JP2003300845A - 染毛料及び染毛方法 - Google Patents
染毛料及び染毛方法Info
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Abstract
トメント効果をも有する染毛料及び染毛方法の提供。 【解決手段】 ヘナの葉の乾燥粉末20〜90重量%と
Indigofera属に属するインド藍の葉の乾燥粉末80〜1
0重量%とを配合してなる染毛料。このインド藍の葉の
乾燥粉末は、湿気のこもらない雰囲気下で乾燥して作製
する。湿った状態の又は乾いた状態の毛髪に対して、該
染毛料と水とを混練して得た軟ペースト状の染毛料ペー
ストを、毛髪の染めたい部分に塗布し、次いで、毛髪全
体をカバーで覆った状態で所定の時間放置した後、該染
毛料ペーストを洗い流すことにより染毛する。
Description
法に関し、特に、染毛作用が優れていると共に、ヘアト
リートメント効果をも有する染毛料及びこの染毛料を用
いる染毛方法に関する。
ものが開発され、市場に出回っている。かかる化学染料
は化学的副作用などにより毛髪のみならず皮膚などにも
損傷を与えるおそれがあることから、近年、天然染料で
ある植物染料が見直され、染毛料としても種々のものが
開発されている。例えば、ヘナ粉末からなる染毛料が知
られており、また、ヘナの粉末とアイの粉末とからなる
毛髪用調整剤も知られている(特開昭61−14331
5号公報)。
の低木であり、このヘナからとられた染料は、古来か
ら、近東地方では爪を染めたり、欧州では金髪を染める
のに用いられていた。また、ヘナに含まれているラウソ
ン(ヘナタンニン酸)が毛髪に吸収されると、毛髪はオ
レンジ系の赤褐色に染まることが知られていた。また、
上記特開昭61−143315号公報には、使用される
アイはタデ科の一年草の植物から得られた青色染料であ
ることが記載されている。つまり、この公報記載の染料
は、いわゆるタデアイ(Polygonum tinctorium Lour)か
ら得られたものである。
藍植物の葉を用いて、絹布等を建て染めや生葉染めする
ことが行われている。この建て染めは、水に不溶の藍の
色素(インジゴ)を含む染料(スクモやインド藍や合成
藍)を、微生物の発酵、灰汁や化学薬品(ハイドロサル
ファイト等)を利用して還元し、水溶性のインジゴのロ
イコ体であるインドキシル(白藍)にした後、これを絹
布等の繊維にしみ込ませ、繊維中で空気酸化させて再び
もとのインジゴ(青藍)に戻すことにより染色する方法
である。
に含まれている藍の色素の前駆体(インジカン=無色)
を葉の中に含まれているインジカン分解酵素により分解
させてインドキシルを生成させ、この水溶性のインドキ
シルを絹布等の繊維にしみ込ませ、繊維中で空気酸化さ
せ、水不溶性のインジゴ(青色素)やインジゴの異性体
であるインジルビン(赤色素)を生成させて染色する方
法である。繊維中で酸化させるのは、水に不溶であるイ
ンジゴが一旦生成してしまうと、繊維にしみ込まなくな
るからである。
開発・市販されている製品には、染毛作用がよい場合に
は、毛髪などにダメージを与え易いという傾向があるの
で、染毛作用と共に、いわゆるヘアトリートメント効果
をも有し、毛髪などにダメージを与えない染毛料の開発
が望まれている。
は、染毛料としてだけではなく、ヘアトリートメント剤
としても使用されているが、単独で毛髪の染めたい部分
を望むように染めることは困難である。また、ヘナ粉末
とタデアイから得られた染料粉末とを用いる上記従来の
毛髪用調整剤の場合も、毛髪などにダメージを与えるこ
とは少ないが、染め色の点や色落ちの点などから、染毛
料としては必ずしも満足できるものではない。
分解酵素とが別々の場所に存在しており、葉が粉砕され
たり、枯れたりして、葉の組織が破壊されると、インジ
カンとこの分解酵素とが出会い、直ちに分解反応が起こ
って、インドキシルが生成され、このインドキシルは酸
化的二分子結合反応によりインジゴに変換されてしま
う。従って、藍植物による生葉染めは、新鮮な藍植物が
とれる場所や、生葉を収穫した時期にしか行えない。例
えば、タデアイの生葉を採取し、そのまま放置しておく
と、すぐに葉の色が青っぽくなる。つまり、タデアイの
生葉を採取して乾燥させると、葉中にインジゴが生成し
てしまい、生葉染めはできず、建て染めでしか染色でき
なくなる。
題点を解決することにあり、優れた染毛作用を有すると
共に、ヘアトリートメント効果をも併せ持ち、簡単に染
毛することができる染毛料及びこの染毛料を用いる染毛
方法を提供することにある。
点を解決すべく鋭意努力を重ね、ヘナの乾燥粉末と特定
の種類のインド藍の葉の乾燥粉末とを所定の割合で組み
合わせたものに、毛髪をオレンジ系の茶褐色から黒に近
いこげ茶色(以下、「ダークブラウン色」とも称す。)
までの所望の色に染める顕著な作用と共に、ヘアトリー
トメント効果もあることを見出し、本発明を完成するに
至った。
して得た粉末20〜90重量%とIndigofera属に属する
インド藍の葉を乾燥、粉砕して得た粉末80〜10重量
%とを配合したものである。このような割合でヘナ乾燥
粉末とインド藍乾燥粉末とを配合すると、インド藍がヘ
ナの色味を抑え、毛髪をオレンジ系の茶褐色からダーク
ブラウン色までの所望の色に染めることができる。ヘナ
乾燥粉末が90重量%を超え、インド藍乾燥粉末が10
重量%未満であると、インド藍の発色がほとんどなく、
染めたい部分が所望の色に染まらないという問題があ
り、また、ヘナ乾燥粉末が20重量%未満であり、イン
ド藍乾燥粉末が80重量%を超えると、染毛料を使用す
る際に染毛料ペーストが毛髪に充分に粘着せず、その結
果、各成分が毛髪内に充分に浸透しないという問題があ
る。このインド藍の葉の乾燥粉末は、少なくとも湿気の
こもらない雰囲気下、好ましくは湿気のない雰囲気下で
乾燥して得られたものである。
よる洗髪後、余分な水分を取り除いて、湿った状態の又
は乾いた状態の毛髪に対して、上記染毛料、すなわち、
上記したような配合割合を有するヘナ乾燥粉末及びイン
ド藍乾燥粉末と所定量の水とを混練して得た軟ペースト
状の染毛料ペーストを、毛髪の染めたい部分に、好まし
くはその根本から先端へ向けて塗布し、次いで、毛髪全
体をカバーで覆った状態で所定の時間放置した後、該染
毛料ペーストを洗い流すことからなる。これにより、染
めたい部分を充分にオレンジ系の茶褐色からダークブラ
ウン色までの所望の色に染めることができると共に、通
常の染毛料を使用した場合に比べて顕著なヘアトリート
メント効果が達成でき、洗髪中及び洗髪後の枝毛も抜け
毛もほとんどなく、健康で若々しい自然な髪の毛の色艶
を保つことができる。
する。本発明で用いるヘナ成分は、元の髪の色に赤褐色
が重なるように作用するので、天然のヘアマニキュア、
カラートリートメント剤としての作用もある。本発明の
染毛料の場合、ヘナの色素が髪の表面上に重なったり、
その内部に浸透するので、従来の染毛料などで傷んだ髪
にも好適である。本発明で用いるヘナ乾燥粉末は、ヘナ
の葉を好ましくは30〜40℃程度の温度で自然通風乾
燥した後(例えば、インドなどの地方で生産する場合
は、いわゆる陰干しすることにより乾燥せしめた後)、
これをボールミルや石臼などの粉砕機で粉砕・細砕して
得られるパウダー状のものである。
Indigofera属に属するインド藍の葉の乾燥粉末について
説明する。藍植物は、世界中に様々な種類が存在する。
例えば、タデ科に属するタデアイ(Polygonum tinctoriu
m Lour.)、マメ科、コマツナギ属に属するインド藍(Ind
igofera tinctoria L.(和名:キアイ)及びIndigofera s
uffruticosa Mill.(和名:ナンバンコマツナギ))、キツ
ネノマゴ科に属する琉球藍(Strobilanthes cusia)、ア
ブラナ科に属する大青(Isatis tinctoria L.)等が知ら
れている。
たように、通常マメ科の藍植物全般を指し、植物学的に
は種々の学名を有するものが存在する。本発明では、こ
れらのうちIndigoferaに属するインド藍の葉乾燥粉末を
用いる。藍植物中には、インジカンという藍の色素であ
るインジゴの前駆体が含まれているが、染料として利用
する場合、このインジカンをインジゴに変換して用いら
れる。
れば、そのまま絹等のタンパク質系の繊維を染色するの
に用いることができるが、日本で広く使われているタデ
アイや琉球藍の場合、この藍植物を採取して自然乾燥さ
せるとインジカンはインジゴに変化してしまうので、乾
燥葉ではインジカンを利用した生葉染めはできず、建て
染めしかできないことが知られている。
ra属に属するインド藍の場合、上記したように、湿気の
ない雰囲気下で自然乾燥させると、含まれているインジ
カンがインジゴに変化することなく、インジカンの状態
で乾燥葉の中に保持され得ることがわかった。タデアイ
や琉球藍の葉は、自然乾燥でインジゴが生成されるのに
対し、なぜインド藍はインジカンのまま乾燥葉の中に保
持されるのかについては、次の要因が推測される。
乾燥過程でインジカンと酵素とが接触できないため、組
織の破壊が進行しない。これは、組織どおしを隔てるも
のが強固なためであると考えられる。 (2)インジカンを分解する酵素の活性が低い。すなわ
ち、以下に述べる実験例(実施例2)から明らかなよう
に、インド藍の場合、タデアイや琉球藍に比べて、イン
ジカンの酵素分解速度が遅いことが分かった。
せるだけで製造した上記インド藍の乾燥葉の粉末を水に
溶解させると、インジカン及びインジカンに対する加水
分解酵素(β−グルコシダーゼ)が溶出し、生葉で行う
のと同等の染色が可能となる。なお、インジカンを利用
した染色においては、青色素であるインジゴのみではな
く、所望により、インジゴの異性体である赤色素である
インジルビンを生成させることができる。従って、本発
明の染毛料の場合、オレンジ色系の色素を含むヘナと混
ぜることにより、オレンジ系の茶褐色からダークブラウ
ン色までの所望の色を発色できるし、この染毛料に、ク
エン酸を微量加えることで紫系の色にしたり、その他の
染毛効果のあるハーブなどを適宜加えて所望の染めたい
色を発色させることも可能である。
ra属に属するインド藍の葉の乾燥粉末は、乾燥時の雰囲
気として、好ましくは湿気のない雰囲気を用い、つま
り、湿気のこもらない雰囲気中で、自然通風乾燥、加熱
通風乾燥、真空乾燥、電子レンジ乾燥を行った後、これ
をボールミルや石臼などの粉砕機で粉砕・細砕して得ら
れるパウダー状のものである。自然通風乾燥は、例え
ば、インド藍の葉を金網などの上に広げて、下からの空
気の流れも遮断しないようにして行うことが好ましい。
また、加熱通風乾燥の場合は、インド藍の発色を促す酵
素が分解されない温度で行うことが必要である。さら
に、真空乾燥の場合の真空度は、インド藍の葉中の水分
を揮発させるのに十分な真空度、例えば8hPa程度で
あれば充分である。
れたヘナ乾燥粉末とIndigofera属に属するインド藍乾燥
粉末とを所定の割合で配合したものである。このインド
藍乾燥粉末の配合割合が多くなればなるほど黒に近いこ
げ茶色に染まるが、配合割合が高すぎると、ペーストを
調製する際に水などの分散媒を用いて混練しても、粘り
けがでないので、使い勝手が悪い。しかし、本発明で規
定した配合割合の範囲内ならば、使用者の毛髪のタイプ
や染めたい部分の割合、肌の色とのバランス、使用者の
個人的嗜好等に応じて、所定の範囲内で、適宜、設計・
配合し、すぐれたヘアトリートメント効果を有する染毛
料として使用することが可能である。
の程度を加減することができることから、毛髪の状態に
もよるが、より黒に近いこげ茶色に染めたい場合は、イ
ンド藍乾燥粉末の量を30〜80重量%程度(残部がヘ
ナ乾燥粉末)とすることが好ましく、茶褐色に染めたい
場合は、インド藍乾燥粉末の量を、例えば10〜30重
量%程度(残部がヘナ乾燥粉末)にすることが好まし
い。インド藍乾燥粉末の量が少ない場合でも、ヘナ単独
で染めた場合よりも、赤味はおさえられ得る。
したヘナ乾燥粉末とIndigofera属に属するインド藍乾燥
粉末とに、水、好ましくは温湯(使用時にインド藍の発
色を促す酵素が失活しない温度、例えば70℃程度まで
の温湯)などを少しずつ加えてよく混練し、毛髪に塗る
際にたれない程度のゆるめの軟ペースト状にして用い
る。通常、マヨネーズ程度の粘性にする。染毛料ペース
トを調製する際に、ヘナ乾燥粉末及びインド藍乾燥粉末
の配合物に加える水の量は、特に制限されるわけではな
く、染めようとする色合いや、ペースト粘性の程度など
によって適宜設定することができる。例えば、一般に
は、配合物30〜40gに対して水60〜100ml程
度を使用すればよい。
プーにより洗髪して、毛髪表面に付着した毛髪内への色
素浸透を阻む整髪料等を取り除き、その後余分な水分を
除いて、湿った状態の又は乾いた状態の毛髪とする。こ
の毛髪に対して、上記のようにして調製した染毛料ペー
ストを、好ましくは調製後直ちに、その染めたい部分の
根本から先端へ向かって塗り、その後、毛髪全体をラッ
プやシャワーキャップなどのカバーで覆って、水分の蒸
発を抑えるようにし、更に、所望によりカバーの上をタ
オルなどで覆い、所定の時間(例えば、1時間程度)放
置することが望ましい。これにより、格別顕著な染毛効
果と共に、優れたヘアトリートメント効果が達成され
る。また、毛髪の根本や生え際、分け目、染めたい部分
(例えば、部分的に茶褐色乃至こげ茶色に染めたい場
合)には特にたっぷりと塗布することが好ましい。塗る
際には、手袋をはめた手で直接毛髪に付ける方法がやり
易い。タオルで覆う際には、蒸しタオルを用いたり、ま
た、ラップやシャワーキャップで包んだ後にドライヤー
などで暖めると毛髪のキューティクルが開くので、色素
の浸透や吸収がし易くなる。
定の時間放置した後、該ペーストを好ましくは温湯で洗
い流し、空気をよく通すようにして乾かし、毛染め終了
とする。毛染め後にシャンプーしたい場合は、毛染め終
了から多少の時間(30分程度)が経過してからの方
が、毛髪への色素の定着がよくなり好ましい。毛染め終
了直後又はシャンプーした直後に染色されていないよう
に見える場合であっても、数日たつと発色して色が濃く
なってきて、安定するようになる。
たい場合は、上記染毛処理を2回、3回と繰り返せば、
色が重なり、さらにダークブラウン化が進み、所望の色
を得ることができる。また、本発明の染毛料を使用する
際に、ヘアトリートメント効果をさらに向上させ、ま
た、毛髪への粘着性をさらに向上させるために、染毛料
ペーストを調製する際に卵の白身、蜂蜜、ふのりなどを
添加してもよいし、また、毛髪に栄養効果を与えるよう
にするために、栄養剤として、例えば、ビタミン類など
を配合してもよい。
粉末を水などで混練する際、成分のインジカンがインド
キシルに変換され、これが混練中に空気に触れると、こ
のインドキシルの酸化が進み、インジゴになり易い。こ
のために、上記したように調製後直ちに使用することに
より、この一連の酸化プロセスを毛髪に塗った後に毛髪
内部で進行させて、優れた染毛効果を達成することがで
きるようにすることが好ましい。
詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの例によって
限定されるものではない。実施例及び比較例において染
毛料を調製する際には、ヘナ乾燥粉末及びIndigofera属
に属するインド藍の葉の乾燥粉末は上記したようにして
調製したものを使用した。
ra属に属するインド藍の各種乾燥葉0.1gを、温浴で
80℃に保った10mlの湯の中に入れ、5分間抽出し
た。この操作を2回繰り返し、2つを合わせた溶液にイ
サチンを10mg入れ、試験管ミキサーで攪拌後加温し
て溶解させた。その後、7%塩酸を1.0ml加え、3
0分間80℃に保った。室温で1日放置後、沈殿物とし
て得られるインジルビンをろ別し、乾燥した。これをジ
メチルスルホキシドに溶解して吸光度を測定し、インジ
ルビン量を、別途合成したインジルビン溶液の吸光度と
の比較から求め、葉に含まれていたインジカン量を算出
した。このインジカンがすべてインジゴになったとした
ときの重量の、乾燥葉の重量に対する割合を、インド藍
の葉内のインジカン含有率として表した。得られた結果
を表1に示す。
いた。
じて、Indigofera属に属するインド藍の葉の代わりにタ
デアイ及び琉球藍の葉の自然乾燥(25℃)したものを
用いて、インジカン含有率を測定した。その結果、両者
ともインジカン含有率は0重量%であり、すべてインジ
ゴに変化していたことが確認された。
度)インド藍、タデアイ及び琉球藍のそれぞれの葉に含
まれているインジカンの酵素分解の速度を比較した。イ
ンド藍、タデアイ及び琉球藍のそれぞれの生葉3gを5
0mlの水中でミキサーにより粉砕し、粉砕後より5
分、15分、25分、35分、45分、60分経過後
に、その染浴中に絹布を5分間ずつ浸してその染色濃度
(絹布の反射率、%)を測定した。反射率は、積分球を
取り付けた島津分光光度計UV−260で測定した。反
射率が小さいものほど、濃く染まっていること、つまり
その時点でのインドキシル(インジカンの酵素分解生成
物)の濃度が高いことを示す。
砕5分後に、非常に濃く染まり、その時点で大量のイン
ドキシルが生成していることがわかる。つまり、5分
で、インジカンのインドキシルへの酵素分解が一気に進
んでいることを示す。そして、時間が経過するにしたが
って染まりが薄くなるということは、生成したインドキ
シルが空気酸化によりインジゴに変化することで消滅し
ていくことを示す。琉球藍の場合も、タデアイと同様の
傾向を示した(ただし、タデアイより染まり方は全般に
低い)。一方、Indigofera属に属するインド藍の場合
は、染色濃度はほとんど変わらない。つまり、生成した
インドキシルが空気酸化で減少するのに見合った量が、
インジカンから生成してきていること、つまり、徐々に
インジカンが分解してインドキシルが生成していること
を示している。以上のことから、インド藍のインジカン
を分解する酵素の活性は低いことがわかる。
gofera属に属するインド藍の乾燥粉末を表1に示すよう
な割合で配合して5種類の染毛料(A1、B1、C1、
D1及びE1)を調製した。各配合物30gに対して温
湯(40℃)70mlを徐々に添加しながら混練して、
染毛料ペースト(A2、B2、C2、D2及びE2)を
調製した。
たれてこない程度の、マヨネーズ様粘性を有するゆるめ
の軟ペーストであった。しかし、ペーストA2はIndigo
fera属に属するインド藍を単独で水と混練した場合とそ
の外観がほとんど変わらず、粘度が低く、ポロポロして
毛髪に均一に付着し難く、また、ペーストE2はその外
観、粘度はヘナ単独の場合とほとんど変わらない軟ペー
ストであった。
ストA2〜E2を使用してヤク毛を染め、その染毛効果
を検討した。検体としての素材はヤク毛((株)スタッフ
ス製のテスト用毛束)を用い、これを石鹸で洗浄して付
着物を充分に取り除いた後、やや湿った状態で用いた。
このヤク毛に対して、染毛料ペーストA2〜E2をそれ
ぞれ所定の量宛塗った後、ヤク毛全体をラップで包み、
1時間程度放置した。その後、塗布した染毛料ペースト
を40℃前後の温湯で洗い流し、空気をよく通すように
して乾かした。このようにして得られた検体について、
染毛した直後、染毛してから1日後、染毛してから7日
後におけるヤク毛の外観状態を肉眼観察すると共に、写
真撮影してその染毛効果を評価した。染毛料ペーストB
2〜D2についてのそれぞれの結果を図1〜3に示す。
付着せず、染色直後にはヘナはほとんど発色せず、イン
ド藍の色合いが強く、薄い緑がかった色合いであり、1
日後は青みがかった色合いであり、7日後になるとくす
んだ青みがかった色合いになった。また、ペーストE2
については、染毛直後も、1日後も、7日後もインド藍
はほとんど発色していなかった。ペーストB2〜D2に
ついては、図1〜3から明らかなように、本発明の染毛
料による染毛効果が格別顕著である。
それぞれ、図1(A)、図2(A)及び図3(A)から明らか
なように、染毛料ペーストを洗い流した直後はまだ色の
発色が弱く、緑がかった薄い茶色乃至薄い茶褐色であっ
たが、空気に触れて時間が経過するにつれて青みが増し
てきた。染毛してから1日後の検体の染毛の程度につい
ては、それぞれ、図1(B)、図2(B)及び図3(B)から
明らかなように、ヘナの緑色化が進み、赤みを帯びてき
て、インド藍の青みとあいまって抑制の利いたオレンジ
系茶褐色乃至赤みのあるこげ茶色っぽい色となった。こ
の程度はインド藍乾燥粉末の量が多いほど顕著であり、
ダークブラウン化の傾向が観察された。なお、インド藍
乾燥粉末の量が少ない場合には、ヘナ単独で染めた場合
よりも赤味はおさえられていた。また、染毛してから7
日後の検体の染毛の程度については、それぞれ、図1
(C)、図2(C)及び図3(C)から明らかなように、ダー
クブラウン化が進み、その程度はインド藍乾燥粉末の量
が多いほど顕著であった。なお、インド藍乾燥粉末の量
が少ない場合には、ヘナ単独で染めた場合よりも赤味は
おさえられていた。
乾燥粉末/インド藍乾燥粉末=20〜90重量%/80
〜10重量%の範囲内に入る染毛料ペーストの場合、色
素の定着がよく、使用直後にあまり色が付いていないよ
うに見えるような場合であっても、使用後1〜7日経過
すると、インド藍乾燥粉末の量が多いほど(30〜80
重量%)ダークブラウン化が進み、色も濃くなり、安定
するようになることが分かる。また、やや赤味を帯びた
茶褐色に染めたい場合には、インド藍乾燥粉末の量を1
0〜30重量%程度とすればよいことが分かる。従っ
て、本発明の染毛料によれば、成分のヘナとインド藍と
の相乗効果による染毛作用が顕著であると共に、染めた
い色に合わせてインド藍乾燥粉末の量を適宜選択すれば
よい。
2においてIndigofera属に属するインド藍乾燥粉末の代
わりにタデアイ乾燥粉末を配合して、対照の染毛料ペー
ストを調製した。この対照ペーストと本発明のペースト
C2とを用い、実施例4記載の方法に従ってヤク毛を染
色し、それぞれの染毛効果を比較した。その結果、各染
毛料ペーストを洗い流した直後は、両者とも、まだ色の
発色が弱く、緑がかった薄い茶色であったが、空気に触
れて時間が経過するにつれて青みが増してきた。染毛し
てから1日後、7日後の染毛の程度については、ペース
トC2の場合は実施例4と同様な染毛効果が得られた
が、対照ペーストの場合は、ペーストC2の場合と比べ
ると、染め色はペーストC2ほどダークブラウン化せ
ず、また、シャンプーで洗浄すると色落ちが観察され
た。
程度のヒトを対象とし、上記実施例3で得られた染毛料
ペーストC2を用いて、その染毛効果を検討した。検体
に対し市販のシャンプーで洗髪して、色素の浸透を阻害
する毛髪に付着した整髪料などを取り除いた後、乾燥し
て余分の水分を除き、髪全体をやや湿った状態にした。
次いで、上記のようにして調製した直後の染毛料ペース
トC2を適量用いて、これを毛髪全体になじませるよう
にして、その染めたい部分の根本から先端へ向かって充
分に塗った後、毛髪全体をラップやシャワーキャップな
どで包み、さらに、その上を蒸しタオルで覆って、1時
間程度放置した。その後、塗布した染毛料ペーストを4
0℃前後の温湯で洗い流し、空気をよく通すようにして
乾かした。毛染め終了後30分以上たってからシャンプ
ーし、充分乾かした。次いで、上記染毛処理を1日1回
宛合計3日間にわたって繰り返した。毎日、毛髪の外観
状態を肉眼観察して、染毛効果を評価した。
だ色の発色が弱く、緑がかった薄い茶色であったが、空
気に触れて時間が経過するにつれて青みが増してきた。
2日目の染毛処理前には、ヘナの染色も進み、赤みを帯
びると共に、オレンジ色からやや明るめの栗色の様な感
じになってきた。2日目の染毛処理直後には、1日目の
染毛処理直後の場合とほぼ同様に全体にやや緑がかって
いたが、1日目の場合に比べて色は濃くなっていた。3
日目の染毛処理前には、徐々にヘナの色も重なって、ダ
ークブラウンの感じが強くなった。3日目の染毛処理直
後には、2日目の染毛処理直後の色が更に濃くなって、
全体にやや緑がかった茶褐色という感じになった。3日
目の染毛処理から1日後には、赤くなるヘナと青に変わ
るインド藍とのバランスで急速にダークブラウン化が進
んでおり、7日後には、白髪が黒に近いダークブラウン
色に染まった。
の艶などの外観が従来の染毛料を使用した場合に比べて
極めてつやつやとしており、染色後の抜け毛もほとんど
なく、健康で若々しい自然な髪の毛の色・艶を保ってい
ることが観察された。このことはまた、本発明の染毛料
がヘアトリートメントとしても役立っていることを示し
ている。
合のヘナ乾燥粉末とIndigofera属に属するインド藍の葉
の乾燥粉末とを含んでいるので、その相乗効果により優
れた染毛効果(茶褐色から黒に近いこげ茶色までの所望
の色に染まる効果)はもとより、良好なヘアトリートメ
ント効果も得られる。
毛直後の検体の状態を示す写真(染毛料ペーストB
2)。 (B)本発明の染毛料による染毛効果を示す染毛1日後
の検体の状態を示す写真(染毛料ペーストB2)。 (C)本発明の染毛料による染毛効果を示す染毛7日後
の検体の状態を示す写真(染毛料ペーストB2)。
毛直後の検体の状態を示す写真(染毛料ペーストC
2))。 (B)本発明の染毛料による染毛効果を示す染毛1日後
の検体の状態を示す写真(染毛料ペーストC2)。 (C)本発明の染毛料による染毛効果を示す染毛7日後
の検体の状態を示す写真(染毛料ペーストC2))。
毛直後の検体の状態を示す写真(染毛料ペーストD
2)。 (B)本発明の染毛料による染毛効果を示す染毛1日後
の検体の状態を示す写真(染毛料ペーストD2)。 (C)本発明の染毛料による染毛効果を示す染毛7日後
の検体の状態を示す写真(染毛料ペーストD2)。
7)
藍植物の葉を用いて、絹布等を建て染めや生葉染めする
ことが行われている。この建て染めは、水に不溶の藍の
色素(インジゴ)を含む染料(スクモやインド藍や合成
藍)を、微生物の発酵、灰汁や化学薬品(ハイドロサル
ファイト等)を利用して還元し、水溶性のインジゴのロ
イコ体であるインジゴホワイト(白藍)にした後、これ
を絹布等の繊維にしみ込ませ、繊維中で空気酸化させて
再びもとのインジゴ(青藍)に戻すことにより染色する
方法である。
Claims (3)
- 【請求項1】 ヘナの葉を乾燥、粉砕して得た粉末20
〜90重量%とIndigofera属に属するインド藍の葉を乾
燥、粉砕して得た粉末80〜10重量%とを配合してな
ることを特徴とする染毛料。 - 【請求項2】 前記インド藍の葉の乾燥粉末が、湿気の
こもらない雰囲気下で乾燥して得られたものであること
を特徴とする請求項1記載の染毛料。 - 【請求項3】 シャンプーによる洗髪後、余分な水分を
取り除いて、湿った状態の又は乾いた状態の毛髪に対し
て、請求項1又は2記載の染毛料と水とを混練して得た
軟ペースト状の染毛料ペーストを、毛髪の染めたい部分
に塗布し、次いで、毛髪全体をカバーで覆った状態で所
定の時間放置した後、該染毛料ペーストを洗い流すこと
を特徴とする染毛方法。
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