JP3597921B2 - 塩素含有重合体の安定化方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、塩素含有重合体の安定化方法に関するものであり、より詳細には、無機安定剤に特有の着色傾向を改善した塩素含有重合体の安定化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
塩素含有重合体、例えば塩化ビニル樹脂は熱及び光に曝されるとその分子鎖内で脱塩酸を生じ、分解、変色等が生じる。この熱分解に対して塩化ビニル樹脂を安定化するために、従来種々の安定剤或いは安定剤組成物が提案され、広く使用されている。
【0003】
塩素含有重合体の熱安定化に無機系安定剤を使用することは古くから知られており、例えば、リチウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩乃至その熱処理物、ハイドロタルサイト乃至その熱処理物、ゼオライト乃至その熱処理物、水酸化カルシウム、マグネシウム乃至酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム等が知られている。
【0004】
また、ホウ素化合物を塩素含有重合体の安定剤として用いることも既に知られており、特公昭62−5189号公報には、塩化ビニル樹脂とABS樹脂とのブレンドに有機錫硫黄化合物と、ホウ酸乃至無水ホウ酸とを配合することにより、相乗的な安定化作用が達成されることが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
無機系安定剤は、価格が安価であり、ブリード傾向が少ないという有機系安定剤に見られない利点を有しているが、塩素含有重合体を黄色乃至オレンジ色等の暖色に初期着色する傾向がある。
【0006】
これを防止するために、亜鉛系安定剤の配合が広く行われているが、亜鉛系安定剤の配合は、突然組成物が黒色に着色する所謂亜鉛バーニングを生じるという欠点がある。
【0007】
本発明者らは、暖色発色性を示す無機安定剤に対して、ホウ酸乃至無水ホウ酸を組み合わせると、無機系安定剤の塩素含有重合体に対する熱安定化作用を阻害することなく、初期着色傾向を大幅に軽減できることを見いだした。また、有機系安定剤を併用する場合には、その配合量を低減できることも見いだした。
【0008】
本発明の目的は、優れた安定化作用を保全しながら、無機系安定剤による初期着色傾向を大幅に改善できる塩素含有重合体の安定化方法を提供するにある。
本発明の他の目的は、錫系安定剤の配合量を低減できる塩素含有重合体の安定化方法を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、水酸化カルシウム、ホウ酸乃至無水ホウ酸及びワックス乃至滑剤を含有する組成物を造粒することにより得られ且つ下記式(1):
R=I/IOH …(1)
式中、 OH は波数3600乃至3700における水酸化カルシウムの特性吸収の吸 光度であり、 は波数960乃至1150におけるホウ酸塩の特性吸収の吸 光度である、
で定義される吸光度比が0.05乃至0.8の範囲にある塩素含有重合体用安定剤を、有機錫系安定剤と共に、塩素含有重合体に配合することにより該塩素含有重合体を安定化する方法であって、塩素含有重合体100重量部当たり、前記水酸化カルシウムを0.05乃至2.0重量部、前記ホウ酸乃至無水ホウ酸を0.01乃至1.0重量部及び前記ワックス乃至滑剤を0.1乃至1.0重量部の量で使用し、且つ前記有機錫系安定剤を0.05乃至2.0重量部の量で使用することを特徴とする塩素含有重合体の安定化方法が提供される。
【0010】
本発明においては、暖色発色性の無機安定剤として水酸化カルシウムを使用する。
【0011】
本発明においては、有機錫系安定剤として、アルキルメルカプト錫系安定剤またはアルキルマレート錫系安定剤を使用することが好ましい。
【0015】
本発明は、暖色発色性の無機安定剤(a)として水酸化カルシウムを使用し、この水酸化カルシウムを微量のホウ酸乃至無水ホウ酸(b)を組合せ、主安定剤である有機錫系安定剤とともに塩素含有重合体に配合すると、暖色発色性の無機安定剤(a)に特有の優れた熱安定化作用をそっくり保持させながら、しかも無機安定剤(b)に特有の初期着色傾向を顕著に改善できる。
【0016】
本発明において、暖色発色性を示す無機安定剤を使用するのは、このものが塩素含有重合体に対する熱安定化作用に優れていることによる。即ち、暖色発色性を示す無機安定剤は、一般に、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属成分、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属成分等を含有しており、これらの塩基成分が塩化水素に対する捕捉作用を行うのが熱安定性を示す理由であるが、同時に塩化水素を捕捉した際形成される塩化物が、塩素含有重合体の脱塩酸により生成する炭素−炭素二重結合に付加して、下記式(2)
【化1】
Figure 0003597921
で示される錯体を形成するのが暖色の初期着色傾向を示す理由であるといわれている。
【0017】
これに対して、本発明に従い、暖色発色性を示す無機安定剤である水酸化カルシウムとホウ酸乃至無水ホウ酸との組み合わせを、塩素含有重合体に配合すると、加工時或いは加熱初期における着色傾向が著しく軽減されるのであって、この事実は後述する例を参照することによって、直ちに明白となる。
以下、本明細書において、水酸化カルシウムを、暖色発色性を示す無機安定剤と呼ぶことがある。
【0018】
この事実は現象として見いだされたものであって、その理由は未だ不明であるが、本発明者らは次のように推定している。即ち、ホウ酸乃至無水ホウ酸は塩素含有重合体の炭素−炭素二重結合に対する塩化物の付加を抑制するものと思われる。また、ホウ酸乃至無水ホウ酸が寒色系の発色傾向を示すこともその理由の一部であると推定される。
【0019】
塩素含有重合体100重量部当たり、暖色発色性を示す無機安定剤 0.05乃至2.0重量部及びホウ酸乃至無水ホウ酸0.01乃至1.0重量部を配合するのがよく、暖色発色性を示す無機安定剤の配合量が上記範囲よりも少ないと、熱安定性が不十分であり、一方上記範囲よりも多いと、初期着色傾向が著しくなる。また、ホウ酸乃至無水ホウ酸の配合量が上記範囲よりも少ないと、初期着色防止が不十分となり、一方上記範囲よりも多いと、熱安定性が低下する傾向がある。
【0020】
本発明において、上記暖色発色性を示す無機安定剤及びホウ酸乃至無水ホウ酸に有機錫系安定剤、特に(c1)アルキルメルカプト錫系安定剤或いはアルキルマレート錫系安定剤の組合わせを配合すると、熱安定性を一層向上させ、初期着色を一層顕著に防止することができる。
【0021】
主安定剤のアルキルメルカプト錫系安定剤或いはアルキルマレート錫系安定剤の配合量は、従来のアルキルメルカプト錫系安定剤及び従来のアルキルマレート錫系有機安定剤の配合量に比べてかなり少ない量でよく、これは本発明による利点の一つである。
【0022】
本発明においては、暖色発色性を無機安定剤である水酸化カルシウムと、ホウ酸乃至無水ホウ酸との反応を防止するようにすることが、熱安定性を低下させずに、初期着色を防止する上で重要である。
【0023】
本発明では、水酸化カルシウム(暖色発色性を示す無機安定剤)、ホウ酸乃至無水ホウ酸及び造粒媒体ともなるワックス乃至滑剤を含有する組成物を造粒して安定剤として使用し、これを有機錫系安定剤と共に塩素含有重合体に配合するが、ワックス乃至滑剤は、水酸化カルシウムとホウ酸乃至無水ホウ酸との反応を抑制するので、ホウ酸カルシウムの生成を低い水準に抑制することができる。尚、前記式(1)の吸光度比(R)は、分母が水酸化カルシウムの量、分子がホウ酸カルシウムの量を示すものであり、この値が少ないことは両者の反応の程度が小さいことを示している。
【0024】
(塩素含有重合体)
本発明で対象とする塩素含有重合体としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン重合体、塩化ビニルーイソブチレン共重合体、塩化ビニルー塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニルースチレンー無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニルースチレンーアクリロニトリル共重合体、塩化ビニルーブタジエン共重合体、塩化ビニルー塩化プロピレン共重合体、塩化ビニルー塩化ビニリデンー酢酸ビニル酸三元共重合体、塩化ビニルースチレンー無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニルーメタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニルーアクリロニトリル共重合体、内部可塑化ポリ塩化ビニル等の重合体、及びこれらの塩素含有重合体とポリエチレン、ポリブテン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレンープロピレン共重合体、ポスチレン、アクリル樹脂、アクリロニロリルーブタジエンースチレン共重合体、アクリル酸エステルーブタジエンースチレン共重合体等のブレンド物等を上げることができる。
これらの内でも、本発明は塩化ビニルを主体とするホモポリマー或いはコポリマーに特に有効である。
【0025】
(水酸化カルシウム)
本発明において、暖色発色性無機安定剤として水酸化カルシウムを使用する。即ち、水酸化カルシウムは、重量当たりの塩基度、即ち塩化水素捕捉能の最も大きいものの一つであり、熱安定性の点で特に好ましい。例えば酸化カルシウムは、塩化水素の捕捉能という点では優れているが、それ自体塩素含有重合体を劣化させる傾向があるため、使用できない。
【0028】
本発明に用いる水酸化カルシウムは、それ自体公知の任意の粉末状のものでも良いが塩化水素捕捉性及び塩素含有重合体への分散性の点で可及的に微粒子のもの、特に体積基準のメジアン径が20μm以下、特に10μm以下のものが好ましい。これらの水酸化物は単独で使用してもよいし、他のものと組み合わせてもよい。
【0050】
(ホウ酸乃至無水ホウ酸)
ホウ酸乃至無水ホウ酸としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、二酸化二ホウ素、酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化ホウ素、が使用される。これらの内では、オルトホウ酸が特に好適である。
【0054】
本発明では、水酸化カルシウム(暖色発色性を示す無機安定剤)、ホウ酸乃至無水ホウ酸及び造粒媒体ともなるワックス乃至滑剤を含有する組成物を造粒して安定剤として使用し、これを有機錫系安定剤と共に塩素含有重合体に配合するが、ワックス乃至滑剤は、水酸化カルシウムとホウ酸乃至無水ホウ酸との反応を抑制するので、ホウ酸カルシウムの生成を低い水準に抑制することができる。
【0055】
造粒媒体ともなる配合剤としては、ワックス類等の滑剤が有利に使用される。その適当な例は、これに限定されないが、次の通りである。
1.脂肪族炭化水素系
流動パラフィン、工業用白色鉱油、合成パラフィン、石油系ワックス、
ペトロラクタム、無臭軽質炭化水素
2.シリコーン
オルガノポリシロキサン
3.脂肪酸、脂肪族アルコール
高級脂肪酸
動物または植物油脂から得られた脂肪酸及びそれらの脂肪酸を水素添加したもので、炭素数が8〜22のもの;ヒドロキシステアリン酸、直鎖脂肪族一価アルコール
動物または植物油脂またはそれらの脂肪酸エステル還元または天然ロウを分解蒸留して得られる炭素数4以上のもの;トリデシアルコール
4.ポリグリコール
ポリエチレングリコール(分子量200〜9500のもの)
ポリプピロピレングルコール(分子量1000以上のもの)
ポリオキシプロピレンーポリエキシエチレンーブロック重合体
(分子量1900〜9000のもの)
5.アマイド、アミン
高級脂肪酸アマイド、オレイルパルミトアマイド、ステアリルエルカミド、
2ステアロミドエチルスアレート、エチレンビス脂肪酸アマイド、
NN’オレオイルステアリルエチレンジアミン、
NN’ビス(2ヒドロキシエチル)アルキル(C12〜C18)アマイド、
NN’ビス(ヒドロキシエチル)ラウロアマイド、
Nアルキル(C16〜C18)トリメチレンジアミンと反応したオレイン酸脂肪酸ジエタノールアミン、
ジ(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミンモノアセテートのジステアリン酸エステル
6.一価、多価アルコールの脂肪酸エステル
ステアリン酸n−ブチル、水添ロジンメチルエステル、
セバチン酸ジブチル<n−ブチル>、セバチン酸ジオクチル、
<2エチルヘキシル、n−オクチル共>、グリセリン脂肪酸エステル、
グリセリンラクトステアリル、ペンタエリストールのステアリン酸エステル、
ペンタエリストールテトラステアレートソルビタン脂肪酸エステル、
ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、
ポリエチレングリコ−ルモノステアレート、
ポリエチレングリコールジラウレート、
ポリエチレングリコールヤシ脂肪酸エステル、
ポリエチレングリコールトール油脂脂肪酸、
エタンジオールモンタン酸エステル
1,3ブタンジオールモンタン酸エステル
ジエチレングリコールステアリン酸エステル
プロピレングリコール脂肪酸エステル
7.トリグリセライド、ワックス
水添食用油脂、綿実油及びその他の食用油、アマニ油、パーム油、
12ーヒドロキシステアリン酸のグリセリンエステル、水添魚油、牛脂、
スパームアセチワックス、モンタンワックス、カルナワックス、密蝋、蝋、
一価脂肪族アルコールと脂肪族飽和酸エステル
<例 :硬化鯨油ラウリルステアレート、ステアリルスレアレート>、
ラノリン
8.高級脂肪酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛及びアルミニウムの 塩(金属石鹸)
9.低分子量オレフィン樹脂
低分子量ポリエチレン、酸化ポリエチレン
10.フッ素系樹脂
ポリ4フッ化エチレン、4フッ化エチレン/6フッ化プロピレン共重合体、
ポリ塩化3フッ化エチレン、ポリフッ化ビニル
11.その他
プロピレングリコールアルギネート、
ジアルキルケトンアクリルポリマー(例えばモンサント社製モダフロー等)
【0056】
特に好適な滑剤は、パラフィン系ワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、等である。又、脂肪酸金属塩、特にステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等を配合すると、滑剤としての作用と同時に熱安定化作用も枝たれるので好適である。勿論上記配合剤は、単独でもあるいは2種以上の組み合わせでも使用できる。
【0057】
また、上記ワックス乃至滑剤以外にも、可塑剤、多価アルコール類、酸化防止剤、光安定剤、造核剤、充填剤、エポキシ安定剤、有機キレーター、顔料、帯電防止剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、難燃剤等を、その安定性が損なわれない範囲内において添加混合することができる。
【0058】
可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤等のエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、塩素系可塑剤等があげられる。
【0059】
多価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールのステアリン酸部分エステル、ビス(ジペンタエリスリトール)アジペート、グリセリン、ジグリセリン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどがあげられる。
【0060】
酸化防止剤としてはフェノール系酸化防止剤・硫黄系酸化防止剤・ホスファイト系酸化防止剤が挙げられ、上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}〕エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕などがあげられる。
【0061】
上記硫黄系酸化防止剤としては例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル、ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類があげられる。
【0062】
上記ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノ(ジノニルフェニル)ビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(C12−15 混合アルキル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)(オクチル)ホスファイトなどがあげられる。
【0063】
光安定剤としてはヒンダードアミン系光安定剤があげられ、例えば2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ドデシルコハク酸イミド、1−〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕−2,2,6,6−テトラメチル−4ピペリジル−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルー4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ(1,2,2,6,6−ペンタメチルー4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトカルボキシレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2,−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,5,8,12−テトラキス〔4,6−ビス{N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物、2−第三オクチルアミノ−4,6−ジクロロ−s−トリアジン/N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン/ジブロモエタン縮合物などがあげられる。
【0064】
造核剤としては、アルミニウム−p−第三ブチルベンゾエート、ジベンジリデンソルビト−ル、ビス(4−メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(4−第三ブチルフェニル)ホスフェートナトリウム塩、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェートナトリウム塩などがあげられる。
【0065】
エポキシ化合物としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化魚油、エポシ化トール油脂肪酸エステル、エポキシ化牛脂油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチル、(エポキシステアリン酸メチル,−ブチル,−2−エチルヘキシルまたは−ステアリル)、トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレート、3−(2−キセノキシ)−1、2−エポキシプロパン、エポキシ化ポリブタジエン、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシル−6−メチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどがあげられる。
【0066】
β−ジケトン化合物としては、デヒドロ酢酸、1,3−シクロへキサジオン、メチレンビス−1,3−シクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサジオン、ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、アセチルアセトン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)メタン、ジビバロイルメタンなどあげられ、これらの金属塩も同様に有用である。
【0067】
また、β−ケト酸エステルとしては、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル等のアセト酢酸エスチル、プロピオニル酢酸メチル、プロピオニル酢酸エチル等のプロピオニル酢酸エステル、ベンゾイル酢酸メチル、ベンゾイル酢酸ブチル等のベンゾイル酢酸エステル等を例示することができ、最も好適なものとしてはアセト酢酸エステルを挙げることができる。
【0068】
本発明において、上述した水酸化カルシウム、ホウ酸乃至無水ホウ酸及びワックスは、安定化すべき塩素含有重合体100重量部当たり、水酸化カルシウムを0.05乃至2.0重量部、特に0.1乃至0.5重量部、ホウ酸乃至無水ホウ酸0.01乃至1.0重量部、特に0.04乃至0.06重量部、及びワックス乃至滑剤を0.1乃至1.0重量部、特に0.4乃至0.6重量部の量で使用される。
【0069】
配合安定剤は、粉体の形で用いることも出来るが、配合の作業性や粉立ちの防止の見地からは、粒状で用いるのが好ましい。粒径は特に制限ないが、一般に0.1乃至3.0mm、特に0.5乃至1.0mmの範囲にあるのが、分散性と取り扱い性の点でよく、粒子形状は、球状、柱状、タブレット状、ペレット状、顆粒状、不定形状、等の任意の形態であってよい。
【0070】
配合安定剤の造粒は、それ自体公知の任意の手段で行うことができるが、暖色発色性を示す無機安定剤とホウ酸との反応を防ぐため、熱のあまりかからない造粒法が有利であり、転動造粒、圧縮造、磨砕造粒等が有利に使用される。
【0071】
上記のような配合安定剤の造粒物は、有機錫系安定剤と共に塩素含有重合体に配合されるが、かかる有機錫系安定剤は、塩素含有重合体100重量部当たり、0.05乃至2.0重量部、特に0.1乃至0.4重量部の量で使用する。また、有機錫系安定剤としては、アルキルメルカプト錫系安定剤またはアルキルマレート錫系安定剤が好適に使用される。
【0073】
アルキルメルカプト錫系安定剤としては、錫原子にアルキル基が結合した有機錫メルカプタイト類、有機錫メルカプタイド・サルファイド類、有機錫メルカプトカルボキシレート類が包含される。
【0074】
有機錫メルカプタイド類としては、ジブチル錫ビス(ラウリルメルカプタイド)、ジメチル錫ビス(ステアリルメルカプタイド)、ジオクチル錫ビス(メルカプトエチル・トール油脂脂肪酸エステル)、ジオクチル錫ビス(2−メルカプトエチルカプリレート)、ジブチル錫ビス(メルカプトエチル・トール油脂脂肪酸エステル)、ジメチル錫ビス(メルカプトエチルステアレート)、ジオクチル錫ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(2−エチルヘキシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(ドデシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(テトラデシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(ヘキサデシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(オクタデシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(C12−16 混合アルキルチオグリコレート)、ジブチル錫ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジメチル錫ビス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)、ビス(2−メルカプトカルボニルエチル)錫ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ビス(2−ブトキシカルボニルエチル)錫ビス(ブチルチオグリコレート)等のジ有機錫メルカプタイド及びモノブチル錫トリス(ラウリルメルカプタイド)、モノブチルモノクロロ錫ビス(ラウリルメルカプタイド)、モノオクチル錫トリス(2−メルカプトエチルカプリレート)、モノブチル錫トリス(メルカプトエチル・トール油脂肪酸エステル)、モノメチル錫トリス(メルカプトエチル・トール油脂肪酸エステル)、モノメチル錫トリス(メルカプトエチルラウレート)、モノメチル錫トリス(メルカプトエチルステアレート)、モノメチル錫トリス(メルカプトエチルオレート)、モノオクチル錫トリス(イソオクチルチオグリコレート)モノオクチル錫トリス(2−エチルヘキシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(ドデシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(ドデシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(テトラデシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(ヘキサデシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(C12−16 混合アルキルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(オクタデシルチオグリコレート)、モノブチル錫トリス(イソオクチルチオグレコレート)、モノブチル錫トリス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)、モノメチル錫トリス(イソオクチルチオグリコレート)、モノメチル錫トリス(テトラデシルチオグリコレート)、2−メトキシカルボニルエチル錫トリス(イソオクチルチオグリコレート)、2−ブトキシカルボニルエチル錫トリス(2−エチルヘキシルチオグリコレート)等のモノ有機錫メルカプタイドがあげられる。
【0075】
有機錫メルカプタイド・サルファイド類としては、ビス〔モノブチル・ジ(イソオクトキシカルボニルメチレンチオ)錫〕サルファイド、ビス〔ジブチルモノ(イソオクトキシカルボニルメチレンチオ)錫〕サルファイド、ビス〔ビス(2−メトキシカルボニルエチル)錫イソオクチルチオグリコレート〕スルフィド、ビス(メチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)ジサルファイド、ビス(メチル/ジメチル錫モノ/ジイソオクチルチオグリコレート)ジサルファイド、ビス(メチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)トリサルファイド、ビス(ブチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)トリサルファイド、ビス〔メチル錫ジ(2−メチルカプトエチルカプリレート)サルファイド、ビス〔メチル錫ジ(2−メルカプトエチルカプリレート)〕ジサルファイド等があげられる。
【0076】
有機錫メルカプトカルボキシレート類としては、ジブチル錫−β−メルカプトプロピオネート、ジオクチル錫−β−メルカプトプロピオネート、ジブチル錫メルカプトアセテート、ビス(2−メトキシカルボニルエチル)錫チオグリコレート)錫チオグリコレート、ビス(2−メトキシカルボニルエチル)錫メルカプトプロピオネート等があげられる。
【0077】
これらのアルキルメルカプト錫安定剤は、単独でも或いは2種以上の組み合わせでも使用出来るし、また他の有機錫安定剤、例えば、有機錫カルボキシレート類、モノまたはジメチル錫、モノ又はジブチル錫、モノまたはジオクチル錫或いはモノ又はビス(プトキシカルボニルエチル)錫のオクトエート、ラウレート、ミリステート、パルミテート、ステレート、イソステアレート等の脂肪族一価のカルボキシレート類:及びこれらを混合塩或いは塩基性塩と組み合わせで使用することもできる。
【0078】
又アルキルマレート錫安定剤としては、モノブチル錫トリメチルマレート、モノブチル錫トリオクチルマレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ラウレート・メチルマレート、ジブチル錫ジオレイルマレート、 ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫ジオクチルメチルマレート、ジブチル錫ジオクチルチオグリコレート、ジブチル錫ジラウリルメルカプタイド、トリペンジル錫オクチルマレート、トリベンジル錫トリメチルマレートが用いられる。
【0080】
【実施例】
本発明を次の実施例により、更に詳しく説明する。尚、試験方法は次の方法によった。
1 ギア式熱老化試験
180℃に設定したギアオーブンに試験片を入れ、10分毎に取り出してその着色状態を目視観察し判定した。
シートの着色度は下記の5段階に分けて評価した。
1 無着色
2 淡黄色
3 黄色
4 赤褐色
5 黒色
暴露開始後20分までを特に「初期着色性」として下記の3段階に分けて評価した。
1 良
2 やや良
3 悪
2 吸光度
吸光度の測定は、粒状の試料を微粉砕した後、赤外分光光度計(日本分光製FT/IR−8000)を用いて、拡散反射法により行った。
【0081】
(実施例1)
ポリ塩化ビニル樹脂100部(重量部、以下同様)に対して錫安定剤(ジ−n−オクチル錫ビス(イソオクチルチオグリコレート))0.2部を添加配合させ、これに無機安定剤(水酸化カルシウム等)0.3部、ポリエチレン滑剤0.5部、ホウ酸0.05部からなる造粒組成物を配合させ、160℃の3.5インチ混練ロールで5分間混練し、厚さ0.5mmのシートを作成した。このシートから試験片を作成し180℃に設定したギア式熱老化試験機に入れ、10分毎に取り出してその着色を目視判定して、黒色分解するまでの時間を測定し、錫安定剤を減少させた時の本発明による熱安定化助剤による初着防止、熱安定性等の作用効果を評価した。無機安定剤として水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、リチウムアルミニウム複合体、ハイドロタルサイト、をそれぞれ使用し、試料No.1−1、1−2、1−3、1−4、1−5とし、結果を表−1に示した。
【0082】
(比較例1)
錫安定剤を0.3部とし、無機安定剤とホウ酸を無配合とした以外は、実施例1と同様にして、熱安定性等を評価した。試料No.1−Aとし、結果を表−1に示した。
【0083】
(比較例2)
無機安定剤とホウ酸を無配合とした以外は、実施例1と同様にして、熱安定性等を評価した。試料No.1−Bとし、結果を表−1に示した。
【0084】
(比較例3)
無機安定剤を酸化マグネシウムとし、ホウ酸を無配合とした以外は、実施例1と同様にして、熱安定性等を評価した。試料No.1−Cとし、結果を表−1に示した。
【0085】
(実施例2)
ホウ酸の配合部数を変え、吸光度比(I/IOH)の値が0.05、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0になるようにそれぞれ設定した以外は、実施例1と同様にして、熱安定性等を評価した。ぞれぞれ試料No.2−1、2−2、2−3、2−4、2−5、2−6とし、結果を表−2に示した。
【0086】
(実施例3)
実施例1で用いたポリエチレン系滑剤に変えて滑剤をしれぞれステアリン酸、ステアリン酸モノグリセリド、モンタン酸、非酸化ポリエチレン、ポリプロピレン、ペンタエリスリトール、ステアリン酸エステルに変えた以外は、実施例1と同様にして、熱安定性等を評価した。それぞれ試料の.3−1、3−2、3−3、3−4、3−5、3−6、3−7とし、結果を表−3に示した。
【0087】
(比較例4)
滑剤を無配合とした以外は、実施例3と同様にして、熱安定性を等を評価した。試料No.3−Aとし、結果を表−3に示した。
【0088】
(実施例4)
安定剤の種類と配合部数をそれぞれジメチル錫メルカプト0.2部、ジブチル錫メルカプト0.2部、ジオクチル錫メルカプト0.2部、ジブチル錫マレート0.4部、ジオクチル錫マレート0.4部とした以外は、実施例1と同様にして、熱安定性等を評価した。それぞれ試料No.4−1、4−2、4−3、4−4、4−5とし、結果を表−4に示した。
【0089】
(実施例5)
塩素化ポリ塩化ビニル樹脂(平均重合度640 塩素含有量65%)100部(以下断りのない場合重量部を示す)に対して、ジ−n−オクチル錫ビス(イソオクチルチオグリコレート)0.5部を添加配合させ、次いで水酸化カルシウム0.3部、ポリエチレン滑剤0.5部、ホウ酸0.05部から成る造粒組成物を添加させ、180℃の3.5インチ混練ロールで5分間混練し、厚さ0.5mmのシートを作成した。このシートから試験片を作成し、185℃に調整したギア式熱老化試験機に入れ、10分毎に取り出してその着色状態を目視判定して、黒色分解するまでの時間を測定し、熱安定性等を評価した。結果を表5に示す。
評価基準は実施例1と同様に行った。
【0090】
(比較例5)
ホウ酸を無配合とし、錫安定剤の種類と配合部数をそれぞれジオクチル錫メルカプト0.2部、ジオクチル錫マレート0.4部とした以外は実施例4と同様にして熱安定性等を評価した。それぞれ試料No.4−A、4−Bとし、結果を表−4に示した。
尚、表−1及び表−5において、実施例中の試料No.1−2〜1−5、及び試料No.5−2〜5−5は、本発明の範囲外の参考例である。
【0091】
【表1】
Figure 0003597921
【0092】
【表2】
Figure 0003597921
【0093】
【表3】
Figure 0003597921
【0094】
【表4】
Figure 0003597921
【0095】
【表5】
Figure 0003597921
【0096】
【発明の効果】
本発明に従い、(a)暖色発色性を示す無機安定剤である水酸化カルシウムに(b)微量のホウ酸乃至無水ホウ酸を組み合わせ、これを有機錫系安定剤と共に塩素含有重合体に配合すると、上記無機安定剤(a)に特有の優れた熱安定化作用をそっくり保持させながら、しかも無機安定剤に特有の初期着色傾向を顕著に改善することができる。
【0097】
本発明において、上記暖色発色性を示す無機安定剤及びホウ酸乃至無水ホウ酸に有機系安定剤、特に(C1)アルキルメルカプト錫系安定剤或いはアルキルマレート錫安定剤を配合すると、熱安定性を一層向上させ、初期着色性を一層顕著に防止する事が出来る。
【0098】
アルキルメルカプト錫系安定剤或いはアルキルマレート錫安定剤配合量は、従来のアルキルメルカプト乃至はアルキルマレート錫安定剤の配合量に比べかなり少ない量でよく、これは本発明による利点の一つである。
【0099】
無機系安定剤とホウ酸乃至無水ホウ酸とを一緒に配合する場合には、暖色発色性を示す無機安定剤とホウ酸乃至無水ホウ酸との反応を防止するようにすることが、熱安定性を低下させずに、初期着色を防止する上で重要であるが、造粒媒体ともなる配合剤、例えばワックス類を含有する組成物を造粒して安定剤とすると、ワックス類は水酸化カルシウム等とホウ酸乃至無水ホウ酸との反応を抑制するので、ホウ酸カルシウムの生成を低い水準に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の1−1の赤外線分光光度計のチャート図である(K/M vs Wavenumber)。

Claims (3)

  1. 水酸化カルシウム、ホウ酸乃至無水ホウ酸及びワックス乃至滑剤を含有する組成物を造粒することにより得られ且つ下記式(1):
    R=I/IOH …(1)
    式中、 OH は波数3600乃至3700における水酸化カルシウムの特性吸収の吸 光度であり、 は波数960乃至1150におけるホウ酸塩の特性吸収の吸 光度である、
    で定義される吸光度比が0.05乃至0.8の範囲にある塩素含有重合体用安定剤を、有機錫系安定剤と共に、塩素含有重合体に配合することにより該塩素含有重合体を安定化する方法であって、塩素含有重合体100重量部当たり、前記水酸化カルシウムを0.05乃至2.0重量部、前記ホウ酸乃至無水ホウ酸を0.01乃至1.0重量部及び前記ワックス乃至滑剤を0.1乃至1.0重量部の量で使用し、且つ前記有機錫系安定剤を0.05乃至2.0重量部の量で使用することを特徴とする塩素含有重合体の安定化方法。
  2. 有機錫系安定剤がアルキルメルカプト錫系安定剤である請求項1記載の安定化方法。
  3. 有機錫系安定剤がアルキルマレート錫系安定剤である請求項1記載の安定化方法。
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