JP2003305338A - 排ガス浄化用触媒および浄化方法 - Google Patents

排ガス浄化用触媒および浄化方法

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JP2003305338A JP2002111890A JP2002111890A JP2003305338A JP 2003305338 A JP2003305338 A JP 2003305338A JP 2002111890 A JP2002111890 A JP 2002111890A JP 2002111890 A JP2002111890 A JP 2002111890A JP 2003305338 A JP2003305338 A JP 2003305338A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】単一の反応器で高温排ガス中のNOxとCOと
を同時に無害化でき、かつ、未反応NH3 が下流にリー
クするのを防止することができる排ガス浄化用触媒およ
び浄化方法を提供する。 【解決手段】(1) 鉄置換型ゼオライトを第一成分、貴金
属担持ゼオライトまたは貴金属担持多孔質シリカを第二
成分として含み、両成分が混合された状態で存在し、か
つ前記貴金属の含有量が第一成分と第二成分の総重量に
対して0を越えて100ppm以下の範囲にある排ガス
浄化用触媒。(2) 窒素酸化物と一酸化炭素を含む排ガス
中に還元剤としてアンモニアを添加した後、請求項1記
載の排ガス浄化用触媒に接触させ、前記窒素酸化物と一
酸化炭素を除去する排ガスの浄化方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は排ガス浄化用触媒お
よび浄化方法に係り、特に高温排ガス中の窒素酸化物
(NOx)、一酸化炭素(CO)またはアンモニア(N
3 )を高効率で除去するのに好適な排ガス浄化用触媒
およびこれを用いた排ガスの浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガスタービンを動力とする発電は効率が
高いだけでなく、廃熱回収蒸気発生器(HRSG)との
組み合わせが容易であり、高効率発電や電熱併給システ
ムに多数用いられている。これらの設備は、人口密集地
の近郊に建設される場合が多く、排ガスに含まれるNO
xおよびCOの排出を低レベルに抑える必要がある。図
5は、従来技術による排ガス浄化装置の説明図である。
この装置は、ガスタービン1と、該ガスタービン1から
排出された排ガス中のCOを除去するためのCO酸化触
媒8と、その後流に設けられたNOxを除去するための
脱硝触媒10とを有し、前記CO酸化触媒8は排ガス温
度が550℃近辺の部位に設けられ、脱硝触媒10は3
50℃付近のHRSG伝熱管9の中間部位に設けられ
る。このような装置では、ガスタービン1から排出され
た排ガスは、該排ガス中のCOがCO酸化触媒8により
酸化されて除去され、その後、脱硝触媒10とNH3
存在下で接触し、排ガス中のNOxが除去され、無害化
される。
【0003】図6は、他の従来技術による排ガス浄化装
置の説明図である。この装置は、ガスタービン1と、C
O酸化機能を有する脱硝触媒11とを有し、該脱硝触媒
11は350℃付近のHRSG伝熱管9の中間部位に設
けられる。このような装置では、脱硝機能とCO酸化機
能を有する単一の脱硝触媒11によりガスタービン1か
ら排出された排ガスに含有するNOxのNH3 還元とC
O酸化が行われる(特開平4−59054号公報、特開
平5−329334号公報、特開平5−49934号公
報)。一方、近年、夏場の電力需要のピークに対応する
ため、また電力不足に伴う停電を防止するため、起動時
間が早いガスタービン発電設備を建設し、ガスタービン
を単独で運転するケースが増大している。また、都市近
郊に建設する発電設備から排出される排ガスの規制も強
化される方向にあり、排ガス中のNOxおよびCOに加
えてNH3 の排出も低レベルに抑えることが必要になっ
ている。
【0004】しかしながら、ガスタービン単独で運転す
る場合に、CO酸化触媒8と脱硝触媒10を別々に設置
した図5の排ガス浄化装置を用いると、(i) 高温に耐え
るCO酸化反応器と脱硝反応器が必要となり、装置費用
が増大する、(ii)CO酸化触媒8には、貴金属などの酸
化性能に優れた活性成分を担持した触媒が用いられてい
るが、該CO酸化触媒8を約550℃という高温で使用
すると、活性成分が蒸気化または粉化して後流の脱硝触
媒10に付着し、還元剤として添加したNH3を酸化し
てNOxを生成するため、脱硝性能が低下する、(iii)
高温で高い脱硝活性を有する触媒がなく、還元剤として
注入したNH3 とNOを定量的に反応させることができ
ず、未反応NH3 のリーク量が多くなるなどの問題があ
った。また、図6の排ガス浄化装置では、CO酸化機能
を有する脱硝触媒11が450℃以上の温度で脱硝性能
が急激に低下するため、ガスタービン単独で運転する設
備のように排ガス温度が500℃を超える場合には採用
できない。このように、ガスタービンを単独で運転する
場合、ガスタービンから排出される排ガス温度が450
〜600℃と高いため、上記した従来の排ガス浄化装置
を採用することができず、これに代わる技術が望まれて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
した従来技術の問題を解決し、単一の反応器で高温排ガ
ス中のNOxとCOとを同時に無害化でき、かつ、未反
応NH3 が下流にリークするのを防止することができる
排ガス浄化用触媒および浄化方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
について鋭意検討した結果、第一成分として鉄(Fe)
置換型ゼオライト、第二成分として貴金属担持ゼオライ
トまたは貴金属担持多孔質シリカを用い、両者の粒子を
物理的な混合を状態を保ちながら成形した触媒を用い、
該触媒の上流部に還元剤としてのNH3 または尿素を添
加し、400〜600℃の高温排ガスを通過させること
により、上記課題を達成できることを見いだし、本発明
に到達したものである。上記課題達成のために本願で特
許請求される発明は以下の通りである。
【0007】(1)鉄置換型ゼオライトを第一成分、貴
金属担持ゼオライトまたは貴金属担持多孔質シリカを第
二成分として含み、両成分が混合された状態で存在し、
かつ前記貴金属の含有量が第一成分と第二成分の総重量
に対して0を越えて100ppm以下の範囲にあること
を特徴とする排ガス浄化用触媒。 (2)窒素酸化物と一酸化炭素を含む排ガス中に還元剤
としてアンモニアを添加した後、(1)記載の排ガス浄
化用触媒に接触させ、前記窒素酸化物と一酸化炭素を除
去することを特徴とする排ガスの浄化方法。 (3)前記排ガスがガスタービン排ガスであり、該排ガ
スを前記排ガス用浄化触媒に350〜600℃の温度下
で接触させることを特徴とする(2)記載の排ガスの浄
化方法。 (4)アンモニアを含む排ガスを(1)記載の排ガス浄
化用触媒に接触させ、前記アンモニアを窒素と水に酸化
分解することを特徴とする排ガスの浄化方法。 (5)前記アンモニアを含む排ガスが、アンモニア含有
排水にアルカリを添加した後、加熱下で空気と接触さ
せ、該排水中のアンモニアを気相に移行させることによ
り生成した排ガスであることを特徴とする(4)記載の
排ガスの浄化方法。 (6)ガスタービンの排ガス中にアンモニアを添加した
後、350〜600℃の温度下で脱硝反応活性を有する
触媒に接触させ、該排ガスに含有する窒素酸化物を除去
し、次いで、請求項1記載の排ガス浄化用触媒に接触さ
せて該排ガスに含有する一酸化炭素および未反応アンモ
ニアを除去することを特徴とするガスタービン排ガスの
浄化方法。
【0008】
【作用】本発明における排ガス浄化用触媒には、第一成
分であるFeゼオライトと、第二成分である貴金属担持
ゼオライトまたは貴金属担持多孔質シリカとが物理的に
混合された状態で存在し、かつ該貴金属成分が第一成分
と第二成分の総重量に対して0を超え100ppm以下
の範囲で含有されているため、この排ガス浄化用触媒を
用いることにより、排ガス中にNOxが大量の存在する
場合には、通常の脱硝触媒として作用させ、脱硝反応が
進行してNOxが消費され、相対的にNH 3 濃度の高く
なった排ガスや、NH3 だけを含む排ガスに対しては、
NOxを副生しない優れたNH3 分解触媒として作用さ
せることができる。このような本発明の排ガス浄化用触
媒の上記メカニズムをガスタービン排ガスの浄化を例に
とって説明すれば、以下の通りである。
【0009】本発明の触媒が充填された触媒層には、還
元剤としてのNH3 (NH3 またはNH3 源としての尿
素)が添加された、ガスタービンなどから排出されるN
OxおよびCOを含む450〜600℃の高温排ガスが
供給される。この高温排ガスは該触媒と接触し、まず排
ガス中のNOxが、下記(1)〜(3)の反応に従い、
Feモルデナイト上でNH3 により無害なN2 に還元さ
れる。 NO+NH3 +1/4O2 → N2 +3/2H2 O (1) NO+NO2 +2NH3 → 2N2 +3H2 O (2) N2 O+NH3 +1/4O2 →3/2N2 +3/2H2 O (3) 一方、排ガス中のCOは、第二成分の貴金属表面で、下
記(4)の反応により無害なCO2 に酸化される。 CO+1/2O2 → CO2 (4)
【0010】一般に、貴金属担持触媒とNH3 が接触す
ると、NH3 が酸素により酸化されて、NOxに変化
し、脱硝性能を悪化させることが知られている。しか
し、本発明の触媒では、貴金属がゼオライトや多孔質シ
リカに低濃度(触媒成分に対して0を越えて100pp
m以下)で担持され、貴金属量に比べてFeゼオライト
が大量に存在するため、触媒層入り口部のNOx濃度が
高い領域では、NH3 はFeゼオライトに接触する頻度
が高く、上記(1)〜(3)の脱硝反応に優先的に使用
される。従って、NH3 が貴金属成分と接触してNOx
に酸化されるのを防止することができる。また、脱硝反
応が進行してNOx濃度の低い触媒層の後流部の領域で
は、上記(1)〜(3)の反応頻度が低下し、排ガス中
のNH3 と貴金属成分との衝突確率が相対的に増大す
る。その結果、脱硝反応に使用されなかった未反応NH
3 の一部が、下記(5)の反応によりNOに酸化され
る。 NH3 +5/4O2 →NO+3/2H2 O (5) ところが、(5)の反応で生成したNOは、周囲に大量
に存在するFeゼオライト表面上でNH3 により直ちに
上記(1)の還元反応によりN2 に変換されるため、触
媒からNOが放出されることがない。
【0011】このようなメカニズムにより、本発明の触
媒は、NOxが大量に存在する領域には、通常の脱硝触
媒として作用し、相対的にNH3 濃度が高くなった領域
では、NOxを副生しない優れたNH3 分解触媒として
作用することができる。この触媒の作用機構は400〜
600℃という高温で特に発揮される。このため、本発
明の排ガス浄化用触媒は、ガスタービンを単独で運転す
る設備の高温排ガス処理に有利であり、単一の触媒層
で、NOxとCOの無害化および未反応NH3 のリーク
の低減を実現でき、極めて簡単な設備で高度な排ガス浄
化を実現することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる第一成分とし
てのFe置換型ゼオライトは、結晶性アルミノ珪酸塩化
合物の総称であるゼオライトのイオン交換サイトを鉄イ
オン(Feイオン)で置換したものであり、通常、水素
置換型ゼオライトの水素の一部または全部をFeイオン
で交換することにより得られる。ゼオライトとしては、
モルデナイト、クリノプチロライト、フェリエナイトな
どのほか、ZSM−5などのペンタシル型ゼオライトな
どを用いることができる。ゼオライトのSiO2 /Al
2 3 原子比には特に限定はないが、一般にハイシリカ
ゼオライトと称されるSiO2 /Al2 3 比が15以
上のものが耐熱性に優れるので好ましい。またFeのイ
オン交換量は、SiO2 /Al2 3 比により異なる
が、ゼオライトの1〜5重量%の範囲とするのが好まし
い。
【0013】本発明に用いられる第二成分としての貴金
属担持ゼオライトは、白金(Pt)、パラジウム(P
d)、ロジウム(Rh)などから選ばれた貴金属イオン
を前記したゼオライトにイオン交換して得られる組成物
である。また第二成分としての貴金属担持多孔質シリカ
は、貴金属塩類を微粒シリカに担持し、焼成して得られ
る多孔質状シリカ塊状物を粉砕して得られる組成物であ
る。第二成分中の貴金属担持量には特に限定はないが、
第一成分との混合を容易にする点から0.1〜0.01
重量%の範囲とするのが好ましい。
【0014】第一成分と第二成分は、貴金属の含有量が
第一成分と第二成分の総重量に対し、0を越えて100
ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましく
は5〜20ppmの範囲となるように混合される。貴金
属の含有量が100ppmを超えるとNOx濃度の高い
領域においてNH3 が脱硝反応に優先的に使用されなく
なり、NH3 の酸化反応が生じてNOxが生成する。ま
た第一成分と第二成分は、CO酸化機能を同時に得られ
るようにするために両成分が物理的に混合された状態で
存在させる必要がある。本発明の排ガス浄化用触媒は、
第一成分と第二成分を、例えば重量比(第一成分/第二
成分)で9/1〜99.9/0.1の範囲で混合し、両
成分が物理的に混合された状態で存在するように、公知
の触媒調製方法により成形して得ることができる。具体
的には、所定の混合比の第一成分と第二成分を、水およ
び結合材としてのシリカの存在下で混練後、金属やセラ
ミック製網状基材に塗布して板状に成形する方法、第一
成分と第二成分を、水を分散媒としたスラリとし、これ
を多孔質セラミックハニカム担体にコーティングする方
法などが挙げられる。この場合、必要に応じて結合材や
無機繊維などの補強材などを添加してもよい。
【0015】図1は、本発明の排ガス浄化用触媒を用い
た一実施例を示す排ガス浄化装置の説明図である。図1
において、この装置は、ガスタービン1と、該ガスター
ビン1の後流であって排ガス温度が550〜600℃の
位置に設置された本発明の排ガス浄化用触媒2とを備
え、該排ガス浄化用触媒2の前流の排ガス中には還元剤
としてNH3 が供給される。このような装置において、
ガスタービン1から発生したNOxおよびCOを含む高
温排ガスは、NH3 とともに排ガス浄化用触媒2に供給
され、該触媒2の脱硝機能および酸化機能によりNOx
およびCOが無害化され、さらに該触媒2のNH3 分解
機能により未反応NH3 がN2 に酸化分解され、NH3
が後流にリークするのが防止される。排ガス浄化用触媒
2の前流に供給される還元剤(通常はNH3 )は、必要
な脱硝性能を満たすことができる最適な量に選定されて
供給される。なお、還元剤として尿素を用いる場合に
は、気相または触媒上で下記(6)の加水分解反応によ
り1モルの尿素から2モルのNH3 が生成されるため、
NH3 を供給する場合の半分の注入モル数で供給する。 (NH2)2 CO+H2 O→ 2NH3 +CO2 (6)
【0016】図2は、本発明の排ガス浄化用触媒を用い
た他の実施例を示す排ガス浄化装置の説明図である。図
2において、図1と異なる点は、排ガス浄化用触媒2の
前流側に隣接させて通常の高温脱硝触媒3を設けた点で
ある。高温脱硝触媒3には、酸化チタンと酸化タングス
テンなどからなるNH3 によるNOx還元機能を有する
触媒が用いられる。このような装置では、ガスタービン
1から発生した高温排ガスは、まず前流の高温脱硝触媒
3により脱硝反応のみが行われてNOxが除去され、後
流の排ガス浄化用触媒2で未反応NH3 の酸化分解とC
Oの酸化が行われる。この装置は、高温脱硝触媒層3の
みで構成された既存の排ガス浄化装置に、本発明の排ガ
ス浄化用触媒2を追加して未反応NH3 とCOの放出を
低減する場合に有効である。
【0017】図3は、本発明の排ガス浄化用触媒を用い
たさらに他の実施例を示すNH3 含有排水浄化装置の説
明図である。図3において、この浄化装置は、NH3
有排水からNH3 を気相に移行させるストリッピング装
置6と、該気相に移行させたNH3 を分解する本発明の
排ガス浄化用触媒2とを備える。このような浄化装置に
おいて、NH3 含有排水は、NaOHなどのアルカリ成
分の添加によりpHが上昇された後、ポンプ4および加
熱装置5を経てストリッピング装置6に導かれ、排水に
含まれるNH3 が気相に追い出される。気相に追い出さ
れたNH3 は、必要に応じて空気が添加されて加熱装置
7により350℃〜450℃に加熱された後、排ガス浄
化用触媒2に導かれ、NH3 が無害な窒素と水に分解さ
れる。
【0018】高濃度のNH3 を排ガス浄化装置で処理す
る場合、従来の酸化チタン系触媒を用いると、NH3
酸化反応熱により触媒層の温度が100℃以上高温にさ
らされるため、触媒の特性が悪化し、高濃度NH3 含有
排水の処理ができないという問題があったが、本発明の
排ガス浄化用触媒を用いれば、触媒層の温度が550℃
を超える条件でも高い分解性能を維持できるため、高濃
度NH3 の処理が可能になる。またNH3 の分解過程
で、地球温暖化ガスであるN2 Oが大量に副生すること
が知られているが、本発明の排ガス浄化用触媒2を用い
ることにより、NOxの副生、特にN2 Oの副生を抑制
でき、地球温暖化防止効果が期待できる。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体例に説明す
る。 実施例1 SiO2 /Al2 3 原子比が23であるH型モルデナ
イト(東ソー社製)100gを、硝酸鉄(Fe(N
3 3 ・9H2 O)21.7gを水150gに溶解し
た溶液に加え、砂浴上でよく攪拌しながら蒸発乾固し
た。得られた粉末を大気中600℃で2時間焼成後、粉
砕して第一成分であるFe置換型モルデナイトを得た。
一方、塩化白金酸(H2 〔PtCl6 〕・6H2 O)
0.665gを水1リットルに溶解したものに、SiO
2 /Al2 3 原子比が約23、平均粒径約10μmの
H型モルデナイト500gを加え、砂浴上で蒸発乾固し
てPtを担持した。これを180℃で2時間乾燥後、空
気中で600℃で2時間焼成し、0.05重量%のPt
が担持されたPtモルデナイトを調製し、第2成分とし
た。
【0020】得られた第一成分粉末103g、第二成分
粉末2.1g、水70g、シリカゾル(日産化学工業社
製、SiO2 含有率20%)70gを混合後よく攪拌し
て均一なゼオライトスラリを得た。本スラリ中に、三角
形流路を有するアルミノシリケート(SiO2 ・Al2
3 )系セラミック繊維製コルゲートハニカム(流路形
状:高さ2.2mm×底辺3.7mm−0.15t、ニ
チアス社製)を浸漬後、液切り、1 50℃による乾燥を
行った後、600℃で2時間焼成して触媒を得た。この
場合の第一成分/第二成分比は98/2であり、触媒成
分中の貴金属量は10ppmである。
【0021】実施例2 実施例1のH型モルデナイトに替えて、SiO2 /Al
2 3 原子比が30の水素置換ペンタシル型ゼオライト
(Zeolyst社製、ZSM−5構造、CBV302
0)を用い、他は実施例1と同様にしてFe置換型ZS
M−5触媒を得た。これを第一成分として用い、他は同
様にして触媒を得た。 実施例3 実施例1のH型モルデナイトに替えて、SiO2 /Al
2 3 原子比が20のアンモニウム置換型フェリエライ
ト(Zeolyst社製、CP914c)を用い、他は
実施例1と同様にしてFe置換型フェリエライト触媒を
得て第一成分とした。一方、実施例1の第二成分の調製
に用いたH型モルデナイトに替えて、高比表面積シリカ
粉末(富田製薬社製、マイコンF)を用い、同様の方法
でPt担持シリカを得て第二成分とした。得られた第一
および第二成分を実施例1と同様の方法でハニカム担体
に担持して触媒を得た。
【0022】実施例4、5 実施例1の触媒調製に用いた第二成分の調製法におい
て、用いた塩化白金酸を、硝酸パラジウム(Pd(NO
3)3 、硝酸ロジウム(Rh(NO3)3 の硝酸溶液に替
え、各々ゼオライトに対し、貴金属として0.05重量
%になるようにして第二成分を調製した。得られた第二
成分を用い、他は実施例1と同様にして触媒を得た。 実施例6〜9 実施例1の第一成分と第二成分比98/2を、9/1、
96/4、99.8/0.2に替えた以外は、実施例1
と同様にして触媒を得た。
【0023】比較例1 特開平5−329334号公報の実施例1に記載された
触媒調製法に準じ、従来の酸化チタン系触媒を以下のよ
うに調製した。メタチタン酸スラリ(TiO2 含有量:
30重量%、SO4 含有量:8重量%)67kgにパラ
タングテン酸アンモニウム((NH4 1010・W12
46・6H2 O)を3.59kgおよびメタバナジン酸ア
ンモン1.29kgとを加え、加熱ニーダを用いて水を
蒸発させながら混練し、水分約36重量%のペーストを
得た。これを直径3mmの柱状に押し出し造粒後、流動
層乾燥機で乾燥し、次に大気中550℃で2時間焼成し
た。得られた顆粒をハンマーミルで1μmの粒径が60
%以上となるように粉砕し、第一成分である脱硝触媒粉
末を得た。このときの組成はV/W/Ti=4/5/9
1(原子比) である。一方、塩化白金酸(H2 [PtC
16]・6H2 O)0.665gを水1リットルに溶解し
たものに、SiO2 /Al2 3 比が23、平均粒径約
10μmのH型モルデナイト500gを加え、砂浴上で
蒸発乾固してPtを担持した。これを180℃で2時間
乾燥後、空気中で500℃で2時間焼成し、0.05重
量%Pt−モルデナイトを調製し、第2成分にした。得
られた第一成分粉末103g、第二成分粉末2.1g、
水200gを混合後、よく攪拌して均一な触媒スラリを
得た。本スラリ中に、三角形流路を有するアルミノシリ
ケート(SiO2 ・Al2 3 )系セラミック繊維製コ
ルゲートハニカム(流路形状:高さ2.2mm×底辺
3.73mm−0.15t 、ニチアス社製)を浸漬後、
液切り、1 50℃による乾燥を行った後、600℃で2
時間焼成して触媒を得た。この場合の触媒成分中の貴金
属量は5ppmである。
【0024】比較例2 実施例1における第一成分だけを用い、他は同様にして
触媒を得た。 比較例3 実施例2における第一成分だけを用い、他は同様にして
触媒を調製した。 比較例4 比較例2の第一成分100gに塩化白金酸溶液(0.6
65g/L)を0.42ml添加してFeを3重量%、
Ptを10ppm含有するゼオライトを調製した。これ
を比較例2と同様の方法により触媒を調製した。
【0025】<試験例1>実施例1および比較例1〜4
で得られた触媒について、図1に示す排ガス浄化装置を
用いて表1の条件で排ガス温度を200〜600℃に変
化させて排ガス浄化を行い、それぞれにおける脱硝率、
CO酸化率およびリークNH3 の濃度を測定した。得ら
れた結果を図4に示した。
【表1】
【0026】図4から、実施例1で得られた触媒は、3
50℃〜600℃の範囲で高い脱硝率とCO酸化率を示
すことがわかる。これに対し、比較例1の従来の触媒で
は、500℃以上では脱硝率の低下が著しく、500℃
以上の温度では使用できない。またFeゼオライト単独
を用いた比較例2の触媒では、脱硝率は高いが、CO酸
化率に劣り、またPtゼオライトを単独で用いた比較例
3の触媒では、脱硝性能が負の値を示し、NH3 の酸化
によるNOxの生成が顕著に認められた。さらにゼオラ
イトにFeとPtとを担持させた比較例4の触媒では、
脱硝率は高い値を示すものの、CO酸化率は比較例2と
大差なく、Ptの添加効果は全く認められないことがわ
かった。この結果から、Fe置換ゼオライトを第一成分
に、貴金属担持ゼオライトまたは貴金属担持多孔質シリ
カを第二成分に用い、両者が物理的な混合状態を維持し
て担持された触媒とすることにより、高温での脱硝およ
びCO酸化性能に優れた触媒が得られることが明らかと
なった。
【0027】<試験例2>実施例1〜9および比較例1
〜4で得られた各触媒に対し、上記表1の条件で550
℃の脱硝率とCO酸化率を測定すると共に、表2の条件
でNH3 の分解率およびNH3 分解時に発生するNOx
の生成濃度を測定し、得られた結果を表3にまとめた。
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】表3から、実施例1〜9で得られた本発明
の触媒は、比較例1〜4で得られたの触媒に比べ、いず
れも脱硝率、CO酸化率およびNH3 分解率に優れ、か
つNOおよびN2 Oの副生量が少ないことがわかる。ま
た実施例1〜3の結果からは第一成分であるFeゼオラ
イトを得るためのゼオライトにはモルデナイト、ペンタ
シル型ゼオライト、フェリエライトなど各種のゼオライ
トが使用できること、また第二成分である貴金属の担持
にはゼオライト以外に多孔質シリカを用いることができ
ることが示される。さらに実施例6〜9の結果から、貴
金属の含有量が0を超えれば、CO酸化やNH3 分解に
効果が現れるが、含有量が多くなると、CO酸化率およ
びNH3 分解率は上昇するもののNH3 分解に伴うNO
xの生成によって脱硝性能が低下する傾向にあることが
示される。
【0030】
【発明の効果】本発明の排ガス浄化用触媒および浄化方
法によれば、HRSGを持たないガスタービン排ガスな
どの高温排ガス中のNOxとCOを単一の触媒層で浄化
することができ、耐熱性の高い高価な反応器の使用が不
要であり、また単一の反応器で済むため、経済的な効果
が大きい。また、従来技術では脱硝反応器の前流に設置
したCO酸化触媒成分が飛散して脱硝性能を低下させる
という問題があり、高温では数ppm程度のわずかなC
O酸化成分が脱硝触媒に付着しても脱硝性能が大きく低
下する傾向があるが、本発明の排ガス浄化用触媒では、
このような問題を生じることはない。さらに、未反応N
3 のリークが少なく、NOxの副生を防止できるた
め、環境改善に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排ガス浄化用触媒を用いた一実施例を
示す排ガス浄化装置の説明図。
【図2】本発明の排ガス浄化用触媒を用いた他の実施例
を示す排ガス浄化装置の説明図。
【図3】本発明の排ガス浄化用触媒を用いたさらに他の
実施例を示す排ガス浄化装置の説明図。
【図4】排ガス温度と脱硝率およびCO酸化率の関係を
示す図。
【符号の説明】
1…ガスタービン、2…排ガス浄化用触媒、3…高温脱
硝触媒、4…ポンプ、5…加熱手段、6…ストリッピン
グ装置、7…加熱手段、8…CO酸化触媒、9…HRS
G伝熱管、10…脱硝触媒、11…CO酸化機能を有す
る触媒。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年4月23日(2002.4.2
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排ガス浄化用触媒を用いた一実施例を
示す排ガス浄化装置の説明図。
【図2】本発明の排ガス浄化用触媒を用いた他の実施例
を示す排ガス浄化装置の説明図。
【図3】本発明の排ガス浄化用触媒を用いたさらに他の
実施例を示す排ガス浄化装置の説明図。
【図4】排ガス温度と脱硝率およびCO酸化率の関係を
示す図。
【図5】従来技術による排ガス浄化装置の説明図。
【図6】他の従来技術による排ガス浄化装置の説明図。
【符号の説明】 1…ガスタービン、2…排ガス浄化用触媒、3…高温脱
硝触媒、4…ポンプ、5…加熱手段、6…ストリッピン
グ装置、7…加熱手段、8…CO酸化触媒、9…HRS
G伝熱管、10…脱硝触媒、11…CO酸化機能を有す
脱硝触媒。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 29/68 F01N 3/08 B F01N 3/08 3/10 A 3/10 B01D 53/36 C // B01D 53/56 53/34 129B Fターム(参考) 3G091 AA06 AA19 AB01 BA14 BA19 CA17 GB09W 4D002 AA08 AA12 AA13 AC01 BA05 BA06 CA07 CA11 DA07 DA70 GA01 GB03 HA01 4D011 AA12 AA15 AB01 AD03 4D048 AA06 AA08 AA13 AB02 AC04 BA30X BA31X BA33X BA36X BB02 4G069 BA02B BA03B BA07B BC66B BC71B BC75B CA02 CA08 CA10 CA11 CA13 CA14 ZA06B ZA11B ZA13B

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄置換型ゼオライトを第一成分、貴金属
    担持ゼオライトまたは貴金属担持多孔質シリカを第二成
    分として含み、両成分が混合された状態で存在し、かつ
    前記貴金属の含有量が第一成分と第二成分の総重量に対
    して0を越えて100ppm以下の範囲にあることを特
    徴とする排ガス浄化用触媒。
  2. 【請求項2】 窒素酸化物と一酸化炭素を含む排ガス中
    に還元剤としてアンモニアを添加した後、請求項1記載
    の排ガス浄化用触媒に接触させ、前記窒素酸化物と一酸
    化炭素を除去することを特徴とする排ガスの浄化方法。
  3. 【請求項3】 前記排ガスがガスタービン排ガスであ
    り、該排ガスを前記排ガス用浄化触媒に350〜600
    ℃の温度下で接触させることを特徴とする請求項2に記
    載の排ガスの浄化方法。
  4. 【請求項4】 アンモニアを含む排ガスを請求項1記載
    の排ガス浄化用触媒に接触させ、前記アンモニアを窒素
    と水に酸化分解することを特徴とする排ガスの浄化方
    法。
  5. 【請求項5】 前記アンモニアを含む排ガスが、アンモ
    ニア含有排水にアルカリを添加した後、加熱下で空気と
    接触させ、該排水中のアンモニアを気相に移行させるこ
    とにより生成した排ガスであることを特徴とする請求項
    4に記載の排ガスの浄化方法。
  6. 【請求項6】 ガスタービンの排ガス中にアンモニアを
    添加した後、350〜600℃の温度下で脱硝反応活性
    を有する触媒に接触させ、該排ガスに含有する窒素酸化
    物を除去し、次いで、請求項1記載の排ガス浄化用触媒
    に接触させて該排ガスに含有する一酸化炭素および未反
    応アンモニアを除去することを特徴とするガスタービン
    排ガスの浄化方法。
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