JP2003301119A - 塩素含有重合体用安定剤及び塩素含有重合体組成物 - Google Patents

塩素含有重合体用安定剤及び塩素含有重合体組成物

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JP2003301119A
JP2003301119A JP2002109679A JP2002109679A JP2003301119A JP 2003301119 A JP2003301119 A JP 2003301119A JP 2002109679 A JP2002109679 A JP 2002109679A JP 2002109679 A JP2002109679 A JP 2002109679A JP 2003301119 A JP2003301119 A JP 2003301119A
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chlorine
stabilizer
acid
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zinc
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Seiji Wakagi
誠治 若木
Yoshitaka Tanaka
淑喬 田中
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Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
Original Assignee
Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱安定性と初期着色防止性とに優れしかも塩
素含有重合体の分散性にも優れた塩素含有重合体用安定
剤を提供する。 【解決手段】 芳香族カルボン酸塩(A)と亜鉛系金属
石鹸(B)とを A:B=99:1乃至1:99 の重量比で含有した塩素含有重合体用安定剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩素含有重合体用
安定剤に関する。より詳細には、芳香族カルボン酸アル
カリ金属塩及び亜鉛系金属石鹸を有効成分として含有
し、熱安定性と初期着色防止性とに優れた塩素含有重合
体用安定剤及び安定剤組成物乃至塩素含有重合体組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】塩素含有重合体、例えば塩化ビニル樹脂
は熱及び光に曝されるとその分子鎖内で脱塩酸が生じ、
分解、変色等生じる。この熱分解に対し塩化ビニル樹脂
を安定化するために、従来種々の安定剤或いは安定剤組
成物が提案され、広く使用されている。このような安定
剤は、塩素含有重合体の加熱時に発生する塩化水素を捕
捉する性質を有するものであり、商業的にはカルシウ
ム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、鉛等の多価金属の
有機酸塩及び無機酸塩が、正塩或いは塩基性塩の形で専
ら使用されている。
【0003】芳香族カルボン酸塩を安定剤成分として用
いることも従来知られており、例えば特開昭52−74
650号公報には、硬質塩化ビニル樹脂組成物に0.8
〜3.0PHRのカルシウムベンゾエート、0.3〜
4.0PHRのマンニットを配合してなる硬質塩化ビニ
ル樹脂組成物が記載されている。
【0004】特開昭54−144450号公報には、ハ
ロゲン含有樹脂に、(a)有機酸の金属塩、及び(b)
α、β−オレフィン系不飽和カルボン酸アルキルエステ
ルを主単量体とするオリゴマーとポリアルキレングリコ
ール及び/またはその誘導体との部分エステル交換物
(ポリアルキレングリコール含有率50重量%以上)を
添加してなる安定化されたハロゲン含有樹脂組成物が記
載され、その実施例には有機酸金属塩として、Zn−ト
ルエートを用いることが記載されている。
【0005】特開昭55−108437号公報には、架
橋可能なポリ塩化ビニル系樹脂組成物100重量部に対
し、安息香酸金属塩を少なくとも0.3重量部以上加え
てなることを特徴とする架橋ポリ塩化ビニル系樹脂組成
物が記載されている。
【0006】特開平6−136173号公報には、塩化
ビニル樹脂粉末、有機発泡剤、安定剤及び可塑剤からな
る粉末成形用樹脂組成物において、安定剤としてナトリ
ウム石鹸と亜鉛石鹸からなる複合金属石鹸が配合された
粉末成形用樹脂組成物が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】芳香族カルボン酸アル
カリ金属塩、例えば安息香酸ナトリウムは塩化ビニル系
樹脂に対する配合成分として公知のものではあるが、商
業的な安定剤として広く使用されるに至っていない。事
実、種々の金属塩の内でも、アルカリ金属塩は最も塩基
性で、塩化水素との反応性に富んでおり、従って塩化水
素捕捉能という見地からは最も優れていることが期待さ
れる。しかしながら、アルカリ金属塩を実際に塩化ビニ
ル樹脂に配合すると、配合時或いは加熱初期に樹脂を赤
色に着色する傾向が大であり、熱安定化効果も期待され
る程大きくはない。この理由は、アルカリ金属塩そのも
のが配合時或いは加熱初期において、樹脂の脱塩酸を促
し、樹脂を劣化させるように作用することによるものと
思われる。
【0008】本発明者らは、芳香族カルボン酸アルカリ
金属塩と亜鉛系金属石鹸とを特定の量比で組み合わせて
安定剤として用いると、アルカリ金属塩に特有の前述し
た初期着色傾向が有効に解消されると共に、亜鉛系金属
石鹸に特有の亜鉛バーニングも有効に解消され、熱安定
化効果も顕著に向上することを見い出した。即ち、本発
明の目的は、芳香族カルボン酸アルカリ金属塩及び亜鉛
系金属石鹸を有効成分として含有し、熱安定性と初期着
色防止性とに優れしかも塩素含有重合体の分散性にも優
れた塩素含有重合体用安定剤を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、(A)
下記式(1)
【化1】 式中、環Aは置換基または縮合環を有していてもよく、
Mはアルカリ金属である、で表される芳香族カルボン酸
塩と(B)亜鉛系金属石鹸とを A:B=99: 1乃至 1:99 好適にはA:B=70:30乃至30:70 の重量比で含有することを特徴とする塩素含有重合体用
安定剤が提供される。本発明の塩素含有重合体用安定剤
においては、 1.前記(A)芳香族カルボン酸塩と(B)亜鉛系金属
石鹸とを乾式で共粉砕してなること、 2.前記(A)芳香族カルボン酸塩と(B)亜鉛系金属
石鹸に、更に(C)多価アルコール乃至その部分エステ
ルを[(A)+(B)]合計量100重量部当たり0.
1乃至900重量部含有した混合物を溶融した後、乾式
で共粉砕してなること、 3.芳香族カルボン酸塩が安息香酸ナトリウムであるこ
と、 4.亜鉛系金属石鹸が炭素数が8〜22の脂肪酸または
樹脂酸の亜鉛塩であること、 5.(D)非鉛系無機安定剤を更に含有してなること、 6.芳香族カルボン酸塩と亜鉛系金属石鹸との合計量1
00重量部当たり、(D)非鉛系無機安定剤を0.1乃
至10重量部の量で含有すること、 7.(D)非鉛系無機安定剤が、アルカリ土類金属の水
酸化物、アルカリ土類金属のケイ酸塩、アルカリ土類金
属の塩基性ケイ酸塩、アルカリ土類金属を含む複合金属
水酸化物塩、及びアルミノケイ酸塩からなる群より選択
された少なくとも1種であること、 8.含窒素化合物からなる安定化助剤を更に含有するこ
と、が好ましい。 本発明によればまた、塩素含有重合体100重量部当た
り (A)下記式(1)
【化1】 式中、環Aは置換基または縮合環を有していてもよく、
Mはアルカリ金属である、で表される芳香族カルボン酸
塩と(B)亜鉛系金属石鹸とを A:B=99:1乃至1:99 の重量比で含有する安定剤を0.1乃至10重量部、好
適には0.5乃至5重量部含有することを特徴とする安
定化された塩素含有重合体組成物が提供される。本発明
の塩素含有重合体組成物においては、 1.(A)芳香族カルボン酸塩と(B)亜鉛系金属石鹸
とを乾式で共粉砕してなる当該安定剤を含有してなるこ
と、 2.(A)芳香族カルボン酸塩と(B)亜鉛系金属石鹸
に、更に(C)多価アルコール乃至その部分エステルを
[(A)+(B)]合計量100重量部当たり0.1乃
至900重量部含有した混合物を溶融した後、乾式で共
粉砕してなる当該安定剤を含有してなること、 3.(A)芳香族カルボン酸塩が安息香酸ナトリウムで
あること、 4.(B)亜鉛系金属石鹸が炭素数が8〜22の脂肪酸
または樹脂酸の亜鉛塩であること、 5.(D)非鉛系無機安定剤を0.1乃至10重量部を
更に含有してなること、が好ましい。
【0010】
【発明の実施形態】[作用]本発明の安定剤は、アルカ
リ金属成分として(A)前記式(1)で表される芳香族
カルボン酸アルカリ金属塩を選択し、この芳香族カルボ
ン酸塩を(B)亜鉛系金属石鹸と A:B=99: 1乃至 1:99 好適には、A:B=70:30乃至30:70 の重量比で組み合わせたことが特徴であり、この特徴に
よりアルカリ金属塩に特有の初期着色傾向を有効に解消
し、また亜鉛系金属石鹸に特有の亜鉛バーニングも有効
に解消し、熱安定化効果を顕著に向上させることができ
る。
【0011】塩素含有重合体の初期着色傾向は、塩素含
有重合体及び種々の配合剤を混練し、成形したシートの
色相を観察し、その着色の程度で評価することができ
る。また、熱安定性は、上記の成形シートを温度190
℃のギヤオーブン耐熱試験に付し、一定時間毎のシート
の着色の程度を観察し、この着色の程度と、黒化時間を
測定することにより評価することができる。
【0012】本発明においては、(A)芳香族カルボン
酸塩と(B)亜鉛系金属石鹸とを乾式による共粉砕して
得られた均質(緊密)な組成物にすることにより、初期
着色傾向を一層抑制し、熱安定性を一層向上させること
ができる。これは、両者を緊密組成物の形とすることに
より、塩素含有重合体への分散性が向上し、成形体の透
明性を向上するものと考えられる。更には、亜鉛系金属
石鹸の被覆による芳香族カルボン酸塩の吸湿抑制やこの
状態での芳香族カルボン酸塩の微粒化が有効に作用して
いると信じられる。後述する実施例より(A)及び
(B)成分を乾式による共粉砕した安定剤を配合したと
きの塩化ビニル樹脂の初期着色の評価は1のレベルであ
り、黒化時間も85分間であり(実施例7)、共粉砕し
ない実施例4に比べ熱安定性が向上していることが分か
る。この共粉砕は、(A)芳香族カルボン酸塩と(B)
亜鉛系金属石鹸の混合物を乾式で粉砕することにより得
られ、粉砕の方法の具体例としては、ジョークラッシャ
ー、ハンマミル、パルペライザー、エッジランナ、スー
パーミクロンミル(ライナーと内壁の隙間)、ロールミ
ル、ジェットミル、ファインビクトリミル(羽にぶつけ
て粉砕)、ボールミル、振動ボールミル、ローラミル、
ダイノミル、アクアマイザー、レイモンドミル、フェザ
ーミル、パルベライザ(回転ハンマー、ライナーデスク
の隙間や溝)、アトマイザー、カッタミル、ディスパミ
ル、ピンミル等が上げられる。また、混合は、スーパー
ミキサー、ナウタミキサー、タンブラー、コニカルブレ
ンダー等を使用して行うことができる。
【0013】更に本発明においては、(A)芳香族カル
ボン酸塩と(B)亜鉛系金属石鹸に、更に(C)多価ア
ルコール乃至その部分エステルを[(A)+(B)]合
計量100重量部当たり0.1乃至900重量部、好適
には0.5乃至150重量部含有した混合物を(B)成
分の溶融する温度以上、具体的には80℃以上、好まし
くは80℃乃至120℃で溶融した後、乾式で共粉砕す
ることにより一層の熱安定性とその持続効果を得ること
ができる。
【0014】また、本発明においては、種々のカルボン
酸アルカリ金属塩の内でも、前記式(1)の芳香族カル
ボン酸アルカリ金属塩を用いることが重要である。アル
カリ金属塩が塩素含有重合体の成形シートを赤色に初期
着色することは既に指摘したとおりであり、この傾向は
芳香族カルボン酸塩でも、高級脂肪酸塩でも同様である
が、高級脂肪酸アルカリ金属塩の場合には黒化時間が5
0分間であるのに対して、芳香族カルボン酸アルカリ金
属塩の場合には黒化時間が60分間であり、熱安定性に
より優れていることが了解される。
【0015】本発明によれば、この芳香族カルボン酸塩
を亜鉛系金属石鹸と前述した量比で組み合わせる。亜鉛
系金属石鹸の量比が上記範囲を下回ると、アルカリ金属
塩に特有の初期着色傾向が解消されない。一方、芳香族
カルボン酸アルカリ金属塩の量比が上記範囲を下回る
と、亜鉛系金属石鹸に特有の亜鉛バーニングが解消され
ず、熱安定化効果の向上が見られない。
【0016】芳香族カルボン酸アルカリ金属塩を安定剤
として用いる場合の問題点として、塩素含有重合体への
分散性に劣ることが挙げられる。即ち、芳香族カルボン
酸アルカリ金属塩を配合した塩素含有重合体は透明性に
劣るという問題がある。この理由としては、アルカリ金
属塩は、程度の差はあれ、吸湿性があり、一次粒子が微
細であっても、強固な凝集体を形成していることが考え
られる。一方、安定剤による安定化作用は、粒子表面を
介して行われるものであるので、芳香族カルボン酸アル
カリ金属塩を塩素含有重合体に微粒化分散させると、安
定化作用が一層向上することが期待される。
【0017】また、本発明において、(D)非鉛系無機
安定剤を更に含有することにより熱安定性を向上させる
ことができる。実際には、芳香族カルボン酸塩と亜鉛系
金属石鹸との合計量100重量部当たり、(D)非鉛系
無機安定剤を0.1乃至10重量部の量で含有させるこ
とが耐熱性を一層向上させることができる。(D)非鉛
系無機安定剤としては、アルカリ土類金属の水酸化物、
アルカリ土類金属のケイ酸塩、アルカリ土類金属の塩基
性ケイ酸塩、アルカリ土類金属を含む複合金属水酸化物
塩、及びアルミノケイ酸塩からなる群より選択された少
なくとも1種が使用できる。更には、含窒素化合物から
なる安定化助剤を添加することにより熱安定性の持続性
を向上することができる。含窒素化合物は、塩素含有重
合体100重量部当たり0.001乃至10重量部、好
ましくは0.05乃至5重量部配合することができる。
【0018】(A)[芳香族カルボン酸塩] 本発明に用いる芳香族カルボン酸塩は、安息香酸、ジメ
チル安息香酸、エチル安息香酸、n-プロピル安息香酸、
p-tert-ブチル安息香酸、ジメチルヒドロキシ安息香
酸、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-安息香酸、モノ
クロル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香
酸、N,N-ジメチルアミノ安息香酸、トルイル酸、クミン
酸、サリチル酸、p-tert-オクチルサリチル酸、ナフタ
リンカルボン酸、ナフタリンジカルボン酸、アントラセ
ンカルボン酸のアルカリ金属塩からなる群より選択され
た少なくとも1種が使用でき、好ましくはそのナトリウ
ム塩が使用できる。中でも安息香酸ナトリウムが好まし
い。
【0019】(B)[亜鉛系金属石鹸] 亜鉛系金属石鹸としては、炭素数8乃至22の脂肪酸ま
たは樹脂酸の亜鉛塩、特に7乃至18の飽和、不飽和脂
肪酸或いは樹脂酸、例えばカプリン酸、ウンデカン酸、
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン
酸、ステアリン酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸、リンデ
ル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール
酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等の亜
鉛塩が使用される。脂肪酸としては、ステアリン酸が好
適なものである。脂肪酸は勿論牛脂脂肪酸、ヤシ油脂肪
酸、パーム油脂肪酸等の混合脂肪酸であってもよい。樹
脂酸としては、安息香酸、ケイ皮酸、p-オキシケイ皮
酸、アビチエン酸、ネオアビチエン酸、d-ピマル酸、イ
ソ-d-ピマル酸、ポドカルプ酸、アガテンジカルボン酸
の亜鉛塩が使用される。
【0020】(C)[多価アルコール乃至そのエステ
ル] 多価アルコール乃至そのエステルとしては、例えば、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチレン
グリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレ
ングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、
ジグリセリン、キシリトール、マンニトール、ソルビト
ール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロ
パン、トリスイソシアヌレート、エリスリトール、モノ
ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリ
ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールアジペ
ート、ポリビニールアルコール等を挙げることができ
る。好ましくは、モノペンタエリスリトール、ジペンタ
エリスリトール、アセトン・エタノール精製物、トリメ
チロールプロパン、トリメチロールエタン、マンニトー
ル、ソルビトールが使用され、更に好ましくは平均粒径
が0.1〜100μmのモノペンタエリスリトール、が
使用される。また、上記多価アルコール乃至そのエステ
ルを単独もしくは、その中から選ばれる少なくとも1種
以上を併用することもできる。
【0021】(D)[非鉛系無機安定剤] 非鉛系無機安定剤は、アルカリ土類金属の水酸化物、ア
ルカリ土類金属のケイ酸塩、アルカリ土類金属の塩基性
ケイ酸塩、アルカリ土類金属を含む複合金属水酸化物
塩、及びアルミノケイ酸塩からなる群より選択された少
なくとも1種が使用できる。例えば、水酸化カルシウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸
カルシウム、微結晶ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシ
ウム、塩基性ケイ酸カルシウム、塩基性ケイ酸マグネシ
ウム、タルク、ハイドロタルサイト、アルカリアルミニ
ウム複合水酸化物塩、アルカリアルミニウム複合水酸化
物炭酸塩等が挙げられる。
【0022】[アルミノケイ酸塩]アルミノケイ酸金属
塩としては、層状アルミノケイ酸塩、特に各種粘土鉱物
や、テクトケイ酸塩、ゼオライトが挙げられる。ゼオラ
イトとしては、天然、合成に限定されず、例えば、A
型、X型、Y型、Pc型、L型ゼオライト等や、アナル
サイム、チャバサイト、モルデナイト、エリオナイト、
クリノプチロライトが使用され、当然Ca,Zn,Mg,Sn,Ti,P
b等のイオンでイオン交換されたものも使用できる。一
般に、A型ゼオライトのカチオン交換容量は、400乃至5
50meq/100g、Y型ゼオライトで約370meq/100g、X
型ゼオラオトで約470meq/100g程度である。
【0023】上記のアルミノケイ酸金属塩は、平均粒径
が0.1〜20μmで、好ましくは1〜10μm、且つ50〜650m
eq/100gのカチオン交換容量を有するものが好ましく、
特に4Aゼオライトが好ましい。
【0024】[ハイドロタルサイト]ハイドロタルサイ
トは、炭酸アルミニウムマグネシウム水酸化物に属する
合成鉱物であり、一般式(2) M M3(OH)2x+3y−2z(A2−)・aHO ‥(2) 式中、M2 はMg等の2価金属イオンであり、M3 は
Al等の3価金属イオンであり、A2−はCO等の2
価アニオンであり、x,y及びzは8≧x/y ≧1/4 およ
びz/x+y>1/20を満足する正数であり、aは0.25≦a/x+y
≦1.0 を満足する数である。を有する複合金属水酸化
物が使用される。
【0025】これらの複合金属水酸化物の内、式(3) MgAl(OH)16(CO)・4HO ‥(3) で表わされる化合物は、ハイドロタルサイトとして知ら
れる天然鉱物であり、この鉱物及び同族類は、協和化学
工業株式会社の出願に係る特公昭47−32198号、
特公昭48−29477号及び特公昭48−29478
号公報記載の方法等により合成されるものである。
【0026】これらのハイドロタルサイト類、特に式
(4) Mg4.5Al(OH)13(CO)・3HO ‥(4) で示される化合物が塩素イオンの捕捉性能に優れている
ことも既に知られており、このものを本発明に用いるこ
ともできる。
【0027】これらのハイドロタルサイト類が水に十分
に分散された状態において容易にイオン交換されるとい
う特性、即ち炭酸イオンが他のアニオンでイオン交換さ
れるという性質を利用して、過ハロゲン酸素酸イオンを
導入したものを用いることもできる。
【0028】本発明に用いるアルカリアルミニウム水酸
化物炭酸塩としては、リチウム・アルミニウム水酸化物
炭酸塩、ドーソナイト型のナトリウム・アルミニウム水
酸化物炭酸塩或いはこれらの混晶が挙げられる。
【0029】[リチウム・アルミニウム水酸化物炭酸
塩]リチウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩(LA
HCS)は、ギブサイト構造の水酸化アルミニウム八面
体層の空位(ベーカント)にリチウムイオンが入り込
み、その電荷を補うためにアニオンが組み込まれたもの
とされている。即ち、リチウムイオンはカチオンの中で
イオン半径が最も小さく、しかも1価イオンとしては例
外的に6配位イオンであるため上記空位に入り、上記構
造をとるものと認められる。
【0030】リチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩
は、下記式(5)、 mAlnMO・X・kHO ‥‥(5) 式中、Xは炭酸根を主体とする無機のアニオンであり、
Mはリチウムを主体とするアルカリ金属であり、mは
1.5乃至2.5の数であり、nは0.1乃至1の数で
あり、kは0乃至10の数である、で表される組成を有
しており、下記表1
【表1】 面間隔d(A) ピーク強度 面指数 7.50乃至7.64 大 (002) 4.30乃至4.44 小 (110) 3.70乃至3.84 大 (004) 2.45乃至2.58 中 (006) 2.20乃至2.30 小 (016) 1.85乃至2.08 小 (017) 1.40乃至1.52 小 (330) 1.38乃至1.48 小 (600) のX線回折像を有する。
【0031】好適なリチウム・アルミニウム複合水酸化
物炭酸塩は、下記数式(6) IS = tanθ/tanθ …(6) 式中、θは一定の面間隔のX線回折ピークにおけ
るピーク垂線と狭角側ピーク接線とがなす角度を表し、
θ は該ピークにおけるピーク垂線と広角側ピーク接
線とがなす角度を表す、で定義される積層不整指数(I
S)が面指数(016)のピークにおいて1.0以下で
あり且つ面指数(017)のピークにおいて1.0以下
であるものである。
【0032】リチウム・アルミニウム水酸化物炭酸塩
は、波数547、735、1004、1375及び34
43(cm−1)に大きな吸収のある赤外線吸収スペク
トルを有するものが好ましい。
【0033】また、リチウム・アルミニウム水酸化物炭
酸塩粒子は、レーザー散乱回折法で測定して、一般に
0.1乃至10μm、特に0.1乃至3μmの体積基準
メジアン径(D50)を有していること、JIS K6
721で測定して、0.1乃至0.35g/cm、特
に0.25乃至0.35g/cmの嵩密度を有するこ
と、10乃至70m/gのBET比表面積を有するこ
と、吸油量も40乃至70ml/100gと小さいこと
が好ましい。
【0034】上記リチウム・アルミニウム水酸化物炭酸
塩は、勿論これに限定されるものではないが、非晶質乃
至擬ベーマイト型の水和アルミナゲルと、リチウムの炭
酸塩または重炭酸塩とを、水性媒体中で、アルミナ(A
)としての濃度が1乃至5重量%となり且つ
反応終結時のpHが7乃至11となる条件下に反応させ
る方法(以下単に水和アルミナゲル法と呼ぶことがあ
る)により、或いは、ギブサイト型水酸化アルミニウム
の微粒子と、炭酸のリチウム塩または炭酸イオン及びリ
チウムイオンを形成し得るリチウム化合物と炭酸塩との
組合せとを水の存在下に反応させる方法、即ちマイグレ
ーション法により製造される。
【0035】[ケイ酸カルシウム]ケイ酸カルシウムと
しては、トバモライト、ゾノトライト等が挙げられ、中
でも微結晶カルシウムシリケートが好ましい。本発明に
用いる微結晶カルシウムシリケートは、下記一般式
(7)、 CaO・xSiO・nHO ‥‥(7) 式中、xは0.5乃至5.0の数であり、nは2.5以
下の数である、で表される化学組成を有し且つ面間隔
3.01乃至3.08オングストローム、面間隔2.7
8乃至2.82オングストローム及び面間隔1.81乃
至1.84オングストロームにX線回折像を有する微結
晶カルシウムシリケート或いはその多価アルコール乃至
その部分エステルの複合物を用いる。この一般式におい
て、xは0.5乃至5.0の範囲であるが、特に0.5
乃至3.0の範囲にあることが好ましい。また、nは
2.5以下の数であるが、特に0.5乃至1.0の範囲
にあることが好ましい。
【0036】シリカ分の含有量が、この範囲を越えて大
きいときには、上記範囲内にある場合に比して熱安定性
が低下する傾向があり、一方、この範囲を越えて小さい
場合には、上記範囲内にある場合に比して初期着色傾向
が増大する場合がある。この微結晶カルシウムシリケー
トは、若干水和している方が、熱安定化の活性が大きく
なる傾向があるが、水和量が余りにも多くなると、樹脂
の発泡傾向があるので好ましくない。
【0037】微結晶カルシウムシリケートは、一般に4
0μm以上の粒度のものが全体の10重量%以下で且つ
20μm以下の粒度のものが全体の50重量%以上であ
るような粒度分布を有していることが、塩素含有重合体
への均一な分散と熱安定化効果の点で好ましい。また、
この微結晶カルシウムシリケートは、上記の粒子構造に
関連して、60乃至200m/g、特に70乃至15
0m/gの比較的大きな比表面積、0.5ml/g以
上、特に1.0乃至4.0ml/gの細孔容積、及び5
0乃至250ml/100g、特に80乃至200ml
/100gの吸油量を有している。
【0038】この微結晶カルシウムシリケートは、非晶
質の活性ケイ酸を石灰乳中で微粉砕することにより製造
できるが、勿論この製造法に限定されない。
【0039】[含窒素化合物]含窒素化合物としては、 (1)アンモニウム型窒素化合物;ステアリン酸アンモ
ニウムのような高級脂肪酸のアンモニウム塩、クエン
酸、マロン酸、酒石酸等のアンモニウム塩、酸性リン酸
アンモニウム-カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜リン
酸アンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、ヒ
ドロキサイド、ラウリルピリジニウムヒドロキサイド。 (2)アミド型窒素化合物;アセトアミド、アクリルア
ミド、メタクリルアミド、ジシアンジアミド、クロトン
酸アミド、プロピオン酸アミド、カプロラクタム、ラウ
リンラクタム、オレイルアミド等の高級脂肪酸アミド、
高級脂肪酸とジエタノールアミンとのアミド、N・N'-ビ
ス(ヒドロキシエチル)ラウリルアミド。 (3)イミド型窒素化合物;コハク酸イミド、N-フェニ
ルコハク酸イミド、マレイン酸イミド、1-フェニル-3-
メチル-5-ピラゾロン、N・N'-エチレンビスコハク酸イ
ミド、フタルイミド、N-フェニルフタルイミド。 (4)尿素型窒素化合物;尿素、チオ尿素、N・N'-ジフ
ェニル尿素、N・N'-ジフェニルチオ尿素、N・N・N'・N'
-テトラメチル尿素、メチロール尿素。 (5)アミン型窒素化合物;m-トルイレンジアミン、シ
クロヘキシルアミン、p・p-ジアミノジフェニルメタ
ン、N・N-ジメチルアニリン、アルドール-α-ナフチル
アミン、トリブチルアミン、ブチルアルデハイドアニリ
ン、N・N'-ジフェニルエチレンジアミン、N・N'-ジサリ
シラールプロピレンジアミン、N・N'-ジ-O-トルイルエ
チレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、8-オキシ
キノリン、2-フェニルインドール、ピリジン、ステアリ
ルアミン、ラウリルアミン、β-アミノクロトン酸とブ
タンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレング
リコール、チオジエンチレングリコール、或いは高級ア
ルコールとのエステル、エチレンジアミンテトラ酢酸
塩。 (6)N-アシル−N−2−ヒドロキシエチル−アミノフ
ェニル化合物:具体的な化合物を例記すれば、N−アセ
チル−(2−ヒドロキシエチル)−アニリン、N−ステ
アロイル−N−(2−ヒドロキシエチル)−m−トルイ
ジン、N,N′−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−
N,N'−ビスフェニル−アジパミド、N,N′,
N″,N′″−テトラキス−(2−ヒドロキシエチル)
−テトラキス−N,N′,N″,N′″−テトラキス−
フェニル−1,2,3,4−テトラミド−ブタン、′N
−ベンゾイル−N−(2−ヒドロキシエチル)−アニリ
ン、N,N′−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−N,
N′−ビスフェニル−テレフタラミド、N−ベンゾイル
−N−(ヒドロキシプロピル)−アニリン、N−m−ト
リル−N−(ヒドロキシプロピル)−アニリン、N−p
−メトキシ−N−(ヒドロキシプロピル)−アニリン、
N,N′,N″−トリス−(2−ヒドロキシエチル)−
N,N′,N″−トリスフェニル−トリメサミド等。 (7)ピペリジン化合物:一般にHALSと呼ばれてい
る 2,2,6,6,テトラメチルピペリジンを基幹とした 化合
物群で ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジニル)セバケート、2−(4−2,2,6,6−
テトラメチルピペリジン)−アミノ−2−メチル−N−
(4−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)−プ
ロピオンアミド、ポリ[〔6−(1,1,3,3,−テ
トラメチルブチル)−イミノ−1,3,5−トリアジン
−2,4−ジイル〕、〔(2,2,6,6−テトラメチ
ル−4−ピペラジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペラジル)イミノー
ル]、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジル)セバチロイルアミド等。 これらの窒素化合物のうちでも、アンモニウム態及びア
ミン態の窒素化合物は、塩素捕捉能の改善が大きく、特
にステアリン酸アンモニウムのような高級脂肪酸アンモ
ニウム、インドール誘導体、β-アミノクロトン酸誘導
体は安定化助剤として有用である。
【0040】本発明の塩素含有重合体組成物には、それ
自体公知の塩素含有重合体用配合剤をそれ自体公知の処
方に従って、配合することができる。例えば、本発明の
組成物には、可塑剤、充填剤、耐候安定剤、老化防止
剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、改質用樹脂
乃至ゴム、過塩素酸塩、エポキシ化合物、脂肪酸エステ
ル、錫系安定剤等の公知の安定剤等、抗菌剤、キレート
化剤、酸化防止剤等の公知の樹脂配合剤を、それ自体公
知の処方に従って配合できる。
【0041】錫系安定剤としては、例えば有機錫化合物
としては、有機錫メルカプタイド類、有機錫サルファイ
ド類、有機錫メルカプタイド・サルファイド類、有機錫
メルカプトカルボキシレート類及び有機錫カルボキシレ
ート類が包含される。
【0042】(1)有機錫メルカプタイド類としては、
ジブチル錫ビス(ラウリルメルカプタイド)、ジメチル
錫ビス(ステアリルメルカプタイド)、ジオクチル錫ビ
ス(メルカプトエチル・トール油脂脂肪酸エステル)、
ジオクチル錫ビス(2−メルカプトエチルカプリレー
ト)、ジブチル錫ビス(メルカプトエチル・トール油脂
脂肪酸エステル)、ジメチル錫ビス(メルカプトエチル
ステアレート)、ジオクチル錫ビス(イソオクチルチオ
グリコレート)、ジオクチル錫ビス(2−エチルヘキシ
ルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(ドデシルチ
オグリコレート)、ジオクチル錫ビス(テトラデシルチ
オグリコレート)、ジオクチル錫ビス(ヘキサデシルチ
オグリコレート)、ジオクチル錫ビス(オクタデシルチ
オグリコレート)、ジオクチル錫ビス(C12−16
混合アルキルチオグリコレート)、ジブチル錫ビス(イ
ソオクチルチオグリコレート)、ジメチル錫ビス(イソ
オクチルメルカプトプロピオネート)、ビス(2−メル
カプトカルボニルエチル)錫ビス(イソオクチルチオグ
リコレート)、ビス(2−ブトキシカルボニルエチル)
錫ビス(ブチルチオグリコレート)等のジ有機錫メルカ
プタイド及びモノブチル錫トリス(ラウリルメルカプタ
イド)、モノブチルモノクロロ錫ビス(ラウリルメルカ
プタイド)、モノオクチル錫トリス(2−メルカプトエ
チルカプリレート)、モノブチル錫トリス(メルカプト
エチル・トール油脂肪酸エステル)、モノメチル錫トリ
ス(メルカプトエチル・トール油脂肪酸エステル)、モ
ノメチル錫トリス(メルカプトエチルラウレート)、モ
ノメチル錫トリス(メルカプトエチルステアレート)、
モノメチル錫トリス(メルカプトエチルオレート)、モ
ノオクチル錫トリス(イソオクチルチオグリコレート)
モノオクチル錫トリス(2−エチルヘキシルチオグリコ
レート)、モノオクチル錫トリス(ドデシルチオグリコ
レート)、モノオクチル錫トリス(ドデシルチオグリコ
レート)、モノオクチル錫トリス(テトラデシルチオグ
リコレート)、モノオクチル錫トリス(ヘキサデシルチ
オグリコレート)、モノオクチル錫トリス(C12−1
6 混合アルキルチオグリコレート)、モノオクチル錫
トリス(オクタデシルチオグリコレート)、モノブチル
錫トリス(イソオクチルチオグレコレート)、モノブチ
ル錫トリス(イソオクチルメルカプトプロピオネー
ト)、モノメチル錫トリス(イソオクチルチオグリコレ
ート)、モノメチル錫トリス(テトラデシルチオグリコ
レート)、2−メトキシカルボニルエチル錫トリス(イ
ソオクチルチオグリコレート)、2−ブトキシカルボニ
ルエチル錫トリス(2−エチルヘキシルチオグリコレー
ト)等のモノ有機錫メルカプタイドがあげられる。
【0043】(2)有機錫サルファイド類としては、メ
チルチオスタノイック酸、ブチルチオスタノイック酸、
オクチルチオスタノイック酸、ジメチル錫サルファイ
ド、ジブチル錫サルファイド、ジオクチル錫サルファイ
ド、ジシクロヘキシル錫サルファイド、モノブチル錫サ
ルファイド、オキサイド、2−メトキシカルボニルエチ
ル錫サルファイド、2−エトキシカルボニル錫サルファ
イド、2−ブトキシカルボニル錫サルファイド、2−イ
ソプロポキシカルボニルエチル錫サルファイド、ビス
(2−メトキシカルボニルエチル)錫サルファイド、ビ
ス(2−プロポキシカルボニルエチル)錫サルファイド
等があげられる。
【0044】(3)有機錫メルカプタイド・サルファイ
ド類としては、ビス〔モノブチル・ジ(イソオクトキシ
カルボニルメチレンチオ)錫〕サルファイド、ビス〔ジ
ブチルモノ(イソオクトキシカルボニルメチレンチオ)
錫〕サルファイド、ビス〔ビス(2−メトキシカルボニ
ルエチル)錫イソオクチルチオグリコレート〕スルファ
イド、ビス(メチル錫ジイソオクチルチオグリコレー
ト)ジサルファイド、ビス(メチル/ジメチル錫モノ/
ジイソオクチルチオグリコレート)ジサルファイド、ビ
ス(メチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)トリサ
ルファイド、ビス(ブチル錫ジイソオクチルチオグリコ
レート)トリサルファイド、ビス〔メチル錫ジ(2−メ
チルカプトエチルカプリレート)サルファイド、ビス
〔メチル錫ジ(2−メルカプトエチルカプリレート)〕
ジサルファイド等があげられる。
【0045】(4)有機錫メルカプトカルボキシレート
類としては、ジブチル錫−β−メルカプトプロピオネー
ト、ジオクチル錫−β−メルカプトプロピオネート、ジ
ブチル錫メルカプトアセテート、ビス(2−メトキシカ
ルボニルエチル)錫チオグリコレート)錫チオグリコレ
ート、ビス(2−メトキシカルボニルエチル)錫メルカ
プトプロピオネート等があげられる。
【0046】(5)有機錫カルボキシレート類として
は、モノ又はジメチル錫、モノ又はジブチル錫、モノ又
はジオクチル錫あるいはモノ又はビス(ブトキシカルボ
ニルエチル)錫のオクトエート、ラウレート、ミリステ
ート、パルミテート、ステレート、イソステアレート等
の脂肪族一価のカルボキシレート類:マレートポリマ
ー、ブチルマレート、ベンジルマレート、オレイルマレ
ート、ステアリルマレート等のマレート;及びこれらの
混合塩あるいは塩基性塩があげられる。
【0047】これらの錫系安定剤は、塩素含有重合体1
00重量部当たり0.1乃至2.0重量部配合すること
ができる。
【0048】[可塑剤]可塑剤としては、フタル酸エス
テル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤等のエステ
ル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、燐酸エステル系可
塑剤、塩素系可塑剤などがあげられる。
【0049】更にポリエチレン系可塑剤、トリメリット
酸系可塑剤及びピロメリット酸系可塑剤から選ばれる一
種または2種以上の組合せと他の可塑剤の併用も性能を
損なわない範囲で可能であり、フタル酸系、燐酸系、脂
肪酸系、アジピン酸系、エポキシ系、トリメリット酸系
等が用いられる。
【0050】ポリエステル系可塑剤としては、多価アル
コールと多価カルボン酸とから誘導されたポリエステル
であって、分子量が1000以上、特に1500以上の
ものが使用される。多価アルコールとしては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトー
ル、ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコ
ール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA
のエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上が挙
げられ、多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン
酸、セバチン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボ
ン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボ
ン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメ
リット酸、ピロメリット酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸等の芳香族ジカルボン酸;の1種又は2種以上の
組合せが挙げられる。
【0051】ポリエステル系可塑剤の具体的なものとし
ては、ポリ(プロピレングリコール、アジピン酸)エス
テル、ポリ(1,3−ブタンジオール、アジピン酸)エ
ステル、ポリ(1,3−ブタンジオール、セバチン酸)
エステル、ポリ(プロピレングリコール、セバチン酸)
エステル、ポリ(プロピレングリコール、フタル酸)エ
ステル、ポリ(1,3−ブタンジオール、フタル酸)エ
ステル、ポリ(エチレングリコール、アジピン酸)エス
テル、ポリ(エチレングリコール、セバチン酸)エステ
ル、ポリ(1,6−ヘキサンジオール、アジピン酸)エ
ステル、ポリ(ジエチレングリコール、アジピン酸)エ
ステル、ポリ(プロピレングリコール、テルペン無水マ
レイン酸付加物)エステル、アセチルポリ(ブタンジオ
ール、アジピン酸)エステル、等が挙げられる。
【0052】フタル酸系可塑剤としては、例えばブチル
酸ブチルベンジル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチ
ル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジイソデシル、ジイ
ソデシルフタレート、フタル酸ジイソノニル、ジイソノ
ニルフタレート、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタ
ル酸ジオクチル、ジ2−エチルヘキシルフタレート、ジ
オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレー
トジノルマルアルキルフタレート、フタル酸ジn−オク
チル、テトラヒドロフタルジ2−エチルヘキシル、ジト
リデシルフタレート、フタル酸ジウンデシル、ジアルキ
ルフタレート、ダイヤドール(711Hフタレート)、
リポネール79フタレート、リポネール911フタレー
ト等がある。
【0053】燐酸系可塑剤としては、例えばクレジール
・ジフェニルフォスヘート、トリス・クロロエチルフォ
スヘート、トリス・ジクロロプロピルフォスヘート、ト
リクレジルフォスフェート、リン酸トリクレジル、リン
酸トリエチル、トリキシレニルホスヘート、キシレニル
ジフェニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォス
フェート、オクチルジフェニルフォスフェート、イソプ
ロピルフェニルジフェニルフォスフェート、ターシャリ
ーブチルフェニルジフェニルフォスフェート、トリス
(ベータクロロエチル)フォスフェート等があげられ
る。
【0054】脂肪酸系可塑剤としては、例えばブチルオ
レエート、セバシン酸ジブチル、ジブチルセバケート、
セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、ジ2−エチルヘキシ
ルセバケート、ジ(2エチルヘキシル)セバケート等が
あげられる。
【0055】アジピン酸系可塑剤としては、例えばジn
−アルキル(C6,8,10)アジペート、アジピン酸ジn−
アルキル、ジイソブチルアセテート、ジイソノニールア
ジペート、アジピン酸ジイソノニール、アジピン酸ジイ
ソノニール、アジピン酸ジイソデシル、ジイソデシルア
ジペート、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、ジ2−エ
チルヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、アジ
ピン酸ジオクチルジn−アルキル(C7-9)アジペー
ト、ジブトキシエトキシエチルアジペート、アジピン酸
ジエステル等があげられる。
【0056】エポキシ系可塑剤としては、例えばエポキ
シ化脂肪酸エステル、エポキシ化油、エポキシ化大豆
油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化亜麻仁油、エポキ
シ化ものエステル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2
エチルヘキシル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソ
デシル、エポキシ化ブチルステアレート、オクチル・エ
ポキシステアレート、4,4−グリシジルオキシ−3,
3−プロピリデンビスフェニル、N,N',N"トリスグ
リシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルペンタエ
リスリトール等があげられる。
【0057】トリメリット酸系可塑剤としては、例えば
トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリイソデ
シル、トリ2−エチルヘキシルトリメリテート、トリメ
リット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸ト
リオクチル、トリオクチルトリメリテート、トリメリッ
ト酸エステル、トリノルマルオクチルトリメリテート、
トリイソデシルトリメリテート等があげられる。
【0058】その他可塑剤としては、例えば塩素化パラ
フィン、塩素化ノルマルパラフィン、アセチルトリブチ
ルシトレート、アセチルクエン酸トリブチル、ブチルフ
タリルブチルグリコレート、2.2.4−トリメチル
1.3編胆ジオールジイソブチレート、フマル酸ジブチ
ル、マレイン酸ジブチル、ジn−ヘキシルアセテート、
ドデカンニ酸ジオクチル、ジ2−エチルヘキシルドデカ
ノエート、マレイン酸ジ2−エチルヘキシル、ジ2−エ
チルヘキシルマレエート、アゼライン酸ジ−2−エチル
ヘキシル、ジ2−エチルヘキシルアゼレート、ジ(2エ
チルヘキシル)アゼレート、ジペンタエリスリトールエ
ステル、(メタ)アクリル酸エステル等があげられる。
【0059】これらの可塑剤は、塩素含有重合体100
重量部当たり0乃至200重量部、好ましくは、0乃至
100重量部配合することが好ましい。
【0060】[酸化防止剤]酸化防止剤としては、フェ
ノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が用
いられる。酸化防止剤は、単独でも組み合わせでも使用
することができ、更に他の系の酸化防止剤と組み合わせ
て使用しても良い。フェノール系酸化防止剤としては、
ビスフェノール型酸化防止剤、立体障害性フェノール系
酸化防止剤が何れも使用される。フェノール系酸化防止
剤としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノー
ルB、ビスフェノールF、2,6−ジフェニル−4−オ
クタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第
三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネー
ト、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレン
ビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス
〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオン酸アミド〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒド
ロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッ
ド〕グリコールエステル、1,1,3−トリス(2−メ
チル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタ
ン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒド
ロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、
1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒド
ルキシベンジル)イソシアヌレート、トリエチレングリ
コールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)プロピオネート〕、2,6−ジ第3級
ブチル−4−メチルフェノール,4,4−ブチリデンビ
ス(3−メチル−6−第3級ブチルフェノール)、n−
オタデシイル3−(3,5−ジ−第3級ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチ
レン3−(3,5−ジ−第3級ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2
−〔3−(3−第3級ブチル−4−ヒドロキシ−5−メ
チルフェニル)−プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメ
チルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
〔5,5〕ウンデカン、4,4−チオビス(3−メチル
−6−第3級ブチルフェノール)等があげられる。
【0061】チオエ−テル系酸化防止剤としては、例え
ば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジトリ
デシル−3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリス
リチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)
等があげられる。
【0062】β−ジケトン、β−ケト酸エステル又はジ
ヒドロピリジン誘導体を含有することもできる。β−ジ
ケトンまたはβ−ケト酸エステルとしては、例えば、
1,3−シクロヘキサジオン、メチレンビス−1,3ー
シクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘ
キサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラ
ロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロ
ン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシ
クロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサ
ンジオン、ビス(ベンゾイル)メタン、ベンゾイル−p
−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイ
ル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタ
ン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジア
セチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタ
ン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾ
イルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベ
ンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシ
ベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタ
ン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、
ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、アセチル
アセトン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサ
ノイル)−メタン及びジピバロイルメタン等を用いるこ
とが出来る。
【0063】ジヒドロピリジン誘導体としては、2,6-ジ
メチル-3,5-ジカルボメトキシ-1,4-ジヒドロピリジン、
2,6-ジメチル-3,5-ジカルボエトキシ-1,4-ジヒドロピリ
ジン、2,6-ジメチル-3,5-ジカルボブトキシ-1,4-ジヒド
ロピリジン、2,6-ジメチル-3,5-ジカルボドデシルオキ
シ-1,4-ジヒドロピリジン、2,6-ジメチル-3,5-ジカルボ
テトラデシルオキシ-1,4-ジヒドロピリジン、2,6-ジメ
チル-3,5-ジカルボオクタデシルオキシ-1,4-ジヒドロピ
リジン等があげられる。
【0064】有機亜燐酸エステル(ホスファイト)類と
しては、有機亞リン酸エステルおよびアシッドホスファ
イトであるが、より具体的に例示すればトリデシルホス
ファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリステア
リルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、
トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホス
ファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフ
ェニルイ(ブトキシエトキシエチル)ホスファイト、ジ
フェニルイ(フェノキシエチル)ホスファイト、フェニ
ルジイソデシルホスファイト、ジイソデシルペンタエリ
スリトールジホスファイト,テトラフェニルジプロピレ
ンジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトール
ジホスファイト、トリス(2,4−ジ第3級ブチルフェ
ニル)ホスファイ)、ビス(2,4−ジ第3級ブチルフ
ェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス
(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト、テトラ(トリデシル)−4,4−イソプロピリデン
ジフェニルジホスファイト、テトラステアリル−4,4
−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス
(トリデシル)ビス(ノニルフェニル)−4,4−イソ
プロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(2,4
−ジ第3級ブチルフェニル)ビス(トリデシル)−4,
4−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ジフ
ェニルホスファイト、ジデシルホスファイト、ビス(ト
リデシル)ホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ホス
ファイト、フェニルトリデシルホスファイト等、また脂
肪族アルコールと五酸化燐との反応物であるアシッドホ
スファイトで、具体的にはブチルアシッドホスファイ
ト、オクチルアシッドホスファイト、ステアリルアシッ
ドホスファイト、ベヘニルアシッドホスファイト等があ
げられる。
【0065】その他有機酸金属塩化合物、滑剤、衝撃強
化剤、難燃剤も必要に応じて添加することもでき、具体
的には炭素数6〜22の脂肪酸、たとえばカプロン酸、
カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、イソス
テアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リ
シノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、あるいはこ
れらの混合物などのナトリウム、カリウム、マグネシウ
ム、カルシウム、バリウム及びジルコニウム塩が使用で
きる。
【0066】これらの有機酸金属塩化合物は、塩素含有
重合体100重量部当たり0.1乃至5重量部、好まし
くは、0.1乃至1.0重量部配合することが好まし
い。
【0067】有機配合剤としては、シリコーン系表面処
理剤、脂肪酸、脂肪酸塩が使用される。シリコーン系表
面処理剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチル
フェニルシリコーンオイル、メチル水素シリコーンオイ
ル、環状ポリジメチルシロキサン、アルキル変性シリコ
ーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、シリコーン
ポリエーテル共重合体、拡散ポンプ用オイル、脂肪酸変
性シリコーンオイル、フロロシリコーンオイル、樹脂改
質用オイル等が使用できる。特にジメチルシリコーンオ
イルを使用することが好ましい。
【0068】滑剤としては、(イ)流動、天然または合
成パラフィン、マイクロワックス、ポリエチレンワック
ス、塩素化ポリエチレンワックス等の炭化水素系のも
の、(ロ)ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系のも
の、(ハ)ステアリン酸アミド、バルミチン酸アミド、
オレイン酸アミド、エシル酸アミド、メチレンビスステ
アロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸モ
ノアミド系またはビスアミド系のもの、(ニ)ブチルス
テアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノス
テアレート等のエステル系のもの、(ホ)セチルアルコ
ール、ステアリルアルコール等のアルコール系のもの、
(ヘ)ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム等の金
属石ケンおよび(ト)それらの混合系のものが一般に用
いられる。
【0069】衝撃強化剤としては、例えば30〜40%
の塩素を含有する塩素化ポリエチレン、アクリル酸エス
テルを主体とする共重合ゴムにメチルメタクリレート、
スチレン、アクリロニトリル等の単量体をグラフト重合
した多成分系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・ス
チレン樹脂、メタルメタクリエート・ブタジエン・スチ
レン樹脂、酢酸ビニル・エチレン共重合体樹脂などが挙
げられる。
【0070】難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤は勿
論、アンチモン、ジルコン、モリブデン、アルミニウ
ム、シリカ、チタンの酸化物、水酸化物、及び硫化物、
ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、これ
ら亜鉛化合物の金属水酸化物表面処理品などが挙げられ
る。
【0071】また、電気絶縁性向上の目的で、非晶質シ
リカ、焼成カオリン、酸化アルミニウム、珪酸アルミニ
ウム、チタンホワイト、リン酸チタン、リン酸ジルコニ
ウム等を、塩素含有重合体100重量部当たり20乃至
1000重量部、特に200乃至500重量部の量で配
合することができる。
【0072】[複合安定剤]本発明の安定剤は、粉粒体
の形で、即ち粉末の形で、或いは粒状物の形で、ワンパ
ックの安定剤として使用することができる。粒状物の製
造には、押出成形造粒法、噴霧造粒法、回転円盤造粒
法、転動造粒法、圧縮造粒法等のそれ自体公知の造粒法
を用いることができる。粉粒体の粒度は、粒度は目的に
応じて任意に調節することができ、一般に粒径が50μ
m乃至5mm特に70μm乃至2mmの範囲にあるのが
好適である。
【0073】[塩素含有重合体組成物]塩素含有重合体
としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素
化ポリプロピレン、塩素化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニ
ル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合
体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−
塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水
マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アク
リロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合
体、塩素化ビニル−塩化プロピレン共重合体、塩化ビニ
ル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビ
ニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレ
イン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エ
ステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合
体、内部可塑化ポリ塩化ビニル等の重合体、及びこれら
の塩素含有重合体とポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リブテン、ポリ−3−メチルブテンなどのα−オレフィ
ン重合体又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン
−プロピレン共重合体、などのポリオレフィン及びこれ
らの共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン
と他の単量体(例えば無水マレイン酸、ブタジエン、ア
クリロニトリルなど)との共重合体、アクリロニトリル
−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル
−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸エステ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体とのブレンド品など
を挙げることができる。
【0074】本発明の塩素含有重合体組成物成形加工方
法としては、公知の方法によって混合あるいは混和した
のち押出成形、射出成形、圧縮成形、インフレーショ
ン、カレンダー加工、コーティングなど各種の成形方法
により行うことができる。また、無酸素成形法において
はできるだけ空気と接触しないような雰囲気で行うか、
更には不活性ガス雰囲気で行うことにより、着色を防止
することができる。
【0075】
【実施例】本発明を次の実施例により、更に詳しく説明
する。尚、試験方法は次の方法によった。
【0076】(1)ギアオーブン耐熱試験(G.O) 硬質配合では、温度175℃、5分間ロールミルで混練
を行い、厚さ1mmの均一な硬質塩化ビニルシートを作
成した。軟質配合では、温度150℃、5分間ロールミ
ルで混練を行い、厚さ1mmの均一な軟質塩化ビニルシ
ートを作成した。上記の方法で得られた各塩化ビニルシ
ートを、190℃に設定したギアオーブンに試験片を入
れ、一定時間毎に取り出してその着色状態を初期から黒
化するまで目視観察し、判定した。シートの着色度は下
記の7段階に分けて評価した。 1 白色 2 淡黄色 3 黄色 4 淡褐色 5 褐色 6 濃褐色 7 黒化
【0077】(2)熱安定性試験(H.T.塩素捕捉
能) JIS.K.6723に準拠し、軟質塩化ビニルシート
を1.0mm×1mmに裁断し、コンゴーレッド紙を装
着した試験管に試料チップ2gを充填、185℃に加熱
し、塩化ビニルの熱分解による塩化水素脱離時間を測定
した。
【0078】(3)体積固有抵抗試験(V.R.) 熱安定性試験と同様に作成したシートをJIS.K.6
723−7−8に記載の方法に準拠して体積固有抵抗
(Ω・cm)を求めた。
【0079】(実施例1〜2、比較例1〜3)表2に示
した配合により、各試験を行った。その結果を表2に示
した。
【0080】
【表2】
【0081】(実施例3)下記に示した配合により、各
試験を行った。 なお、安息香酸ナトリウム1.4重量部とステアリン酸亜鉛0.07重量
部を予め乾式共粉砕してから樹脂に配合した。試験の結
果、初期着色は1、G.O耐熱は80分であった。
【0082】(実施例4〜7)表3に示した配合によ
り、各試験を行った。その結果を表3に示した。
【0083】
【表3】
【0084】(実施例8〜14、比較例4〜5)下記に
示した配合に表4の配合剤を加え評価試験を行った。そ
の結果を表4に示す。
【0085】
【表4】
【0086】(実施例15〜24)下記に示した配合に
表5の配合剤を加え評価試験を行った。その結果を表5
に示す。 安息香酸ナトリウムとシ゛ヘ゜ンタエリスリトールは90℃で溶融後、乾式
で共粉砕し、樹脂に配合した。
【0087】
【表5】
【0088】(実施例25)下記に示した配合について
評価試験を行った。 なお、安息香酸ナトリウムとシ゛ヘ゜ンタエリスリトールは、90℃で溶融
後乾式で共粉砕してから樹脂に配合した。試験の結果、
初期着色は1、塩素捕捉能は90分であった。
【0089】(実施例26〜32、比較例6)下記に示
した配合に表6の配合剤を加え評価試験を行った。その
結果を表6に示す。 (配合) 重量部 PVC(GEON103-EP:重合度1050) 100 シ゛ヘ゜ンタエリスリトールアシ゛ヒ゜ン酸エステル 0.75 (味の素ファインテクノ製フ゜レンライサ゛ーST-210) 滑剤(炭化水素系) 0.2
【0090】
【表6】
【0091】
【発明の効果】本発明によれば、芳香族カルボン酸アル
カリ金属塩と亜鉛系金属石鹸とを特定の量比で組み合わ
せて安定剤として用いると、アルカリ金属塩に特有の初
期着色傾向が有効に解消されると共に、亜鉛系金属石鹸
に特有の亜鉛バーニングも有効に解消され、熱安定化効
果も顕著に向上する。また、芳香族カルボン酸アルカリ
金属塩及び亜鉛系金属石鹸を配合することにより、熱安
定性と初期着色防止性とに優れしかも分散性にも優れた
塩素含有重合体組成物が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BB241 BD021 BD031 BD061 BD071 BD081 BD101 BD181 DE069 DE079 DE089 DE149 DJ009 DJ049 EC048 EC058 EG047 EG066 EG076 EH058

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)下記式(1) 【化1】 式中、環Aは置換基または縮合環を有していてもよく、 Mはアルカリ金属である、で表される芳香族カルボン酸
    塩と(B)亜鉛系金属石鹸とを A:B=99:1乃至1:99 の重量比で含有することを特徴とする塩素含有重合体用
    安定剤。
  2. 【請求項2】 前記(A)芳香族カルボン酸塩と(B)
    亜鉛系金属石鹸とを乾式で共粉砕してなることを特徴と
    する請求項1記載の塩素含有重合体用安定剤。
  3. 【請求項3】 前記(A)芳香族カルボン酸塩と(B)
    亜鉛系金属石鹸に、更に(C)多価アルコール乃至その
    部分エステルを[(A)+(B)]合計量100重量部
    当たり0.1乃至900重量部含有した混合物を溶融し
    た後、乾式で共粉砕してなることを特徴とする請求項1
    記載の塩素含有重合体用安定剤。
  4. 【請求項4】 芳香族カルボン酸塩が安息香酸ナトリウ
    ムであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記
    載の塩素含有重合体用安定剤。
  5. 【請求項5】 亜鉛系金属石鹸が炭素数が8〜22の脂
    肪酸または樹脂酸の亜鉛塩であることを特徴とする請求
    項1乃至4の何れかに記載の塩素含有重合体用安定剤。
  6. 【請求項6】 (D)非鉛系無機安定剤を更に含有して
    なることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の
    塩素含有重合体用安定剤。
  7. 【請求項7】 芳香族カルボン酸塩と亜鉛系金属石鹸と
    の合計量100重量部当たり、(D)非鉛系無機安定剤
    を0.1乃至10重量部の量で含有することを特徴とす
    る請求項6に記載の塩素含有重合体用安定剤組成物。
  8. 【請求項8】 (D)非鉛系無機安定剤が、アルカリ土
    類金属の水酸化物、アルカリ土類金属のケイ酸塩、アル
    カリ土類金属の塩基性ケイ酸塩、アルカリ土類金属を含
    む複合金属水酸化物塩、及びアルミノケイ酸塩からなる
    群より選択された少なくとも1種であることを特徴とす
    る請求項6または7に記載の塩素含有重合体用安定剤。
  9. 【請求項9】 含窒素化合物からなる安定化助剤を更に
    含有することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記
    載の塩素含有重合体用安定剤。
  10. 【請求項10】 塩素含有重合体100重量部当たり
    (A)下記式(1) 【化1】 式中、環Aは置換基または縮合環を有していてもよく、 Mはアルカリ金属である、で表される芳香族カルボン酸
    塩と(B)亜鉛系金属石鹸とを A:B=99:1乃至1:99 の重量比で含有する安定剤を0.1乃至10重量部含有
    することを特徴とする安定化された塩素含有重合体組成
    物。
  11. 【請求項11】 請求項2記載の安定剤を含有して成る
    請求項10記載の塩素含有重合体組成物。
  12. 【請求項12】 請求項3記載の安定剤を含有して成る
    請求項10記載の塩素含有重合体組成物。
  13. 【請求項13】 芳香族カルボン酸塩が安息香酸ナトリ
    ウムであることを特徴とする請求項10乃至12の何れ
    かに記載の塩素含有重合体組成物。
  14. 【請求項14】 亜鉛系金属石鹸が炭素数が8〜22の
    脂肪酸または樹脂酸の亜鉛塩であることを特徴とする請
    求項10乃至13の何れかに記載の塩素含有重合体組成
    物。
  15. 【請求項15】 塩素含有重合体100重量部当たり
    (D)非鉛系無機安定剤を0.1乃至10重量部更に含
    有してなることを特徴とする請求項10乃至14の何れ
    かに記載の塩素含有重合体組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS60108452A (ja) * 1983-11-16 1985-06-13 Adeka Argus Chem Co Ltd 塩化ビニル樹脂組成物
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