JP2003287062A - 電磁ブレーキ - Google Patents
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Abstract
変化にあまり影響を受けることなく、精度良く行うこと
が可能な電磁ブレーキを提供することである。 【解決手段】 固定ハウジングと回転部材との間に介装
された電磁ブレーキであって、多板ブレーキ機構と、ハ
ウジング内に固定されたリング状コア部材と、コア部材
の環状溝中に収容された環状励磁コイルと、コア部材の
外径よりも大きな外径を有し、コア部材の環状溝に対向
して配設されたリング状アーマチュア部材を含んでい
る。電磁ブレーキはさらに、1端がアーマチュア部材の
外周部に固定され、他端が多板ブレーキ機構に係合さ
れ、コア部材に案内されて押圧方向に移動可能なように
コア部材に外嵌された円筒状押圧部材を含んでいる。コ
ア部材とアーマチュア部材の対向部は、所定のテーパ角
を有するテーパ状端面に形成されている。
Description
該電磁ブレーキを使用した車両の駆動力分配装置に関す
る。
等しく分割したトルク配分を保ちながら、旋回時に外側
車輪を内側車輪より早く回転させるように車両のパワー
トレーン内に配置されており、滑らかな旋回が確実に得
られるようにするものである。
に曲がれるようにするためだが、例えば、悪路走行中に
片輪だけぬかるみに入ってスリップしたときはどうなる
だろうか。
は小さく、回転力の殆どがスリップする車輪に伝達さ
れ、他方の車輪には駆動力は伝わらなくなる。よって、
全体として駆動力が不足してぬかるみから脱出できなく
なる。これは、一般的な差動装置の欠点である。
制限機構付きの差動装置であり、上述した差動装置の基
本的な欠点を補う機能を有している。この差動装置はリ
ミッティッド・スリップ・ディファレンシャル(LS
D)と言われる。
般的であり、電磁クラッチと多板クラッチからなる差動
制限機構を備えた遊星歯車式差動ギヤアセンブリが特開
平6−33997号に開示されている。
のソレノイドとアーマチュア間の吸引力を多板クラッチ
に作用させてこれを押圧し、多板クラッチの係合力を選
択的に制御する。
に複数の脚からなる連結部材が配置されている。これら
の脚の一端は多板クラッチの圧力板に固定され、他端は
ソレノイド作動時にアーマチュアの内周部分に当接す
る。
脚が圧力板に固定されて圧力板に対して概略垂直方向に
伸長している。従って、これらの脚の幾つかが傾いて圧
力板に取り付けられた場合には、ソレノイドで吸引され
たアーマチュアの押圧力が多板クラッチの圧力板に一様
に伝達されない場合があるという問題がある。
ヤアセンブリでは、電磁クラッチで多板クラッチの係合
力を制御しているため、押圧部材としての複数の脚はア
ーマチュアの内周部分に対応するように配置されてい
る。
レート及びブレーキディスクは装置構成上外周側に配置
されるのが一般的である。よって、内周側でアーマチュ
アと多板クラッチとを作動的に連結する上記公開公報に
記載された構造をこのまま多板ブレーキ構造に適用する
ことは困難である。
記載された差動ギヤアセンブリでは、電磁コイルを有す
るコアとアーマチュアの対向面はフラットな対向面で構
成されている。この構造は、コアとアーマチュア間のエ
アギャップの変化に対し電流−吸引力の関係が敏感であ
ることから、エアギャップの管理に高い精度が要求され
るという問題がある。
ニアソレノイドのコアとアーマチュアの相互の対向面を
周方向に傾斜させ、コアとアーマチュア間の対向面積を
増大し応答性の向上を図った技術が開示されている。実
開平6−26213号公報にも、コアとアーマチュアの
対向面の一方をV溝に他方をそれに合致する楔型に形成
した電磁石が開示されている。
術は、コアとアーマチュア間の対向面積を増大し応答性
の向上を図るために、コアとアーマチュア間の対向面を
周方向に傾斜させるようにしたものであり、エアギャッ
プの変化に対し電流−吸引力の関係を緩慢にすする形状
を提供するという本願発明の解決すべき課題はこれらの
公開公報では何ら認識されていない。
ュア間のエアギャップの変化に対し、電流−吸引力の関
係を緩慢にすることが可能な電磁ブレーキを提供するこ
とである。
ると、固定ハウジングと、該固定ハウジング内に少なく
とも部分的に収容された回転部材との間に介装された電
磁ブレーキが提供される。
けられた複数のブレーキプレートと、ブレーキプレート
と交互に配置されるように回転部材に取り付けられた複
数のブレーキディスクとを有する多板ブレーキ機構と、
環状溝及び第1の外径を有し、ハウジング内に固定され
たリング状コア部材と、コア部材の環状溝中に収容され
た環状励磁コイルと、第1の外径よりも大きな第2の外
径を有し、コア部材の環状溝に対向して配設されたリン
グ状アーマチュア部材とを含んでいる。
有し、第1端がアーマチュア部材の外周部に固定され、
第2端が多板ブレーキ機構に係合され、コア部材に案内
されて多板ブレーキ機構の押圧方向に移動可能なように
コア部材に外嵌された円筒状押圧部材を含んでいる。
成された中心軸に対して第1の角度傾斜した第1外周側
テーパ状端面と、環状溝より内周側に形成された中心軸
に対して第2の角度傾斜した第1内周側テーパ状端面を
有している。
ーパ状端面と相補的な形状をした第2外周側テーパ状端
面と、第1内周側テーパ状端面と相補的な形状をした第
2内周側テーパ状端面と、環状励磁コイルに対向した中
間端面とを有している。
於いて、リング状コア部材とリング状アーマチュア部材
間の隙間(エアギャップ)が変化すると、リング状コア
部材の吸引力、ひいては、多板ブレーキ機構に対する円
筒状押圧部材の押圧力が変化するため、エアギャップの
管理に高い精度が要求される。
ブレーキ機構の複数のブレーキプレート及びブレーキデ
ィスクの経年変化(磨耗)により変化する。
マチュア部材の対向部が中心軸に対して直角のフラット
形状である場合に於いて、環状励磁コイルに大電流を流
して吸引力を最大にしたときの、エアギャップが経年変
化により徐々に小さくなってきた場合、円筒状押圧部材
の押圧力は当初の押圧力に比較して徐々に強くなる。
のブレーキプレート及びブレーキディスク等の磨耗量が
円筒状押圧部材の移動量(ストローク)に表れ、エアギ
ャップが中心軸に対して直角方向にフラットであるた
め、円筒状押圧部材のストロークとエアギャップが1対
1に対応しているためである。
状コア部材とリング状アーマチュア部材の対向部を所定
のテーパ角を有するテーパ面に形成したことにより、経
年変化により円筒状押圧部材のストローク量が変わった
としても、エアギャップ量はテーパ角の分だけ小さくな
り、円筒状押圧部材のストローク量とエアギャップは1
対1以下の関係となる。
合、エアギャップの変化を緩慢に抑えられる。それによ
り、リング状コア部材の吸引力の制御、ひいては多板ブ
レーキ機構のブレーキ力の制御を経年変化にあまり影響
を受けることなく、精度良く行うことが可能となる。
1の角度より大きくした電磁ブレーキが提供される。
マチュア部材の外周に於いて、リング状コア部材からの
吸引力はアーマチュア部材に作用するが、円筒状押圧部
材を介していることで、外周側のエアギャップは最大吸
引力時でも確保される。しかし、内周側のエアギャップ
は、アーマチュア部材の倒れ、撓み等により無くなって
しまい、コア部材とアーマチュア部材とが接触する可能
性がある。
角度を第1の角度より大きくしたことにより、内周側の
エアギャップを外周側のエアギャップよりも予め大きな
エアギャップに設定しておくことができるため、コア部
材とアーマチュア部材の接触に対する余裕度を向上させ
ることができる。
チュア部材の第2外周側及び内周側テーパ状端面は凸状
端面を形成する。換言すると、リング状アーマチュア部
材の第2外周側及び内周側端面はリング状アーマチュア
部材の体積を減らす方向に形成されている。これによ
り、アーマチュア部材の倒れモメントを小さくすること
ができ、コア部材とアーマチュア部材の接触に対する余
裕度を向上させることができる。
ングと、固定ハウジング内に少なくとも部分的に収容さ
れた回転部材との間に介装された電磁ブレーキが提供さ
れる。
けられた複数のブレーキプレートと、ブレーキプレート
と交互に配置されるように回転部材に取り付けられた複
数のブレーキディスクとを有する多板ブレーキ機構と、
環状溝、第1の外径及び中心軸に対して第1の角度傾斜
した第1傾斜端面を有し、ハウジング内に固定された第
1リング状コア部材と、中心軸に対して第2の角度傾斜
した第2傾斜端面を有し、第1リング状コア部材に固定
された第2リング状コア部材とを含んでいる。
溝中に収容された環状励磁コイルと、第1の外径よりも
大きな第2の外径を有し、第1及び第2リング状コア部
材の第1及び第2傾斜端面に対向して配設されたリング
状アーマチュア部材と、第1端及び第2端を有し、第1
端がアーマチュア部材の外周部に固定され、第2端が多
板ブレーキ機構に係合され、第1コア部材に案内されて
多板ブレーキ機構の押圧方向に移動可能なように第1コ
ア部材に外嵌された円筒状押圧部材とを含んでいる。
て第1の角度傾斜した外周側端面と、第2の角度傾斜し
た内周側端面とを有している。
ブレーキ機構の磨耗に起因して円筒状押圧部材のストロ
ーク量が変わった場合に、コア部材とアーマチュア部材
との間のエアギャップの変化を緩慢に抑えることができ
る。それにより、コア部材の吸引力の制御、ひいては多
板ブレーキ機構のブレーキ力の制御を経年変化にあまり
影響を受けることなく、精度良く行うことができる。
参照して詳細に説明する。図1は本発明の電磁ブレーキ
を具備した駆動力分配装置が適用されるフロントエンジ
ン・フロントドライブ(FF)車両の概略構成図を示し
ている。
4を介して本発明の電磁ブレーキを具備した駆動力分配
装置6に伝達される。駆動力分配装置6で左右に分配さ
れた駆動力は前車軸8,10を介して左右の前輪12,
14を駆動する。
動力分配装置が適用される四輪駆動車両の概略構成図を
示している。エンジン2の駆動力はトランスミッション
4、前車軸8,10を介して左右の前輪12,14を駆
動するとともに、プロペラシャフト18を介して後輪側
に配置された本発明の電磁ブレーキを具備した駆動力分
配装置20に伝達される。
置6と実質的に同一構成である。駆動力分配装置20で
所定の割合で分配された駆動力により、後ろ車軸22,
24を介して左右の後輪26,28が駆動される。
置20に内蔵された一対の電磁ブレーキの制動力を制御
することにより、駆動力を左右の後輪26,28に任意
に分配可能であるとともに、後輪26,28を空転させ
た場合等にはエンジン2の全ての駆動力を左右の前輪1
2,14に供給することが可能である。この場合には、
四輪駆動車両がFF車両となる。
力分配装置20の断面図が示されている。符号30は固
定されたハウジングを示しており、中央ハウジング30
a,左右のサイドハウジング30b,30c及び中間ハ
ウジング30dから構成される。
0b及び中間ハウジング30dが中央ハウジング30a
に締結され、ネジ36によりサイドハウジング30cが
中央ハウジング30aに締結される。図4にサイドハウ
ジング30bの正面図を、図5に図4の右側面図を示
す。
8,40により左側後ろ車軸22が回転可能に支持さ
れ、同様に一対のベアリング42,44により右側後ろ
車軸24が回転可能に支持されている。左側後ろ車軸2
2は左後輪26に連結され、右側後ろ車軸24は右後輪
28に連結されている。
図2に示したプロペラシャフト18に図示しないネジに
より締結される。一対のニードルベアリング52,54
により入力シャフト50がハウジング30内で回転可能
に支持されている。入力シャフト50はスプライン48
によりコンパニオンフランジ46に結合されている。入
力シャフト50の先端にはベベルギヤ56が形成されて
いる。
間にはプラネタリギヤアセンブリ58Aが介装されてお
り、入力シャフト50と右側後ろ車軸24の間にはプラ
ネタリネタリギヤアセンブリ58Bが介装されている。
タリギヤアセンブリ58Bは実質上同一構造なので、各
構成要素に同一符号を付し、主に左側プラネタリギヤア
センブリ58Aについて説明する。
Aの入力リングギヤであり、その先端に形成されたベベ
ルギヤ62が入力シャフト50のベベルギヤ56と噛み
合っている。
ギヤ60´はスプライン63によりプラネタリギヤアセ
ンブリ58Aのリングギヤ60に連結されている。よっ
て、プラネタリギヤアセンブリ58Bのリングギヤ60
´はプラネタリギヤアセンブリ58Aのリングギヤ60
を介して入力シャフト50により回転駆動される。
タリキャリア64はスプライン66により左側後ろ車軸
22に固定されている。サンギヤ68はベアリング70
により左側後ろ車軸22回りに回転可能に取り付けられ
ている。プラネタリキャリア64に担持された複数のプ
ラネットギヤ72(一つのみ図示)がサンギヤ68とリ
ングギヤ60に噛み合っている。
おり、湿式多板ブレーキ機構74はハウジング30に取
り付けられた複数のブレーキプレート76と、これらの
ブレーキプレート76と交互に配置されるようにサンギ
ヤ68に取り付けられた複数のブレーキディスク78を
含んでいる。
且つ回転不能にハウジング30に取り付けられており、
各ブレーキディスク78は軸方向移動可能且つ回転不能
にサンギヤ68に取り付けられている。
り付けられており、このスナップリング80が多板ブレ
ーキ機構74の一端(右端)の位置決めを行なってい
る。位置決めの微調整はシム82の厚さにより行なって
いる。
環状押圧板84が設けられている。環状押圧板84は図
6(A)に示すように、円周方向に離間した複数の突起
86を有しており、これらの突起86がハウジング30
に形成した軸方向の溝中に挿入されることにより、環状
押圧板84は軸方向移動可能且つ回転不能にハウジング
30に取り付けられている。
状押圧板84の外周部には後で説明する円筒状押圧部材
が挿入される環状溝88が形成されている。環状押圧板
84をサンギヤ68に取り付けるようにしても良い。
コア部材であり、第1の外径と断面矩形状の環状溝96
を有している。図7(A)に示すように、リング状コア
部材90は中心穴91と一対の締結部94を有してい
る。各締結部94にはネジが挿入される穴95が形成さ
れている。
状溝96中には励磁コイル98が収容されている。コア
部材90は環状溝96により内周部分90aと外周部分
90bに分割されており、励磁コイル98部分での内周
部分90aの断面積と外周部分90bの断面積は実質上
等しくなっている。
側に形成された中心軸に対して第1の角度傾斜した外周
側テーパ状端面97と、環状溝96より内周側に形成さ
れた中心軸に対して第2の角度傾斜した内周側テーパ状
端面99を有している。本実施形態では、外周側テーパ
状端面97のテーパ角(第1の角度)と内周側テーパ状
端面99のテーパ角(第2の角度)は概略等しく形成さ
れている。
4個の突起102と励磁コイル用ターミナル108の挿
入部104と、サーチコイル用ターミナル挿入部106
を有している。
0が励磁コイル98に隣接して溝96内に取り付けられ
ている。サーチコイル100で励磁コイル98に通電し
た際の磁束の強さを検出し、検出した磁束の強さで励磁
コイル98への通電電流をフィードバック制御してい
る。
bは中心穴39と一対の装着部114を有している。各
装着部114にはタップ穴115が形成されている。サ
イドハウジング30bは更に環状受け部116を有して
いる。
ジング30bの環状受け部116に当接し、各締結部9
4をサイドハウジング30bの装着部114に当接し、
ネジ92を締結部94の穴95を通して装着部114の
タップ穴115にねじ込むことにより、リング状コア部
材90がサイドハウジング30bに固定される。
体から形成されたリング状アーマチュア部材110が配
置されている。アーマチュア部材110は、図8に示す
ように、コア部材90の第1の外径より大きな第2の外
径と中心穴111と外周部に形成された環状装着溝11
2を有している。
リング状コア部材90の内周側テーパ状端面99と相補
的な形状をしている。即ち、中心穴111は中心軸に対
して第2の角度傾斜しており、内周側テーパ状端面を形
成する。
端面113はリング状コア部材90の外周側テーパ状端
面97と相補的な形状をしている。即ち、外周側テーパ
状端面113は中心軸に対して第1の角度傾斜してい
る。
2に円筒状押圧部材120の第1端(左端)が圧入固定
される。円筒状押圧部材120の第2端(右端)は環状
押圧板84の環状溝88中に挿入されている。
環状溝88中に外周側で位置決めされて挿入される。即
ち、円筒状押圧部材120の右端は内周側で余裕を持っ
て外周側でぴったりと環状押圧板84の環状溝88中に
挿入される。
円筒状押圧部材120はコア部材90の締結部94が挿
入される一対の切り欠き122と、突起102が挿入さ
れる4個の切り欠き124を有している。
方向に離間した6個の突起126を有している。これに
より、円筒状押圧部材120はこれらの突起126がリ
ング状コア部材90の外周面に摺動接触しながら押圧方
向(軸方向)に移動可能である。
キ130Aを組み立てるには、まずアーマチュア部材1
10の環状装着溝112中に円筒状押圧部材120の第
1端(左端)を圧入し、この状態で円筒状押圧部材12
0をリング状コア部材90に被せ、円筒状押圧部材12
0の第2端(右端)を環状押圧板84の環状溝88中に
挿入する。この状態でリング状コア部材90を一対の締
結部94でハウジング30に締結する。
内周部分90aと外周部分90bの断面積が実質上同一
となるように、内周部分90aが外周部分90bに対し
て幅広に形成されている。この構成により、励磁コイル
98に通電した際内周側から外周側に渡りリング状アー
マチュア部材110を均一な力で吸引することができ
る。
ア部材90とリング状アーマチュア部材110の間には
所定のエアギャップが形成され、コア部材90とアーマ
チュア部材110の金属接触を防止している。
の隙間(エアギャップ)が変化すると、コア部材90の
吸引力、ひいては、多板ブレーキ機構74に対する円筒
状押圧部材120の押圧力が変化するため、エアギャッ
プの管理に高い精度が要求される。
ブレーキ機構74のブレーキプレート76及びブレーキ
ディスク78の経年変化(磨耗)により変化する。
アーマチュア部材110の対向部が中心軸に対して直角
のフラット形状であると、励磁コイル98に大電流を流
して吸引力を最大にしたときの、エアギャップが経年変
化により徐々に小さくなってきた場合、円筒状押圧部材
120の押圧力は当初の押圧力に対して徐々に強くな
る。
74のブレーキプレート76及びブレーキディスク78
等の磨耗量が円筒状押圧部材120の移動量(ストロー
ク)に表れ、エアギャップと円筒状押圧部材120のス
トロークが1対1に対応しているためである。
ア部材90とリング状アーマチュア部材110の対向部
を、所定のテーパ角を有するテーパ面に形成したことに
より、多板ブレーキ機構74の経年変化により円筒状押
圧部材120のストローク量が変わったとしても、エア
ギャップはテーパ角の分だけ小さくなり、円筒状押圧部
材120のストローク量とエアギャップは1対1以下の
関係となる。
クの変化に対してエアギャップの変化が緩慢に抑えられ
る。その結果、アーマチュア部材110の吸引力の制
御、ひいては多板ブレーキ機構74のブレーキ力の制御
を経年変化にあまり影響を受けることなく、精度良く行
うことが可能となる。
辺りの吸引力は、コア部材90とアーマチュア部材11
0の対向部がフラットの場合に対してテーパ角の分弱く
なるが、この弱くなった吸引力の分は、テーパ角により
コア部材90とアーマチュア部材110の対向面積を多
く取れることにより、相殺することができる。
ア部材110をコア部材90側に引き寄せた状態での軸
方向の位置決めは、コア部材90をサイドハウジング3
0bに締結するサイドハウジング30bの装着部114
と、多板ブレーキ機構74の右端に設けられているスナ
ップリング80をハウジング30に止める位置とで決定
される。
グ80に隣接して設けられたシム82の厚さにより行な
い、コア部材90とアーマチュア部材110の間のギャ
ップの精度を管理している。
ンブリ58A及び電磁ブレーキ130Aについて行なっ
たが、右側のプラネタリギヤアセンブリ58B及び電磁
ブレーキ130Bはそれぞれ左側のプラネタリギヤアセ
ンブリ58A及び電磁ブレーキ130Aと同一構造なの
で、その説明を省略する。
と、円筒状押圧部材120をリング状コア部材90の外
周側に配置したことにより、押圧部材120の右端は多
板ブレーキ機構74を形成する複数のブレーキプレート
76及びブレーキディスク78の有効半径の概略中央部
を押圧することができ、このため半径方向で偏りのない
均一な押圧力を得ることができる。
機構74を押圧する際の力の方向がストレートになって
いるため、円筒状押圧部材120の撓み変形によるブレ
ーキ係合の制御の精度低下を抑制することができる。
て従来公知のフェーシング材付きブレーキプレートをそ
のまま使用することができ、電磁ブレーキ作動時に金属
板で発生する焼きつき及びジャダーを防止することがで
きる。
ャップを設けたことにより、アーマチュア部材吸引時の
磁路に残磁が発生することなく吸引力制御の安定性が向
上し、残磁の吸引力をキャンセルするための部品が不要
となる。
時の立ち上がり応答性が向上する。また、電磁ブレーキ
としては簡単な構造であるため、ヒステリシスが低減さ
れる。
る。
の励磁コイル98に通電せずに両電磁ブレーキ130
A,130Bがオフの場合には、各多板ブレーキ機構7
4が係合されないのでプラネタリギヤアセンブリ58
A,58Bのサンギヤ68は左右の後ろ車軸22,24
周りをそれぞれ空転する。
ク)は左右の後ろ車軸22,24に何ら伝達されること
はない。この場合には、後輪26,28は空転し、全て
の駆動力は前輪12,14に向けられて2輪駆動車両と
なる。
励磁コイル98に所定量の電流を流して、円筒状押圧部
材120を介して両方の多板ブレーキ機構74を完全に
係合した場合には、プラネタリギヤアセンブリ58A,
58Bのサンギヤ68はそれぞれ左側後ろ車軸22及び
右側後ろ車軸24に対して固定される。
の後ろ車軸22,24に均等に分割されて伝達される。
その結果、図2に示した四輪駆動車両は四輪駆動モード
となり直進する。フロントエンジン・リアドライブ(F
R)車両の場合には、左右の後輪に均等に駆動力が分割
されて、車両は直進する。
には、左右の電磁ブレーキ130A,130Bの励磁コ
イル98に流す電流値を制御することにより、入力シャ
フト50の駆動力を左右の後ろ車軸22,24に任意に
分配することができ、最適な旋回制御及び/又はぬかる
み脱出の容易化を実現している。
輪側に設けた例について説明したが、図1に示したFF
車両の前輪側に類似した駆動力分配装置6を設けるよう
にしても良い。
る場合には、図2に示した四輪駆動車両に限定されるも
のではなく、FR車両の後輪側に駆動力分配装置20を
設けるようにしても良い。
駆動力分配装置20に適用した例について説明したが、
本発明はこれに限定されるものではなく、固定ハウジン
グと回転部材との間に介装される電磁ブレーキを有する
如何なる機構又は装置にも適用可能である。
32及びリング状アーマチュア部材134の第2実施形
態が示されている。本実施形態では、コア部材132を
凸状テーパ端面に形成し、アーマチュア部材134をコ
ア部材132のテーパ端面に相補的な凹状テーパ端面に
形成している。本実施形態に於いても、図3に示した第
1実施形態と同様な効果を奏することができる。
ア部材136とリング状アーマチュア部材138の一部
破断断面図を示している。本実施形態では、リング状コ
ア部材136に環状励磁コイル98を接着し、リング状
アーマチュア部材138に励磁コイル98を収容する環
状溝139を設けている。
形成し、アーマチュア部材138にコア部材136の凹
状テーパ端面に相補的な凸状テーパ端面を形成してい
る。本実施形態に於いても、図3に示した第1実施形態
と同様な効果を奏することができる。
のリング状コア部材140,144とリング状アーマチ
ュア部材148の一部破断断面図が示されている。第1
リング状コア部材140は環状溝142を有しており、
この環状溝142中に環状励磁コイル98が収容されて
いる。
の角度傾斜した傾斜端面140aを有している。第1リ
ング状コア部材140には第2リング状コア部材144
がネジ146で固定されている。第2コア部材144は
中心軸に対して第2の角度傾斜した傾斜端面144aを
有している。
ア部材140の外径よりも大きな外径と、中心軸に対し
て第1の角度傾斜した外周側端面148aと、第2の角
度傾斜した内周側端面148bとを有している。
質上等しく形成されているため、アーマチュア部材14
8の外周側端面148aと内周側端面148bは同一平
面上にある。勿論、第1及び第2の角度異なる角度に形
成しても良い。
40の傾斜端面140a及び第2コア部材144の傾斜
端面144a上に所定のエアギャップをもって配設され
ている。本実施形態に於いても、図3に示した第1実施
形態と同様な効果を奏することができる。
ア部材150及びリング状アーマチュア部材154の一
部破断断面図を示している。コア部材150は環状溝1
52を有しており、アーマチュア部材154も環状溝1
56を有している。
磁コイル98が収容されるように、アーマチュア部材1
54はコア部材150に対向して所定のギャップをもっ
て配設される。
a,150bを有しており、アーマチュア部材154は
コア部材150の凸状テーパ端面150a,150bと
相補的な凹状テーパ端面154a,154bを有してい
る。本実施形態も図3に示した第1実施形態と同様な効
果を奏することができる。
グ状コア部材90とリング状アーマチュア部材110の
一部破断断面図を示している。この第1実施形態では、
上述したように内周側及び外周側のテーパ端面が同一テ
ーパ角度に形成されている。
内周側で矢印160,162で示すような推力が発生す
る。158は拘束点である。このように、内周側及び外
周側のテーパ端面が同一テーパ角度に形成されている
と、推力発生時アーマチュア部材110の撓みにより、
内周側に於いてコア部材90とアーマチュア部材110
が接触する可能性がある。
拘束点158に於いて円筒状押圧部材120に連結され
ているため、外周側のエアギャップは最大吸引力時でも
確保される。
チュア部材110の倒れ、撓み等により無くなってしま
うことがあり、内周側に於いてコア部材90とアーマチ
ュア部材110が接触する可能性がある。
施形態のリング状コア部材164及びリング状アーマチ
ュア部材168の一部破断断面図を示している。本実施
形態では、コア部材164の内周側テーパ端面164b
の中心軸に対する角度、即ちテーパ角を、外周側テーパ
端面164aのテーパ角より大きくしている。
テーパ端面168aはコア部材164の外周側テーパ端
面164aと相補的な形状をしており、内周側テーパ端
面168bはコア部材164の内周側テーパ端面164
bと相補的な形状をしている。
168bのテーパ角を外周側テーパ端面164a,16
8aより大きくすることにより、内周側に於いて実エア
ギャップが増加する。これにより、内周側に於いてコア
部材164とアーマチュア部材168の接触に対する余
裕度を向上することができる。
向面の形状を変化させたときの、エアギャップと吸引力
の関係を示した図である。曲線170はコア部材とアー
マチュア部材の対向部がフラットの場合を、曲線172
は対向部のテーパ角が45度の場合を、曲線174は対
向部のテーパ角が30度の場合をそれぞれ示している。
ラットの場合には、エアギャップがG1以下で吸引力は
急激に大きくなっている。本発明ではコア部材とアーマ
チュア部材との間のエアギャップがG2とG3の間で使
用する。G2は例えば1.2mm,G3は1.3mmで
ある。
値を示しており、エアギャップ量とテーパ角の関係か
ら、内外周のテーパ端面のテーパ角を適宜に設定するこ
とにより、エアギャップと吸引力(推力)との関係を破
線176で示す要求値に合わせこむことが可能となる。
尚、理想線はエアギャップの変化による吸引力の変化の
ない傾き0の直線であるが、このような理想的状態は実
現不可能である。
例の一部破断断面図が示されている。リング状アーマチ
ュア部材110´の内周側テーパ端面111及び外周側
テーパ端面113ともアーマチュア部材110´の体積
を減らす方向に設定する。即ち、アーマチュア部材11
0´が凸状テーパ端面を有するように形成する。
11,113をこのように設定することにより、コア部
材90の外周の長さLを長くすることができる。これに
より、アーマチュア部材110´に圧入した円筒状押圧
部材120とコア部材90との嵌合長さLが増加するの
で、アーマチュア部材110´の倒れを規制でき、エア
ギャップが小さい領域まで使用可能となる。
長さをL、コア部材90と円筒状押圧部材120との間
の隙間をGとすると、アーマチュア倒れ角度=tan-1
(G/L)となる。
アーマチュア部材110´が軸ずれを起こした場合、内
周側及び外周側のエアギャップが図に示したような関係
となり、吸引力アンバランスによるアーマチュア倒れモ
メントを減少することができる。その結果、アーマチュ
ア倒れを規制でき、エアギャップを詰めた領域まで使用
可能となる。
材110´のテーパ状中心穴111を大きく形成するこ
とにより、内周側エアギャップを外周側エアギャップよ
りも大きく設定している。
のエアギャップよりも大きくすることにより、アーマチ
ュア部材110´の撓みに対してコア部材90とアーマ
チュア部材110´との接触を回避することができる。
と外周側テーパ端面のテーパ角を変更する場合と同様で
ある。内外周で同一テーパ角とすることができるので、
生産性が向上する。
の接触回避をするためには、コア部材90の内周側テー
パ端面99のテーパ角を90度、即ち中心軸に対して直
角にしても良い。
に適用した例について説明したが、本発明は二つの部材
を選択的に係合する電磁クラッチにも同様に適用するこ
とができる。
とアーマチュア部材間の対向部を所定のテーパ角を有す
るテーパ面に形成したことにより、多板ブレーキ機構の
経年変化により円筒状押圧部材のストローク量が変わっ
たとしても、コア部材とアーマチュア部材間のエアギャ
ップ量はテーパ角の分だけ小さくなり、円筒状押圧部材
のストローク量とエアギャップ量は1対1以下の関係と
なる。
耗)に起因するエアギャップの変化を緩慢に抑えること
ができる。それにより、吸引力の制御、多板ブレーキ機
構のブレーキ力の制御を経年変化にあまり影響を受ける
ことなく、精度良く行うことが可能となる。
を第1の角度より大きくしたことにより、内周側のエア
ギャップを外周側のエアギャップよりも予め大きく設定
しておくことができるため、コア部材とアーマチュア部
材の接触に対する余裕度を向上させることができる。
ア部材の倒れを規制することができ、コア部材とアーマ
チュア部材の間のエアギャップを詰めた領域まで使用す
ることが可能となる。
載の発明と同様な効果を奏することができる。
概略図である。
両の概略図である。
る。
る。
(B)は図6(A)の6B−6B線断面図である。
の正面図であり、図7(B)は図7(A)の7B−7B
線断面図である。
面図である。
(B)は図9(A)の9B−9B線断面図、図9(C)
は図9(A)の円125で囲まれた部分の拡大図であ
る。
材の一部破断断面図である。
材の一部破断断面図である。
材の一部破断断面図である。
材の一部破断断面図である。
アーマチュア部材の一部破断断面図、図14(B)は第
6実施形態のコア部材及びアーマチュア部材の一部破断
断面図である。
を変化したときの、エアギャップと吸引力の関係を示す
図である。
の変形例の一部破断断面図である。
の、図16に示した変形例のエアギャップの関係を示す
図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 固定ハウジングングと、該固定ハウジン
グ内に少なくとも部分的に収容された回転部材との間に
介装された電磁ブレーキであって、 前記固定ハウジングに取り付けられた複数のブレーキプ
レートと、前記ブレーキプレートと交互に配置されるよ
うに前記回転部材に取り付けられた複数のブレーキディ
スクとを有する多板ブレーキ機構と、 環状溝及び第1の外径を有し、前記ハウジング内に固定
されたリング状コア部材と、 前記コア部材の前記環状溝中に収容された環状励磁コイ
ルと、 前記第1の外径よりも大きな第2の外径を有し、前記コ
ア部材の前記環状溝に対向して配設されたリング状アー
マチュア部材と、 第1端及び第2端を有し、該第1端が前記アーマチュア
部材の外周部に固定され、該第2端が前記多板ブレーキ
機構に係合され、前記コア部材に案内されて該多板ブレ
ーキ機構の押圧方向に移動可能なように前記コア部材に
外嵌された円筒状押圧部材とを具備し、 前記リング状コア部材は前記環状溝より外周側に形成さ
れた中心軸に対して第1の角度傾斜した第1外周側テー
パ状端面と、該環状溝より内周側に形成された中心軸に
対して第2の角度傾斜した第1内周側テーパ状端面を有
しており、 前記リング状アーマチュア部材は前記第1外周側テーパ
状端面と相補的な形状をした第2外周側テーパ状端面
と、前記第1内周側テーパ状端面と相補的な形状をした
第2内周側テーパ状端面と、前記環状励磁コイルに対向
した中間端面とを有していることを特徴とする電磁ブレ
ーキ。 - 【請求項2】 前記第2の角度を前記第1の角度より大
きくしたことを特徴とする請求項1記載の電磁ブレー
キ。 - 【請求項3】 前記リング状アーマチュア部材の前記第
2外周側及び内周側テーパ状端面は凸状端面を形成する
ことを特徴とする請求項1記載の電磁ブレーキ。 - 【請求項4】 固定ハウジングと、該固定ハウジング内
に少なくとも部分的に収容された回転部材との間に介装
された電磁ブレーキであって、 前記固定ハウジングに取り付けられた複数のブレーキプ
レートと、前記ブレーキプレートと交互に配置されるよ
うに前記回転部材に取り付けられた複数のブレーキディ
スクとを有する多板ブレーキ機構と、 環状溝、第1の外径及び中心軸に対して第1の角度傾斜
した第1傾斜端面を有し、前記ハウジング内に固定され
た第1リング状コア部材と、 中心軸に対して第2の角度傾斜した第2傾斜端面を有
し、前記第1リング状コア部材に固定された第2リング
状コア部材と、 前記第1コア部材の前記環状溝中に収容された環状励磁
コイルと、 前記第1の外径よりも大きな第2の外径を有し、前記第
1及び第2リング状コア部材の前記第1及び第2傾斜端
面に対向して配設されたリング状アーマチュア部材と、 第1端及び第2端を有し、該第1端が前記アーマチュア
部材の外周部に固定され、該第2端が前記多板ブレーキ
機構に係合され、前記第1コア部材に案内されて該多板
ブレーキ機構の押圧方向に移動可能なように前記第1コ
ア部材に外嵌された円筒状押圧部材とを具備し、 前記リング状アーマチュア部材は中心軸に対して前記第
1の角度傾斜した外周側端面と、前記第2の角度傾斜し
た内周側端面とを有していることを特徴とする電磁ブレ
ーキ。
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