域のパターンに形成したスイッチ基板や、炭素材からなる基板部にオン領域の形状に打ち抜いた金属板の表面を露出させた状態で埋め込んだスイッチ基板でも効果を奏することができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明のスイッチ基板は、金属からなる摺動子が摺接したときにそれぞれオン、オフ信号を出力するオン領域とオフ領域とを有し、オン領域とオフ領域のいずれ樹脂を炭素化して、摺動子と接触する樹脂をなくしたので、樹脂による摺動子とオン領域の接触不良がない信頼性の高いスイッチ基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスイッチ基板の平面図。
【図2】本発明のエンコーダの平面図。
【図3】本発明の第一の実施の形態のスイッチ基板の断面図。
【図4】本発明の第一の実施の形態のスイッチ基板の製造方法の説明図。
【図5】樹脂の加熱処理による比抵抗の低下を示すグラフ。
【図6】導電粒子を含む樹脂の加熱処理による比抵抗の低下を示すグラフ。
【図7】本発明の第二の実施の形態のスイッチ基板の断面図。
【図8】本発明の第二の実施の形態のスイッチ基板の製造方法の説明図。
【図9】本発明の第二の実施の形態のスイッチ基板の製造方法の説明図。
【図10】本発明の第三の実施の形態のスイッチ基板の断面図。
【図11】本発明の第三の実施の形態のスイッチ基板の製造方法の説明図。
【図12】本発明の第四の実施の形態のスイッチ基板の断面図。
【図13】本発明の第四の実施の形態のスイッチ基板の製造方法の説明図。
【図14】本発明の第四の実施の形態のスイッチ基板の製造方法の説明図。
【図15】本発明の第四の実施の形態のスイッチ基板の製造方法の説明図。
【符号の説明】
1 スイッチ基板
1a 表面
1b 第一の領域
1c 第二の領域
1d コモン領域
2a 第一の端子部
2b 第二の端子部
2c コモン端子部
3a 第一の摺動子
3b 第二の摺動子
3c コモン摺動子
4 第一の炭素材パターン
5 第二の炭素材パターン
6 耐熱基板
7 第一の樹脂パターン
8 第二の樹脂パターン
9 炭素材塗膜
10 フィルム状の炭素材
11 樹脂塗膜
12 樹脂フィルム
13 基板部
14 金属板
15 成形材
16 基板部
17 金属板
18 炭素材皮膜
19 樹脂皮膜
20 基板部樹脂材料

Claims (12)

  1. 金属からなる摺動子と接触することによりオン、オフ信号が出力されるオン領域とオフ領域を有し、前記オン領域とオフ領域の両方が、樹脂を加熱処理により炭素化した炭素材からなり、前記オン領域の炭素材の比抵抗と前記オフ領域の炭素材の比抵抗とをそれぞれ異ならせたことを特徴とするスイッチ基板。
  2. 前記加熱処理は不活性ガス雰囲気中で500乃至850℃の温度で行うことを特徴とする請求項1記載のスイッチ基板。
  3. 前記オン領域の前記炭素材は導電粒子を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチ基板。
  4. 前記導電粒子の炭素化される前記樹脂中に占める割合は1乃至7.5体積%であることを特徴とする請求項3に記載のスイッチ基板。
  5. 前記オフ領域の前記炭素材は絶縁粒子を含有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のスイッチ基板。
  6. 前記絶縁粒子の炭素化される前記樹脂中に占める割合は1乃至7.5体積%であることを特徴とする請求項5に記載のスイッチ基板。
  7. 前記オン領域の前記炭素材は熱硬化性樹脂の一部を熱可塑性樹脂に置き換えたブレンド樹脂、前記オフ領域の前記炭素材は熱硬化性樹脂を材料としていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のスイッチ基板。
  8. 前記炭素材からなる基板部には、前記オン領域の形状の金属板が埋設されており、前記金属板上の前記炭素材が前記オン領域となることを特徴とする請求項に記載のスイッチ基板。
  9. 前記オン領域の前記炭素材は前記金属板を覆う熱可塑性樹脂皮膜、前記オフ領域の前記炭素材は熱硬化性樹脂を材料としていることを特徴とする請求項8に記載のスイッチ基板。
  10. 前記炭素材は、導電粒子を含有していることを特徴とする請求項に記載のスイッチ基板。
  11. 前記導電粒子の炭素化される前記樹脂中に占める割合は1乃至7.5体積%であることを特徴とする請求項10記載のスイッチ基板。
  12. 前記請求項1乃至11のいずれかのスイッチ基板を用いたエンコーダ。
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