JP2003264104A - 電圧非直線抵抗体の製造方法およびこれによって製造された電圧非直線抵抗体を備えた電圧非直線抵抗素子およびそれを用いた避雷器 - Google Patents
電圧非直線抵抗体の製造方法およびこれによって製造された電圧非直線抵抗体を備えた電圧非直線抵抗素子およびそれを用いた避雷器Info
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Abstract
時間の経過と共に減少傾向を示す課電寿命特性に優れた
電圧非直線抵抗体を製造する。併せてこの電圧非直線抵
抗体を用いた電圧非直線抵抗素子および避雷器を得る。 【解決手段】 酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、少な
くとも酸化ビスマス、酸化マンガンを含有する電圧非直
線抵抗体の製造方法であって、酸化マンガンとして熱的
に安定な四酸化三マンガン(Mn3O4)を用い、且つ
800〜1150℃の温度で焼結することにより、従来
行っていた後熱処理を実施しなくてもγ型酸化ビスマス
相が安定して得られ、課電寿命特性に優れた電圧非直線
抵抗体が得られる。また、四酸化三マンガンの添加量を
酸化亜鉛100重量部に対して0.1〜5重量部とする
ことにより、優れた課電寿命特性を有し、且つ小電流域
電圧比が良好な電圧非直線抵抗体を得ることが出来る。
Description
とし、添加成分として少なくとも酸化ビスマス、酸化マ
ンガンを含有する電圧非直線抵抗体の製造方法およびこ
の製造方法によって製造された電圧非直線抵抗体を備え
た電圧非直線抵抗素子およびそれを用いた避雷器に関す
るものである。
子は、主成分である酸化亜鉛(ZnO)に、電圧非直線
性の発現に必須であると言われている酸化ビスマスをは
じめ、電気特性の改善に有効な添加物を添加した組成物
を混合し、造粒、成形、焼結の各工程を経た電圧非直線
抵抗体と、この電圧非直線抵抗体の互いに対向する端面
上に形成された金属アルミニウム等からなる一対の電極
と、この一対の端面と交差する側面を覆うように形成さ
れた側面高抵抗層より構成される。図9は一般的な電圧
非直線抵抗体結晶組織を示す模式図であり、8は酸化亜
鉛粒子、9は亜鉛とアンチモンを主成分とするZn7S
b2O12粒子、10は酸化ビスマス相、11は酸化亜
鉛結晶粒子内の双晶境界である。このように、三酸化二
アンチモン(Sb2O3)と酸化亜鉛との反応物である
Zn7Sb2O12粒子9には、1つの酸化亜鉛粒子8
中に取り囲まれて存在するものと、酸化亜鉛粒子8の三
重点(多重点)付近に存在するものの2種類の存在状態
がある。また、酸化ビスマス相10の一部分は多重点の
みならず、酸化亜鉛粒子8−酸化亜鉛粒子8の境界に存
在している場合もみられる。
主成分とする粒子自身(酸化亜鉛粒子8)は単に抵抗体
として作用し、酸化亜鉛粒子8−酸化亜鉛粒子8の境界
部分が非常に高い抵抗を持つと同時に、その抵抗がかか
る電圧に対して線形性を持たない、すなわち非線形であ
るため、電圧非直線抵抗体の持つ電圧−電流特性が非直
線性を示すことは、よく知られている。図10は、図9
に示す微細構造を有する一般的な電圧非直線抵抗体の電
圧−電流特性(非直線性特性)を示す図である。優れた
保護性能を有する酸化亜鉛系電圧非直線抵抗体とは、図
10中、大電流域Hにおける電圧VHと小電流域Lにお
ける電圧VLとの比VH/VL(制限電圧比:平坦率)
が小さいものである。制限電圧比の改善について論じる
場合、大電流域における制限電圧比と小電流域における
制限電圧比を決定する要因が異なるために、各々に分離
して論じる必要がある。このため、制限電圧比VH/V
Lを図10中のS、すなわち1mAにおける電圧VSを用
いて、大電流域電圧比VH/VSと小電流域電圧比VS
/VLに分離して論じる。
亜鉛結晶粒内部の電気抵抗率によって決まると言われて
おり、酸化亜鉛結晶粒内部の抵抗率が小さくなる程VH
が小さくなり、従ってVH/VSは小さくなる。一方、
小電流域電圧比VS/VLは、酸化亜鉛結晶粒界に形成
されると考えられているショットキーバリアによって決
まると言われており、酸化亜鉛結晶粒界の見かけの抵抗
率が大きくなる程VS/VLは小さくなる。従って、制
限電圧比VH/VLを改善するためには、酸化亜鉛結晶
粒内部の電気抵抗率を低減し、かつ酸化亜鉛結晶粒界の
見かけの電気抵抗率を高めればよいことが示される。電
圧非直線抵抗体に印加される電圧がしきい値電圧(バリ
スタ電圧)を超えると、電圧非直線抵抗体に急激に電流
が流れるようになる。図10ではVSがバリスタ電圧を
表す。このVS値は、避雷器が適用される送電系統に対
応して設定され、V1mA(電圧非直線抵抗体に1mA通電
した際の電圧非直線抵抗体の両端電極間電圧(V))な
どを代表値として使用することが多い。電圧非直線抵抗
体の大きさを勘案すると、1mAの電流値は約30〜15
0μA/cm2程度の電流密度に相当する。電圧非直線
抵抗体のVS値は電圧非直線抵抗体の厚みに比例する。
性が極めて重要となる。特に最近避雷器に用いられる電
圧非直線抵抗体は、異常電圧などのサージへの応答特性
に優れたギャップレスが主流である。そのため電圧非直
線抵抗体は常時課電された状態となり、課電時にはわず
かながら電流が流れる。この電流をもれ電流と呼ぶ。も
れ電流が時間の経過と共に著しく増加する傾向にある
と、もれ電流の増加と共に電圧非直線抵抗体の発熱量が
増加して最終的には熱暴走を起こし、電圧非直線抵抗体
自体が破壊する恐れがある。このように素子の熱暴走に
よる破壊を防ぐためには、電圧非直線抵抗体のもれ電流
が時間に対して減少傾向を示すことが望ましい。もれ電
流が時間に対して減少傾向を示すためには、焼結した電
圧非直線抵抗体を再度加熱する、いわゆる後熱処理によ
って電圧非直線抵抗体に含まれる酸化ビスマスの一部又
は全部をγ型酸化ビスマスに相変化させることが有効で
あることは、例えば特開昭52−87695号公報、特
開昭52−53295号公報、特開昭50−13109
4号公報等で提示されている。
直線抵抗体のもれ電流経時変化および電気特性は、後熱
処理の温度、時間、温度パターンによって大きく変化す
る。そのため、所望の特性を有する電圧非直線抵抗体を
得るためには、後熱処理の最適パラメータ値を決める実
験を数多く行う必要があり、多くの開発費及び製造コス
トがかかるという問題があった。この開発費及び製造コ
ストを削減するために、後熱処理が不要な電圧非直線抵
抗体の開発が急務となっていた。
めになされたもので、後熱処理をしなくても課電中のも
れ電流が時間の経過と共に減少傾向を示す課電寿命特性
に優れた電圧非直線抵抗体を得るための製造方法を提供
し、製造時間の短縮化および製造コスト削減を図ること
を目的とする。また、本発明はこの電圧非直線抵抗体を
備え課電寿命特性に優れた電圧非直線抵抗素子およびそ
れを用いた避雷器を得ることを目的とする。
線抵抗体の製造方法は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分と
し少なくとも酸化ビスマス、酸化マンガンを含有する組
成物を造粒、成型、焼結してなる電圧非直線抵抗体の製
造方法であって、酸化マンガンとして四酸化三マンガン
(Mn3O4)を用い、且つ800〜1150℃の温度
で焼結することを特徴とする。また、四酸化三マンガン
(Mn3O4)の添加量を、酸化亜鉛100重量部に対
して、0.1〜5重量部としたことを特徴とする。ま
た、本発明に係る電圧非直線抵抗素子は、前記いずれか
の製造方法によって製造された電圧非直線抵抗体と、こ
の電圧非直線抵抗体に互いに対向して配置された一対の
電極とを備えたものである。さらに、本発明に係わる避
雷器は、前記電圧非直線抵抗素子を備えたものである。
実施の形態1における電圧非直線抵抗素子の製造方法お
よびこれによって製造された電圧非直線抵抗素子を備え
た避雷器についてその概要を説明する。その後、具体的
な実施例について述べる。図1は、本実施の形態におい
て製造される電圧非直線抵抗素子の構造を示す模式図で
ある。避雷器等に用いられる電圧非直線抵抗素子1は、
主成分である酸化亜鉛に、電圧非直線性の発現に必須で
あると言われている酸化ビスマスをはじめ、電気特性の
改善に有効な添加物を添加した組成物を混合し、造粒、
成形、焼結の各工程を経た電圧非直線抵抗体1aと、こ
の電圧非直線抵抗体体1aの互いに対向する端面上、例
えば図1では上下両端面に形成された金属アルミニウム
などから成る一対の電極2と、前記一対の端面と交差す
る側面を覆うように形成された高抵抗層3を有してい
る。また、図2は、本実施の形態における電圧非直線抵
抗素子1を備えた避雷器の構成を示す図である。避雷器
4は、直列に積み上げられた複数の電圧非直線抵抗素子
1と、その個々の電圧非直線抵抗素子1にかかる電位を
均一に補正するための分圧シールド5を外囲器6内に配
設し、外部との絶縁を保つ絶縁スペーサ7にて密閉した
構造となっている。
形態における電圧非直線抵抗素子1の電圧非直線抵抗体
1aは、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、少なくとも
酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化マンガンを含み、こ
の酸化マンガンとして四酸化三マンガン(Mn3O4)
を用いている。四酸化三マンガンを用いる理由およびそ
の添加量については後に詳しく説明する。その他の添加
物としては、VS値(図10参照)を大きくする性質を
有する三酸化二アンチモン(Sb2O3)を含有しても
良い。三酸化二アンチモンの配合量を多くするとバリス
タ電圧を高めるのに有効である。これは酸化亜鉛との反
応物であるZn7Sb2O12粒子が酸化亜鉛の粒成長
を抑制するためである。添加量が多くなると、Zn7S
b2O12粒子自体は絶縁体であるため、その存在によ
り電圧非直線抵抗体1aの内部の通電パスが大きく制限
される。このため、異常電圧が電圧非直線抵抗体1aに
印加された場合、内部の局所的な電流集中、発熱に起因
する破壊が起きやすくなる。よって、原料中の三酸化二
アンチモン添加量は、酸化亜鉛100重量部に対して1
0重量部以下、中でも5重量部以下に調整することが望
ましい。
性を改善するために酸化コバルト(Co3O4)、酸化
ニッケル(NiO)、酸化クロム(Cr2O3)を含有
しても良い。しかし、これらの成分の配合量が多いとZ
n7Sb2O12およびパイロクロア相(Zn7Sb2
O12生成反応の中間生成物)の生成量が増え、エネル
ギー耐量や電圧非直線性の低下が起こるため、これらの
添加物の添加量は5重量部以下であることが望ましい。
さらに、酸化亜鉛粒子の電気抵抗を下げ、電圧非直線性
を改善せしめるために0.001〜0.01mol%の硝酸
アルミニウムを含有せしめても良い。アルミニウムイオ
ン(Al3+)はそのイオン半径が亜鉛イオン(Zn2
+)半径より小さいので、格子の歪みの許容範囲内で酸
化亜鉛粒子内に固溶し、2価のイオンである亜鉛イオン
を3価のイオンであるアルミニウムイオンが置換するこ
とによって、その電子的効果により酸化亜鉛結晶粒子内
部が低抵抗化し、大電流域電圧比が改善される。また、
酸化ビスマス含有相をより低融点化させ、その流動性を
よくし、粒子間などに存在する微細孔(ポア)を有効に
減ぜしめる役割を果たさせるために、酸化亜鉛100重
量部に対して0.01〜10重量部のホウ酸を含有せし
めてもよい。
抗体1aの製造方法について説明する。前記原材料の平
均粒子径を適宜調整した後、例えばポリビニルアルコー
ル水溶液と共に混合装置で混合してスラリーを形成す
る。その後、このスラリーをスプレードライヤーなどを
用いて乾燥・造粒し成形に適した顆粒を得る。こうして
得られた顆粒を金型に入れ、例えば300〜500kgf
/cm2程度の加圧力で一軸加圧し、所定の形状の粉末成
形体を作製する。さらに、この成形体を大気中において
800〜1150℃の温度で焼結し、電圧非直線抵抗体
1aを得る。
aは、前述のように、酸化亜鉛(ZnO)を主成分と
し、原材料として少なくとも酸化ビスマス、酸化マンガ
ンを含み、この酸化マンガンとして四酸化三マンガン
(Mn3O4)を用い、且つ800〜1150℃の温度
で焼結することを特徴とする。以下に、その理由につい
て説明する。電圧非直線抵抗体1aの課電寿命特性は、
主に焼結体中に含まれる酸化ビスマスの結晶相によって
決定される。酸化ビスマスには少なくとも4つの相形態
(α、β、δ、γ)が存在する。電圧非直線抵抗体1a
の焼結体中に安定して存在する酸化ビスマス相は配合、
焼結温度等、様々なパラメータによって大きく変化す
る。一般的に電圧非直線抵抗体の焼結体中に存在する酸
化ビスマス相はβ型であると言われている。しかし、β
型酸化ビスマス相が存在する電圧非直線抵抗体のもれ電
流は、時間の経過と共に増加傾向を示すことが知られて
いる。そのため、従来の電圧非直線抵抗体の製造方法で
は、後熱処理によってβ型酸化ビスマス相の一部をγ型
に変え、課電時のもれ電流が減少傾向を示す電圧非直線
抵抗体を得ることが必要不可欠な工程となっていた。し
かしながら、本実施の形態では、原材料の1つである酸
化マンガンを四酸化三マンガンとし、800〜1150
℃の温度で焼結することにより、後熱処理を実施しなく
ても電圧非直線抵抗体1aの焼結体中に含まれる酸化ビ
スマスの一部がγ型酸化ビスマス相となり、課電時のも
れ電流が減少傾向を示す電圧非直線抵抗体1aを得るこ
とが可能である。なお、通常、酸化亜鉛を主成分とする
非直線抵抗体には酸化マンガン(MnO)や二酸化マン
ガン(MnO2)が使用されるが、これらの酸化マンガ
ンは加熱すると酸化され、最終的には四酸化三マンガン
となることが知られている。すなわち、熱的に安定な四
酸化三マンガンを最初から使用することで、後熱処理を
実施しなくてもγ型酸化ビスマス相が安定して得られる
と考えられる。
抗体1aの製造方法においてγ型酸化ビスマス相を安定
に得るためには、800〜1150℃の温度範囲で焼結
を行う必要がある。焼結温度が800℃以下の場合、焼
結密度が十分でなく、サージや異常電圧が素子に印加さ
れた場合の最大許容エネルギー値(エネルギー耐量値)
が低くなる傾向がある。また焼結温度が1150℃を超
えると、酸化ビスマスに固溶しγ型酸化ビスマス相の安
定化に寄与するマンガンが、酸化ビスマス以外の相(例
えばZn7Sb2O12)に移動する傾向が見られる。
このためγ型酸化ビスマス相が安定して得られず、課電
時のもれ電流が増加傾向を示す。このような観点から、
本実施の形態の電圧非直線抵抗体1aは、800〜11
50℃の温度範囲で焼結を行うことが望ましい。
の添加量は、酸化亜鉛100重量部に対して、0.1〜
5重量部であることが望ましい。その理由は、四酸化三
マンガンの添加量はγ型酸化ビスマス相の生成量と密接
な結びつきがあり、四酸化三マンガンの添加量が0.1
重量部以下であると十分なγ型酸化ビスマス相が得られ
ず、電圧非直線抵抗体の課電時のもれ電流は増加傾向を
示す。また四酸化三マンガンの添加量が5重量部以上で
あると、全酸化ビスマス相に占めるγ型酸化ビスマスの
割合が多くなり、小電流域電圧比が大きくなって初期も
れ電流(課電直後のもれ電流値)が大きくなる。初期も
れ電流が大きくなると非直線抵抗体の発熱量が大きくな
り、熱的な安定性が保たれず、課電時のもれ電流が増加
傾向に転じる場合が多い。このような観点から、四酸化
三マンガンの添加量は、0.1〜5重量部であることが
望ましい。
直線抵抗体の製造方法は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分
とし少なくとも酸化ビスマス、酸化マンガンを含有する
電圧非直線抵抗体1aの製造方法であって、酸化マンガ
ンとして四酸化三マンガン(Mn3O4)を酸化亜鉛1
00重量部に対して0.1〜5重量部添加し、且つ80
0〜1150℃の温度で焼結することを特徴とし、この
製造方法によって、課電寿命特性に優れた電圧非直線抵
抗体1aを製造することが可能である。このため、従
来、課電寿命特性改善のために行っていた焼結後の後熱
処理が不要となり、後熱処理の最適パラメータ値を決め
るために費やしていた多くの開発費及び製造コストを削
減することができる。すなわち、本実施の形態において
製造された電圧非直線抵抗体1aを搭載した避雷器は、
優れた課電寿命特性を有し、製造時間の短縮化および大
幅な製造コスト削減が達成できる。
抵抗体1aの製造方法について実施例に基づいてさらに
詳細に説明する。以下に記載する各実施例および各比較
例は次の基本組成と製作過程を含んでいる。まず、酸化
亜鉛(ZnO)100重量部に対し、酸化ビスマス(B
i2O3)、三酸化二アンチモン(Sb2O3)、酸化
クロム(Cr2O3)、酸化ニッケル(NiO)、酸化
コバルト(Co3O4)、四酸化三マンガン(Mn3O
4)および酸化硼素(B2O3)の含有量がそれぞれ
0.05〜6重量部の範囲になるよう調整した。アルミ
ニウムはAl(NO3)3・9H2Oに換算して5×1
0−4mol添加した。残部は酸化亜鉛である。この配
合で作製した試料を試料A1と呼び、本実施例における
試料とする。一方、比較のために酸化マンガンとして二
酸化マンガン(MnO2)を添加し同条件で作製したも
のを試料B1と呼び、比較例1とした。Mnモル数を同
等とするためにMnO2はモル数でMn3O4の3倍添
加した。それぞれの組成粉をボールミルを用いて混合粉
砕した後、スプレードライヤーを用いて乾燥・造粒し
た。得られた顆粒に400kgf/cm2程度の加圧力で一
軸加圧成形し、直径40mm、厚さ15mmの粉末成形体を
作製した。その後大気中において焼結を行った。昇温お
よび降温勾配は50℃/hr、焼結時間は10hrとした。
焼結後、表面にアルミニウムを溶射して電極2とし、側
面には閃絡防止用の高抵抗層3を形成して電気特性、課
電寿命評価用の試料とした。
よび比較例1の試料B1の課電寿命特性(測定温度:1
20℃、課電率:80%)を測定した結果を図3に示
す。比較例1である試料B1のもれ電流が時間の経過と
共に増加傾向であるのに対し、本実施例の試料A1のも
れ電流は減少傾向であることが明らかである。さらにこ
れらの試料の違いを明らかにするために、試料A1及び
試料B1のXRD回折パターンを測定した。2θが25
°〜40°の範囲の測定結果を図4に示す。本実施例の
試料Aには図中●で示した明瞭なγ型酸化ビスマスの回
折ピーク(222)、(321)が観察された。一方、
比較例1である試料Bにはγ型酸化ビスマスの回折ピー
クは観察されなかった。このことから、実施例1の試料
A1では、酸化ビスマスの一部がγ型酸化ビスマスであ
ることが明らかである。これらの結果から、本実施例の
試料A1において、もれ電流が時間の経過と共に減少傾
向を示したのは、四酸化三マンガンを添加することで酸
化ビスマスの一部がγ型酸化ビスマスに変化したことに
由来するといえる。
施例9について説明する。これらの実施例では、γ型酸
化ビスマスが安定して得られる焼結温度の条件を明らか
にするために、四酸化三マンガンを添加した前記実施例
1の試料A1を、800〜1150℃の温度範囲で50
℃刻みで変化させて焼結した試料A2〜A9を作製し、
本発明の実施例2〜実施例9とした。また、比較のため
に、750℃で焼結した試料A20を比較例2、120
0℃で焼結した試料A30を比較例3とした。それぞれ
の試料について、小電流域電圧比(V1mA/V10μ
A)とバリスタ電圧(V1mA/mm)、焼結体中に存在
する酸化ビスマス結晶相を測定した結果を図5に示す。
焼結温度750℃の比較例1(試料A20)では焼結が
十分に進行しなかったため、特性を測定することが出来
なかった。また、酸化ビスマス結晶相においてγ型酸化
ビスマス相の存在が確認されなかった。実施例2(A
2)〜実施例9(A9)における小電流域電圧比は、
1.24〜1.44の範囲で規則性がなくばらついてお
り、焼結温度とは直接関係がないことがわかる。バリス
タ電圧については、実施例2(A2)が420V1mA
/mmで最大値を示し、焼結温度が高くなるにつれ減少
していき、焼結温度1200℃の比較例3(A30)が
190V1mA/mmで最小値を示している。このこと
は、焼結温度が高くなるほど、低いしきい値電圧(バリ
スタ電圧)で電圧非直線抵抗体に急激に電流が流れると
いうことを示しており、バリスタ電圧を高めるためには
焼結温度が低い方が望ましいといえる。また、比較例3
(A30)においては、小電流域電圧比が1.10で最
小値を示している。小電流域電圧比が小さいということ
は、酸化亜鉛結晶粒界の見かけの抵抗率が大きいという
ことであり、制限電圧比VH/VLを改善するためには
好ましい。しかしながら、比較例3では、酸化ビスマス
結晶相においてγ型酸化ビスマス相の存在が確認されて
いない。
A4)および焼結温度1200℃の比較例3(試料A3
0)の課電寿命測定結果を図6に示す。図に示すよう
に、比較例3(試料A30)ではもれ電流が時間の経過
と共に増加傾向を表しているが、実施例4(試料A4)
のもれ電流は減少傾向であることが明らかである。さら
に、XRD回折パターンを測定した結果、比較例3では
γ型酸化ビスマス相の存在が確認できなかった。これ
は、焼結温度が1150℃を超えると、酸化ビスマスに
固溶しγ型酸化ビスマス相の安定化に寄与するマンガン
が、酸化ビスマス以外の相(例えばZn7Sb2O12
粒子)に移動する傾向が見られるため、γ型酸化ビスマ
ス相が安定して得られず、課電時のもれ電流が増加傾向
を示したものと思われる。これらのことから、四酸化三
マンガンを添加してγ型酸化ビスマス相を安定して得る
ために望ましい焼結温度は、800〜1150℃の範囲
であるといえる。
0〜実施例17について説明する。これらの実施例で
は、γ型酸化ビスマス相が安定して存在する四酸化三マ
ンガンの添加量の範囲を知るために、試料Aにおいて四
酸化三マンガンを0.1〜5重量部まで変化させた試料
を作製し、本発明の実施例10〜実施例17とした。ま
た、比較のために、四酸化三マンガンを添加しない(添
加量0)試料A40を比較例4、0.05重量部の試料
A50を比較例5、6.0重量部の試料A60を比較例
6とした。なお、いずれも焼結温度は1000℃、焼結
時間は10hrとした。それぞれの試料について、小電流
域電圧比(V1mA/V10μA)と、焼結体中に存在す
る酸化ビスマス結晶相を測定した結果を図7に示す。
5重量部の比較例4および比較例5では、γ型酸化ビス
マス相の存在が確認されず、β型酸化ビスマス相の存在
のみ観察された。一方、四酸化三マンガン添加量が0.
1重量部以上の実施例10〜実施例17および比較例6
では、γ型酸化ビスマス相の存在が観察された。四酸化
三マンガン添加量が増加するのに従い、γ型酸化ビスマ
ス結晶相の生成量が増加し、それに従いβ型酸化ビスマ
ス相の生成量が減少した。また、小電流域電圧比は、四
酸化三マンガン添加量が増加するのに伴いゆるやかな増
加傾向にあるが、四酸化三マンガン添加量が5重量部の
実施例17(試料A17)においても1.44であり特
性としては問題はない。ただし、四酸化三マンガン添加
量が5重量部を超える比較例6(試料A60)では、全
酸化ビスマス相に占めるγ型酸化ビスマスの割合が多く
なり、小電流域電圧比の値が急激に大きくなっている。
小電流域電圧比が大きくなると初期もれ電流(課電直後
のもれ電流値)が大きくなり、その結果非直線抵抗体の
発熱量が大きくなって熱的な安定性が保たれず、課電時
のもれ電流が増加傾向に転じる場合が多いため、好まし
くない。以上のことから、γ型酸化ビスマス相が存在
し、課電寿命特性に優れ、良好な小電流域電圧比を得る
ために必要な四酸化三マンガン添加量は、0.1〜5重
量部の範囲であるといえる。なお、上記実施例1〜実施
例17および比較例1〜比較例6における電圧非直線抵
抗体をなす試料の組成及び焼成温度を図8にまとめて示
している。
抵抗体の製造方法は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし
少なくとも酸化ビスマス、酸化マンガンを含有する組成
物を造粒、成型、焼結してなる電圧非直線抵抗体の製造
方法であって、組成物に含まれる酸化マンガンとして熱
的に安定な四酸化三マンガン(Mn3O4)を用い、且
つ800〜1150℃の温度で焼結することにより、従
来行っていた後熱処理を実施しなくてもγ型酸化ビスマ
ス相が安定して得られるため、課電寿命特性に優れた電
圧非直線抵抗体が得られると共に、製造時間の短縮化お
よび大幅な製造コスト削減が達成できる。
添加量を酸化亜鉛100重量部に対して、0.1〜5重
量部とすることにより、γ型酸化ビスマス相が安定して
得られるため、優れた課電寿命特性を有し、且つ小電流
域電圧比が良好な電圧非直線抵抗体を得ることができ
る。
線抵抗体を備えた電圧非直線抵抗素子および避雷器は、
優れた課電寿命特性を有し、さらに製造時間の短縮化お
よび大幅な製造コスト削減が達成できる。
抗素子の構造を示す模式図である。
抗素子を備えた避雷器の構造を示す側面図である。
非直線抵抗体の課電寿命特性を示す図である。
非直線抵抗体のX線回折パターンを示す図である。
比較例3における電気的特性及び酸化ビスマス結晶相の
測定結果を示す図表である。
比直線抵抗体の課電寿命特性を示す図である。
4〜比較例6における電気的特性及び酸化ビスマス結晶
相の測定結果を示す図表である。
料の組成及び焼結温度を示す図表である。
の微細構造を示す模式図である。
性を示す特性図である。
電極、3 高抵抗層、4 避雷器、5 分圧シール
ド、6 外囲器、7 絶縁スペーサ、8 酸化亜鉛粒
子、9 Zn7Sb2O12粒子、10 酸化ビスマス
相、11 双晶境界。
Claims (4)
- 【請求項1】 酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし少なく
とも酸化ビスマス、酸化マンガンを含有する組成物を造
粒、成型、焼結してなる電圧非直線抵抗体の製造方法で
あって、前記酸化マンガンとして四酸化三マンガン(M
n3O4)を用い、且つ800〜1150℃の温度で焼
結することを特徴とする電圧非直線抵抗体の製造方法。 - 【請求項2】 前記四酸化三マンガン(Mn3O4)の
添加量を、酸化亜鉛100重量部に対して、0.1〜5
重量部としたことを特徴とする請求項1記載の電圧非直
線抵抗体の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の製造方
法によって製造された電圧非直線抵抗体と、この電圧非
直線抵抗体に互いに対向して配置された一対の電極とを
備えた電圧非直線抵抗素子。 - 【請求項4】 請求項3記載の電圧非直線抵抗素子を備
えた避雷器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002065938A JP2003264104A (ja) | 2002-03-11 | 2002-03-11 | 電圧非直線抵抗体の製造方法およびこれによって製造された電圧非直線抵抗体を備えた電圧非直線抵抗素子およびそれを用いた避雷器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002065938A JP2003264104A (ja) | 2002-03-11 | 2002-03-11 | 電圧非直線抵抗体の製造方法およびこれによって製造された電圧非直線抵抗体を備えた電圧非直線抵抗素子およびそれを用いた避雷器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003264104A true JP2003264104A (ja) | 2003-09-19 |
Family
ID=29198001
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002065938A Pending JP2003264104A (ja) | 2002-03-11 | 2002-03-11 | 電圧非直線抵抗体の製造方法およびこれによって製造された電圧非直線抵抗体を備えた電圧非直線抵抗素子およびそれを用いた避雷器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003264104A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108648888A (zh) * | 2018-05-14 | 2018-10-12 | 国网电力科学研究院武汉南瑞有限责任公司 | 基于均能原理的氧化锌阀片配片及单柱氧化锌避雷器配组方法 |
-
2002
- 2002-03-11 JP JP2002065938A patent/JP2003264104A/ja active Pending
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