JP2003306475A - 光学活性化合物の製法 - Google Patents

光学活性化合物の製法

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 抗菌薬の製造中間体として有用な光学活性な
化合物に関し、簡便な選択的製造方法を提供する。 【構成】 下記の工程にしたがい製造する。式(I) 【化1】 (式中、R:置換基を有していてもよい、アルキル
基、環状アルキル基、アリール基、アラルキル基)で表
される化合物と、式(II) 【化2】 HN− (II) (式中、は、単一の立体異性のアミノ基の保護基
を表す。)で表される化合物またはその塩と、シアノ化
剤とを反応させて、得られる式(III) 【化3】 で表されるジアステレオマーのうちの、一方のジアステ
レオマーを固形物として析出させて得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、他のエナンチオマー
(あるいはジアステレオマー)を含まない二置換のアミ
ノ置換(あるいは置換アミノ置換)−置換アセトニトリ
ル化合物の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】アセトニトリルのメチル基上に、アミノ
基とアミノ基以外の基を有する二置換のアセトニトリル
は、このメチル炭素原子が不斉炭素となり対掌体関係の
異性体が存在する(以下、本明細書においては2−置換
−2−アミノエタンニトリルとも称する。)。この様な
アセトニトリル化合物は生理活性物質の製造原料・中間
体として有用である。しかしながら生理活性物質は光学
活性な化合物であることが多く、製造中間体も光学活性
体が必要とされるところ、は2−置換−2−アミノエタ
ンニトリル化合物が製造中間体として採用できても、従
来の製造方法によって一方の対掌体化合物(あるいは単
一のジアステレオマー)のみを選択的に、かつ簡便に得
ることは困難であった(特表2000−512290号
公報;Taylor、Neil R. WO20010
16300)。
【0003】例えば、2−置換−2−アミノエタンニト
リル化合物をキラルな化合物を使用して光学分割する方
法では対掌体化合物は最大でも50%の収率でしか得ら
れない。残りの50%の対掌体は対掌体的には不純物で
しかなく、立体の変換を行わなくては製造中間体として
は使用できない。また、2−置換−2−アミノエタンニ
トリル化合物はストレッカー反応によって製造できるも
のの、キラルアミンを補助基として使用したジアステレ
オ選択的なストレッカー反応では選択性が低く、単一の
異性体を十分な収率で得ることは困難であった(Ogu
ra K. J.Org.Chem. 1991,5
6,1274−1279)。さらにキラルな触媒の存在
下に不斉ストレッカー反応を実施することも行われた
が、キラル触媒が高価であり工業的製法には不向きであ
る(Larry Y. Angew.Chem.In
t.Ed. 2001,40,875−877)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本願発明の目的は、生
理活性物質の製造中間体として有用である、光学活性な
2−置換−2−アミノエタンニトリル化合物に関し、対
掌体的に純粋な対掌体化合物、あるいはジアステレオマ
ー的に純粋なジアステレオマー、を簡便かつ高光学純度
で製造する方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは鋭意研究
した結果、単一のキラリティーの光学活性な置換基を有
するアミン化合物を使用して(すなわち、単一の光学異
性体からなるアミン化合物である。)ストレッカー反応
を実施すると、生成物は2種のジアステレオマーの混合
物からなる2−置換−2−アミノエタンニトリル化合物
となるが、この混合物から一方のジアステレオマーが析
出して固形物として容易に得られることを見出した。ま
た、ストレッカー反応の生成物が油状等であって固状で
はない場合でも、酸を添加する等して酸付加塩を形成さ
せることで固形物として析出させることができることを
見出した。さらに、一方のジアステレオマーが固形物と
して反応混合物から析出するためにジアステレオマー間
の平衡がずれ、析出した方のジアステレオマーが生成す
る方向に平衡が変化し、その結果このジアステレオマー
がさらに析出することも見出し、理論上、ほぼ定量的に
一方のジアステレオマーを、純度よく得ることができる
ことを見出した。そして、この方法を、単一の立体性を
有する保護基を持ったアミン化合物を用いて実施するこ
とで無置換のアミノ基を有する2−置換−2−アミノエ
タンニトリル化合物が簡便に光学純度よく得られること
を見出した。本願発明はこれらの知見によって完成され
たものである。
【0006】すなわち本願発明は、式(I)
【0007】
【化7】 (式中、Rは、炭素数1から8のアルキル基、炭素数
3から8の環状アルキル基、炭素数6から10のアリー
ル基、または炭素数6から10のアリール基と炭素数1
から6のアルキル基とで構成されるアラルキル基を意味
するが、これらの基は、カルボアルデヒド基、ニトロ
基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、炭素数1から6
のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数
1から6のアルキルチオ基および炭素数2から7のアル
コキシカルボニル基からなる群の基から選ばれる1種以
上の基を1以上有していてもよい。)で表される化合物
と、式(II)
【0008】
【化8】 HN− (II) (式中、は、単一のキラリティーの光学活性な置
換基を表す。)で表される化合物またはその塩と、シア
ノ化剤とを反応させて、得られる式(III)
【0009】
【化9】 で表されるジアステレオマー混合物のうちの、一方のジ
アステレオマーまたはその塩を、固形の単一物としてと
して析出させることを特徴とする、式(A)
【化10】 (式中、Rおよびは、先に定義された通りであ
る。)で表される化合物若しくはその塩、または、式
(B)
【化11】 (式中、Rおよびは、先に定義された通りであ
る。)で表される化合物若しくはその塩の製法。に関す
るものである。
【0010】さらに本願発明は、が、単一のキラリティーの光学活性なアミノ基の
保護基である上記の製法;が、式
【0011】
【化12】 [式中、R、RおよびRは各々同一ではなく、フ
ェニル基、ベンジル基、ナフチル基、炭素数1から6の
アルキル基(これらの基の芳香環あるいはアルキル基
は、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1から4のアルキ
ル基および炭素数1から4のアルコキシ基からなる群の
基から選ばれる1種類以上の基1個以上を置換基として
有していてもよい。)、または水素原子を表す。]で表
される置換基である上記の製法;式中、R、Rおよ
びRが、フェニル基、炭素数1から6のアルキル基
(これらの芳香環あるいはアルキル基は、ハロゲン原
子、ニトロ基、炭素数1から4のアルキル基および炭素
数1から4のアルコキシ基からなる群の基から選ばれる
1種類以上の基1個以上を置換基として有していてもよ
い。)、または水素原子である上記の製法;が、(R)−または(S)−配置の、1−フェニ
ルエチル基、1−フェニルプロピル基、1−フェニル−
2−(p−トリル)エチル基、1−(1−ナフチル)エ
チル基、1−(4−メトキシフェニル)エチル基、1−
(4−クロロフェニル)エチル基、1−(4−ニトロフ
ェニル)エチル基、1−(2,4−ジクロロフェニル)
エチル基、1−(2,4−ジニトロフェニル)エチル
基、1−(3,5−ジクロロフェニル)エチル基、2−
ヒドロキシ−1−フェニルエチル基および1−(3,5
−ジニトロフェニル)エチル基からなる群の基から選ば
れる基である上記の製法;が、(S)−1−フェニルエチルアミノ基である
上記の製法;Rにおける炭素数6から10のアリール
基が、フェニル基またはナフチル基(これらは、カルボ
アルデヒド基、ニトロ基、ハロゲン原子、水酸基、シア
ノ基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6の
アルコキシ基、炭素数1から6のアルキルチオ基および
炭素数2から7のアルコキシカルボニル基からなる群の
基から選ばれる1種以上の基を1以上有していてもよ
い。)である上記の製法;Rがフェニル基(これは、
カルボアルデヒド基、ニトロ基、ハロゲン原子、水酸
基、シアノ基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1
から6のアルコキシ基、炭素数1から6のアルキルチオ
基および炭素数2から7のアルコキシカルボニル基から
なる群の基から選ばれる1種以上の基を1以上有してい
てもよい。)である上記の製法;Rがナフチル基(こ
れは、カルボアルデヒド基、ニトロ基、ハロゲン原子、
水酸基、シアノ基、炭素数1から6のアルキル基、炭素
数1から6のアルコキシ基、炭素数1から6のアルキル
チオ基および炭素数2から7のアルコキシカルボニル基
からなる群の基から選ばれる1種以上の基を1以上有し
ていてもよい。)である上記の製法;Rが、炭素数3
から8の環状アルキル基(これは、カルボアルデヒド
基、ニトロ基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、炭素
数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ
基、炭素数1から6のアルキルチオ基および炭素数2か
ら7のアルコキシカルボニル基からなる群の基から選ば
れる1種以上の基を1以上有していてもよい。)である
上記の製法;Rがシクロヘキシル基(これは、カルボ
アルデヒド基、ニトロ基、ハロゲン原子、水酸基、シア
ノ基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6の
アルコキシ基、炭素数1から6のアルキルチオ基および
炭素数2から7のアルコキシカルボニル基からなる群の
基から選ばれる1種以上の基を1以上有していてもよ
い。)である上記の製法;Rがシクロヘキシル基、フ
ェニル基、またはナフチル基である上記の製法;シアノ
化剤が、アセトンシアンヒドリンである上記の製法;塩
が酸付加塩である上記の製法;等の各々にも関するもの
である。
【0012】
【発明の実施の形態】先ず、式(I)
【0013】
【化13】 で表される化合物[以下、化合物(I)と略す。またこ
の他の式の化合物も同様に省略する。]について述べ
る。式中、Rは、炭素数1から8のアルキル基、炭素
数3から8の環状アルキル基、炭素数6から10のアリ
ール基、または炭素数6から10のアリール基と炭素数
1から6のアルキル基とで構成されるアラルキル基を意
味するが、これらの基は、カルボアルデヒド基、ニトロ
基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、炭素数1から6
のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数
1から6のアルキルチオ基および炭素数2から7のアル
コキシカルボニル基からなる群の基から選ばれる1種以
上の基を1以上有していてもよい。アルキル基は、直鎖
状または分枝鎖状のいずれでもよい。具体的には、メチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ter
t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオ
ペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−ヘキシ
ル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル
基等を挙げることができる。環状アルキル基は、単環式
または二環式の環状アルキル基を意味し、例えば、シク
ロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シ
クロヘキシル基、ビシクロ[3.2.1]オクト−2−
イル基等を挙げることができる。アリール基は、芳香族
炭化水素の芳香環から水素原子1個を除いた1価基を意
味する。アリール基を構成する芳香環は単環または縮合
環のいずれでもよい。例えば、フェニル基、ナフチル
基、アントリル基、アズレニル基等を挙げることができ
る。アラルキル基は、アルキル基の水素原子が1個また
は2個以上前記のアリール基で置換されている基を意味
する。例えば、ベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチ
ル基等を挙げることができる。
【0014】上記のアルキル基、環状アルキル基、アリ
ール基、そしてアラルキル基は、カルボアルデヒド基、
ニトロ基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、炭素数1
から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、
炭素数1から6のアルキルチオ基および炭素数2から7
のアルコキシカルボニル基からなる群の基から選ばれる
1種以上の基を1以上有していてもよい。このうち、カ
ルボアルデヒド基は、アセタール構造となっていてもよ
く、ジアルコキシメチル構造であってもよい。このアル
コキシ基や、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1か
ら6のアルコキシ基、炭素数1から6のアルキルチオ基
において、アルキル部分は、炭素数以外は上記のアルキ
ル基と同じに考えればよい。なお、置換基上の置換基と
して述べられた基の群から選ばれる基が複数のときは、
全てが同一種であっても、あるいは複数種からなってい
てもいずれであってもよい。
【0015】さらにRは、複素環基であってもよい。
複素環基は、飽和、部分飽和、または不飽和の複素環化
合物から導かれる基を意味し、単環式、二環式、スピロ
構造のいずれでもよい。また、含まれる複素原子として
は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子の中から選ばれれば
よく、1種以上、1個以上含まれていればよい。複素環
基を与える複素環化合物としては、例えば、ピロール、
フラン、チオフェン、ピロリジン、テトラヒドロフラ
ン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾール、ピラゾー
ル、イミダゾリジン、ピラゾリジン、オキサゾール、イ
ソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピリジ
ン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピラン、ピペリジ
ン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、ピラジン、
ピペラジン、ジオキサン、ピラン、モルホリン、ベンゾ
フラン、インドリジン、ベンゾチオフェン、インドー
ル、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、クロマ
ン等を挙げることができる。これらの複素環基は先に述
べたアラルキル基のアリール部分と置き換わってもよ
い。また、複素環基に含まれる窒素原子、そしてアミノ
基あるいは水酸基は保護基によって保護されていてもよ
い。この様な保護基は、この分野で汎用されるものであ
れば特に限定されないが、例えば、第三級ブトキシカル
ボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル
基等のアルコキシカルボニル基類;ベンジルオキシカル
ボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基、
パラニトロベンジルオキシカルボニル基等のアラルキル
オキシカルボニル基類;アセチル基、メトキシアセチル
基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ピバ
ロイル基、ホルミル基、ベンゾイル基等のアシル基類;
第三級ブチル基、ベンジル基、パラニトロベンジル基、
パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基等のア
ルキル基類、またはアラルキル基類;メトキシメチル
基、第三級ブトキシメチル基、テトヒドロピラニル基、
2,2,2−トリクロロエトキシメチル基等のエーテル
類;トリメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル
基、第三級ブチルジメチルシリル基、トリベンジルシリ
ル基、 第三級ブチルジフェニルシリル基等の(アルキ
ルおよび/またはアラルキル)置換シリル基を挙げるこ
とができる。また、アミノ基がフタルイミドとなって保
護されていてもよい。
【0016】化合物(II)について述べる。この化合
物は、式
【0017】
【化14】 H (II) で表される構造を有しており、は、単一のキラリ
ティーの光学活性な置換基であればよく、あるいは
は単一の絶対配座を有する光学活性な置換基であれば
よい。この、『単一のキラリティーの光学活性な置換
基』とは次のような置換基である。すなわち、1または
1以上の不斉炭素を有する光学活性な化合物であって、
他の光学活性な異性体(エナンチオマー、あるいはジア
ステレオマー等)を含まず、単一の異性体からなる化合
物から導かれる基を意味する。ここで『他の光学活性な
異性体を含まず』あるいは『単一な』との語は、他の光
学活性をまったく含まない場合を意味することはいうま
でもないが、化学的に純粋と認められる程度あれば微量
の他の光学活性な異性体を含んでいてもよいと解釈され
る。これは、物性や生理活性に影響を与えない程度であ
ればよいともいうことができる。すなわちは、光
学活性な化合物から導かれた置換基でよく、化合物(I
I)は、天然物や、合成化合物いずれであってもよい。
化合物(II)は、単一の異性体のみからなる化合物で
あり、異性体としては、対掌体でも、ジアステレオマー
でもいずれでもよいが、化合物(II)としては単一の
対掌体であるか、単一のジアステレオマーであるかのい
ずれかである。化合物(II)としては、例えば、アミ
ノ酸のカルボキシル基を化学変換したアミノアルコール
や、アミノ酸のカルボン酸基をアミド基に変換した化合
物を例示することができる。また、アミノ酸のカルボキ
シル基がスルフィン基となったアミン化合物でもよい。
さらに、グリコシルアミン、ガラクトシルアミンなどの
糖アミン誘導体でも使用できる。この様な天然物関連の
アミン化合物の他、合成に係るアミン化合物として、1
−フェニルエチルアミン、2−フェニルグリシノール、
1−フェニル−2−トリルエチルアミン、4−ブロモ−
α−フェネチルアミン、1−(1−ナフチル)エチルア
ミン、1−(2−ナフチル)エチルアミン、1−アミノ
インダン、2−アミノヘプタン、1,2,3,4,−ヒ
ドロナフチルアミン等の各(R)体あるいは(S)体を
挙げることができる。また、cis−1−アミノ−2−
インダノール等も使用できる。上に述べたアミン化合物
の場合、窒素原子に結合した構造部分(に対応)
は、窒素原子から簡単には切断・除去できない構造とな
るものも含まれている。しかしながら、がアミノ
基から容易に除去することができれば、無置換のアミノ
基を有する2−置換−2−アミノエタンニトリル化合物
を簡便に光学純度よく得ることができる。したがって、
このは『単一のキラリティーの光学活性なアミノ
基の保護基』であってもよい。この様な光学活性なアミ
ノ基の保護基として、式
【0018】
【化15】 [式中、R、RおよびRは各々同一ではなく、フ
ェニル基、ベンジル基、ナフチル基、炭素数1から6の
アルキル基(これらの基の芳香環あるいはアルキル基
は、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1から4のアルキ
ル基および炭素数1から4のアルコキシ基からなる群の
基から選ばれる1種類以上の基1個以上を置換基として
有していてもよい。)、または水素原子を表す。]で表
される置換基を挙げることができる。この構造の基は加
水素化分解反応によって切断することができる点から好
ましい。R、R、またはRがアルキル基であると
き、このアルキル基は、直鎖状または分枝鎖状のいずれ
でもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル
基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペン
チル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジ
メチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等
を挙げることができる。R、RおよびRの好まし
い組み合わせとしては、フェニル基、炭素数1から6の
アルキル基(これらの芳香環あるいはアルキル基は、ハ
ロゲン原子、ニトロ基、炭素数1から4のアルキル基お
よび炭素数1から4のアルコキシ基からなる群の基から
選ばれる1種類以上の基1個以上を置換基として有して
いてもよい。)、または水素原子の組み合わせである。
さらに好ましくは、フェニル基、メチル基、そして水素
原子の組み合わせを挙げることができる。として好ましいものは、(R)−または(S)−
配置の、1−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル
基、1−フェニル−2−(p−トリル)エチル基、1−
(1−ナフチル)エチル基、1−(4−メトキシフェニ
ル)エチル基、1−(4−クロロフェニル)エチル基、
1−(4−ニトロフェニル)エチル基、1−(2,4−
ジクロロフェニル)エチル基、1−(2,4−ジニトロ
フェニル)エチル基、1−(3,5−ジクロロフェニ
ル)エチル基および1−(3,5−ジニトロフェニル)
エチル基等である。これらのうちで特に好ましいものと
しては、1−フェニルエチル基である。
【0019】化合物(III)は、次式
【0020】
【化16】 の構造を有するが、部分は単一の立体異性であ
り、シアノ基の結合する炭素原子が不斉炭素となるの
で、化合物(III)としては次式
【化17】 または、次式
【化18】 で表されるジアステレオマーの混合物として生成する。
しかしながら、部分は単一の異性なので、これら
の2種のジアステレオマーは対掌体関係とはならない。
したがって、ストレッカー反応の生成物としては式
(A)と式(B)のジアステレオマーは物性の異なるジ
アステレオマーとなる。この物性値の違いによって一方
のジアステレオマーの分離が可能なことを本願発明者は
見出したのである。さらにこれらのジアステレオマーは
溶液中では平衡関係にあり、一方が析出することによっ
て溶媒中での両者の存在比が変化すると、析出したジア
ステレオマーが生成する方向に平衡がずれ、析出によっ
て一旦減少したジアステレオマーが生成することとな
る。この溶液中の平衡のずれと、一方のジアステレオマ
ーの析出とによって、理論上、一方のジアステレオマー
のみが得られることとなる。いずれのジアステレオマー
が析出するかは置換基によって定まる。一方のジ
アステレオマーが析出するときに他方のジアステレオマ
ーを析出させたいときは、反対の異性のを有する
化合物(II)を反応に使用すればよい。
【0021】化合物(III)が遊離体では油状物であ
ることもあるが、その際は酸を添加して酸付加塩とする
等して固形物に変換すればよい。酸付加塩とする場合の
例としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、
ヨウ化水素酸塩、リン酸塩等の無機酸塩類、あるいはメ
タンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラトルエ
ンスルホン酸塩(スルホン酸塩)、酢酸塩、クエン酸
塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩(カ
ルボン酸塩)等の有機酸塩を挙げることができる。さら
に、遊離体や塩は水和物として存在することもある。
【0022】次に化合物(III)の製造方法である
が、化合物(I)と化合物(II)とを、シアノ化剤の
存在下に反応させればよく、いわゆるストレッカー反応
を実施すればよい。化合物(II)は塩(酸付加塩)で
あってもよく、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩あるいは硝
酸塩等の無機酸塩を例示することができる。化合物(I
I)として(酸付加)塩を使用するときは、この塩を遊
離の塩基にできる量の塩基を添加することが必要であ
る。
【0023】シアノ化剤は、シアン化水素あるいはシア
ン化合物を使用すればよい。シアン化水素を用いて反応
を実施するとき、使用されるシアン化水素は、反応系外
で発生させたものを系内に導入してもよいが、反応系内
で直接発生させてもよい。反応系内で発生させるときは
シアン化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化リチ
ウム等のシアン化アルカリ類と、塩酸に代表される種々
の酸性物質との水中での塩交換反応が利用できる。ま
た、上記のシアン化アルカリ類に亜硫酸水素ナトリウム
等の還元剤を加えて発生させてもよい。
【0024】シアン化水素の代りとして各種のシアン化
合物を用いて反応を実施することができる。このような
シアン化合物としては、アセトンシアンヒドリン、シク
ロヘキサノンシアンヒドリン等のシアンヒドリン化合
物、トリメチルシリルシアニド、ジエチルホスホリルシ
アニド等の有機シアン化合物、ジエチルアルミニウムシ
アニド、トリブチルスズシアニド等の有機金属シアン化
合物を挙げることができる。これらのシアン化合物は反
応混合物に加えることで反応が進行するので、簡便であ
りかつ安全性も高く工程としては有利である。この反応
は、反応を阻害することがなければいずれの溶媒も使用
できる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノー
ル等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン
等のエーテル類;アセトン等のケトン類;アセトニトリ
ル等の含窒素系溶媒;トルエン等の芳香族炭化水素;ヘ
キサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチ
ル等のエステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド等のアミド類;ジクロロメタン、クロロホル
ム等のハロゲン化炭化水素;等を挙げることができる。
さらにこれらの溶媒は混合溶媒としてもよく、必要に応
じて含水溶媒として使用してもよい。溶媒としてはアル
コール類あるいは含水アルコール類を使用するのがよ
い。
【0025】本工程をシアン化水素にて実施するとき
は、化合物(I)、化合物(II)、そしてシアン化水
素の発生源となる化合物(上記のシアン化アルカリ類や
有機シアン化合物、そして有機金属シアン化合物等)を
溶媒中に混合しておき、ここへシアン化水素の発生剤を
加える方法を採用するのがより簡便である。アセトンシ
アンヒドリン等のシアン化合物の場合には、シアン化水
素の発生剤を添加しなくとも反応混合物中に添加するだ
け反応が進行するものがあり、さらに簡便に反応を実施
することができる。本反応は、いずれの場合も−20℃
から100℃程度の範囲の温度で行えばよく、好ましく
は室温から溶媒の沸点程度である。
【0026】目的としていない立体配置を持ったジアス
テレオマーは、極性溶媒中で処理してエピメリゼーショ
ンさせ、すなわちアミノ基およびシアノ基の結合した炭
素原子の立体配置を転換させて、好ましい立体配置のジ
アステレオマーを含む混合物に容易に変換することがで
きる。そして、この混合物から目的の立体配置を有する
化合物を分離して得ることができる。この立体配置の変
換に用いる極性溶媒としては、反応を阻害しないもので
あればいずれの溶媒も使用できるが、好ましくはプロト
ン性溶媒であり、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール等のアルコール類を挙げることが
できる。さらに、これらプロトン性溶媒と他の溶媒の混
合溶媒を用いてもよい。他の溶媒としては、テトラヒド
ロフラン等のエーテル類、アセトン等のケトン類、アセ
トニトリル等の含窒素系溶媒類等を挙げることができ
る。また、この処理は加熱して行ってもよい。
【0027】さらに本願発明者は、ストレッカー反応の
終了後、使用した溶媒の溶解度を減少させるために反応
混合物に水等を加えてから加熱処理することで、晶析と
ジアステレオマーの変換を、一気にそして連続的に実施
できると考えた。そしてこの方法によって目的のジアス
テレオマーを収率よく得ることに成功したのである。す
なわち、反応混合物の溶媒の溶解度を下げることで一方
のジアステレオマーの析出が促進され、一方、反応液中
には溶解度の高い他方のジアステレオマーが溶存してお
り、これが加熱によってもう一方のジアステレオマーへ
の変換がおき、生成したこのジアステレオマーは溶解度
が小さいため析出し、この析出によって更なるジアスレ
テオマーへの転換が進行するものである。したがってこ
の方法を実施するには、ストレッカー反応の終了後に、
同反応において使用する溶媒の溶解度を減少させる物質
を反応混合物に添加することが好ましい。このための物
質としては、反応溶媒と混和し、かつ生成物に悪影響を
及ぼさないものであれば特に限定はない。例えばアルコ
ール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニト
リル、アセトン等の、水と混和する溶媒については水を
挙げることができ、水と混和しない溶媒については、ヘ
キサンやベンゼン等の炭化水素類を挙げることができ
る。溶解度を低下させるための溶媒の添加量は、不要の
ジアステレオマーが析出しない程度であればよい。な
お、ジアステレオマーの物性次第ではこの様な溶媒の溶
解度を減少させなくとも一方のジアステレオマーが析出
する場合もある。この工程の加熱の温度は、析出した結
晶が再溶解してしまわない程度で、より低い温度であれ
ばよい。例えば、30から60℃程度の加熱温度でよ
く、より好ましくは、40から50℃程度である。
【0028】化合物(III)は接触的水素添加あるい
は水素移動型還元によって置換基を除去すること
ができる。接触的水素添加反応では、その触媒としてパ
ラジウム−炭素、水酸化パラジウム、ラネーニッケル等
が適用できるが、特にラネーニッケルが好ましい。ま
た、水素移動型還元では、水素源としてギ酸、ギ酸アン
モニウム、イソプロピルアルコールなどがあり、触媒と
してはパラジウムー炭素、ロジウム、ルテニウムなどが
適用できるが、特にギ酸アンモニウム、パラジウムー炭
素の組み合わせが好ましい。この反応の溶媒は、反応に
対して不活性なものであればいずれのものも使用可能で
あるが、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒ
ドロフラン等のエーテル類を挙げることができる。また
これらの溶媒に水を添加して行ってもよい。本反応は、
−50℃から100℃の範囲の温度で行えばよいが、好
ましくは0℃から室温の範囲である。また、接触水素添
加の際には水素ガスの圧力は、1気圧から100気圧の
範囲で実施すればよい。また、置換基の保護基と
しての除去法にしたがって除去反応(脱保護反応)を実
施することができる。
【0029】化合物(III)は、シアノ基を還元する
ことによって光学活性なジアミン化合物に変換すること
ができる。この還元は、触媒存在下、水素雰囲気中で接
触水素添加反応によって実施すればよく、R1に対して
不活性であって、シアノ基をアミノメチル基に還元でき
るものであれば如何なる反応も適用することができる。
接触水素添加反応の触媒としては、パラジウム−炭素
や、水酸化パラジウム、ラネーニッケル、ラネーコバル
ト等を挙げることができるが、特にラネーニッケルが好
ましい。
【0030】さらに化合物(III)は、文献記載の方
法にしたがってシアノ基を加水分解することによって、
光学活性なアミノカルボアミド化合物や、光学活性なア
ミノカルボン酸(アミノ酸)に変化することができる
(Jacobsen E. N. et al J.
Am. Chem. Soc.1998,120 53
15−5316)。特にアミノ酸に関しては非天然型の
アミノ酸をこの方法によって製造することができ有用で
ある。
【0031】
【実施例】以下に実施例を示して本発明をさらに詳細に
説明するが、本願発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0032】実施例1:(S,S)−2−[(1−フェニ
ルエチル)アミノ]−2−[(1−ジエトキシメチル)シ
クロプロピル]エタンニトリル 1−(ジエトキシメチル)シクロプロパンカルボアルデ
ヒド(30.0g,306mmol)をエタノール(2
40ml)に溶解し、0℃で30分攪拌した。ここに
(S)−フェニルエチルチルアミン(43.5ml,3
36mmol)を滴下した後、反応液を40℃へと昇温
した。40℃で30分攪拌した後、アセトンシアンヒド
リン(33.4ml,367mmol)を滴下し、さら
に40℃で30分攪拌した。反応終了後、40℃で水
(240ml)を滴下し、温度を40℃に保持したまま
3時間攪拌した。20℃まで冷却し、水(30ml)を
加え20℃で14時間攪拌した。更に0℃に冷却し3時
間攪拌した。析出した結晶を濾過し、標記化合物(8
6.2g,93%)を無色針状晶として得た。得られた
結晶の光学純度はHPLC分析より99%deであっ
た。 H−NMR(C)δ:0.14−0.60
(m,4H),0.93(t,J=6.9Hz,3
H),1.00(t,J=6.9Hz,3H),1.1
4(d,J=6.6Hz,3H),3.07−3.31
(m,2H),3.17(s,1H),3.36−3.
50(m,2H),4.12(q,J=6.6Hz,1
H),4.79(s,1H),7.05−7.34
(m,5H).
【0033】実施例2:(S,S)−2−[(1−フェ
ニルエチル)アミノ]−2−シクロヘキシルエタンニト
リル シクロヘキシルアルデヒド(288mg,3mmol)
をエタノール(2.4ml)に溶解し、0℃で30分攪
拌した。この溶液に(S)−フェニルエチルチルアミン
(339mg,3.3mmol)を滴下して40℃へと
昇温した。40℃で30分攪拌後、反応液にアセトンシ
アンヒドリン(306mg,3.6mmol)を滴下
し、40℃で30分攪拌した。反応終了後反応液に40
℃で水(2.4ml)を滴下し、温度を40℃に保持し
たまま3時間攪拌した。反応液を20℃まで冷却し、水
(30ml)を加え20℃で14時間攪拌した。更に0
℃に冷却し3時間攪拌した。析出した結晶を濾過し、標
記化合物630mg(70%)を無色結晶として得た。
得られた結晶のジアステレオ比はH−NMRより9
5.5:4.5であった。 H−NMR(CDCl)δ:0.97−1.88
(m,11H),1.37(d,J=6.6Hz,3
H),3.00(d,J=6.3Hz,1H),4.0
7(q,J=6.6Hz,1H),7.22−7.36
(m,5H)
【0034】実施例3:(S,S)−2−[(1−フェ
ニルエチル)アミノ]−2−(2−ナフチル)エタンニ
トリル 2−ナフトアルデヒド(468mg,3mmol)をエ
タノール(5ml)に溶解し、0℃で30分攪拌した。
この溶液に(S)−フェニルエチルチルアミン(339
mg,3.3mmol)を滴下し,40℃へと昇温し
た。40℃で30分攪拌後、アセトンシアンヒドリン
(306mg,3.6mmol)を滴下し、40℃で3
0分攪拌した。反応終了後放冷し、反応液を20℃まで
冷却し14時間攪拌した。更に0℃に冷却し3時間攪拌
した。析出した結晶を濾過し、標記化合物610.2m
g(71%)を無色結晶として得た。得られた結晶のジ
アステレオ比はH−NMRより98:2であった。 H−NMR(CDCl)δ:1.46(d,J=
6.6Hz,3H),1.85(brs,1H),4.
30(q,J=6.6Hz,1H),4.55(br
s,1H),7.29−7.58(m,9H),7.8
1−7.89(m,3H),8.00(s,1H)
【0035】実施例4:(S,S)−2−[(1−フェ
ニルエチル)アミノ]−2−(フェニルプロピオン)エ
タンニトリル 3−フェニルプロピオンアルデヒド(1.34g,10
mmol)をエタノール(240ml)に溶解し、これ
を0℃で30分攪拌した。ここに(S)−フェニルエチ
ルチルアミン(43.5ml,336mmol)を滴下
して40℃へと昇温した。40℃で30分攪拌後、アセ
トンシアンヒドリン(33.4ml,367mmol)
を滴下し、40℃で30分攪拌した。反応終了後、反応
液に40℃で水(240ml)を滴下し、温度を40℃
に保持したまま3時間攪拌した。20℃まで冷却し、水
(30ml)を加え20℃で14時間攪拌した。更に0
℃に冷却し3時間攪拌した。析出した結晶を濾過し、標
記化合物2.35g(89%)を無色針状晶として得
た。得られた結晶のジアステレオ比はH−NMRより
97:3であった。 H−NMR(CDCl)δ:1.39(d,J=
6.6Hz,3H),2.02(q,J=7.9Hz,
2H),2.73−2.80(m,2H),3.18
(t,J=6.9Hz,1H),4.08(q,J=
6.6Hz,1H),7.17−7.35(m,5H)
【0036】実施例5:(S,S)−2−[(1−フェ
ニルエチル)アミノ]−2−[(1−エトキシカルボニ
ル)シクロプロピル]エタンニトリル ナス型フラスコにエチル 1−ホルミルシクロプロパン
−1−カルボキシレート(10g)を加え、エタノール
(100ml)に溶解した(S)−1−フェニルエチル
アミン(12.8g)、水(40ml)に溶解したシア
ン化カリウム(6.9g)、さらに亜硫酸水素ナトリウ
ム(22g)を0℃にて順に加えた。反応系を50℃で
2時間撹拌した後、反応の終了を確認し、反応液に氷水
を加え酢酸エチルで抽出した。次に有機層を水と飽和食
塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、不溶物を
濾過後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1)
に付し、無色油状物のジアステレオマーの混合物(1
5.7g,82%)を得た。ナス型フラスコに上述で得
た化合物(500mg、44%de)、6N塩酸(0.
3ml)、ジイソプロピルエーテル(5ml)を連続的
に加え、10分間室温で攪拌した。種晶を少量添加し、
さらに3時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、標記化
合物(326mg,59%)を白色結晶として得た。本
結晶のジアステレオ比をHPLC分析で測定したとこ
ろ、>99%deであった。 H−NMR(CDCl,270MHz)δ:1.2
5(t,J=5.3Hz,3H),1.43−1.55
(m,2H),1.62−1.79(m,2H),2.
07(d,J=6.8Hz,3H),4.18−4.3
7(m,2H),4.33(q,J=6.8Hz,1
H),7.43−7.53(m,3H),7.73−
7.77(m,2H)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 (式中、Rは、炭素数1から8のアルキル基、炭素数
    3から8の環状アルキル基、炭素数6から10のアリー
    ル基、または炭素数6から10のアリール基と炭素数1
    から6のアルキル基とで構成されるアラルキル基を意味
    するが、これらの基は、カルボアルデヒド基、ニトロ
    基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、炭素数1から6
    のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数
    1から6のアルキルチオ基および炭素数2から7のアル
    コキシカルボニル基からなる群の基から選ばれる1種以
    上の基を1以上有していてもよい。)で表される化合物
    と、式(II) 【化2】 HN− (II) (式中、は、単一のキラリティーの光学活性な置
    換基を表す。)で表される化合物またはその塩と、シア
    ノ化剤とを反応させて、得られる式(III) 【化3】 (式中、Rおよびは、先に定義された通りであ
    る。)で表されるジアステレオマー混合物のうちの、一
    方のジアステレオマーまたはその塩を、固形の単一物と
    してとして析出させることを特徴とする、式(A) 【化4】 (式中、Rおよびは、先に定義された通りであ
    る。)で表される化合物若しくはその塩、または、式
    (B) 【化5】 (式中、Rおよびは、先に定義された通りであ
    る。)で表される化合物若しくはその塩の製法。
  2. 【請求項2】 が、単一のキラリティーの光学活
    性なアミノ基の保護基である請求項1に記載の製法。
  3. 【請求項3】 が、式 【化6】 [式中、R、RおよびRは各々同一ではなく、フ
    ェニル基、ベンジル基、ナフチル基、炭素数1から6の
    アルキル基(これらの基の芳香環あるいはアルキル基
    は、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1から4のアルキ
    ル基および炭素数1から4のアルコキシ基からなる群の
    基から選ばれる1種類以上の基1個以上を置換基として
    有していてもよい。)、または水素原子を表す。]で表
    される基である請求項1または2に記載の製法。
  4. 【請求項4】 R、RおよびRが、フェニル基、
    炭素数1から6のアルキル基(これらの芳香環あるいは
    アルキル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1から
    4のアルキル基および炭素数1から4のアルコキシ基か
    らなる群の基から選ばれる1種類以上の基1個以上を置
    換基として有していてもよい。)、または水素原子であ
    る請求項3に記載の製法。
  5. 【請求項5】 が、(R)−または(S)−配置
    の、1−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、
    1−フェニル−2−(p−トリル)エチル基、1−(1
    −ナフチル)エチル基、1−(4−メトキシフェニル)
    エチル基、1−(4−クロロフェニル)エチル基、1−
    (4−ニトロフェニル)エチル基、1−(2,4−ジク
    ロロフェニル)エチル基、1−(2,4−ジニトロフェ
    ニル)エチル基、1−(3,5−ジクロロフェニル)エ
    チル基、2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル基および
    1−(3,5−ジニトロフェニル)エチル基からなる群
    の基から選ばれる基である請求項1から4のいずれか一
    項に記載の製法。
  6. 【請求項6】 が(S)−1−フェニルエチル基
    である請求項1から5のいずれか一項に記載の製法。
  7. 【請求項7】 Rにおける炭素数6から10のアリー
    ル基が、フェニル基またはナフチル基(これらは、カル
    ボアルデヒド基、ニトロ基、ハロゲン原子、水酸基、シ
    アノ基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6
    のアルコキシ基、炭素数1から6のアルキルチオ基およ
    び炭素数2から7のアルコキシカルボニル基からなる群
    の基から選ばれる1種以上の基を1以上有していてもよ
    い。)である請求項1から6のいずれか一項に記載の製
    法。
  8. 【請求項8】 Rが炭素数3から8の環状アルキル基
    (これは、カルボアルデヒド基、ニトロ基、ハロゲン原
    子、水酸基、シアノ基、炭素数1から6のアルキル基、
    炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数1から6のアル
    キルチオ基および炭素数2から7のアルコキシカルボニ
    ル基からなる群の基から選ばれる1種以上の基を1以上
    有していてもよい。)である請求項1から6のいずれか
    一項に記載の製法。
  9. 【請求項9】 Rがシクロヘキシル基(これは、カル
    ボアルデヒド基、ニトロ基、ハロゲン原子、水酸基、シ
    アノ基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6
    のアルコキシ基、炭素数1から6のアルキルチオ基およ
    び炭素数2から7のアルコキシカルボニル基からなる群
    の基から選ばれる1種以上の基を1以上有していてもよ
    い。)である請求項1から6のいずれか一項に記載の製
    法。
  10. 【請求項10】 Rがシクロヘキシル基、フェニル
    基、またはナフチル基である請求項1から6のいずれか
    一項に記載の製法。
  11. 【請求項11】 シアノ化剤が、アセトンシアンヒドリ
    ンである請求項1から10のいずれか一項に記載の製
    法。
  12. 【請求項12】 塩が酸付加塩である請求項1から11
    のいずれか一項に記載の製法。
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