JP2003292607A - ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルの製造方法 - Google Patents
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルの製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルの
製造において、加熱処理等をしても、過酸化物の生成を
抑える製造方法を提供する。 【解決手段】 アルカリ触媒を用いて炭素数3〜18の
アルケニルアルコールとアルキレンオキシドとの付加反
応によるポリオキシアルキレンアルケニルエーテルの製
造方法において、付加反応終了後、酸化防止剤の存在
下、アルカリ触媒を吸着剤で吸着処理し、次いで、濾過
することを特徴とするポリオキシアルキレンアルケニル
エーテルの製造方法。
製造において、加熱処理等をしても、過酸化物の生成を
抑える製造方法を提供する。 【解決手段】 アルカリ触媒を用いて炭素数3〜18の
アルケニルアルコールとアルキレンオキシドとの付加反
応によるポリオキシアルキレンアルケニルエーテルの製
造方法において、付加反応終了後、酸化防止剤の存在
下、アルカリ触媒を吸着剤で吸着処理し、次いで、濾過
することを特徴とするポリオキシアルキレンアルケニル
エーテルの製造方法。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリオキシアルキレ
ンアルケニルエーテルの改良された製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】ポリオキシアルキレンアルケニルエーテ
ルは、重合性モノマー、シリコーンのSiHとの付加反
応用中間体として幅広く用いられている。特に、シリコ
ーンとポリオキシアルキレンアルケニルエーテルとの反
応物はポリエーテル変性シリコーンとして化粧品原料、
ウレタン整泡剤、界面活性剤等に常用されているもので
ある。 【0003】アルケニルアルコールへのアルキレンオキ
シド付加反応は、通常アルカリ触媒の存在下で行われる
が、反応終了後にそのまま、あるいは中和して塩の状態
で残すと、上記のシリコーンのSiHとの反応に悪影響
を与えるので、水を添加して反応終了後のアルカリ触媒
をアルコラート加水分解した後、アルカリ吸着剤を添加
して触媒を吸着させ、脱水処理後に吸着剤を濾過する方
法が行われている。 【0004】この吸着剤(酸化マグネシウム系化合物、
酸化アルミニウム系化合物等が通常用いられる。)の存
在下で脱水処理の際に加熱をすると、過酸化物が生成す
る。この過酸化物が多量に存在すると、シリコーンのS
iHとの反応でゲル化等の不具合が発生する。又、重合
性モノマーとして用いる場合にも好ましくない。一方で
加熱時間を短くすると、過酸化物の発生は抑えられる
が、残存水分がシリコーン変性反応に悪影響を与えるこ
とが問題となっていた。又、吸着剤での処理の際にも吸
着能を高めるために加熱するほうが好ましいが、逆に過
酸化物が生成しやすくなる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明はポリオキシア
ルキレンアルケニルエーテルの製造において、加熱処理
等をしても、過酸化物の生成を抑える製造方法を提供す
るものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、アルカ
リ触媒を用いて炭素数3〜18のアルケニルアルコール
とアルキレンオキシドとの付加反応によるポリオキシア
ルキレンアルケニルエーテルの製造方法において、付加
反応終了後、酸化防止剤の存在下、アルカリ触媒を吸着
剤で吸着処理し、次いで、濾過することを特徴とするポ
リオキシアルキレンアルケニルエーテルの製造方法を提
供するものである。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明のポリオキシアルキレンア
ルケニルエーテルは、炭素数3〜18のアルケニルアル
コールとアルキレンオキシドとの反応により得られる。
アルキレンオキシドとしてはエチレンオキシド、プロピ
レンオキシド、ブチレンオキシドが挙げられる。これら
は1種であっても2種以上であってもよく、アルキレン
オキシドが2種以上のとき、その付加形式はランダム状
であっても、ブロック状であってもよく、付加モル数は
3〜100であり、好ましくは3〜50モルであり、よ
り好ましくは5〜20モルである。付加モル数が3未満
であると未反応物が多量に残存する可能性があり、特に
アリルアルコールのような毒性のある原料を使用する時
には好ましくない。nが100を超えると、常温で固体
であり、加熱して溶解させても高粘度液体で、取り扱い
が困難になる恐れがある。 【0008】アルケニルアルコールとは、炭素数3〜1
8のオレフィン性不飽和基をもったアルコールであり、
アリルアルコール、ブテニルアルコール、ペンテニルア
ルコール、ヘキセニルアルコール、クロチルアルコー
ル、メチルカルビノール、ペンテノール、ヘキセノー
ル、シクロヘキセニルアルコール等が挙げられるが、ア
リルアルコールが特に好ましい。 【0009】触媒はアルキレンオキサイドの付加反応に
通常使用されるアルカリ触媒でよく、具体的にはアルカ
リ金属やアルカリ土類金属の水酸化物等が用いられる
が、安価で反応後の触媒除去工程が比較的簡単なアルカ
リ金属の水酸化物が特に好ましく、具体的には水酸化ベ
リリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
バリウム等が挙げられ、特に水酸化ナトリウム、水酸化
カリウムが好ましい。このようなアルカリ触媒は、アル
ケニルアルコールに対して0.01〜5質量%(以下質
量%は、%と略記する。)好ましくは0.05〜1%用
いられる。 【0010】アルケニルアルコールとアルキレンオキシ
ドとの付加反応は、アルカリ触媒の存在下、60〜20
0℃、好ましくは70〜190℃、さらに好ましくは9
0〜150℃で行われる。このアルカリ触媒をアルキレ
ンオキサイド付加反応後に反応物から除去する方法とし
て、通常はアルキレンオキサイド付加反応後アルコラー
トになっている触媒に、水を加え加熱して加水分解して
元の水酸化物に戻した後、アルカリ吸着剤を添加してア
ルカリ金属水酸化物を吸着させる。この時使用するアル
カリ吸着剤としては、活性白土、珪酸マグネシウム、珪
酸アルミニウム、水酸化アルミニウム等が挙げられ、特
に珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウムが好ましい。そ
の後、好ましくは、加水分解のために添加した水を加熱
減圧によって除去し、更に吸着剤を濾過により除去し
て、目的物のポリオキシアルキレンアルケニルエーテル
が得られる。 【0011】このポリオキシアルキレンアルケニルエー
テル中に水分が含まれると、シリコーンのSiHとの反
応に影響を与えるため、前記の加熱減圧による脱水工程
では、水分は可能な限り、好ましくは0.1%未満まで
除去するのが好ましい。又、アルカリ金属水酸化物を吸
着剤で吸着処理する際にも吸着という点では加熱する方
が好ましい。しかし、一方、ポリオキシアルキレンアル
ケニルエーテルを長時間加熱すると過酸化物が発生し、
これがシリコーンとの反応時にゲル化等の悪影響を与え
る。従って、加熱処理において過酸化物を極力発生させ
ずに、高品質のポリオキシアルキレンアルケニルエーテ
ルを製造することが課題となっていた。 【0012】そこで本発明者らは、アルカリ触媒を酸化
防止剤の存在下アルカリ吸着剤で処理することで、脱水
処理あるいは吸着処理における加熱による過酸化物の発
生を抑える方法を見出した。即ち、脱水工程時あるいは
吸着工程時に酸化防止剤がアルカリ吸着剤とともに存在
することで、長時間の加熱を行っても過酸化物の発生が
抑えられる。 【0013】ここで、酸化防止剤の存在下アルカリ吸着
剤で処理するとは、アルカリ吸着剤を添加後酸化防止
剤を添加する,酸化防止剤を添加した後アルカリ吸着
剤を添加する,両者を同時に添加する,の3つの方法
があるが、好ましくは、の方法である。即ち、アルカ
リ金属を相当な程度吸着処理した後に酸化防止剤を添加
するほうがBHT等の酸化防止剤そのもののアルカリに
よる変質を防止することから好ましい。 【0014】これらの酸化防止剤としては、通常有機材
料に添加されるどのようなものでもよく、ジブチルヒド
ロキシトルエン(以下BHTと略す)、ブチルヒドロキ
シアニソール(以下、BHAと略す)、4−メトキシフ
ェノール(以下、MEHQと略す)、エリソルビン酸、
エリソルビン酸ナトリウム、プロピルガレート等が挙げ
られるが、安全性の観点から食品添加物に分類されるも
のが好ましく、特にBHTが好ましい。また、酸化防止
剤の添加量としては10〜5000ppmであり、好ま
しくは100〜1000ppmである。10ppm未満
ではその酸化防止効果が充分に発現せず、5000pp
mを超えても5000ppm以下の時と比較して酸化防
止効果に差がなく、製造コストが高くなる。以下に実施
例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は
これらに特に限定されるものではない。 【0015】 【実施例】実施例1 <反応工程>温度計、圧力計、アルキレンオキシドフィ
ード管、窒素ガス吹き込み管、撹拌機、真空排気管を装
備し、充分に洗浄・乾燥させたSUS製内容積4Lの耐
圧反応装置にアリルアルコール(関東化学(株)製試薬
1級)212gとフレーク状苛性カリ(太田隆(株)
製)2gを仕込み、反応容器内を窒素ガスで置換した。
撹拌しながら125℃まで昇温した後、反応温度130
±5℃、容器内圧力0.49MPa以下の条件で、アル
キレンオキシドフィード管よりエチレンオキシド178
8gを撹拌下に連続的に加圧添加した。エチレンオキシ
ド添加終了後、130±5℃で1時間熟成反応させた。
次に4kPaになるまで減圧処理をして未反応エチレン
オキシドを除去し、窒素ガスを吹き込んで0.1MPa
まで加圧してから60℃まで冷却した。 【0016】<精製濾過工程>得られた反応物に水20
gを添加し、95±5℃で30分間撹拌混合した。その
後珪酸マグネシウム(協和化学工業(株)製キョーワー
ド600S)13.3gと珪酸アルミニウム(協和化学
工業(株)製キョーワード700SL)6.7gを添加
後20分撹拌後、BHT(吉富製薬(株)製)1g(5
00ppm)を添加し、95±5℃で30分間撹拌混合
した。その後105±5℃に昇温し、0.8kPaにな
るまで2.5時間かけて減圧脱水した。脱水終了後、窒
素ガスを吹き込んで0.1MPaまで加圧してから60
℃まで冷却した。得られた反応物に濾過助剤KCフロッ
ク4g(日本製紙(株)製)、ハイフロスーパーセル8
g(協和化学工業(株)製)を混合し、加圧濾過器にて
濾過して、吸着剤と濾過助剤を除去し、目的のポリオキ
シアルキレンアルケニルエーテルを得た(濾過温度:6
0℃、濾紙:アドバンテック東洋(株)製No.1、圧
力:0.3MPa)。得られたポリオキシアルキレンア
ルケニルエーテルはカールフィッシャー水分測定機にて
水分量を測定し、更に下記の方法で過酸化物価(以下、
POVと略す)を測定した。 【0017】<POV測定>ヨウ素フラスコにポリオキ
シアルキレンアルケニルエーテル約50gを量り取り、
イソプロピルアルコール(以下、IPAと略す)50m
Lに溶解させる。ヨウ化カリウム1g、酢酸1mL、水
1mLを加え、ヨウ素フラスコに栓をして栓上部をIP
Aでシールする。沸騰湯浴上で20分間ヨウ素フラスコ
を加熱し、加熱終了後、N/100のチオ硫酸ナトリウ
ム溶液にて、液の色が黄色から無色になるまで滴定し、
滴定量から過酸化物価(ppm)を算出する。 【0018】実施例2 精製工程でBHTの添加量を0.2g(100ppm)
とした以外は、実施例1と同様の方法でポリオキシアル
キレンアルケニルエーテルを製造した。 実施例3 精製工程で使用した酸化防止剤をBHAとした以外は、
実施例1と同様の方法でポリオキシアルキレンアルケニ
ルエーテルを製造した。 【0019】実施例4 精製工程で使用した酸化防止剤をMEHQとした以外
は、実施例1と同様の方法でポリオキシアルキレンアル
ケニルエーテルを製造した。 比較例1 酸化防止剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様の
方法でポリオキシアルキレンアルケニルエーテルを製造
した。 【0020】比較例2 精製工程でBHTを添加せず、濾過後に1g添加した以
外は、実施例1と同様の方法でポリオキシアルキレンア
ルケニルエーテルを製造した。 比較例3 精製工程でBHAを添加せず、濾過後に1g添加した以
外は、実施例3と同様の方法でポリオキシアルキレンア
ルケニルエーテルを製造した。 【0021】比較例4 精製工程でMEHQを添加せず、濾過後に1g添加した
以外は、実施例4と同様の方法でポリオキシアルキレン
アルケニルエーテルを製造した。実施例1〜4、比較例
1〜4の水分量、POVを測定した結果を表1に示し
た。 【0022】 【表1】 表1に示したように、実施例はいづれも発生するPOV
の量を著しく低減できることがわかった。 【0023】 【発明の効果】本発明により、過酸化物価の低減された
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルの製造が可能
となった。従って、ポリオキシエチレン変性シリコーン
用中間原料、重合性モノマー等として優れた品質のポリ
オキシアルキレンアルケニルエーテルの提供が可能とな
った。
ンアルケニルエーテルの改良された製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】ポリオキシアルキレンアルケニルエーテ
ルは、重合性モノマー、シリコーンのSiHとの付加反
応用中間体として幅広く用いられている。特に、シリコ
ーンとポリオキシアルキレンアルケニルエーテルとの反
応物はポリエーテル変性シリコーンとして化粧品原料、
ウレタン整泡剤、界面活性剤等に常用されているもので
ある。 【0003】アルケニルアルコールへのアルキレンオキ
シド付加反応は、通常アルカリ触媒の存在下で行われる
が、反応終了後にそのまま、あるいは中和して塩の状態
で残すと、上記のシリコーンのSiHとの反応に悪影響
を与えるので、水を添加して反応終了後のアルカリ触媒
をアルコラート加水分解した後、アルカリ吸着剤を添加
して触媒を吸着させ、脱水処理後に吸着剤を濾過する方
法が行われている。 【0004】この吸着剤(酸化マグネシウム系化合物、
酸化アルミニウム系化合物等が通常用いられる。)の存
在下で脱水処理の際に加熱をすると、過酸化物が生成す
る。この過酸化物が多量に存在すると、シリコーンのS
iHとの反応でゲル化等の不具合が発生する。又、重合
性モノマーとして用いる場合にも好ましくない。一方で
加熱時間を短くすると、過酸化物の発生は抑えられる
が、残存水分がシリコーン変性反応に悪影響を与えるこ
とが問題となっていた。又、吸着剤での処理の際にも吸
着能を高めるために加熱するほうが好ましいが、逆に過
酸化物が生成しやすくなる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明はポリオキシア
ルキレンアルケニルエーテルの製造において、加熱処理
等をしても、過酸化物の生成を抑える製造方法を提供す
るものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、アルカ
リ触媒を用いて炭素数3〜18のアルケニルアルコール
とアルキレンオキシドとの付加反応によるポリオキシア
ルキレンアルケニルエーテルの製造方法において、付加
反応終了後、酸化防止剤の存在下、アルカリ触媒を吸着
剤で吸着処理し、次いで、濾過することを特徴とするポ
リオキシアルキレンアルケニルエーテルの製造方法を提
供するものである。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明のポリオキシアルキレンア
ルケニルエーテルは、炭素数3〜18のアルケニルアル
コールとアルキレンオキシドとの反応により得られる。
アルキレンオキシドとしてはエチレンオキシド、プロピ
レンオキシド、ブチレンオキシドが挙げられる。これら
は1種であっても2種以上であってもよく、アルキレン
オキシドが2種以上のとき、その付加形式はランダム状
であっても、ブロック状であってもよく、付加モル数は
3〜100であり、好ましくは3〜50モルであり、よ
り好ましくは5〜20モルである。付加モル数が3未満
であると未反応物が多量に残存する可能性があり、特に
アリルアルコールのような毒性のある原料を使用する時
には好ましくない。nが100を超えると、常温で固体
であり、加熱して溶解させても高粘度液体で、取り扱い
が困難になる恐れがある。 【0008】アルケニルアルコールとは、炭素数3〜1
8のオレフィン性不飽和基をもったアルコールであり、
アリルアルコール、ブテニルアルコール、ペンテニルア
ルコール、ヘキセニルアルコール、クロチルアルコー
ル、メチルカルビノール、ペンテノール、ヘキセノー
ル、シクロヘキセニルアルコール等が挙げられるが、ア
リルアルコールが特に好ましい。 【0009】触媒はアルキレンオキサイドの付加反応に
通常使用されるアルカリ触媒でよく、具体的にはアルカ
リ金属やアルカリ土類金属の水酸化物等が用いられる
が、安価で反応後の触媒除去工程が比較的簡単なアルカ
リ金属の水酸化物が特に好ましく、具体的には水酸化ベ
リリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
バリウム等が挙げられ、特に水酸化ナトリウム、水酸化
カリウムが好ましい。このようなアルカリ触媒は、アル
ケニルアルコールに対して0.01〜5質量%(以下質
量%は、%と略記する。)好ましくは0.05〜1%用
いられる。 【0010】アルケニルアルコールとアルキレンオキシ
ドとの付加反応は、アルカリ触媒の存在下、60〜20
0℃、好ましくは70〜190℃、さらに好ましくは9
0〜150℃で行われる。このアルカリ触媒をアルキレ
ンオキサイド付加反応後に反応物から除去する方法とし
て、通常はアルキレンオキサイド付加反応後アルコラー
トになっている触媒に、水を加え加熱して加水分解して
元の水酸化物に戻した後、アルカリ吸着剤を添加してア
ルカリ金属水酸化物を吸着させる。この時使用するアル
カリ吸着剤としては、活性白土、珪酸マグネシウム、珪
酸アルミニウム、水酸化アルミニウム等が挙げられ、特
に珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウムが好ましい。そ
の後、好ましくは、加水分解のために添加した水を加熱
減圧によって除去し、更に吸着剤を濾過により除去し
て、目的物のポリオキシアルキレンアルケニルエーテル
が得られる。 【0011】このポリオキシアルキレンアルケニルエー
テル中に水分が含まれると、シリコーンのSiHとの反
応に影響を与えるため、前記の加熱減圧による脱水工程
では、水分は可能な限り、好ましくは0.1%未満まで
除去するのが好ましい。又、アルカリ金属水酸化物を吸
着剤で吸着処理する際にも吸着という点では加熱する方
が好ましい。しかし、一方、ポリオキシアルキレンアル
ケニルエーテルを長時間加熱すると過酸化物が発生し、
これがシリコーンとの反応時にゲル化等の悪影響を与え
る。従って、加熱処理において過酸化物を極力発生させ
ずに、高品質のポリオキシアルキレンアルケニルエーテ
ルを製造することが課題となっていた。 【0012】そこで本発明者らは、アルカリ触媒を酸化
防止剤の存在下アルカリ吸着剤で処理することで、脱水
処理あるいは吸着処理における加熱による過酸化物の発
生を抑える方法を見出した。即ち、脱水工程時あるいは
吸着工程時に酸化防止剤がアルカリ吸着剤とともに存在
することで、長時間の加熱を行っても過酸化物の発生が
抑えられる。 【0013】ここで、酸化防止剤の存在下アルカリ吸着
剤で処理するとは、アルカリ吸着剤を添加後酸化防止
剤を添加する,酸化防止剤を添加した後アルカリ吸着
剤を添加する,両者を同時に添加する,の3つの方法
があるが、好ましくは、の方法である。即ち、アルカ
リ金属を相当な程度吸着処理した後に酸化防止剤を添加
するほうがBHT等の酸化防止剤そのもののアルカリに
よる変質を防止することから好ましい。 【0014】これらの酸化防止剤としては、通常有機材
料に添加されるどのようなものでもよく、ジブチルヒド
ロキシトルエン(以下BHTと略す)、ブチルヒドロキ
シアニソール(以下、BHAと略す)、4−メトキシフ
ェノール(以下、MEHQと略す)、エリソルビン酸、
エリソルビン酸ナトリウム、プロピルガレート等が挙げ
られるが、安全性の観点から食品添加物に分類されるも
のが好ましく、特にBHTが好ましい。また、酸化防止
剤の添加量としては10〜5000ppmであり、好ま
しくは100〜1000ppmである。10ppm未満
ではその酸化防止効果が充分に発現せず、5000pp
mを超えても5000ppm以下の時と比較して酸化防
止効果に差がなく、製造コストが高くなる。以下に実施
例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は
これらに特に限定されるものではない。 【0015】 【実施例】実施例1 <反応工程>温度計、圧力計、アルキレンオキシドフィ
ード管、窒素ガス吹き込み管、撹拌機、真空排気管を装
備し、充分に洗浄・乾燥させたSUS製内容積4Lの耐
圧反応装置にアリルアルコール(関東化学(株)製試薬
1級)212gとフレーク状苛性カリ(太田隆(株)
製)2gを仕込み、反応容器内を窒素ガスで置換した。
撹拌しながら125℃まで昇温した後、反応温度130
±5℃、容器内圧力0.49MPa以下の条件で、アル
キレンオキシドフィード管よりエチレンオキシド178
8gを撹拌下に連続的に加圧添加した。エチレンオキシ
ド添加終了後、130±5℃で1時間熟成反応させた。
次に4kPaになるまで減圧処理をして未反応エチレン
オキシドを除去し、窒素ガスを吹き込んで0.1MPa
まで加圧してから60℃まで冷却した。 【0016】<精製濾過工程>得られた反応物に水20
gを添加し、95±5℃で30分間撹拌混合した。その
後珪酸マグネシウム(協和化学工業(株)製キョーワー
ド600S)13.3gと珪酸アルミニウム(協和化学
工業(株)製キョーワード700SL)6.7gを添加
後20分撹拌後、BHT(吉富製薬(株)製)1g(5
00ppm)を添加し、95±5℃で30分間撹拌混合
した。その後105±5℃に昇温し、0.8kPaにな
るまで2.5時間かけて減圧脱水した。脱水終了後、窒
素ガスを吹き込んで0.1MPaまで加圧してから60
℃まで冷却した。得られた反応物に濾過助剤KCフロッ
ク4g(日本製紙(株)製)、ハイフロスーパーセル8
g(協和化学工業(株)製)を混合し、加圧濾過器にて
濾過して、吸着剤と濾過助剤を除去し、目的のポリオキ
シアルキレンアルケニルエーテルを得た(濾過温度:6
0℃、濾紙:アドバンテック東洋(株)製No.1、圧
力:0.3MPa)。得られたポリオキシアルキレンア
ルケニルエーテルはカールフィッシャー水分測定機にて
水分量を測定し、更に下記の方法で過酸化物価(以下、
POVと略す)を測定した。 【0017】<POV測定>ヨウ素フラスコにポリオキ
シアルキレンアルケニルエーテル約50gを量り取り、
イソプロピルアルコール(以下、IPAと略す)50m
Lに溶解させる。ヨウ化カリウム1g、酢酸1mL、水
1mLを加え、ヨウ素フラスコに栓をして栓上部をIP
Aでシールする。沸騰湯浴上で20分間ヨウ素フラスコ
を加熱し、加熱終了後、N/100のチオ硫酸ナトリウ
ム溶液にて、液の色が黄色から無色になるまで滴定し、
滴定量から過酸化物価(ppm)を算出する。 【0018】実施例2 精製工程でBHTの添加量を0.2g(100ppm)
とした以外は、実施例1と同様の方法でポリオキシアル
キレンアルケニルエーテルを製造した。 実施例3 精製工程で使用した酸化防止剤をBHAとした以外は、
実施例1と同様の方法でポリオキシアルキレンアルケニ
ルエーテルを製造した。 【0019】実施例4 精製工程で使用した酸化防止剤をMEHQとした以外
は、実施例1と同様の方法でポリオキシアルキレンアル
ケニルエーテルを製造した。 比較例1 酸化防止剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様の
方法でポリオキシアルキレンアルケニルエーテルを製造
した。 【0020】比較例2 精製工程でBHTを添加せず、濾過後に1g添加した以
外は、実施例1と同様の方法でポリオキシアルキレンア
ルケニルエーテルを製造した。 比較例3 精製工程でBHAを添加せず、濾過後に1g添加した以
外は、実施例3と同様の方法でポリオキシアルキレンア
ルケニルエーテルを製造した。 【0021】比較例4 精製工程でMEHQを添加せず、濾過後に1g添加した
以外は、実施例4と同様の方法でポリオキシアルキレン
アルケニルエーテルを製造した。実施例1〜4、比較例
1〜4の水分量、POVを測定した結果を表1に示し
た。 【0022】 【表1】 表1に示したように、実施例はいづれも発生するPOV
の量を著しく低減できることがわかった。 【0023】 【発明の効果】本発明により、過酸化物価の低減された
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルの製造が可能
となった。従って、ポリオキシエチレン変性シリコーン
用中間原料、重合性モノマー等として優れた品質のポリ
オキシアルキレンアルケニルエーテルの提供が可能とな
った。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 廣田 英一
東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライオ
ン株式会社内
Fターム(参考) 4J005 AA12 BB01
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 アルカリ触媒を用いて炭素数3〜18の
アルケニルアルコールとアルキレンオキシドとの付加反
応によるポリオキシアルキレンアルケニルエーテルの製
造方法において、付加反応終了後、酸化防止剤の存在
下、アルカリ触媒を吸着剤で吸着処理し、次いで、濾過
することを特徴とするポリオキシアルキレンアルケニル
エーテルの製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2002137796A JP2003292607A (ja) | 2002-04-05 | 2002-04-05 | ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルの製造方法 |
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ID=29244272
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- 2002-04-05 JP JP2002137796A patent/JP2003292607A/ja active Pending
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