JP2003285298A - マイクロ流路デバイスおよびマイクロ流路デバイスの作製法 - Google Patents

マイクロ流路デバイスおよびマイクロ流路デバイスの作製法

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microchannel device
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接合技術が不要で、樹脂の光吸収や蛍光によ
って測定に制約を受けないマイクロ流路デバイスとその
製作法を提供すること。 【解決手段】 基板部101、光硬化性樹脂102、光
透過性のあるカバー板103の順の3層より構成されて
おり、基板部101とカバー基板103の間に未硬化の
光硬化性樹脂を充填したのちに、光硬化反応によって光
硬化性樹脂層に流路パターン104を形成することによ
って、マイクロ流路が一体に構成されるマイクロ流路デ
バイス、および、その製作法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、微量の液体試料
中に含まれる物質を分離したり、分析したりするマイク
ロ流路デバイスとその製作法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のマイクロ流路デバイスは、シリコ
ン基板やガラス基板をエッチングして流路を形成した
後、ガラス基板を接合することによって形成していた。
また、最近では、光硬化性樹脂によって一体に形成する
方法も考案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】シリコン基板やガラス
基板をエッチングして流路を形成するタイプのマイクロ
流路デバイスの場合、液体の漏れを防ぐために、2枚の
基板どうしの精密な接合技術を必要とするという点が、
技術的な困難さから、課題となっている。一方、光硬化
性樹脂によって一体に形成する方法では、流路デバイス
内の液体に対して、外部から光学的な検出を行う場合、
波長によっては樹脂の光吸収や蛍光によって、測定に制
約を受けるという課題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】これらの2つの課題を同
時に解決する手段として、マイクロ流路デバイスにおい
て、基板部、光硬化性樹脂製流路、光透過性のあるカバ
ー板より構成されており、基板部とカバー基板の間に未
硬化の光硬化性樹脂を充填したのちに、光硬化反応によ
って流路パターンを形成することによって、マイクロ流
路を一体に構成するマイクロ流路デバイスとその製作法
を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。
【0006】図1は、本発明の微量な液体を流して分離
や分析を行うマイクロ流路デバイスの構成例を示したも
ので、基板部101、光硬化性樹脂102、光透過性の
あるカバー板103の順の3層で構成されている。この
流路デバイスは、基板部101とカバー基板103の間
に未硬化の光硬化性樹脂を充填したのちに、光硬化反応
によって流路パターン104の周辺部を硬化させること
によって、流路パターン104が形成されて、マイクロ
流路デバイスが一体に構成されている。
【0007】ここで、基板部101に光透過性の材料を
用いた場合には、送液側の注入口105,105’から
試料液と反応液を外部ポンプによって流すことで、混合
部106で反応によって生じた変化を吸光度変化として
検出することができ、これをもとに微量な試料液体中の
目的物質の濃度を知ることができる。なお、混合液は廃
液口107から排出される。図2は、吸光度変化測定の
際の装置構成の模式図を示したもので、光源201か
ら、レンズ系202,フィルター203を介して、検出
光がマイクロ流路デバイス204の検出領域を透過し
て、光検出器205で検出される。
【0008】次に、図3では、カバー板301の面積が
基板部302の面積より小さくすることによって、カバ
ー部301の端に、基板部302に対して垂直方向に流
路の出入口303を形成したマイクロ流路デバイスの例
を示している。このように流路の出入口303を上向き
にすることによって、取り扱いやすさを向上させること
ができる。ここで、基板部302の外周に沿って、枠3
04を設けることで、硬化前の光硬化性樹脂を確実に保
持させることができる。
【0009】図4では、基板401とカバー板402の
間の光硬化性樹脂層403の厚みをより正確に決めるた
め、スペーサ部404を設けたマイクロ流路デバイスの
例を示している。これらの枠304やスペーサ部404
は、パターニングした樹脂を基板上に貼り付けるなどの
方法によって形成することができる。また、枠とスペー
サを複合して用いることもできる。
【0010】図5は、流路部分を拡大した模式図で、マ
イクロ流路デバイス中に、別個に光硬化性樹脂によって
可動部分を形成した例を示している。流路周辺部501
および軸502を初めに形成した後、可動部品503を
形成している。図5では、逆流防止弁を形成した例を示
している。
【0011】図6は、マイクロ流路内で、電気化学測定
を行うために、基板601の表面にあらかじめ電極パタ
ーンを形成した例を示している。作用極パターン602
と電極パターン603を形成し、電気化学測定器604
を接続することによって、流路における電気化学測定を
行うことができる。すなわち、送液側の注入口605,
605’から試料液と反応液を外部ポンプによって流す
ことで、混合部606における電気化学活性物質を電流
あるいは電位の変化として検出することができ、これを
もとに微量な試料液体中の目的物質の濃度を知ることが
できる。
【0012】図7は、マイクロ流路デバイスによる分離
分析への応用例を示したものである。図7の流路には、
ゲル粒子701を充填するための流路カラム702が形
成されており、流路カラム702の端には、ゲル粒子を
せき止めるために光硬化性樹脂のストッパー構造703
が形成されている。このカラムにタンパク質や核酸など
の試料液を流し、カラム下流の流路704において、紫
外光の吸収を測定することによって、タンパク質や核酸
の種類に応じた分離状態を測定することができる。
【0013】一方、図8は、マイクロ流路デバイスの作
製法を示したものである。作製手順としては、(a)基
板801上への光硬化性樹脂802の充填工程、(b)
カバー板803の光硬化性樹脂802上への設置工程、
(c)光照射工程、(d)洗浄工程からなる。光照射工
程では、(c1)マスク804による露光、あるいは、
(c2)ガルバノミラー等による光ビーム805の走査
による光照射による露光のいずれかを用いることができ
る。
【0014】さらに、可動部品を形成する工程として、
高開口数の集光光を用いる工程の模式図を図9に示す。
図9では、高開口数の対物レンズ901をカバー板90
2に近接して配置することで、光硬化性樹脂内部の集光
部分を硬化させて、可動部分を作製することができる。
この場合の照射光としては、光硬化性樹脂の吸収波長の
他、2光子吸収を起こす波長を用いても良い。
【0015】なお、本発明で用いる樹脂材料としては、
ウレタンアクリレート系やエポキシ系などの光硬化性樹
脂を用いることができる。基板材料としては、石英ガラ
スなどのガラス基板、シリコン基板、水晶基板などを用
いることができる。カバー板材料としては、石英ガラス
などの光透過性のガラス基板などを用いることができ
る。光源としては、水銀ランプ、HeCdレーザー、ア
ルゴンイオンレーザー、チタンサファイヤレーザーなど
を選択して用いることができる。
【0016】
【発明の効果】以上の説明したように、本発明で、基板
部とカバー基板の間に未硬化の光硬化性樹脂を充填した
のちに、光硬化反応によって流路パターンを形成するこ
とによって、マイクロ流路デバイスを一体に構成するマ
イクロ流路デバイスとその製作法を考案し、接合技術が
不要で、樹脂の光吸収や蛍光によって測定に制約を受け
ないマイクロ流路デバイスとその製作法を提供すること
を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロ流路デバイスの構成例を示す
図である。
【図2】本発明のマイクロ流路デバイスでの吸光度測定
の際の模式図である。
【図3】本発明のマイクロ流路デバイスの構成例を示す
図である。
【図4】本発明のマイクロ流路デバイスの構成例を示す
図である。
【図5】本発明のマイクロ流路デバイスの構成例のうち
一部を拡大した模式図である。
【図6】本発明のマイクロ流路デバイスの構成例を示す
図である。
【図7】本発明のマイクロ流路デバイスの応用例を示す
図である。
【図8】本発明のマイクロ流路デバイスの作製法を示す
図である。
【図9】本発明のマイクロ流路デバイスの作製法の一部
を示す図である。
【符号の説明】
101 基板部 102 光硬化性樹脂 103 カバー板 104 流路パターン 105,105’注入口 106 混合部 107 廃液口 201 光源 202 レンズ系 203 フィルター 204 マイクロ流路デバイス 205 光検出器 301 カバー板 302 基板部 303 流路の出入口 304 枠 401 基板 402 カバー板 403 光硬化性樹脂層 404 スペーサ部 501 流路周辺部 502 軸 503 可動部品 601 基板 602 作用極パターン 603 電極パターン 604 電気化学測定器 605,605’ 注入口 606 混合部 701 ゲル粒子 702 流路カラム 703 ストッパー構造 704 カラム下流の流路 801 基板 802 光硬化性樹脂 803 カバー板 804 マスク 805 光ビーム 901 高開口数の対物レンズ 902 カバー板

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微量な液体を流して分離や分析を行うマ
    イクロ流路デバイスにおいて、少なくとも基板部、光硬
    化性樹脂、光透過性のあるカバー板の順の3層より構成
    されており、前記基板部と前記カバー基板の間に未硬化
    の光硬化性樹脂を充填したのちに、光硬化反応によって
    光硬化性樹脂層に流路パターンが形成されることによっ
    て、マイクロ流路デバイスが一体に構成されていること
    を特徴とするマイクロ流路デバイス。
  2. 【請求項2】 前記カバー板の面積が前記基板部の面積
    より小さく、前記カバー部の端に、前記基板部に対して
    垂直方向に流路の出入口があることを特徴とする請求項
    1記載のマイクロ流路デバイス。
  3. 【請求項3】 前記基板部の外周に、未硬化時の光硬化
    性樹脂の保持のための枠を設けたことを特徴とする請求
    項2記載のマイクロ流路デバイス。
  4. 【請求項4】 前記基板部が光透過性であることを特徴
    とする請求項1記載のマイクロ流路デバイス。
  5. 【請求項5】 前記基板と前記カバー板の間に光硬化性
    樹脂の厚みを規定するスペーサ部を設けていることを特
    徴とする請求項1記載のマイクロ流路デバイス。
  6. 【請求項6】 マイクロ流路デバイス中に、別個に光硬
    化性樹脂によって可動部分が形成されていることを特徴
    とする請求項1記載のマイクロ流路デバイス。
  7. 【請求項7】 前記基板の表面にあらかじめ電極パター
    ンを形成しておくことによって、マイクロ流路内で電気
    化学的検出が行えることを特徴とする請求項1記載のマ
    イクロ流路デバイス。
  8. 【請求項8】 微量な液体を流して分離や分析を行うマ
    イクロ流路デバイスの作製法において、少なくとも、基
    板上への光硬化性樹脂の充填工程、カバー板の光硬化性
    樹脂上への設置工程、露光工程、洗浄工程からなること
    を特徴とするマイクロ流路デバイスの作製法。
  9. 【請求項9】 前記露光工程が、マスク露光であること
    を請求項8記載のマイクロ流路デバイスの作製法。
  10. 【請求項10】 前記露光工程が、ビーム露光であるこ
    とを請求項8記載のマイクロ流路デバイスの作製法。
  11. 【請求項11】 前記ビーム露光工程において、さら
    に、高開口数の集光によって、可動部品を形成する工程
    を含むことを請求項10記載のマイクロ流路デバイスの
    作製法。
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