JP2003305139A - 有機ハロゲン化合物の無害化処理方法 - Google Patents

有機ハロゲン化合物の無害化処理方法

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JP2003305139A JP2002112282A JP2002112282A JP2003305139A JP 2003305139 A JP2003305139 A JP 2003305139A JP 2002112282 A JP2002112282 A JP 2002112282A JP 2002112282 A JP2002112282 A JP 2002112282A JP 2003305139 A JP2003305139 A JP 2003305139A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タール成分によって油水分離の操作が阻害さ
れる虞も少なく、無害化処理を円滑に行いうる有機ハロ
ゲン化合物の無害化処理方法を提供する。 【解決手段】 絶縁油中で有機ハロゲン化合物とアルカ
リ金属とを反応させる反応工程と、前記反応工程にて生
成した前記絶縁油中のハロゲン化アルカリ金属塩を水に
抽出させるべく、前記反応工程を経た前記絶縁油に水を
混合する水和工程と、該水和工程を経た前記絶縁油から
水を分離し除去する油水分離工程とを備える有機ハロゲ
ン化合物の無害化処理方法であって、前記油水分離工程
の前に、前記水和工程にて混合する水によって生成しう
る前記絶縁油中成分の加水分解物を酸の添加により水中
に溶存させる酸添加工程と、該酸添加工程により水中に
溶存した前記加水分解物を塩析により固形分として析出
させる塩析工程とを備えることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機ハロゲン化合
物の無害化処理方法に関し、詳しくは、絶縁油中で有機
ハロゲン化合物とアルカリ金属とを反応させる反応工程
を備えた有機ハロゲン化合物の無害化処理方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリ塩化ビフェニル(以下、「PCB」
という場合がある。)類、ダイオキシン類等の有機ハロ
ゲン化合物は、環境汚染物質として知られており、近
年、これらの有機ハロゲン化合物を如何に安全に処理す
るかが問題となっている。特に、PCBは、非常に化学
的に安定しており分解され難く、しかも、絶縁性(電気
抵抗)が高いことから、従前においてはトランスやコン
デンサー等の絶縁材料や熱媒体等として頻繁に用いられ
ていたため、従前から使用されていたものに対して如何
に処理するかが大きな問題となっている。
【0003】従来、この種の有機ハロゲン化合物、特に
PCBの無害化処理方法としては、絶縁油中で有機ハロ
ゲン化合物とアルカリ金属とを反応させて脱ハロゲン化
を行う反応工程と、反応工程を経て、脱ハロゲン化合物
(有機ハロゲン化合物が脱ハロゲン化された化合物)、
ハロゲン化アルカリ金属等を含む絶縁油に水を混合し、
絶縁油中に存在するハロゲン化アルカリ金属塩を水に抽
出させる水和工程と、水和工程後に、脱ハロゲン化合物
を含む絶縁油から、ハロゲン化アルカリ金属塩が溶存し
た水を分離し除去する油水分離工程とを備える方法が採
用されている。尚、この方法に於いて、油水分離工程後
には、通常、絶縁油及び水をそれぞれ別々に処理し、そ
れぞれ最終的に廃棄したり回収したりしている。
【0004】ところで、上記従来の方法に於いては、水
和工程の後に、絶縁油と水との界面(例えば、静置によ
り油層と水層に分離させた場合には、油層と水層の界
面)に絶縁油成分由来の粘性の高いタール成分の発生す
る場合がある。特に、絶縁油が古く劣化している場合に
は、前記タール成分が多量に発生する場合がある。そし
て、このタール成分は、油水分離工程を行う際、その高
い粘性によって油水分離を行う槽内壁面に付着したり、
分離した後の絶縁油及び水を槽外へ排出するための配管
等を閉塞したりするなど、油水分離の操作を阻害し、無
害化処理を円滑に行えないという問題を引き起こしてい
る。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】そこで、上記従来の問題点に鑑み、本発明
は、タール成分によって油水分離の操作が阻害される虞
も少なく、無害化処理を円滑に行いうる有機ハロゲン化
合物の無害化処理方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記従来の
問題点に鑑み鋭意検討した結果、絶縁油には、経時的な
酸化により形成されるエステル等の酸素含有成分が含ま
れており、特に、古く劣化した絶縁油にはより多くの酸
素含有成分が含まれており、この酸素含有成分が水の存
在下に加水分解され、油と水との境界域にアルカリ金属
を中心とした粘性の高いミセルを形成し、これによっ
て、タール成分が生成することを発見した。そして、更
に検討を重ねた結果、下記手段により上記課題が解決さ
れることを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明に係る有機ハロゲン化合物の
無害化処理方法は、絶縁油中で有機ハロゲン化合物とア
ルカリ金属とを反応させる反応工程と、前記反応工程に
て生成した前記絶縁油中のハロゲン化アルカリ金属塩を
水に抽出させるべく、前記反応工程を経た前記絶縁油に
水を混合する水和工程と、該水和工程を経た前記絶縁油
から水を分離し除去する油水分離工程とを備える有機ハ
ロゲン化合物の無害化処理方法であって、前記油水分離
工程の前に、前記水和工程にて混合する水によって生成
しうる前記絶縁油中成分の加水分解物を酸の添加により
水中に溶存させる酸添加工程と、該酸添加工程により水
中に溶存した前記加水分解物を塩析により固形分として
析出させる塩析工程とを備えることを特徴とする。
【0008】斯かる方法によれば、酸添加工程にて、タ
ール成分の主成分たる絶縁油中成分の加水分解物を水中
に溶存させることにより、タール成分の生成を抑制し、
又は一旦生成したタール成分を分解することができ、し
かも、その後の塩析工程により、前記加水分解物を粘性
の低下した固形分として析出させることができるので、
油水分離工程にて、タール成分が油水分離を行う槽内の
内壁面に付着したり、その後の配管を閉塞したりするな
ど、タール成分によって、油水分離操作が阻害される虞
が低減し、有機ハロゲン化合物の無害化処理を円滑に行
うことができる。
【0009】本発明に於いては、前記酸添加工程は、水
和工程の後に備えられ、該酸添加工程は、静置により前
記絶縁油と前記水とを油層と水層とに層分離させた状態
にて前記酸の添加を行う工程であるのが好ましい。斯か
る方法によれば、静置により油層と水層とに層分離させ
た状態にて、タール成分の生成が十分に確認できるの
で、該タール成分を十分に消失又は低減させるように酸
の添加を行うことができ、タール成分を十分に消失又は
低減させるために必要とされる量の酸を確実に添加する
ことができる。
【0010】本発明に於いては、前記塩析工程の後、前
記油水分離工程の前に、前記固形分を濾過により除去す
る濾過工程を備えることが好ましい。塩析により析出し
た固形分は、タール成分に比して粘性が低いため、濾過
用の目孔を閉塞する虞も無く、濾過によって簡便に分離
除去することができると共に、後の油水分離をより一層
容易に行うことができる。
【0011】本発明に於ける絶縁油としては、例えば、
柱上トランス等に使用されていた絶縁油を挙げることが
でき、好ましくは、JIS C 2320 1種の鉱
油、より好ましくは、同種2号のトランス油を挙げるこ
とができる。酸としては、無機酸が好ましく、無機酸と
しては、希塩酸、希硫酸等の前記加水分解物を水中に溶
存させうる強酸を挙げることができる。有機ハロゲン化
合物としては、例えば、PCB、ダイオキシン類、ハロ
ゲンを有するジベンゾフラン類、ポリ塩化ベンゼン、塩
化メチレン或いはこれらに含まれる塩素原子が臭素原子
に置換された臭素化物等の有害な有機ハロゲン化合物を
挙げることができる。PCBとしては、コンデンサー、
トランス等の電気機器に使用されていたPCBや柱上ト
ランスにて使用されていた絶縁油中に存在するPCBを
挙げることができる。また、アルカリ金属としては、ナ
トリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム等を挙げる
ことができ、中でも反応速度、取扱いの容易さからナト
リウムが好ましい。これらのアルカリ金属は、通常、有
機ハロゲン化合物中のハロゲン原子1原子モルに対して
1〜50倍当量(化学当量の1〜50倍)、好ましく
は、2〜20倍当量用いられる。また、これらのアルカ
リ金属は、通常、分散媒に分散されたアルカリ金属分散
体の状態で使用される。分散媒としては、好ましくは絶
縁油が使用され、より好ましくはJIS C 2320
1種の鉱油、特に、同種2号のトランス油が使用され
る。アルカリ金属分散体のアルカリ金属濃度としては、
5〜50%程度が好ましく、アルカリ金属の平均粒子径
としては、20μm以下が好ましく、10μm以下がよ
り好ましい。尚、平均粒子径は、顕微鏡測定法により測
定される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、PCBの無害化処理方法を
例に取り、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照し
つつ説明する。
【0013】図1は、本実施形態に於けるPCBの無害
化処理方法及びその装置を示す概略フロー図である。先
ず、本実施形態のPCBの無害化処理方法を実施する装
置について説明する。
【0014】該装置は、反応槽10を有し且つ反応槽1
0内にて絶縁油中のPCBとナトリウムとを反応させる
反応部1と、反応部1を経た絶縁油を貯留する貯留槽2
1を有し且つ貯留槽21内の絶縁油から反応生成物たる
塩化ナトリウムを抽出除去するアルカリ金属塩除去部2
0とを備えて構成されている。前記反応部1は、PCB
含有絶縁油と、ナトリウム分散体と、水素供与体たるイ
ソプロピルアルコールとを反応槽10に供給しうるよう
に構成されている。
【0015】前記アルカリ金属塩除去部20は、貯留槽
21内の絶縁油から塩化ナトリウム及び未反応のアルカ
リ金属(ナトリウム)を抽出すべく、貯留槽21内に水
を供給することにより、絶縁油に水を混合する水和部2
と、絶縁油中成分のアルカリ加水分解物を水に溶存させ
るべく、貯留槽21に希塩酸を供給することにより、絶
縁油及び水和部2にて供給された水に希塩酸を添加する
酸添加部3と、水に溶存したアルカリ加水分解物を固形
分として析出させるべく、前記貯留槽21に塩化ナトリ
ウムを供給することにより塩析を行う塩析部4と、塩析
により析出した固形分を濾過により絶縁油及び水から分
離除去する濾過部6と、固形分の除去された絶縁油及び
水を、静置により油層と水層とに層分離させた状態から
水を分離し除去する油水分離部5とを備えて構成されて
いる。尚、油水分離部5により水の除去された残存油、
即ち、脱塩素化合物たるビフェニルを含む絶縁油は、貯
留槽21から排出され、周知の方法でビフェニルが取り
除かれ、後処理が施されて廃棄又は回収されるように構
成されている。
【0016】次に、上記装置を用いたPCBの無害化処
理方法について説明する。本実施形態のPCBの無害化
処理方法は、絶縁油中でPCBとナトリウムとを反応さ
せる反応工程1と、反応工程1にて生成した前記絶縁油
中の塩化ナトリウムを水に抽出させるべく、反応工程1
を経た絶縁油に水を混合する水和工程2と、水和工程2
を経た前記絶縁油から水を分離し除去する油水分離工程
5とを備えてなり、更に、油水分離工程5の前に、前記
水和工程2にて混合する水によって生成しうる前記絶縁
油中成分の加水分解物を酸の添加により水中に溶存させ
る酸添加工程3と、該酸添加工程3により水中に溶存し
た前記加水分解物を塩析により固形分として析出させる
塩析工程4と、塩析工程4の後に前記固形分を濾過によ
り分離除去し回収する濾過工程6とをそれぞれ備えてな
る。
【0017】以下、各工程について、更に詳述する。 〈反応工程1〉先ず、反応部1にて、予め反応に必要な
化学当量より過剰のナトリウム分散体を入れた反応槽1
0に、PCB含有絶縁油と水素供与体とを供給し、反応
熱を利用して、所定の温度になるまで加熱する。尚、P
CB含有絶縁油としては、柱上トランス等から取り出さ
れたPCBを含有する絶縁油や、トランスやコンデンサ
ーから取り出されたPCBを希釈油たる絶縁油(JIS
C 2320の鉱油)で希釈することにより調製した
もの等を挙げることができる。ナトリウム分散体の分散
媒としては、PCB含有絶縁油と同種の絶縁油を使用す
る。
【0018】斯かる操作により、PCBとナトリウムと
は、円滑に絶縁油中で反応する。このとき、脱塩素化合
物たるビフェニルラジカルは、イソプロピルアルコール
から水素の供与を受けることにより、ビフェニルとして
安定化され、その結果、ビフェニルの重合が抑制され
る。尚、反応後には、絶縁油中に、反応生成物たる塩化
ナトリウム、ナトリウムアルコラート、ビフェニル、未
反応のナトリウムが残存する。
【0019】<水和工程2>反応工程1後、反応槽10
内の塩化ナトリウム等を含む絶縁油を貯留槽21に供給
する。次いで、水和部2にて貯留槽21に水を供給する
ことにより、絶縁油に水を混合する。斯かる操作によ
り、絶縁油中に含まれる塩化ナトリウム、ナトリウムア
ルコラートが水に抽出され、未反応のナトリウムが水に
分解されて抽出される。また、経時的な酸化によって絶
縁油中に含まれている絶縁油成分たるエステル等が、未
反応のナトリウムと水との存在下、アルカリ加水分解さ
れ、アルカリ加水分解物(カルボン酸、通常、水に溶け
うる程度の低級脂肪酸)が生成する。次いで、絶縁油と
水の混合液を静置することにより、油層と水層とを層分
離させる。このとき、アルカリ加水分解物は、油層と水
層との界面において、ナトリウムイオンを中心として周
囲にカルボン酸イオンの配列した、タール成分たる粘性
の高いミセルを形成する。
【0020】〈酸添加工程3〉次いで、酸添加部3に
て、ミセルを水中に溶存させるべく、貯留槽21に希塩
酸を添加する。尚、希塩酸の添加は、ミセルが完全に消
失するまで行う。具体的には、水のpHが1〜6になる
まで添加する。斯かる操作により、タール成分たるミセ
ルは十分に分解され、アルカリ加水分解物は、カルボン
酸又はカルボン酸イオンとなって水中に十分に溶存する
ことになる。従って、塩析工程及び濾過工程において、
タール成分を殆ど含まない状態で、固形分のみを効率よ
く析出させ、回収することができる。尚、アルカリ加水
分解物の溶存により、水は白濁する。
【0021】〈塩析工程4〉次いで、水中に溶存したア
ルカリ加水分解物を固形分として析出させるべく、塩析
部4にて塩化ナトリウムを貯留槽21に添加することに
より、塩析を行う。斯かる操作により、水中に溶存した
アルカリ加水分解物は、ミセルよりも粘性の低い固形分
(カルボン酸ナトリウム)として、主に油層と水層との
界面に析出する。
【0022】〈濾過工程6〉次いで、貯留槽21内の絶
縁油及び水から塩析工程4により析出した固形分を、濾
過部6にて濾過することにより取り除く。例えば、塩析
後の固形分を含む絶縁油と水との混合液を貯留槽21の
外部に配された濾過部6としてのメッシュフィルター等
の濾過器に通すことにより、固形分を回収し、固形分の
取り除かれた混合液を貯留槽21に戻す。尚、固形分
は、そのまま一般廃棄物として処理しうる。
【0023】〈油水分離工程5〉次いで、濾過工程6に
より固形分の取り除かれたビフェニルを含む絶縁油及び
水を、貯留槽21内にて静置することにより、油層と水
層に層分離させる。そして、油水分離部5にて、層分離
した状態から水を分離し貯留槽21から排出する。斯か
る操作により、絶縁油中に含まれていた塩化ナトリウム
は、水に溶存した状態で水と共に取り除かれる。次い
で、水と分離されたビフェニルを含む絶縁油を、廃棄
し、又は、回収のうえPCBの希釈油として再利用す
る。一方、貯留槽21から排出した水を、蒸留等により
精製して水和工程2にて絶縁油に混合する水として再利
用し、酸を蒸留等により回収し、酸添加工程に再利用す
る。
【0024】尚、本実施形態の有機ハロゲン化合物の無
害化処理方法は、上記の如く構成されたが、本発明は、
本実施形態に限定されず適宜設計変更可能である。例え
ば、本実施形態は、反応工程1に於いて、PCBを希釈
する希釈油及びナトリウムの分散媒として絶縁油を使用
することにより、絶縁油中でPCBとナトリウムとを反
応させたが、何れか一方のみに絶縁油を使用することに
より、絶縁油中でPCBとナトリウムとを反応させる場
合であっても本発明の意図する範囲内である。また、塩
析工程4に於いて、固形分を析出させるべく、塩化ナト
リウムを用いたが、本発明に於いては、塩化ナトリウム
に替えて、塩化カリウム等の他の塩を用いてもよい。但
し、有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化に用いたアルカ
リ金属と、酸添加に用いた酸とによって生成する塩と同
種のものを用いるのが好ましい。更に、本実施形態に於
いては、水素供与体として、イソプロピルアルコールを
用いたが、他のアルコール、水、第一級アミン、第二級
アミン等を用いても良い。尚、他のアルコールとして
は、直鎖又は分枝の炭素数1〜5の低級アルコールを、
好ましくは、分枝の第二級又は第三級アルコールを挙げ
ることができ、具体的には、メチルアルコール、エチル
アルコール、n−プロピルアルコール、tert−ブチ
ルアルコール、n−ペンチルアルコール、イソペンチル
アルコール、sec−ペンチルアルコール、tert−
ペンチルアルコール等を挙げることができる。これらの
水素供与体は、有機ハロゲン化合物のハロゲン原子1原
子モルに対して、通常、1.0〜2.5倍当量が反応工
程において使用される。
【0025】また、本実施形態における有機ハロゲン化
合物の無害化処理方法に於いては、水和工程2の後、タ
ール成分が析出した状態で酸添加を行う酸添加工程3を
備えたが、本発明に於いては、反応工程1の後、水和工
程2の前に酸添を行う酸添加工程3を備える場合であっ
てもよい。また、水和工程2にて絶縁油に混合する水に
予め酸を添加しておき、水和工程2に於ける水の混合と
同時に酸添加を行う酸添加工程3を備える場合であって
もよい。
【0026】更に、本実施形態に於いては、油水分離工
程5の前に濾過を行う濾過工程6を備えたが、油水分離
工程5の後に濾過を行う濾過工程6を備える場合であっ
ても、また、濾過工程6を備えない場合であっても本発
明の意図する範囲内である。斯かる場合であっても、残
存する固形分は、タール成分よりも粘度が低いことから
油水分離工程5に於いて、油水分離を行う槽内の内壁面
に付着したり、後の配管を閉塞したいする等、油水分離
操作の阻害される虞が低減する。
【0027】また、本実施形態に於いては、水和工程の
後、酸添加工程の前に、静置により油層と水層に分離さ
せ、水層たるアルカリ性の水の一部を除去しても良い。
斯かる方法によれば、水の一部を除去することにより、
アルカリ性の水の量が減少することから、酸添加工程に
於いて、タール成分を水中に溶出させるべく添加する酸
の量を低減することができる。この方法に於いては、除
去した水を、油水分離工程にて分離された酸性の水に混
合しても良い。斯かる方法によれば、除去した水を油水
分離にて分離された酸性の水の中和に利用でき、油水分
離工程にて分離された酸性の水をアルカリを用いて中和
する場合に於いては、別途使用するアルカリ量を少なく
とも低減することができる。
【0028】
【実施例】実施例 攪拌器及び温度計を取り付けた20L反応装置(反応
槽)に、20ppmのPCBを含む劣化絶縁油18kg
を仕込み、反応系内を窒素ガスで置換後90℃に加熱し
た。その後、分散媒としてトランス油(JIS C−2
330 1種2号)を用いた濃度31wt%のナトリウ
ム分散体144g及びイソプロピルアルコール20ml
を添加し、90℃、1時間の条件下で反応させた。反応
後50℃以下に冷却したのち、反応後の液を炭酸ガスと
共に、水の入った水和槽(貯留槽21)内に供給し、水
和処理を行った。水和処理後、静置により油層と水層に
分離させたところ、油層と水層の界面に200mlのタ
ール成分が生成した。次いで、水和槽内に希塩酸を添加
し、水和槽内の水のpHを2〜5に調整した。これによ
って、水は白濁し、タール成分が水中に溶出した。次い
で、水和槽内に塩化ナトリウム20gを攪拌しながら添
加した。水層と油層の界面に固形分が数g析出した。次
いで、濾過器に通し固形分を分離除去した。分離除去し
た固形分は、タール成分に比して、粘性が低く、濾過器
を閉塞することも無かった。
【0029】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る有機ハロゲ
ン化合物汚染油の無害化処理方法によれば、タール成分
によって油水分離の操作が阻害される虞も少なく、無害
化処理を円滑に行いうるという利点を有する。また、タ
ール成分によって油水分離の操作が阻害される虞が少な
いことから、、絶縁油を回収して希釈油等に再利用する
場合には、その操作をも円滑に行いうるという利点を有
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の有機ハロゲン化合物の無害化処理
方法及び該方法を実施する装置を示す概略フロー図。
【符号の説明】
1・・・反応工程(反応部)、2・・・水和工程(水和部)、
3・・・酸添加工程(酸添加部)、4・・・塩析工程(塩析
部)、5・・・油水分離工程(油水分離部)、6・・・濾過工
程(濾過部)
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 9/02 615 B01D 9/02 615A 616 616 617 617 619 619A 619Z 11/04 11/04 B 17/025 502 17/025 502Z C07B 35/06 C07B 35/06 37/06 37/06 (72)発明者 川井 隆夫 兵庫県神戸市北区惣山町4−21−2 Fターム(参考) 2E191 BA12 BA13 BA15 BC01 BD11 4D056 AB07 AC22 BA03 CA06 CA17 CA18 CA31 CA39 4H006 AA05 AC13 AD18 BE11 BE60

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁油中で有機ハロゲン化合物とアルカ
    リ金属とを反応させる反応工程(1)と、前記反応工程
    (1)にて生成した前記絶縁油中のハロゲン化アルカリ
    金属塩を水に抽出させるべく、前記反応工程(1)を経
    た前記絶縁油に水を混合する水和工程(2)と、該水和
    工程(2)を経た前記絶縁油から水を分離し除去する油
    水分離工程(5)とを備える有機ハロゲン化合物の無害
    化処理方法であって、 前記油水分離工程(5)の前に、前記水和工程(2)に
    て混合する水によって生成しうる前記絶縁油中成分の加
    水分解物を酸の添加により水中に溶存させる酸添加工程
    (3)と、該酸添加工程(3)により水中に溶存した前
    記加水分解物を塩析により固形分として析出させる塩析
    工程(4)とを備えることを特徴とする有機ハロゲン化
    合物の無害化処理方法。
  2. 【請求項2】 前記酸添加工程(3)は、水和工程
    (2)の後に備えられ、該酸添加工程(3)は、静置に
    より前記絶縁油と前記水とを油層と水層とに層分離させ
    た状態にて前記酸の添加を行う工程である請求項1記載
    の有機ハロゲン化合物の無害化処理方法。
  3. 【請求項3】 前記塩析工程(4)の後、前記油水分離
    工程(5)の前に、前記固形分を濾過により除去する濾
    過工程(6)を備える請求項1又は2記載の有機ハロゲ
    ン化合物の無害化処理方法。
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