JP2003287590A - 放射線遮蔽材 - Google Patents

放射線遮蔽材

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JP2003287590A
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powder
resin agent
plasticity
radiation shielding
radiation
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JP2003130975A
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Toshio Kawamura
利夫 河村
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 衛生的で、高い放射線遮蔽能力を有し、成形
及び加工が安価且つ簡易であり、取り扱いが容易なう
え、可動部位にも使用可能な放射線遮蔽材を提供する。 【構成】 放射線吸収率の高い材料の粉末と、樹脂剤
と、樹脂剤に可塑性を持たせるための可塑剤との混合物
からなり、材料全体が可塑性を有し、成形時に加熱を要
しない放射線遮蔽材である。この放射線遮蔽材は、放射
線吸収率の高い材料の粉末、樹脂剤、可塑剤、及び溶剤
を混合し、スラリー状にした後、加熱することなく所定
形状に成形し、溶剤を乾燥除去する方法により製造され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射線遮蔽を目的
とする材料に関し、放射線治療用遮蔽材のみならず、原
子力関係の放射線遮蔽や工業・医療用CTスキャン等の
放射線遮蔽の分野において用いられる放射線遮蔽材に関
する。
【0002】
【従来の技術】例えば、医療分野において放射線を用い
る場合、放射線治療及び測定において目的とする部位の
みに必要量の放射線を照射し、放射線照射の必要の無い
部位には照射を行わないようにして、正常細胞の破壊
や、必要以上の被曝を防ぐことが必要である。
【0003】しかし、放射線照射対象となる部位にのみ
に照射するのは困難であるため、必要部位以外では放射
線を遮蔽するための遮蔽材が用いられている。従来、か
かる放射線遮蔽材としては、鉛または鉛合金が一般に使
用され、また比較的弱い放射線の場合にはアクリル板等
が用いられてきた。更に一部には、タングステン板が用
いられている。
【0004】遮蔽材として鉛または鉛合金を用いる場
合、所定の形状にするために鋳型を作成し、この鋳型に
鉛または鉛合金を溶解して鋳込み成形を行う方法や、直
径数mm程度の鉛又は鉛合金球を作成し、所定の形状に
造られた型枠に流し込んで使用する方法がある。更に、
遮蔽材としてアクリル板等を用いる場合には、所定の形
状に切断加工して使用する。又、遮蔽材としてタングス
テン板を用いる場合、所定の形状に圧延及び/又は切断
加工して使用する方法が通常である。
【0005】しかしながら、上記の方法において遮蔽材
を使用する場合には種々の問題があった。まず、遮蔽材
として鉛または鉛合金を用いる場合には、所定の形を得
るために鉛の溶解や鋳型の作成等を必要とするため、非
常にコスト高となる上、溶解においては作業環境の悪化
や環境及人体への悪影響などが問題となっていた。又、
所定の形状を得た後においても、遮蔽材表面に腐食が発
生し、取り扱いにおいて腐食された成分が脱離するなど
衛生上の問題があった。
【0006】次に、遮蔽材としてアクリル板等を用いる
場合には、放射線遮蔽能力が低いため遮蔽材の厚みを厚
くする必要がある。このため切断加工が困難で、専用の
設備を必要とし、コスト高となるなどの問題があった。
更に、遮蔽材としてタングステン板を用いる場合には、
材料が高比重で、硬脆性材料であるため、取り扱いによ
っては自重や衝撃によって破損し、使用できなくなる等
の問題があるうえ、切断及び加工が非常に困難であるた
め高価になるという問題があった。
【0007】最後に、前述した全ての材料に共通する問
題として、可動部分等の遮蔽材に応力がかかる部位に使
用した場合、応力又は疲労による破壊等が発生し、事実
上使用することが不可能であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記のごとく、従来の
放射線遮蔽材においては、鉛又は鉛合金、タングステン
板又はアクリル板等が使用されていたが、これらの材料
では所定の形状を得るための成形及び加工作業がコスト
高であったり、衛生上の問題が発生したり、あるいは可
動部位に使用できない等の問題があった。更に、タング
ステン板を用いた場合、その取り扱いが非常に困難であ
るという問題があった。
【0009】本発明は、このような従来の事情に鑑み、
前記の材料に代えて、衛生的で、高い放射線遮蔽能力を
有し、成形及び加工が安価且つ簡易であり、取り扱いが
容易なうえ、可動部位にも使用可能な放射線遮蔽材を提
供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供する放射線遮蔽材は、放射線吸収率の
高い材料の粉末と、樹脂剤と、当該樹脂剤に可塑性を持
たせるための可塑剤との混合物からなり、材料全体が可
塑性を有し、成形時に加熱を要しないことを特徴とする
ものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の放射線遮蔽材において
は、放射線吸収率の高い材料を粉末とし、この粉末を樹
脂剤及び樹脂剤に可塑性を持たせるための可塑剤との混
合物とすることにより、前記粉末の粒子が可塑性を持っ
た樹脂剤に包囲された状態となるので、材料全体が可塑
性を有すると共に、成形時に加熱を必要とせずに製造す
ることができる。
【0013】このため、本発明の放射線遮蔽材は、取り
扱いが容易であり、加工が極めて簡単で加工コストも大
幅に低減できるうえ、高い放射線遮蔽能力を得るために
放射線吸収率の高い材料粉末の含有量を多くして材料全
体を高比重にした場合でも、自重や衝撃による破損等が
ない。
【0014】又、材料全体に可塑性があるため、従来の
剛性材料では不可能であった可動部位等の放射線遮蔽に
関しても使用可能であるばかりか、曲面形状の遮蔽に関
してもシート状等に成形することにより、可塑性を利用
して容易に密着させて使用することが可能である。
【0015】更に、本発明の放射線遮蔽材では、放射線
吸収率の高い材料の粉末が樹脂剤に包囲されているた
め、取り扱う上で粉末の脱離による汚れの発生や、粉末
材料の腐食などが起り難く、衛生上の不具合も生じるこ
とがない。
【0016】放射線吸収率の高い材料として、タングス
テン、タングステン化合物、又はタングステン基合金を
使用すれば、高い放射線遮蔽能力を得ることができるう
え、鉛や鉛合金を使用した場合に比較して、環境及び人
体への悪影響が殆ど無く、衛生的に安全な製品を提供す
ることができる。
【0017】放射線吸収率の高い材料は粉末として用い
るが、この粉末の含有率は全体の90〜99重量%とす
ることが好ましい。粉末含有率を90重量%以上とする
ことによって、従来の鉛や鉛合金からなる放射線遮蔽材
と同等以上の放射線遮蔽能力を得ることができ、又従来
のアクリル板等の場合と比較して10倍程度の放射線遮
蔽能力を得ることができるからである。又、粉末含有率
が99重量%を超える場合には、粉末粒子が樹脂剤に包
囲され難くなり、材料全体の可塑性が保持できなくな
る。
【0018】放射線吸収率の高い材料の粉末は、その粒
径を50μm以下とすることが好ましい。かかる粒径と
することによって、粉末粒子が樹脂剤中に包囲され易く
なり、材料全体の可塑性を保持することが容易となり、
取り扱い上における亀裂発生等の問題も無くなり、信頼
性が一層向上するからである。
【0019】一方、本発明の放射線遮蔽材の製造は、放
射線吸収率の高い材料の粉末、樹脂剤、当該樹脂剤に可
塑性を持たせるための可塑剤、及び前記樹脂剤及び/又
は可塑剤を溶解するための溶剤を混合し、スラリー状に
した後、所定形状に成形し、溶剤を乾燥除去する方法に
より行うことができる。
【0020】この方法は工程が簡単であり、適切な樹脂
剤と可塑剤、及び溶剤を選択することにより、成形時に
加熱等の必要がなく、室温で放射線遮蔽材の製造ができ
るから、比較的簡易な設備で良く、生産コストを低減す
ることができる。
【0021】又、成形時においてスラリー状にするた
め、所定の形状に成形する際に流し込みやスリップキャ
スティング法等を用いることが可能となり、従ってあら
ゆる形状に成形でき、後加工が少なくなることから、コ
ストを更に一層低減することができる。
【0022】又、従来一般に使用されていた鉛や鉛合
金、アクリル板又はタングステン板においては、繰り返
し使用については不可能であるか又は再溶解等が必要な
ためコスト高となるのに対し、本発明方法によれば、溶
剤を再混入することにより、容易に再度スラリー状にす
ることが可能であるから、繰り返し成形が可能であっ
て、原料及び再成形コストの大幅な低減が可能となる。
【0023】更に、放射線吸収率の高い材料として、タ
ングステン、タングステン化合物、又はタングステン基
合金を使用することによって、製造工程においてこれら
の粉末に分解若しくは化学反応が起こり難く、繰り返し
利用が可能で、従来の鉛や鉛合金の遮蔽材と比較して、
作業環境の悪化や環境及び人体への悪影響等も少ないと
いう利点がある。
【0024】
【実施例】平均粒径3μmのW粉末95重量%と、樹脂
剤としてポリビニルブチラール3重量%、及び可塑剤と
してフタル酸ジ−n−ブチル2重量%を秤量し、これら
の総重量に対して30重量%のトリクロロエチレンを溶
剤として添加し、1時間混合した。得られたスラリー
を、スリップキャスティング法により、厚さ0.3mm
のシート状に形成した後、室温にて溶剤を乾燥させるこ
とにより成形体を得た。
【0025】得られた成形体を観察したところ、W粉末
の各粒子は樹脂剤に包囲されており、材料全体が可塑性
を有していた。この成形体の密度は10g/cmであ
り、放射線遮蔽能力は同一厚さの鉛板とほぼ同等であっ
た。
【0026】又、この成形体は、取り扱い中にW粉末粒
子の脱離は認められなかった。更に、この成形体の切断
を試みたところ、一般のハサミやカッターナイフ等で容
易に切断可能であり、極めて簡単且つ安価に加工できる
ことが分った。
【0027】次に、この成形体を、長さ100mm及び
幅50mmに切断し、2mの高さから厚さ5cmの鉄板
上に自然落下させたところ、亀裂や破損等は全く発生し
なかった。同様の落下試験を同一寸法のW板を用いてで
行ったところ、破損が認められた。
【0028】更に、同一形状の前記成形体と鉛合金を、
温度60℃で湿度90%の環境下に100時間保持した
ところ、鉛合金には腐食の発生が観察されたが、前記成
形体に腐食の発生は認められなかった。
【0029】前記と同じ配合比で混合して得られたスラ
リーを、長さ100mm、幅50mm、厚さ5mmの型
に流し込み、前記と同様に室温で乾燥させ、型より取り
出して得られた成形体の特性及び物性は、前記スリップ
キャスティング法で得られた成形体と同一であり、この
成形体も必要な形状に容易に成形可能であることが解っ
た。
【0030】更に、これらの成形体に、その総重量の3
0重量%に当たるトリクロロエチレンを加え、1時間混
合したところ、再びスラリー状となり、容易に繰り返し
成形が可能であることが判明した。
【0031】尚、放射線吸収率の高い材料として、Wの
外にMoやこれらの化合物又は合金等を使用することも
可能であり、又樹脂剤、可塑剤及び溶剤の種類並びに混
合比率はW等の粉末の種類、必要とする放射線遮蔽能力
若しくは必要とする可塑性等により、適宜選択すること
ができる。又、粉末の分散性を良くする目的で、混合時
に分散剤等を添加することも可能である。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、衛生的で、高い放射線
遮蔽能力を有し、安価に製造することができ、成形及び
加工が安価且つ簡易であり、取り扱いが容易なうえ、可
動部位にも使用可能な放射線遮蔽材を提供することがで
きる。又、この放射線遮蔽材は、必要とする形状に容易
に形成でき、繰り返しの成形して再利用することも可能
である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射線吸収率の高い材料の粉末と、樹脂
    剤と、当該樹脂剤に可塑性を持たせるための可塑剤との
    混合物からなり、材料全体が可塑性を有し、成形時に加
    熱を要しないことを特徴とする放射線遮蔽材。
  2. 【請求項2】 放射線吸収率の高い材料の粉末と、樹脂
    剤と、当該樹脂剤に可塑性を持たせるための可塑剤との
    混合物からなり、前記粉末粒子が可塑性を持った前記樹
    脂剤に包囲され、材料全体が可塑性を有し、成形時に加
    熱を要しないことを特徴とする放射線遮蔽材。
  3. 【請求項3】 放射線吸収率の高い材料が、タングステ
    ン、タングステン化合物、又はタングステン基合金のい
    ずれかであることを特徴とする、請求項1又は2に記載
    の放射線遮蔽材。
  4. 【請求項4】 放射線吸収率の高い材料の粉末が90〜
    99重量%含まれていることを特徴とする、請求項1〜
    3のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
  5. 【請求項5】 放射線吸収率の高い材料の粉末粒径が5
    0μm以下であることを特徴とする、請求項1〜4のい
    ずれかに記載の放射線遮蔽材。
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