JP2003297613A - 電圧非直線抵抗体およびその製造方法 - Google Patents
電圧非直線抵抗体およびその製造方法Info
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Abstract
することなく抑制することができる課電寿命特性に優れ
た電圧非直線抵抗体、その製造方法およびこれを備えた
避雷器を提供すること。 【解決手段】 酸化亜鉛および酸化ビスマスを含む組成
物を焼結して得られる焼結体からなる電圧非直線抵抗体
であって、前記焼結体中に含まれる酸化ビスマス結晶相
が、少なくともニッケル元素を含み、前記結晶相がα型
であることを特徴とする電圧非直線抵抗体、その製造方
法およびこれを備えた避雷器に関する。
Description
ビスマスを含む組成物を焼結して得られる焼結体からな
る電圧非直線抵抗体、製造方法およびそれを備えた避雷
器または避雷装置に関するものである。
分とする電圧非直線抵抗体は、主成分である酸化亜鉛
に、電圧非直線性の発現に必須であるといわれている酸
化ビスマスをはじめ、電気特性の改善に有効な添加物を
含有した組成物を混合し、造粒、成形、焼結の各工程を
経た焼結体からなる。図4は、一般的な電圧非直線抵抗
体1の構造を示す模式図である。前記焼結体の側面には
高抵抗層3および焼結体の上下表面には金属アルミニウ
ムなどからなる一対の電極2を設けることによって作ら
れている。
織の一部の微細構造を示す模式図である。亜鉛およびア
ンチモンを主成分とするZn7Sb2O12粒子4、酸化亜
鉛粒子5、酸化ビスマス結晶相6および酸化亜鉛結晶粒
子内の双晶境界7である。すなわち、亜鉛およびアンチ
モンを主成分とするZn7Sb2O12粒子4には、酸化亜
鉛粒子5に取り囲まれて存在するものと、酸化亜鉛粒子
5の三重点(多重点)付近に存在するものの2種類の存
在状態がある。酸化ビスマス結晶相6の一部分は前記多
重点のみならず、酸化亜鉛粒子5の境界に存在している
場合もみられる。
成分とする粒子自身は単に抵抗体として作用し、酸化亜
鉛粒子と酸化亜鉛粒子の境界部分が非常に高い抵抗をも
つ。そして、前記抵抗が印加される電圧に対して線形性
をもたない、すなわち非線形であるため、前記電圧非直
線抵抗体の電圧−電流特性が非直線性を示すことは、よ
く知られている。
圧非直線抵抗体の電圧−電流特性(非直線性特性)を示
す特性図である。優れた保護性能を有する酸化亜鉛系電
圧非直線抵抗体は、図6中、大電流域Hにおける電圧V
Hと小電流域Lにおける電圧VLとの比VH/VL(制限電
圧比:平坦率)が小さいものである。制限電圧比の改善
について論じる場合、大電流域における制限電圧比と小
電流域における制限電圧比を決定する要因が異なるため
に、各々に分離して論じる必要がある。それゆえ今後制
限電圧比VH/VLを図6中のSにおける電圧VSを用い
て、大電流域電圧比VH/VSと小電流域電圧比VS/VL
に分離して論じることとする。
鉛結晶粒内部の電気抵抗率によって決まるといわれてお
り、酸化亜鉛結晶粒内部の抵抗率が小さくなる程VHが
小さくなり、したがってVH/VSは小さくなる。一方、
小電流域電圧比VS/VLは酸化亜鉛結晶粒界に形成され
ると考えられているショットキーバリアによって決まる
といわれており、酸化亜鉛結晶粒界の見かけの抵抗率が
大きくなるほどVS/VLは小さくなる。したがって、制
限電圧比VH/VLを改善するためには、酸化亜鉛結晶粒
内部の電気抵抗率を低減し、かつ酸化亜鉛結晶粒界の見
かけの電気抵抗率を高めればよいことが示される。
い値電圧(バリスタ電圧)を超えると、電圧非直線抵抗
体に急激に電流が流れるようになる。図6ではVSがバ
リスタ電圧を表わす。このVS値は、避雷器が適用され
る送電系統に対応して設定され、V1mA(電圧非直線
抵抗体に1mA通電した際の電圧非直線抵抗体の両端電
極間電圧(V))などを代表値として使用することが多
い。電圧非直線抵抗体の大きさを勘案すると、1mAの
電流値は約30〜150μA/cm2程度の電流密度に
相当する。電圧非直線抵抗体のVS値は電圧非直線抵抗
体の厚みに比例する。
性が極めて重要となる。特に最近避雷器に用いられる電
圧非直線抵抗体は、異常電圧などのサージへの応答特性
に優れたギャップレスが主流である。そのため電圧非直
線抵抗体は常時課電された状態となり、課電時にはわず
かながら電流が流れる。この電流をもれ電流とよぶ。も
れ電流が時間の経過と共に著しく増加する傾向にある
と、もれ電流の増加と共に電圧非直線抵抗体の発熱量が
増加して最終的には熱暴走を起こし、電圧非直線抵抗体
自体が破壊するおそれがある。このように電圧非直線抵
抗体の熱暴走による破壊を防ぐためには、電圧非直線抵
抗体のもれ電流が時間に対して減少傾向を示すことが望
ましい。
めには、焼結した電圧非直線抵抗体を再度加熱する、い
わゆる後熱処理によって電圧非直線抵抗体に含まれる酸
化ビスマスをγ型酸化ビスマスに相変化させることが有
効であることが知られている(たとえば特公昭53−0
21509号公報、特開昭52−53295号公報、特
公昭56−038044号公報)。
部がγ型酸化ビスマス結晶相となった電圧非直線抵抗体
のもれ電流は、時間に対して減少傾向を示す反面、小電
流域電圧比が後熱処理前と比較して増加する傾向があ
る。小電流域電圧比の増加は課電初期もれ電流の増加を
招き、特に高い課電率で使用される場合のもれ電流の増
加を容易にする可能性がある。特許第1552242号
(特公平1−036681号公報)によれば、1050
〜1300℃の高温で焼結した電圧非直線抵抗体を、5
00〜700℃に再加熱し、1〜2時間保持後、降温速
度100〜300℃/時間で室温まで再冷却するいわゆ
る焼結後の1回の後熱処理によって電圧非直線抵抗体の
特性劣化を防止する方法が開示されている。また特許第
1537488号(特公平1−021604号公報)に
よれば、1050〜1300℃の高温で焼結した電圧非
直線抵抗体を850〜950℃に再加熱し、1〜2時間
保持後、降温速度300℃/時間で300℃まで冷却
し、再度500〜700℃に加熱して1〜2時間保持
後、降温速度50〜150℃/時間で室温まで冷却す
る、いわゆる焼結後の2回の後熱処理によって電圧非直
線抵抗体の特性劣化を防止する方法が開示されている。
線抵抗体は課電中のもれ電流増加が著しいため、もれ電
流を減少傾向とし課電寿命特性を改善するためには後熱
処理が必須の工程となっていた。しかし後熱処理工程に
よって小電流域電圧比の増加は避けることができず、ま
た工程が増えることによる製造コストの増加は免れな
い。
されているように、小電流域電圧比の増加防止のために
2回の後熱処理を行なうと、製造工程が複雑になる上
に、製造コストが大幅に増大する問題点があった。
決するためになされたもので、後熱処理を実施しなくて
も課電寿命特性に優れた、言い換えればもれ電流が時間
の経過と共に減少傾向を示す電圧非直線抵抗体を得るこ
とを目的とする。
線抵抗体は、酸化亜鉛および酸化ビスマスを含む組成物
を焼結して得られる焼結体からなる電圧非直線抵抗体で
あって、前記焼結体中に含まれる酸化ビスマス結晶相
が、少なくともニッケル元素を含み、前記結晶相がα型
である電圧非直線抵抗体である。
の電圧非直線抵抗体において、原材料の酸化ビスマス結
晶相がすべてα型である電圧非直線抵抗体である。
または2の電圧非直線抵抗体において、原材料に含まれ
る酸化クロム含有量が酸化亜鉛100重量部に対して
0.005重量部以下である電圧非直線抵抗体である。
は3の電圧非直線抵抗体において、前記組成物の焼結温
度が800〜1150℃である電圧非直線抵抗体の製造
方法である。
3の電圧非直線抵抗体を備えてなる避雷器である。
化亜鉛および酸化ビスマスを含む組成物を焼結して得ら
れる焼結体からなる電圧非直線抵抗体であって、前記焼
結体中に含まれる酸化ビスマス結晶相が、少なくともニ
ッケル元素を含み、前記結晶相がα型であることを特徴
とする電圧非直線抵抗体である。
焼結体中に含まれる酸化ビスマスの結晶相によって決定
づけられる。本発明の圧電非直線抵抗体の酸化ビスマス
結晶相はα型である。酸化ビスマスには少なくとも4つ
の相形態(α、β、δ、γ)が存在する。焼結体中に安
定して存在する酸化ビスマス結晶相は、製造過程におけ
る配合および焼結温度など、様々なパラメータによって
大きく変化する。
ス結晶相はβ型である。しかし、β型酸化ビスマス結晶
相が存在する電圧非直線抵抗体のもれ電流は、時間と共
に増加傾向を示すことが知られている。そのため後熱処
理によって酸化ビスマスの一部をγ型に変え、もれ電流
が減少傾向を示す電圧非直線抵抗体を得ることが必要不
可欠な工程となっている。しかしγ型酸化ビスマス結晶
相が存在する電圧非直線抵抗体は、課電寿命特性には優
れているものの小電流域電圧比が大きくなる欠点を有す
る。
スマスが存在する電圧非直線抵抗体の課電寿命特性は良
好であり、すなわちもれ電流が減少する。もれ電流が時
間的に変化するのは、粒界で生じる電位障壁(ショット
キーバリア)の高さが変化するためである。粒界のショ
ットキーバリアは、酸化亜鉛界面に吸着される酸素によ
って形成されるといわれている。そのため課電寿命特性
が良好な電圧非直線抵抗体を得るためには、吸着酸素が
酸化亜鉛界面から離脱し、バリアの高さが低くならない
ようにすることが必要である。ニッケル元素を含んだα
型酸化ビスマスは、この吸着酸素の離脱を抑制する効果
がある。そのため、もれ電流が時間と共に増加しない、
課電寿命特性に優れた電圧非直線抵抗体が得られる。α
型酸化ビスマスの結晶中にニッケル元素を存在させるに
は、酸化亜鉛および酸化ビスマスを含む原材料に、ニッ
ケルまたは酸化ニッケルなどのニッケル化合物を加え
て、混合、成形したのち、焼結温度800〜1150℃
で焼結する方法をあげることができる。好ましくは90
0〜1100℃で燒結する。焼結温度が800℃より低
いと、充分な酸化ビスマス液相が得られず焼結が進行し
ない傾向がある。焼結温度が1150℃を超えると酸化
ビスマスと共存するニッケル元素がZn7Sb2O12相に
移動する傾向がある。
れるためには、原材料として用いられる酸化ビスマス結
晶相がα型であることが好ましい。とくに、すべてα型
であることが好ましい。α型酸化ビスマスは4つの相形
態の中で室温で最も安定して存在するため、原材料の変
化に起因する電圧非直線抵抗体製造時の特性ばらつきを
抑えることができる。酸化ビスマスの含有量は、燒結体
中に0.1mol%以上であることが好ましい。0.1
mol%より少ないと充分な非直線性、課電寿命特性が
得られない傾向がある。
原材料、すなわち酸化亜鉛と酸化ビスマスを含む組成物
に含まれる酸化クロム含有量が、酸化亜鉛100重量部
に対して0.005重量部以下であることが好ましい。
酸化クロムを含有すると一部のα型酸化ビスマスがBi
16CrO27に置き換わる。本発明の電圧非直線抵抗体に
おいては、酸化クロムの含有量が0.005重量部を超
えると課電寿命特性が悪化する傾向がある。これは焼結
体中に存在するBi16CrO27量が酸化クロム含有量を
増やすことによって増加し、優れた課電寿命特性を提供
するα型酸化ビスマスの存在量が減少する結果、課電寿
命特性が悪化するものである。このような観点から、原
材料に含まれる酸化クロム含有量が酸化亜鉛100重量
部に対して0.005重量部以下であることが、優れた
課電寿命特性をもつ非直線抵抗体を得ることができる点
で好ましい。
よび酸化ビスマスを含み、さらに前記VS値を大きくす
る性質を有する酸化アンチモンを含有してもよい。酸化
アンチモンの含有量を多くするとバリスタ電圧を高める
のに有効である。これは酸化亜鉛との反応物であるZn
7Sb2O12粒子が酸化亜鉛の粒成長を抑制するためであ
る。また、含有量が多くなると、Zn7Sb2O12粒子自
体は絶縁体であるため、その存在により電圧非直線抵抗
体内部の通電パスが大きく制限される。それゆえ異常電
圧が電圧非直線抵抗体に印加された場合、内部の局所的
な電流集中、発熱に起因する破壊が起きやすくなる。よ
って原料中の酸化アンチモン含有量は、5mol%以
下、さらには2mol%以下が含有されるように調整す
ることが好ましい。
性を改善するために酸化コバルト、酸化マンガン、酸化
ニッケルを含有してもよい。しかし、これらの成分の含
有量が多いとZn7Sb2O12、パイロクロア相(Zn7
Sb2O12生成反応の中間生成物)の生成量が増え、エ
ネルギー耐量や電圧非直線性の低下が起こる傾向にあ
る。
子の電気抵抗を下げ、電圧非直線性を改善させるために
0.001〜0.01mol%の硝酸アルミニウムを含
有してもよい。アルミニウムイオンはそのイオン半径が
2価の亜鉛イオン半径より小さいので、格子の歪みの許
容範囲内で酸化亜鉛粒子内に固溶し、2価のイオンであ
る亜鉛を3価のイオンであるアルミニウムイオンが置換
することによって、その電子的効果により酸化亜鉛結晶
粒子内部が低抵抗化し、その結果大電流域電圧比が改善
される。
ビスマス含有結晶相をより低融点化させ、その流動性を
よくし、粒子間などに存在する微細孔(ポア)を有効に
減らす役割を果たさせるために、0.01〜0.5mo
l%のホウ酸を原料中に含有してもよい。
の焼結温度は800〜1150℃が好ましく、さらには
900〜1100℃が好ましい。焼結温度は生成する酸
化ビスマス結晶相を決める要素の1つである。焼結温度
が800℃より低いと焼結体密度および小電流域電圧比
の観点から好ましくない傾向がある。焼結温度が115
0℃を超えるとα型酸化ビスマスの蒸発が顕著となり、
小電流域電圧比が増加する傾向がある。
結は、酸化ビスマスが液相となる液相焼結である。液相
焼結は、液相ができない固相焼結と比較して焼結が素早
く進行する。酸化ビスマスの融点は824℃であるが、
酸化亜鉛との共晶点が750℃近辺に存在するため、7
50℃近辺での焼結も可能である。
方法について具体的に説明する。前記原材料の平均粒子
径を適宜調整したのち、たとえばポリビニルアルコール
水溶液などを用いてスラリーを形成する。ついで、スプ
レードライヤーなどを用いて乾燥・造粒し、成形に適し
た顆粒を得る。得られた顆粒に、たとえば300〜50
0kgf/cm2程度の加圧力で一軸加圧を施し、所定
形状の粉末成形体を作製する。得られた成形体を大気中
で所定の温度で焼結し、焼結体を得る。得られた焼結体
の上下面に一対のアルミニウムなどからなる電極を設
け、側面に高抵抗層を設けて電圧非直線抵抗体を得るこ
とができる。
法を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明
はかかる実施例のみに限定されるものではない。
と製作過程とを含んでいる。
ルト、酸化マンガンおよび酸化ホウ素の含有量を、酸化
亜鉛100重量部に対してそれぞれ5重量部、1.4重
量部、1.2重量部、0.5重量部、0.1重量部に調
整した。焼結して得られた焼結体の上下表面にアルミニ
ウムを溶射して電極を形成し、側面には閃落防止用の樹
脂からなる高抵抗層を形成して電圧非直線抵抗体とし、
電気特性、課電寿命評価用とした。さらに、アルミニウ
ムをAl(NO3)3・9H2Oに換算して5×10-4m
ol添加した。残部は酸化亜鉛である。この基本組成で
作製した試料を試料X(比較例3)とした。試料Xに酸
化ニッケルを0.5重量部加えたものを試料A(実施例
1)、試料Xに酸化クロム0.25重量部を加えたもの
を試料B(比較例1)、試料Xに酸化ニッケル0.5重
量部および酸化クロム0.25重量部を加えたものを試
料C(比較例2)とした。それぞれの組成粉をボールミ
ルを用いて混合粉砕したのち、スプレードライヤーを用
いて乾燥・造粒した。得られた顆粒に400kgf/c
m2程度の加圧力で一軸加圧成形し、直径40mm、厚
さ15mmの粉末成形体を作製した。そののち大気中に
おいて950℃で焼結を行なった。昇温および降温勾配
は50℃/時間であり、焼結時間は10時間である。焼
結して得られた焼結体の上下表面にアルミニウムを溶射
して電極を形成し、側面には閃絡防止用の高抵抗層を形
成して電圧非直線抵抗体とし、電気特性、課電寿命評価
用の試料とした。
た。
ケル、酸化クロムを含有してもバリスタ電圧、小電流域
電圧比は大きく変化しないことがわかった。
時の課電寿命特性(抵抗分もれ電流の経時変化)を評価
した。加速評価するために課電率:80%、温度:12
0℃とした。結果を図2に示す。図2中、(A)は実施
例1、(B)は比較例2、(C)は比較例3および
(D)は比較例1の結果をあらわしている。
抗分もれ電流が減少傾向を示し課電寿命特性は良好であ
るのに対し、試料B(比較例1)、X(比較例3)のも
れ電流は、途中から増加傾向に転じることがわかった。
比較例1において初期もれ電流が他に比べて大きいの
は、小電流域電圧比が他と比べて大きな値をもつことに
由来する。酸化ニッケルおよび酸化クロムを共に含有し
た試料C(比較例2)のもれ電流はわずかながら増加傾
向となった。これは、酸化ニッケルを含有しても、酸化
クロム含有量が多いと、もれ電流がわずかながらではあ
るが増加傾向を示す一例である。実施例1、比較例1〜
3の結果から酸化ニッケルを含有することで、電圧非直
線抵抗体の課電寿命特性は大きく改善することが明らか
となった。
ビスマス結晶相が深く関与している。後熱処理を実施し
なくても課電寿命特性が良好な試料A(実施例1)の特
徴を調査するために、エネルギー分散型X線分光(ED
X)機能付きの透過電子顕微鏡(TEM)を使って、焼
結体中に存在する酸化ビスマス結晶相の共存元素を評価
した。また、X線回折法(XRD)を使って、焼結体中
に存在する酸化ビスマス結晶相を評価した。
る5ヵ所の酸化ビスマス結晶相の組成を分析した結果を
表2に示す。
てもニッケル元素の存在が確認された。ニッケルの含有
率が観察点によって異なるのは、測定を微小なプローブ
径(約1nm)で行なったため、酸化ビスマス結晶相内
の構成元素の不均一性が検出されたことによると思われ
る。
較例1)、C(比較例2)のXRD回折パターンを測定
した。2θが20°〜35°の範囲の測定結果を図1に
示す。図1の(a)は試料AのXRD回折パターン、
(b)は試料BのXRD回折パターン、(c)は試料C
のXRD回折パターンを示している。図1中、白丸印は
α−Bi2O3、黒丸印はBi16CrO27、黒三角印はZ
n7Sb2O12および黒四角印はZnOをあらわしてい
る。
ス結晶相はα型であることが明らかである。試料B(比
較例1)では酸化クロムを含有しているため、一部の酸
化ビスマス結晶相はBi16CrO27となり、α型酸化ビ
スマスとBi16CrO27が共存していることを確認し
た。試料C(比較例2)は、試料Bにさらに酸化ニッケル
を含有しているが、α型酸化ビスマス結晶相の存在は認
められなかった。比較例2における酸化クロム含有量は
0.25重量部であり、酸化クロムの含有量を0.25
重量部以下とすると、徐々にα型酸化ビスマス結晶相が
出現し、課電寿命特性が改善する傾向がある。このよう
な観点から酸化クロムは無添加とすることが好ましい、
原料中には必ず不純物としてクロムが含まれる可能性が
ある。このような背景から、酸化クロムの含有量は原料
中に含まれる不純物程度、すなわち0.005重量部以
下であることが好ましい。
熱処理を加えることなく課電寿命特性が良好な電圧非直
線抵抗体を得るには、焼結体中に含まれる酸化ビスマス
結晶相が、少なくともニッケル元素を含み、その結晶相
がα型であることが必要であることがわかる。また課電
寿命特性が良好なα型酸化ビスマスを充分得るために
は、原材料に含まれる酸化クロム含有量が酸化亜鉛10
0重量部に対して0.005重量部以下であることが好
ましい。
させ、得られた焼結体の寸法から計算したかさ密度、小
電流域電圧比、XRD回折パターンを測定した。かさ密
度、小電流域電圧比の測定結果を表3に示す。
℃以上で電圧非直線抵抗体が得られていることを確認し
た。焼結温度が700℃(比較例4)、750℃(比較
例5)では電気特性を測定することができなかった。つ
ぎに焼結温度が900〜1200℃のXRD回折パター
ンを図3に示す。図3の(a)〜(f)は、実施例4〜
実施例9のXRD回折パターン、(g)は比較例6のX
RD回折パターンを示している。図3中、白丸印はα−
Bi2O3、黒三角印はZn7Sb2O12、および黒四角印
はZnOをあらわしている。また、(a)は実施例4、
(b)は実施例5、(c)は実施例6、(d)は実施例
7、(e)は実施例8、(f)は実施例9および(g)
は比較例6の結果をあらわしている。
のものに顕著な違いは認められなかったことを確認した
ため、900℃以上(実施例4〜9、比較例6)で焼結
した試料の回折パターンのみを示した。すべての温度域
においてα型酸化ビスマスの存在を確認した。温度の変
化による酸化ビスマス結晶相の変化、新規生成相などは
確認できなかった。しかし1200℃で焼結した電圧非
直線抵抗体(比較例6)におけるα型酸化ビスマス結晶
相のピーク高さは明らかに減少することを確認した。焼
結温度が高いため添加した酸化ビスマスの一部が蒸発し
失われたためである。このため小電流域電圧比が大きく
なったと考えることができる。以上のことから、焼結温
度は800℃〜1150℃の範囲であることが好ましい
ことが明らかである。
は、課電寿命特性改善効果のある焼結後の後熱処理が不
要となるため、該電圧非直線抵抗体を備えた避雷器は大
幅なコスト削減が達成できると同時に、製造時間を大幅
に短縮することが可能となる。
抵抗体によれば、酸化亜鉛および酸化ビスマスを含む組
成物を焼結して得られる焼結体からなる電圧非直線抵抗
体であって、前記焼結体中に含まれる酸化ビスマス結晶
相が、少なくともニッケル元素を含み、前記結晶相がα
型であるので、課電寿命特性に優れた電圧非直線抵抗体
を後熱処理なしで製造でき、製造時間の短縮、電力使用
の大幅な削減、それらに伴なう大幅な製造コスト低減が
可能となる。
ば、第1の電圧非直線抵抗体において、原材料の酸化ビ
スマス結晶相がすべてα型であるので、課電寿命特性に
優れた電圧非直線抵抗体に必要なα型酸化ビスマスが安
定して得られると同時に、原材料の変化に起因する電圧
非直線抵抗体製造時の特性ばらつきを抑えることができ
る。
ば、第1または2の電圧非直線抵抗体において、原材料
に含まれる酸化クロム含有量が酸化亜鉛100重量部に
対して0.005重量部以下であるので、焼結体中に生
成されるBi16CrO27生成量を抑えることができ、課
電寿命特性に優れたα型酸化ビスマスをより多く焼結体
中に得ることができる。
2または3の電圧非直線抵抗体において、前記組成物の
焼結温度が800〜1150℃であるので、α型酸化ビ
スマスの蒸発を抑え小電流域電圧比に優れた電圧非直線
抵抗体を得ることができる。
または3の電圧非直線抵抗体を備えてなる避雷器である
ので、課電寿命特性に優れた避雷器を低コストで製造す
ることができる。
X線回折パターンを示す図である。
課電寿命特性を示す図である。
X線回折パターンを示す図である。
図である。
の微細構造を示す模式図である。
を示す特性図である。
Zn7Sb2O12粒子、5 酸化亜鉛粒子、6 酸化ビス
マス結晶相、7 双晶境界。
Claims (5)
- 【請求項1】 酸化亜鉛および酸化ビスマスを含む組成
物を焼結して得られる焼結体からなる電圧非直線抵抗体
であって、前記焼結体中に含まれる酸化ビスマス結晶相
が少なくともニッケル元素を含み、前記結晶相がα型で
ある電圧非直線抵抗体。 - 【請求項2】 原材料の酸化ビスマス結晶相がすべてα
型である請求項1記載の電圧非直線抵抗体。 - 【請求項3】 原材料に含まれる酸化クロム含有量が酸
化亜鉛100重量部に対して0.005重量部以下であ
る請求項1または2記載の電圧非直線抵抗体。 - 【請求項4】 前記組成物の焼結温度が800〜115
0℃である請求項1、2または3記載の電圧非直線抵抗
体の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1、2または3記載の電圧非直線
抵抗体を備えてなる避雷器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002101164A JP2003297613A (ja) | 2002-04-03 | 2002-04-03 | 電圧非直線抵抗体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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-
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- 2002-04-03 JP JP2002101164A patent/JP2003297613A/ja active Pending
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US8176619B2 (en) | 2006-10-17 | 2012-05-15 | Panasonic Corporation | Method of manufacturing molded commutator |
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